書斎の死体 このコーナーでは、皆様から寄せられたミステリ・怪奇幻想文学についての評論・研究・エッセーなどを掲載していきます。翻訳ミステリ出版は相変らずの活況を呈しておりますが、「探偵小説について、真面目な一言」(スティーヴズ)を発表する場はまだまだ限られています。そこで、ささやかながらこのような場を設けて、探偵小説エッセーの収集・公開を思い立ちました。 |
◆往復書簡 ドルリー・レーン四部作を読む 塚田よしと 真田啓介 NEW [第1回] [第2回] [第3回] [第4回] エラリー・クイーンのドルリー・レーン四部作 『Xの悲劇』 『Yの悲劇』 『Zの悲劇』 『レーン最後の事件』 を徹底検討。 ◆江戸川乱歩 「目羅博士の不思議な犯罪」 の謎 小林晋 江戸川乱歩 「目羅博士」 の着想源は本当にエーヴェルス 「蜘蛛」 なのか。乱歩がもう 一つの類似作エルクマン-シャトリアン 「見えない眼」 を読んだ可能性を探る。 ◆The Avenging Chance の謎 真田啓介 バークリーの名短篇 「偶然の審判」 の初出年の謎に迫り、長篇 『毒入りチョコレート事 件』 の成立過程を論証する画期的論考。 ◆魔神アスモデの裔 真田啓介 コンスタンス・ケント事件を取りあげたサマースケイル 『最初の刑事』 に、「探偵とは何 か」 という問いかけをみる。 ◆ジャン=パトリック・マンシェット著 『クロニーク(時評集)』 を読む 山田礼雄 ネオ・ポラールの旗手マンシェットは実作と同時に批評活動でもフランス・ミステリ界に 刺激と指針を与え続けた。没後にまとめられた時評集をレビュー。 ◆グローセ 『守護精霊― C* フォン G** 侯爵の手記より』 梗概 亀井伸治 18世紀末ドイツで絶大な人気を博し、ホフマンらに影響を与えた秘密結社小説、グロー セ 『守護精霊』 を紹介。オースティン 『ノーサンガー・アベイ』 中の言及でも有名。 ◆水盤 ナイオ・マーシュ 清野泉訳 競売人ベイティ氏は今日の競売品にまじったギリシア風水盤になぜか不安を覚える が……。探偵作家デビュー前に発表された初期短篇。 ◆スチュアート・ゴードン 「ドールズ」 の二重性 林 清俊 殺人を繰り返す人形たちの背後にいる 「真犯人」 とは誰か? ホラー映画 《ドールズ》 の隠された真相を読み解く。 ◆「もう一つの物語」 を読む探偵――谷崎潤一郎 「途上」 の方法 林 清俊 プロバビリティーの犯罪を描いた世界的にも類例のない作品と乱歩が称揚した 「途 上」。しかし、作者の狙いは別のところにあったのではないか。 ◆犯罪と探偵――「陰獣」 論 真田啓介 江戸川乱歩の傑作 「陰獣」 の本格探偵小説としての技巧を、その論理的興味、とくに 犯罪の論理と探偵の論理という観点から分析する。 ◆黄金時代のブレイク 塚田よしと 『野獣死すべし』 のニコラス・ブレイクの前期作を採点。未訳長篇〈The Smiler with the Knife〉〈Malice in Wonderland〉 をレビュー。 ◆ワトソン年代学の問題 S・C・ロバーツ 植村昌夫訳 ノックス 「シャーロック・ホームズ文献の研究」 に対して、有名シャーロッキアンのロバ ーツが批判的検証を展開。かくしてホームズ学は進化する。 ◆シャーロック・ホームズ文献の研究 ロナルド・A・ノックス 植村昌夫訳 『陸橋殺人事件』 のノックス師が1911年に行なった講演は、細部に注目するホームズ の方法をドイル作品に適用。ホームズ学の原点ともいうべき記念碑的論文。 ◆探偵小説が若かった頃 真田啓介 探偵趣味の会の機関誌として大正14年に創刊された 「探偵趣味」 は、乱歩、不木、甲 賀、横溝らが当番制で編集、探偵小説草創期の若々しい情熱が漲っていた。 ◆トスカ枢機卿の死―ワトソン博士の原稿断片 S・C・ロバーツ 植村昌夫訳 発見された 「ワトソン博士の原稿断片」 は、語られざる事件 「トスカ枢機卿の死」 に関 する記録だった。ある朝、ベイカー街のホームズの部屋を訪れた兄マイクロフトは…… ◆T・S・エリオットのホームズ論/エリオットとホームズ 植村昌夫 『荒地』 の詩人は熱烈なホームズ・ファンでもあった。エリオットの 「ホームズ短篇 全集」書評の翻訳と、詩劇 『寺院の殺人』 などへのホームズ譚の影響を探るエッセー。 ◆探偵小説講義 A・B・コックス 真田啓介訳 コックス=バークリーの実践的創作講座。探偵小説創作にあたって考慮すべきポイント は二つ。一つは探偵、もう一つは物語である。犯罪者は重要ではない。なぜなら……。 ◆苦いアーモンド A・B・コックス 小林晋訳 列車のコンパートメントで乗り合わせた娘は、なぜか彼のことを無視していた。業を煮や した若者はついに大胆な行動に打って出るが……。コックス=バークリーの掌篇。 ◆「メスプレード事典」 をめぐって フランス・ミステリ通信A 坂本浩也 2003年秋、フランスで刊行された驚異的なミステリ大事典を紹介。フランスにおける日 本ミステリ受容、日本における現代フランス・ミステリ観についても考察をめぐらす。 ◆黄色い部屋はいかに映画化されたか? フランス・ミステリ通信@ 坂本浩也 現在フランスで公開中の映画 『黄色い部屋の謎』 (ブリュノ・ポダリデス監督) を、パリ 在住の坂本氏が逸早く紹介。あわせて原作の複雑な魅力に迫る。 ◆ P・G・ウッドハウス邦訳書誌 真田啓介編 「20世紀最大のユーモア作家」 とも呼ばれ、英国黄金時代探偵小説にも多大な影響を 与えているP・G・ウッドハウスの邦訳リスト (但し暫定版。情報提供求む)。 ◆ 『毒入りチョコレート事件』 論 あるいはミステリの読み方について 真田啓介 多重解決というよりむしろ 「解決の不在」 こそが 『毒入りチョコレート事件』 の最大の特 徴ではないか――という疑問から始まった推論は如何なる 「結末」 へとたどりつくか? |
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