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山尾悠子編『山尾悠子偏愛アンソロジー 構造と美文』
端正な入れ子型、視覚的イメージを強く喚起する一直線構造、極度に人工的な言語世界、中毒性のある美文……作家・山尾悠子の想像力を刺激し、育てた短篇小説作品に詩を添えて。ボルヘス「バベルの図書館」、バラード「時間の庭」、ラヴクラフト「アウトサイダー」、澁澤龍彦「蘭房」、三島由紀夫「中世に於ける一殺人常習者の遺せる哲学的日記の抜萃」など、幻想的かつ美しすぎる文学作品の花束。
(ちくま文庫 1100円)[amazon]

レーモン・オリヴェ/ジャン・コクトー(画)『コクトーの食卓』

世界的名声を博した料理人オリヴィエが、詩人コクトーとの友情の中でつくりだした数々の料理。料理の奥儀と真の楽しみ方を紹介する。辻邦生訳
(ちくま文庫 1100円)[amazon]

ソポクレース『オイディプース王』
かつてスピンクスによる危機を退け、テーバイの王となったオイディプースは、疫病が国を襲った今、神のごとき救い主として市民たちの嘆願を受け、これに対処しようとしていたが……。ギリシア悲劇の最高傑作。岡道男訳
(講談社学術文庫 1100円)[amazon]

網野善彦『蒙古襲来』
鎌倉時代後期、13世紀後半の日本には「飛礫」や「博奕」に象徴される、底知れぬ力が渦巻いていた。その源となった「未開」と「文明」、「農業」と「非農業」の対立は、幕府、朝廷、宗教、荘園支配など、社会のさまざまな局面にあらわれる。蒙古襲来は、せめぎあいの緊張が高まる日本に訪れた危機だった。未曾有の外寇によって対立の均衡が崩れた時、後戻りのできない大転換が始まる。それは近世・近代の日本社会の在り方にもつながる大変動だった――。戦後歴史学を代表する歴史学者、網野善彦が遺した唯一の時代史にして無二の全体史。
(講談社学術文庫 2530円)[amazon]

オノレ・ド・バルザック『《人間喜劇》第4巻 〈風俗研究〉「私生活情景****」』
娘たちにすべてを捧げた老父の悲劇と、野心を胸に社交界へ踏み出す青年の姿を描く『ゴリオ爺さん』、愛した妻から裏切られ、身ぐるみ剥がされる「シャーベール大佐」……大義なきあとのパリの社会を描き出した「私生活情景」の掉尾を飾る《人間喜劇》屈指の名編を収録。【収録作品】「ゴリオ爺さん」「シャベール大佐」「無神論者のミサ」「禁治産」「結婚財産契約」「婿たちと姑たち」「続女性研究」
水声社 13,200円)

ジョー・キャラハン『瞬きすら許さない』

警視正のキャット・フランクは昔気質の刑事だ。事件現場を歩き、容疑者の眼を見ることが捜査の核心だと信じている。新設の捜査チームを率いることになった彼女は、ロックという名の人工知能に出合う。この新世代の「捜査官」は、ホログラムの体をもち、統計データに基づいて事件解決を支援するのだという。生意気なまでに合理性を重視するロックと、刑事の直感を信じるキャット。相反するふたつの頭脳が挑むのは、ありふれているようで、何かが異様な未解決失踪事件……。CWA賞受賞、21世紀の傑作警察捜査小説。吉野弘人訳
(創元推理文庫 1430円)[amazon]

ジョナサン・ストラーン編『星の海を駆ける 新世代スペース・オペラ傑作選
19世紀末に原型となる作品群が現れてから130年あまり、変化と進化をつづけるスペース・オペラをテーマに、アン・レッキー、アレステア・レナルズ、T・キングフィッシャー、アーカディ・マーティーンなど、近年のヒューゴー賞やネビュラ賞の受賞作家をはじめとするそうそうたる面々が集結。ローカス賞候補の傑作アンソロジー。中原尚哉他訳
(創元SF文庫 1870円)[amazon]

ジャック・ロンドン『試合/獰猛なる野生児 ボクシング小説集
結婚のため引退する若いボクサーの最後の試合を描いた「試合」。運に恵まれなかったボクサーの父親に人里離れた山の中で育てられ、訓練を受けた息子が主人公の「獰猛なる野生児」。表題2作を含む全4編を収録。ボクサーの覚悟と悲哀、その心情を細やかに描いた傑作ボクシング小説集。抜群のストーリー展開と緊迫感ある打ち合いのシーンが読みどころの本作を、ボクシング経験者によるリアルすぎる新訳で贈る。牧原勝志訳
(光文社古典新訳文庫 1100円)[amazon]

泡坂妻夫『ホロボの神 泡坂妻夫拾遺集
クルーザーで遭難し、見知らぬ島に漂流した三人の男。幸運にも調査に来ていた亜愛一郎と名乗る男に遭遇する。亜と植物学者・中里教授のキャンプに同居することになった三人は現地のホロボ族と親しくなる。だが酋長の妻が病死、酋長も妻の遺体と祠に籠もったまま出てこないという。さらに中里の拳銃が何者かに盗まれ……。単行本刊行時に大幅改稿された表題作の「幻影城」掲載バージョンをはじめ、文庫未収録作を集約。著者デビュー50周年記念刊行。
(徳間文庫 1078円)[amazon]

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ『大魔法使いクレストマンシー キャットと魔法の卵 上・下
次代クレストマンシーとして城で教育を受けるキャット少年は、近くの村に住むマリアンという少女と知り合った。彼女の一族は魔女の家系で、一族の長である祖母は最近、近隣の一族と対立しているらしい。祖母の屋根裏に長年置かれていた卵をマリアンから譲ってもらったキャットが孵したところ、現れたのは思いがけない生き物だった。『魔女と暮らせば』で活躍したキャット少年の一年後の物語。田中薫子訳
(徳間文庫 各990円)[amazon]

《英国生活 ミスター・パートナー》4月号
〈特集=コナン・ドイルとシャーロック・ホームズの物語〉ドイルの歩みをたどりながら、ホームズを世に送り出した雑誌『ストランド』誕生の舞台裏や、編集者・挿絵画家にも光を当て、世界的名作がいかにして生まれたのかを、多角的にひもとく。さらに登場人物、作者が傾倒した心霊主義を紹介、作品の舞台を訪ねる。シャーロック・ホームズの世界を「知る」だけでなく「歩いて」楽しめる特集。
(ミスター・パートナー 600円)[amazon]

マリオ・プラーツ『イタリアの光と闇Ⅰ 言葉のエリュシオンの中に
プラーツのイタリア巡りは、北方の精神と響きあう高山と深い渓谷の織りなす絶景から始まる。都市に仮面のような束の間の相貌を与える祝祭や造物神の手になる庭を通り抜け、「神の賜物」と形容されたトスカーナの自然を見つめたあと、廃墟や遺跡が散在し、数千年の時間によって彫りあげられた風景へと至る。碩学はかつてイタリアに注がれた眼差しを追うように、失われた情景にも光をあてていく。金山弘昌・新保淳乃 編訳/石井朗 監修
(ありな書房 3960円)[amazon]

林房雄『東洋の満月 戦前・戦中期防諜小説集19
世界的に満州国が孤立する中で、反満活動を行う諜報団の謀略活動、ソ連の援助を受けた匪賊と日本人開拓民との闘い、満洲各地の建設状況などを描いた冒険小説(昭和14年刊)。旅順旅行記「新しき土」を併録。オンデマンド出版
(大陸書館 2002円)[amazon]

福田裕大編『『未来のイヴ』を読み直す』
人造人間に夢中な科学者エジソンと、その不気味な存在感にたじろぐ青年エワルドは、現代のわれわれの姿そのものではないだろうか。作中最大の謎であるソワナが生んだ物語の矛盾は、現実世界の多重性をほのめかす特異点であり、〈科学〉対〈文学〉の背反を越えて、二つの論理が並行する物語世界を起動させる仕掛けであった。時を超えてなおアクチュアルな小説を、知の考古学的に読み尽くす。
水声社 3850円)

イブラヒーム・サミュエル『あの重しい足音のにおい』
すれちがう家族、危険をおかす恋人たち、貧困に追い詰められる女性たち――拘束の恐怖や飢えが日常に影をおとす1970-80年代のシリア。人間らしさを手放さないがゆえに葛藤し、狂気に直面する市井の人びとを、獄中生活を経た作家が静謐なまなざしでとらえた9編。石垣聡子・岡崎弘樹訳
水声社 1980円)

ズデニェク・ランパス編『チェコ21世紀SF短編集』
チャペック以来、政治への鋭い批判と奇抜な設定で読者を魅了し続けるチェコSF。2000年代以降に登場した女性作家らの作品7編を収録。平野清美編訳
(平凡社ライブラリー 2200円)[amazon]

杉山龍丸『わが父・夢野久作
 増補完全版

杉山茂丸を父に持ち、探偵小説界で名を成すも急逝した作家・夢野久作はどのように考え、生きたのか。定評ある回想記(初刊1976)に、初書籍化作品を大幅増補し、著者による久作関連文章をほぼ網羅した完全版。
(中央公論新社 6050円)[amazon]

ブライアン・クレッグ『タイムトラベル基礎講座 時間のしくみからタイムリープの実現性まで
相対性理論や双子のパラドクスなど、科学的な概念を軸に、タイムトラベルの可能性を10のレッスンの形式で紹介。SF世界を科学的視点から解剖し、現実に落とし込んでわかりやすくその問題点などを案内。知的好奇心を刺激するスリリングな入門書。柴田譲治訳
(原書房 2200円)[amazon]

ローラ・チャイルズ『ピーチ・ティーと仮面舞踏会』
オペラ協会主催の仮面舞踏会でケータリングを担当することになった〈インディゴ・ティーショップ〉のオーナー、セオドシア。松明の炎で顔を隠した来場者たちが浮かび上がる様子は、なんとも幻想的だった。会場を散策するうちにたどり着いたのは古い製粉所。街の歴史に思いをはせていたが、そこで遺体を発見してしまい!? 東野さやか訳
(原書房/コージーブックス 1540円)[amazon]

エドワード・ルーカス・ホワイト『セイレーンの歌』
〈ナイトランド叢書〉
港で出会った耳の聞こえない男。彼は世界の果てへと赴き、そこで半人半鳥のごとき女怪セイレーンを見たという――黄金の古典古代と中世への憧憬に彩られた歴史冒険浪漫譚ほか全10篇。遠藤裕子・大和田始・國領昭彦・野村芳夫・健部伸明・待兼音二郎・岡和田晃訳【収録作品】セイレーンの歌/イアルバース/相応しき者/ドドナの神託/象の耳/束桿─ファスケス─/海面を泳ぐ敵勢/まだらの黒豹/ディスヴォーラ家の窓辺の灯り/松明の据付台
(アトリエサード 3200円)[amazon]

マルセル・シュオッブ『黄金仮面の王』
金の仮面を纏う病める古代の王、遥か未来の燃え盛る終末世界……ボルヘスや澁澤龍彦に影響を与えた〈象徴主義世代の中で最も優れた短篇作家〉待望の文庫オリジナル傑作選。新訳5編を含む全22編。大濱甫・多田智満子・垂野創一郎・西崎憲訳
(河出文庫 1430円)[amazon]

リチャード・パワーズ『囚人のジレンマ 上・下
風変わりな父を持つホブソン一家は、記憶と歴史の交差する場所で人類最大の矛盾に直面する。現代アメリカ文学の旗手による傑作長篇。柴田元幸・前山佳朱彦訳
(河出文庫 各1430円)[amazon]

ウン・ヒギョン『たったひとつの雪のかけら』
小さな星々はみな宇宙でたったひとりだけれど、その光は星座となって夜空に瞬きあう。韓国を代表する作家のひとりウン・ヒギョンが、生きる孤独と哀しみ、そして人と人の一瞬の邂逅を描く、6篇の珠玉の短編集。オ・ヨンア訳
(集英社 2090円)[amaozn]

ジェフリー・ディーヴァー『サプライズ・エンディングス 罠』
犯罪組織壊滅作戦の考案を依頼されたミステリ作家を待つ末路を描く「どんでん返し」他、巨匠が〝驚愕の結末集〟と銘打った自信作4編。池田真紀子訳
(文春文庫 1760円)[amazon]

李箱『増補新版 李箱作品集成』
1930年代の植民地朝鮮・京城で活躍し、26歳の若さで帝都・東京で夭折した作家・李箱。韓国で最も権威ある文学賞にその名を冠し、「難解」「天才」「異常」とも評される謎めいたその作品は、今も多くの人々を魅了している。代表作の短篇「翼」をはじめ、あまり注目されてこなかった作品も収録、年譜と解説も加え、李箱文学の全体像を示す。崔真碩編訳
(作品社 5940円)[amazon]

ジャン=クリストフ・グランジェ『死の烙印 2』
主人公たちの調査により、被害者が「大理石の男」の夢を見ていたこと以外の共通点が明らかになる。被害者の女性たちは妊娠していたというのだ。この猟奇犯罪に隠された真実とは……。二カ月連続刊行、フランスミステリ界の巨匠による歴史大作、堂々の解決篇。高野優・坂田雪子訳
(ハヤカワ・ミステリ 3630円)[amazon]

オースマ・ゼハナト・カーン『黒い滝 上・下
米西部の町で移民の少女が殺された。地元企業や教会、保安官すら刑事の捜査を妨害する中、事件の裏には戦慄の事実が潜んでいた。国弘喜美代訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 各1804円)[amazon]

マット・ディニマン『冒険者カールの地球ダンジョン 1  宇宙人襲来! 飼い猫とダンジョンに放りこまれたんだが?
突然の宇宙人の侵略により地球は壊滅。カールは生き残りを賭けて元カノの飼い猫とともに宇宙人が作ったダンジョンに挑むことに! 中原尚哉訳
(ハヤカワ文庫SF 1650円)[amazon]

トーマス・マン『ヨゼフとその兄弟たち1 ヤコブ物語 上
トーマス・マンが16年の歳月をかけて執筆した大長編小説。旧約聖書・創世記に描かれたイスラエルの族長ヤコブの子ヨゼフの短い話から紡ぎ出された、四部構成の壮大な、神と人類にまつわる物語。全8巻。第1巻には、人類の歴史についてのトーマス・マンの幻想的なエッセイ「序章・地獄行」と、主人公ヨゼフの父ヤコブと、ヤコブに至る一族の系譜の物語「第一部 ヤコブ物語(前編)」を収録。高橋義孝訳(1972)を復刊。
(あいんしゅりっと 2640円)[amazon]
トーマス・マン『ヨゼフとその兄弟たち2 ヤコブ物語 下
ヤコブが逃亡の旅の途中でラケルと出会い、ヨゼフ誕生ののち、一族を率いて帰還の旅へと上る「第一部 ヤコブ物語(後編)」。高橋義孝訳
(あいんしゅりっと 2640円)[amazon]

段書暁『清末科学小説の想像力』
太陽系を駆けめぐる霊魂、八卦をかたどった翼を持つ宇宙船……西洋近代の知に接し「三千年未曾有の大変局」に直面した清朝末期の中国人の想像力は、新しい世界を多層的なパノラマとして文学に描き出した。本書は「天」「夢」「鏡」などのキーワードを軸に、清末科学小説における文学と科学、伝統と近代の交錯を分析し、荒唐無稽にも見える物語に潜む思想的課題を掘り起こす。「中国はいかにして近代へと踏み出したか」という重大な問いに迫る。
(ひつじ書房 9900円)[amazon]

アガサ・クリスティー『そして誰もいなくなった 改訳新版
孤島に集められた十人の男女が童謡の歌詞どおり一人ずつ殺されていく!? 不朽の名作を改訳し、新たなカバーと解説をつけた新版。(本文は特装版[1925]と同一)。青木久惠訳
(早川書房/クリスティー文庫 1815円)[amazon]


▼2月刊

ジョンストン・マッカレー『怪盗ブラックスター』
〈論創海外ミステリ〉
犯行現場に黒い星のマークを残す謎の怪盗”ブラックスター”。その魔手から逃れる術はないと恐れられる怪盗のターゲットにされた富豪青年ロジャー・バーベックは、従僕のマグスと共に捕縛を試みるのだが……。1920年代に巧妙な記述トリックを駆使して書かれたModern Detective Storyの先駆的名作。〈アルセーヌ・ルパンの後継者たち〉第二弾。稲見佳代子訳
(論創社 3300円)[amazon]

トルーマン・カポーティ『遠い声、遠い部屋』
13歳の誕生日、ジョエルのもとに手紙が届く。母を亡くした彼を生き別れた父が引き取るという。父のいる南部の古い屋敷で待っていたのは、ミス・エイミーとその従兄弟のランドルフ。アイダベルという風変わりな少女とも親しくなるが、なぜか父は姿を現さず、屋敷では奇妙なことが続き……。早熟の天才カポーティのデビュー長編にして幻想的魅力をまとう米文学の記念碑的作品を、村上春樹が新訳。
(新潮文庫 935円)[amazon]

ジャクリーン・バブリッツ『連続殺人鬼の妻』
ルースはNYのバーで働く26歳。幼いころ友人が連続殺人鬼オズワルドに殺害されて苦い記憶となっている彼女に、故郷で発生した別な少女の失踪事件の一報が届く。獄死したオズワルドを連想せずにいられないルース。彼には〈共犯者〉がいたのでは? 真相を追ううちに見えてきたのは殺人鬼たちの妻の存在だった。彼女たちの心でくすぶり続ける感情とは? 異様な告白によるイヤミスが誕生。宮脇裕子訳
(新潮文庫 1155円)[amazon]

マリー・ティアニー『夜が少女を探偵にする 』
犯罪史や解剖学に没頭する13歳の少女エイヴァはある夜、家を抜けだし向かった小動物の死骸置場で、級友の少年ミッキーの遺体を発見する。その夜から少年ばかりを狙う拉致殺害事件が発生。どの被害者にも咬み痕があり、傍には仔犬の死骸が。折しも町では獣ともつかぬ怪物が目撃され……。80年代初頭のバーミンガムで、家庭環境に悩む多感な少女が猟奇殺人事件に挑む驚愕のデビュー作。能田優訳
(新潮文庫 1265円)[amazon]

A・A・ミルン『名誉ある平和 『クマのプーさん』の作家による平和への提言
「戦争を阻止するただ一つの方法は戦争を放棄することです。」第一次世界大戦後に書かれたエッセー「名誉ある平和──戦争という習慣の研究」。その6年後、第二次世界大戦を前に変化した思想が反映された「名誉ある戦争」を収録。第一次大戦にも従軍した『クマのプーさん』の児童作家ミルンが願った平和とは。吉村圭訳
(小鳥遊書房 2970円)[amazon]

ダミアン・ケンプ&マリア・L・ギルバート『中世モンスターのはなし 装飾写本でたどる
中世に制作された装飾写本の挿絵やページの片隅には、たくさんの奇妙なモンスターたちが描かれた。時禱書や旅行記、騎士物語に生き生きとした姿で登場する彼らは、現代の私たちが見ても新鮮な驚きに満ちている。本書は、中世ヨーロッパの装飾写本に描かれた、個性的なモンスターたちの絵とともに、中世に信じられていた想像上の生きものや、聖書や英雄伝説で語られる逸話をまとめたもの。堀口容子訳
(美術出版社 2640円)[amazon]

田辺佐保子編『ルサールカたち 水の精霊から生まれた物語
スラヴ世界に伝わる水の精ルサールカ。西欧の人魚姫とはちょっと違う水中に住む妖怪に想像力をかきたてられた作家たちが生み出した「ルサールカ文学」の詩、劇、短編のアンソロジー。
(群像社ライブラリー 2530円)[amazon]

都筑道夫『死体を無事に消すまで 都筑道夫エッセー集成
〈キイ・ライブラリー〉
EQMM日本版の初代編集長にして戦後英米ミステリ翻訳紹介の第一人者、幅広い分野で傑作をものした作家、都筑道夫は稀代の評論家・随筆家でもあった。その才気が発揮されたエッセーを、分野別に全3巻に集成。第1巻はミステリ論集『死体を無事に消すまで』を中心に、日本版EQMM掲載・単行本未収録の海外ミステリ時評「望遠レンズ」や「辛味亭辞苑」などを収める。日下三蔵編
(東京創元社 4400円)[amazon]

クリストファー・プリースト『不死の島へ』
〈創元海外SF叢書〉
1976年。研究者の職とロンドンの住居を立て続けに失い、恋人とも破局を迎えたピーター・シンクレアは、知人から仮住まいを許された別荘でとある原稿に着手する。のめり込むようにして執筆にはげみ、改稿を重ねるうちに生み出された〈夢幻諸島〉という名の架空世界はしかし、現実そのものを歪ませてしまう危険なヴィジョンだった――英国SF界の孤峰プリーストの長く邦訳が待たれた最高傑作。古沢嘉通訳
(東京創元社 2750円)[amazon]

ネレ・ノイハウス『怪物を捕らえる者は』
聖母マリアの祠の裏、雪の下から16歳の少女の死体が発見された。遺体や服から移民の青年のDNAが見つかるが、刑事オリヴァーとピアが事情聴取をする前に彼は消えてしまう。捜査が難航するなか、田舎道で男が車にはねられて死亡する。男は裸足で、体には動物の咬傷や拷問の痕があった。彼はどこから逃げてきたのか――。ふたつの事件の捜査から導き出される、ドイツ警察を揺るがす最大の危機。大人気警察小説シリーズ最新作。酒寄進一訳
(創元推理文庫 1870円)[amazon]

小鷹信光『探偵物語』
「私立探偵の工藤俊作さんだね?」――受話器の向こうから響く声は低く、威圧がこもっていた。電話の内容は、失踪した少女の捜索依頼。四日間の期限付きだが高額の成功報酬に、工藤俊作は依頼を引き受ける。だが調査を始めて間もなく、少女を誘拐したという脅迫電話を端緒として、事件は様相を変える。錯綜した人間関係を手繰る先に待ち受ける苦い真実。同名の名作ドラマ原案者が書いた、もうひとつの探偵物語。国産ハードボイルド史上もっとも有名な私立探偵が、いま甦る。
(創元推理文庫 1210円)[amazon]

福井健太編『意外な犯人 犯人当て小説傑作選
ミステリ作家たちが工夫を凝らし、読者と頭脳戦を繰り広げる犯人当て小説の傑作から“読者への挑戦”ものを中心に精選したアンソロジー。第3巻は、原案を書いた筈の見知らぬ推理ドラマにミステリ作家が挑む綾辻行人「意外な犯人」、地図の上で殺された男のメッセージを解読する辻真先「DMがいっぱい」、暗殺者の正体をロジカルに推理する井上夢人「殺人トーナメント」など、全9篇を収録。
(創元推理文庫 990円)[amazon]

石井洋二郎『書物の航海へ いまを生きるための古典
書物の大海原には、世界と人間の本質について何が書き残されているのか? 「驚く、学ぶ、関わる、戦う、愛する、生きる」という人間の普遍的な営みを軸に、プラトン、パスカル、モンテーニュ、ニーチェ、アーレント等々の古今の名著を巡る知の航海記。博覧強記の読書家が、哲学・歴史・文学を自在に横断し、新たな思索の海図を描く。
(岩波書店 3740円)[amazon]

ローベルト・ゼーターラー『名前のないカフェ』
〈新潮クレスト・ブックス〉
その店には、居場所のない人々が集まった。ささやかなぬくもりを求めて――。戦争の名残をとどめるウィーンで、孤児院で育った男が開いた小さなカフェ。市場で身を粉にして働く者、盛りをすぎたプロレスラーなどそれぞれ孤独を抱えた人々が、束の間の居場所を求めて集まる。ドイツ語圏のミリオンセラー『ある一生』の著者が描く、働くことと生きることのかすかな輝きが静かな感動を呼ぶ長篇小説。浅井晶子訳
(新潮社 2255円)[amazon]

オスカー・ワイルド『社会主義下の人間の魂 オスカー・ワイルド評論選
「社会主義そのものは、それが個人主義に通じる道を準備する限りで、価値あるものとなる」芸術、宗教、個人主義、私有財産、利他主義などを横断し、社会主義に共感する明敏な観察者であったワイルドの理想を色濃く伝える批評の新訳。 ジョージ・オーウェルによる書評や訳者による詳細な解説を併録。町本亮大編訳
(小鳥遊書房 2640円)[amazon]

ヴィリエ・ド・リラダン『未来のイヴ』
〈ヴィリエ・ド・リラダン・コレクション〉
野心に燃える発明家エジソンのもとに、恋に幻滅した青年貴族エワルドが訪れる。意のままに操れる機械仕掛けこそが理想の恋人だと唱える発明家と、心を通わす人間の愛情を求めてやまない青年貴族が、愛の真実をめぐり論戦を繰り広げるなか、人造人間が目を覚ます……時代を予告した形而上学的対話篇の新訳。木元豊訳
水声社 4400円)

ロス・モンゴメリ『ハレー彗星の館の殺人 老令嬢探偵の事件簿
1910年の英国。少年院帰りのスティーブンは謎の手紙に導かれ、孤島の館で従僕として仕えることに。その日は奇しくもハレー彗星が地球に到達する日で「毒ガスが広まり、世界が終わる」と騒動が起きていた。主の子爵は館中の窓や扉を板で密閉させ、スティーブンに嫌われ者の老令嬢デシマの世話を任せる。その夜、事件が起きる。子爵が書斎で殺されたのだ。犯人は誰? 村山美雪訳
(角川文庫 1540円)[amazon]

森和『山海経の妖怪たち 古代中国の奇獣図鑑
古代中国の地理誌『山海経』は、古代の人々が暮らす社会の周縁・世界の辺境に住まう神・獣・人を絵付きで掲載、荒唐無稽としか言いようのない生態と描写は、二千年近くにわたり読む者を魅了してきた。晋代の郭璞(かくはく)による『山海経図讃』の原文・現代語訳、『山海経』の図300点以上、そして著者解説を収録した書き下ろし文庫。
(角川ソフィア文庫 1760円)[amazon]

アンドレイ・プラトーノフ『プラトーノフ・コレクションⅡ ジャン 1932‒1951』
カフカ、ベケットと並び20世紀を代表する幻の作家の全貌が、ついに明らかに。代表的な中篇・短篇・評論・童話・戯曲を網羅的に紹介。「初生水の海」「ジャン」「ごみの風」「牝牛」「ノアの方舟」ほか。工藤順・古川哲編
(作品社 6930円)[amazon]

フィリップ・ボール『ビジュアル図鑑 錬金術の歴史』
思想、科学、芸術など、あらゆる分野に影響を与えた西洋思想の源流、錬金術の、古代から現代までの歴史を、貴重図版とともに解説。辻元よしふみ・辻元玲子訳
(河出書房新社 6490円)[amazon]

ロバート・バートレット『燃やされた中世写本』
戦争・革命・焚書……一晩で燃え尽きた写本が、いま蘇る。放火や爆撃といった人為的暴力によって、一瞬にして焼き尽くされた記録は数えきれない。普仏戦争からアイルランド内戦、第二次世界大戦まで、写本や記録文書を消し去ってしまった政治的・軍事的な文脈を丹念にたどることで、失われた写本の意味に迫っていく。史料を守ろうとした学者やアーキヴィストたちの知られざる奮闘にも光を当てる。大津洋子訳
(青土社 3080円)[amazon]

松永瑠成『明治の貸本屋さん』
ブックレット〈書物をひらく〉
営業文書、新聞広告、法令、貸本自体に残る貸本規則の貼札や蔵書目録、ハンコなど、あらゆる資料・痕跡から、海外邦人向けのものまで存在した近代貸本業の実態に迫る試み。
(平凡社 1650円)[amazon]

ノエル・W・イーリ『アンドレアを呼んで』
同じ男に殺された三人の女性による、予測不能の復讐譚――圧倒的な没入感で一度読んだら止まらない、本年度最注目のサイコロジカルスリラー。依田よう訳
(ハーパーBOOKS 1320円)[amazon]

《ミステリマガジン》4月号
特集=わたしの愛する名探偵
(早川書房 1650円)[amazon]

《SFマガジン》4月号
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』特集。映画公開を控え再び大きく注目を集める作品のヒットの秘密と物語の魅力に各界の著名人やSFレビュアーの視点から多角的に迫る。
(早川書房 1540円)[amazon]

イヴ・ボヌフォワ『奥の国』
現実の向こうに開ける「奥の国」。「現前」の詩人はイタリアの風景、クワトロチェントの絵画、遠い記憶の断片をたどりながら、一本の道を選ぶとき、選ばなかった道が通じていたはずのもう一つの国に、永続的な憧れと不確かな予感を抱く。夢と現実が溶け合い、静謐な迷路を織りなす自伝的エッセー。小倉和子訳
水声社 2200円)

ドミニク・ブリス『パリ文学風景 本のある場所、作品の記憶
「光の都」パリが、どのようにして世界文学の舞台となってきたかを、豊富な写真とともにガイドする。歴史ある書店や劇場、パッサージュ、カフェ、作家ゆかりの場所、セーヌ川沿いの古書店など、都市の物語をめぐる。小林朋則訳
(原書房 3520円)[amazon]

エヴァン・ジョセフ/エイミー・エヴァンズ『ニューヨーク文学風景 本のある場所、作品の記憶
ニューヨークの有名書店や図書館、作家ゆかりのホテルやレストラン、詩人や作家たちが集ったバーやカフェ、さらには劇場や詩のクラブ、文学作品に関係する場所など、60カ所あまりを網羅したビジュアルガイド。甲斐理恵子訳
(原書房 3520円)[amazon]

メーガン・ローゼンブルーム 『禁じられた装丁  皮膚でつくられた本の歴史と倫理
「人間の皮膚」で装丁された本が19世紀の医師たちによって作られていた――。彼らはなぜ、患者の皮膚を本の材料にしたのか? 最新の科学と歴史研究を通じ、近代の医学・権力・倫理のタブーに迫る衝撃のノンフィクション。阿部将大訳
(原書房 3520円)[amazon]

クレメンス・J・ゼッツ『丸いもののもつ慰め』
人生に突如として降りかかってくるまったく予期せぬ出来事、日常生活にみられる秘密めいた深淵。奈落へと通じる隠し扉のような仕掛けから垣間見える、人を惑わす鬼火や二重底に満ちたそこで、読者は、人間の共同生活の不条理とグロテスクさ、死者の亡霊、思わず舌打ちしたくなるような言葉たちに出会うことになる。現代オーストリア文学の鬼才クレメンス・J・ゼッツの、過激な語りで細部に至るまで刺激的な最新短篇集。犬飼彩乃訳
(国書刊行会 3300円)[amazon]

ルイ=フェルディナン・セリーヌ『ロンドン』
〈ルリユール叢書〉
セリーヌの詩情の源泉たる霧の都ロンドン。女衒やアナキストが跳梁するこの魔都は、やがて海彼の世界大戦の熱狂に飲まれて錯乱の渦と化してゆく――『戦争』の続編となる幻の未発表作品にして、セリーヌのグロテスク・リアリズムが最高純度で炸裂する自伝的悪漢小説。本邦初訳。森澤友一朗訳
(幻戯書房 6600円)[amazon]

ユリウス・エヴォラ『現代への叛乱』
〈ファシズムよりもさらに右側〉に位置する《欧米極右の知的・霊的ゴッドファーザー》の主著。現代世界に対して決定的に反動的であり、男性的な霊性、貴族的な尊厳、帝権の尊厳の意味価を擁護。過ぎ去った光輝に満ちた〈伝統世界〉の諸相を現代世界に対置しながら論じ、世界を覆う〈伝統〉の精神を参照しつつ、その廃墟の上に現代文明のすべてが築かれている、という観念に明証を与える書。大橋喜之訳
(国書刊行会 7700円)[amazon]

ジュリー・フィリップス『男たちの知らない女 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの二つの生涯 Ⅰ・Ⅱ
べつの誰かになったときにのみ、彼女は自身の真実を語ることができた。エイリアンについて書くときにのみ、彼女は自分の身体や経験を語ることができた――『愛はさだめ、さだめは死』『たったひとつの冴えたやりかた』などの名作で知られる伝説のSF作家ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア、初の決定版伝記がついに登場。波乱に満ちたドラマチックな生涯を追った傑作ノンフィクション。全米批評家協会賞、ヒューゴー賞、ローカス賞受賞。北川依子訳
(国書刊行会 各3960円)[amazon]

《MONKEY》 vol. 38 特集 鏡の国のアリス
永遠の名作、ルイス・キャロル『鏡の国のアリス』を、柴田元幸の新訳で全文一挙掲載。訳者も絶賛する、フランチシュカ・テメルソンによる挿絵も日本初紹介。村上春樹本人も登壇した「ムラカミ・ミックステープ」レポート記事も。
(スイッチパブリッシング 1760円)[amazon]

アンデルセン/森鴎外・安野光雅『口語訳 即興詩人 上・下
君も即興の詩を作れ、君はもともと詩人なんだ――。事故で母親を失い孤児となるも、才能を見込まれ名家の後ろ盾を得たアントニオ。学校生活では親友ベルナルドと出会うが、やがて一人の女性をめぐり、人生は思わぬ方向へ動き始める……。鴎外の名訳で知られる古典(アンデルセン作)を、長年愛読してきた安野光雅が口語訳で甦らせる。
(中公文庫 各1320円)[amazon]

上野暸『ちょんまげ手まり歌』
そこは「やさしい殿さま」が支配する「やさしい村」。しかしある日、村の人々はその暮らしに疑問を持ち……。日本児童文学の歴史を変えた、ディストピア×時代小説(初刊1968)。
(中公文庫 990円)[amazon]

余玟欣『『シャーロック・ホームズ』との出会い 日本・中国における「探偵小説」の始まり
明治と清末民初における近代化のローカルな過程を、『シャーロック・ホームズ』の翻訳、翻案、その他の創作作品の事例から浮き彫りにする試み。歴史社会学、間テクスト性、トランスリンガル的実践をキーワードに、原抱一庵、陳景韓などの仕事を読み解き、日中における近代化を再構築する。
(晃洋書房 5060円)[amazon]

ピーター・ボグダノヴィッチ『大映画術Ⅰ』
サイレント期のパイオニアからテレビドラマ出身の社会派まで――名監督たちが映画作りの秘密を語り尽くす。伝説の名インタビュー集がついに翻訳。収録監督=アラン・ドワン、ラオール・ウォルシュ、フリッツ・ラング、ジョゼフ・フォン・スタンバーグ、ハワード・ホークス、レオ・マッケリー 宮本高晴訳 目次
(国書刊行会 5940円)[amazon]
ピーター・ボグダノヴィッチ『大映画術Ⅱ』
映画の誕生から、勃興期、崩壊期、そして復活まで――16人の名匠による〈アメリカ映画の黄金時代〉。神話的監督たちが勢揃いした奇跡の対話集。収録監督=ジョージ・キューカー、アルフレッド・ヒッチコック、エドガー・G・ウルマー、オットー・プレミンジャー、ジョゼフ・H・ルイス、チャック・ジョーンズ、ドン・シーゲル、フランク・タシュリン、ロバート・アルドリッチ、シドニー・ルメット 宮本高晴訳 目次
(国書刊行会 5940円)[amazon]

フランシス・ハーディング/エミリー・グラヴェット『千の目が光る森』
〈森〉に侵略され〈壁〉の中だけに人が暮らしている世界。〈壁〉の一部〈灰色男の門〉に住むフェザーは、〈森〉で出会った〈よそ者〉に裏切られ、望遠鏡を盗まれたうえに崖から突き落とされてしまった。このままでは集落に戻れない。フェザーは〈よそ者〉を追いひとり危険でいっぱいの森に踏み入った。『嘘の木』の著者が人気イラストレーターとタッグを組んだ豪華なYAファンタジイ。児玉敦子訳
(東京創元社 2530円)[amazon]

オリヴィエ・ゲーズ『ヨーゼフ・メンゲレの逃亡』
優生学に取り憑かれた医師メンゲレはアウシュビッツ絶滅収容所に着いたユダヤ人の子供たち、特に双子たちに想像を絶する人体実験を重ねた。1945年のアウシュビッツ解放後に南米に逃亡、79年ブラジルで病死するまでモサドの目を逃れ生き続けた。彼はなぜ生き延びられたのか? どのような逃亡生活を送ったのか? その半生の真実と、人間の本質に淡々と、鋭い筆致で迫った傑作小説。高橋啓訳
(創元ライブラリ 1430円)[amazon]

エドワード・ゴーリー『けだもの赤子』
みんなから忌み嫌われる、世にも奇妙な赤ん坊をめぐる救いのない物語。不幸な子どもを描く作家の真骨頂。柴田元幸訳
(河出書房新社 1540円)[amazon]

完全版 エッダ 古代北欧歌謡集
アイスランドの比類なき世界文学、世界初のコンプリート版。神々と巨人の凄絶な戦い、世界の創造と破滅――主神オーディンをはじめ、雷神ソールや悪知恵にたけたロキ、完全武装で騎乗する乙女軍団ヴァルキューレらが躍動し、現代のサブカルチャーにも尽きぬ題材を提供する古代神話と英雄伝説の宝庫。『エッダ』と『スノッリのエッダ』をともに丸ごと収録する、待望の完全版。谷口幸男訳/伊藤尽・小澤実監修
(新潮社 17,600円)[amazon]

『読書アンケート 2025』
150名以上の有識者に、新刊・既刊を問わず2025年にお読みになった本のなかから、印象深かったものを挙げていただきました。
(みすず書房 990円)[amazon]

キム・ユダム『ケアする心』
〈エクス・リブリス〉
育児や介護など家族のケアに時間と労力を捧げる人々が、ケアされない日常の中で静かに奮闘する心を描く、韓国発の注目の短篇小説集。小山内園子訳
(白水社 2420円)[amazon]

ジェイムズ・ラヴグローヴ『シャーロック・ホームズとハイゲイトの恐怖 上・下
作家ラヴグローヴが手にしたワトスン博士の手稿には、ホームズとワトスンが古き神々と戦った日々に起きていたもうひとつの事件が描かれていた。始まりはハイゲイト墓地から失われた三つの死体だった。ホームズは犯人が投与した真菌類の胞子で死体がクリーチャー化したことを暴くが、これは巨大な陰謀の一部にすぎなかった!《クトゥルー・ケースブック》三部作を補完してさらなる深淵に誘い込む、待望のシリーズ最新作。日暮雅通訳
(ハヤカワ文庫FT 各1650円)[amazon]

マックス・ポーター『悲しみは羽根をまとって』
母を突然亡くした幼い兄弟と、その父親。喪失の重みが沁みこみ始めたロンドンのフラットに、奇妙な喋るカラスがやってきてこう言う――おまえがおれをいらなくなるまでここにいる。ハン・ガンが「いびつなほどのぬくもりと美しさを秘めた本」と絶賛した傑作。桑原洋子訳
(早川書房 2640円)[amazon]

北清夢『漂泊の星舟』
人類の生存を賭け、恒星間ミッションに旅立った80人の女性。船に爆弾がしかけられ、代替要員のアスカは犯人探しを命じられるが!? 金子浩訳
(ハヤカワ文庫SF 2310円)[amazon]

エイモア・トールズ『モスクワの伯爵 上・下
革命政府によって、ホテルに軟禁された伯爵。一歩外に出れば死が待っている極限状況で伯爵が見つけたのは、人生の豊かさだった!? 宇佐川晶子訳
(ハヤカワ文庫NV 各1430円)[amazon]

馬伯庸『両京十五日 1 南京脱出』
十五世紀の中国、明の時代。何者かからの襲撃を受けた皇太子・朱瞻基は、三人の仲間とともに、南京から北京へ十五日の決死行を行う。齊藤正高・泊功訳
(ハヤカワ文庫NV 1320円)[amazon]

カルロ・ギンズブルグ『行間を読む、行間に書く』
歴史学の方法を思考し続ける歴史家の8論文。歴史、記憶、グローバリゼーションをめぐり、実践を示す。日本オリジナル編集。上村忠男編訳
(みすず書房 6380円)[amazon]

ジョー・ハート『罪人に死を』
幼馴染と不倫中の男に届いた不倫を咎める手紙。相手の夫の仕業と疑うも、夫は殺され、幼馴染も失踪してしまう。エドガー賞受賞作。仁木めぐみ訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 2090円)[amazon]

エウリピデス『メデイア』
「さあ、心よ、鬼になるのだ。なぜにためらう」。ともに死地をくぐりぬけた夫イアソンの裏切りに遭い、復讐に燃えるコルキスの王女メデイア。激しい愛を燃やし、女を踏みつけにする世を呪い、辱める者を決して許さない強烈な女性像は、古代ギリシア三大悲劇詩人の一人エウリピデスの代表作として後世に多大な影響を与えた。丹下和彦訳
(岩波文庫 627円)[amazon]

モンテーニュ『モンテーニュ 旅日記 
1580年、地元ボルドーで『エセー』初版を出したモンテーニュは、末弟らとともに長旅に出た。スイス、ドイツ、オーストリアを経由して、ヴェネツィア、フィレンツェ、そして念願のローマへ。温泉での湯治、宿屋や食事の様子、名所の風景、土地の風俗など、持ち前の観察眼で綴られた稀有の旅行記。宮下志朗訳
(岩波文庫 1155円)[amazon]

イマヌエル・カント『プロレゴーメナ』
『純粋理性批判』への無理解や曲解に対して書かれた本書は、『純粋理性批判』の詳細な解説書にして、学問としての形而上学のための序論(プロレゴーメナ)でもある。カント理解に必読の一冊。巻末資料として、本書執筆のきっかけとなったガルヴェ/フェーダー「ゲッティンゲン書評」を掲載。各節梗概も付す。新訳。大橋容一郎訳
(岩波文庫 1210円)[amazon]

ロジャー・ベーコン『ニュー・アトランティス』
(重版再開)川西進訳
(岩波文庫)

稲泉連『増補 復興の書店』
本は「生活必需品」だった――被災地で本を売ることに懐疑的だった書店員たちは、本を求める多くの人と出会う中で、矜持や喜びを取り戻してゆく。2011年の東日本大震災で甚大な被害をうけた書店の復興に向けた苦闘を描き静かな感動を呼んだ名著に、24年の能登地震で被災した書店の取材記を増補する。
(岩波現代文庫 1331円)[amazon]

角田喜久雄『歪んだ顔』
京都の喫茶マロニエに、帽子と白マスクで顔の大半を隠し古い軍服を着こんだ不気味な男があらわれる。夕刊紙『新東洋』の同僚記者、明石良輔からこの人物を尾行するよう指示された鳥飼美々は、怪しげな鞄を手に東京へ向かう男を追うが……。鞄の中身、そして白マスクの男の正体は? 表題作ほか「新妻の恐怖」など短篇4作と、巻末資料に江戸川乱歩と相互に書いたエッセイ「わが人物評」を収録。解説 日下三蔵
(春陽文庫 1320円)[amazon]

国枝史郎『犯罪列車』
東京発・熱海行き、新婚夫婦で賑わう「花嫁列車」に深井正彦と新妻万里子が乗り込むが、正彦はハネムーン先の別荘で変死してしまう。友人で新聞記者の隠岐健次、警視庁の川村刑事らは昨年から豪邸ばかりを狙って世間を騒がす怪盗「影なき男」を疑うが……。健次との別れ際に見せた正彦のさびしい笑顔、両家の秘密、謎が謎を呼ぶサスペンス・ミステリ。2013年に発見された新聞連載小説の欠落回を補い“完全版”として文庫化。「闘牛」など初文庫化短篇3作を収録。解説 日下三蔵
(春陽文庫 1320円)[amazon]

パトリシア・コーンウェル『怪物 上・下
大昔に閉鎖された金山でサイバー犯罪容疑で監視されていた夫婦の遺体が発見される。二人は着衣を剥ぎ取られたうえ、各自のトレッキングポールで体を貫かれており、現場には人ならぬ巨大な足跡が残っていた。被害者の監視映像では犯人の足音がしても姿は見えず、大口径の銃で撃たれても倒せていなかった。検屍官ケイ・スカーペッタの活躍を描く大ベストセラー・シリーズ27作目。池田真紀子訳
(講談社文庫 各1320円)[amazon]

沖田瑞穂『盗む鳥、死の犬 動物神話の世界
豊饒の猪、先導する猿、出会いの鹿、不死の蛇、性の馬、知恵の鮭――。動物たちが司るイメージと役割が描かれた神話を鮮明に解きほぐし、その背景と意味を探究する。普段の生活の中で、あるいは動物園などで見られる実在の動物たちは神話においてどのような役割と意味を担っているのか。インド神話への言及を中心に、東西の古代の神話、また現代の小説、アニメ、映画などに現れる動物たちのイメージを読み解いていく。
(晶文社 1870円)[amazon]

原典訳 マハーバーラタ 4』
五王子が国外追放となり13年目。カルナは生まれながらに身につけていた鎧と耳環と引き換えに、的を外さぬ槍をインドラ神から授けられる。五王子らは各々に変装をしてヴィラータ王の宮廷に潜伏する。ドラウパディーに邪恋を抱いた将軍キーチャカがビーマによって殺害されると、その噂を知ったクル・トリガルタ連合軍がヴィラータの都を急襲。だが女形に変装していたアルジュナがクル軍を敗走させ、ついに約定の13年が満了する。上村勝彦訳
(法蔵館文庫 2420円)[amazon]

アレハンドロ・ホドロフスキー『ホドロフスキー、魂の言葉』
世界中で熱狂的に支持される映画監督にしてアーティスト/タロット研究家/サイコセラピスト、多才な活動を続けるアレハンドロ・ホドロフスキーによる珠玉の言葉の贈物。人生を彩るための名言集。花方寿行訳
(国書刊行会 5280円)[amazon]

エリーザ・ホーフェン『暗黒の瞬間』
30年のキャリアに幕を引くことを決意した、ベルリンの刑事弁護士エーファ。凄腕で知られる彼女は多くの忘れがたい事件を手がけてきた――。十一人が被告人となった裁判で一人だけ無実の者がおり、全員がそれは自分だと主張している。一人を救うため十人を無罪とすべきか……。ひとつの証言、発見、弁護活動で一変する平凡な裁判、そして異常な裁判。大型新人による、息を呑むような完璧なる連作短編ミステリ。浅井晶子訳
(東京創元社 2530円)[amazon]

C・J・ボックス『沈黙の森』
ジョーは野生動物を保護・管理する新米の猟区管理官。やりがいはある仕事だが、着任早々、密猟者に違反切符を切っている最中に自分の銃を奪われてしまう。だがある日、娘と自宅の庭で見つけたのはその密猟者の死体だった……。家族と仕事を愛し、巨悪や大自然の脅威に立ち向かう鮮烈な主人公が誕生。四つのミステリ新人賞を受賞して絶賛を浴びた〈猟区管理官ジョー・ピケット・シリーズ〉第一作。野口百合子訳
(創元推理文庫 1430円)[amazon]

フレドリック・ブラウン『フレドリック・ブラウンSF短編全集1 未来世界から来た男 新訳版
奇抜な着想、軽快なプロット、巧妙な話術で、短編を書かせては随一の名手、フレドリック・ブラウン。SFや推理小説はもとより、怪奇小説や寓話などその多岐にわたる活躍の中から、111編のSF短編すべてを新訳で収めた決定版全集、待望の文庫化。第1巻は、創元SF文庫の記念すべき第一弾『未来世界から来た男』を、原書に準じた本来の収録作・収録順とし、解題と新版解説を付して贈る。安原和見訳
(創元SF文庫 1320円)[amazon]

《紙魚の手帖》vol.27
注目の著者・白尾悠、待望の新連載スタート。芦辺拓、真門浩平、エヴゲニア・トリアンダフィルが贈る傑作読切掲載。丸山正樹、『デフ・ヴォイス5』連載最終回ほか。
(東京創元社 1760円)[amazon]

草森紳一『本に狂う 草森紳一ベスト・エッセイ
元祖サブカル評論家としても先駆的存在の、多ジャンルの文章を味わう初のベスト・エッセイ集。元連載担当編集者で、雑文家を継ぐ編者による決定版。平山周吉編
(ちくま文庫 1210円)[amazon]

『マビノギオン 中世ウェールズ幻想物語集
アーサー王(アルスル)が活躍する物語など、古来カムリ人たちが語り紡いできた数々の伝承を収録。詳細な訳注を付したウェールズ語原典からの完訳。中野節子訳
(ちくま学芸文庫 1980円)[amazon]

ロイ・ポーター『啓蒙主義』
理性による人類の進歩を確信した18世紀ヨーロッパ。啓蒙主義はいかなる変革を社会にもたらしたのか。時代の精神とその背景を追う格好の入門書。見市雅俊訳
(ちくま学芸文庫 1320円)[amazon]

松永敏男『博物学の世紀』
18世紀になると自然哲学の勢いは衰え、博物学が時代を代表する学問となった。ヨーロッパでは王侯貴族から市民までが博物学に熱狂し、珍奇な動植物や鉱物を収集・分類することが流行する。この博物学の黄金期を、スウェーデンの博物学者カール・フォン・リンネを中心に描く。18世紀の知的熱狂と探究心、そして自然を体系化しようとした人類の壮大な試みをコンパクトにまとめた一冊。博物学の意義とその文化的背景を理解するための入門書。
(講談社学術文庫 1210円)[amazon]

吉田禎吾『魔性の文化誌』
聖なるものはなぜ呪われたものでもあるのか。清純な白と無気味な白・左の神秘・双子の習俗、魔女・憑きもの・不思議な来訪者……日本・バリ・アフリカの民俗をたずね、文化/自然・男/女・昼/夜など、二元的カテゴリー間の均衡を攪乱する「どちらつかずの中間領域」に魔性の発生を見いだす。文化人類学の大家による画期の書。
(講談社学術文庫 1650円)[amazon]

フリードリヒ・ニーチェ『道徳の系譜学に向けて』
「道徳」(価値観)について考察した最晩年の著作。ニーチェ研究の大家が満を持して送りだす新訳決定版。須藤訓任訳
(講談社学術文庫 1540円)[amazon]

長野邦雄『城ヶ島の秘密 戦前・戦中期防諜小説集18
開戦前夜における特殊潜航艇の開発物語を軸に各国の陰謀との闘いを描いた長編防諜小説。他に少年少女譚海に掲載された短篇小説、「亜細亜の機密室」「灰色の怪汽船」「赤露陰謀団の魔手」「不敵抗日大密輸団」の4編を収録。オンデマンド出版
(大陸書館 2002円)[amazon]

『SFが読みたい! 2026年版』S‐Fマガジン編集部編
年間ベストSF発表、ベスト1作家からのメッセージ、サブジャンル別ベスト、この一年のSF関連トピック、2026年の各出版社のSF書籍刊行予定、SF作家たちによる最新予定「2026年のわたし」、SF関連書籍目録などでおくる恒例のSFガイドブック最新版。
(早川書房 1386円)[amazon]

アリストテレス『エウデモス倫理学 上・下
アリストテレスの真作であり、『ニコマコス倫理学』と並ぶ倫理学の主著。善そのものである幸福について、また幸福を実現するうえで重要な「善美の徳」について考察する。『ニコマコス倫理学』との相違、独自性について詳細な解説を付す。渡辺邦夫・加藤喜市・立花幸司 訳
(光文社古典新訳文庫 1650円/1540円)[amazon]

金森修『ゴーレムの生命論』
ユダヤ教から生まれた人造生命、ゴーレム。さまざまな物語の中に形を変えながら登場してきたゴーレムが現代科学において現実のものとなりつつある今、命の在り方を問いかける。
(平凡社ライブラリー 2145円)[amazon]

クレオ・コイル『罪と罰のコーヒー・ラウンジ』
客足が途絶えてしまったビレッジブレンド。そこでクレアたちは、2階のラウンジを作家たちに使ってもらうことに。順調にスタートするも、老詩人のノートを巡ってトラブルが。そこには罪と無罰の物語が綴られているというが!? 小川敏子訳
(原書房/コージ―ブックス 1540円)[amazon]

マンリー・ウェイド・ウェルマン『銀のギターのジョン 悪魔なんかこわくない 増補版
〈ナイトランド叢書〉
人より古き者が遍在することを知る智恵深き先住民。その幻惑的な誘いに、音と語りで立ち向かう無頼の徒――人呼んで銀のギターのジョン! その風来旅の吹き着く先は? 短篇集『悪魔なんかこわくない』(深町眞理子訳)に、健部伸明による丁寧な註と解説を増補。 誕生篇たる「蛙の父」(本邦初訳)も収録した決定版。
(アトリエサード 3300円)[amazon]

南條竹則編訳『英国幽霊いまむかし』
〈怪奇の本棚〉
イギリスは18世紀以来怪談が盛んに書かれた国だが、それが文芸の一分野として成立する以前に、怪談実話やフォークロアの形で長い伝統があった。素朴な幽霊譚から次第に洗練された小説形式が生み出されるさまを時代を追って辿る英国怪談アンソロジー。M・R・ジェイムズが発掘した中世怪談から、怪現象〈テッドワースの鼓手〉事件の記録、ロバート・バーンズの幽霊バラッド、ブルワー=リットンの名作「幽霊屋敷」、ダンセイニ卿、ウェイクフィールド、A・C・ベンスンらの傑作まで全14篇。
(国書刊行会 3960円)[amazon]

スタッズ・ターケル『仕事! 上・下
「ふつうの」仕事についている無名の人々の声を記録した、ピューリッツァー賞作家の代表作。初版刊行から半世紀を経てなお、重要な意義を持つアメリカ文学の古典にして“口述の歴史”の原点。新聞配達員、ガス検針員、消防士、教師、ジャズ奏者、出版業、政府広報担当官──115の職業、133人の「声」がつくった、ジャーナリズムの記念碑的名著。中山容訳
(河出文庫 1760円/1870円)[amazon]

C・S・ロバートソン『特殊清掃人グレイス・マクギルと孤独な死者たち』
グラスゴーで孤独死のあった部屋の特殊清掃の仕事につくグレイス・マクギルは、現場を忠実に再現したミニチュア模型を作ることで死者の心に寄り添いつつ、自身の心の均衡を保っていた。担当した二つの現場にある繋がりを見出した彼女は、独自の調査に乗り出し、半世紀以上前に起きた未解決事件に辿り着くが……。スコットランドのベストセラー作家による傑作ダークミステリー。菅原美保訳
(小学館文庫 1254円)[amazon]

ジャン=クリストフ・グランジェ『死の烙印 1』
第二次世界大戦直前のベルリン。ナチ党の旗が翻るなか、上流階級の若い女性が次々と殺される。喉や腹部を切り裂かれ、靴を盗まれた彼女たち。被害者の女性の共通点は、夢に「大理石の男」が出てきたこと。犯人の目的、正体、そして、「大理石の男」の秘密とは。高野優・坂田雪子訳
(ハヤカワ・ミステリ 3520円)[amazon]

ガエル・ファイユ『ジャカランダの樹』
1994年フランス。12歳のミランは、母の祖国で起きたジェノサイドを他人事だと思っていた。だが、虐殺から逃れてきた少年と出会い一変する。ミランがルワンダで目にした憎しみの連鎖。赦しと怒りの狭間で揺れる人々の苦悩。その先に見出した希望とは――。加藤かおり訳
(早川書房 3520円)[amazon]

フェリックス・フランシス『勝機』
妻を失いかけて失意のシッドに不正の告発が届く。規制の網の目を突く、その悪辣な手口とは。大きな転機を迎えたシッドの不屈の戦い。加賀山卓朗訳
(文春文庫 1320円)[amazon]

キャロル・J・クローヴァー『男と女とチェーンソー 現代ホラー映画におけるジェンダー
なぜ女は逃げ、叫び、そして生き残るのか? なぜ男は女を追い、殺し、そして見つめるのか? 『悪魔のいけにえ』『ハロウィン』『13日の金曜日』など、ホラー映画史を代表する作品群を通して、現代社会における性と権力の神話と構造を照らし出す。ホラー研究、フェミニズム批評、さらにはファン文化にも大きな影響を与えた記念碑的著作。小島朋美訳
(晶文社 3300円)[amazon]

朴泰遠『川辺の風景 新装版
植民地朝鮮ソウルの下町、清渓川(チョンゲチョン)の川辺に生きる市井の人々を活写する、全50章の壮大なパノラマ。精緻な描写で庶民の哀歓を綴った韓国近代文学の金字塔、待望の新装復刊。牧瀬暁子訳
(作品社 5940円)[amazon]


▼1月刊

ガイ・バート『タンポポ時計』
ロンドンでキャリアの絶頂にある画家のアレックスは、実家を売却するため、イタリアの小村を数十年ぶりに訪れる。年少期に彼は、海と山に囲まれたこの地で、一歳違いのジェイミーと三つ年上のアンナとひと夏を過ごした。平凡だけど明るい夏休みになるはずだった――廃墟となった礼拝堂で傷ついた“隠者”に出会うまでは。アレックスは記憶の断片を繋ぎ合わせて追想する……幼かった三人が深く結びついたあの日々、自分たちのそれからの流転する人生を。煌めくような郷愁と心震わせる愛惜が描き出す円熟の傑作。山田蘭訳
(東京創元社 5500円)[amazon]

H・G・ウェルズ『タイム・マシン ウェルズSF傑作選 新版
19世紀末のイギリスに登場したウェルズこそはサイエンス・フィクションの巨人である。彼はその後に連綿とつづく現代SFのアイデアのほとんどを創造したといってよい。あまりにも有名な時間旅行SFの原点となった表題作ほか、「塀についたドア」「奇跡をおこせる男」「ダイヤモンド製造家」「イーピヨルニスの島」「水晶の卵」など6編を収める。阿部知二訳
(創元SF文庫 990円)[amazon]

ローラン・ビネ『言語の七番目の機能』
ロラン・バルトの事故死についてバイヤール警部が捜査を開始した。哲学も記号論もチンプンカンプンの反動的プチブルの彼は若手記号学者シモンに協力を仰ぐ。シモンは次第にジェームズ・ボンドばりの活躍をするように! 謎の文書「言語の七番目の機能」がすべての鍵らしい。ウンベルト・エーコが会長を務める秘密結社《ロゴス・クラブ》とは? フーコー、ソレルス、クリステヴァ、ドゥールーズ、デリダ等々現代思想の重鎮や政治家たちも乱舞する、驚愕の記号学ミステリ。言葉の持つ力について改めて考えずにはいられない傑作。高橋啓訳
(創元文芸文庫 1870円)[amazon]

レイモンド・チャンドラー『ザ・リトル・シスター』
兄を探してほしいと、若い娘に依頼されたマーロウは、訪れる先々で死体と遭遇する。やがて、ハリウッドの闇の渦中へ……。フィリップ・マーロウ・シリーズ第5長篇。市川亮平訳
(小鳥遊書房 2420円)[amazon]

ミヒャエル・ケンペ『ライプニッツの輝ける七日間』
〈新潮クレスト・ブックス〉
「最後の万能の天才」の多彩な生涯を7日間の出来事で描く画期的〈評伝〉。数学や哲学で多大な業績を残し、歴史家や発明家としても活躍した知の巨人ライプニッツ。時に政治に口を出し、時に論争を巻き起こしながら、バロック時代を「転がる石」のように生きた70年の生涯から岐路となった7日間を取り上げ、遺された10万ページのメモと2万通の手紙を元にその思考と業績を再構築した比類なき書。森内薫訳
(新潮社 2640円)[amazon]

ロス・トーマス『悪党たちのシチュー』
落ちぶれていた辣腕ジャーナリストのシトロンは、くせ者政治屋ヘールに雇われる。現政権の大きな弱みともなるスキャンダル情報を入手すべく、協力を求められたのだった。勇躍、中米の軍事国家へと調査に向かったシトロンは、隠蔽されていた同国での過去の不祥事の内実を探りにかかるが……。あらゆる面白さをごった煮(スープ)にし、思わぬ展開と粋な対話で編み上げた、騙りと企みのタペストリー。松本剛史訳
(新潮文庫 1155円)[amazon]

ジーン・ウェブスター『おちゃめなパティ、カレッジへ行く』

恋に、おしゃれに、勉強に。いまという瞬間をわしづかみにして、かたく抱きしめるんだ。大学四年生のパティが暮らすアメリカの女子寮で「見抜かれないように最大の噓をつく」ゲームが大流行。ところがパティがうっかり種明かしを忘れたために、ありえない噂が学内にまわってしまい大慌て――。大学を卒業した直後のウェブスターが、当時の女学生の生活をいきいきと描いた記念碑的デビュー作。三角和代訳
(新潮文庫 781円)[amazon]

大藪春彦『野獣死すべし』
容赦なく撃つ。それが伊達邦彦の流儀だ。敗戦直後のハルビンでロシア軍による暴虐を目撃した邦彦は、怒りと虚無をその身に秘め、帰国後「死と破壊の使者」と化した。端正な相貌は狂気を湛え、警察官を撃ち殺し、現金輸送車を強奪し、冷徹な知性で大胆な犯罪計画を練っていく。冷え冷えとした銃を手に、ローン・ウルフの魂はどこへ疾走していくのか。ハードボイルドの巨匠の代表作。
(新潮文庫 781円)[amazon]

佐藤美希『『英語青年』の翻訳言説 英文学研究は翻訳をどう見てきたか
英文学翻訳、英文学研究、時代・社会思潮の三者の関係を系譜学的に紐解く――明治以来、英文学はどのように翻訳されるべきだと考えられてきたのか。そこに、同時代の英文学研究や、社会文化的コンテクストはどのように関連していたのか。100年以上の長きにわたって日本の英文学研究と併走してきた『英語青年』誌を精査し、明治以降の英文学の翻訳について、それを取り巻く英文学研究制度や社会思潮との関係から考察する。
松籟社 2750円)[amazon]

ジョルジュ・シムノン『ラクロワ姉妹』
〈シムノン ロマン・デュール選集〉
ノルマンディー地方の「ラクロワ邸」には、姉ポルディーヌと妹マチルド、それぞれの家族が暮らしていた。一見平穏なブルジョワ家庭だが、長年にわたる姉妹の確執は、家の空気を重く濁らせていた。ある日、マチルドの娘が突然食事中に奇妙な病に倒れる。スープに砒素が混入していたことを知ったポルディーヌは、家族の誰かが毒を盛っていたのではと疑心を抱く。閉ざされた家の中で崩れゆく心の均衡と、家族という檻が生むある運命を鋭敏な筆致で描く心理サスペンス小説。伊藤直子訳/瀬名秀明監修
(東宣出版 2420円)[amazon]

オノレ・ド・バルザック『《人間喜劇》第3巻 〈風俗研究〉「私生活情景***」』
母との死別を経て精神的成長を遂げる少年たちを描いた短編『柘榴屋敷』や、社会的公正を行う者もまた、私生活では一人の傍観者にすぎない〈観察者〉としての代訴人を描く『ゴプセック』など6 篇の中短編小説を収録。「柘榴屋敷」「捨てられた女」「オノリーヌ」「ベアトリクス」「ゴブセック」「三十女」
水声社 13,200円)

平川祐弘『小泉八雲 西洋脱出の夢
明治時代に来日したハーン=小泉八雲の心を日本がとらえたのはなぜか。ハーン研究の第一人者による評伝。サントリー学芸賞受賞。
(河出文庫 1540円)[amazon]

廣野由美子『メアリ・シェリー フランケンシュタイン 本当の「怪物」は、誰なのか
〈NHK「100分de名著」ブックス〉『フランケンシュタイン』はしばしば「最初の本格的SF」として位置づけられ、科学者が「人間に似たもの」を創り出すというストーリーは、ますます現実味を帯び評価が高まっている。クローンやロボット、生成AIなどが近い将来、さらに人類に近づくとき、我々はどの道を選ぶのか? 共生? 対立? 依存? 排除? 時代を先取りした古典的名作を読み解く。Eテレ「100分de名著」テキストに書き下ろしの特別章・ブックガイドなど大幅加筆して書籍化。
(NHK出版 1210円)[amazon]

ジェイムズ・M・ケイン『ハ長調のキャリア』
大恐慌のニューヨークで仕事が入らない土建業者レナード。上流階級出身で美しく我儘な妻ドリスの言いなりの彼は、オペラ歌手志望のドリスを手助けするうち、ひょんなことから自身の歌手としての才能を見出される。その才能を発見した人気歌手のセシルはレナードを愛し、レナードは彼女に導かれてバリトン歌手の道を歩み始め、評判を得るが……。数々のオペラにのせて、軽妙な筆致のなかに欲望と愛憎が渦巻く、異形の冒険譚。田村義進訳
(文遊社 2970円)[amazon]

シャルル゠オーギュスタン・サント゠ブーヴ『サント゠ブーヴ評論選』
〈ルリユール叢書
作家、作品を精確に捉えて〈肖像〉として描出し、詩や小説とならぶ文学ジャンルとしての「批評」を確立した、近代批評の父サント゠ブーヴ――バルザック、ユゴー、ノディエ、シャトーブリアン、サン゠シモン、スタンダール、ボードレールらをめぐる九つのフランス文学評論を精選。池田潤・松村博史 編訳
(幻戯書房 4070円)[amazon]

西崎憲編『2月の本』
〈12か月の本〉
とくべつなひと月のために―― 〈2月〉をテーマに古今東西の小説・詩歌・随筆を集めたアンソロジー。全12巻完結。矢川澄子/立原道造/宇野浩二/菊池寛/森鷗外/小野二郎/山本周五郎/ヴァルター・ベンヤミン 他 内容
(国書刊行会 3080円)[amazon]

ドン・ウィンズロウ『クライム101』
西海岸のハイウェー101号線沿いに多発する宝石強盗事件。鉄の掟を厳守し痕跡を一切残さない犯罪者デーヴィスは、人生最後の仕事に賭けるが、なぜか歯車が狂いだし――映画原作「クライム101」。手入れの報復に弟を惨殺された刑事の復讐譚「壊れた世界の者たちよ」、保釈中に逃亡したかつての英雄を探偵ブーンが追う「サンセット」など全6篇を収録した傑作中篇集、新装版。田口俊樹訳
(ハーパーBOOKS 1738円)[amazon]

カリン・スローター『無垢で清らかなあなたのために』
独立記念日の夜、15歳の二人の少女が姿を消した。失踪直前、保安官補エミーは少女の一人に不安げに話しかけられたが、取り合わなかったことを悔やむ。ほどなく乗り捨てられた自転車と大量の血痕、さらに少女たちが隠していたおぞましい写真と多額の現金が発見される。撮影したのは、この町に暮らす成人男性に違いない。エミーは小さな町に潜む闇に対峙することとなり……。鈴木美朋訳
(ハーパーBOOKS 1738円)[amazon]

ジェームズ・キャンベル『「クマのプーさん」誕生物語 A・A・ミルンとE・H・シェパードの生涯とその世界
世界中で愛される「クマのプーさん」。誕生から百年以上経った今でも人々の心をとらえて離さない物語性とユーモアは、作家のミルンと画家のシェパードの奇跡的な出会いから始まった。各財団公認書籍。未公開のカラー図版多数。富原まさ江訳
(原書房 2200円)[amazon]

D・A・ミラー『ジェイン・オースティンあるいはスタイルの秘密』
オースティンが描く世界にジェインの居場所はどこにもない。未婚女性の小説家が描いた世界で、なぜ女性たちはみな結婚を避けられないのか? 「個別性」や「単独性」をひどく嫌ったスタイル主義者オースティンの《スタイル》=「文体、美意識、流儀、作風」がどのように生まれたのかは永遠に謎のまま誰にも真似することはできない。玉井潤野訳
(小鳥遊書房 2420円)[amazon]

《ナイトランド・クォータリー》vol.41 言×音×革命 幻詠のガルドル(galdr)
ガルドル――北の地で、詩と呪法と歌がひとつに重なり合っていた、その名残り。言葉が音となり、音が意思を帯びるとき、そこには常に、制御不能な何かが生まれる。イアン・ワトスン、トマス・M・ディッシュ、マイクル・ムアコック、イザベル・J・キム、アラン・バクスター、マンリー・ウェイド・ウェルマン、マイク・J・ムアコック他
(アトリエサード 2280円)[amazon]

ジル・ペイトン・ウォルシュ『セント・アガサが揺れた夜』
ケンブリッジ大学セント・アガサ・カレッジに伝わる〈ハーディングの悪ふざけ〉。ある夏の夜、新進気鋭のフェローが転落死したのは、塔から図書館の屋根へ飛び移るこの悪弊に失敗したからだと思われた。しかし事故死という判断は数か月後、大いに揺らぐことになった。ごたごたを抱えた演劇クラブが『ハムレット』を公演中の出来事で――。〈イモージェン・クワイ〉シリーズ最終巻。猪俣美江子訳
(創元推理文庫 1430円)[amazon]

ジョヴァーニ・マルチンス『太陽に撃ち抜かれて』
いつも何かが壊れるみたいだ――。マフィアと警察が抗争を繰り広げ、麻薬中毒者たちが路頭をさまようなか、子どもは本物の拳銃で遊び回り、若者たちはビーチで大麻を吸い、恋をする。「フィナンシャルタイムズ」「スペクテイター」年間ベストブック選出。リオのスラム街〈ファベーラ〉発の鮮烈デビュー作。福嶋伸洋訳
(河出書房新社 2420円)[amazon]

井上ひさし『盗む男 ミステリ短篇選
人間は謎の中に産み落とされ、やがて謎をほとんど解くことなく死んで行く。その作品すべてにミステリ要素を組み込んだと言われる井上ひさし。なかでも、ミステリ色濃厚な隠れた名品を精選。暗号トリック、どんでん返し、時代物、実録物、詐欺師……文庫未収録を含む短篇と関連エッセイで味わう、井上ミステリの見本市。文庫オリジナル。井上恒編
(中公文庫 1210円)[amazon]

白石雅彦『「ウルトラQ」の誕生 増補版
1966年1月2日、第1話「ゴメスを倒せ!」放送から始まった『ウルトラQ』は、テレビ界に革命をもたらす番組となった。だが、名作誕生までの道のりは決して平坦でなかった。スタッフは過去に例のない番組を作るため、文字通り暗中模索だった。そして番組成立の背景には、テレビの興隆と映画の衰退という二つの歴史的潮流があった。2016年刊『「ウルトラQ」の誕生』に、新たに判明した事実などを加えた増補版。
(双葉社 2640円)[amazon]

白石雅彦『「ウルトラマン」の飛翔 増補版
戦後日本最大のヒーロー「ウルトラマン」は、1966年7月17日放送の第1話「ウルトラ作戦第一号」で、初めてその姿を現した。銀色に輝く巨大宇宙人という前代未聞のアイディアにたどり着くまで、金城哲夫をはじめスタッフは文字通り産みの苦しみを味わった。そして誕生したヒーローの物語は、才能溢れる若者達の情熱によって、驚くべき発展を遂げていく。2016年刊『「ウルトラマン」の飛翔』に、新たに判明した事実などを加えた増補版。
(双葉社 2750円)[amazon]

ジョシュ・ヘイヴン『シベリアをおれの手のなかに』
産業の民営化を目指し株式を配ったロシア政府。金儲けのため株を買い集める二人の男が同じく株を狙うマフィアと対峙することに! 渡辺義久訳
(ハヤカワ文庫NV 1980円)[amazon]

アンディ・ウィアー『プロジェクト・ヘイル・メアリー 上・下
未知の物質によって太陽に異常が発生、氷河期に突入しつつある地球。ひとり宇宙へ飛び立った男は、人類を救うミッションに挑む。地球上の全生命滅亡まで30年、人類の命運を賭けた一大プロジェクトに挑む宇宙飛行士の奮闘を描く、極限のエンターテインメント。小野田和子訳
(ハヤカワ文庫SF 各1650円)[amazon]

吉良運平『吉良運平探偵小説選』
〈論創ミステリ叢書〉
欧州の探偵小説紹介に情熱を傾けた謎の作家・吉良運平。三井物産駐欧社員として戦前から欧州各国を飛び回り、外交経験豊富な異色の兼業作家が書き遺した創作を総浚い。 翻案探偵小説「撮影所殺人事件」の他、別名義で発表された小説や本名で書かれた随筆も収めた事実上の全集。
(論創社 3300円)[amazon]

アン・マイクルズ『抱擁』
1917年、戦場で瀕死の重傷を負ったジョンは記憶の断片にすがりながら生還する。やがて北ヨークシャーへ戻り写真館を再開するが、写した像に亡霊が現れ始め――夢幻的な語りの断片が紡ぎだす四世代にわたる物語。詩的な文体で記憶と愛を描き出す巨匠の最新長篇。黒原敏行訳
(早川書房 3300円)[amazon]

レベッカ・ヤロス『フォース・ウィング3 昏き瞳の竜騎手 上・下
ヴァイオレットが竜騎手候補生になって一年半、妖術使いとの戦闘が激しさを増すなか、彼女を守ろうとしたゼイデンが闇に墜ちた――彼を取り戻すことはできるのか? ヴァイオレットは竜たちとともに未知の土地へ旅立ち、愛する人々を救う方策をさぐるが……!? 原島文世訳
(早川書房 各2640円)[amazon]

朝宮運河『日本ホラー小説史 怪談、オカルト、モキュメンタリー
1
970年代のオカルトブーム、80年代のホラー映画ブームと共鳴しつつ広がった日本のホラー小説。戦後の江戸川乱歩の影響から現在のモキュメンタリー人気に至るまでその歴史を語る。
(平凡社新書 1100円)[amazon]

若林踏『日本ミステリ新世紀MAP 現代ミステリ25年の歩みと31人の作家たち
2000年から2025年までのミステリの潮流を、社会の変遷とともにナビゲート。伊坂幸太郎、東川篤哉、青崎有吾……同時代にデビューした作家たちの軌跡を辿る。日本ミステリー年表2000-2025収録。
(実業之日本社 2530円)[amazon]

カエサル『カエサル ガリア戦記』
戦略を立て、人を動かし、難局を切り拓いてゆく。無敵の軍団を率いたローマの将軍カエサルが、ガリア諸部族との戦いをみずから記した、無比の価値をもつ名高い歴史書。簡潔で真に迫る記述はキケローが高く評価し、カエサルが傑出した武人かつ稀代の文人であったことを歴史に刻む。図版や用語解説、索引などの資料も充実。高橋宏幸訳
(岩波文庫 1430円)[amazon]

モンテスキュー『本当の話』
『法の精神』の著者が遺した異色の小説。バッカス祭の酒宴で語られるのは、奇想天外な輪廻転生譚。家畜、奴隷、暴君、宮廷人など、次々と姿を変えながら、苛酷な社会をしたたかに生き抜く語り手たち。彼らの物語は、人間の愚かしさ、欲望の際限なさを、皮肉とユーモアを交えて鮮やかに描き出す。思想史に新たな光を投げかける一作。田口卓臣訳
(岩波文庫 770円)[amazon]

小林勇『惜櫟荘主人 一つの岩波茂雄伝
一本の櫟を切ることを惜しんだ岩波書店の創業者・岩波茂雄。傍らで働いた小林勇が、出版に情熱をたぎらせるその姿を瑞々しい筆致で描き出す。日本の出版文化史にとっても重要な記録。
(岩波文庫 1573円)[amazon]

『リグ・ヴェーダ讃歌』

〈重版再開〉辻直四郎訳
(岩波文庫 1364円)[amazon]

寺尾隆吉『ガブリエル・ガルシア・マルケス』
〈知の革命家たち〉
驚異的現実の日常化、過去と未来が交錯する複雑な時間構成、不正のはびこる世界に生きる者たちの挫折と孤独……。〈魔術的リアリズム〉を代表する作家の小説技法から、ラテンアメリカ文学のブームとの関係、故国に渦巻く暴力的事件のルポルタージュに至るまで、全主要作品を詳解。作家の全容に迫る。
水声社 1980円)

ウィトルーウィウス『建築書』
古代ローマの建築家マルクス・ウィトルーウィウス・ポッリオーによる、現存する最古の建築書。ローマ初代皇帝アウグストゥス(在位前27-後14)時代に活動したウィトルーウィウスは、『建築書』の著者であること以外、その出自や生涯は何も知られていない。本書は建築に関する包括的な著作であると同時に、当時の技術を幅広く記録した百科事典的なものでもある。森田慶一訳
(講談社学術文庫 1980円)[amazon]

原典訳 マハーバーラタ 3』
賭博に負け、森で暮らすことになったパーンダヴァ五王子と共通の妻ドラウパディー。神々から武器を得るため北方へ旅立ったアルジュナは、シヴァ神を満足させたことで最強兵器ブラフマシラスを獲得し、武器や舞踏などを学びながらインドラの世界で五年を過ごす。一方ユディシティラは賭博ですべてを失ったナラ王の物語を聞く。聖地巡礼の途中ビーマは神猿ハヌーマットに出会い、クベーラ神の眷属である羅刹や夜叉を討伐する。上村勝彦訳
(法蔵館文庫 2200円)[amazon]

礒崎純一『幻想文学怪人偉人列伝 国書刊行会編集長の回想
澁澤龍彦、種村季弘、橋本治から元国書刊行会社長まで、摩訶不思議な12人たちと共に数多くの書籍を世に出した編集者が綴る、舞台裏からみた幻想文学の黄金時代。【登場する12人】澁澤龍彦/松山俊太郎/種村季弘/矢川澄子/橋本治/須永朝彦/田辺貞之助・由良君美・曽根元吉/南條竹則/山尾悠子/佐藤今朝夫
(筑摩書房 2750円)[amazon]

春日武彦『怪談の真髄 ラフカディオ・ハーンを読みなおす
耳なし芳一、雪女、狢、食人鬼etc. ラフカディオ・ハーンの残した怪談の数々は、じっさい何がこわいのか。恐怖のメカニズムに精通した精神科医が読み解く。
(筑摩書房 1980円)[amazon]

田中孝信『世紀末イースト・エンドとスラム小説 ヴィクトリア朝ロンドンにおける貧困の表象
ロンドンのイースト・エンドは、長きにわたり、とくに19世紀末から20世紀初頭にかけて、都市の貧困を象徴するスラムであった。ウォルター・ベサントからギッシング、アーサー・モリソン、ディケンズ、ジャック・ロンドン、トマス・バーク等、世紀末イースト・エンドを舞台にした「スラム小説」を、社会背景と絡めて分析する初の研究書。 関連年表付。目次
(彩流社 4180円)[amazon]

ブレット・イーストン・エリス『いくつもの鋭い破片 上・下
1981年秋に起きたこと。それを僕はついに書くことにした。あの恐ろしい出来事を。ハイスクールの最終学年。裕福な子女が通うバックリー校で、僕は人気者の子たちと調子を合わせながら、男子たちとセックスに耽り、家では『レス・ザン・ゼロ』という小説を書き進めていた。僕らが享楽の日々を過ごす一方、周囲には奇怪な出来事が頻々として起きていた――。何か取り返しのつかないことが起こる予感。80年代の頽廃をエリスの不穏な声が綴ってゆく。13年の沈黙を破って放たれた、米文学の鬼才の集大成的傑作。品川亮訳
(文藝春秋 各3630円)[amazon]

アーナルデュル・インドリダソン『悪い男』
レイキャヴィクのアパートの一室で、刃物で喉を切り裂かれた若い男の死体が発見された。男はレイプドラッグと言われるクスリを所持しており、どうやら酒に酔った女性にクスリを飲ませて意識を失わせレイプをしていた常習犯らしい。被害者の復讐か? 犯罪捜査官エーレンデュルが行方不明のなか、同僚のエリンボルクは現場に落ちていた一枚のスカーフの香りを頼りに捜査を進める。北欧の人気シリーズ第7弾。柳沢由実子訳
(創元推理文庫 1496円)[amazon]

ジャネット・スケスリン・チャールズ『わたしたちの図書館旅団』
1918年。ニューヨーク公共図書館の司書ジェシーはフランス北部に到着した。戦争で荒廃した村で、ドイツ軍に破壊された図書館の再建を目指すためだ。ジェシーは傷ついた住民に本を届け、兵士に戦地での慰めとなる一冊を紹介し、子どもたちに読み聞かせをおこなっていく。だがドイツ軍が村に迫ってきて……。第一次世界大戦中、命を失う恐怖を抱えながら、本の力を信じて闘った司書の物語。『あの図書館の彼女たち』著者の傑作長編。髙山祥子訳
(東京創元社 2530円)[amazon]

夢野久作『冗談に殺す 夢野久作ベストコレクション 久の巻
ちくま文庫に甦る夢野久作の世界。日下三蔵編集による中・短編の傑作を一挙に集めた圧倒的ボリュームで贈る決定版的作品集。全2巻シリーズの下巻。「氷の涯」「冗談に殺す」「人間腸詰」他、15作を収録。
(ちくま文庫 1540円)[amazon]

マイケル・ファラデー『ロウソクの科学』
電磁気学の創始者が、少年少女向けに語った科学史に残る連続授業。ロウソクの小さな炎から物理・化学の基本原理を鮮やかに解き明かしてゆく。新訳。渡辺正訳
(ちくま学芸文庫 990円)[amazon]

M・C・ビートン『アガサ・レーズンと借りて返さない女』

表の顔は善行を積む明るく美しい女性。だが裏の顔は……押しつけがましく、借りた品を自分のものと言い張る村の厄介者。そんな女性が毒殺されてアガサ・レーズンは捜査に乗り出すが、村は誰もが何かを隠しているようで……⁉ 羽田詩津子訳
(原書房/コージーブックス 1650円)[amazon]

アルジャナン・ブラックウッド童話集成2『水の遊戯』
英国の怪奇幻想作家アルジャナン・ブラックウッドの児童向け短篇3作品を収録。「トビーの誕生日プレゼント」「戸棚さん、あるいは家具の休日」「水の遊戯」渦巻栗訳。個人出版
(500円)※取扱=盛林堂

三上紫郎『姿なき間諜 戦前・戦中期防諜小説集17
太平洋戦争開戦前夜に、高速複座戦闘機の開発に携わる技術者を巡る、英米や蒋介石政権の間諜たちの暗躍とを描く長編防諜小説。九鬼澹(九鬼紫郎)の別名義作品。オンデマンド出版
(大陸書館 1991円)[amazon]

大下宇陀児『奇蹟の扉』
画家の江崎良造は、異母妹の淑子が自分を愛していることも知らず、銀座の酒場で出会った久美子の怪しい美しさに魅せられ結婚する。しかし久美子の過去には何か秘密があるらしい。江崎家に届いた不穏な手紙の主坂田、良造の友人伊豆原、彼らとの関係は? 過去と秘密が次第にあばかれていく! 巻末資料に、本作のまえがきにあたる「扉の言葉」、木々高太郎によるエッセイ「わが人物評」を収録。解説 日下三蔵
(春陽文庫 1320円)[amazon]

木々高太郎『彼の求める影』
大学助教授の相生浅男は、異母妹・夏子の婚約者がかつての教え子、柿岡初雄だと知るが、初雄の想いは初恋の相手、芳川比叡にあった。そして、その比叡は浅男の生き別れた実の妹で、既に病死していた……。精神医学の教授・大心池先生による分析は? 同じく大心池先生が登場する「オリムポスの山」など初文庫化短篇三本と、巻末資料には大下宇陀児によるエッセイ「わが人物評」ほかを収録。解説 日下三蔵
(春陽文庫 1320円)[amazon]

オスカー・ワイルド『まじめが肝心/レイディ・ウィンダミアの扇』
ワイルドが喜劇作家としての絶頂期に書いた2作を収録。最高傑作ともいわれる『まじめが肝心』は、「ノーカット四幕の完全版」を、初演時発表の初版との異同もわかる体裁で本邦初訳。両作品とも絶妙な話のこじれ具合とオチが楽しめる。河合祥一郎訳
(光文社古典新訳文庫 1408円)[amazon]

アレクサンドル・デュマ『モンテ゠クリスト伯 2』
密輸船の水夫となったダンテスは、モンテ゠クリスト島で、ファリアの言葉どおり財宝を発見する。そして九年後、「船乗りシンドバッド」を名乗る富豪がローマに現れ……。前山悠訳
(光文社古典新訳文庫 1650円)[amazon]

ダニエル・キイス『心の鏡 新版
『アルジャーノンに花束を』の原型である中篇版、奇妙な能力をもつ少年を描く表題作など全7篇を収録した日本オリジナル作品集。小尾芙佐訳
(ハヤカワ文庫NV 1760円)[amazon]

堤邦彦『大江戸怪談事情 『耳嚢』の怪異をひもとく
怪異は山深い村里ではなく、大都市江戸で起こった――。江戸後期の町奉行・根岸鎮衛が記した怪談奇談集『耳囊』を読み解き、怪異と隣り合わせに暮らす人びとの精神世界を描く。後世の怪談文芸や都市伝説への影響も解明。
(吉川弘文館/歴史文化ライブラリー 2090円)[amazon]

パーシヴァル・エヴェレット『消失』
セロニアス・エリスン(通称モンク)はアフリカ系アメリカ人で、大学で教鞭をとりながら小説家として文学的な作品を書いているが、小説は17社から出版を断られ、エージェントからは「黒人らしさが足りない」などと言われる。ところが別名スタッグ・R・リーで書いた低俗極まりない作品が大手出版社に絶賛され、多額の契約金で出版されることに。モンクは折衝はエージェントにまかせ、スタッグ・R・リーを演じようと考えるが、作品は大きな注目を集め……。雨海弘美訳
(集英社 2970円)[amazon]

シャーロット・ヴァッセル『果てしない残響』
テムズ川で溺死体が発見された。ボーシャン警部の捜査により、30年前、企業年金を横領して姿を消したCEOの事件との関連が浮かび上がる。さらに少女失踪事件も抱える彼は、排他的な上流階級に苛立ちながら聞き込みを続ける。エドガー賞最優秀長篇賞受賞作。山中朝晶訳
(ハヤカワ・ミステリ 3300円)[amazon]

ケリー・ギャレット『偽妹』
不可解な死を遂げた妹。生前の足取りを追う姉は、やがて事件に隠された嘘と秘密にたどり着く。エドガー賞最終候補のサスペンス。矢島真理訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 2200円)[amazon]

ウィリアム・ギブスン『クローム襲撃 新版
『ニューロマンサー』の原型たる表題作ほかサイバーパンクの真髄と電脳空間の綺想を堪能できる珠玉の10篇を収録。 浅倉久志・黒丸尚・酒井昭伸・小川隆訳
(ハヤカワ文庫SF 2310円)[amazon]

ジョナサン・スウィフト『ガリバー旅行記』
世界中の子どもと大人が読む18世紀の英国の名作を、人気と実力をそなえた柴田元幸が見事に翻訳し注釈する。小人国、巨人国、空飛ぶ島ラプータ、馬たちが暮らす理想郷。次々と起きる出来事、たっぷりの風刺、理屈ぬきの面白さ。待望の文庫化。柴田元幸訳
(朝日文庫 1496円)[amazon]

チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』
英語圏を代表する女性作家のTEDスピーチを文庫化。フェミニズムを理解するための最適の一冊。姉妹編「イジェアウェレへ」も併録。くぼたのぞみ訳
(河出文庫 880円)[amazon]

ロバート・ベイリー『リッチ・ウォーターズ』
アラバマ州マーシャル郡で、若く優秀な保安官補が銃殺された。容疑者は元高校フットボールのスーパースターにして、リッチの姉の裁判で証言台に立った因縁の人物。彼が犯人であることを示す証拠は充分すぎるほど揃っていたが……。法廷闘争、覚醒剤王の魔の手、依存症との闘い。アメリカ南部発、リーガル・スリラーシリーズ第2弾。吉野弘人訳
(小学館文庫 1496円)[amazon]

Amazonのアソシエイトとして、藤原編集室は適格販売により収入を得ています。