8月の新刊 ● NEW TITLE |
リスボン大地震
世界を変えた巨大災害
ニコラス・シュラディ 山田和子訳
白水社 発売中 4180円(税込)
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1755年11月1日、万聖節の朝、ポルトガルの首都リスボンを襲った大地震は、ヨーロッパ最大の交易都市として栄えたこの街を一瞬にして壊滅させた。各所で発生した火災が瓦礫と化した街を焼き尽くし、さらに大津波が人々を襲った。しかし、国王ジョゼ1世から全権を委ねられた大臣カルヴァーリョは、迅速に被災者救助と治安維持に着手、新たな都市計画のもと復興事業に乗り出し、同時にこの国を支配していた教会・貴族勢力を排除して、ポルトガルの近代化が進められていく。一方、この地震はヴォルテールをはじめ同時代の思想界にも大きな衝撃を与えた。世界を変えた地震災害の実態と復興の足取りを史料を駆使して描き、社会・科学・思想・宗教など、広範囲に及んだ影響を辿る。◆本文サンプル MORE
「18世紀のリスボンは(中略)いわば〈知の地震〉の震源地になったのである」――福嶋亮大氏評(朝日新聞 9/23) |
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8月の新刊 ● NEW TITLE |
レイトン・コートの謎
アントニイ・バークリー 巴妙子訳
創元推理文庫 発売中 1100円(税込)
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ある夏の朝、レイトン・コートの主人スタンワース氏の額を撃ち抜かれた死体が書斎で発見された。現場は密室状態で遺書も残されており、警察の見解は自殺に傾いていたが、死体の奇妙な点に目をとめた滞在客のひとり、作家ロジャー・シェリンガムは殺人説を主張、アマチュア探偵の名乗りをあげる。友人アレックをワトスン役に指名し、自信満々で調査に取りかかったが……。想像力溢れる推理と軽快なユーモア、フェアプレイ宣言。英国探偵小説黄金期の巨匠バークリーの記念すべき第一作。解説 法月綸太郎/羽柴壮一 MORE |
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今後の刊行予定 ● FORTHCOMING TITLE |
完訳 金枝篇 呪術と宗教の研究 [第8巻]
スケープゴート
J・G・フレイザー 神成利男訳
国書刊行会 予価15,400円(税込)
世界は神の犠牲によって更新され維持される。石や棒、動物、人間への災厄の転移、遍在する悪魔と様々な厄払い、 メキシコの人間供犠と神殺しから、ローマのサトゥルナリア祭と類似の祭典、キリストの十字架刑まで、 スケープゴートの慣習を神の犠牲へと純化する思考の錬金術。
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▼発売中 |
6月の新刊 ● NEW TITLE |
トランペット
ウォルター・デ・ラ・メア 和爾桃子訳
白水Uブックス 発売中 1980円(税込)
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天使像が持つトランペットを吹き鳴らしたら、いったい何が起きるのか。深夜の教会に忍び込んだ二人の少年の冒険を描く「トランペット」。ある暑い日、ロンドンの喫茶店で出会った男が語り続ける同居女性の失踪話に薄気味悪さがにじむ「失踪」。三百五十年の歳月を生きてきた老女の誕生日にお屋敷に招かれた少女の話「アリスの代母さま」他を収録したデ・ラ・メア傑作選。挿絵=エドワード・ゴーリー MORE |
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5月の新刊 ● NOW ON SALE |
迷いの谷 平井呈一怪談翻訳集成
A・ブラックウッド他 平井呈一訳
創元推理文庫 発売中 1650円(税込)
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好古趣味と巧みな恐怖演出で近代怪奇小説の礎を築いたM・R・ジェイムズ。多彩な題材に怪異のリアリズムを追求しつつ心理学的解釈を加えたアルジャーノン・ブラックウッド。『幽霊島』に続く平井呈一怪談翻訳集成第二集は、マッケンとあわせて英国怪奇小説の三羽烏と称される恐怖の名匠の傑作を中心に、その訳業の原点ともいうべき昭和初年の翻訳、コッパード「シルヴァ・サアカス」とホフマン「古城物語」、さらに鍾愛の作家ラフカディオ・ハーンの怪奇文学講義を集成。付録として作家解説や翻訳観が窺えるエッセーを収録。解説=垂野創一郎 MORE
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5月の新刊 ● NOW ON SALE |
《書物復権2023》新装復刊
文学とテクノロジー 疎外されたヴィジョン
ワイリー・サイファー 野島秀勝訳
白水社 発売中 6380円(税込)
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実験室は19世紀が生んだもう一つの人工楽園だった。芸術に「科学の正確さ」を求めた自然主義者はもちろん、純粋な美を目指した象徴主義者、唯美主義者に至るまで、19世紀芸術家たちの多くは「方法」と「技術」に取り憑かれていた。産業社会に反逆、あるいは逃避したはずの作家たちもまた、実は彼らの忌避したテクノロジー思考に絡めとられていたことをあばき、近代における「方法の制覇」「視覚の専制」、それがもたらす距離と疎外の問題を論じて、文学史の革命的書き換えを成し遂げた名著。解説=高山宏 MORE |
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1月の新刊 ● NOW ON SALE |
無条件降伏 誉れの剣Ⅲ
イーヴリン・ウォー 小山太一訳
白水社〈エクス・リブリス・クラシックス〉
発売中 4620円(税込) [amazon] [honto]
激戦地クレタ島脱出から2年、ガイ・クラウチバック大尉はロンドンで無為な日々を送っていた。旅団の戦友たちが次々に戦地に向かうなか、年齢を理由にひとり後に残されたガイは、開戦時に抱いた崇高な大義を見失いつつあったが……。自身の軍隊経験をもとに、戦争の醜悪さと滑稽さ、古き理想の崩壊を描いたウォー最後の傑作《誉れの剣》三部作、最終巻。MORE |