更新履歴と周辺雑記

更新履歴を兼ねて、日記付け。完結していない作品については、ここに書いていきます。

2007年4月28日(土)
ロボット兵器の将来

「軍事研究」という雑誌がある。
その名の通りの質実剛健な雑誌なのだが、4月号別冊で「戦場革命! 軍用ロボット&先端無人兵器」という特集を組んでいる。
http://gunken.jp/blog/archives/2007/03/24_0000.php

その中で、なぜ2足歩行のロボット兵器は無いのか、という記事がオタク的に興味深かった。技術的に難しいからとか役に立たないとか言うのではなくて、切り口が純粋に軍事的なのである。冷徹な筆致の中に、なにか秘めたる熱いものを感じさせる。

例えば、「2足歩行は必然的に全高が高くなるので、投影面積が大きくなる。従って被弾しやすい」といった具合である。
これはもっともな話で、俗に盾と矛の関係と言うものの、現在の技術では圧倒的に矛の方が優勢であり、トマホークの貫徹力は、鉄筋コンクリートなら5mを超える。敵弾をはね返しながら進む戦車なんてのは大昔の話だ。この辺を映画の中で現実に即して描写すると、エメリッヒ版「GODZILLA」みたいなシロモノになるわけだ。
もう一つは、「2足歩行は機動性に欠ける」という点。
装輪車より明らかに遅いし、不整地での走破性も装軌車に劣る。山岳地ならどうかと言えば、四本足の方が有利な場合がある。山岳性のヤギなどは信じられないような断崖絶壁で生活している種類がいる。また、人間の足の接地圧は意外と大きい(足の裏の面積が小さいため)。雪上車は、人間なら沈んでしまうような新雪の上でも走れる。
詰まるところ、人間が2本足で歩いているのは万物の霊長だからでもなんでもなくて、、手を使うようになったら、残った足が2本しかなかったから、というだけの理由らしい。人間が座骨神経痛やら胃下垂やらで苦しむのも重力に逆らって上体を起こしているからだし、他の動物に比べて出産があれだけ大変なのも2足歩行の弊害なのだとか。
話がそれたが、そんなわけで、ロボット兵器と言えば無人自律型装甲車、といった類が主流なのである。とは言っても、多脚型の歩行ロボット研究がないわけでもなくて、その筆頭が、前掲書で紹介されているBIGDOGである。
ここで映像が観られます。
なんつーか、首なしのオシツオサレツみたいだが、蹴っ飛ばされても自分でバランスをとって歩き続ける健気な姿が、なにか心の琴線に触れるものがある。

2007年4月25日(水)
ハルバースタム死去に思う

作家のデビッド・ハルバースタムが亡くなった。享年73歳。自動車事故。大学で講演するため、学生の車に同乗していてのもらい事故だという。今も精力的に活動していたようだ。

私は、ハルバースタムの著作で読んだのは「男たちの大リーグ」だけなのだが、野球にまつわる人間模様を活写したこの作品は強く印象に残った。原題は、「Summer of ’49」。1949年の、ニューヨーク・ヤンキースとボストン・レッドソックスの歴史的デッドヒートが題材である。第二次世界大戦が終わって4年のこの時期、ジョー・ディマジオやテッド・ウィリアムスら出征していた選手たちが復帰し、大リーグは空前の盛り上がりを見せていた。
その中で争われたペナントレースを、ハルバースタムは選手、監督、その家族やジャーナリストら大勢の人々のエピソードを散りばめて描いていく。私がとりわけ好きなのは、このくだり。

『その春、マット・バッツはしばしばバッティング練習のキャッチャーを務めたが、中でもウィリアムスを打席に迎えるときを一番の楽しみとしていた。前年かろうじて一軍入りしたばかりの自分の目の前に、かの大打者がいて、まるで対等の仲のように話しかけてくるのだ。ウィリアムスはライトへライナーを飛ばしては、よく、「おい、バッツ。今の、見たか」と言った。そこへ次のボールが来る。ウィリアムスがまたスイングし、打球は再びライナーで飛んでいく。「バッツ、一つ秘密を教えてやろう。おれはバッティングがうまい。しかも、ますますうまくなってる。」そこへまたボールが来る。ウィリアムスがスイングすると、これまた外野への大きな当たりとなる。「こたえられないなあ。おれはなんてうまいんだろう」とウィリアムスはつぶやく。ピッチャーが投球の構えにはいる。「バッツ、よく見てろよ」。そう言ってウィリアムスがバットを出すと、打球は今度はレフトへ飛んでいく。「ほら、バッツ。おれは左にも打てるんだぞ。その気になりゃ、いつだって打てる。だがな、おれの値打はライトにある。引っ張りで給料をもらってるのさ」。そんなことを言ったあとで、最後にもう一振りしてライナーを飛ばし、未練たっぷりに、こんな言葉を残してバッター・ボックスを離れる。「ちくしょう、なんて面白いんだ。一日中やってたって飽きないぜ。それで給料までもらえるんだからな」
バッツは、そんなウィリアムスの姿がまぶしくて仕方がなかった。そして、つくづく感じるのだった−ベースボールは本来楽しいものなのだ、と。』

野球を愛し、野球に愛された「最後の四割打者」テッド・ウィリアムスの姿が目の前に浮かんで来るではないか。私たちはこの本のおかげで、60年も前の野球とそれに関わる人々を思い描くことができる。歴史は、ただ時間が積み重なればできるものではない。故事が繰り返し語られることで、初めて歴史になるのである。ハルバースタムは、歴史の語り部の一人だった。冥福を祈る。

そのついでに、一つ思い出したことがある。
かなり前だが、プロ野球生誕70年の記念に、歴史に残る名場面をファン投票で決めるという企画があった。やがて発表された結果を見て、私は唖然とした。そのベストワンというのが、「巨人入り後故障と不振に苦しんだ清原の復活ホームラン」だったからだ。
繰り返すが、「プロ野球70年の名場面」である。「今日のハイライト」ではないし、「今年の珍プレー好プレー」でもないのだ。
うろ覚えだが、「江夏の21球」も「川崎球場10.19」も「天覧試合サヨナラホームラン」も「長島のデビュー戦四連続三振」も「西鉄の日本シリーズ三連敗四連勝」もなかった。インターネット投票という性格のためではあるだろうが、とにかく昭和40年代以前のものは−プロ野球がまさしく国民的娯楽だった時代のものは、何一つなかったように思う。
「若い者は昔のことを知らなくて当然」というのは通らない。私は長島の現役時代は知らず、王の引退にかろうじて間に合ったという世代だが、親父からよく、「長島はファインプレーもするけど、派手なエラーも多くてなあ」という具合に昔話を聞かされた。「歴史を語る」とはなにも、書籍として残すということばかりではなく、こういうことの積み重ねである。
いつからか、プロ野球ファンは歴史を語らなくなったのだろう。だからプロ野球に「歴史」はない。歴史がないからには、たぶん未来もないに違いない。大リーグへの人材流出に裏金問題。一向に進まないドラフト改革。アマチュアとの断絶。経営者の不在。累積する一方の赤字。プロ野球はこのまま、ゆるやかに滅びていくのだろう。私はもう、それも仕方のないことのような気がしている。

ハルバースタム死去の報で、そんなことを考えた。

2007年4月24日(火)
チャンバラ

「精霊の守り人」3話を観た。人は過去の成功体験に生きると言うが、またしてもアジアン風味。NHKは、いい加減「十二国記」から離れられんのか。

それはともかく、神山健治監督期待の新作だけのことはあってハイクオリティだが、私が感心したのはこのエピソードの剣戟シーン。編集や撮影でごまかすことなく、全身の体術を見事に描ききり、しかも見たところBANKを全く使っていないようだ。懐かしの「THE 八犬伝」を思い出した。

スタッフで、私が見てわかるのは作画監督の中村悟くらい。久しぶりに、プロダクションIGの作画スタジオとしての実力−カンヌとかハリウッドとか社会性とかデジタル技術とか鈴木敏夫とかの夾雑物を交えない−を見せてくれたように思う。

ところで、標題にはチャンバラと書いたが、本作のこのアクションシーンは時代劇で言ういわゆるチャンバラよりも、カンフー映画とか昨年公開の「SPIRIT」のノリに近い。私は時代劇のチャンバラというのがどうも好きになれず、アニメの剣戟表現の方がはるかに上を行っていると思うのだが、この話はまた今度。

2007年4月23日(月)
復帰記念の小ネタ

新装なったマイシアターで、「ライブアライブ」を観返した。

以前に、このカットで


鶴屋さんのポケットに入った小銭の音がする、というのを書いたが、もう一つ新発見。


上のカットで、谷口が手に持っているのはラムネの瓶なのだが、この中のビー玉が動く音が、ちゃんと入っているのだ。
これは音楽で感動させなければならないエピソードだから、音響設計も精緻なものが求められたことは想像がつくが、2チャンネルステレオで、しかもテレビ作品で、いくら何でも凝りすぎ。

スタッフクレジットより、
音響監督:鶴岡陽太(楽音舎)
音響効果:森川永子(ちゅらサウンド)
録音:矢野さとし
録音助手:田中文章
音響制作担当:杉山好美(楽音舎)
録音スタジオ:スタジオごんぐ・アオイスタジオ
音響制作:楽音舎

音響制作って「製作」じゃないんですね。

2007年4月22日(日)
近況いくつか

4月から、キッズステーションで「少女革命ウテナ」の再放送が始まっていた。18禁でもいいくらいエロな作品なのに、このチャンネルでいいのか?

「コードギアス」23話。まあ映像作品に倫理的な問題を持ち込む気はないが、小松左京は「日本沈没」を書き上げたあと、日本人を殺しすぎたことでしばらく鬱に陥ったそうである。この作品のスタッフには、それだけの覚悟があるのか?

「時をかける少女」DVD観る。今どき2チャンネルステレオ音声がデフォルトという仕様はどうなんだろう。パソコン環境で観るのが通常のユーザーという考え方なんだろうか。スクランブル交差点での会話のシーンなんか、サラウンド環境で観ないと醍醐味が味わえないと思うけど。

2007年4月21日(土)
やっと回線復旧

大変ご無沙汰しております。
浜松に引っ越してきて3週間、ようやくパソコン環境が復旧したので、ぼちぼちと再開していきます。
新聞は取っていないし、TVは見ないし、今度の職場はネット接続できないしで、まるで世間と隔絶した3週間であった。
しかし、浜松は風が強いね。筑波おろしの空っ風で慣れてるつもりだったが、骨身に応える。

マイシアターも復旧完了。これまでの部屋と違って念願の一戸建てなので、気兼ねなく音量が上げられる。部屋自体も8畳に広がったので、ずいぶん音場の感じが変わった。9100ESの補正機能に頼っているだけではダメということか。

まだ観ていないが、「時かけ」のDVD買ってきた。特典のフィルムは、個人的にも思い入れの深いラストジャンプのシーンだった。しかし、変わった固定方法のディスクが、やけに取り出しにくいんですけど。

・・・え、「化猫」がノイタミナ枠でシリーズ化?中村健治、ついにTVシリーズ監督デビュー!

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