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山本貴光・吉川浩満 『人文的、あまりに人文的』
古代ローマからマルチバースまでブックガイド20講+α。人(ヒト)の文(アヤ)から考えよう。〈山本くん〉と〈吉川くん〉の読書会。古代文明からエピクテトス、モンテーニュ、カント、フーコー、千葉雅也、加藤陽子、読書猿、神経科学、多元宇宙論まで、新旧基本図書総ざらい。
(本の雑誌社 2090円)[amazon]

荒川紘 『龍の起源』
奇怪な空想の怪獣がなぜ宇宙論と結びついたのか。 西洋のドラゴンには、なぜ羽が生えているのか。なぜ、権力と結びついたのか……。神話や民話、絵画に描かれた世界各地の龍を調査・探索。龍とは何かに迫る画期的な書。
(角川ソフィア文庫 1496円)[amazon]

松岡正剛 『千夜千冊エディション サブカルズ』
サブカルチャーの起こりは1世紀前のアメリカに遡る。ブルース、ジャズ、グラフィティが「クール」に文化を騒がせた。戦後日本の表現史から「おたく」の誕生、マンガ、ラノベまでサブカルの系譜を辿る。
(角川ソフィア文庫 1694円)[amazon]

ヨハンナ・シュピリ 『アルプスの少女ハイジ』
両親を失いながらも太陽のように明るく人々の心を照らす少女ハイジ。アルプスの山小屋で孤独に暮らすおじいさん、ヤギ飼いのペーター、足の不自由な少女クララらとの出会いと交流。雄大な自然を背景に、人間性の回復と再生を描く、愛と感動の物語。松永美穂訳
(角川文庫 1276円)[amazon]

フランシス・ホジソン・バーネット 『小公子』
ニューヨークの下町で母親と暮らす少年セドリックは天真爛漫な男の子。ある日、イギリスの貴族である祖父の跡取りとして迎えられることになり、母とともに海を渡る。だが、冷酷な祖父ドリンコート伯爵は、アメリカ人の母親を憎み、二人を引きはなそうとしていた……。羽田詩津子訳
(角川文庫 836円)[amazon]

郝 景芳 『人之彼岸』
破壊された村にやってきた主人公とその管理下のロボット 「雪怪」 が小型機械車と出会った顛末を描く 「戦車の中」 ほか、AIをめぐる物語6篇と2篇のエッセイを収録。劉慈欣 『三体』 に続き、中国にヒューゴー賞をもたらした 「折りたたみ北京」 著者による短篇集。
(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 1980円)[amazon]

リチャード・ロイド・パリー 『津波の霊たち 3・11 死と生の物語
2011年の東日本大震災における津波被災に焦点をあて、巨大災害が人々の心に与えたトラウマと余波に迫る。テーマはおもに2つ。1つは宮城県石巻市立大川小学校の事件について。2つめは、被災地の心霊現象について。津波で亡くなった人びとが幽霊となって現れたという目撃談を綴る。外国人ジャーナリストの目から見た3・11の深層を浮かび上がらせる。濱野大道訳
(ハヤカワ文庫NF 1122円)[amazon]

ピーター・ヘラー 『燃える川』
カヌーの旅に出た親友同士の大学生二人。しかし不穏な事件に遭遇し、大自然のなか生き延びるために闘うことに。迫真のサスペンス。上野元美訳
(ハヤカワ文庫NV 1254円)[amazon]

モーリス・ルブラン 『ルブラン ショートセレクション 怪盗ルパン さすらう死神』
フランスの作家、モーリス・ルブランが産み出した傑作 「怪盗紳士アルセーヌ・ルパン」 シリーズから、怪盗でありながら正義の味方でもあるルパンの魅力が遺憾なく発揮された表題作はじめ四つの短編を新訳で紹介。平岡敦訳
(理論社 1430円)[amazon]

常盤新平 『片隅の人たち』
植草甚一、都筑道夫、清水俊二……。1950年代から60年代にかけて、小説の翻訳を生業とする個性豊かな面々が現れた。直木賞受賞作 「遠いアメリカ」 と同時期を舞台に、出版界の片隅に生きる人々の姿を、憧れに満ちた青年のまなざしから描いた自伝的短篇集。巻末にエッセイ「二十代の終わりごろ」他一篇を付す。
(中公文庫 946円)[amazon]

ブリア=サヴァラン 『美味礼讃 上・下
新しい料理の発見は人類の幸福にとって天体の発見以上のものである。1825年に刊行された『味覚の生理学』は、日本では 『美味礼讃』 の訳書名で知られてきた。美食家としての情熱と蘊蓄を科学的知見をもとに掘り下げ、食べることが人間と社会にとっていかに重要であるかを説いた美味学の古典。玉村豊男訳
(中公文庫 各990円)[amazon]

バーナード・マラマッド 『テナント』
1970年のニューヨーク。再開発で立ち退きを迫られながら新作完成まではと居座るユダヤ系作家レサー。唯一の住人のはずが、空き部屋からタイプライターを叩く音……「誰かが書いている!」 黒人の作家志望ウィリーとの凄絶な心理戦争がはじまる。ベトナム反戦の過激化とともに盛り上がるブラック・パワーの時代を、持ち前のユーモアとペーソスにサイケを加えて描く異色長編。青山南訳
(みすず書房 3080円)[amazon]

ヴィンセント・ディ・マイオ/ロン・フランセル 『死体は嘘をつかない』
男は黒人少年を射殺した犯罪者なのか、正当防衛で発砲した無実の市民なのか。それは死体の傷口から一目瞭然である――。練達の検死医が語る、知られざる検死の世界。法医学的に鮮やかに明かされる数々の事件の意外な真相から目が離せない、傑作ノンフィクションが文庫化。満園真木訳
(創元ライブラリ 1320円)[amazon]

ピーター・メイ 『ロックダウン』
死亡率80%の新型ウイルスの流行で、都市封鎖されたロンドン。その最中、肉を削ぎ落とされた人骨が発見され、第二、第三の殺人が――。現在と驚くほど酷似する世界、2005年に出版を見送られた異色のミステリー。堀川志野舞・内藤典子訳
(ハーパーBOOKS 1200円)[amazon]

イタロ・ズヴェーヴォ 『ゼーノの意識
「お書きなさい。自分の姿が見えてきますよ」。医師の勧めで回想録を書き始めた主人公ゼーノ。嫉妬、虚栄心、背徳感、己を苛んだ感情をまざまざと蘇らせながらも、精神分析医のごとく自身の人生を淡々と語る。ジョイス『ユリシーズ』にもつらなる「意識の流れ」を精緻に描き出した、ズヴェーヴォの代表作。堤康徳訳
(岩波文庫 1067円)[amazon]

アネッテ・ヘス 『レストラン 「ドイツ亭」 アウシュヴィッツ裁判で明かされた秘密
ベストセラー『朗読者』を彷彿とさせるノンフィクション小説。「アウシュヴィッツ裁判」でナチス戦犯に父母を発見する主人公の苦悶。森内薫訳
(河出書房新社 3190円)[amazon]

Colin Larkin 《Cover Me: The Vintage Art of Pan Books: 1950-1965》
英国のペイパーバック、パン・ブックスのカバーアート300点以上をフルカラーで収録、詳細な解説を付したヴィジュアルブック。内容
(Telos Publishing)[amazon]

横溝正史 『完本 人形佐七捕物帳 七』
人形を思わせる色男の岡っ引き、 佐七が次々に江戸の事件を解決していく推理劇 。最新の研究で明らかにされた全180 篇を 、綿密な校訂のもと初めて発表順に完全収録。
(春陽堂書店 予価4950円)[amazon]

19世紀イタリア怪奇幻想短篇集』
ひょんなきっかけで亡霊が男爵に取り憑く 「木苺のなかの魂」、〈真実の口〉ドン・ペッピーノが王の家族に忠義心を試される寓話風の 「三匹のカタツムリ」 ほか、どこか一癖ある19世紀イタリア文学の怪奇幻想短篇を収録。9篇すべて本邦初訳。橋本勝雄編訳。【収録内容】 「木苺のなかの魂」イジーノ・ウーゴ・タルケッティ/「ファ・ゴア・ニの幽霊」 ヴィットリオ・ピーカ/「死後の告解」レミージョ・ゼーナ/「黒のビショップ」 アッリーゴ・ボイト/「魔術師」 カルロ・ドッスィ/「クリスマスの夜」 カミッロ・ボイト/「夢遊病の一症例」 ルイージ・カプアーナ/「未来世紀に関する哲学的物語 西暦二二二二年、世界の終末前夜まで」 イッポリト・ニエーヴォ/「三匹のカタツムリ」 ヴィットリオ・インブリアーニ
(光文社古典新訳文庫 1100円)[amazon]

レフ・トルストイ 『戦争と平和4
ナターシャとの破局後、軍務に復帰したアンドレイは実戦部隊で戦闘に参加。途中、父の領地への敵の接近を報せるが、退避目前で父は死去し、妹は領地の農民の反抗にあう。一方ピエールは、モスクワへ迫るナポレオン軍との戦いの現場に乗り込む。望月哲男訳
(光文社古典新訳文庫 1232円)[amazon]

チャ―ルズ・ディケンズ 『ディケンズ全集 書簡集I 1820-1839年
小説家として地歩を固める『オリヴァー・トゥイスト』完結前後までの,友人や出版社・編集者,後に妻となるキャサリン・ホガースらとの交流を物語る1,061通を収める書簡集。田辺洋子訳
(萌書房 8800円)[amazon]

『ロバート・フロスト詩集 ニューハンプシャー』
20世紀アメリカ詩を代表する詩人の第4詩集 『ニューハンプシャー』 の翻訳。これによって、フロストは、ピュリッツァー賞を射止めた。藤本雅樹訳
(春風社 4400円)[amazon]

魔子鬼一 『牟家殺人事件』
江戸川乱歩氏の推薦によって、新人の作品として 「宝石」 昭和25年4月号に一挙掲載、中国を舞台にした長編探偵小説。
(大陸書館 1694円)[amazon]

カート・セリグマン 『魔法 その歴史と正体
神秘思想、呪術、魔術、秘密結社、占星術……知られざる精神の歴史と正体を豊富な図とともに詳解する。隠された思想の起源と転換点を解き明かす知の万華鏡。平田寛・澤井繁男訳
(平凡社ライブラリー 2640円)[amazon]

レイフ・GW・ペーション 『平凡すぎる犠牲者』
殺されたのは、アルコール依存症で年金生活者の老人だった。きわめてありふれた事件。ベックストレーム警部以下、ソルナ署の刑事たちが捜査にあたるが、有力な容疑者の一人だった第一発見者の新聞配達人が死体で発見される。スウェーデンミステリ界の重鎮、最新シリーズ第2弾。久山葉子訳
(創元推理文庫 1430円)[amazon]

ピーター・ワッツ 『6600万年の革命』
地球を出発してから6500万年。恒星船〈エリオフォラ〉は、銀河系にワームホールゲート網を構築する任務を続けていた。乗組員サンデイは任務に忠実だったが、あるきっかけで極秘の叛乱計画に加わることを決意する。傑作ハードSF。嶋田洋一訳
(創元SF文庫 1034円)[amazon]

田中小実昌 『幻の女 ミステリ短篇傑作選
夜の街の片隅で起こる世にも奇妙な出来事たち。日下三蔵編
(ちくま文庫 924円)[amazon]

マーティン・ガードナー 『新版 自然界における左と右 上・下
「左と右」 は自然界において区別できるか? 上巻では、鏡の像の左右逆転から話をはじめ、動物や人体における非対称、分子の構造等について論じる。下巻では、パリティの法則の破れ、反物質、時間の可逆性等が取り上げられ、壮大な宇宙論が展開される。解説 若島正。坪井忠二・藤井昭彦・小島弘訳
(ちくま学芸文庫 1430円/1595円)[amazon]

オインカン・ブレイスウェイト 『マイ・シスター、シリアルキラー』
真面目な看護師コレデはうんざりしていた。美貌の妹アヨオラが、今日もまたその彼氏を殺してしまったのだ。これで三人目。コレデは死体を処理するが、次第に警察の捜査が姉妹に迫り……。ナイジェリアの新星が描くブラックユーモアと切なさに満ちたサスペンス。ミステリ賞4冠、ブッカー賞候補作。粟飯原文子訳
(ハヤカワ・ミステリ 予価1870円)[amazon]

ジョン・マクマホン 『刑事失格』
人種差別主義者と黒人少年が殺害された。心に傷を負った刑事、マーシュは二つの事件を追うことに。二転三転する捜査の行方は? 恒川正志訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 1210円)[amazon]

ケン・リュウ 『生まれ変わり』
悪い記憶を切除する異星の訪問者にまつわる事件を描く表題作など第三短篇集 『生まれ変わり』 単行本版から12篇を収録した傑作集。古沢嘉通・幹遙子・大谷真弓訳
(ハヤカワ文庫SF 1078円)[amazon]

L・J・R・ケリー 『こぐまとブランケット 愛されたおもちゃのものがたり
少年とどんなときも一緒だったくまのぬいぐるみとブランケット。ある時ふとしたことでなくしてしまう。《こぐまとブランケット》は少年の元へ戻ろうとするが――。本書は"オモチャのその後"を描いた少し不思議でやさしい物語。子どもの想像力・感受性を育む一冊。内田也哉子訳
(ハヤカワ・ジュニア・ブックス 1650円)[amazon]

『百鬼園先生 内田百閒全集月報集成佐藤聖編
没後すぐの1971年から刊行の始まった講談社版、80年代後半の福武書店版。二つの全集月報に、福武文庫シリーズの解説を加え初集成する。86人の執筆者が語る百閒の人と文学。略年譜、作品索引を付す。没後50年記念出版。
(中央公論新社 5280円)[amazon]

ピート・ハミル 『ニューヨーク・スケッチブック』

ニューヨークで生きる人々の日常を絶妙な語り口で描く人生ドラマ。映画 『幸福の黄色いハンカチ』 原作を含む著者代表作。新装版。
(河出文庫 968円)[amazon]

『ハーメルンの笛吹きと完全犯罪 昔ばなし×ミステリー 【世界篇】
白雪姫、ハーメルンの笛吹きなど誰もが知る世界の童話から生まれた傑作ミステリーアンソロジー。「怖さ」がにじむ8篇を収録。仁木悦子・角田喜久雄・石川喬司・鮎川哲也・赤川次郎・小泉喜美子・結城昌治
(河出文庫 792円)[amazon]

『カチカチ山殺人事件 昔ばなし×ミステリー 【日本篇】
カチカチ山、猿かに合戦など日本人なら誰もが知る昔ばなしから生まれた傑作ミステリーアンソロジー。その「怖さ」をあぶりだす7篇。伴野朗・都筑道夫・戸川昌子・高木彬光・井沢元彦・佐野洋・斎藤栄
(河出文庫 792円)[amazon]

千街晶之編 『歪んだ名画 美術ミステリーアンソロジー
立石の営む古美術店に、なじみの客から大量の骨董品を売りたいと申し出があった。それらの品にはある秘密が隠されていて──(「老松ぼっくり」)。掛物、陶磁器、絵画、刺青など美術にまつわる傑作ミステリーを集めた短編アンソロジー。
(朝日文庫 968円)[amazon]

アンドレアス・フェーア 『咆哮』
ドイツ南部の小さな湖で、凍りついた湖面の下から16歳の少女の死体が発見された。謝肉祭のプリンセスのようなドレスを着て、口の中には数字の書かれたブリキのバッジが押し込まれていた。フリードリヒ・グラウザー賞(ドイツ推理作家協会賞)新人賞受賞作。
(小学館文庫 1155円)[amazon]

ロバート・ベイリー 『ラスト・トライアル』
相棒リックが 「マクマートリー&ドレイク法律事務所」 を離れ、一人で弁護士業務を請け負うことになったトムのもとに一人の少女が現れ、殺人事件の容疑者として逮捕された母親の弁護を依頼する。被害者はトムとリックにとって宿敵の男。そして容疑をかけられた母親は、あの因縁の人物だった……。人気法廷シリーズ第3弾。吉野弘人訳
(小学館文庫 1210円)[amazon]

ピエール・ルメートル 『監禁面接』
57歳の失業者アランは再就職のための最終試験に挑む。それは重役会議を襲撃せよというもの……「働く」意味を問いかける怒涛の長篇。橘明美訳
(文春文庫 968円)[amazon]

パスカル・キニャール 『はじまりの夜』

イメージとはなにか。孕まれた瞬間を、自らが不在であり、起源である場面。夜の画家たちによって生み出された起源の場面を巡って、芸術に造詣の深い著者が考察する、幻想的な絵画論。大池惣太郎訳
(水声社 3300円)[honto]


▼2020年12月刊

川戸道昭 『幕末明治翻訳書事典 文学・伝記・外国語リーダー篇 第1巻 江戸期~明治19年
日本近代精神の形成に決定的な役割を果たした幕末明治の翻訳書。なかでも広い読者を獲得した文学・伝記・外国語リーダーをオールカラーで総観する、著者40年余に及ぶ収集・研究の集大成。
(国書刊行会 37,400円)[amazon]

山口ヨシ子 『異性装の冒険者 アメリカ大衆小説にみるスーパーウーマンの系譜
18世紀末~19世紀半ばのアメリカ大衆小説に描かれた数多くの異性装の女性冒険者たち──なぜ大衆向けの安価な読物で多くの「異性装の女性冒険者」が描かれたのか、その背景と、その後、中産階級の少女向けの小説や、ダイムノヴェルにどのような影響を与えたかを探る。目次
(彩流社 4620円)[amazon]

清水一嘉 『ジョージ・クルックシャンク ヴィクトリア朝を描いた風刺画家
19世紀前半、ナポレオンや皇太子の風刺版画家として一世を風靡した後、ディケンズ等の挿絵画家として活躍したジョージ・クルックシャンク(1792–1878)の生涯を作品とともに紹介する初めての本。図版多数。
(彩流社 2200円)[amazon]

パウリーナ・フローレス 『恥さらし』
〈エクス・リブリス〉
1990年代から現在までのチリを舞台に、社会の片隅で生きる女性や子どもの思いを切実に描き出す。チリの新星による鮮烈なデビュー短篇集。松本健二訳
(白水社 3300円)[amazon]

南條竹則 『酒と酒場の博物誌』
酒の中に真理あり⁈ 古今東西親しまれてきたさまざまなお酒を飲みつくす著者による至高のエッセイ。『銀座百点』の人気連載「酒の博物誌」を書籍化。
(春陽堂書店 1870円)[amazon] [honto]

ペマ・ツェテン 『風船 ペマ・ツェテン作品集
草原に暮らす羊飼いの家族たち。その穏やかな生活のなかにある、秘められた葛藤と孤独を描く表題作 「風船」 ほか、仏教的世界観と近代的価値観が混じり合う現実を生きるチベットの人々をユーモラスに、幻想的に、時にリアリスティックに描いた短編6作品を掲載。大川謙作訳
(春陽堂書店 2200円)[amazon]

メアリ・ノリス 『カンマの女王 「ニューヨーカー」 校正係のここだけの話
アメリカの有名雑誌 《ニューヨーカー》 の校正者で、「カンマの女王」 の異名をとる著者が、自らの校正遍歴や文法を巡るあれこれを語り、有名作家の文章を 「紙上校正」 するエッセイ。有好宏文訳
(柏書房 2200円)[amazon]

『占領前期 「宝石」 復刻版』 第1~5巻(第1回配本
戦後日本ミステリの表舞台として輝き続けた探偵小説誌 『宝石』。入手困難な創刊初期の号1946年3月~1949年12月の全42冊を15巻に合本復刻。第1回配本は第1~5巻。(第2回配本2021年5月、第3回配本2021年12月予定) 内容
三人社 55,000円)

安藤礼二 『熊楠 生命と霊性
熊楠を世界史的なスケールで甦らせて、21世紀の思想家としての多面的な可能性をさぐる。文芸評論家が最も愛する思想家を論じる。
(河出書房新社 予価2090円)[amazon]

ミシェル・ビュトール 『レペルトワール I 1960』
ヌーヴォー・ロマンの前衛小説家・批評家ミシェル・ビュトール。フランス文学を基軸に、文芸批評、創作技法、演劇、美術、音楽、読書と書物、旅と都市をめぐる文学的地理批評など、〈ビュトール宇宙〉の集大成となる評論集 『レベルトワール』 全5巻刊行開始。石橋正孝 監訳 内容
(幻戯書房 4950円)[amazon]

エドゥアルド・ヴェルキン 『サハリン島』
北朝鮮発の核戦争後、先進国で唯一残った日本は鎖国を開始。帝大の未来学者シレーニは人肉食や死体売買が蔓延するサハリン島に潜入する。この10年で最高のロシアSFとされる衝撃の傑作。北川和美・毛利公美訳
(河出書房新社 4180円)[amazon]

《SFマガジン》 2月号
特別増大号
(早川書房 1595円)[amazon]

ラーシュ・ケプレル 『つけ狙う者 上・下
国家警察の警部ヨーナ・リンナが姿を消してから8カ月――後任となったのは、 臨月間近のマルゴット・シルヴェルマン。いま彼女が担当しているのは、独身女性の連続惨殺事件だ。どの被害者も残酷なまでに顔面を傷つけられ、犯人は犯行直前に被害者の姿が映った映像を警察に送りつけていた。染田屋茂・下倉亮一訳
(扶桑社ミステリー 各1100円)[amazon]

ミシェル・バークビイ 『ベイカー街の女たちと幽霊少年団 ミセス・ハドスンとメアリー・ワトスンの事件簿 2
ミセス・ハドスンが入院した特別病棟で、夜ごと不可解な患者の死が繰り返される。見舞いに訪れたワトスン医師の妻メアリーからは、街で少年たちの失踪事件が続いていることを聞かされる。調査を進める二人は路地裏の屋敷に迷い込み…‥。ホームズを支える人物たちが、その知恵と勇気を結集して謎に立ち向かう、本格ミステリー譚第2弾。駒月雅子訳
(角川文庫 1408円)[amazon]

ヒュー・ロフティング 『ドリトル先生の動物園』
ドリトル先生が世界に一つだけの檻のない動物園をはじめた。ウサギ・アパートやリス・ホテル、アナグマ居酒屋まである、まさに夢の動物町。ところが、大金持ちの遺産をめぐる事件に先生がまきこまれてしまい、探偵犬と謎を解くことに。どんでん返しの動物ミステリー。河合祥一郎訳
(角川文庫 726円)[amazon]

ヒュー・ロフティング 『ドリトル先生のキャラバン』
ドリトル・サーカスが大都会ロンドンでデビュー! 箱馬車で向かう道中、先生は緑のカナリアの天才歌手と出会い、世界初の鳥のオペラを思いつく。このとんでもない舞台は成功するのか? 河合祥一郎訳
(角川文庫 792円)[amazon]

マルコ・ポーロ 『東方見聞録』
ヴェネツィア商人の息子マルコは中国へ陸路で渡り、フビライ・ハーンの絢爛たる宮廷へと辿り着く。元朝の使者として見聞した各地の暮しや風習、宗教、貨幣や通信制度、そして宝の島ジパングの話。マルコの冒険譚は大航海時代の原動力ともなった。シルクロード史家が旅人の眼で訳し読み解く。長澤和俊訳
(角川ソフィア文庫 1188円)[amazon]

John Dickson Carr 《The Island of Coffins》
ジョン・ディクスン・カーのラジオ・ドラマ集。
Crippen & Landru)

唐戸信嘉 『ゴシックの解剖
 暗黒の美学
吸血鬼、人造人間、ドッペルゲンガー、廃墟、地下――。ヨーロッパでカトリック的な超自然が否定されたことへの反動から生まれた 「ゴシック 」 は、人間の不安や欲望といったネガティブな要素の受け皿となった。人々を惹きつけてやまない一大美学の超自然的な悪の魅力を解き明かす。
(青土社 2200円)[amazon]

キルメン・ウリベ 『ビルバオ-ニューヨーク-ビルバオ』
飛行機で太平洋を渡っていく「僕」の脳裏に波のように寄せては返す思い出の数々……バスクから海を越えて届いた珠玉の処女小説。金子奈美訳
(白水Uブックス 1980円)[amazon]

カレル・チャペック 『ロボット RUR
無限の労働力「ロボット」によって人類は苦役と貧困から解放され、真の幸福を得るはずだった――。1920年、東欧の小国で発表されたこの戯曲から「ロボット」という言葉が生まれた。今なお多くの問いを投げかける名作を、発表より百年を記念し新訳する。チャペックによる記事 「今一度、ロボット(RUR)について」(1921)他の資料を併録。阿部賢一訳
(中公文庫 924円)[amazon]

《怪と幽》 vol.006
〈特集=落語・講談・浪曲 伝統話芸のすすめ〉 伝統的な怪談噺から妖怪たちが登場する滑稽噺まで――昨今にわかに注目が集まる落語・講談・浪曲といった語りの伝統芸の魅力を、「怪と幽」 的な側面からフォーカスする。
(KAODOKAWA 1980円)[amazon]

エレナ・ポニアトウスカ 『レオノーラ』

〈フィクションのエル・ドラード〉
イギリスの大富豪の一族に生まれたレオノーラは、幼い頃から動物と会話し、精霊が見える不思議なヴィジョンの持ち主。彼女の運命は画家マックス・エルンストとの出会いによってめくるめく冒険へと投げ出される。画家・作家レオノーラ・キャリントン (1917-2011) の生涯を現実とフィクションのあいだに描いた傑作長篇。富田広樹訳
(水声社 予3850円)[honto]

日本怪異伝説事典』 朝里樹監修/えいとえふ

日常の外側にある、日本各地の怪異で不思議な伝説を訪ねる事典。青森県 恐山 から熊本県 トンカラリン まで約800種を掲載。
(笠間書院 2200円)[amazon]

種村季弘 『水の迷宮』
泉鏡花賞作家の種村季弘が30有余年にわたって書いた、我が国最高の幻想文学作家・泉鏡花を論じる力作評論、エッセー、講演録16編を集成。『泉鏡花集成』(ちくま文庫)の伝説的な名解説をはじめ、約半分が今回はじめて単行本に収録される作品。内容
(国書刊行会 4950円)[amazon]

R・オースティン・フリーマン 『ソーンダイク博士短篇全集Ⅱ 青いスカラベ
ソーンダイク博士の初登場作として構想され、後に長篇に改稿された単行本未収録の中篇 「ニュー・イン三十一番地」、海を舞台にした倒叙物 「死者の手」を巻頭に、短篇集 『大いなる肖像画の謎』(1918)から「消えた金貸し」など2篇、さらに作者のエジプト趣味も窺える宝探し暗号小説 「青いスカラベ」、証拠に付着した埃の顕微鏡検査から強盗殺人犯を追及する 「ニュージャージー・スフィンクス」 など、第一次大戦後に再開されたシリーズ7篇をまとめた短篇集『ソーンダイク博士の事件簿』(1923)を収録。付録エッセー「探偵小説の技法」他。渕上痩平訳
(国書刊行会 3850円)[amazon]

レオ・ブルース 『冷血の死』
学校教師キャロラス・ディーンが夏季休暇で出かけた海辺の町オールドヘイヴンで町長が失踪、やがてその死体が浜辺に打ち上げられる。死因は溺死で事故か自殺と思われたが……。『死の扉』に続くシリーズ第二作 Death of Cold (1956)。小林晋訳
(ROM叢書 2000円)取扱=盛林堂

J・B・ハリス‐バーランド 『古本屋サロウビイの事件簿』
1920年代に発表された古本屋店主マーシュ・サロウビイが古書がらみの謎に取り組む連作6篇と、ノンシリーズ短篇3作を収録。小林晋訳
(ROM叢書 1500円) 取扱=盛林堂

サミュエル・ロジャース 『血文字の警告』
謎の警告を無視して森の中の館を訪れた女子大生ケイト。そこに待ち受けていたのは……サイコ本格の知られざる逸品。三門優祐訳
(別冊Re-ClaM 2200円) 取扱=盛林堂

フレドリック・ブラウン 『真っ白な噓 新訳
短編の名手の代表的作品集。「叫べ、沈黙よ」 「危ないやつら」、夫婦間の秘密を描いた表題作まで、奇抜な着想と軽妙なプロットの名編ばかり。どこから読まれても結構です。ただし巻末の作品 「後ろを見るな」 だけは最後にお読みください。越前敏弥訳
(創元推理文庫 1100円)[amazon]

小森収編 『短編ミステリの二百年 4』

1950年代以降の短編ミステリの進化と豊饒を味わう第4巻には、迫真の警察小説、珠玉のアイデアストーリー、隣接ジャンル〈幻想と怪奇〉の逸品、そして本アンソロジー初となる本邦初訳作品を含むアメリカ探偵作家クラブ(MWA)短編賞受賞作など、全13編の傑作を収録。ジャック・リッチー、レイ・ブラッドベリ他。
(創元推理文庫 1540円)[amazon]

赤江瀑 『天上天下 赤江瀑アラベスク1』
幻想文学の巨星・赤江瀑の傑作を全3巻に集成。海峡の風景を綴って万華鏡の如き幻想世界を現出せしめた泉鏡花賞受賞作 「海峡――この水の無明の真秀ろば」、地獄と極楽のあわいにかかる、人ならざるものの舞台芝居を描く 「星踊る綺羅の鳴く川」、この世に存在しない漆黒の城を幻視する女を巡るオカルティック・ロマン 「上空の城」。水底から戯場国を経て天上へと至る三長編が一堂に会する第一巻。東雅夫編
(創元推理文庫 1540円)[amazon]

キアラン・カーソン 『トーイン クアルンゲの牛捕り
コナハト国女王メーヴはアルスター国クアルンゲの褐色の雄牛を奪うべく、大軍勢を招集した。一方迎え撃つアルスター国では、呪いのせいで男たちは戦うことがかなわず、若き英雄クー・フリンがただひとり大軍相手に奮闘していた。アイルランドの「イリアス」とも言われる伝説を 『琥珀捕り』 の人カーソンが語った、血湧き肉躍る英雄譚。栩木伸明訳
(創元ライブラリ 1430円)[amazon]

ファン・ジョンウン 『続けてみます』
幼い頃に父を工場の事故で亡くしたソラとナナは、生活の意欲を失っていく母と行き着いた暗い半地下の住居で少年ナギと出会う。誰かを思う気持ち、拒む気持ち、責任、放棄、やすらぎ、恐れ……。現代韓国文学の旗手が、みずみずしくも濃密に生の息遣いを描く。オ・ヨンア訳
(晶文社 1980円)[amaozn]

アントワーヌ・ローラン 『赤いモレスキンの女』
男はバッグの落とし主に恋をした。手がかりは赤いモレスキンの手帳とモディアノのサイン本。パリが舞台の大人のおとぎ話第二弾。吉田洋之訳
(新潮クレスト・ブックス 1980円)[amazon]

ミシェル・フーコー 『性の歴史4 肉の告白
人間の性と欲望に関する概念は歴史的にどう形作られてきたのか。現代思想の泰斗の遺稿を編集した最終巻、没後三十余年でついに刊行。慎改康之訳
(新潮社 4730円)[amazon]

R・L・スタイン監修 『消えない叫び』
〈Scream! 絶叫コレクション
ホラー作家ミステリー作家20人がYA向けに競作した 《Scream and Scream again》。バラエティに富んだ20作品を3分冊で刊行。3冊目は監修のR・.L・スタインはじめ 『荒野のホームズ』 のスティーヴ・ホッケンスミス、未邦訳の人気作品を擁するエミー・レイボーンら6作家の作品。三辺律子監訳
(理論社 1650円)[amazon]

バルバラ・カッサン 『ノスタルジー 我が家にいるとはどういうことか? オデュッセウス、アエネアス、アーレント
帰郷後再び旅に出た英雄オデュッセウス、ギリシャ語を捨てローマの元になる都市を建設したアエネアス、アメリカ亡命後も母語ドイツ語に拘り続けたユダヤ人哲学者アーレント。自分の故郷を離れ、自分の言葉を忘れざるを得なかった人々の抱く 「ノスタルジー」 とは。移民、難民、コロナ禍による世界喪失の世紀に、古代と20世紀の経験から光を当てる 「ノスタルジー」 と 「故郷」 の哲学。馬場智一訳
(花伝社 1980円)[amazon]

『韓国文学を旅する60章』 波田野節子・斎藤真理子・きむ ふな編
〈エリア・スタディーズ〉
いまもっとも注目されている韓国文学。さまざまな土地にゆかりのある、古典から現代まで総勢60人の作家/作品を通して、読者を旅に誘う。韓国を愛するすべての人に向けた、豪華執筆陣による珠玉のエッセイ集。内容
(明石書店 2200円)[amazon]

谷崎潤一郎 『人魚の嘆き・魔術師』
大正8年8月に春陽堂から水島爾保布の装画20点余りに飾られ、大型本として刊行、乱歩や横溝が心酔した谷崎の初期小説2編が百年の時を経て豪華装丁で完全復刻。
(春陽堂書店 3960円)[amazon]

中川右介 『江戸川乱歩と横溝正史』
日本の探偵小説を牽引した二大巨頭、江戸川乱歩と横溝正史。盟友にしてライバル、作家と編集者でもあった二人の歩みを辿りながら、日本のミステリ史のみならず、日本の出版史をも描き出す対比評伝。
(集英社文庫 968円)[amazon]

マリオ・プラーツ 『生の館』
綺想とデカダンスの文学・美術研究者であるイタリア人が1934年から69年まで住んだローマの家の部屋を一つずつ辿り、室内装飾、美術・家具の思い出を通して自分と時代の変化を綴る。それは古代からルネサンスに伝承した記憶術の再現のようだ。文学者から見たファシズム、友人や恋人たち。離婚。コレクターの神髄。欧州の盛衰。黄昏の中で自らの老いと骨董品化の悲哀に向き合い、光を放つ。写真多数。目次 上村忠男監訳/中山エツコ訳
(みすず書房 9680円)[amazon]

カリン・スローター 『ざわめく傷痕』
犯行現場で警察に射殺された少女――その体には、悪夢のような傷が刻まれていた。MWA賞受賞作家が放つ戦慄の犯罪小説。〈グラント郡〉シリーズ第2弾。田辺千幸訳
(ハーパーBOOKS 1360円)[amazon]

エラリイ・クイーン 『フォックス家の殺人 新訳
故郷ライツヴィルに帰還した戦争の英雄デイヴィー・フォックス。激戦による心の傷で病んだ彼は、妻を手に掛ける寸前にまで至ってしまう。その心理には、過去に父ベイヤードが母を毒殺した事件が影響していると思われた。彼を救うには、父の無実を証明するほかない。相談を受けたエラリイは再調査を請け負うも、当時の状況はことごとくベイヤードを犯人だと指し示していた……名探偵エラリイが12年前の事件に挑む。新訳決定版。越前敏弥訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 1386円)[amazon]

エリザベス・ストラウト 『オリーヴ・キタリッジ、ふたたび』
癖があり頑固だが、ときにやさしく勇敢なオリーヴ・キタリッジ。老境を迎えた彼女の日々と、海岸沿いの町クロズビーの隣人たちの悲喜こもごもをつづった傑作ぞろいの13篇を収録。ピュリッツァー賞を受賞した傑作 『オリーヴ・キタリッジの生活』 11年ぶりの続篇。小川高義訳
(早川書房 2970円)[amazon]

ジョージ・R・R・マーティン 『炎と血 1』
〈氷と炎の歌〉で描かれる世界の300年前、ドラゴンを従えてウェスタロス大陸を支配したターガリエン家を綴った年代記。デナーリス・ターガリエンの三代前の当主エイゴンによる大陸征服から150年間が描かれる。原書を二分冊して2カ月連続刊行。酒井昭伸訳
(早川書房 3190円)[amazon]

橋本輝幸編 『2010年代海外SF傑作選』
リュウ、トライアス、ワッツ……。2010年代に発表された煌めく星ぼしのごとき海外SF作品を精選した充実の年代別アンソロジー。
(ハヤカワ文庫SF 1276円)[amazon]

細川周平 『ジャズの時代 
近代日本の音楽百年 黒船から終戦まで4
震災復興期に登場したジャズは、音楽的な流行に留まらず、ひろく人々の感受性と思考を変革させる。映画、文学、ファッションなど、都市中間層を中心にアメリカ文化が受容されて行くなかで、ジャズは時代の文化の中心に位置して、新しい風俗すべてと結びあう。ジャズがもたらした日本社会の狂騒と混沌、そのありようを描く。
(岩波書店 14,300円)[amazon]

李昴 『眠れる美男』
元外交官の妻として裕福な生活を送る殷殷はフィットネスジムのインストラクター、パンに惹かれていく。少数民族の出身で、眉目秀麗なパンのしなやかな筋肉に直接触れたいという欲望を、殷殷は抑えきれないでいた。そしてある夜、別荘に招いた彼に眠り薬を盛るのだった……。台湾の第一線作家が高齢女性の性に正面から挑んだ意欲作。藤井省三訳
(文藝春秋 1980円)[amazon]

ヴァルター・ベンヤミン 『パサージュ論
19世紀パリに現れたパサージュをはじめとする物質文化に目を凝らし、人間の欲望や夢、ユートピアへの可能性を考察したベンヤミンの畢生の労作。断片の集積にひそむ 「あり得たかもしれない」 世界の模索。全5冊。今村仁司他訳
(岩波文庫 1320円)[amazon]

『エピクテトス 人生談義
「君は私の足を縛るだろう。だが、私の意志はゼウスだって支配することはできない」。ローマ帝国に生きた奴隷出身の哲人エピクテトスは、精神の自由を求め、何ものにも動じない強い生き方を貫いた。幸福に生きる条件を真摯に探るストア派哲学者の姿が、弟子による筆録から浮かび上がる。上巻は 『語録』 第一・二巻を収録。國方栄二訳
(岩波文庫 1243円)[amazon]

『ノーマン・ロックウェル カバー画集 『サタデー・イブニング・ポスト』誌の時代クリストファー・フィンチ
古き良き時代のアメリカの普通の人々の生活を描いて絶大な人気を誇る画家、ノーマン・ロックウェルが、1916年から1963年まで描き続けた 『サタデー・イブニング・ポスト』 誌の全カバー画、他雑誌のカバー画332枚を収録した決定版画集。冨原まさ江訳
(玄光社 3630円)[amazon]

『現代アメリカ文学ポップコーン大盛』
〈web侃づめ〉連載を書籍化。文学からアメリカのいまが見えてくる。更新され続けるアメリカ文学の最前線。#MeToo運動、アメリカ大統領選、Black Lives Matter、ノーベル文学賞(2020年)など最新の動向についても増補。座談会「正しさの時代の文学はどうなるか?」(ゲスト 柴田元幸)を収録。青木耕平、加藤有佳織、佐々木楓、里内克巳、日野原慶、藤井光、矢倉喬士、吉田恭子。内容
(書肆侃侃房 1980円)[amazon]

獅子文六 『金色青春譜 獅子文六初期小説集
静かなブームを巻き起こす獅子文六の長編デビュー作となった 『金色青春譜』 (1934連載) 他、雑誌 「新青年」 に掲載された初期作品をまとめた小説集。
(ちくま文庫 968円)[amazon]

『新編エドガー・アラン・ポー評論集 ゴッサムの街と人々 他』 伊藤詔子編訳
ニューヨークが 「マガジニスト・ポー」 をいかに生み出したのかがわかる都市論 「ゴッサムの街と人々」 をはじめ、「黒猫」 に付された序文 「直感対理性」、科学的評論 「貝類学序文」 「ダゲレオ論」 等、重要でありながら翻訳されてこなかったポーの知る人ぞ知る評論を、訳者による論考 「コロナ時代にニューヨーク作家ポーを読む」 他とあわせて収録。 収録内容
(小鳥遊書房 2200円)[amazon]

母袋夏生 『ヘブライ文学散歩』
ヘブライ文学とは何か。聖書の言語だったヘブライ語を現代に蘇らせた天才言語学者ベン・イェフダの伝記が、著者の手で邦訳刊行されたのが30年前。以来、多くのイスラエル、ヘブライ文学を日本に紹介して来た著者による本邦初、ヘブライ文学案内。
(未知谷 2200円)[amazon]

今日泊亜蘭 『怪奇探偵 十一号室の怪 今日泊亜蘭怪奇探偵小説集
「光の塔」などの名作を残したSF作家・今日泊亜蘭の「今日泊亜蘭」以外の名義(今日泊亜蘭児、今日泊蘭二、今日泊繞、水島多樓、澪亭璃昴、紀尾泊世央、園璃昴)で発表された作品を中心に収録。第2部翻訳・エッセイ篇にはM・R・ジェイムズ「銅版画」の翻訳も。
(盛林堂ミステリアス文庫 3500円)

ヤロスラフ・ハシェク 『ハシェク短編小説集 不埒な人たち
なんたるでたらめ! 『兵士シュヴェイクの冒険』 で知られ、カフカ、チャペックと並ぶチェコの人気作家の実体験に基づ く(!?) 面白すぎる短編27編。ヨゼフ・ラダの挿絵入り。飯島周編訳
(平凡社ライブラリー 1650円)[amazon]

クリフォード・ウィッティング 『知られたくなかった男』
〈論創海外ミステリ〉
合唱隊の祝歌が響く小さな町に異常事態発生。クリスマスの夜に井戸から発見された死体が静かな町に喧噪をもたらす。福森典子訳
(論創社 3740円)[amazon]

江戸川乱歩 『文豪怪奇コレクション 猟奇と妖美の江戸川乱歩』
江戸川乱歩は怪談文芸の名手でもあった。蜃気楼幻想と人形からくり芝居が妖しく交錯する 「押絵と旅する男」、斬新な着想が光る 「鏡地獄」 「人間椅子」、この世ならぬ快楽の世界へと誘う 「人でなしの恋」 「目羅博士」、「夏の夜はなし─幽霊を語る座談会─」 など、乱歩が遺した名作佳品を一巻に濃縮。東雅夫編
(双葉文庫 902円)[amazon]

宮下志朗 『パリ歴史探偵』
景色にまぎれた不自然な段差、小さな抜け道。かすかな違和感に導かれ、古地図を広げて、19世紀のガイドブックや文学作品を繙けば、モーパッサン、ランボー、ゾラが暮らした時代の空気がみるみる立ち上る。 当時の風習や世相までユーモラスな視点で活写。中世から19世紀を自在に飛び回る旅へ、中世・ルネッサンス研究の泰斗が誘う。
(講談社学術文庫 1155円)[amazon]

スーザン・リンデル 『危険な友情』
1924年、ニューヨーク。警察署でタイピストとして働くローズの前に新人のオダリーが現れる。美しい黒髪を断髪にし、流行の高級な服に身を包んだオダリーに心酔したローズは、ホテルの部屋で同居をはじめる。だがオダリーには秘密があるようで……。エレガントで緊迫感に満ちたタイピストたちの物語。『もうひとりのタイピスト』 改題文庫化。吉澤康子訳
(創元推理文庫 1320円)[amazon]

《ミステリーズ!》 Vol.104
短編新訳、評論、ブックガイドなどを、若島正、阿津川辰海ほかの強力布陣で贈る 「アントニイ・バークリー特集」。米澤穂信、シリーズ最新作 「桑港クッキーの謎(仮)」掲載。
(東京創元社 1320円)[amazon]

ラドヤード・キプリング 『キム』

19世紀後半のインド。当地で生まれ育った英国人の少年キムが、激動の時代に国内を旅しながら、多彩な背景を持つ人々とともに力強く生きていく姿を描いた冒険・成長小説。英国人で初めてノーベル文学賞を受賞した作家の代表作の一つ。木村政則訳
(光文社古典新訳文庫 1650円)[amazon]

山田英春 『縞と色彩の石 アゲート (不思議で奇麗な石の本)
無限の模様と色彩を持つ、悠久の時が生んだ自然のアート、縞瑪瑙を紹介。
(創元社 1980円)[amazon]

『おすすめ文庫王国2021』 本の雑誌編集部編
本の雑誌が選ぶ2020年度文庫ベストテン、読者アンケート 私の文庫ベスト1、他。
(本の雑誌社 880円)[amazon]

《ナイトランド・クォータリー》 vol.23
特集・怪談 (KWAIDAN)―ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)を結節点に、怪談文学の系譜を再評価。ラフカディオ・ハーン「十六櫻」/フィオナ・マクラウド「琴」/グレゴリー夫人「愛蘭民謡」/W・B・イェイツ「ハンラハンの幻視」/K・H・シュトローブル「絞首台の救い主」/他
(アトリエサード 1870円)[amazon]

ハーラン・コーベン 『ランナウェイ RUN AWAY』
薬物に溺れ失踪した娘を探す父。殺し屋と同行する女。姿を消した資産家の息子を探す私立探偵。娘に薬物を与えた男。バラバラなピースがつながったとき、驚くべき忌まわしい事実が姿を現す。米国屈指のヒットメーカーが放つ、極上のドメスティック・サスペンス。田口俊樹・大谷瑠璃子訳
(小学館文庫 1408円)[amazon]

川本三郎 『『細雪』 とその時代』
戦争に向かう時代にあの美しい世界がなぜ生まれたのか。芦屋、神戸、船場……蒔岡四姉妹が生きた風景が練達の筆に甦る。
(中央公論新社 2640円)[amazon]


『本格ミステリの本流 本格ミステリ大賞20年を読み解く南雲堂編
本格ミステリ作家クラブ会員の投票により決定される本格ミステリ大賞。2001年からスタートしたこの賞の受賞作に投票をした会員による受賞作・受賞作家の論考をまとめた本格ミステリ作家クラブ20周年記念論集。
(南雲堂 2860円)[amazon]

山田風太郎 『室町お伽草紙 青春!信長・謙信・信玄卍ともえ 山田風太郎傑作選 室町篇
将軍家の姫を手中にした者に南蛮銃三百挺を与えよう。信長、謙信、信玄、松永弾正らが繰り広げる争奪戦の行方や如何に。痛快活劇。
(河出文庫 1485円)[amazon]

『2021本格ミステリ・ベスト10』 探偵小説研究会
インタビューは『修羅の家』で衝撃を与えた我孫子武丸、超新星・阿津川辰海の二本立て。そして、こんな時だからがっつり読みたい、研究会みずからセレクトした迷いなしの「ガチ推し本」特集。 毎年話題の国内・海外「本格」ランキングも激動の予感。
(原書房 1100円)[amazon]

藤井省三 『魯迅と世界文学』
東アジア共通のモダン・クラシック魯迅文学を、作家たちはどのように受容したのか。魯迅-松本清張-莫言という「ミステリー」の系譜、魯迅-莫言という「故郷」の系譜、そして莫言・張愛玲・村上春樹との影響関係を探り、魯迅文学における女性問題および政治的危機と不倫のテーマを考察する。国や時代を越えた視点から魯迅読書体験を読み解く論文集。
(東方書店 2970円)[amazon]

『このミステリーがすごい! 2021年版』
巻頭は100巻目前「名探偵コナン」大特集。ミステリーの視点から見た「名探偵コナン」を徹底解析。2020年の国内&海外のミステリー小説ランキング・ベスト20をはじめ、作家生活20周年を迎えた伊坂幸太郎特集、人気作家による自身の新刊情報&特別エッセイなど。
(宝島社 748円)[amazon]

アダム・オファロン・プライス 『ホテル・ネヴァーシンク』
ニューヨーク州の山地にそびえ立つホテル・ネヴァーシンク。大統領も宿泊に来る人気ホテルだが、子どもが行方不明になる事件がたびたび発生していた。どうやら経営者一族の抱える秘密が関わっているらしい。洋館ホテルを舞台に展開するミステリと家族の年代記。青木純子訳
(ハヤカワ・ミステリ 2090円)[amazon]

陸秋槎 『文学少女対数学少女』
推理小説好きの文学少女・陸秋槎と、孤高の天才数学少女・韓采芦の2人の謎解きを描く連作短篇、全4篇を収録。稲村文吾訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 1056円)[amazon]

キム・チョヨプ 『わたしたちが光の速さで進めないなら』
廃止される予定の宇宙停留所には、家族のいる星へ帰るため長年待ち続けている一人の老婆がいた……冷凍睡眠による家族の別れを描き韓国科学文学賞佳作を受賞した表題作をはじめ、疎外される少数者に温かい視線を送る、新鋭による女性視点の滋味溢れるSF七篇。
カン・バンファ、ユン・ジヨン訳
(早川書房 1980円)[amazon]

ロバート・A・ハインライン 『夏への扉 新版
1970年、なにもかもを失ったぼくは、飼い猫のピートと一緒に"夏への扉"を探しにいくことにした――。永遠の名作、新版で登場。福島正実訳
(ハヤカワ文庫SF 924円)[amazon]

ビル・クリントン/ジェイムズ・パタースン 『大統領失踪 上・下
大統領が失踪した。その真相は? 元大統領のみが知り得る知識と超人気作家の技量から生まれた一級のエンタテインメント小説。越前敏弥・久野郁子訳
(ハヤカワ文庫NV 各1034円)[amazon]

《週刊文春》 12月10日号
「2020年ミステリー・ベストテン」 発表
(文藝春秋)

クライブ・カッスラー/ロビン・バーセル 『幻の名車グレイゴーストを奪還せよ! 上・下
消えたロールス・ロイスのクラシックカー。子爵家を狙う陰謀の背後を追え! ファーゴ夫妻シリーズ第10弾。棚橋志行訳
(扶桑社ミステリー 各935円)[amazon]


▼11月刊

アレクサンドル・クプリーン 『猫のユーユー クプリーン短編選
20世紀初めのロシアで社会の片隅に生きるものたちを描いてトルストイらから高く評価された作家クプリーンのいまもロシアで読み継がれ子どもたちに愛されている小品集。サブリナ・エレオノーラ、豊田菜穂子訳
(群像社 1980円)[amazon]

キム・ヘジン 『オビー』
〈韓国女性文学シリーズ〉 巨大な物流倉庫の職場で出会った、自分本位で他人と関わろうとしないオビーと、同調することばかりを考える自分との違いに心乱される表題作ほか、今を生きる不安定な若者たちの仕事や社会との関わりを描いた9編を収録。カン・バンファ、ユン・ブンミ訳
(書肆侃侃房 予価1980円)[amazon]

小野俊太郎 『『トム・ソーヤーの冒険』 の世界』
背後にアメリカの歴史そのものが横たわっている 『トム・ソーヤーの冒険』 を精読する。各章の 「あらすじ」 を整理しながら鍵となるテーマを順に読解しつつ、独立宣言から100年後に出版されたこの作品の影響やアダプテーションにも迫る。目次
(小鳥遊書房 2750円)[amazon]

アンドレ・アレクシス 『十五匹の犬』
〈はじめて出逢う世界のおはなし〉
トロントのレストランバーで他愛のない話に興じていた神アポロンとヘルメスは、動物が人間の知性を持ったら幸せになるか不幸になるか、賭けをすることにした。近くの動物病院に預けられていた15匹の犬を賭けの対象に選ぶと、犬たちは突然、人間の知性を与えられ、変化をはじめる。金原瑞人・田中亜希子訳
(東宣出版 2090円)[amazon]

福井栄一 『十二支妖異譚 神様になれなかった動物たち
子、丑、寅…と親しまれている十二支の動物たちも、ときに妖しく不気味な貌を見せる。その刹那を、記紀神話、説話など古典から切り取ったアンソロジー。怖いことは、往々にして愉しい。
(工作舎 1980円)[amazon]

ヴァルター・ハンゼン 『脱獄王ヴィドックの華麗なる転身』
〈論創海外ミステリ〉
"世紀の脱獄王"から"犯罪捜査学の父"へ。無実の罪で投獄され、後に世界初の私立探偵となったフランソワ・ヴィドックの数奇な運命。史実をもとに描く伝記小説。ドイツの現代作家ヴァルター・ハンゼンの“Der Detektiv von Paris"邦訳。小林俊明訳
(論創社 予価3080円)[amazon]

クリスチャン・ドゥメ 『三つの庵 ソロー、パティニール、芭蕉
H・D・ソロー、パティニール、芭蕉。孤高なるユートピアンの芸術家たちがこしらえた「庵」の神秘をめぐる随想の書。世界中のすべての隠遁者におくる 《仮住まいの哲学》、孤独な散歩者のための《風景》のレッスン。小川美登里・鳥山定嗣・鈴木和彦訳
(幻戯書房 3190円)[amazon]

アンナ・バーンズ 『ミルクマン』
政治、宗教、暴力で分断された70年代終りの北アイルランド。謎の牛乳配達人はテロリストなのか。国家独立をめぐるテロと性的抑圧を生きる18歳女性の不安と絶望を描いた傑作長篇。世界30か国以上で翻訳されたベストセラー。ブッカー賞受賞。栩木玲子訳
(河出書房新社 3740円)[amazon]

ローズ・マコーリー 『その他もろもろ ある予言譚
ハクスリー、オーウェルの先駆をなすフェミニスト・ディストピア小説の古典、百年の時を経て蘇る。第一次大戦後の英国。国民を知力でランク分けするという大胆な政策を打ち出す脳務省に務めるキティは、脳務大臣のニコラスと密かに愛を育んでいたが、脳務省の権力が増大していく中、二人の愛は迷走する……。赤尾秀子訳/北村紗衣 解説
(作品社 2420円)[amazon]

ラルフ・エリスン 『見えない人間 上・下
僕は見えない人間である――白人の理事を旧奴隷地区へ案内する失敗を犯して大学を追われ、ニューヨークへやってきた黒人青年は、演説の才を見出されて民衆運動組織に加わり、ハーレム地区の代表となるが……。20世紀アメリカ文学を代表する名作。全米図書賞受賞。松本昇訳
(白水Uブックス 2640円/2530円)[amazon]

H・P・ラヴクラフト 『狂気の山脈にて クトゥルー神話傑作選

南極大陸に足を踏み入れたミスカトニック大学探検隊は、禁断の書『ネクロノミコン』の記述と重なる奇怪な化石を発見する (表題作)。ピーズリー教授の身に異変が起きた。“大いなる種族"との精神の交換がなされたのだ (「時間からの影」)。ラヴクラフトの傑作8篇を精選。南條竹則訳。【収録内容】 ランドルフ・カーターの陳述/ピックマンのモデル/エーリッヒ・ツァンの音楽/猟犬/ダゴン/祝祭/狂気の山脈にて/時間からの影
(新潮文庫 825円)[amazon]

ジェフリー・アーチャー 『レンブラントをとり返せ ロンドン警視庁美術骨董捜査班
英国を代表する名ストーリーテラーの新たな警察小説開幕。戸田裕之訳
(新潮文庫 1045円)[amazon]

クリストファー・イシャウッド 『いかさま師ノリス』
〈エクス・リブリス・クラシックス〉
1930年代、政治と文化が花開くベルリン。ワケありな紳士ノリスは東奔西走で大忙し。ナチス台頭前夜の狂乱の日々を描く予見的傑作。木村政則訳。
(白水社 3960円)[amazon]

J・M・G・ル・クレジオ 『アルマ』
自らの祖先に関心を寄せ、島を調査に訪れる大学人フェルサン。彼と同じ血脈の末裔に連なる、浮浪者同然に暮らす男ドードー。そして数多の生者たち、亡霊たち、絶滅鳥らの木霊する声……。父祖の地モーリシャス島を舞台とする、ライフワークの最新作。ノーベル文学賞作家の新たな代表作。中地義和訳
(作品社 3080円)[amazon]

E・H・シェパード 『思い出のスケッチブック 『クマのプーさん』 挿絵画家が描くヴィクトリア朝ロンドン
ヴィクトリア朝の英国、ロンドンで少年時代を送った 『クマのプーさん』 の挿絵画家、E・H・シェパードが、まわりをとりまく人々、当時の街並みやできごとを、みずみずしい筆致でつづる自伝エッセイ。120点あまりのユーモアあふれるイラストとともによみがえる、少年の日のやさしい記憶。永島憲江訳
(国書刊行会 2860円)[amazon]

ロバート・バー 『ヴァルモンの功績』
吾輩はウジェーヌ・ヴァルモンである。パリ警察ではひとかたならぬ働きをしたものの、ロンドンから来た長身の私立探偵(敢えて名を伏す)も絡んだ一件の責めを負わされ、敢えなく馘首。余生は風流韻事と洒落てもよかったが、事件のほうが吾輩を離してくれない。ドーバー海峡を渡って探偵の看板を掲げ、粉骨砕身クライアントの要望に応える日々である。本書でその一端を明かすとしよう。ホームズものパロディ2編を併載。田中鼎訳
(創元推理文庫 1100円)[amazon]

アン・クリーヴス 『地の告発』
地滑りで倒壊した家屋から、身元不明の女性の他殺死体がみつかる。ペレス警部は被害者と加害者を同時に探すことに……シェトランド島に屹立する、現代本格のマイルストーン。 玉木亨訳
(創元推理文庫 1540円)[amazon]

エドモンド・ハミルトン 『スター・キング 新版
20万年未来の銀河帝国の王子が、20世紀の地球人に心と心の交換を呼びかけてきた。応じた彼たが、時まさに恐るべき暗黒星雲の侵攻が始まり帝国の存亡は彼の双肩にかかった。 井上一夫訳
(創元SF文庫 1078円)[amazon]

モリー・グプティル・マニング 『戦地の図書館 海を越えた一億四千万冊
第二次大戦中、アメリカは戦場の兵隊に本を送り続けた――その数、およそ一億四千万冊。図書館員は寄付された書籍を兵士に送る運動を展開し、軍と出版業界は兵士用の新しいペーパーバック“兵隊文庫”を発行し、あらゆるジャンルの本を戦地に送り届けた。史上最大の図書作戦を描いた傑作ノンフィクション。文庫化。松尾恭子訳
(創元ライブラリ 1100円)[amazon]

《ユリイカ》 12月号 特集=偽書の世界―ディオニュシオス文書、ヴォイニッチ写本から神代文字、椿井文書まで
古代、中世、近代、歴史の間に間に、偽書は突如現われる。発見され、執筆され、拡散される。それはパッチワークなのか、アンソロジーなのか、カノンとされたものが偽書となるとき、変容するのは歴史か解釈か。内容
(青土社 2090円)[amazon]

宮脇孝雄 『洋書ラビリンスへようこそ』
日々、好奇心の赴くままに膨大な量の洋書を読んできた翻訳家の乱読・多読な読書案内。ジョイス・キャロル・オーツ、ウィリアム・トレヴァーほか20世紀後半以降の英語圏の作家と作品を中心に取り上げる。
(アルク 1870円)[amazon]

レベッカ・ソルニット 『シンデレラ』
世界中で知られる民話が、現代の寓話に生まれ変わる。ラッカムの魅力的なイラストとともに贈る、すべての人の「変容」をめぐる絵本。渡辺葉・渡辺由佳里訳
(河出書房新社 2200円)[amazon]

ローレンス・ブロック 『石を放つとき』
マット・スカダーシリーズ最新作。エレインの昔なじみの女性が、ストーカー被害にあい、スカダーに相談をするが……。最新作+傑作短篇。田口俊樹訳
(二見書房 2750円)[amazon]

ピーター・W・M・ブレイニー 『シェイクスピアのファースト・フォリオ 偶像となった書物の誕生と遍歴
シェイクスピアの没後に刊行され、その作品群を後世に継承する礎となった、通称「ファースト・フォリオ」。この聖像的な書物の誕生と遍歴を探った、書物が主人公の異色のドキュメンタリー。五十嵐博久監訳
(水声社 2750円)[honto]

《ミステリマガジン》 1月号
特集=ミステリが読みたい!2021年版 内容
(早川書房 1320円)[amazon]

マーカス・デュ・ソートイ 『レンブラントの身震い』
絵画や音楽、小説、そして数学も? 創造性を備えたAIが人間の芸術をしのぐ日は来るのだろうか。稀代の数学者が最前線を探求する。冨永星訳
(新潮クレスト・ブックス 2750円)[amazon]

クォン・ヨソン 『レモン』
2002年、国中が日韓ワールドカップに湧くなか美貌の女子高生が殺された。犯人は捕まらぬまま、残された者たちの人生は静かに壊れていく。悲劇のあとを彷徨う魂の、痛みと祈りの物語。橋本智保訳
(河出書房新社 1870円)[amazon]

ベン・ヘクト 『ファンタジウス・マルレア/悪魔の王国』
1910年代からジャーナリスト・脚本家・作家として活躍したベン・ヘクトが性的幻想と狂気の世界を描き、米国では発禁処分に至った禁断の書、初の完訳。絹山絹子訳
(蝸牛のささやき(黒死館附属幻稚園) 2000円)取扱=盛林堂

《Re-ClaM》 第5号
【特集】 ロス・マクドナルドの新たな巡礼 (法月綸太郎/柿沼瑛子/若島正/三門優祐)/ジョセフ・グッドリッチ 「オン・ザ・ロード・ウィズ・マンフレッド・B・リー」(第1回)/他 内容
(Re-ClaM 1000円) 取扱=盛林堂
《Re-ClaM eX》 vol.2
H・C・ベイリー 「家具付きコテージ」 「雪玉泥棒」、エドワード・D・ホック 「楽園の蛇」 を収録。
(Re-ClaM 500円)取扱=盛林堂

《Murder, She Drew, Vol.2: Notes of the Curious by the Curious for the Curious》
ジョン・ディクスン・カーの歴史ミステリ15作の事件や物語の「現場」を図解し、森咲郭公鳥、森脇晃、kashiba@猟奇の鉄人の三人がその魅力を作品ごとに語りつくす。
饒舌な中年たち文学フリマ東京(11/22)で販売

ダンセイニ卿 『ペガーナ・コレクション第4巻 過ぎ去りし不幸』
『戦争の物語』がファンタジー創作であるのに対し、この作品集は戦争の現実とそれに関わる人々の哀しみを綴った散文詩のごとくの出来栄え。悲惨だからこそ作者の誠実な人間性がにじみ出る愛すべき作品集。稲垣博訳
盛林堂ミステリアス文庫 1500円)

石原藤夫 『石原藤夫ショートショート集成』
単行本未収録ショートショート41編に加え、 連作ショートショート集 『新電気未来物語』 『海洋未来物語』 (いずれも12話) の2冊分も全て収録。高井信編
盛林堂ミステリアス文庫 3500円)

《機関精神史》 三号
〈特集=アフロ・マニエリスムの驚異〉
機関精神史文学フリマ東京(11/22)で販売

『諸星大二郎 デビュー50周年記念 異界への扉』
デビュー50周年記念の大規模な展覧会「諸星大二郎展 異界への扉」の公式図録。名シーンの原画、作品に関連する貴重な土器や絵巻、作品解説や新規インタビューも収録した豪華永久保存版。
(河出書房新社 2970円)[amazon]

クラーク・アシュトン・スミス短編小説撰集 参 『深淵に棲むもの』

「驚嘆の星」「暗黒の時代」「深淵に棲むもの」「地球の変容」「不死鳥」「グール」「ゴルゴン」を収録。全編単行本未収録新訳。大網鐵太郎編
(綺想社 5000円)取扱=盛林堂

オー・ヘンリー 『オー・ヘンリー傑作集1 賢者の贈り物』
世界中でもっとも愛読されている表題作はじめ、「警官と讃美歌」 「金のかかる恋人」 「春の献立表」 など、短編の名手オー・ヘンリーが、1900年代初頭のニューヨークに暮らす庶民の姿を独特のユーモアとペーソスを交えて描きだした短編16話を収録。越前敏弥訳
(角川文庫 726円)[amazon]

チャールズ・ディケンズ 『クリスマス・キャロル』
クリスマスの前夜、老守銭奴スクルージのもとに、「過去」 「現在」 「未来」 の三幽霊と、昔の相棒マーリーの幽霊が現れ、これまで彼が行ってきた冷血非道な行いの数々を見せる。世界中でもっとも愛されているクリスマス・ストーリーの名作。越前敏弥訳
(角川文庫 550円)[amazon]

中島敦 『文字禍・牛人』
アッシリアにある世界最古の図書館には、毎夜文字の精霊が出るという。文字に支配される人間を寓話的に描いた 「文字禍」 をはじめ、「狐憑」 「木乃伊」 「虎狩」 等、人間の普遍を目指した著者の傑作6篇を収録。
(角川文庫 528円)[amazon]

細川周平 『レコード歌謡の誕生 黒船から終戦まで
関東大震災以降、音響テクノロジーの進化と複製技術の発展によって、大きな転換期を迎えた音楽産業の様相を叙述する。レコード会社は、作詞・作曲・演奏・歌唱を統括して、流行歌謡の大ヒットと大量消費を巧みに主導していった。併せて、ラジオやトーキーをはじめ同時代におけるメディアの強化と人びとの知覚の変容を描く。
(岩波書店 14,300円)[amazon]

《幻想と怪奇 4》 吸血鬼の系譜 スラヴの不死者から夜の貴族へ
ロシアの古典 「吸血鬼の一族」 をはじめ、吸血鬼に忌避と憧憬を共に抱くアメリカン・ポップカルチャーの小説を経て、「不死」 「血」 「夜」 をキーワードに新たな解釈で語られる21世紀の吸血鬼譚までを一冊に収める。内容
(新紀元社 2420円)[amazon]

ドロシー・L・セイヤーズ 『モンタギュー・エッグ氏の事件簿』
〈論創海外ミステリ〉
セイヤーズの創造したもうひとりの名探偵モンタギュー・エッグ・シリーズ6篇と、ウィムジイ物1篇、ノン・シリーズ物6篇を収めた日本オリジナル編集の短篇集。収録内容 井伊順彦編訳
(論創社 3080円)[amazon]

小山聡子 『もののけの日本史 死霊、幽霊、妖怪の1000年
モノノケは古代・中世において正体不明の死霊を指し、病気や死をもたらす恐ろしい存在として貴族たちを悩ませた。近世に入ると幽霊や妖怪と混同され、怪談や図案入りの玩具などで親しまれるようになる。近代以降は根拠なきものとして否定されつつも、怪異は根強い人気を博し人々の興味をひきつけてやまない。モノノケの系譜をたどりながら、日本人の死生観、霊魂観に迫る。
(中公新書 990円)[amazon]

イ・ラン 『アヒル命名会議』
人間でいようとするから辛いのよ。早くゾンビになっちゃえば?――ソウル全域を食人ウイルスが襲う 「いち、に、さん」 ほか、新時代の自由を拓く稀代の才能による13の物語。斎藤真理子訳
(河出書房新社 1980円)[amazon]

ジョー・ネスボ 『ファントム 亡霊の罠上・下
最愛の人の息子が殺人容疑で逮捕され、真相を探るため奔走するハリー。オスロの暗黒面の黒幕と対峙して、愛する者を守れるか!? 戸田裕之訳
(集英社文庫 1485円/1375円)[amazon]

ロバート・マクファーレン 『アンダーランド 記憶、隠喩、禁忌の地下空間
恐ろしくも美しい洞窟、地下のダークマター観測所、大戦の傷が残る東欧の山地、グリーンランドの氷穴、北欧の核廃棄物の墓――英国の優れたネイチャーライターが様々な土地の地下と、そこに関わる人々の思いをたどる。数々の賞を受賞したアウトドア文学の傑作。岩崎晋也訳
(早川書房 2970円)[amazon]

サム・J・ミラー 『黒魚都市』
感染症〈ブレイクス〉が流行している北極圏の街クアナークでは、さまざまな事情を抱えた人々が暮らしていた。そこでなかば伝説として語り継がれるのは、シャチやホッキョクグマといった動物と意識を共有し一体になれる女の物語だった。キャンベル記念賞受賞作。中村融訳
(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 2310円)[amazon]

コルソン・ホワイトヘッド 『ニッケル・ボーイズ』
1960年代アメリカ。アフリカ系アメリカ人の真面目な少年エルウッドは、無実の罪により少年院ニッケル校に送られる。しかし校内には信じがたい暴力や虐待が蔓延していた――。実在した少年院をモデルに描かれた長篇小説。藤井光訳
(早川書房 2200円)[amazon]

コートニー・サマーズ 『ローンガール・ハードボイルド』
妹が殺され、セイディは殺しにいった。ひとりきり復讐の旅路に消えた彼女の足取りを、ラジオDJが追う。エドガー賞YA部門受賞作。高山真由美訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 1480円)[amazon]

マーク・グリーニー 『暗殺者の悔恨 上・下
東欧の極悪戦犯を制裁するため、グレイマンは射殺でなく潜入による暗殺を試みる。この選択が、ある女性たちの悲劇へと繋がり……。伏見威蕃訳
(ハヤカワ文庫NV 各990円)[amazon]

橋本輝幸編 『2000年代海外SF傑作選』
イーガン、ジェミシン、ストロス、ドクトロウ……。2000年代に発表された海外SF作品の粋をあつめた充実の年代別アンソロジー。
(ハヤカワ文庫SF 1276円)[amazon]

嵯峨景子・三村美衣・七木香枝 『大人だって読みたい!少女小説ガイド』
懐かしのあの名作から人気作家の代表的なエンターテイメントノベル、マニアックな世界観を描いた話まで、新旧含めて多岐にわたる少女小説100冊以上を一挙紹介。
(時事通信出版局 1980円)[amazon]

モーリーン・ジョンソン 『寄宿学校の天才探偵2 エリンガム最後のメッセージ
エリンガム・アカデミーは全寮制の学校。新入生のスティヴィは推理マニア、過去に起きたアカデミーの創始者エリンガムの妻と娘が誘拐された事件を調べている。身代金が払われたのに妻は殺され、娘は行方不明のまま、犯人も不明。スティヴィは事件の再調査を課題として与えられるが、そこへ新たに殺人が……。谷泰子訳
(創元推理文庫 1540円)[amazon]

ステファン・コリーニ 『懐古する想像力 イングランドの批評と歴史
T・S・エリオットからリーヴィス夫妻、ウィリアム・エンプソン、リチャード・ホガート、レイモンド・ウィリアムズまで。歴史学と文学のはざまで時代を彩る歴史認識、同時代社会の自己了解への視座をもたらしてきた20世紀文芸批評の変遷をたどる。2017年度、オックスフォード大学フォード記念講演。
(みすず書房 5720円)[amazon]

エミリー・ホーキンス (文)/ジェシカ・ルー (画) 『妖精図鑑』
妖精は、私たちの世界にひっそりと共存している。庭の妖精、海辺の妖精、山の妖精……それぞれの環境に適応する妖精の特徴や秘密を美しいイラストレーションで紹介。小林玲子訳
(河出書房新社 3520円)[amazon]

横溝正史 『完本 人形佐七捕物帳 六』
人形を思わせる色男の岡っ引き、 佐七が次々と江戸の事件を解決していく推理劇 。最新の研究で明らかにされた全180 篇を 、綿密な校訂のもと初めて発表順に完全収録。
(春陽堂書店 予価4950円)[amazon]


生島治郎 『頭の中の昏い唄』

単調な日々に倦んだ男が、ある夜団地の屋上で、耳ざわりな童謡を歌っている少女と出逢い、人生が変わる表題作ほか、悪夢から悪夢へと跳躍する、直木賞作家の奇妙な味の短篇集。短篇集 『あなたに悪夢を』 『東京2065』 を全収録。日下三蔵編
(竹書房文庫 1430円)[amazon]

マイクル・コナリー 『素晴らしき世界 上・下
深夜勤務からハリウッド署に戻ってきた刑事レネイ・バラードは、古い未解決事件ファイルを見ず知らずの男が漁っていたのに気づく。男はロス市警を引退したハリー・ボッシュ。バラードは彼が調べていた15才の家出少女がハリウッドの路地で殺害された事件に興味を抱き、ボッシュと協力して真相解明に向かう。古沢嘉通訳
(講談社文庫 各990円)[amazon]

ジャンニ・ロダーリ 『緑の髪のパオリーノ』
畑で働くピエトロの家に緑色の髪の毛の赤ん坊が生まれてびっくり。見に来た女の人たちは「サラダのパオリーノ」と言い出して……。タイトルにつながる「パオリーノの木」ほか、シュールだけれど温かい珠玉の短編集。内田洋子訳
(講談社文庫 880円)[amazon]

ジョージ・オーウェル 『カタロニア讃歌』
ヴァルター・ベンヤミン 『ボードレール 他五篇
(岩波文庫)重版

イアン・ワトスン 『オルガスマシン』
男たちの妄想と欲望を具現化したカスタムメイド・ガールたちの数奇な物語。著者の妻でもあるイラストレーターのジュディ・ワトスンのイラストも収録して文庫化。大島豊訳
(竹書房文庫 1100円)[amazon]

夏目漱石 『文豪怪奇コレクション 幻想と怪奇の夏目漱石』
文豪夏目漱石は、大のおばけずきで、幻想と怪奇に彩られた名作佳品を手がけている。西欧幻想文学の影響が色濃い「倫敦塔」「幻影の盾」から心霊小説の名作「琴のそら音」を経て、名高い傑作「夢十夜」、さらには今回初めて文庫化される怪奇俳句や怪奇新体詩まで、漱石が遺した怪奇幻想文学作品のすべてを1冊に。東雅夫編
(双葉文庫 836円)[amazon]

楢喜八作品集 『誰かが見ている』
1968年のデビュー以来、不思議な「ブラックとユーモア」を描きファンを魅了し続ける楢喜八の世界。初期から近年までのオリジナル作品、一世を風靡したミステリー・SF小説や「学校の怪談」シリーズの仕事を網羅。貴重なインタビューも収録。
こぶな書店 2970円)

ジョージ・マクドナルド/モーリス・センダック(絵) 『金の鍵』
虹のたもとで、金色に輝く鍵を見つけた男の子が出会ったのは、妖精の国に迷いこんだ女の子。二人は鍵穴を探して、世にも不思議な旅を続けます。空飛ぶ魚、影の海……神秘的な美しさに満ちたマクドナルドの傑作ファンタジーを、センダックの繊細な技で描く、愛蔵版。脇明子訳
(岩波書店 1650円)[amazon]

ジョージ・マクドナルド/モーリス・センダック(絵) 『かるいお姫さま』
魔女の呪いのせいで、ふわふわ浮いて、けらけら笑ってばかりのお姫さま。重さがもどる唯一の場所である湖が魔女のたくらみで干上がり、お姫さまはしだいに弱っていきますが……。マクドナルドのおとぎ話を、センダックの詩情豊かな線画が彩る、愛蔵版。脇明子訳
(岩波書店 1650円)[amazon]

稲泉連 『「本をつくる」 という仕事

ミスをなくすための校閲。本の声である書体の制作。もちろん紙も必要だ。本を支えるプロに仕事の話を聞きにいった、情熱のノンフィクション。
(ちくま文庫 814円)[amazon]

池内紀 『幻獣の話』
マルコ・ポーロがスマトラで目にした一角獣、フランスの教会の壁面に刻まれた大耳人間、日光東照宮を彩る幾多の霊獣に、目まぐるしく姿を変える千変万化のバルトアンデルス…….。古今東西の書物に記された、不思議で興味深い生きものたちをめぐるエッセイ。
(講談社学術文庫 924円)[amazon]

パク・サンヨン 『大都会の愛し方』
〈となりの国のものがたり7〉
喧騒と寂しさにあふれる大都会で繰り広げられる多様な愛の形。さまざまに交差する出会いと別れを切なく軽快に描く。韓国で新時代の文学として大きな話題を呼んだベストセラー連作小説。オ・ヨンア訳
(亜紀書房 1760円)[amazon]

山尾悠子 『飛ぶ孔雀』
シブレ山の石切り場で事故があって、火は燃えにくくなった。シブレ山の近くにあるシビレ山は、水銀を産し、大蛇が出て、雷が落ちやすい。懐かしいようで全く不可思議な「不燃」の世界を舞台に繰りひろげられる、稀代の幻想小説。
(文春文庫 814円)[amazon]

ジェフリー・ディーヴァー 『スティール・キス 上・下
NYで男性がエスカレーターに巻き込まれ痛ましい死を遂げる。刑事アメリアとライムは、日常の機械を凶器に変える連続殺人犯を追う。池田真紀子訳
(文春文庫 957円/1012円)[amazon]

G・E・レッシング 『賢者ナータン』
舞台はエルサレム。最高権力者 (スルタン) サラディンの恩赦を受けた若いテンプル騎士に養女を助けられたユダヤ人豪商ナータンが、サラディンから難問 「三つの宗教のうちいずれが真の宗教か」 を突きつけられる。18世紀ドイツの劇作家レッシングの代表作。丘沢静也訳
(光文社古典新訳文庫 1056円)[amazon]

マルティン・ハイデガー 『存在と時間 8』
前巻では死に臨む存在としての現存在の決意性から、独自の時間概念を提示した。この巻では現存在の 「誕生と死のあいだの時間」 について歴史性と時間內部性という観点から考察し、ヘーゲルの時間概念も取り上げ、現存在の存在に迫る (最終巻)。中山元訳
(光文社古典新訳文庫 1364円)[amazon]

アンドレス・バルバ 『きらめく共和国』
ジャングルと川に挟まれた亜熱帯の町に、理解不能な言葉を話す32人の子どもが現れた。彼らは物乞いをし盗みを働き、スーパーで市民に襲いかかる。そして数ヶ月後、不可解な状況で一斉に命を落とした――。現代スペインを代表する作家が奇妙な事件を通して描く、純粋で残酷な子どもたちの物語。宇野和美訳
(東京創元社 1980円)[amazon]

北原尚彦 『初歩からのシャーロック・ホームズ』
1887年、『緋色の研究』 で登場して以来、シャーロック・ホームズは、小説、コミック、映像、ゲームなどメディアの変遷に乗り、名探偵として世界中で親しまれてきた。国と世代を越えて、どうしてこれほど人気を保ち続けているのか。日本屈指の研究家がそんなホームズの謎に迫り、魅力を初歩から解説。マニアも楽しめる読み所とエピソードが満載、資料も入った永久保存版。
(中公新書ラクレ 968円)[amazon]

オルガ・トカルチュク /ヨアンナ・コンセホ(絵) 『迷子の魂』
あるところに、忙しすぎて魂をなくしてしまった男がいた。男は医師の助言にしたがい、迷子になった魂をじっと待つことにする。すると――。ノーベル文学賞作家トカルチュクが、コンセホのノスタルジックな絵とともに贈る、子どもたちと、忙しい大人たちのための、大切な魂のものがたり。小椋彩訳
(岩波書店 2750円)[amazon]

エドワード・ゴーリー 『金箔のコウモリ』
著名なバレリーナに見出された少女モーディーが、長い修行時代を経て、ヨーロッパに渡り、時代を象徴するバレリーナとなるまでを描く傑作。バレエマニア・ゴーリーによる光と闇の物語。柴田元幸訳
(河出書房新社 1430円)[amazon]

『平野甲賀と』
大胆かつ繊細な描き文字を配した数多くの本の装丁、そして演劇集団「黒テント」のポスターデザイン・舞台美術などの仕事で知られる装丁家・グラフィックデザイナー、平野甲賀による描き文字〝画文集〟の決定版。
book and sons 4400円) 取扱=horo books

アンジー・キム 『ミラクル・クリーク』
郊外の町ミラクル・クリークの治療施設で火災が発生し、二名が命を落とした。1年後、はじまった裁判は、施設の経営者一家、その患者、関係者たちの秘密を明らかにする……。エドガー賞最優秀新人賞&国際スリラー作家協会最優秀新人賞二冠、心揺さぶる傑作。服部京子訳
(ハヤカワ・ミステリ 2420円)[amazon]

ジェシカ・タウンゼント 『ネバームーア2 魔法学園の危機』
ようやく魔法都市ネバームーアに住むことを許され、特別な能力を 持つ子供の学校《輝きの結社》に通えることになったモリガン。し かし他の同級生からは恐れられ同じ授業も受けさせてもらえない日 々……そんなとき学校関係者や街の住人が次々に姿を消す事件が。田辺千幸訳
(早川書房 2860円)[amazon]

トム・クランシー/スティーヴ・ピチェニック 『復讐の大地 上・下
対ISIL世界連合の大統領特使アンダーウッド将軍の一行が、シリアのアルブカマル市に向かう途中、攻撃を受けて車両縦隊は全滅、将軍は誘拐された。数時間後、アメリカ大統領と高官たちは、ISILによる将軍の斬首をライブテレビで見ることに……。オプ・センター新シリーズ第三弾。伏見威蕃訳
(扶桑社ミステリー 各1012円)[amazon]


▼10月刊

片岡一郎 『活動写真弁史 映画に魂を吹き込む人びと
江戸時代の「絵解き」、映画の発明、当時の首相を超えるギャラ、関東大震災、女性弁士、トーキーの登場、未曾有のストライキ……。初期の日本映画に欠かせない存在、「活動写真弁士」。国際的に活躍する現役の活動弁士が執筆した初の通史である本書は、新発見の事実や資料を駆使して、時代に翻弄される群像を描く。映画史・大衆芸能史の空白を埋める決定的な一冊。
(共和国 7260円)[amazon]

都筑道夫 『推理作家の出来るまで 上・下
「エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン」 日本語版の初代編集長をつとめ、翻訳ミステリ、SF編集者として活躍、作家としては 『やぶにらみの時計』 『誘拐作戦』 「なめくじ長屋捕物さわぎ」 シリーズなど著作多数、『黄色い部屋はいかに改装されたか』 などの評論でも大きな影響を与えた、推理作家・都筑道夫の半自伝エッセー。新版
(フリースタイル 2200円/2310円)[amazon]

イタロ・カルヴィーノ 『まっぷたつの子爵』
トルコとの戦争へ出かけたメダルド子爵は、敵の砲弾でまっぷたつに体を引き裂かれながら奇跡的に一命をとりとめ、右半身だけで領地に帰ってきた。しかし、その性格は以前とは一変、人々は半分になった子爵が落とす邪悪な影に怯え始める。《我々の祖先》三部作の第一作『まっぷたつの子爵』 新訳。オムニバス版の作者序文 「一九六〇年の覚書き」(本邦初訳)を収録。村松真理子訳
(白水Uブックス 1760円)[amazon]

ステファン・ヘルトマンス 『戦争とテレピン油』
〈フランダースの声〉
祖父は、おのが半生を2冊のノートに綴っていた。戦争の記憶と美の崇高に捉えられ、離れられなかったその生涯を、手稿を託された孫が読み解く。ベルギーにおけるオランダ語文学の「現在」を紹介するシリーズ第4弾。新目亜野訳
(松籟社 2750円)[amazon] [honto]

『夜ふけに読みたい 神秘なアイルランドのおとぎ話』
『夜ふけに読みたい数奇なアイルランドのおとぎ話』の続編。日本でも人気のケルト神話「フィン・マク・クウィル伝説」を中心に編まれたアンソロジー。挿絵アーサー・ラッカム。加藤洋子・吉澤康子・和爾桃子訳
(平凡社 2420円)[amazon]

マイケル・ドズワース・クック 『図書室の怪 四編の奇怪な物語
ジャックは大学時代の友人サイモンから、館にある図書室の蔵書目録の改訂を頼みたいという連絡を受けた。だが、すっかり窶れ果てたサイモンに見せられた、彼の亡き妻の手記には信じられない出来事が綴られていた。表題作始め4編を収録。ポオの研究家でもある著者による、クラシックな香り高い英国怪奇幻想譚。山田順子訳
(創元推理文庫 1012円)[amazon]

ネレ・ノイハウス 『森の中に埋めた』
キャンピングトレーラーが炎上し大爆発が起きた。放火の痕跡があり、男の焼死体が見つかる。刑事オリヴァーとピアは捜査を始め、トレーラーの持ち主がオリヴァーの級友の母親だと判明するが、ホスピスにいた彼女は、何者かに窒息死させられてしまう。次々と起こる殺人の被害者や容疑者はオリヴァーの顔見知りばかりで、さらに42年前のある事件が関係している可能性が……。〈刑事オリヴァー&ピア〉シリーズ最新作。酒寄進一訳
(創元推理文庫 1760円)[amazon]

中村禎里 『狐付きと狐落とし』
霊力を持つキツネが人に取り付く目的や因縁はなにか? そして誰が、どのような方法でキツネを祓ったのか? さまざまな事件や現象・症例などを検証し、江戸から盛んに行われた、不思議かつ魅惑的な動物信仰の実態に迫る。『狐の日本史 近世・近代篇』 (日本エディタースクール出版部、2003) の改題新版。
(戎光祥出版 3080円)[amazon]

スティーヴン・キング/オーウェン・キング 『眠れる美女たち 上・下
女子刑務所のある小さな田舎町で凶悪事件が発生した。山間部の麻薬密売所を謎の女が襲撃、殺人の後、火を放ったのだ。女はほどなく逮捕され、刑務所に移送される。彼女の名はイーヴィ。世界を奇妙な疫病が襲いはじめたのはこの頃だった……。巨匠が息子と組んで贈るパンデミック・ホラー大作。白石朗訳
(文藝春秋 各2750円)[amazon]

カルミア・アバーテ 『海と山のオムレツ』
食べることはその土地と生きてゆくこと。南イタリア、カラブリア州出身の作家が、絶品郷土料理と家族の記憶を綴る自伝的短篇集。関口英子訳
(新潮クレスト・ブックス 2090円)[amazon]

『西洋文学にみる異類婚姻譚』 山内淳監修
人魚姫、妖精、魔女、女神、『美女と野獣』、吸血鬼、狼男、クトゥルフ神話……「人と異類との境界線」 を問うことで、人間の定義を再考する。異類との恋愛・結婚が描かれた摩訶不思議な西洋文学の旅へご招待。目次
(小鳥遊書房 2860円)[amazon] [honto]

ジュリエット・コーノ 『ツナミの年』
ハワイの日系アメリカ人作家が描く無慈悲なる母としての海のイメージには、喜び、怒り、哀しみ、楽しみといった人間感情のすべてが融解し凝縮されている。牧野理英訳
(小鳥遊書房 2640円)[amazon]

細川周平 『デモクラシイの音色
 黒船から終戦まで
日露戦争後から関東大震災までのおよそ20年間、広く人びとの生活に洋楽文化の諸要素が進出していく様相を叙述する。流行歌の曲調が欧化し、西洋の音楽家たちも数多く来日して、若者たちが洋楽器を手にしつつ、芸術音楽を語る時代であった。併せて、童謡運動の勃興、家庭音楽の提唱、浅草オペラの誕生などが描かれる。
(岩波書店 14,300円)[amazon]

『刑事コロンボの帰還』 山口雅也総指揮/菊池篤編
倒叙推理ドラマの金字塔 《刑事コロンボ》 研究に、著名作家による短編作品や新訳作品など創作を多数掲載。
(二見書房 2090円)[amazon]

『片山廣子幻想翻訳集 ケルティック・ファンタジー
〈銀河叢書〉
大正期、アイルランド文芸復興運動に日本から連帯した翻訳家・松村みね子(筆名)。芥川や鷗外が激賞した美しき夢想の徒による、野蛮かつ荘厳な、精霊の息づく世界。フィオナ・マクラオド 『かなしき女王』、ベイン 『印度風綺譚』、『アイルランド民話』 他。内容 未谷おと編
(幻戯書房 5280円)[amazon]

ペタル二世ペトロビッチ゠ニェゴシュ 『山の花環 小宇宙の光』
〈ルリユール叢書〉
イスラム教改宗者の討伐という歴史的事件を材に、民衆の「哀しき人間の運命」を綴った、セルビア「第二の聖書」と目される一大詩篇『山の花環』。宇宙創造、人間の堕落と魂の救済を詠う『小宇宙の光』。セルビア文学の金字塔となった、ニェゴシュを代表する二大叙事詩。田中一生・山崎洋訳
(幻戯書房 7150円)[amazon]

イボ・アンドリッチ 『イェレナ、いない女 他十三篇
〈ルリユール叢書〉
不正義、不条理に満ちた世界で人びとはいかに生きるか。歴史に翻弄される民族を見つめ、人類の希望を「橋」の詩学として語り続けたノーベル文学賞作家アンドリッチ──「橋」、短編小説八篇、散文詩『エクス・ポント(黒海より)』と「不安」、エッセイ三篇を収録した精選作品集。田中一生・山崎洋・山崎佳代子訳
(幻戯書房 4950円)[amazon]

フィリップ・フォレスト 『洪水』
百年前の洪水、第二次大戦、秘密裡に猛威を振るう「伝染病」……ピアニストと恋に落ちた主人公がパリを舞台に綴る美しき消失の物語。澤田直・小黒昌文訳
(河出書房新社 予価3575円)[amazon]

大坂圭吉 『村に医者あり』
大坂(大阪)圭吉が自身の故郷である東三河を舞台として執筆した長篇小説 『ここに家郷あり』 (昭和18年刊) を、作者の言葉に従って 『村に医者あり』 に題名を変更。初出紙の豊橋同盟新聞版(昭和17年連載)を底本にし、戦後初の復刊。
盛林堂ミステリアス文庫 2500円)

《SFマガジン》 12月号
〈中国SF特集 科幻世界×SFマガジン〉
中国SFシーンをリードしてきたSF雑誌〈科幻世界〉と、SFマガジンのコラボレーション特集。ベテランから新鋭まで中国SFの豊穣さが味わえる訳し下ろしの3短篇、ブックガイドなどで魅惑の中国SF世界をご案内する。
(早川書房 1320円)[amazon]

デイヴィッド・リンチ/クリスティン・マッケンナ 『夢みる部屋』
異能の映画監督デイヴィッド・リンチの創造的な人生を、リンチ自身の言葉と、身近な同僚、友人、家族の言葉の両面からひもといていく、いまだかつてないユニークな自伝。山形浩生訳
(フィルムアート社 4950円)[amazon]

F・スコット・フィッツジェラルド 『ラスト・タイクーン』
ハリウッドで書かれたあまりにも早い遺作、著者の遺稿を再現した版からの初邦訳。映画界を舞台にした、初訳3作を含む短編4作品 (「クレージー・サンデー」 「監督のお気に入り」 「最後のキス」 「体温」)、西海岸から妻や娘、仲間たちに送った書簡24通を併録。最晩年のフィッツジェラルドを知る最良の一冊、日本オリジナル編集。上岡伸雄訳
(作品社 3080円)[amazon]

マシュー・L・トンプキンス 『トリックといかさま図鑑 奇術・心霊・超能力・錯誤の歴史
人体切断、縄抜け、降霊会、死者や超自然との対話、エクトプラズム、ポルターガイスト、こっくりさん、念写、超能力、錯視……私たちを魅了する奇跡と奇術は表裏一体だ。本物の魔法だと信じられていた初期の奇術が、洗練された舞台芸術として確立するまでを、詐欺師とマジシャンの攻防を軸に解き明かす。定木大介訳
(日経ナショナルジオグラフィック社 3960円)[amazon]

アフマド・サアダーウィー 『バグダードのフランケンシュタイン』
連日自爆テロの続く2005年のバグダード。古物商ハーディーは町で拾ってきた遺体のパーツを縫い繋ぎ、一人分の遺体を作り上げた。しかし翌朝遺体は忽然と消え、代わりに奇怪な殺人事件が次々と起こるようになる。そして恐怖に慄くハーディーのもとへ、ある夜 「彼」 が現れた。自らの創造主を殺しに――。国家と社会を痛烈に皮肉る衝撃のエンタテインメント群像劇。ブッカー国際賞、アーサー・C・クラーク賞の最終候補作。柳谷あゆみ訳
(集英社 2640円)[amazon]

ウラジーミル・ソローキン 『マリーナの三十番目の恋』
旧ソ連モスクワ。退廃的な日々を送る反体制レズビアン音楽教師マリーナが、30番目の恋によって模範工員となる。破格の文体と過激な描写で高く評価される、『青い脂』 と並ぶ初期代表作。松本隆志訳
(河出書房新社 3520円)[amazon]

柴田宵曲編 『幕末武家の回想録』
大名から御家人まで、江戸時代の元武士たちが明治維新後に語った回顧談。江戸時代の生活・習俗・規則などの話題から、薩英戦争や大政奉還のような大事件まで、当事者として居合わせた人々だからこそできる貴重な話を柴田宵曲が編む。『幕末の武家』(青蛙房)の文庫化。
(角川ソフィア文庫 1452円)[amazon]

寺田寅彦 『読書と人生』
近代市民精神の発見であると共に、寅彦随筆の転換ともなった「丸善と三越」をはじめ、「読書論」「人生論」「科学者とあたま」「科学に志す人へ」「わが中学時代の勉強法」「『徒然草』の鑑賞」等29篇収録。
(角川ソフィア文庫 924円)[amazon]

松岡正剛 『千夜千冊エディション 方法文学 世界名作選2
神話を下敷きにしたジョイス、ハードボイルドなチャンドラー、「方法」を提唱したヴァレリー。彼らは激しい日々を作品に昇華させた。19世紀後半~20世紀前半の世界文学史を転換させた名作を一気に紹介。
(角川ソフィア文庫 1606円)[amazon]

ウィリアム・シェイクスピア 『新訳 リア王の悲劇』
引退を決意した古代ブリテンの老王リアは三人の娘に自分への愛を競わせるが、美辞麗句を嫌う三女コーディーリアに激怒し勘当する。だが長女と次女の結託により、全てを奪われたリアは……。四大悲劇の中で最も悲劇的と言われる傑作。改訂版の全訳に初版の台詞、徹底解説を付す。河合祥一郎訳
(角川文庫 792円)[amazon]

パウル・ゴマ 『ジュスタ』
〈東欧の想像力〉
単一政党体制下の1950年代ルーマニア。作家・批評家養成機関 「文学学校」 に入学した語り手「ぼく」は、ひとりの女子学生と出会う。「正義の女」=ジュスタとあだ名された彼女を待ち受ける苦難とは――ルーマニアの反体制派の代表と目される作家パウル・ゴマが、学生時代を回想して綴る自伝的小説。住谷春也訳
(松籟社 2200円)[amazon]

野呂邦暢 『野呂邦暢ミステリ集成』
芥川賞作家・野呂邦暢の端正な文体で読者を魅了した多彩な作品群の中からミステリ作品を初集成。早すぎる晩年の5年間に発表された「失踪者」「もうひとつの絵」「ある殺人」など中短篇8編と随筆8編を収録。解説=堀江敏幸
(中公文庫 1100円)[amazon]

M・G・レナード/サム・セッジマン 『列車探偵ハル 王室列車の宝石どろぼうを追え!
〈ハヤカワ・ジュニア・ブックス〉
少年ハルは、紀行作家の伯父とともに豪華蒸気機関車「ハイランド・ファルコン号」の最終運行に参加する。しかし、セレブだらけの出発セレモニーで宝石どろぼうが発生し……列車旅のときめきと謎解きのドキドキを詰めこんだシリーズ、出発進行! 武富博子訳
(早川書房 1430円)[amazon]

オノレ・ド・バルザック 『サンソン回想録 フランス革命を生きた死刑執行人の物語
パリの死刑執行人〈ムッシュー・ド・パリ〉を代々務めるサンソン家の4代目当主として、ルイ16世、マリー・アントワネット、ロベスピエール、サン‐ジュストら、3000人余を手にかけた男、シャルル‐アンリ・サンソン――サンソン家に代々伝わる資料と直接取材を基に、フランスを代表する文豪バルザックが描く、革命期を生きた処刑人の物語。安藤正勝訳
(国書刊行会 2640円)[amazon]

繁田信一 『平安朝の事件簿 王朝びとの殺人・強盗・汚職
下級貴族の殴り込み、未亡人の土地を奪う高利貸、皇族の稲倉を放火、海賊の首領になった貴族――平安朝で巻き起こる凶悪な犯罪の数々。治安を司る検非違使の長官が残した文書に記された生々しい現場の声。真の平安時代が蘇る。
(文春新書 968円)[amazon]

オスカー・ワイルド 『オスカー・ワイルド書簡集 新編 獄中記 悲哀の道化師の物語
近年、ニューヨークで刊行された 『オスカー・ワイルド全書簡』 をもとに、ワイルドが投獄されるきっかけとなった事件の発端から、同性愛裁判、獄中の真実、そして出獄後の放浪、死までを、訳者の詳細な解説と注とともに、ひとつの物語として再構成する。宮﨑かすみ編訳
(中央公論新社 3850円)[amazon]

J・D・バーカー 『猿の罰』
シカゴの街を震撼させる連続殺人鬼〈四猿〉と、事件を追う刑事ポーター。二人が昔知り合いだったと匂わす写真が発見され、捜査本部は騒然となる。各地で次々と見つかる 「父よ、お許しください」 と懺悔の句が添えられた“祈る死体"。それは四猿による最後の裁きの始まりだった――すべての謎が解けるとき、その結末に驚愕する。怒涛の完結編。富永和子訳
(ハーパーBOOKS 1310円)[amazon]

《MONKEY》 vol.22 特集=悪霊の恋人
柴田元幸 編集
 シェリダン・レ・ファニュ 「カーミラ」(柴田元幸訳)/円城塔 「先生の手紙」/エドガー・アラン・ポー 「赤死病の仮面」(しりあがり寿 絵・柴田元幸訳)/エリザベス・ボウエン 「悪魔の恋人」(柴田元幸訳)/シャーリイ・ジャクソン 「悪霊の恋人」(柴田元幸訳)/カルメン・マリア・マチャド 「棲み憑く」(小澤英実訳)/他 内容
(スイッチパブリッシング 1320円)[amazon]

C・J・チューダー 『アニーはどこに行った』
妹アニーに起きた忌まわしい出来事が再び起こる。そう告げる不吉なメールでぼくは故郷に呼び戻された。ぼくの前任の教師は、「息子じゃない」という血文字を残して息子を惨殺したという。その血文字にこめられた真意を、ぼくは知っている。スティーヴン・キングが賛辞を贈る新鋭、恐怖と驚愕を増量して前作『白墨人形』をしのぐ傑作。中谷友紀子訳
(文藝春秋 2475円)[amazon]

マルク・デュガン 『透明性』
2060年代後期。個人情報を企業に提供することにより収入を得られる世界で人々が「個」を失いかけていたさなか、データを管理するトランスパランス(透明性)社の元社長が、殺人の罪に問われる。 温暖化で存亡の危機が迫る人類に、彼女が用意した壮大な計画とは。中島さおり訳
(早川書房 予価2750円)[amazon]

アンナ・シャーマン 『追憶の東京 異国の時を旅する
江戸時代から戦後にかけての東京の歴史をめぐり、作家は東京の各所を訪ね歩く。史跡を訪ね、人物に聞き取りをし、古い文献を紐解きながら、現代日本人も知らない東京の姿を〈再発見〉していく。イギリスの女性作家による、都市の記録と記憶をめぐるエッセイ。吉井智津訳
(早川書房 2420円)[amazon]

エイドリアン・マッキンティ 『ガン・ストリート・ガール』
富豪宅で起きた二重殺人。関係者が次々と不審な死を遂げ、ショーン・ダフィは錯綜する事件の渦中に身を投じる。シリーズ第四弾。武藤陽生訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 1430円)[amazon]

コルソン・ホワイトヘッド 『地下鉄道』
過酷な境遇を逃れ、自由が待つ北部をめざす奴隷少女コーラ。しかしそのあとを悪名高い奴隷狩り人が追っていた。谷崎由依訳
(ハヤカワepi文庫 1232円)[amazon]

生賴範義 『生賴範義画集 〈SAKYO MOVIES〉』
『復活の日』 『首都消失』 『日本沈没』 など、小松左京原作映画のために描かれたイラストを1冊に集成。
(復刊ドットコム 8250円)[amazon]

アガサ・クリスティー 『葬儀を終えて 新訳版
「彼は殺されたんじゃなかったの?」――アバネシー家の主人リチャードの葬儀後、末妹の一言が、一族を怪事件へと巻き込んでいく。加賀山卓朗訳
(早川書房/クリスティー文庫 1276円)[amazon]

ダニエル・アレンソン 『地球防衛戦線3 スカム皇帝殺戮指令』
人類の命運を賭け、スカムの母星を総攻撃する人類防衛軍。ベン-アリ率いる小隊は、皇帝を殺害するため、地下深く潜入するが……。金子浩訳
(ハヤカワ文庫SF 1452円)[amazon]

ヴィルジニー・デパント 『ウィズ・ザ・ライツ・アウト 1 ヴェルノン・クロニクル
かつては伝説のレコード店主、いまや哀愁のカウチサーファー。五十路の男ヴェルノンがたずね歩く旧友たちの心にも、90年代の輝かしい記憶が響きつづけるのであった。パリの片隅で生きる人々の哀しさと滑稽さを音楽が彩る、現代版・バルザックの 『人間喜劇』。博多かおる訳
(早川書房 2860円)[amazon]

吉田稔美 『ピープショー のぞきからくり』
〈紙絵遊びの文化〉
「ピープショー」 は17世紀末にヨーロッパで遠近法を広めるために考案された光学おもちゃ。内側に絵が描かれた箱に開けた小さな穴を片目でのぞくと、絞り効果で中の絵が奥行きを伴って立体的に見え、不思議な体験が味わえた。その歴史と仕組みを多数の図版を使って紹介。
(玉川大学出版部 4180円)[amazon]

廖瑞銘 『知られざる台湾語文学の足跡』
初めて詳らかになる台湾語文学の歴史。最大の母語人口を誇りながら、いち「方言」として扱われてきた「台湾語」。1980年代の台湾ナショナリズムの高まりから「母語復興運動」が興り、さまざまな雑誌創刊、文学キャンプ、草の根活動を経て、国民党おしきせの中国語文壇に対し、自分達の「言語」で、自分達の「文学」を花開かせる、現在進行形の文学。酒井亨訳
(国書刊行会 2640円)[amazon]

ジョン・ディクスン・カー/ジェームズ・バーナード・ハリス 『帽子蒐集狂事件 高木彬光翻訳セレクション
〈論創海外ミステリ〉
高木彬光訳/J・D・カー 『帽子蒐集狂事件』(《別冊宝石》 掲載)。表題作に関するエッセイ 「カアへの情熱」 ほか、戦後の英語教育に尽力したJ・B・ハリスが 《宝石》 に発表した短編 「死の部屋のブルース」 「蝋人形」 を収める。
(論創社 4180円)[amazon]

森英俊・野村宏平編著本の探偵2 戦後探偵小説資料集Ⅰ 飛鳥高/大河内常平/楠田匡介/栗田信
昭和30年代前後の探偵小説に焦点を当て、飛鳥高・大河内常平・楠田匡介・栗田信の小説の単行本を刊行順に書影と共に掲載。その全貌に迫る。
盛林堂ミステリアス文庫 5000円)

ジョン・ディクスン・カー 『死者はよみがえる 新訳版
冒険の末に南アフリカからロンドンへたどり着いた作家のケントは空腹に耐えかね、ホテルで朝食の無銭飲食に及ぶ。食べ終えた彼に近づいてくるスタッフ。だが、観念した彼が告げられたのは、予想外の言葉だった――。残酷不可解な殺人、2件の殺人現場で目撃された青い制服の男の怪……名探偵フェル博士が指摘した12の謎がすべて解かれるとき、途方もない真相が明らかに! 三角和代訳
(創元推理文庫 1012円)[amazon]

東雅夫編 『ゴシック文学神髄』
「オトラント城綺譚」 「ヴァテック」 「死妖姫」(カーミラ) に詩篇 「大鴉」……ゴシック文学の「絶対名作」を不朽の名訳で味わい尽くす贅沢な一冊。【内容】 ポオ詩/G・ドレ画(日夏耿之介訳)「大鴉」/ポオ(日夏耿之介訳)「アッシャア屋形崩るるの記」/ホレス・ウォルポール(平井呈一現代語訳)「オトラント城綺譚」/ベックフォード(矢野目源一訳)「ヴァテック」/レ・ファニュ(野町二訳)「死妖姫(カーミラ)」
(ちくま文庫 1430円)[amazon]

《ミステリーズ!》 Vol.103
選評 第30回鮎川哲也賞、第17回ミステリーズ!新人賞。第17回ミステリーズ!新人賞受賞作掲載。読み切り 市川憂人〈マリア&漣〉シリーズ最新作掲載ほか。
(東京創元社 1320円)[amazon]

李清俊 『うわさの壁』
夜道に突然現れ、助けを求めてきた謎の男。精神病院の医師は男のトラウマの原因を究明できると豪語するが、雑誌編集長の「私」は、男の書いた小説から朝鮮戦争の陰惨な記憶を探る――。独裁政権下の韓国を舞台に人間の本質を追求し描いた李清俊の初期代表作。吉川凪訳
(クオン 2200円)[amazon]

J・R・R・トールキン 『ベレンとルーシエン』
『シルマリルの物語』 に収録された神話群のうちのひとつ。この世で最も美しいと言われるエルフの乙女ルーシエンと、人間の勇者ベレンの恋の物語。表紙絵・本文挿絵=アラン・リー。沼田香穂里訳
(評論社 3300円)[amazon]

ミハイル・レールモントフ 『現代の英雄』
カフカスの要塞に勤めるロシア人将校ペチョーリンは、現地民との間にトラブルを引き起こすなど、身勝手で不遜な人物であった。だが詳細に綴られた彼の手記から窺えるその内面は意外なもので……。反逆精神に満ちたロシアの伝説的作家の代表作。高橋知之訳
(光文社古典新訳文庫 1166円)[amazon]

鮎川哲也 『りら荘事件 増補版
秩父山中にある大学の寮 「りら荘」 に七人の男女が避暑にやってくる。すると、婚約を発表した二人が変死。災厄は次々と学生たちに……。トリックを駆使した“館もの”の先駆的傑作。“プレりら荘”とも言える中編 「呪縛再現」 も収録。
(光文社文庫 1078円)[amazon]

ジョン・ファンテ 『ロサンゼルスへの道』
19歳、苛立ち、空回る概念、ピカピカのプライド、缶詰工場、嘘、涙……。アルトゥーロ・バンディーニのサーガ幻の第一作、本邦初訳。栗原俊秀訳
(未知谷 2750円)[amazon]

『日本印刷文化史』 印刷博物館編
日本において「印刷」は、社会に、文化にどのような役割を果たしてきたのか。最古の現存印刷と言われる、『続日本紀』にも記された法隆寺の「百万塔陀羅尼」(770)から始まり、木版、金属による活版、写真植字機の誕生、現代のコンピューター組版まで、1200年を超えて発展し続ける印刷の歴史を、個人の趣味・鑑賞から出版業の誕生、マスコミへの発展、行政・教育・学術に果たした役割を通し、技術の変遷・発展とともに体系立てて振り返る。印刷博物館創設20周年記念出版。
(講談社 2200円)[amazon]

スティーヴン・キング 『マイル81 わるい夢たちのバザールⅠ
廃墟となったパーキングエリアに駐まる1台の車。不審に思って近づいた者たちは――奇想炸裂の表題作。この世に存在しない作品が読める謎の電子書籍リーダーをめぐる「UR」。忌まわしい恐怖の物語「悪ガキ」。アメリカ文学の巨匠に捧げる「プレミアム・ハーモニー」他、全10編。巨匠がさらなる洗練をみせる短編集その1。自作解説つき。風間賢二・白石朗訳
(文春文庫 1177円)[amazon]

スティーヴン・キング 『夏の雷鳴 わるい夢たちのバザールⅡ
滅びゆく世界を静かに見つめる二人の男と一匹の犬――悲しみに満ちた風景を美しく描く表題作。湖の向こうの一家との花火合戦が行きつくとんでもない事態を描く「酔いどれ花火」。架空の死亡記事を書くと書かれた人が死ぬ怪現象に悩まされる記者の物語「死亡記事」他、バラエティあふれる10編を収録。自身による舞台裏の解説も楽しい最新短編集その2。風間賢二訳
(文春文庫 1067円)[amazon]

ジョン・グリシャム 『「グレート・ギャツビー」 を追え』
盗まれたのは、フィッツジェラルドの直筆原稿。その行方を知る者は?  村上春樹が翻訳する最強の文芸エンターテインメント。
(中央公論新社 1980円)[amazon]

キム・ヨンス 『ぼくは幽霊作家です』
〈韓国文学セレクション〉
現代韓国を代表する作家キム・ヨンスが、自らを物語ることばを持てなかった者たちの語りえない声に耳を澄まして書き上げた短篇集。橋本智保訳
(新泉社 2420円)[amazon]

ツェワン・イシェ・ペンバ 『白い鶴よ、翼を貸しておくれ チベットの愛と戦いの物語
1925年、東チベット入りした若きアメリカ人宣教師夫妻。現実は厳しく、布教は進まなかったが、夫妻は献身的な医療活動を通じて人々に受け入れられていく。だが穏やかな日々も長くは続かない。悲劇が引き起こす怨恨。怨恨が引き起こす復讐劇。そして1950年、新たな支配者の侵攻により人々は分断され、緊迫した日々が始まった。英語チベット文学の先駆者による傑作長編 (2017)。星泉訳
(書肆侃侃房 2750円)[amazon]

山田風太郎 『婆沙羅/室町少年倶楽部 山田風太郎傑作選 室町篇
百鬼夜行の南北朝動乱を婆沙羅に生き抜いた佐々木道誉、数奇な運命を辿ったクジ引き将軍義教、奇々怪々に変貌を遂げる将軍義政と花の御所に集う面々。鬼才・風太郎が描く、綺羅と狂気の室町伝奇集。
(河出文庫 1320円)[amazon]

朱鷺田祐介 『クトゥルフ神話ガイドブック 改訂版
H.P.ラヴクラフトによって創始され、その後多くの作家たちによって綴られてきたクトゥルフ神話。その系統と展開のすべてを、小説のみならず映画、コミック、ゲームなどあらゆる媒体を通して読み解く完全ガイドブック。
(新紀元社 2750円)[amazon]

谷崎潤一郎 『魔術師 谷崎潤一郎妖美幻想傑作集
初期の耽美主義、怪奇、犯罪探偵趣味、私生活的幻想――谷崎作品のなかから、蠱惑的な短編をセレクト。目次 長山靖生編
(小鳥遊書房 3080円)[amazon]

マーガレット・アトウッド 『誓願 続・侍女の物語
『侍女の物語』から十数年。ギレアデの体制には綻びが見えはじめていた。政治を操る立場にまでのぼり詰めたリディア小母、司令官の家で育ったアグネス、カナダの娘デイジーの3人は、国の激動を前に何を語るのか。カナダの巨匠による名作の、35年越しの続篇。鴻巣友季子訳
(早川書房 3190円)[amazon]

ソフィー・エナフ 『パリ警視庁迷宮捜査班 魅惑の南仏殺人ツア―』
カペスタン率いる特別捜査班に舞い込んだ今度の事件の被害者は、なんと彼女の義父だった。捜査班の面々は、プロヴァンスやリヨンで起きた事件との思わぬつながりを見つける。キャラの濃い新メンバーも加わって、さらに加速する名(迷)捜査から目が離せない。山田文・山本知子訳
(ハヤカワ・ミステリ 1980円)[amazon]

ルイース・ボイエ・アブ・イェンナス 『毒花を抱く女』
父の死をきっかけに、地方都市からストックホルムへ引っ越してきたサラ。再起を図る彼女を、次々と不可解な事件が襲うのだが……。不二淑子訳
(ハヤカワ文庫NV 1452円)[amazon]

ガード・スヴェン 『最後の巡礼者 上・下
殺された第二次大戦の英雄、森で発見された三体の白骨死体が、封印された過去を呼び覚ます。60年前の戦時下の事件と現代の殺人が交錯する警察小説大作。ガラスの鍵賞はじめ多くの北欧のミステリ賞に輝いたノルウェー・ミステリの話題作。田口俊樹訳
(竹書房文庫 各1320円)[amazon]


▼9月刊

泉鏡花 『雨談集』 澁澤龍彦編
〈澁澤龍彦 泉鏡花セレクション〉
 澁澤龍彦生前に企画されながらも実現を見ずに終った幻の選集が、半世紀の歳月を経てついに刊行。最終第4巻は 「高野聖」 「天守物語」 「通夜物語」 「活人形」 「式部小路」 「化鳥」 「処方秘箋」 「山僧」 「絵本の春」 「祝杯」、全10篇を収める。三島由紀夫と澁澤の伝説の対談 「鏡花の魅力」 も収録。解説=山尾悠子。全巻完結。
(国書刊行会 9680円)[amazon]

トーマス・ベルンハルト 『地下 ある逃亡
自伝的五部作の第二作。前作『原因』に続く時代を描く。ギムナジウムを中退し、それまでの人生から「反対方向」へ歩みだした少年ベルンハルト。彼が向かった先は、ザルツブルクの周縁、市民に最も恐れられた地域にある「地下」であった――。今井敦訳
(松籟社 1870円)[amazon]

平井呈一編訳 『世界怪奇実話集 屍衣の花嫁 東西怪奇実話
推理小説ファンが最後に犯罪実話に落ちつくように、怪奇小説愛好家も結局は、怪奇実話に落ちつくのが常道である。なぜなら、ここには、なまの恐怖と戦慄があるからだ── 〈世界恐怖小説全集〉 最終巻のために、英米怪奇小説翻訳の巨匠・平井呈一が編訳した幻の名アンソロジー 『屍衣の花嫁』 が、60年の時を経て再臨。怪異を愛し霊異を尊ぶ、古き佳き大英帝国の気風が横溢する怪談集。
(創元推理文庫 1210円)[amazon]

東雅夫編 『日本怪奇実話集 亡者会 東西怪奇実話
明治末期から昭和初頭、文壇を席巻した怪談ブーム。泉鏡花や芥川龍之介ら名だたる文豪たちが怪談会に参集し、怪奇実話の蒐集・披露に熱中した。スピリチュアリズムとモダニズム、エロ・グロ・ナンセンスの申し子たる 「怪奇実話」 の時代の幕開けである。田中貢太郎、平山蘆江、牧逸馬、橘外男ら日本怪奇実話史を彩る巨匠たちの代表作を収録。
(創元推理文庫 1210円)[amazon]

フレドリック・ブラウン 『シカゴ・ブルース 新訳
シカゴの路上で父を殺された18歳のエドは、おじのアンブローズと共に父親殺しの犯人を追うと決めた。移動遊園地で働き、人生の裏表を知り尽くした変わり者のおじは刑事とも対等に渡り合い、雲をつかむような事件の手がかりを少しずつ集めていく。少年から大人へと成長していく過程を描いた名作を清々しい新訳で。高山真由美訳
(創元推理文庫 1144円)[amazon]

シェルドン・テイテルバウム&エマヌエル・ロテム編 『シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選
ロバート・シルヴァーバーグによる序文、編者によるイスラエルSFの歴史など、知られざるイスラエルSFの世界を一望の中に収める傑作集。
(竹書房文庫 1650円)[amazon]

ジム・トンプスン 『雷鳴に気をつけろ』
ネブラスカの肥沃な谷と凍てつく川、蝕まれていく日常と、南北戦争の記憶――波乱に満ちた一族の物語。ノワールの鬼才による幻の長篇。真崎義博訳
(文遊社 2970円)[amazon]

韓国の小説家たち I』
〈クオン インタビューシリーズ〉
いま話題の韓国人作家が語る、「文学をすること」の喜びと苦しみについて。作家が作家に聞くロングインタビュー集。
(クオン 2420円)[amazon]

エイブラム・メリット 『這いよる影』
『魔女を焼き殺せ!』の姉妹編。クトゥルフ神話を彷彿とさせるダークファンタジー。大網鐵太郎・重盛真凛訳。同人出版
(綺想社 5000円) 取扱=盛林堂

皆川博子 『皆川博子随筆精華 書物の森を旅して
創作への想い、取材旅行記、敬愛する作家と影響を受けた物語のこと―小説の女王の偏愛と美学に満ちた精選随筆集。全て単行本未収録。日下三蔵編
(河出書房新社 2970円)[amazon]

アザリーン・ヴァンデアフリート・オルーミ 『私はゼブラ』
〈エクス・リブリス〉
文学至上主義者のゼブラが、度重なる亡命で分裂した自己を取り戻す奮闘を描く。イラン系アメリカ人作家による現代版 『ドン・キホーテ』。木原善彦訳
(白水社 3740円)[amazon]

サンダー・L・ギルマン 『肥満男子の身体表象 アウグスティヌスからベーブ・ルースまで
文化、医学、法の領域において、いかに肥満男子は表象されてきたか。彼らが文化的序列においてもしばしば下位に置かれてきた背景を詳らかにし、さらに、フォルスタッフの奇妙な歴史から肥満探偵、肥満の野球選手まで、肥満という記号が性的、文化的、人種的差異と複雑に絡み合う文化表象となり、人々に創造性を与えてきたことも明らかにする。小川公代・小澤央訳
(法政大学出版局/叢書・ウニベルシタス 4180円)[amazon]

ウンベルト・エーコ 『文学について』
幼少期から抱き続けた作家への夢を、小説 『薔薇の名前』 によって実現したエーコにとって、物語を書くことと、学術的な理論書を著すことは、どのような関係にあったのか。2000年以降、批評と創作の双方に軸足を置きながら、自らの集大成に向けて歩み始めたエーコが、文学についての思索をまとめ上げた渾身の一冊。和田忠彦訳
(岩波書店 5060円)[amazon]

冨原真弓 『ミンネのかけら ムーミン谷へとつづく道
空が白むまでヴェイユの言葉に向き合ったソルボンヌでの日々、東京を訪ねてきた風変わりな旅人たちと過ごした一夏、ムーミンと出会いヤンソンの作品を翻訳するようになるまで……。東京―パリ―ヘルシンキ。旅の指針は、やりたいことだけをやる――。大切な人のミンネ(記憶)をつなぐ。過去はいま、確かな輪郭をとってわたしに寄り添い始める。
(岩波書店 2530円)[amazon]

陳浩基 『網内人』
飛び降り自殺した中学生の妹。背後にネットに潜むどす黒い悪意があることを知った姉はネット専門の凄腕探偵とともに敵を追い詰める。玉田誠訳
(文藝春秋 2530円)[amazon]

細川周平 『洋楽の衝撃 黒船から終戦まで
ペリー来航から終戦までの百年間、教育、産業、テクノロジーなどの分野を含めて、「音楽」をめぐるあらゆる営みが、劇的な変容を遂げていった。第一巻では、軍楽隊の導入とその民間への広がりによって誕生した市中音楽隊、ジンタ、チンドン屋などの様相を描き、併せて学校唱歌から軍歌、壮士演歌までの展開を叙述する。
(岩波書店 14,300円)[amazon]

マルティン・ルイス・グスマン 『ボスの影』
〈ルリユール叢書〉
パス、フエンテス、パチェーコらの巨匠に激賞された政治家・作家マルティン・ルイス・グスマン――作家みずから体験した1923年の政争、1927年セラーノ暗殺事件を題材に、首都メキシコシティで繰り広げられる、血なまぐさい政権抗争と人間の悲哀を描くメキシコ革命小説の白眉。寺尾隆吉訳
(幻戯書房 3960円)[amazon]

高山宏 『アリスに驚け アリス狩りⅥ
百花繚乱の驚異、ここから始まる。絵もなければ、会話もない。そんな本はいったい何になるの? アリスの素朴な疑問が、退屈と倦怠にまみれるヴィクトリア朝社会を、〈驚異〉頻出する魔術の帝国へと変貌させる――。綺想に彩られた 「アリス」 物語の無限の可能性を大胆に拓く論考。目次
(青土社 2860円)[amazon]

《ナイトランド・クォータリー》 vol.22 銀幕の怪異、闇夜の歌聲
映画にまつわる怪異や恐怖の物語の数々。小説はH・H・エーヴェルス、ロバート・ブロック、エド・ウッドなど12編、柳下毅一郎ロングインタビュー、SWERYインタビューの他、ハマー・フィルム紹介、レビュー、エッセイ、ブックガイドなど。増頁特大号。目次
(アトリエサード 1870円)[amazon]

《ミステリマガジン》 11月号
アガサ・クリスティー生誕130周年&デビュー100周年記念特集 内容
(早川書房 1320円)[amazon]

ウィリアム・リンゼイ・グレシャム 『ナイトメア・アリー 悪夢小路
カーニヴァルの巡回ショーで働くマジシャン、スタンには野心があった。一座の占星術師ジーナと関係をもち、読心術の秘技を手に入れたスタンは、若く美しいモリーと組んでヴォードヴィルへ進出を果たすが……。タロットの示す運命とファム・ファタールに導かれて男がたどり着く衝撃のラストとは。特異な世界観で魅了するカルト・ノワール。矢口誠訳。映画 《悪魔の往く町》(47)原作。ギレルモ・デル・トロがリメイク製作中。
(扶桑社ミステリー 1155円)[amazon]

スティーヴン・ハンター 『真夜中のデッド・リミット 上・下
アメリカ・メリーランド州にある、山中深くに配された核ミサイル発射基地。全米で唯一、単独発射が可能なこの基地が、謎の武装集団に占拠された。最新鋭核ミサイルの発射を阻止するためには、基地に潜入するしかない。軍事サスペンスの巨匠の初期代表作、復刊。染田屋茂訳
(扶桑社ミステリー 各1078円)[amazon]

ジェフリー・ディーヴァー 『ネヴァー・ゲーム』
シリコンバレーで失踪した娘を探せ。懸賞金のかかった事件に挑む人探しの名人にして流浪の名探偵ショーは狡猾な連続誘拐事件を追う。池田真紀子訳
(文藝春秋 2750円)[amazon]

エシ・エデュジアン 『ワシントン・ブラック』
1830年、バルバドス島。11歳の黒人少年「ワッシュ」は大農園の奴隷だったが、農園主の弟に見込まれ、科学研究の助手となる。やがてある事件を機に、二人で作った気球で島から脱出し、北極をめざすが……。少年の数奇な運命と世界を股にかけた冒険、自我の目覚め、人生の旅。アフリカ系カナダ人の女性作家による傑作歴史冒険小説。高見浩訳
(小学館 3300円)[amazon]

日影丈吉 『女の家』
東京銀座の裏通りにある妾宅で、折竹雪枝がガス中毒死した。事故か自殺か、それとも他殺か。老練な刑事・小柴と老獪な女中・乃婦、二人の語りが交差し、炙り出される意想外の真相とは。陰影のある文体で人間心理を巧みに描き、澁澤龍彦、種村季弘らに愛された著者による代表作。
(中公文庫 990円)[amazon]

井上ひさし 『犯罪調書』
犯罪はその時代の意匠である。新聞の結婚案内欄を利用した連続殺人事件。農商務省の官吏が起こした本邦初のバラバラ殺人事件など、世界を騒然とさせた古今東西の犯罪を収集。軽妙な筆で事件の謎と人間のドラマを探った、知られざる20の犯罪コレクション。
(中公文庫 814円)[amazon]

柴田錬三郎 『わが青春無頼帖 増補版
虚無的キャラクター「眠狂四郎」を生んだ苛烈な戦時体験、多彩な女性遍歴、師・佐藤春夫との交流――。故郷出奔から直木賞受賞までの無頼の日々が豊富なエピソードとともに綴られた、柴錬先生の青春回想録。私小説的短篇5篇を併録。新たに随筆「文壇登場時代」「わが生涯の中の空白」を増補。
(中公文庫 924円)[amazon]

長山靖生編 『文豪と女 憧憬・嫉妬・熱情が渦巻く短編集
無垢な少女から妖艶な熟女までーー。鴎外、花袋、荷風、漱石、谷崎、安吾、太宰らが憧れ、翻弄された女性を描く。主人公の生き様から近代日本の「女の一生」がみえる。
(中公文庫 902円)[amazon]

松岡正剛 『日本という方法 おもかげの国・うつろいの国
この国のよさは、「強さ」や「一貫性」ではなく 「一途で多様」なことにある。万葉集から司馬遼太郎まで、メディアや表現を横断する〈日本的編集〉の方法を辿り、日本社会と文化の様相を浮かび上がらせる。
(角川ソフィア文庫 1408円)[amazon]

『原典完訳 アヴェスタ ゾロアスター教の聖典
紀元前1000年頃、ゾロアスターが西アジアで創始し、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教に多大な影響を与えた世界最古の創唱宗教ゾロアスター教――その根本テキストが、今、生きた言葉でよみがえる。壮大な神々への賛歌にして、宗教学・神話学・言語学や古代イランの歴史・文化に興味ある人は必読の、世界的大古典。野田恵剛訳
(国書刊行会 9680円)[amazon]

《創元推理文庫》 復刊フェア
大阪圭吉 『とむらい機関車』
[amazon]
大阪圭吉 『銀座幽霊』 [amazon]
F・W・クロフツ 『ホッグズ・バックの怪事件』
[amazon]
ドロシー・L・セイヤーズ 『誰の死体?』
[amazon]
オーガスト・ダーレス 『ソーラー・ポンズの事件簿』
[amazon]
佐々木丸美 『罪灯』
[amazon]
トーマス・オーウェン 『青い蛇』
[amazon]
エリック・マコーマック 『隠し部屋を査察して』
[amazon]
《創元SF文庫》
H・G・ウェルズ 『世界最終戦争の夢』
[amazon]
アン・マキャフリー 『歌う船』
[amazon]
内容紹介

フォード・マドックス・フォード 『消灯ラッパ (パレーズ・エンド)
第一次大戦期の英仏を舞台にした傑作長編四部作の最終巻。ウエスト・サセックスの田園風景を背景に、主人公たちの生き様を通して、戦後英国の変容を描く。高津昌宏訳
(論創社 2640円)[amazon]

サックス・ローマー 『悪魔博士 フー・マンチュー』
『怪人フー・マンチュー』 続篇。再びロンドンを襲うフー・マンチュー博士の脅威をネイランド・スミスは撃退すことができるのか? 平山雄一訳
(ヒラヤマ探偵文庫 2500円)取扱=盛林堂

ローラン・ビネ 『言語の七番目の機能』
ロラン・バルトを殺したのは誰か ? 1980年、ロラン・バルトは車にはねられ死亡した。事故当時、彼が持っていたある書類が消えていた。それは 「言語の七番目の機能」 に関する論文らしい。J・バイヤール警部と若手記号学者シモン・エルゾグの007ばりの捜査が始まる 。エーコ、フーコー、デリダ、クリステヴァ、ドゥールーズ……ブルガリア秘密警察、謎の日本人、実在する知識人、政治家たちが入り乱れる記号学的ミステリ。高橋啓訳
(東京創元社 3300円)[amazon]

アレン・エスケンス 『たとえ天が墜ちようとも』
高級住宅街で女性が殺害された。刑事マックスは、被害者の夫の刑事弁護士プルイットに疑いをかける。プルイットは元弁護士の大学教授ボーディに潔白を証明してくれと依頼した。ボーディは引き受けるが、それは命の恩人である親友のマックスと敵対することを意味していた。予想外の展開となる白熱の陪審裁判の行方は。激動の法廷ミステリ。務台夏子訳
(創元推理文庫 1298円)[amazon]

城昌幸 『菖蒲狂い 若さま侍捕物手帖ミステリ傑作選
柳橋の船宿に居候する、“若さま”と呼ばれる侍がいた。姓名も身分も一切不明だが、話を聞くだけで真相を当てる名探偵でもあった。扇に秘められた暗号の謎を解く「舞扇の謎」。菖蒲作りの職人の娘が殺され、些細な手がかりから犯人を特定する「菖蒲狂い」など、300編近い作品から厳選した25編。安楽椅子探偵シリーズの決定版。末國善己編
(創元推理文庫 1540円)[amazon]

R・L・スタイン編 『不気味な叫び』
キーワードは「Scream=叫び」。第一線で活躍するホラー作家、ミステリー作家20人が競作したYA向け書き下ろしアンソロジー《Scream and Scream again》 を3分冊で刊行。第2巻は『ゴーストガール』 のトーニャ・ハーリー、『過去からの殺人者』 のウェンディ・コルシ・ストーブなど、7作家による7作。三辺律子他訳
(理論社 1650円)[amazon]

チョ・ナムジュ 『彼女の名前は』
セクハラにあった女性が戦い続けるわけとは?地下2階の部屋に住む女子生徒の悩みとは? 60人余りの女性へのインタビューを元に書かれ、『82年生まれ、キム・ジヨン』に続いて2018年に発表した作品。暮らしのなかで感じる不条理に声を上げ、自分だけでなく「次の人」のために立ち上がる女性たちの、胸を打つ28編の物語。小山内園子訳
(筑摩書房 1760円)[amazon]

スティーブン・グリーンブラット 『暴君 シェイクスピアの政治学
政治は行き詰まり、人々は裏切られることに慣れ、経済的困窮はポピュリストの怒りをあおり……。なぜ国家は繰り返し暴君の手に落ちるのか。暴君と圧政誕生の社会的、心理的原因を探り、絶対的権力への欲望とそれがもたらす悲惨な結末を見事に描いたシェイクスピアが現代に警鐘を鳴らす。河合祥一郎訳
(岩波新書 946円)[amazon]

ケネス・モリス 『ダフォディルの花 ケネス・モリス幻想小説集
ル゠グウィンがトールキンやエディスンと並べ、名文家として名を挙げた、ケルトの魔法を歌う詩人にして神智学者である作家、ケネス・モリス。ダンセイニよりも神秘主義的と評されるその幻想小説を百年の時を経て集成した本邦初の単行本。館野浩美・中野善夫訳。内容
(国書刊行会 4180円)[amazon]

チョ・ナムジュ 『彼女の名前は』
『82年生まれ、キム・ジヨン』 著者の次作短編集。「次の人」のために立ち上がる女性たち。小山内園子・すんみ訳
(筑摩書房 1760円)[amazon]

上島春彦 『鈴木清順論 影なき声、声なき影
未映画化脚本『夢殿』を中心に据えた三本の論考から、重要キーワードを鏤めて諸作品の横断的な読み解きを試みた「事典」、清順も参加した脚本ユニット「具流八郎」をめぐる初めての批評、そして全監督作品の精緻な解説まで。多角的な視点で、日本映画の異形の巨人の全体像を解き明かす。
(作品社 11,000円)[amazon]

佐佐木隆 『蛇神をめぐる伝承 古代人の心を読む
その怪異な姿と独特の習性のゆえに、古代の人々が「神」と恐れあがめた蛇。ときに人間の女性と結婚し、ときに人々に生贄を求め、ときに刀剣・雷として現れ、そして、ときに見た者の一族を滅ぼす力をもつものと考えられてきた。上代・中古の文献を広く渉猟し、「蛇」にまつわる逸話を仔細に分析することで、そうした「をろち」の圧倒的な霊威がなぜ失われてしまったのかという謎に迫る。
(青土社 1980円)[amazon]

『真鍋博の世界』 愛媛県美術館監修
イラストレーター・エッセイストとして活躍した真鍋博の作品集。初期の油彩から広告・装幀まで多数収録。谷川俊太郎の寄稿、林明子インタビューも掲載。愛媛県美術館「没後20年 真鍋博2020」展 公式図録。
(パイインターナショナル 3960円)[amazon]

ギヨーム・ミュッソ 『作家の秘められた人生』
世界的人気作家はなぜ筆を折ったのか? 過去の秘密が明らかになったとき、衝撃の結末が!? 大ベストセラーのフランス・ミステリー。吉田恒雄訳
(集英社文庫 1078円)[amazon]

ハインリッヒ・フォン・クライスト 『ペンテジレーア』
アマゾネスの女王ペンテジレーアと英雄アキレスの恋を描いた悲劇。ドイツを代表する劇作家クライストの名作戯曲。 愛情と憎悪、希望と絶望が交錯する二人の関係性。そして、残虐でありながら、せつなさの残るラストシーン。仲正昌樹訳
(論創社 2200円)[amazon]

ファン・ジョンウン 『ディディの傘』
〈となりの国のものがたり〉
死と破壊、そして革命。人々は今日をどのように記憶するのか。「セウォル号沈没事故」「キャンドル革命」という韓国で起きた社会的激変を背景に、人が人として生きることの意味を問う最新作。斎藤真理子訳
(亜紀書房 1760円)[amazon]

ポール・アルテ 『殺人七不思議』
警察に「世界七不思議」に見立てた殺人予告を送り付け、次々にそれをなしとげる連続殺人鬼。調査に乗り出したオーウェン・バーンズのもとに「私は犯人を知っている」という報せが届く。不可能犯罪の巨匠が贈る荘厳なる“殺人芸術”。平岡敦訳
(行舟文化 1815円)[amazon]

ルネー・ノールト/マーガレット・アトウッド(原作) 『侍女の物語 グラフィックノベル
ギレアデ共和国の侍女オブフレッドは、司令官の子を産むための存在だ。監視の目に怯える彼女だが、ある日、交流が禁じられている司令官の部屋に招かれる。ノーベル文学賞受賞が期待される作家による名作を、気鋭のイラストレーターがグラフィック・ノベル化。斎藤英治訳
(早川書房 5390円)[amazon]

トマス・ペリー 『老いた男』
元工作員の60代の男は、犬とともに静かな生活を送っていた。だが彼の元に暗い影が……ベテラン作家のエンターテインメント小説。渡辺義久訳
(ハヤカワ文庫NV 1342円)[amazon]

ピーター・トライアス 『サイバー・ショーグン・レボリューション 上・下
日本統治下のアメリカで、メカパイロットの守川は、特高の捜査官とナチスキラーを追うことに。二人は革命の渦に巻きこまれ……。中原尚哉訳
(ハヤカワ文庫SF 各1012円) [amazon]

ジョディ・テイラー 『歴史は不運の繰り返し セント・メアリー歴史学研究所報告
歴史研究家マデリーンは恩師の紹介でセント・メアリー歴史研究所に就職する。だがそこでは実際にタイムトラベルが行われており!? 田辺千幸訳
(ハヤカワ文庫SF 1320円)[amazon]

R・オースティン・フリーマン 『ソーンダイク博士短篇全集Ⅰ 歌う骨』
「あらゆる時代を通じて最も偉大な科学的探偵」ソーンダイク博士の事件簿、シリーズ中短篇42作品を全3巻に集成。完全新訳、初出誌等から貴重な挿絵・図版を収載した決定版全集。第1巻は、密室トリックで有名な「アルミニウムの短剣」など8篇を収めた記念すべき第一短篇集『ジョン・ソーンダイクの事件記録』(1909)と、「オスカー・ブロドスキー事件」をはじめ、犯人視点で語られた犯行が探偵によって解明される過程を描く〝倒叙〟形式の発明で探偵小説史に不滅の輝きを放つ『歌う骨』(1912)の里程標的短篇集2冊を収録。付録エッセー「ソーンダイク博士をご紹介」。渕上瘦平訳。MORE
(国書刊行会 3960円)[amazon]

飯城勇三 『数学者と哲学者の密室 天城一と笠井潔、そして探偵と密室と社会
本格ミステリの探偵はどのような推理をすべきか? 密室などのトリックはどうあるべきか? そして、社会とどう対峙すべきか? 戦中派の天城一と戦後派の笠井潔の作品からその答えを探し求める評論書。
(南雲堂 3300円)[amazon]

チェ・ウンミ 『第九の波』
〈韓国女性文学シリーズ〉 2012年、江原道にある町で実際に起こった事件をモチーフに、一見平和そうな田舎の小さな町の裏側を生々しく描く。石灰鉱山にまつわる謎の死、カルト宗教団、原子力発電所の誘致をめぐる対立――そこには富の分配から疎外され、不条理な生活を強いられた人々がいる。橋本智保訳
(書肆侃侃房 2090円)[amazon]

戸川昌子 『くらげ色の蜜月』
初々しい新婚夫婦。しかしふたりは、たがいに秘密を抱えていた。そして男はなぜ新婚旅行先に忌まわしい思い出が残る旅館を選んだのか。旧い結婚観が招いた悲哀劇 (表題作)。入手困難な 『悪魔のような女』 『聖女』 に未収録3篇を加えた、著者円熟期の異色短篇集。日下三蔵編
(竹書房文庫 1430円)[amazon]

カレル・チャペック 『白い病』
戦争目前の世界で、突如 「雪崩のように」 流行り始めた未知の疫病。大理石のような白い斑点が体のどこかにできたが最後、人は生きながら腐敗してゆく。そこへ特効薬を発見したという貧しい町医者が現れたのだが――。死に至る病を前に、人びとは何を選ぶのか? 1937年刊行の名作SF戯曲が、現代の我々に鋭く問いかける。阿部賢一訳
(岩波文庫 638円)[amazon]

綾辻行人 『シークレット 綾辻行人ミステリ対談集in京都
綾辻行人が本格ミステリへのこだわりや、創作の快楽と苦悩について語り合った「同好の士」対談にして「師弟」対談。〔対談相手〕 詠坂雄二、宮内悠介、初野晴、一肇、葉真中顕、前川裕、白井智之、織守きょうや、道尾秀介、辻村深月
(光文社 1980円)[amazon]

高橋昌明 『定本 酒呑童子の誕生 もうひとつの日本文化
絵巻や御伽草子で名高い酒呑童子とはいったい何者なのか――緻密な考証に裏付けられた大胆な推論によって、童子の原像は都に疫病をはやらすケガレた疫鬼だったことを鮮やかに解き明かすとともに、日本人に内在する、天皇や国家などが形成する秩序を攪乱する存在への脅威や排除の心理に鋭く迫る。
(岩波現代文庫 1540円)[amazon]

『かじ屋と妖精たち イギリスの昔話
「ジャックと豆の木」など有名なお話から「鳥の合戦」など大冒険のお話まで、選りすぐりの31編。ゆかいなお話、ふしぎに出会うお話、知恵が役に立つお話、こわくてドキドキするお話、女の子が幸せをつかむお話……。脇明子編訳
(岩波少年文庫 924円)[amazon]

A・N・L・マンビー 『アラバスターの手 マンビー古書怪談集
少年を誘う不気味な古書店主、呪われた聖書台の因果、年代物の時禱書に隠された秘密、ジョン・ディーの魔術書の怪……。ケンブリッジ大学図書館フェロー、英国書誌学会長を務めた特異な経歴の作家による、M・R・ジェイムズの伝統を継ぐ全14篇の比類なき書物愛に満ちた異色の古書怪談集。羽田詩津子訳
(国書刊行会 2970円)[amazon]

シャルル・ボネ/マリー・フランソワ・グザヴィエ・ビシャ 『生と死 生命という宇宙
〈十八世紀叢書7〉
行動を構成する身体の仕組みを明らかにし、行動を精緻に観察することによって心の働き、人間の生のあり方を解明せんとしたボネ 『心理学試論』、実験と理論、観察生理学と推論生理学との統合により、生理学を新たな次元へと昇華させたグザヴィエ・ビシャ 『生と死の生理学研究』 を収録。『百科全書』 から項目 「死」 「生」 「生・寿命」 を付す。責任編集=中川久定・村上陽一郎
(国書刊行会 13,200円)[amazon]

徐嘉澤 『次の夜明けに』
〈現代台湾文学選〉1947年、二二八事件に始まる台湾激動の頃。民主化運動で傷つき、生き方を変えねばならなくなった家族。三代にわたる家族の確執を軸に、急激に民主化へと進む時代の波に翻弄されながらも愛情を深めていく一家の物語。三須祐介訳
(書肆侃侃房 2090円)[amazon]

ロバート・E・ハワード 『死者の丘』
〈ハワードマガジン ソロモンケイン シリーズ 2〉「髑髏の月」「死者の丘」「内なる足音」「闇の翼」「ソロモンケイン の帰還」を収録。加藤博訳
(綺想社 5000円)取扱=盛林堂

近藤ようこ/澁澤龍彦(原作) 『高丘親王航海記 1・2』
幼い頃、父帝の寵姫であった藤原薬子より、寝物語で天竺の話を聞かされていた皇子・高丘親王は、長年、彼の地への憧憬を抱き続けていた。それから数十年、成長した彼は夢を実現するために、エクゾティシズムに満ちた怪奇と幻想の旅に出立する。澁澤龍彦の幻想小説を漫画化。
(KADOKAWA 各880円)[amazon]

《岩波文庫 一括重版》
イーヴリン・ウォー 『大転落』
H・G・ウェルズ 『解放された世界』
E・T・A・ホフマン 『黄金の壺』
サド 『ジュスチーヌまたは美徳の不幸』
マルグリット・ユルスナール 『とどめの一撃』
アイスキュロス 『縛られたプロメーテウス』
佐藤春夫 『美しき町・西班牙犬の家』
メルシエ 『十八世紀パリ生活誌』

他 全22点

東雅夫編 『ゴシック文学入門』
江戸川乱歩、小泉八雲、平井呈一、日夏耿之介、澁澤龍彦、種村季弘――。「ゴシック文学」の世界へ飛び込むための厳選評論アンソロジーが誕生。【内容】 江戸川乱歩「「幽霊塔」の思い出」/小泉八雲/平井呈一訳「「モンク・ルイス」と恐怖怪奇派」/種村季弘「恐怖美考」/紀田順一郎「ゴシックの炎」/澁澤龍彦「バベルの塔の隠遁者」/塚本邦雄「狂気の揺籃──『ヴァテック頌』」/日夏耿之介「信天翁と大鴉と鳩」/八木敏雄「眼のゴシック」/富士川義之「黒猫の恐怖」/平井呈一「嗜屍と永生」/野町二「『屍妖姫』解説」/前田愛「獄舎のユートピア」/日夏耿之介「『高野聖』の比較文学的考察」/高原英理「人外」
(ちくま文庫 1045円)[amazon]

都筑道夫 『吸血鬼飼育法 完全版
事件屋稼業、片岡直次郎がどんな無茶苦茶な依頼も解決する結末予測不能の活劇連作。入手困難の原型作品やスピンオフも収録し〈完全版〉として復活。日下三蔵編
(ちくま文庫 990円)[amazon]

『医療短編小説集』
損なわれた医師、医療と暴力、看護、最期、災害など7つの主題別に、生と死、理想と現実の狭間を描く14編を収録。医療と文学を繫ぐ医療人文学の視点から編まれたアンソロジー。W・C・ウィリアムズ、F・S・フィッツジェラルドほか。石塚久郎監修
(平凡社ライブラリー 1650円)[amazon]

アガサ・クリスティー 『ナイルに死す 新訳版
結婚まもない美貌の資産家ジャクリーンとその夫サイモン。 エジプト旅行出た二人を、サイモンの元恋人のリネットが つけていた。そしてついに、ナイル河の船上で悲劇が起こる。 船に乗り合わせた名探偵ポアロが暴く驚愕の真相とは? 黒原敏行訳
(早川書房/クリスティー文庫 1386円)[amazon]

アガサ・クリスティー 『名探偵ポアロ ナイルに死す』
〈ハヤカワ・ジュニア・ブックス〉
大金持ちの女性とその夫のハネムーンは、ナイル河をさかのぼる豪華客船上で一変した。鳴り響く銃声。夫のかつての婚約者が、銃をもって二人をつけまわしていたのだ。嫉妬による凶行か? だが、事件は意外な展開を見せる。名探偵ポアロが見抜いた真相とは? 佐藤耕士訳
(早川書房 1540円)[amazon]


東雅夫・下楠昌哉編 『幻想と怪奇の英文学IV 変幻自在編
『メルモス』 『マンク』 『オトラント』 からE・F・ベンスン、M・コレリ、マクラウド、ジョン・ウィンダム、ジョイス、スパーク、カズオ・イシグロまでを、気鋭の英文学者らが論じた研究・批評の集成、第4弾。A・L・バーボールドの崇高恐怖論と実作 「サー・バートランド」 の翻訳も収録。目次
(春風社 3300円)[amazon]

メアリー・スチュアート 『踊る白馬の秘密』
〈論創海外ミステリ〉
出張でストックホルムにいるはずの夫がオーストラリアにいることが判明。現地へ飛んだヴァネッサは美しい白馬をめぐる謎にまきこまれていく。木村浩美訳
(論創社 3080円)[amazon]

アンソニ-・ホロヴィッツ 『その裁きは死』
離婚専門の弁護士が殺害された。現場の壁にはペンキで乱暴に描かれた数字 “182”。脚本を手がけた 『刑事フォイル』 の撮影に立ち会っていたわたし、ホロヴィッツは、元刑事の探偵ホーソーンから再び奇妙な事件の捜査に引きずりこまれて――。驚嘆確実、完全無比の犯人当てミステリ。山田蘭訳
(創元推理文庫 1210円)[amazon]

ケイト・マスカレナス 『時間旅行者のキャンディボックス』
1967年に開発されたタイムマシンを管理すべく、国家から独立した巨大組織〈コンクレーヴ〉が誕生。時間旅行の独占はもちろん、タイムトラベラーが起こした時間犯罪にもこの組織が対処する。だが、タイムトラベルには深刻な副作用があり、ある殺人事件を巡ってその恐るべき事実が明るみに……異色の時間SF。茂木健訳
(創元SF文庫 1430円)[amazon]

高木彬光 『黒魔王』
富豪の娘探しから始まった怪事件。没落した旧財閥、宝石商、服飾デザイナーを巻き込む怪人〈黒魔王〉の野望とは? 大前田英策と川島竜子が神出鬼没の〈黒魔王〉と知恵の戦いを繰り広げる。昭和34年の初刊以来、長く埋もれていた〈大前田英策〉シリーズの長編 『黒魔王』 を復刊。
(論創社 3300円)[amazon]

ギィ・ド・モーパッサン 『オルラ・オリーヴ園 モーパッサン傑作選3
ルーアンの街に住む男が精神に変調をきたし、妄想と狂気に呑み込まれていくさまを描いた 「オルラ」。愛した女優に裏切られた若き日の思い出を浄化し、穏やかに過ごす老司祭のもとに、ある日一人の若者が訪ねてくる 「オリーヴ園」 など8篇を収録。太田浩一訳
(光文社古典新訳文庫 1078円)[amazon]

レフ・トルストイ 『戦争と平和 3』
妻リーザの死後、田舎の領地で隠棲していた失意のアンドレイは、ペテルブルグでのパーティでナターシャと再会。その生命力あふれる魅力に救われ、結婚を決意するのだが、ナターシャはその若さゆえに約束を待ちきれずに過ちを犯してしまう……。望月哲男訳
(光文社古典新訳文庫 1210円)[amazon]

スティーナ・ジャクソン 『娘を呑んだ道』
スウェーデン北部の村で17歳の少女リナが失踪した。地元の数学教師である少女の父親レルは、3年たった今も娘の捜索を続けていた。同じ頃、村に流れ着いた母娘がいた。……。子を思う親の狂気が招いた悲劇を、暗澹とした風土とともに描き出した大型新人デビュー作。「ガラスの鍵」賞受賞。田口俊樹訳
(小学館文庫 1100円)[amazon]

モーリス・サックス 『魔宴』
瀟洒と放蕩の間隙に産み落とされた、ある作家の自省的伝記小説。ジャン・コクトー、アンドレ・ジッドをはじめ、数多の著名人と深い関係を持ったサックスだからこそ描き出せる、20世紀初頭フランスの芸術家たちの生き生きとした姿。大野露井訳
(彩流社 3960円)[amazon]

フランク・グルーバー 『怪力男デクノボーの秘密』
〈論創海外ミステリ〉
サムの怪力、ジョニーの叡智、全米No.1コミックに潜む謎を暴く。人気コミック 『怪力男デクノボー』 に秘められた謎を追う知力と腕力の凸凹コンビ。銃撃されたジョニー、誘拐されるサム、冴えない二人を窮地に追い込む怪しい男たちの正体とは……。熊井ひろ美訳
(論創社 2750円)[amazon]

F・W・クロフツ 『F・W・クロフツ単行本未収録作品集』
収録作品 「少年探偵ロビンのクリスマス」 「シュラウド・ヴァレー危機一髪」 「ゴース・ホールの謎」 「ニュージーランドの惨劇」 「『樽』著者序文」 北見弦訳
(黒仏文庫 1000円) 取扱=盛林堂(売切)

残雪 『突囲表演』
X女史が、五香街(ウーシャンチェ)をとりまく熱愛と殺意の包囲を突破する。世界文学の異端作家が紡ぐ想像力の極北。近藤直子訳
(河出文庫 1650円)[amazon]

沼野充義編 『東欧怪談集』

西方的形式と東方的混沌の間に生まれた、未体験の怪奇幻想の世界へようこそ。原語から直訳された極上のオリジナル・アンソロジー。復刊
(河出文庫 1210円)[amazon]

アーシュラ・K・ル=グウィン 『ラウィーニア』
『ゲド戦記』著者が、トロイア滅亡後、地中海を遍歴して古代ローマ建国の礎を築いた英雄の妻を主人公に語り直した壮大な愛の物語。谷垣暁美訳
(河出文庫 1540円)[amazon]

ベルンハルト・ケラーマン 『トンネル』
ニューヨークの青年技師マック・アランには壮大な計画があった。アメリカとヨーロッパを24時間で結ぶ「大西洋横断海底トンネル超特急」――完成期限15年、18万人の労働者を動員した、人類史上かつてないプロジェクトが始まった。1913年刊のドイツ初の国際的ベストセラー。手塚治虫をして長篇マンガ 『地底国の怪人』 を描かせた幻の翻訳書を復刊。秦豊吉
(国書刊行会 3850円)[amazon]

ジョン・ウィリアムズ 『アウグストゥス』
養父カエサルを継いで地中海世界を統一し、ローマ帝国初代皇帝となった男。世界史に名を刻む英傑ではなく、苦悩するひとりの人間としてのその生涯と、彼を取り巻いた人々の姿を稠密に描く歴史長篇。『ストーナー』 で世界中に静かな熱狂を巻き起こした著者の遺作にして、全米図書賞受賞の最高傑作。布施由紀子訳
(作品社 2860円)[amazon]

マーガレット・アトウッド 『語りなおしシェイクスピア1 テンペスト 獄中シェイクスピア劇団
『テンペスト』 の演出に心血を注いでいた舞台芸術監督フェリックスは、ある日突然、部下トニーの裏切りにより職を奪われた。失意のどん底で復讐を誓った彼は、刑務所の更生プログラムの講師となり、服役中の個性的なメンバーに、シェイクスピア劇を指導することに。世界的作家がシェイクスピアの名作を語りなおすシリーズ第一弾。鴻巣友季子訳
(集英社 2970円)[amazon]

横溝正史 『完本 人形佐七捕物帳 五』
人形を思わせる色男の岡っ引き、 佐七が次々と江戸の事件を解決していく推理劇 。
(春陽堂書店 4950円)[amazon]

ジャン=クリストフ・グランジェ 『ブラック・ハンター』
ドイツの富豪の跡継ぎが惨殺された。捜査にあたるのは過去の事件で心身に傷を負い、復帰したばかりのニエマンス警部。彼は新たな相棒とともにドイツに飛び、真相を追うが……。『クリムゾン・リバー』 のニエマンス警部再登場。フランスの鬼才によるミステリ。平岡敦訳
(ハヤカワ・ミステリ 2266円)[amazon]

M・W・クレイヴン 『ストーンサークルの殺人』
英国のストーンサークルで続発する焼殺事件。犯人はなぜ被害者の体に停職中の警察官の名を刻んだのか? 英国推理作家協会賞ゴールドダガーを受賞、新鋭のシリーズ第一弾。東野さやか訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 1298円)[amazon]

エリク・シャファク 『レイラの最後の10分38秒』
1990年、トルコ。イスタンブルの路地裏にあるごみ箱の中で、娼婦が息絶えようとしていた。死後も続く10分38秒間の意識の中で、彼女は、5人の友人とひとりの最愛の人と過ごした日々を思い出す。居場所のない街の片隅でみつけた、汚れなき瞬間を映し出した物語。北田絵里子訳
(早川書房 2530円)[amazon]

木魚庵/YOUCHAN (イラスト) 『金田一耕助語辞典 名探偵にまつわる言葉をイラストと豆知識で頭をかきかき読み解く
ぼさぼさ頭に下駄ばき、うだつのあがらない風采なのに実は名探偵、金田一耕助は、横溝正史の生みだした日本で最も有名な私立探偵。原作小説はもとより、歴代の金田一俳優、当時の流行や時事用語まで、稀代の名探偵を徹底分析。
(誠文堂新光社 1760円)[amazon]

スティーヴン・キング他/ハンス=オーケ・リリヤ編 『闇のシャイニング リリヤの恐怖図書館
世界最大のスティーヴン・キング・ファンサイトを20年間運営してきた編者が、キングゆかりの作家たちに執筆・掲載の交渉を重ねて編んだキングに捧げるアンソロジー。ケッチャム、バーカー、キャンベル他。スティーヴン・キング幻の未刊行短編初収録。
(扶桑社ミステリー 1210円)[amazon]

陳 浩基 『13・67 上・下
2013年から1967年にかけて名刑事クワンの警察人生を遡りながら香港社会の変化も辿っていく、珠玉の連作短編集。天野健太郎訳
(文春文庫 各957円)[amazon]


▼8月刊

《怪と幽》 vol. 5
第一特集=次代の探究者たち/第二特集=小野不由美「ゴーストハント」入門 目次
(KADOKAWA 1980円)[amazon]

宮野村子 『探偵心理 無邪気な殺人鬼 他八篇
昭和20~40年代に『鯉沼家の悲劇』などの探偵小説を発表した宮野村子(叢子)の単行本未収録作品集第1弾。未発表作『死者を待つ』を収録。
盛林堂ミステリアス文庫 3000円)

イーアン・ペアーズ 『指差す標識の事例 上・下
1663年、チャールズ二世の統べる王政復古のイングランド。医学を学ぶヴェネツィア人のコーラは、訪れたオックスフォードで大学教師の毒殺事件に遭遇する。犯人は貧しい雑役婦で、怨恨による単純な事件と目されたが──。衝撃的な結末の第一部に続き、その事件を別の人物が語る第二部の幕が開き、物語はまったく異なる様相を呈していく。四部構成の稀代の歴史ミステリを、四人の最高の翻訳家が手掛ける。池央耿・東江一紀・宮脇孝雄・日暮雅通訳
(創元推理文庫 予価各1386円)[amazon]

ヘニング・マンケル 『苦悩する男 上・下
刑事クルト・ヴァランダー59歳、娘のリンダも、同じ刑事の道を歩んでいる。そのリンダに子供が生まれたところが、リンダのパートナーであるハンスの父親ホーカンが自分の誕生パーティの三ヶ月後に姿を消してしまう。ルイースもハンスも原因に心当たりはない。だがヴァランダーは、ホーカンの様子に違和感を覚えていた。北欧ミステリの金字塔シリーズ最終巻。柳沢由実子訳
(創元推理文庫 各1320円)[amazon]

ジャック・ロンドン 『赤死病』
疫病による人類滅亡を予言した驚愕のSF。ウィルスで中国の絶滅を図る衝撃作 「比類なき侵略」、評論「人間の漂流」 を併録。辻井栄滋訳
(白水Uブックス 1540円)[amazon]

ニコラス・シェイクスピア 『ブルース・チャトウィン』
好奇心旺盛、美意識が高く、関心の赴くまま旅と執筆を続けたチャトウィン。翻弄された人々は数知れず、しかしそれでも彼を愛さずにはいられない――。『パタゴニア』 『ソングライン』 などの著作で、今なお世界の旅人に愛され続けるチャトウィンの傑作伝記。池央耿訳
(KADOKAWA 4950円)[amazon]

マイケル・ムアコック(原作)/ジュリアン・ブロンデル、ジャン・リュック・カノ他 『エルリック・サーガ1 ルビーの玉座/魔剣ストームブリンガー
「エルリック・サーガ」 ファン垂涎のフルカラーコミックがついに日本上陸。
(KADOKAWA 3630円)[amazon]

泉鏡花 『本当にさらさら読める!現代語訳版 泉鏡花 [観念・人世] 傑作選』
面白くてたまらない、そして切なく心に沁みる、泉鏡花の観念小説・人情噺を現代語訳。収録作品「外科室」「歌行燈」「琵琶伝」「清心庵」「義血侠血」「婦人十一題」「若菜のうち」。白水銀雪訳。作品解説=秋山稔
(KADOKAWA 1430円)[amazon]

ジョセフ・ノックス 『笑う死体 マンチェスター市警 エイダン・ウェイツ
休業中のホテルで死体が発見された。指紋は切除され、顔には満面の笑み。不可解極まりない殺人の真相を追って相棒サティと捜査に乗り出したエイダンの前に立ち塞がる欲望と狂気の罠、過去から甦る彼自身の忌まわしき記憶――。池田真紀子訳
(新潮文庫 1155円)[amazon]

ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ 『忘却についての一般論』
〈エクス・リブリス〉
二十七年間にわたる泥沼の内戦下を孤高に生きた女性ルドの人生。稀代のストーリーテラーとして知られるアンゴラの作家による傑作長篇。木下眞穂訳
(白水社 2860円)[amazon]

斎藤美奈子 『中古典のすすめ』
一世を風靡した本には、古典に昇格するものもあれば、忘れ去られてしまうものもある──人気文芸評論家が、ひと昔前のベストセラー48点を俎上にのせ、現在の視点から賞味期限を判定する。
(紀伊國屋書店 1870円)[amazon]

『定本 夢野久作全集』 第7巻
歿後80年記念出版。多彩な活動の全貌を集大成した決定版全集。第7巻は評論、随筆ほか。「近世快人伝」「能とは何か」「梅津只圓翁伝」「探偵小説の正体」「鼻の表現」などを収録。
(国書刊行会 11,000円)[amazon]

カーソン・マッカラーズ 『心は孤独な狩人』
誰もが孤独の部屋の中から、報われない愛の行き場を探している。南部ゴシック文学を代表する名作が新訳でよみがえる。村上春樹訳
(新潮社 2750円)[amazon]

ショーン・タン 『内なる町から来た話』

上の階に住むワニ、空を覆い尽くす蝶の群れ。町にいる動物たちの25の物語。『遠い町から来た話』の姉妹編、待望の最新作。岸本佐知子訳
(河出書房新社 3190円)[amazon]

『本のリストの本』 南陀楼綾繁・書物蔵・鈴木潤・林哲夫・正木香子
本好きの人は、誰でもみんな「本のリスト」が好きである。本を愛してやまない5人の筆者が、様々な時代や場所に存在した「本のリスト」を、歴史や雑学や個人的な体験と共に紹介する。禁じられた本のリスト/理想の本のリスト/ある編集者の企画リスト/古本屋の架空買い入れ図書目録/刑務所で読む本のリスト/漱石が英語を学び、教えた本のリスト/ランボーがアフリカでほしがった本のリスト/戦没学生の読書リスト/名曲喫茶ライオンに積まれていた本のリスト/画家の本棚/父の蔵書リスト/漫画の中の本棚/戦前のベストセラーリスト/逆輸入の絵本リスト……など。
(創元社 2530円)[amazon]

カリ・ファハルド=アンスタイン 『サブリナとコリーナ』
黒髪でとびきり美人のサブリナ。あなたはなぜ堕ちてしまったの? コロラド州のラテン系住民の悲喜劇を描く全米図書賞最終候補作。小竹由美子訳
(新潮クレスト・ブックス 2310円)[amazon]

横山茂雄 『増補 聖別された肉体 オカルト人種論とナチズム
現在においても、公認文化から排斥され、深層に抑圧された無意識的な概念の表出する舞台であるオカルティズム。それは近代ヨーロッパにおいて社会ダーヴィニズムと接合し、とりわけナチ・ドイツにおいて、フェルキッシュな人種論として先鋭化、ついには純粋アーリア=ゲルマン人種のホムンクルスを造らんとする計画が 「生命の泉」 で実行に移されようとするまでに至った。ヨーロッパの底流に流れるそのオカルティズムの全体と本質を初めて明らかにした名著(初刊1990)を増補再刊。
(創元社 4620円)[amazon]

ウィル・ハント 『地下世界をめぐる冒険 闇に隠された人類史
ニューヨークの地下鉄、パリの地下納骨堂、アボリジニの聖地、カッパドキアの地下都市、マヤ人洞窟など、世界中の 「光なき世界」 を渉猟し、人類の歴史と闇への畏怖に思いを馳せた比類なきノンフィクション。目次 棚橋志行訳
(亜紀書房 2420円)[amazon]

北村薫 『雪月花 謎解き私小説
乱歩に三島、芥川……本を読んではスパークする作家魂。花野を歩く心地にてさらなる謎を探り行く――時空をめぐる、初の私小説。
(新潮社 1650円)[amazon]

三島由紀夫 『幻想小説とは何か 三島由紀夫怪異小品集
小説や戯曲で 「幻想と怪奇」 ジャンルの名作怪作を手がけ、批評家・エッセイストとしても「幻想文学」を称揚し、啓蒙に努めた三島由紀夫の関連小品を精選したアンソロジー。東雅夫編
(平凡社ライブラリー 1870円)[amazon]

チョン・イヒョン 『優しい暴力の時代』
人生に訪れた劇的な出会いを鮮やかに描く、現代韓国を代表するストーリーテラーによる珠玉の短編集。日本オリジナル編集。斎藤真理子訳
(河出書房新社 2420円)[amazon]

シュテファン・ツヴァイク 『聖伝』
〈ルリユール叢書〉
絶対平和主義を貫き、正しい生き方を求め、最後には自死を選んだ伝記作家の名手ツヴァイク。聖書、聖典を材に、時代の「証人」として第一次大戦中から亡命時代に至る激動の時代に書き残した、人類永遠の主題「戦争と平和」をめぐる四つの物語。本邦初訳を含む新編新訳。宇和川雄・籠碧訳
(幻戯書房 予価3300円)[amazon]

アガサ・クリスティー 『茶色の服の男』
〈ハヤカワ・ジュニア・ブックス〉
アンはある日、ロンドンの地下鉄でおかしな事故に出くわした。男が何者かに驚いて転落死し、現場にいたあやしげな医者が暗号めいたメモを残して立ち去ったのだ。これは事件!? 好奇心をかられたアンは、謎を追いかけて南アフリカ行きの船で大冒険に出発する! 深町眞理子訳
(早川書房 1540円)[amazon]

久我真樹 『『名探偵ポワロ』 完全ガイド』
世界中で愛され続ける名作ドラマシリーズ『名探偵ポワロ』の全70話を一挙解説。 ドラマファンもミステリファンも唸る徹底ガイド。
(星海社新書 1100円)[amazon]

文彦生 『鬼の話 新装版 上・下
「鬼」 は中国の民間信仰が産みだした冥界の形象であり、人の霊魂をさす。閻魔大王のルーツ閻王から、色鬼、餓鬼、酒鬼、女鬼まで、太古からの人類の意識・原型が霊として露呈する。広大な中国全土の鬼話を網羅し、民俗文化の源泉を探る。
(青土社 各5280円)[amazon]

ブリタニー・カヴァッラーロ 『女子高生探偵シャーロット・ホームズ 最後の挨拶 上・下
シャーロック・ホームズの子孫にして女子高生探偵シャーロット・ホームズ。そして彼女と同じ高校に通うワトスン博士の子孫ジェイミー・ワトスン。贋作事件を解決に導いた後の悲劇から1年、再び事件が……。シリーズ最終巻。入間眞訳
(竹書房文庫 各792円)[amazon]

『絶景本棚 2』 本の雑誌編集部編/中村規写真
大評判 『絶景本棚』 の続編がついに刊行。夢枕獏や穂村弘の本棚をはじめ、作家、書評家、デザイナー、コレクター、本好き、の壮観な本棚を写し撮った写真集。羨望、垂涎、間違いなし。
(本の雑誌社 2530円)[amazon]

エドゥアール・グリッサン 『憤死』
〈フィクションの楽しみ〉 腐敗した政治、次々と運ばれる遺体、終わることなく倒れては起き上がる三人の失業者たち。夢見た世界は破れ、残されたものとは……。カリブ海文学の歴史的・創造的原点。星埜守之訳
(水声社 3080円)[honto]

《SFマガジン》 10月号
ハヤカワ文庫SF創刊50周年記念特集
(早川書房 1320円)[amazon]

松岡正剛 『千夜千冊エディション 物語の函 世界名作選Ⅰ
松岡正剛がこれまで読んできた世界名作文学から24作品を厳選。むかし読んだ名作古典を大人になって読み返す。ホメロスの語りから物語が生まれ、物語を記した言葉は各国語の基礎となり、女の物語を描くことが近代文学を準備した。ギリシア古典からロシア文学まで世界文学の道しるべとなる名作を辿る。
(角川ソフィア文庫 1606円)[amazon]

C・S・ルイス 『ナルニア国物語1 ライオンと魔女と洋服だんす』
両親と離れ、田舎の風変わりな教授の家に預けられた4人の兄妹。ある日末っ子のルーシーが空き部屋で大きな洋服だんすをみつけるが、扉を開くとそこは残酷な魔女が支配する国ナルニアだった……。河合祥一郎訳
(角川文庫 649円)[amazon]

C・S・ルイス 『ナルニア国物語2 カスピアン王子』
夏休みが終わり、ルーシーたち4人兄妹は寄宿学校へ帰るため、駅で列車を待っていた。すると、不思議な力が働いて、あっというまに別世界へ。河合祥一郎訳
(角川文庫 価704円)[amazon]

イサアク・エサウ・カリージョ・カン/アナ・パトリシア・マルティネス・フチン 『夜の舞・解毒草』
〈新しいマヤの文学〉
薄幸な少女フロールが、不思議な《夜の女》とともに父探しの旅に出る夢幻的作品「夜の舞」と、死んだ女たちの霊魂が語る苦難に満ちた宿命と生活をペーソスとともに寓話的に描く「解毒草」の2連作中編を収録した、マジックリアリズム的マヤ幻想小説集。吉田栄人訳
(国書刊行会 2640円)[amazon]

アーシュラ・K・ル=グウィン 『現実と幻想 ル=グウィン短篇選集
とある海辺の町を舞台に、複数の語りを通して一人の女性の姿を描きだす 「夢に遊ぶ者たち」、架空の未来史〈ハイニッシュ・サイクル〉の1ピースをなす 「背き続けて」、勤勉な使用人に主人が与えた意外な試練の顛末 「水甕」――。現実と非現実の境界を揺さぶる魅惑の11篇。大久保ゆう・小磯洋光・中村仁美訳
(青土社 2860円)[amazon]

小森収編 『短編ミステリの二百年 3』
第二次大戦後、クイーンが創刊した雑誌EQMMとその年次コンテストは、ミステリの進化に多大なる影響を与えた。短編ミステリの歴史をたどる巨大アンソロジー第3巻は、スタンリイ・エリンに代表されるコンテスト応募作家とその作品を中心に、ポースト、マクロイ、アームストロング、A・H・Z・カー、ブラウンなどの傑作11編を収録。小森収の評論には、資料価値抜群のEQMM年次コンテスト受賞作リストも掲載。直良和美他訳
(創元推理文庫 1540円)[amazon]

《幻想と怪奇3 平井呈一と西洋怪談の愉しみ
19世紀終盤から20世紀初頭の西洋、ことイギリスでの怪奇小説は傑作の目白押し、書き手たちも名だたる文人墨客であることに、あらためて驚かずにはいられない。そんな西洋怪談に惹かれた名訳者、平井呈一 (1902-76) の訳業を、評論、エッセイと共に顧み、彼が愛した作家たちの作品をはじめ、傑作を新旧取り交ぜて収録。内容
(新紀元社 2420円)[amazon]

ジョージ・オーウェル 『一杯のおいしい紅茶 ジョージ・オーウェルのエッセイ
鋭利で辛辣、政治一辺倒――そんなオーウェルのイメージは本書を読めば心地よく裏切られる。「人間はぬくもりと、交際と、余暇と、 慰安と、安全を必要とするのである」 自然に親しむ心を、困窮生活の悲哀を、暖炉の火やイギリス的な食べ物、失われゆく庶民的なことごとへの愛着を記して、作家の意外な素顔を映す上質の随筆集。文庫化に当たり 「『動物農場』ウクライナ版への序文」 を収録。小野寺健訳
(中公文庫 924円)[amazon]

カレル・チャペック 『園芸家12カ月 新版
われわれ園芸家は未来に生きているのだ――。草花をこよなく愛したチェコの作家、カレル・チャペックが描く、園芸愛好家の幸福な熱狂に満ちた一年。その軽妙な筆致で世界中の読者を魅了し続ける名エッセイを、著者生誕130年を記念し、新装版として刊行。
(中公文庫 770円)[amazon]

佐藤春夫 『佐藤春夫台湾小説集 女誡扇綺譚』
「田園の憂鬱」で一躍文壇に躍り出ながら、極度の神経衰弱に陥った佐藤春夫は台湾へと旅立つ。そこで目にしたもの、感じたものは、作家の創造力を大いに刺激した。台湾旅行に想を得た今こそ新しい9篇。ミステリーあり、童話あり。異国情緒のなかに植民地への公平なまなざしと罪の意識がにじむ。【収録内容】 女誡扇綺譚/鷹爪花/蝗の大旅行/旅びと/霧社/殖民地の旅/魔鳥/奇談/かの一夏の記
(中公文庫 1100円)[amazon]

澁澤龍彦 『サド侯爵の生涯 新版
『悪徳の栄え』の著者、サディズムの祖として知られるマルキ・ド・サド。 公序良俗に対決しつづけた18世紀フランスの貴族の生涯を、誕生から性的醜聞、幽囚生活、孤独な晩年まで描ききる。 無理解と偏見に満ちた従来のイメージを覆し、サドの実像を捉えた画期的評伝。
(中公文庫 1540円)[amazon]

『事件の予兆 文芸ミステリ短篇集中央公論新社編
井上靖「驟雨」、大岡昇平「春の夜の出来事」に始まり、田中小実昌「ドラム缶の死体」まで。1950年代から80年代に発表された非ミステリ作家による知られざる上質なミステリの数々。小沼丹、野呂邦暢、吉田知子らによる10編を収めた異色のアンソロジー。
(中公文庫 902円)[amazon]

土岐恒二 『照応と総合 土岐恒二個人著作集+シンポジウム
ボルヘスやコルタサル、ムヒカ=ライネスなどのラテンアメリカ文学の紹介者として活躍、英国世紀末文学を専門とする学究としても知られた土岐恒二(1935-2014)の論文やエッセイをテーマ別に編纂、一人の寡黙な精読者(リズール)が旅した文学的・文化的な地図を、彼のテクストに共鳴する現代日本の論者たちと共に描き出す。吉田朋正編 目次
(小鳥遊書房 9680円)[amazon]

アンデシュ・ルースルンド、ベリエ・ヘルストレム 『三分間の空隙 上・下
中南米の麻薬組織で窮地に立たされた潜入捜査官。彼を救う鍵はグレーンス警部――名作『三秒間の死角』に連なるシリーズ最高傑作。ヘレンハルメ美穂訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 各1276円)[amazon]

アガサ・クリスティー 『ポケットにライ麦を 新訳版
会社社長の毒殺事件を皮切りに名家で起きた三つの殺人事件。かつて仕込んだメイドを殺されたミス・マープルの正義の鉄槌が下る。山本やよい訳
(早川書房/クリスティー文庫 1122円)[amazon]

デイヴィッド・ミッチェル 『ボーン・クロックス』
ホリーは、いたって普通の女の子。サイキックな能力を持つことを除けば――。舞台は、15歳の家出少女だった1984年のイングランドからイラク、アメリカ、ディストピアと化した2043年のアイルランドまで。ホリーを中心に展開する6つの物語をつなぎ合わせた大作。北川依子訳
(早川書房 5390円)[amazon]

メアリ・ロビネット・コワル 『宙(そら)上・下

巨大隕石落下により人類は生き残りをかけて宇宙開発に乗り出すことに。星々を目指す女性パイロットを描く改変歴史/宇宙開発SF。酒井昭伸訳
(ハヤカワ文庫SF 各1122円)[amazon]

ニック・ウェブ 『伝説の艦隊1 〈コンスティテューション〉』
75年の時を経て再度襲来した異星人艦隊に敢 然と立ち向かったのは、〈伝説の艦隊〉最後 の一隻〈コンスティテューション〉だった。置田房子訳
(ハヤカワ文庫SF 1166円)[amazon]

レスリー・カラ 『噂 殺人者のひそむ町
イギリスの海辺の片田舎に流れ始めたある噂。出所した殺人者が町に隠れ住んでいるという。やがて住民は疑心暗鬼に飲み込まれ……。北野寿美枝訳
(集英社文庫 1155円)[amazon]

シモーヌ・ヴェイユ 『神を待ちのぞむ』
〈須賀敦子の本棚〉
自分にとって 「灯台のような存在」 と言い、「息もできないほど感動」 した須賀。思想の核心を徹底的につきつめ不滅の輝きを放つ名作。今村純子訳
(河出書房新社 3190円)[amazon]

ベルトルト・ブレヒト 『アルトゥロ・ウイの興隆/コーカサスの白墨の輪』
ヒトラーが独裁者として成り上がっていく過程を、シカゴのギャングの世界に置きかえて描いた 「アルトゥロ・ウイの興隆」。血のつながりのない子を必死で育てる娘の姿を通し、戦争で荒廃した人々の心の再生を謳った 「コーカサスの白墨の輪」。亡命時代に書かれたブレヒトを象徴する二作品を新訳。酒寄進一訳
(東宣出版 2420円)[amazon]

サンティアゴ・ H・アミゴレナ 『内なるゲットー』
ホロコーストに消えた母、僕は沈黙することしかできなかった。ポーランドから南米に移住した息子の苦悩を描いた仏ベストセラー。齋藤可津子訳
(河出書房新社 2200円)[amazon]

デイヴ・アディ 『SF映画のタイポグラフィとデザイン』
SF映画において、タイポグラフィとデザインはどのように「未来」を視覚化してきたのか。『2001年宇宙の旅』以降のSF映画作品を題材に、SF映画のストーリーテリングとデザインの関係を探る新たな試み。篠儀直子訳
(フィルムアート社 4180円)[amazon]

アンドレア-プルガトーリ 『裏切りのシュタージ』
東ドイツが葬った極秘計画、通称“ウォルラス”は終わっていなかった。祖国を捨てた元スパイは、暗号を受け取り、古巣ベルリンへ舞い戻る。復讐か、罠か―。イタリア発、衝撃のデビュー作。安野亜矢子訳
(ハーパーBOOKS 1210円)[amazon]

《CRITICA》 vol.15
特集=フランス・ミステリ 目次
(探偵小説研究会 1500円) 取扱=盛林堂

アーノルド・ゼイブル 『カフェ・シェヘラザード』
メルボルンに実在したカフェ 《シェヘラザード》。ナチスに蹂躙された故国ポーランドを脱出し、奇跡的に杉原千畝のヴィザを取得。神戸、そして上海を経由して、はるばるオーストラリアにたどりついたユダヤ難民/移民たちの声が、カフェを舞台にポリフォニックに響く。モノクローム映画のように静謐な筆致で現代史の局面を描いた小説。菅野賢治訳
(共和国 3520円)[amazon]

マイクル・コナリー 『汚名 上・下
ハリー・ボッシュ・シリーズの邦訳最新刊は、前作 『訣別』 同様、ボッシュに関わるふたつの事件を平行して描く。古沢嘉通訳
(講談社文庫 各968円)[amazon]

リー・チャイルド 『葬られた勲章 上・下
監禁、謎の母子、人気政治家の過去――ジャック・リーチャー・シリーズ、待望の最新邦訳。青木創訳
(講談社文庫 各1100円)[amazon]

喜国雅彦・国樹由香 『本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド
日本推理作家賞受賞作家が放つ今まで見たことないブックガイド!! ○本当にお薦めしたい古典ミステリを選ぶ「H-1グランプリ」 ○読んで書いて覚える「エンピツでなぞる美しいミステリ」 ○本棚探偵が街で見つけた謎「ミステリの風景」 ○みすを名言集「ほんかくだもの」 ○名作をイラストで紹介「勝手に挿絵」 ○喜国雅彦の本を楽しむ姿を描く「国樹由香の本棚探偵の日常」
(講談社文庫 1320円)[amazon]

ヴィンセント・スターレット 『笑う仏 ラッフィング・ブッダ
〈論創海外ミステリ〉
軍靴の足音が迫る日中戦争勃発直前の北京。郊外の古寺で狂乱の宴に酔いしれる若者達が殺人事件に巻き込まれ、そのメンバーが次々と惨く静かに死んでいく。"笑う仏"と酷似した怪人物の目的とは何か? 福森典子訳
(論創社 3300円)[amazon]

P・A・テイラー 『ヘル・ホローの惨劇』
〈論創海外ミステリ〉
ケープコッドの小さな町ビリングスゲートで、ふるさと祭りの開会の花火が上がる中、女性骨董商が自宅で射殺される事件が発生。最重要容疑者には鉄壁のアリバイが。町の人気者アゼイ・メイヨが真相究明に乗り出す中、第二の殺人が起きる。清水裕子訳
(論創社 3300円)[amazon]

『佐左木俊郎探偵小説選Ⅰ』
〈論創ミステリ叢書〉
幻の遺作 「狼群」 が87年ぶりの復刊。北海道を舞台にした中編 「恐怖城」、その原型作品 「熊の出る開墾地」 を併録。宮城県出身の農村文学作家にして新潮社編集者、佐左木俊郎の探偵小説集。竹中英俊・土方正志 編 内容
(論創社 4400円)[amazon]

大阪圭吉 『死の快走船』
岬の端に建つ白堊館の主人キャプテン深谷は、ある海霧の夜、愛用のヨットで帆走に出掛けた翌朝、無惨な死体となって発見された……堂々たる本格中篇「死の快走船」をはじめ、猟奇的エロティシズムを湛えた犯罪奇譚「水族館異変」、東京駅のホームを舞台に三の字づくしの謎に隠された意外な犯罪をあばく「三の字旅行会」、アパートの謎の住人“香水夫人”の正体とは? ユーモア探偵小説「愛情盗難」ほか、防諜探偵・横川禎介物、弓太郎捕物帖など、大阪圭吉の知られざる多彩な魅力を網羅した傑作選。 全15篇とエッセーを収録。
(創元推理文庫 予価1056)[amazon]

『密室と奇蹟 ジョン・ディクスン・カー生誕百周年記念アンソロジー
1906年、アメリカ合衆国ペンシルヴァニア州に生まれた不可能犯罪の巨匠J・D・カー(カーター・ディクスン)の生誕100年を祝して刊行された日本作家競作、書き下ろしアンソロジーが、デビュー作『夜歩く』刊行90周年の2020年に文庫で復活。
(創元推理文庫 1320円)[amazon]

ガレス・L・パウエル 『ウォーシップ・ガール』
星間紛争中のある事件で心に傷を負った重巡洋艦〈トラブル・ドッグ〉は、休戦後に軍を辞して人命救助団体に加わった。彼女はあるとき、民間船の遭難信号を受信する。すべての惑星が奇妙に加工された謎の星系・ギャラリーに駆けつけた彼女は、銀河の命運を賭けた戦いに巻き込まれる。英国SF協会賞長編部門受賞作。三角和代訳
(創元SF文庫 1320円)[amazon]

草上仁 『キスギショウジ氏の生活と意見
移動する都市、呪いを飼う男、新聞蝶、裁判にかけられる神、駅のトイレの秘密――意外な結末満載。短篇SFの匠の全篇初収録+書き下ろし作品集。日下三蔵編
(竹書房文庫 1540円)[amazon]

《ミステリーズ!》 Vol.102
特集「2020夏の怪談」。芦辺拓、大阪・船場の商家を舞台にした渾身の本格長編スタート。好評連載、大崎梢、櫛木理宇、古内一絵。本誌初登場、川野芽生が贈る力作中編ほか。
(東京創元社 1320円)[amazon]

押井守 『押井守の映画50年50本』
押井守が高校生だった1968年から始まる、極私的映画史50年。「1年に1本のみ」という縛りで選ばれたのは、いったいどんな作品なのか?  押井監督が映画の半世紀を語りつくす。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』 『わらの犬』 『ブレードランナー』 『レスボア・ドッグス』…… 半世紀分の視差が編み出すその語りから、映画と、押井守の本質が浮かび上がる。
(立東舎 2420円)[amazon]

ウィリアム・トレヴァー 『ラスト・ストーリーズ』
短篇小説の名匠トレヴァー、最後にして最高の完成度を誇る短篇集。妻に先立たれた男と金目当てに結婚した年長の夫に死なれた女が出会う話 「ミセス・クラスソープ」、一人の男を愛した幼馴染の女二人が再会する 「カフェ・ダライアで」、ストーカー話が被害者と加害者の立場から巧みに描かれる 「世間話」など、全10篇収録。栩木伸明訳
(国書刊行会 2640円)[amazon]

石川淳 『石川淳随筆集』
澁澤龍彦編
「この集で、私は石川淳さんのダンディズム、つまり精神のおしゃれを存分に示したいと思った」──。和漢洋古今聖俗を自由に往還する珠玉の随想を澁澤龍彦が精選。
(平凡社ライブラリー 1650円)[amazon]

ロバート・E・ハワード 『星のなかの骸骨 ハワードマガジン ソロモン・ケイン シリーズ 1
ハワードのヒーロー、清教徒冒険者ソロモン・ケイン・シリーズを二分冊で刊行。第1巻には 「赤き影」 「星のなかの骸骨」 「呪われた旅籠」 に、心霊探偵スティーブ・ハリソンの冒険譚「黄金の牙」「墓場の滑鼷」を収録。加藤博・重盛真凛訳
(綺想社 5000円) 取扱=盛林堂

大阪圭吉 『勤王捕物 丸を書く女』
名古屋新聞社出版部 《にっぽん》 に掲載された時代小説、〈弓太郎捕物帖〉第6話。町のあちこちへ〇の印を書いて歩く怪しい女の行動に目を留めた岡ッ引の銀次は、ひそかにその後をつけるが・・・
盛林堂ミステリアス文庫 500円)

《フリースタイル》 vol.45
短篇ミステリとは何か (小森収×杉江松恋)
ほか
(フリースタイル 977円)[amazon]

エドマンド・バーク 『フランス革命についての省察』

「保守主義のバイブル」 とも言われる政治家・思想家バークの代表的著作。革命が進行するさなかに書かれ、理性を絶対視した革命政府の社会改革を、宗教、行政、軍事から経済政策に至るまで批判し、その後の恐怖政治の到来をも予期した。二木麻里訳
(光文社古典新訳文庫 1628円)[amazon]

『中国・SF・革命』
完売となった「文藝」2020年春季号特集を単行本化。ケン・リュウ、郝景芳の初邦訳作品、柞刈湯葉の書き下ろしを新たに追加。
(河出書房新社 2420円)[amazon]

山田風太郎 『柳生十兵衛死す 上・下
江戸慶安と室町を舞台に、二人の柳生十兵衛の活躍と最期を描く、幽玄にして驚天動地の一大伝奇。山田風太郎傑作選・室町篇、第一弾。
(河出文庫 各1100円)[amazon]

周浩暉 『死亡通知書 暗黒者』
死すべき罪人の名をネットで募り、予告殺人を繰り返す劇場型シリアルキラー〈エウメニデス〉。挑戦状を受け取った刑事・羅飛は事件を食い止めようと奔走するが……果たして命を懸けたゲームの行方は? 本国でシリーズ累計120万部突破の華文ミステリ最高峰。稲村文吾訳
(ハヤカワ・ミステリ 1980円)[amazon]

ジョージ・ウォーレス、ドン・キース 『ハンターキラー 最後の任務 上・下
最新鋭の武器を擁する南米の麻薬王の陰謀を阻止するため、引退を控えた攻撃潜水艦は最後の航海に向かう――冒険アクション大作。山中朝晶訳
(ハヤカワ文庫NV 各1012円)[amazon]

奈落一騎 『江戸川乱歩語辞典 乱歩にまつわる言葉をイラストと豆知識で妖しく読み解く
江戸川乱歩にまつわるさまざまな用語を辞典形式で紹介する解説本。長編、短編、評論、主役、脇役、名セリフから、映画、テレビ、ドラマ、マンガ、ゲーム、アニメまで、キーワード、作家自身のことなど500語以上を収録。荒俣宏監修
(誠文堂新光社 1760円)[amazon]

ラグナル ヨナソン 『喪われた少女』
1978年10月、アイスランド西部フィヨルドへ秘密の週末旅行に向かう若い男女がいた。数日後、別荘で死亡している女性が発見され、残されたセーターから父親が逮捕される。10年後、殺された女性を偲んで4人の仲間が集まった。そして再び事件が……。女性警部フルダ・シリーズ第2作。吉田薫訳
(小学館文庫 880円)[amazon]

『暗い世界 ウェールズ短編集河野真太郎編
日本初のウェールズ小説集。 炭鉱/戦争/女性/日常、 ウェールズに根ざした、でも私たちにとても近い5編の物語たち。 「まわりの全てが新しい王国」。【収録作品】 リース・デイヴィス 「暗い世界」/グウィン・トーマス 「あんたの入用」/マージアッド・エヴァンズ 「失われた釣り人」/ロン・ベリー 「徒費された時間」/レイチェル・トレザイス「ハード・アズ・ネイルズ」
(堀之内出版 予価1980円)[amazon]

イ・ギホ 『舎弟たちの世界史』
〈韓国文学セレクション〉
「聞いてくれたまえ。これは、全斗煥将軍が国を統べていた時代の話だ」 ノワール映画の我らが主人公 [独裁者] と、その兄に怯える〈舎弟たち〉。時代の狂気のなかで破壊されたタクシー運転手ナ・ボンマンの人生を、軽妙洒脱、ユーモラスな文体で悲喜劇的に描ききった話題作。小西直子訳
(新泉社 2420円)[amazon]

クライブ・カッスラー 『タイタニックを引き揚げろ 上・下
稀少なビザニウム鉱石をめぐる米ソ虚々実々の諜報戦&争奪戦。冒険小説の巨匠の代表作、復刊。中山善之訳
(扶桑社ミステリー 各990円)[amazon]


▼7月刊

イ―ヴリン・ウォー 『つわものども 誉れの剣 Ⅰ
〈エクス・リブリス・クラシックス〉
第二次大戦の勃発に英国の名家出身の中年男ガイ・クラウチバックは大義に身を捧げようと軍に志願するが、受入れ先がなかなか決まらず、ようやく見習士官として入隊した伝統ある連隊は問題ばかりで……。戦争に巻き込まれた人々の滑稽な生態を、喜劇的に、時に真正面から描き、「第二次大戦が生んだ最も優れたイギリス小説」と評されるウォー後期の傑作 《誉れの剣》 三部作開幕。本邦初訳。小山太一訳
(白水社 3740円)[amazon]

グカ・ハン 『砂漠が街に入りこんだ日』
そこは幻想都市、ルオエス(LUOES)。人々は表情も言葉も失い、亡霊のように漂う。「私」はそれらを遠巻きに眺め、流れに抗うように、移動している。「逃亡」「反抗」「家出」、その先にある「出会い」と「発見」。居場所も手がかりも与えてはくれない世界で、ルールの知らないゲームの中を歩く、8人の「私」の物語。原正人訳
(リトル・モア 1980円)[amazon]

山本貴光 『マルジナリアでつかまえて 書かずば読めぬの巻
人類は大きく二つに分かれる。本に書き込みをする者と、しない者に──。書物界の魔人が世にあふれる“人と本との接触の痕跡=マルジナリア"を追う。余白の書き込みを見つけては考え、知る、新しい本の愉しみ。著名人から無名の筆遣い、プログラミングのコメントまで。広くて深いマルジナリアの大地を一緒に歩いてみませんか。
(本の雑誌社 2200円)[amazon]

アーサー・コナン・ドイル 『失われた世界 新訳版
その昔、地上を支配した古代の生物は絶滅したのだろうか。アマゾン流域で死んだアメリカ人の遺品の中から、有史前の生物を描いたスケッチブックが発見されるや、古生物学者チャレンジャー教授は “失われた世界” を求めて勇躍アマゾン探険に赴いた。コナン・ドイルの不朽の名作。《ストランド》誌掲載時の挿絵を収録。中原尚哉訳
(創元SF文庫 968円)[amazon]

フィン・ベル 『死んだレモン』
車いす生活者のフィンが越してきたニュージーランド最南端の町。そこでは26年前に少女失踪事件が起きていた。事件から6週間後、隣家のゾイル家の土地から彼女の骨の一部が発見された……。ナイオ・マーシュ賞受賞。安達眞弓訳
(創元推理文庫 1320円)[amazon]

ロイス・マクマスター・ビジョルド 『女総督コーデリア』
惑星セルギアールに女総督コーデリアが帰ってきた。年一回のグレゴール帝への報告のため、六週間前にバラヤーへ出かけていたのだ。留守を預かっていたオリヴァー・ジョール提督の心中は複雑だった……。人気シリーズのその後を描いたスピンオフ。小木曽絢子訳
(創元SF文庫 1540円)[amazon]

サミュエル・バトラー 『エレホン』
羊飼いの青年が迷い込んだ謎の国 「エレホン」。人びとはみな優しく、健康的で美しい。でも、それには“しかるべき理由”があった。自己責任、優生思想、経済至上主義、そしてシンギュラリティ……。社会の幸福とはいったい何なのか。19世紀英国の作家によるユートピア小説の古典(1872)が、現代人の心の底に潜む宿痾をあぶり出す。武藤浩史訳
(新潮社 2420円)[amazon]

ミン・ジン・リー 『パチンコ 上・下
日本の統治下となった朝鮮から大阪へ、横浜へ。在日コリアン四世代の苦難にみちた80年を描く世界的ベストセラー大作。池田真紀子訳
(文藝春秋 各2640円)[amazon]

ミシェル・フーコー 『狂気の歴史 古典主義時代における 新装版
狂気はなぜネガティブな存在とされてきたのか? 狂気の本質を徹底的に究明する! 長きにわたって社会から排除され、沈黙の領域に押し込まれてきた狂気を、豊富な例証をもとに探求することを通じて、ヨーロッパ文明の隠された闇の部分に新たな光をあてるフーコー思想根幹の書。田村俶訳
(新潮社 7150円)[amazon]

グザヴィエ・ミュレール 『エレクトス・ウイルス 上・下
感染症の研究ラボで発見された新種のウィルス――それは全ての生物を原始の姿に退行させる退化促進ウィルスだった。伊藤直子訳
(竹書房文庫 各935円)[amazon]

山下昇平 『山下昇平作品集 贄宴-ShiEn-
造形、イラスト、舞台美術など多くの分野にわたって活躍、ホラー・怪談本のカバーアートも数多く手掛ける現代美術作家、山下昇平の作品集。グロテスクでありながらも妖しく美しい世界を、過去から現在にいたるまで網羅。京極夏彦、川奈まり子、黒史郎、最東対地による作品をモチーフにした掌編小説を収録。解説=東雅夫
(二見書房 3080円)[amazon]

クラーク・アシュトン・スミス 『魔術師の帝国3 アヴェロワーニュ篇
〈ナイトランド叢書〉
跳梁跋扈する怪物たちと、それに対抗する魔法の数々。中世フランスを模したアヴェロワーニュ地方を舞台にした、絢爛華美な幻想物語集。クトゥルー神話へつながる 「聖なるアゼダラク」 「イルーニュの巨人」 をはじめゾシークと双璧をなす〈アヴェロワーニュ〉シリーズ全11編と詩 「アヴェロワーニュ」、さらにスミスの代表的な長詩 「大麻吸引者」 を収録。安田均編
(アトリエサード 2640円)[amazon]

ナタリー・サロート 『子供時代』
〈ルリユール叢書〉
ヌーヴォー・ロマン作家サロートが到達した、伝記でも回想でもない、まったく新しい「反-自伝小説」。「私」と「あなた」の対話ではじまる、ことばとイマージュと記憶の物語。円熟期の実験作。湯原かの子訳
(幻戯書房 4180円)[amazon]

レンジェル・メニヘールト 『颶風 (タイフーン)
〈ルリユール叢書〉
パリの日本人コロニーを舞台にした〈ジャポニズム・フィクション〉として、20世紀初頭、欧米各地の劇場を席捲、「黄禍論」の議論を呼んだドラマ。「台風」現象としてセンセーションを巻き起こした、ハンガリーの劇作家レンジェルの代表作。小谷野敦訳
(幻戯書房 3080円)[amazon]

『武部本一郎 画集 Ⅱ 〈戦士〉』 大橋博之編
多くのSFファンを魅了し続ける武部本一郎の世界を、原寸サイズ、高繊細スキャンで再現。限定生産部数で贈る、豪華A3判画集企画がついに実現。ジョン・カーター、コナン、ゾンガー、ブラク、ターザン他、ヒーローたちの競演。内容
復刊ドットコム [直販・先着特典有] 27,500円)[amazon]

ジャック・ルーボー 『環』
〈フィクションの楽しみ〉
ニャンニャン理論、わがアヒル=友バガディーヌ(とその赤ちゃん(月、火、水、木、金、土、日)たち)、代々伝わる神聖なる手づかみ漁儀式 (自惚れ屋のマスをのぞく!) 一つの樹木がその枝を伸ばすかのように、数々の枝に分かれた幼少期のエピソード群。物語・挿入・分岐と、ウリポメンバーならではの複雑な構成からなる、規格外の自伝的フィクション。田中淳一訳
(水声社 5280円)[amazon]

『秘文字』 泡坂妻夫・中井英夫・日影丈吉/長田順行 監修
世界初、書き下ろし暗号小説を暗号化した幻の奇書 (社会思想社、1979) を、激レアな 「解答編」 小冊子付きで復刻。
復刊ドットコム 18,700円)[amazon]

《ミステリマガジン》 9月号
〈特集=ハヤカワ文庫創刊50周年〉 エッセイ わたしとハヤカワ文庫/カバーギャラリー/小誌広告で振り返る各文庫創刊/他
(早川書房 1320円)[amazon]

『皆川博子長篇推理コレクション4 花の旅 夜の旅 聖女の島』
旅行雑誌の連載小説と符合するかのように続発する関係者の死――作中作を軸に展開される犯罪計画を技巧を尽くして描く 『花の旅 夜の旅』。廃墟の島に建てられた不良少女の矯正施設。その救済のために派遣された修道女が目にしたのは……。幻想ミステリの金字塔『聖女の島』。コレクションの掉尾を飾るにふさわしい二大傑作を収録。日下三蔵編
(柏書房 3300円)[amazon]

結城昌治 『軍旗はためく下に 増補新版
敵前逃亡・奔敵、従軍免脱、司令官逃避、敵前党与逃亡、上官殺害。陸軍刑法上、死刑と定められた罪で戦地で裁かれ処刑された兵士たち。戦争の理不尽を描いた直木賞受賞作に、著者の自作再読エッセイを収録した増補版。
(中公文庫 1100円)[amazon]

ジョン・ケリー 『黒死病 ペストの中世史
ある日、人びとは 「この世の終わり」 が来たことを知った――14世紀の欧州を覆い尽くした史上最悪の疫病に、あらゆる角度から迫った克明な叙事詩。 野中邦子訳
(中公文庫 1540円)[amazon]

アガサ・クリスティー 『名探偵ポアロ ABC殺人事件』
〈ハヤカワ・ジュニア・ミステリ〉
ABCと名乗る正体不明の殺人者から届いた殺人予告状。それは、名探偵エルキュール・ポアロをも翻弄する連続殺人事件の皮切りだった。アルファベット順に殺人が起き、現場には必ず鉄道時刻表が……すべての読者の予想を覆す大胆不敵なトリックを駆使した名作。田口俊樹訳
(早川書房 1430円)[amazon]

リジヤ・ジノヴィエワ=アンニバル 『悲劇的な動物園』
少女の目の前で野生の動物が殺される、餓死する、弱肉強食を繰り広げる……。同世代の女子にときめき、反発し、大人とぶつかり、ひとり空想に遊ぶ日々の中で自分らしさを失わず成長していくヒロインの心の内を描いて20世紀初めのロシア文学に新風を吹き込んだ自伝的小説と、二人の女性の愛の行方を日記でつづり、ロシア初のレスビアニズム文学と称された短篇「三十三の歪んだ肖像」。田辺佐保子訳
(群像社ライブラリー 2200円)[amazon]

エラリー・クイーン 『エラリー・クイーンの新冒険 新訳版
荒野に建つ巨大な屋敷 “黒い家” が一夜にして忽然と消失する強烈な謎と、エラリーによる鮮やかな解決を描いた傑作中篇 「神の灯」 を巻頭に、スポーツを題材にした連作など、これぞ本格ミステリ、と読者をうならせる逸品ぞろいの第二短編集。中村有希訳
(創元推理文庫 1056円)[amazon]

チャールズ・ブコウスキー 『英雄なんかどこにもいない』
ブコウスキーのすべてが濃密につまった奇跡の一冊。つねに社会を挑発し、不穏なまでに暴力的で、あらゆることを嘲り、当然ながらおそろしく不敬。しかし、それはいっぽうで恐怖や孤独あるいはコンプレックスを抱えながら生きていくひとつの術でもあった。あらゆる小さなものたちへの愛を忘れずに生きたアウトローが遺した反骨と慈愛にみちた悲しくも美しい珠玉の39編。中川五郎訳
(青土社 3520円)[amazon]

M・J・アーリッジ 『どっちが殺す?』
密室に囚われたふたり。銃がひとつ。弾もひとつ。どちらかがどちらかを殺せば解放される――。女性警部補ヘレンは、イギリスのサウサンプトンで起きた、この奇妙な連続殺人事件の捜査をはじめるが……。佐田千織訳
(竹書房文庫 1430円)[amazon]

ジャック・ルーマン 『朝霧の主たち』
15年間キューバに出稼ぎに行っていたマニュエルが、ハイチの故郷に戻ってきた。しかしその間に村は水不足で窮乏し、ある殺人事件が原因で人々は二派に別れていがみ合っている。マニュエルは遠く離れた水源から水を引くことを発案し、水不足と村人の対立を解決しようと画策する。マニュエルの計画の行方は……。ハイチ文学の父ルーマン、晩年の主著。松井裕史訳
(作品社 2860円)[amazon]

デイヴィッド・マークソン 『ウィトゲンシュタインの愛人』
地上から人が消え、最後の一人として生き残ったケイト。彼女はアメリカのとある海辺の家で暮らしながら、終末世界での日常生活のこと、日々考えたとりとめのないこと、家族と暮らした過去のこと、生存者を探しながら放置自動車を乗り継いで世界中の美術館を訪ねたことなどを、タイプライターで書き続ける。ジョイスやベケットの系譜に連なる革新的作家の代表作。木原善彦訳
(国書刊行会 2640円)[amazon]

ヤン ストックラーサ 『スティーグ・ラーソン最後の事件』
早逝した著者スティーグ・ラーソンが遺した未発表の資料を手掛かりに、未解決の首相暗殺事件の謎に迫る。圧巻のノンフィクション。品川亮・下倉亮一訳
(ハーパーBOOKS 1650円)[amazon]

ドン・ウィンズロウ 『壊れた世界の者たちよ』
汚職、復讐、正義、喪失、裏切り、贖罪――すべてを凝縮した、鮮烈なクライムノベル中篇集。田口俊樹訳
(ハーパーBOOKS 1420円)[amazon]

川端康雄 『ジョージ・オーウェル 「人間らしさ」 への賛歌
「反ソ・反共」 作家のイメージから 「監視社会化」 に警鐘を鳴らした人物へと、時代とともに受容のされ方も変化してきたオーウェル。ポスト真実の時代に再評価が進む 『一九八四』 などの代表作をはじめ、少年時代から晩年までの生涯と作品をたどり、その思想の根源をさぐる。危機の時代に、彼が信じ続けた希望とは何か。
(岩波新書 968円)[amazon]

ロバート・アッカーマン 『評伝J・G・フレイザー 上・下
大著 『金枝篇』 で世界に衝撃を与えた人類学者の壮絶な学者人生と秘められた私生活。人類学的には過去の古典的名著にすぎないとされてきた 『金枝篇』 は、いま、文学として読み直され、なお色褪せぬ魅力を放ち続けている。当時の出版事情や人間模様、悪妻とも評された妻との結婚生活まで。未公開書簡や日記も満載した画期的評伝。玉井暲訳
(法蔵館文庫 各1870円)[amazon]

J・D・バナール 『宇宙・肉体・悪魔 理性的精神の敵について 新版
英国の生物・物理学者バナールが1929年に発表した先駆的な人類未来論。宇宙へと進出する過程で自らの肉体を工学的に改造し、生命を超越した存在に進化していく人類の姿を予言する。本書が説くスペースコロニーやサイボーグ、群体頭脳などのアイディアはクラークを始めとするSF作家に多大な影響を与えた。科学史に残る名著の新装復刊。鎮目恭夫訳
(みすず書房 2970円)[amazon]

レイラ・スリマニ 『アデル 人喰い鬼の庭で
恵まれた生活を送るアデルだが、実は夫以外の男性とのセックスなしには生きられない。ゴンクール賞受賞作家の衝撃のデビュー作。松本百合子訳
(集英社文庫 902円)[amazon]

川島昭夫 『植物園の世紀 イギリス帝国の植物政策
映画や文学作品でも知られる 「バウンティ号の反乱」(1789年)。なぜこの英国艦は、はるばるカリブ海までパンノキを運んでいたのか。イギリスの植民地戦略を担った植物学者やプラント・ハンターたちの姿を通して、現在では憩いの場として利用される 「植物園」 の起源を描き出す。イギリス帝国史研究の原点にして、2020年2月に没した著者の遺著。
(共和国 3080円)[amazon]

W・G・ゼーバルト 『土星の環 イギリス行脚 新装版
イギリス南東のサフォーク州の海岸線や内陸の町々をめぐる徒歩の旅。荒涼とした風景に思索がよびさまされ、過去の事跡からつぎつぎに連想の糸がたぐられていく。アフリカから戻ったコンラッドが寄港した保養地、中国皇帝が乗るはずだった列車が走行した鉄橋……そして本書の同伴者となる17世紀の医師、トマス・ブラウンをはじめとした、魂の近親者である古今の人々との出会い。〈私〉という旅人は、破壊の爪痕を徒歩でめぐり、荒涼とした風景に思索をよびさまされ、つぎつぎに連想の糸をたぐる。鈴木仁子訳
(白水社 3300円)[amazon]

ジョン・ル・カレ 『スパイはいまも謀略の地に』
英国秘密情報部(MI6)の現役部員ナットは、中年をすぎて引退が囁かれはじめ、ロシア関連のお荷物部署に左遷される。だが、そこで待ち受けていたのは面目躍如たる大きな案件だった。進退をかけた勝負を挑むナットの情を絡めとるような思いがけない罠とは? 加賀山卓朗訳
(早川書房 2530円)[amazon]

シオドラ・ゴス 『メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち』
両親の死を契機に、父親の謎めいた過去を調べ始めたメアリ・ジキル嬢。父の旧友ハイド氏とは何者なのか? ホームズとワトソンの助けを借りて調査するうち、彼女は科学者が狂気の研究の末に生み出した娘たちと出会い……。19世紀のロンドンで展開するSFミステリ。鈴木潤訳
(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 2530円)[amazon]

イアン・リード 『もう終わりにしよう。』
別れを切り出せないまま、彼の両親に会いに行く「わたし」。関係の冷えた二人が出した答えとは。孤独がもたらす闇に迫るスリラー。坂本あおい訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 1012円)[amazon]

アガサ・クリスティー 『メソポタミヤの殺人 新訳版
考古学者と再婚したルイーズの元に死んだ先夫から脅迫状が。それは不可思議な殺人事件の序曲だった……過去の悪夢をポアロは暴く。田村義進訳
(早川書房/クリスティー文庫 1122円)[amazon]

アナリー・ニューイッツ 『タイムラインの殺人者』
893年、シカゴ。求める未来のため、時間旅行者テスはタイムライン編集を試みる。だがその未来を消去しようとする敵が現われた! 幹遙子訳
(ハヤカワ文庫SF 1386円)[amazon]


山村正夫 『断頭台/疫病』
SF、ミステリ、ホラーなど……そのいずれかでもありどれでもない。異形の輝きを放つ奇妙な味の作品を集めた〈異色短篇傑作シリーズ〉刊行開始。第一弾は、傑作短編集 『断頭台』 に 「獅子」 「暴君ネロ」 「疫病」 を加えた、山村正夫の怪奇幻想短篇の精華。日下三蔵編
(竹書房文庫 1540円)[amazon]

アルチュール・ランボー 『対訳 ランボー詩集』
「季節よ、城よ、無疵な魂がどこにある?」── 10代半ばで詩を書きはじめ、20 歳で詩を捨てたランボー。 放浪と切り離せない彼の詩は、5 年間にどんな変容を遂げたか。伝説と謎に包まれた少年詩人が天才と呼ばれるゆえんは何か。『地獄の一季節』全文を含む主要作品をフランス語と訳文で正確に対照し、注解では難解な作品の核心に迫る。中地義和編
(岩波文庫 1122円)[amazon]

クラウス・コルドン 『ベルリン1945 はじめての春 上・下
繰り返される空襲とその後の市街戦により、街は容赦なく破壊された。生き残った人びとは新しい生き方を模索するが、長く続いたナチの支配と戦争は、街にも人の心にも深い傷を残しており……。ドイツの敗戦とその後の混乱を、ナチ体制下で育った少女エンネの目線でつづり、それぞれの人生の変転を描く。大河群像劇完結編。酒寄進一訳
(岩波少年文庫 各1320円)[amazon]

『文学こそ最高の教養である』 駒井稔+「光文社古典新訳文庫」編集部編
2014年10月に始まった紀伊國屋書店新宿本店での光文社古典新訳文庫の名物イベントを書籍化。「古典」に新たな読者を招く。
(光文社新書 1540円)[amazon]

ジャン・コクトー 『恐るべき子供たち』
14歳のポールは、学校で、憧れの男子生徒が投げつけた雪玉で大けがを負ってしまう。友人のジェラールが、ポールを家まで送っていくと、そこには、奔放で美しい姉エリザベートがいた……。近代フランス文学におけるもっとも美しく、危険な小説。東郷青児訳 (復刊)
(角川文庫 660円) [amazon]

サム・ロイド 『チェス盤の少女』
チェスの少年少女全英大会に出場しにやってきたイリサは、突然何者かに拉致される。真っ暗な地下室で目を覚ましたイリサは、部屋の床をチェス盤に見立て、現状を把握しようとする。なぜ自分が誘拐されたのか? 犯人の目的とは? 一方、イリサを拉致したのが連続少女誘拐犯とわかり、外では必死の捜査が始まっていた。大友香奈子訳
(角川文庫 1320円)[amazon]

ニール・ゲイマン 『アメリカン・ゴッズ 上・下
暴行罪で服役中のシャドウは、妻ローラの死で予定より早く出所し、葬儀に向かう途中、老紳士ウェンズデイに出会う。妻の死が不倫中の事故と知り自暴自棄になるシャドウのもとに、死んだはずのローラが現れ、一方、詐欺師のウェンズデイは、アメリカを旅し「仲間」を集めていた。約束の地に辿り着いた二人が対面したのは、社会の隅で生きる古の神々だった! 金原瑞人・野沢佳織訳
(角川文庫 各1408円)[amazon]

今井秀和 『世にもふしぎな化け猫騒動』
「寺の猫がしゃべった話」「猫に生まれ変わった父親の話」「『源氏物語』の猫の夢」「招き猫の起源の話」ほか、古代から江戸期まで、様々な作品に描かれてきた化け猫のお話を現代語訳で読む。
(角川ソフィア文庫 836円)[amazon]

寺田寅彦 『科学と文学』
科学者としての生活のなかに文学の世界があるとし、伝統世界への強い愛情を持っていた寺田寅彦。芭蕉連句を映画のモンタージュ構成と捉えたり、音楽の楽章と表現するなど、すぐれた文学者の眼もあわせ持っていた。「映画芸術」「連句雑俎」「科学と文学1」「科学と文学2」の4部構成。
(角川ソフィア文庫 880円)[amazon]

クラーク・アシュトン・スミス 『妖蛆の王国』
「悪の信奉者」「超時間への飛行」「南極の災厄」「妖蛆の王国」「墳墓からの種子」など新訳7篇に、伝説の同人誌《Little Weird》から荒俣宏訳CA・・スミス作品4篇を再録。大網鐵太郎編
(綺想社 5000円) 取扱=盛林堂

スティーヴン・ミルハウザー 『ホーム・ラン』
精緻な筆致、圧倒的想像力で名匠が紡ぐ深遠な宇宙。表題作や 「ミラクル・ポリッシュ」 など奇想と魔法に満ちた8篇と独特の短篇小説論。柴田元幸訳
(白水社 2640円)[amazon]

フレドリック・ブラウン 『フレドリック・ブラウンSF短編全集3 最後の火星人
奇抜な着想、軽妙なプロットで、短編を書かせては随一の名手フレドリック・ブラウン。その多岐にわたる活躍の中から、SF全短編を年代順に収めた全4巻の決定版全集。第3巻には 「スポンサーからひとこと」 など著者を代表する傑作16編を収録。安原和見訳
(東京創元社 3850円)[amazon]

北村薫 『詩歌の待ち伏せ』
“本の達人”による日本語への愛と折々に出会った詩歌との出会いが生んだ名エッセイ。これまでに刊行されていた3冊を合本した決定版。
(ちくま文庫 1320円)[amazon]

都甲幸治 『「街小説」 読みくらべ』
名作を「街縛り」で読んで、文豪と一緒に仮想街歩きをしよう。室生犀星と古井由吉の金沢、村上春樹と坪内逍遙の早稲田、フィッツジェラルドとサリンジャーのニューヨークなど、8都市25作品。
(立東舎 2420円)[amazon]

J・M・バリー/マリア・タタール編 『ヴィジュアル注釈版 ピーター・パン 上・下
不朽の名作 『ピーター・パン』 に児童文学研究の権威が詳細な注をほどこし、作品背景やバリーについて、関連作品などをわかりやすくまとめた決定版。さまざまな読みや象徴性、その現代性などにも言及。伊藤はるみ訳
(原書房 各2640円)[amazon]

中島俊郎 『英国流 旅の作法 グランド・ツアーから庭園文化まで
18世紀、古典教養を学ぶため貴族の子弟がイタリアへと旅した 「グランド・ツアー」。フランス革命で海外渡航が難しくなると湖水地方の国内旅行で風景鑑賞(ピクチャレスク美)。はたまた 「自らの歩き、詩想を深めるべし」 と徒歩旅行が大ブームに。「旅で学ぶ」 という信念を守り続けた英国人の飽くなき情熱と、彼らの理想郷「田園」の精神的意味を考察する。『イギリス的風景 教養の旅から感性の旅へ』(NTT出版 2007年)を加筆改題。
(講談社学術文庫 1298円)[amazon]

チャールズ・ダーウィン 『ミミズによる腐植土の形成』
家族の協力を得、自宅の裏庭につづく牧草地の一角に石灰をまき、土を掘り返しての観察と実験を重ねること40年。土のなかに住む小さな生き物ミミズの働きと習性について生涯をかけて研究したダーウィン最後の著作。渡辺政隆訳
(光文社古典新訳文庫 990円)[amazon]

ジョージ・エリオット 『ミドルマーチ 3』
カソーボン夫妻とウィルの三角関係が思わぬ形で終局を迎える一方、リドゲイトとロザモンドの夫婦間にも経済問題から亀裂が入る。また、バルストロードの暗い過去が明らかになり……。人間模様にさらなる陰影が刻まれる第3巻。(全4巻) 廣野由美子訳
(光文社古典新訳文庫 1496円)[amazon]

新保博久 『シンポ教授の生活とミステリー』
古今東西のミステリーに言及した博覧強記のブックガイド。
(光文社文庫 1100円)[amazon]

リチャード・M・ケイン 『イェイツとジョイスの時代のダブリン』
20 世紀ダブリンでなければ生まれなかった、作家・政治家たちの人物交流と名作。W.B. イェイツ、ジェイムズ・ジョイス、G.W. ラッセル(Æ)、 オリヴァー・セント・ジョン・ゴガティ、ジョン・シング、グレゴリー夫人、ショーン・オケイシー、マイケル・コリンズ…… アイルランド文芸復興、独立戦争など、ダブリンの輝かしい時代を人物の交流を通して見る一冊。小田井勝彦訳
(小鳥遊書房 3960円)[amazon]

ユッシ・エーズラ・オールスン 『特捜部Q アサドの祈り』
キプロスの浜辺に難民とおぼしき老女の遺体が打ち上げられた。偶然その写真を見たアサドは慟哭する。失った家族とのつながりを持つ人物だったからだ。彼の壮絶な過去を知った特捜部Qは、アサドの宿敵を捕らえ、また恐るべきテロ計画を阻止するために動き出す。吉田奈保子訳
(ハヤカワ・ミステリ 2310円)[amazon]

ベルトン・コッブ 『悲しい毒』
〈論創海外ミステリ〉
陽気な年越しの晩餐を一転させた惨劇。悲しい毒が暴く残酷な真実とは? 解決篇に手掛かり索引を付したベルトン・コッブの意欲作。菱山美穂訳
(論創社 2530円)[amazon]

アルネ・ダール 『時計仕掛けの歪んだ罠』
15歳の少女三人の連続失踪事件を追うベリエル。目撃の通報を受けて急行するも、三度とも現場はもぬけの殻。殺人事件だと確信するベリエルはやがて、それぞれの現場写真に映る不審な女に目をつける。スウェーデンでベストセラーの犯罪サスペンス。田口俊樹訳
(小学館文庫 1210円)[amazon]

ロバート・E・ハワード 『地獄船の娘 竜涎香の秘寶
《コナン》の作者がスパイシー(お色気)系パルプマガジンに発表した冒険活劇《ワイルド・ビル・クラントン》シリーズ3篇を紹介。大網鐵太郎・加藤博訳
(綺想社 4500円)取扱=盛林堂

香山滋 『海洋冒険連続小説 孤島の花』
戦後、秘境小説、怪奇幻想小説で人気を博し、《ゴジラ》の原作者としても知られる香山滋の子供向け作品「孤島の花」「眼球盗難事件」を収録(『香山滋全集』未収録作品)。
盛林堂ミステリアス文庫 1300円)

山田風太郎 『笊ノ目万兵衛門外へ』
「十年に一度の傑作」と縄田一男氏が絶賛する壮絶な表題作をはじめ、「明智太閤」、「姫君どこにおらすか」、「南無殺生三万人」など全く古びることがない、名作だけを選んだ驚嘆の大傑作選。山風復刊シリーズ第一弾。
(河出文庫 990円)[amazon]

西村京太郎 『華麗なる誘拐』
「日本国民全員を誘拐した。五千億円用意しろ」。犯人の要求を日本政府は拒否し、無差別殺人が始まった――。壮大なスケールで描き出す社会派ミステリーの大傑作が遂に復刊。
(河出文庫 935円)[amazon]

天城一 『天城一の密室犯罪学教程』
数学者にして幻の探偵小説作家・天城一の作品集。 日下三蔵編
(宝島社文庫 1298円)[amazon]

横溝正史 『完本 人形佐七捕物帳 四』
人形を思わせる色男の岡っ引き、 佐七が次々と江戸の事件を解決していく推理劇 。【収録内容】 「すっぽん政談」 「唐草権太」 「ほおずき大尽」 「双葉将棋」 「妙法丸」 「鶴の千番」 「半分鶴之助」 「お俊ざんげ」 「七人比丘尼」 「鼓狂言」 「お玉が池」 「百物語の夜」 「睡り鈴之助」 「団十郎びいき」 「河童の捕り物」 「日本左衛門」
(春陽堂書店 4950円)[amazon]

トニ・モリスン&スレイド・モリスン/パスカル・ルメートル(絵) 『どっちの勝ち?』
イソップ物語の 「アリとキリギリス」 「ライオンとネズミ」 「おじいちゃんとヘビ」 が現代社会に飛び出します。矛盾だらけの世界で生きぬくために、必要な知恵はなに? 「生きるバネ」──自信と勇気──を見出すチャンスが見つかる絵本。米国初のノーベル賞受賞黒人女性作家が学校や教科書が教えない大切なことを伝えます。鵜殿えりか・小泉泉訳
(みすず書房 3300円)[amazon]

フィリップ・K・ディック 『逆まわりの世界 改訳版
生者は若返り、死者は墓から蘇る時間逆流現象 “ホバート位相” が発生した世界で起こる奇妙で不条理な現実を描くディック幻の傑作。小尾芙佐訳
(ハヤカワ文庫SF 1452円)[amazon]

ティム・ベイカー 『神と罌粟』
十年で八百人を超す謎の連続強姦殺人事件。真相を追う刑事が見た、メキシコの深い闇とは。五人の視点で描かれる本格派スリラー。鈴木恵訳
(ハヤカワ文庫NV 1562円)[amazon]


▼6月刊

フェルナンド・デ・ロハス 『セレスティーナ カリストとメリベーアの悲喜劇
売春の取り持ち、離婚調停、怪しい薬の調合、産婆から悪魔使いまで、裏社会のあらゆる仕事を請け負う老婆セレスティーナ。報酬欲しさに、恋に取り憑かれた貴族の若者の願いを叶えるべく、強欲な従僕らと結託し奔走するが…….。中世スペイン文学の傑作。岡村一訳
(水声社 4400円)[honto]

オラシオ・カステジャーノス・モヤ 『吐き気』
〈フィクションのエル・ドラード〉
祖国エルサルバドルへの圧倒的な罵詈雑言と呪詛ゆえに作者の亡命さえ招いた問題作 『吐き気――サンサルバドルのトーマス・ベルンハルト』 に、ひとつの事件をめぐって無数の異説をもてあそぶ虚無的な生を描き出す 「フランシスコ・オルメド殺害をめぐる変奏」、罪なき市民が暴力の渦に巻き込まれる 「過ぎし嵐の苦痛ゆえに」 の全3篇。浜田和範訳
(水声社 2420円)[honto]

フアン・パブロ・ビジャロボス 『犬売ります』
〈フィクションの楽しみ〉
画家になりたかった老タコス屋のテオは、アドルノ『美の理論』を引用し人生問題を解決している。彼とマンションのロビーで読書会を主催するフランチェスカ、革命家で八百屋の女将ジュリエットの三角関係を軸にモルモン教の青年、毛沢東主義者、テオの家族や愛犬、動物愛護協会の役人、ゴキブリ集団らがメキシコ・シティーで繰り広げる虚々実々のメタフィクション。平田渡訳
(水声社 3080円)[honto]

アレン・ギンズバーグ 『新訳 吠える その他の詩』
カウンターカルチャーの発火点となった「吠える」をはじめ、「吠える 脚注」、「カリフォルニアのスーパーマーケット」など“その他の詩"を含む、1956年発表のオリジナル版 HOWL AND OTHER POEMS を柴田元幸が完全新訳。
(スイッチパブリッシング 1650円)[amazon]

池澤夏樹/池澤春菜 『ぜんぶ本の話』
ケストナー、ル・グィン、ヴォネガット、福永武彦……世界は素敵な本で溢れてる!小説家の父と声優の娘が読む喜びを伝える対談集。
(毎日新聞出版 1760円)[amazon]

C・J・ボックス 『発火点』
猟区管理官ジョー・ピケットの知人ブッチが失踪。彼の所有地からは二人の男の射殺体が発見されていた。殺害されたのは連邦政府環境保護局の特別捜査官で、ブッチは同局から不可解かつ冷酷な仕打ちを受けていた。ジョーは山を知り尽くしているブッチを追うが……。一気読み間違いなしの冒険サスペンス。〈猟区管理官ジョー・ピケット・シリーズ〉新作。野口百合子訳
(創元推理文庫 1430円)[amazon]

ガストン・ルルー 『黄色い部屋の謎 新訳版
高名な科学者スタンガルソン教授父娘が暮らす城の離れ、内部から完全に密閉された 〈黄色い部屋〉 から響いた女性の悲鳴。ドアを壊して室内に足を踏み入れた者たちが見出したのは、血の海に倒れる令嬢マティルドだった。この怪事件に挑むのは18歳の新聞記者ルルタビーユ。密室ミステリの古典を、ジャン・コクトーによる序文を収録した新訳で。平岡敦訳
(創元推理文庫 1012円)[amazon]

『武部本一郎 画集 I 〈美女〉』 大橋博之編
多くのSFファンを魅了し続ける武部本一郎の世界を、原寸サイズ、高繊細スキャンで再現。限定生産部数で贈る、豪華A3判画集企画がついに実現。初恋の人 デジャー・ソリスよ、永遠なれ。内容
復刊ドットコム [直販・先着特典有] 27,500円)[amazon]

閻連科 『丁庄の夢』
政府の売血政策で多くの死者が生まれた「エイズ村」をめぐる、死と絶望と哄笑の物語。世界規模の感染症が生む悲喜劇を描く傑作長篇。谷川毅訳
(河出書房新社 3520円)[amazon]

『皆川博子長篇推理コレクション3 知床岬殺人事件 相馬野馬追い殺人事件』
極寒の地を訪れた映画ロケ隊を襲うスタッフ転落殺人事件。その容疑者は二重人格の女!?――『知床岬殺人事件』。矢で射殺された騎馬武者姿の男の死に端を発する連続殺人――『相馬野馬追い殺人事件』。巧緻な犯罪計画の上で繰り広げられる男女の愛憎劇を、トリッキーかつ哀切に描く二長篇。日下三蔵編
(柏書房 3300円)[amazon]

『時のきざはし 現代中華SF傑作選 立原透耶編
韓松、何夕、陸秋槎、王晋康、他収録。中国語文化圏の多彩なSF短篇から傑作を厳選したアンソロジー。
(新紀元社 2420円)[amazon]

アガサ・クリスティー 『ミス・マープルの名推理 予告殺人』
〈ハヤカワ・ジュニア・ミステリ〉
殺人発生の日付、時刻までを予告する途方もない新聞広告が掲載され、小さな村は大騒ぎになった。誰もがいたずらだと思ったが、時計が予告時間を指したとき、銃声が響き、殺人は現実に! 驚くべき事件の意外な真相を暴くのは、上品な老婦人探偵ミス・マープル。羽田詩津子訳
(早川書房 1540円)[amazon]

中村圭子 『奇想の国の麗人たち 絵で見る日本のあやしい話
〈らんぷの本〉
日本の「伝説」「古典文学」には妖しの美、幻想に満ちた禁断の世界が登場する。圧倒的な恐怖、妖艶な世界を描く絵画満載。
(河出書房新社 2090円)[amazon]

《ミステリマガジン》 7月号
特集=藤田宜永追悼/冒険小説の新時代
(早川書房 1320円)[amazon]

生島治郎 『星になれるか』
『傷痕の街』 で作家デビューした越路玄一郎。野坂昭如との出会い、吉行淳之介、長部日出雄とのバンコク旅行、そして直木賞受賞。その後訪れた睡眠薬中毒と小泉喜美子との離婚。自身が再起へ向かう姿と、1964~78年の綺羅星のような作家たちの活躍を描く、ハードボイルド作家の自伝的長篇小説完結編。
(中公文庫 968円)[amazon]

アーネスト・ヘミングウェイ 『老人と海』
84日間の不漁に見舞われた老漁師は、ひとり小舟で海へ出た。やがてその釣綱に、大物の手応えが。見たこともない巨大カジキとの死闘を繰り広げた老人に、海はさらなる試練を課すのだが……。世界文学の金字塔を新訳。高見浩訳
(新潮文庫 539円)[amazon]

フランシス・ホジソン・バーネット 『小公子』
アメリカに生まれ、幸せに暮らしていた少年セドリックは、名も知らぬ貴族の祖父の跡継ぎになるためイギリスへ渡ることに。祖父は傲慢だったが、次第に少年の純真さに心動かされ……。川端康成の名訳でよみがえる児童文学の傑作。
(新潮文庫 649円)[amazon]

チョン・セラン 『屋上で会いましょう』
〈チョン・セランの本 2〉
結婚・離婚・ハラスメント・突然死——現代の女性たちが抱えるさまざまな問題や、社会に広がる不条理を、希望と連帯、やさしさとおかしさを織り交ぜて、色とりどりに描く9作品を収録。韓国文学を代表する人気作家チョン・セラン、初めての短編集。すんみ訳
(亜紀書房 1760円)[amazon]

野崎六助 『北米探偵小説論21』
ホフマンに遡り、ゾラを発見し、ヴィクトル・セルジュを救出しつつ、ジュネを召喚する。欧米探偵小説の聖杯の騎士達は言うに及ばず、マヤコフスキー、チャペック、ボルヘス、レム、マルケス……そして数多の日本語文学作家をも包摂した比類なき大著。19世紀から21世紀の現在まで、米国、西欧、東欧、ロシアから南米、東アジア、日本まで、時空間を超え、探偵小説の原像と現在像を描ききる。未踏の領域へ到達した北米=世界探偵小説論、書き下ろし3500枚。目次
(インスクリプト 9680円)[amazon]

フランシス・ハーディング 『影を呑んだ少女』
17世紀の英国。幽霊が憑依する体質の少女メイクピースは、暴動で命を落とした母の霊を取り込もうとして、死んだクマの霊を取り込んでしまう。クマをもてあましていたメイクピースのもとへ、会ったこともない亡き父親の一族から迎えが来る。父は死者の霊を取り込む能力をもつ旧家の長男だったのだ。屋敷の人々の不気味さに嫌気が差したメイクピースは逃げだそうとするが……。『嘘の木』 のハーディング最新作。児玉敦子訳
(東京創元社 3630円)[amazon]

野崎充彦 『「慵斎叢話」 15世紀朝鮮奇譚の世界
15世紀朝鮮の官僚、成俔の随筆 「慵斎叢話」 は当時の世相を知る最上の資料でもある。宮中世界、歴史・文学、自然現象から巷の奇譚・笑話に至るまで多様な話を収めた同書の中から、極めて人間臭い話題を中心に、男女のスキャンダル、破壊僧、呪詛・占い、宮廷秘話などの奇異譚を紹介。
(集英社新書 924円)[amazon]

ホルヘ・ミゲル・ココム・ペッチ 『言葉の守り人』
〈新しいマヤの文学〉
マヤの伝承の語り手たる 〈言葉の守り人〉 に選ばれた 「ぼく」 は、祖父に連れられて、神々と精霊が棲まう森へ、夜ごと修行に出かける。不思議な鳥たちとの邂逅、風の精霊の召喚儀式、蛇神の見せる夢と幻影の試練……。神話の森を舞台に少年が受ける通過儀礼と成長を描いた、呪術的マヤ・ファンタジー。吉田栄人訳
(国書刊行会 2640円)[amazon]

アルベール・コーエン 『おお、あなた方人間、兄弟たちよ』
1905年仏マルセイユ。10歳の少年が誕生日に、ユダヤ人である憎しみの言葉を投げつけられた……。アカデミーフランセーズ賞作家コーエンの原点がここにある。人生の黄昏時77歳でものした、思いやりと赦しの書。紋田廣子訳
(国書刊行会 3740円)[amazon]

『岩波新書解説総目録 1938-2019』 岩波新書編集部編
1938年の創刊以来、3400点あまり刊行されてきた岩波新書。本書は、その80年の歩みのなかで初めて編まれた総目録である。1938~1946年の赤版、1949~1977年の青版、1977~1987年の黄版、1988年から現在にいたる新赤版まで。そのラインナップを刊行順に配列し内容解説文を付す。
(岩波書店 1100円)[amazon]

『赤江瀑の世界』 河出書房新社編集部編
鬼才・赤江瀑の単行本未収録小説、長谷川敬名義の詩、作品ガイドなどを収録し、その蠱惑的な世界の全貌に迫る。永久保存版読本。
(河出書房新社 2860円)[amazon]

中山忠直 『中山忠直SF詩集 地球を弔ふ・火星 抄』
「どれだけの時が過ぎたかしら――? 嗚呼あの太陽の喘ぎ疲れた赤銅色!」 明治末から昭和初にかけて宇宙的スケールのSF詩を発表した中山忠直(1895-1957)の詩集。横田順彌 「マルチ人間中山忠直の著作」を収録。横田順彌・北原尚彦編
盛林堂ミステリアス文庫 2000円)

泉鏡花 『新柳集』 澁澤龍彦編
〈澁澤龍彦 泉鏡花セレクション〉
「草迷宮」「戦国茶漬」「照葉狂言」「ななもと桜」「化銀杏」「夜行巡査」「貴婦人」「瓜の涙」の全8篇。あわせて、澁澤龍彦の名エッセー「ランプの廻転」も収録。
(国書刊行会 9680円)[amazon]

『震える叫び』 R・L・スタイン監修
〈Scream! 絶叫コレクション〉
キーワードは「Scream=叫び」。全米の第一線で活躍するホラー作家、ミステリー作家20人がYA向けに競作した 《Scream and Scream again》 を3分冊で刊行。1冊目は『図書館脱出ゲームシリーズ』のクリス・グラベンスタイン、『サーティーナイン・クルーズ・シリーズ』のピーター・ルランジスなど、7作家による7作。三辺律子監訳 内容
(理論社 1650円)[amazon]

劉 慈欣 『三体2 黒暗森林 上・下
葉文潔をリーダーに戴いた地球三体協会の瓦解により、地球は三体文明により侵略の危機的状況にあることが判明した。人類は、人類文明最後の希望となる「面壁者」を立てて立ち向かうことを決断する――! 13万部を突破した『三体』待望の第二部、ついに刊行。大森望・ 立原透耶・ 上原かおり訳
(早川書房 各1870円)[amazon]

横田順彌 『幻綺行 完全版
明治時代に活躍した破天荒な世界無銭探検家、中村春吉を主人公にした探検SF作品に単行本未収録の2篇を追加し復刊。日下三蔵編
(竹書房文庫 1100円)[amazon]

現代語訳 怪談「諸国百物語」』 志村有弘
江戸前期に諸国の怪談を集めて編まれ、「百物語」の嚆矢ともなった怪奇談の金字塔初めて全編通して現代語訳。
(河出書房新社 2420円)[amazon]

テイラー・アダムス 『パーキングエリア』
女子大生のダービーは、白いバンの中の檻に 少女が監禁されているところを目撃する。誘拐犯はPAに居合わせた4人のうちの誰か。東野さやか訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 1188円)[amazon]

レティシア・コロンバニ 『彼女たちの部屋』
現代。ソレーヌは、困窮した女性が避難できる施設のボランティア。百年前。ブランシュは、その施設創設のため奔走する。背景の異なる人との連帯に苦労しつつ、手をとりあうソレーヌ。理解と資金を得ていくブランシュ。だが、二人の前に最後の壁が立ちはだかる。齋藤可津子訳
(早川書房 1760円)[amazon]

アネ・カテリーネ・ボーマン 『余生と厭世』
引退を決心した71歳の精神科医のもとにやってきた最後の新患は、若くして希死念慮にとらわれた女性だった。精神科医は彼女の面談をとおして、他者とのかかわりを避けてきた自らの人生に向き合う。デンマーク人精神科医が描く、老いと死を静かに見つめる小説。木村由利子訳
(早川書房 2530円)[amazon]

アガサ・クリスティー 『雲をつかむ死 新訳版』
英仏間を飛ぶ飛行機内で、変死した老婦人が発見された。死因は蜂毒によるものか、それとも……。名探偵ポアロが大空の密室に挑む。田中一江訳
(早川書房/クリスティー文庫 1210円)[amazon]

ダニエル・アレンソン 『地球防衛戦線 2 アゾス鉱山奪回指令』
ベン‐アリ少尉ひきいるドラゴン小隊は、救 難信号を受信し、アゾス採掘中の巨大ガス惑 星へと向かう。そこで待ち受けていたのは!? 金子浩訳
(ハヤカワ文庫SF 1100円)[amazon]

エイモア・トールズ 『賢者たちの街』

1937年の大みそか、マンハッタン。タイピストのケイトとルームメイトのイヴは、バーで居合わせた若き銀行家ティンカーと友達になる。この出会いをきっかけに、三人の人生は大きく動き出す──戦間期のニューヨークのきらめきの中で過ごした三人の、一年間の物語。宇佐川晶子訳
(早川書房 3630円)[amazon]

カルロ・ギンズブルグ 『それでも。マキァヴェッリ、パスカル』

マキァヴェッリとパスカル。まったく異なる思想の場に立ち、現代に影響力をもつ二人は、模範からいくつもの推論を導きだして結論へといたる 「決疑法」 において通底している。「良いリーダーとは獅子のようにどう猛で、狐のように狡猾でなくてはならない」 というマッキャヴェッリ 『君主論』 中の有名な言葉が表現されたミケランジェロによる彫像の発見ほか、ギンズブルグならではの徴候的解読の本。上村忠男訳
(みすず書房 6270円)[amazon]

カリン・スローター 『破滅のループ』
〈ウィル・トレント〉シリーズ最新刊。大学の爆破事件の混乱の中、検死官が拉致された。一刻を争う救出作戦、シリーズ史上最大の危機。鈴木美朋訳
(ハーパーBOOKS 1360円)[amazon]

サルマン・ラシュディ 『真夜中の子供たち
「貴君は年老いた、しかし永遠に若くあり続けるインドという国を担ういちばん新しい顔なのです」──ついに露顕した出生の秘密。禁断の愛を抱えつつ、〈清浄〉の国との境をさまよう 〈真夜中の子供〉 サリームは……。稀代のストーリーテラーが絢爛たる語りで紡ぎだす、あまりに魅惑的な物語。寺門泰彦訳
(岩波文庫 1320円)[amazon]

エドワード・ダンティカ 『すべて内なるものは』
異郷に暮らしながら、故国を想いつづける人びとの、愛と喪失の物語。四半世紀にわたり、アメリカ文学の中心で、ひとりの移民女性としてリリカルで静謐な物語をつむぐ、ハイチ系作家の最新作品集、その円熟の境地。左川愛子訳
(作品社 2640円)[amazon]

W・G・ゼーバルト 『目眩まし 新装版
カフカと同じ旅をした語り手の〈私〉は、死と暴力の予感におののいて、ヴェローナから逃げ帰る……。謎めいた四つの物語。鈴木仁子訳
(白水社 2970円)[amazon]

H・P・ラヴクラフト 『宇宙の彼方の色 新訳クトゥルー神話コレクション5
クトゥルー神話入門の新定番シリーズ第五弾は、表題作や 「ハーバート・ウェスト――死体蘇生者」 を収録したミスカトニック大学編。森瀬繚訳。【収録内容】 「彼方より」 「家の中の絵」 「ハーバート・ウェスト――死体蘇生者」 「冷気」 「宇宙の彼方の色」 「古の轍」 「ユゴスよりの真菌(きのこ)」 「暗闇で囁くもの」 「魔女の家で見た夢」 「戸口に現れたもの」 「断章」
(星海社FICTIONS 1650円)[amazon]

クラーク・アシュトン・スミス 『響尾(ガラガラ)蛇の復活』
HPLの盟友、パルプ雑誌作家、詩人、彫刻家C・A・スミスの知られざる作品を紹介。本邦初訳多数。【収録作品】 響尾〔ガラガラ〕蛇の復活/今生の唇づけ/四次元の殺人/小惑星の領主/混沌空間/仙女座星雲の放逐 甲比丹ヴァルマー冒險譚之壹/完璧な女性/ひめごと/なにかあたらしいこと/不滅の水星
(綺想社 5000円) 取扱=盛林堂

《ナイトランド・クォータリー》 vol.21 空の幻想、蒼の都
古から人は空を飛ぶことを夢想していた。それこそが、幻想のはじまりだったのかもしれない――空や飛行にまつわる驚異のインスピレーションの数々。エドガー・アラン・ポー、アダム=トロイ・カストロ、マージョリー・ローレンス、M・ジョン・ハリスン、フーゴ・ハル、草薙刃、井上雅彦など小説10編。中野善夫インタビューほか。目次
(アトリエサード 1870円)[amazon]

《MONKEY》 Vol.21  特集 猿もうたえば
「うた (詩・声・歌)」 の特集。アメリカの近現代詩から、ロックやブルースの歌詞、アメリカ・インディアンの口承詩、日本の説話文学までを射程に、言葉にいかに生命が宿るのか、声にする/耳で聞く“うた"としての「詩」に焦点をあてる。
(スイッチパブリッシング 1320円)[amazon]

真田啓介ミステリ論集 『古典探偵小説の愉しみⅠ フェアプレイの文学』
個人誌・同人誌の原稿から国書刊行会〈世界探偵小説全集〉、創元推理文庫、〈論創海外ミステリ〉等の解説まで、「クラシック・ミステリ・ルネサンス」 30年史の貴重な証言でもある真田啓介ミステリ評論を集大成。第1巻はアントニイ・バークリー論を中心に、ベントリー、ミルン、ノックス、ケネディ、ブルース、イネス、クリスピンの〈英国余裕派〉作家を取り上げた論考を集成。解説=小林晋。内容
(荒蝦夷 4400円)[honto]
真田啓介ミステリ論集 『古典探偵小説の愉しみⅡ 悪人たちの肖像』
コナン・ドイル、コリンズ、クロフツ、セイヤーズ、クリスティ、ウェイド、フィルポッツ、D・スミス、ディヴァイン、M・スチュアート、ウッドハウス、ダンセイニ、ストリブリング、デ・ラ・トーレ、ミラー、カー、江戸川乱歩、横溝正史、山口雅也、狩久などを論じる。解説=塚田よしと。内容
(荒蝦夷 4400円)[honto]
荒蝦夷(2冊セット・著者サイン入り 送料込 9170円)

横溝正史 『花髑髏』
名探偵由利先生のもとに突然舞い込んだ差し出し人不明の手紙、それは恐ろしい殺人事件の予告だった。指定の場所へ急行した彼は、箱の裂目から鮮血を滴らせた黒塗りの大きな長持を目の当たりにするが……。
(角川文庫 880円)[amazonn]

ヒュー・ロフティング 『新訳 ドリトル先生の郵便局』
ドリトル先生は海の上の郵便局を動物たちとはじめることに。それも世界最速のツバメ郵便。 世界じゅうの動物からへんてこな手紙がどっさり届く。やがて、この世で一番古い謎の生き物から、秘密の湖への招待状が……。シリーズ第3巻。河合祥一郎訳
(角川文庫 748円)[amazon]

ヒュー・ロフティング 『新訳 ドリトル先生のサーカス』
やっとおうちに帰ってきたドリトル先生。でもお財布はすっからかん。もう動物たちとサーカス団に入るしかない!? シリーズ第4巻。河合祥一郎訳
(角川文庫 770円)[amazon]

鈴木棠三 『日本俗信辞典 植物編』
「ナスの夢をみるとよいことがある」 「ミョウガを食べると物忘れをする」 「モモを食って川へ行くと河童に引かれる」 ほか、日本全国に伝わる植物の俗信を徹底収集。項目ごとに整理した唯一無二の書。
(角川ソフィア文庫 1716円)[amazon]

松岡正剛 『千夜千冊エディション 宇宙と素粒子』
松岡正剛が50年にわたって読んできた科学書の中から宇宙論と素粒子論をめぐる代表的な本を厳選。ガリレオ、ケプラー、ハッブルから、パリティの問題、部分と全体の関係の問題、ゲージ理論、ヒッグス粒子まで。
(角川ソフィア文庫 1606円)[amazon]

フリオ・ホセ・オルドバス 『天使のいる廃墟』
人生を諦めた人にしか用がないと言われる廃墟パライソ・アルトには、様々な人がやってくる。逆立ちで現れたうなじにコウモリのタトゥーがある少女、車に積んだ札束を燃やしたいという銀行家、横笛を吹きながら現れ、質問にも横笛で答える男……。廃墟に住む 「天使」 は彼らの話に耳を傾け、向こう側への旅立ちを見送る。生と死、日常と非日常の狭間にある不思議な場所と来訪者たちを描く、美しくも奇妙な物語。白川貴子訳
(東京創元社 1760円)[amazon]

N・K・ジェミシン 『第五の季節』
数百年ごとに〈第五の季節〉と呼ばれる破滅的な天変地異が勃発し、文明を滅ぼす歴史が繰り返されてきた超大陸。この世界には、地球と通じる能力を持つがゆえに差別される“ロガ”と呼ばれる人々がいた。そしてまた、“石喰い”と呼ばれる、人間の姿をした謎の存在も。そんな中、新たな〈季節〉がまさに到来しようとしていた……。三年連続で三部作がヒューゴー賞受賞の破滅SF、開幕編。小野田和子訳
(創元SF文庫 1650円)[amazon]

《ミステリーズ!》 vol.101
「懸賞付き犯人当て小説」 第6弾に、異才・白井智之が本誌初登場。読み切り、近藤史恵 〈ビストロ・パ・マル〉シリーズ最新作。第11回創元SF短編賞選評掲載ほか。
(東京創元社 予価1320円)[amazon]

泉鏡花(作)/金井田英津子(画) 『絵本の春』
泉鏡花の幽玄華麗な文体が煌めく名作短篇。泉鏡花記念館で開催予定の 「泉鏡花×金井田英津子 『絵本の春』 原画展」 公式画本。
(朝日出版社 2310円)[amazon]

李光洙 『無情』
朝鮮近代文学の祖と言われるも、解放後 「親日」 と糾弾され消息不明となった李光洙。日本統治下の人々と社会をつぶさに描き、旧世界への危機感を喚起した傑作。波田野節子訳
(平凡社ライブラリー 1980円)[amazon]

J・M・G・ル・クレジオ 『隔離の島』
フランス発モーリシャス行きの船で天然痘が発生、一行は目的地に近い島で40日間隔離される。薬品も食糧も不足し、死が忍びよる極限状態を描く。中地義和訳
(ちくま文庫 1650円)[amazon]

シェイクスピア全集32 『ジョン王』
「イングランド史上最悪」 と評される弱き王と個性的な周囲の人物が織りなす混迷の初期歴史劇。松岡和子訳
(ちくま文庫 990円)[amazon]

バーバラ・W・タックマン 『最初の礼砲 アメリカ独立をめぐる世界戦争
独立戦争は18世紀の世界戦争であった。豊富な挿話を積み上げながら、そのドラマと真実を見事な語り口で描いたビュリツァー賞受賞作家の遺著。大社淑子訳
(ちくま学芸文庫 1870円)[amazon]

デボラ・クロンビー 『警視の謀略』
ホルボン署に異動になったキンケイド警視のもとに、駅のライブ会場で起きた爆破テロの報が届く。現場に駆け付けると、そこには警視の元部下メロディがいた。爆発の瞬間に居合わせた彼女は避難誘導のさなか、青い瞳の男性に謎の言葉を言い残されたというが……。人気シリーズ第16巻。西田佳子訳
(講談社文庫 1100円)[amazon]

野村胡堂 『銭形平次捕物控 傑作集六 決死冒険篇
江戸中を荒らし回る強盗の正体は銭形平次という噂が持ち上がる。背格好ばかりか銭まで投げてみせる強盗の正体を暴くべく、平次親分とガラッ八こと八五郎が事の真相を探りはじめるが……。昔も今も何度読んでも面白い、名作シリーズのテーマ別傑作集第6弾。
(双葉文庫 726円)[amazon]

M・R・ジェイムズ 『消えた心臓/マグヌス伯爵』
中世の大聖堂や僧院などゴシック趣味満点の舞台を背景に、不気味なものの怪しさがクライマックスの恐怖へと達する作品を数々発表し、「英国が生んだ最高の怪談作家」 と呼ばれるM・R・ジェイムズの怪談集。「消えた心臓」 「マグヌス伯爵」 などを収めた第一短篇集 『好古家の怪談集』 に 「私が書こうと思った話」 を併録。南條竹則訳
(光文社古典新訳文庫 1012円)[amazon]

ゴットフリート・アウグスト・ビュルガー 『ほら吹き男爵の冒険』
東西南北、海や地底、そして月世界にまでも……。かのミュンヒハウゼン男爵はいかにして世界各地を旅し、八面六臂、英雄的な活躍をするに至ったのか。その奇妙奇天烈な体験が、彼自身の口から語られる。 有名なドレの挿画もすべて収録。酒寄進一訳
(光文社古典新訳文庫 968円)[amazon]

スティーヴン・キング 『呪われた町 上・下
丘の上の屋敷に新たな住人が住み始めた日から、町に不吉な影が。吸血鬼譚を現代に甦らせ、現代ホラーに巨大な影響を及ぼした名作。永井淳訳
(文春文庫 各1045円)[amazon]

今野真二 『乱歩の日本語』
出版される度に編集・校訂を加えられたテキストから、乱歩の 「執筆時の気分」 をはかることはできるのか。それぞれのテキストを対照させながら検証。また、乱歩作品にたびたび登場するキーワード (麻布区K町、産業博覧会、鬼熊事件、神奈川県O町、開化アパート、麴町アパート 等)、独特のオノマトペ (むくむく、ねっとり、ドキドキ、ギョクン 等) の考察も。内容
(春陽堂書店 2420円)[amazon]

花咲一男 『雑魚のととまじり』
師事した江戸川乱歩、協働した高橋鉄らの知られざる事実――。大正生まれの東京少年は、探偵小説のマニアとなり、古本屋を巡るうち、男色物を含む春画など軟派文献の蒐集、研究に没頭、ついにはワイセツ図画頒布罪で逮捕される。関東大震災、金融恐慌、満州事変、日支事変、大東亜戦争、敗戦、そして高度経済成長、バブル崩壊を生き抜いた、近世風俗研究の巨頭による記録。
(幻戯書房 4400円)[amazon]

ヴァージニア・ウルフ 『フラッシュ 或る伝記
英国南部の小村で生まれたコッカースパニエルのフラッシュは、著名な詩人エリザベス・バレットへの贈り物として、ロンドンへやってきた。病弱でひきこもりがちな主人の家で、フラッシュは都会の生活になじんでいくが、やがてエリザベスの前に一人の男が現れる……。犬の目を通して19世紀英国の詩人エリザベス・ブラウニングの人生を描く、モダニズム作家ウルフの愛すべき小品。「犬好きによって書かれた本というより、むしろ犬になりたいと思う人によって書かれた本」。出淵敬子訳
(白水Uブックス 1760円)[amazon]

モーリス・ルヴェル 『ルヴェル新発見傑作集 緑の酒』
『夜鳥』 の作家ルヴェルが新聞雑誌に発表したまま埋もれていた作品群から、傑作秀作を選んだコレクション第3巻。中川潤編訳 【収録作品】 緑の酒/金髪の人/家名を穢すな/栗鼠を飼う/小径の先/忘却の淵
(エニグマティカ 1000円) 取扱=盛林堂

ビル・ニーヴン 『ヒトラーと映画 総統の秘められた情熱
映画に関する「最終決定権」を握っていたのはヒトラーだった。独裁者がドイツ映画の中心に屹立していたことを証する画期的論考。若林美佐知訳
(白水社 5830円)[amazon]

《kotoba》 夏号

特集=スティーヴン・キング 目次
(集英社 1470円)[amazon]

クレア・マッキントッシュ 『その手を離すのは、私』
母親と二人で暮らす5歳の少年がひき逃げ事件で命を奪われた。ブリストル署の警官レイは事件を追うが、犯人は見つからず、捜査の打ち切りを迫られていた。一方、海辺の町に現れ身を隠すように暮らしていた謎の女性ジェナは獣医師のパトリックと惹かれ合うが……。読み出したら止められない傑作スリラー。高橋尚子訳
(小学館文庫 1210円)[amazon]

エルサ・マルポ 『念入りに殺された男』
フランスの田舎町でゲストハウスを営んでいるアレックス。あるとき、宿泊客としてやってきたゴンクール賞作家のシャルル・ベリエに襲われ、彼を殺してしまう。彼女は夫にも事情を隠してパリへ行き、殺人の隠ぺい工作を始める……。スピード感あふれるサスペンス。加藤かおり訳
(ハヤカワ・ミステリ 1870円)[amazon]

フィリップ・K・ディック 『市(まち)に虎声(こせい)あらん』
1950年代のサンフランシスコ。テレビ販売店に勤めるハドリーの日常は、ある日狂い始める……。25歳のディックが書いた自伝的小説。阿部重夫訳
(ハヤカワ文庫SF 1650円)[amazon]

ノヴァ・ジェイコブズ 『博士を殺した数式』
方程式を守れ――著名な物理学者アイザック は書店主の孫娘に遺書を託す。素人探偵が連 続殺人事件の真相に迫る暗号謎解きミステリ。高里ひろ訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 1298円)[amazon]

筒井康隆 『筒井康隆、自作を語る』
SFマガジンに連載されたインタビューに自選短篇集の解題と全著作リストを併録する必携の1冊、作家デビュー60周年にあわせ文庫化。
(ハヤカワ文庫JA 1012円)[amazon]

ロネン・バーグマン 『イスラエル諜報機関 暗殺作戦全史 血塗られた諜報三機関 上・下
国家とユダヤ人を危害から守るためにあらゆる手段を講じるイスラエル。イスラエルの新聞記者が政府・軍関係者への膨大な聞き取りから明らかにした、イスラエルで特殊任務にあたるモサド、シン・ ベト、アマンの3機関による、諜報活動と要人暗殺作戦の初の通史。
(早川書房 各3520円)[amazon]

ヘルマン・ヘッセ 『地獄は克服できる』
50歳でスイスに移住するも、離婚、家族の死や病気、世界大戦などで心身ともに疲れ果てたヘッセがその間に書き記した、心の悩みからの脱出法や苦しみとの付き合い方などについてのエッセイ・断章をまとめた本。フォルカー・ミヒェルス編、岡田朝雄訳
(草思社文庫 990円)[amazon]


▼5月刊

エミール・ガボリオ 『バスティーユの悪魔』
〈論創海外ミステリ〉
バスティーユ監獄での出会いが騎士と毒薬使いの運命を変えていく……。17世紀のパリで繰り広げられる歴史浪漫譚。エミール・ガボリオの幻の長編を本邦初訳。佐藤絵里訳
(論創社 2860円)[amazon]

小田光雄 『近代出版史探索 Ⅱ』
前著『近代出版史探索』から続く、失われた戦前の出版史を探る200編。目次
(論創社 6600円)[amazon]

サミュエル・ベケット 『ジョイス論/プルースト論 ベケット 詩・評論集
『フィネガンズ・ウェイク』について書かれた世界初の本格的評論と、『失われた時を求めて』の本質を鋭くえぐるプルースト論。二大評論に最初期の詩作等を収録。高橋康也他訳。〈書物復権〉 復刊
(白水社 3960円)[amazon]

ゲオルク・ジンメル 『橋と扉』
「生と哲学」「歴史と文化」「宗教」「美と芸術」「歴史的人物像」「社会」の6部からなる、最盛期ジンメルの思索活動の結実ともいえるエッセイ集。酒田健一他訳。〈書物復権〉 復刊
(白水社 3960円)[amazon]

小野俊太郎 『改訂新版 ピグマリオン・コンプレックス プリティ・ウーマンの系譜
男性が理想の女性を創造するピュグマリオン神話が、男/女のジェンダーを越境して拡散する。『あしながおじさん』 『秘密の花園』 などの文学テクストから 『マイ・フェア・レディ』 『羊たちの沈黙』 『エイリアン』 『ターミネーター』 などの映画を通して女性教育の系譜やフェミニスト・ヒーロー/プリティ・ウーマンの形姿を、「ドレスアップ/変身」 を鍵語に鮮やかに読み解く。序論を増補、小見出しを付けるなど旧版(ありな書房、1997)を全面改訂。
(小鳥遊書房 2970円)[amazon]

連城三紀彦 『運命の八分休符』
困った人を見掛けると放ってはおけない心優しき落ちこぼれ青年・軍平は、度々事件にまきこまれては素人探偵として奔走する羽目に。殺人容疑をかけられたモデルを救うため鉄壁のアリバイ崩しに挑む表題作をはじめ、著者の短編のなかでもひときわ印象深い名品 「観客はただ一人」 など全5編を収め、隠れた傑作と名高い連作推理短編集。
(創元推理文庫 858円)[amazon]

ケイト・アトキンソン 『ライフ・アフター・ライフ』
アーシュラは臍の緒が首に巻きつき、産声もあげずに死亡した。しかし、もし死ななかったとしたら……。幾度も生まれ、様々な死を迎え、幾つもの別の生を生きる一人の女性。スペイン風邪で、溺れて、屋根から落ち、ロンドン大空襲で……人生の分かれ道について考えさせられるコスタ賞受賞の傑作。青木純子訳
(東京創元社 3960円)[amazon]

マウリツィオ・デ・ジョバンニ 『集結 P分署捜査班
ナポリでも治安最悪の地区にあるピッツォファルコーネ分署で、汚職により捜査課に大量欠員が発生。そこで各地から腕ききだが問題のある警官たちが送りこまれ、急造で捜査チームが結成される。イタリア発の大人気警察小説、21世紀の〈87分署〉シリーズ開幕。直良和美訳
(創元推理文庫 1100円)[amazon]

ポール・オースター 『ブルックリン・フォリーズ』
傷ついた犬のように、私は、生まれた場所へと戻ってきた……。静かに人生を振り返ろうと故郷ブルックリンに戻ってきたネイサンが巻き込まれる、思いがけない冒険。温かく、ウィットに富んだ、家族再生の物語。柴田元幸訳
(新潮文庫 880円)[amazon]

『皆川博子長篇推理コレクション2 巫女の棲む家 妖かし蔵殺人事件』
霊媒として祀り上げられた少女を取り巻く人々の狂気の渦――著者自身の体験が色濃く反映された神霊サスペンス 『巫女の棲む家』、芝居小道具商の歴代当主の失踪、そして歌舞伎俳優の消失に端を発する連続殺人をけれん味たっぷりに描く 『妖かし蔵殺人事件』。日下三蔵編
(柏書房 3300円)[amazon]

ライアン・ギャディス 『血まみれ鉄拳ハイスクール』
暴力の支配するその学園を人はカンフー・ハイスクールと呼ぶ。壮絶な抗争を拳で切り抜ける少女を描く気鋭のノワール作家の問題作。夏来健次訳
(文藝春秋 2200円)[amazon]

ジャスパー・フォード 『最後の竜殺し』
魔法の力が弱まり、魔法使いが家の修繕やピザ配達ぐらいしかできることがなくなった世界。いましも最後の竜が死のうとしていた。勇者的存在ドラゴンスレイヤーになったジェニファーだが、飲料メーカーや玩具メーカーからはCMの出演依頼が殺到。腐った資本主義に振り回される勇者ジェニファーの運命は?  ないとうふみこ訳
(竹書房文庫 1430円)[amazon]

ベルナルド・アチャガ 『アコーディオン弾きの息子』
葛藤、友情、そして裏切り――内戦から民族独立の抵抗運動まで、波乱の近現代史を描く、クレスト・ブックスはじめてのバスク語文学。金子奈美訳
(新潮クレスト・ブックス 3300円)[amazon]

ヴァージニア・ウルフ 『ある作家の日記 新装版
いま読んでいる本、創作過程の実際、本の評判や売上げ、エリオットやフォースターとの交友など、1918年36歳の年から1941年自殺する直前までの日記。死後、夫レナードによって文学活動を中心に編纂された本巻は、創造の苦しみと楽しみを生き生きと伝える。神谷美恵子訳
(みすず書房 4840円)[amazon]

ミゲル・デリーベス 『そよ吹く南風にまどろむ』
スペインの作家デリーベスの短・中篇集。都会と田舎、異なる舞台に展開される四作品を収録。喜多延鷹訳
(彩流社 2420円)[amazon]

ティムール・ヴェルメシュ 『空腹ねずみと満腹ねずみ 上・下
『帰ってきたヒトラー』 の著者が6年の沈黙を破ってついに発表した小説。数年後の欧州を舞台に、押し寄せる難民と国境を閉じるドイツ。何が、なぜ起こるのか、満を持して問う問題作。森内薫訳
(河出書房新社 各2090円)[amazon]

イーディス・パールマン 『蜜のように甘く』
戦争で夫を亡くし、足のケアサロンを営むペイジ。斜向かいに住む大学教師ベンの密かな楽しみは、ペイジの生活の一部始終を観察することだった……「初心」 他、「現存する最高のアメリカ作家による、最高傑作集」。古屋美登里訳
(亜紀書房 2200円)[amazon]

リズ・ムーア 『果てしなき輝きの果てに』
オピオイド危機に揺れる街ケンジントンで起きた女性の連続殺人事件。パトロール警官ミカエラは、ここひと月ほど行方不明の妹ケイシーが次の被害者になるのではと心配し、捜査に乗り出す。かつて仲の良い姉妹だった二人は警官と娼婦として袂を分かっていた…… 。竹内要江訳
(ハヤカワ・ミステリ 2420円)[amazon]

セシル・スコット・フォレスター 『駆逐艦キーリング 新訳版
第二次大戦中、酷寒の大西洋を舞台に、37隻の輸送船団を守るために奮闘する駆逐艦キー リングと、海の狼Uボートとの死闘を描く。武藤陽生訳。映画化。
(ハヤカワ文庫NV 1034円) [amazon]

マイクル・クライトン/ダニエル・H・ウィルソン 『アンドロメダ病原体 変異 上・下
地球外病原体のアンドロメダ病原体によるパンデミックを封じ込め、人類絶滅の危機を乗り越えた5日間から50年。その再来を監視する 「永続警戒計画」 は、アマゾンの密林奥に異常を検出した……人類は再び未曾有の脅威に立ち向かう。著者の遺族公認の公式続篇。酒井昭伸訳
(早川書房 各1980円)[amazon]

アガサ・クリスティー 『予告殺人 新訳版
「殺人をお知らせします」……新聞記事の予告通りに起きた殺人事件に名探偵ミス・マープルが挑む! 著者代表作が新訳版で登場。羽田詩津子訳
(早川書房/クリスティー文庫 1232円)[amazon]

アガサ・クリスティー 『名探偵ポアロ 雲をつかむ死』
〈ハヤカワ・ジュニア・ミステリ〉
パリからロンドンに向かう旅客機内で事件が起きた。眠っていると思われた乗客の女性が、じつは死んでいたのだ。死体のそばには、吹き矢とハチの死骸が……。大空を飛ぶ飛行機は、完全な密室だ。犯人は、必ずこの機内にいる。名探偵ポアロの推理がはじまった。田中一江訳
(早川書房 1430円)[amazon]

アガサ・クリスティー 『トミーとタペンスの大冒険 秘密機関』
〈ハヤカワ・ジュニア・ミステリ〉
大不況のなか、幼なじみのトミーとタペンスは、探偵の会社をはじめる。その直後、国の命運がかかった極秘文書消失事件に巻き込まれてしまい、文書をねらう地下組織の大ボスとの対決へと突き進む。冒険また冒険、若いふたりの運命は? 名コンビの胸おどる活躍。嵯峨静江訳
(早川書房 1540円)[amazon]

レベッカ・ウィーバー=ハイタワー 『帝国の島々 遭難者、食人種、征服幻想
〈叢書・ウニベルシタス〉
『テンペスト』 から 『ロビンソン・クルーソー』 『ガリヴァー旅行記』、そしてメルヴィル、ヴェルヌ、H・G・ウェルズらの諸作品を経て現代文学・映画・テレビシリーズへ。見知らぬ島に漂着した遭難者たちの冒険を描き、世界中で人気を博したこれら 「島の物語」 がいかにして帝国主義イデオロギーの拡大を支え、白人男性による暴力と植民地支配、新自由主義的搾取を正当化してきたかを論じる。本橋哲也訳
(法政大学出版局 5280円)[amazon]

《SFマガジン》 6月号
英語圏SF受賞作特集/緊急企画「コロナ禍のいま」
(早川書房 1320円)[amazon]

ダヴィッド・フェンキノス 『シャルロッテ』
〈エクス・リブリス〉
アウシュヴィッツで26歳の若さで命を落とした天才画家の知られざる生涯。ルノドー賞、「高校生が選ぶゴンクール賞」 を受賞した代表作。岩坂悦子訳
(白水社 3190円)[amazon]

リチャード・プレストン 『ホット・ゾーン エボラ・ウイルス制圧に命を懸けた人々
1989年、米国の首都ワシントン近郊の町レストンに、エボラ・ウイルスが突如現れた。致死率90%、人間の脳や内臓を溶かし「崩壊」にいたらしめるエボラ出血熱のパンデミックを阻止すべく、ユーサムリッド(米陸軍伝染病医学研究所)の専門家たちが立ち上がる。感染と隣り合わせの極限状況で、彼らは何を思い、どのように戦ったのか? 未曾有のウイルス禍と制圧作戦の全貌を描いた世界的ベストセラー。 高見浩訳
(ハヤカワ文庫NF 1166円)[amazon]

《幻想と怪奇2 人狼伝説 変身と野生のフォークロア
ヨーロッパに広く伝わる伝説の存在――人狼。人と獣のあいだを行き来するものたちは、呪われた怪物なのか、あるいは選ばれて野生の能力を得た者なのか。名のみ高い古典作品『人狼ヴァグナー』をはじめとする英国怪奇小説から、パルプ・フィクションを経て現代の都市伝説にまで脈々とつながる、変身と野生のフォークロアをここに追究する。内容
(新紀元社 2420円)[amazon]

ミッチェル・バークビー 『ベイカー街の女たち ミセス・ハドスンとメアリー・ワトスンの事件簿1
ロンドンの街で秘かに起きている、既婚の女性を狙った薄汚い恐喝事件。名探偵ホームズに依頼を断られ、意気消沈した女性を救うべく、ハドスン夫人とメアリーはホームズとワトスンに内緒で調査に乗り出す。駒月雅子訳
(角川文庫 1100円)[amazon]

オーエン・コルファー 『アルテミス・ファウル 失われし島』
デーモンに会う約束でスペインにやってきたアルテミスは、ふいに現れたデーモンに連れていかれそうになる。一方ホリーはアルテミスの意図を探る任務を与えられ、追ってくる。デーモンの中でも異端であるNo.1が人間界に現れ、三者はオペラハウスで出会うが──。大久保寛訳
(角川文庫 1100円)[amazon]

横溝正史 『血蝙蝠』
肝試しに荒れ果てた屋敷に向かった女性は、かつて人殺しがあった部屋で生乾きの血で描いた蝙蝠の絵を発見する。その後も女性の周囲に現れる蝙蝠のサイン――。名探偵・由利麟太郎が謎を追う、傑作短編集。
(角川文庫 792円)[amazon]

寺田寅彦 『銀座アルプス』
近代文学史の科学随筆の名手による短文集の傑作。「電車と風呂」「鼠と猫」「石油ラムプ」「流言蜚語」「珈琲哲学序説」他30篇。写生文を始めた頃から昭和八年まで、寅彦の鳥瞰図ともいうべき作品を収録。
(角川ソフィア文庫 924円)[amazon]

寺田寅彦 『科学歳時記』
電車、銀座の街頭、デパートの食堂、花鳥草木など、生けるものの世界に俳諧を見出し、人生を見出して、科学と調和させた独自の随筆集。「春六題」「蓑蟲と蜘蛛」「疑問と空想」「凍雨と冬夜」他39篇収録。
(角川ソフィア文庫 924円)[amazon]

クラーク・アシュトン・スミス 『黑の書』
ゾシーク、ハイパーボリア物などで知られる怪奇作家C・A・スミスが遺した創作ノート 《Black Book》 を翻訳。プロット用語、オカルト・魔法に関するメモ、物語のあらすじ、詩の断片、人物名・地名など、スミス作品読解の鍵となる一冊。大石努訳/大石大一郎監修
(念黝之神根院書局 5000円) 取扱=盛林堂

北村薫 『ユーカリの木の蔭で』
本から本への思いがけない旅。「目黒のサンマ」 はフランス語ではどうなるか、 鶴八鶴次郎の決して動かせない名セリフとは何か、思わずニヤリとする帯のいたずら……。好奇心と興味のままひろがってゆく活字の楽しさがいっぱい。
(本の雑誌社 1760円)[amazon]

山田英春 『花束の石 プルーム・アゲート 不思議で奇麗な石の本
古代より世界中で愛好されてきた瑪瑙の中でもブルーム・アゲートに焦点を絞り、その魅力を存分に伝える一冊。花や羽毛にしか見えない形象を瑪瑙の中に持ち、アクセサリーや鑑賞石としても珍重された名品の数々を産地別に一挙紹介。
(創元社 1980円)[amazon]

生島治郎 『浪漫疾風録』
23歳の越路玄一郎が入社したのは、個性派揃いの梁山泊のような出版社だった。部長の田村隆一に仕事を叩きこまれ、都筑道夫の後を受けて 『EQMM』 編集長を務め、そして作家に。1956-64年の疾風怒濤の編集者時代と戦後ミステリの草創期を活写する、ハードボルド作家の自伝的長篇小説。
(中公文庫 968円)[amazon]

ウィリアム・マクドナルド 『ニューヨーク・タイムズが報じた100人の死亡記事』
いかなる人物も死から免れることはできない。リンカーンからスティーブ・ジョブズまで、死亡記事から見える歴史上の人物たちの生き様と死に様。歴史の縮図としての死亡記事を読む。矢羽野薫訳
(河出書房新社 3960円)[amazon]

泡坂妻夫 『宝引の辰 捕者帳 第四巻 織姫かえる』
2002~2008年に発表された「雪見船」 「駒込の馬」 「毒にも薬」 「熊谷の馬」 「十二月十四日」 「消えた百両」 「願かけて」 「織姫かえる」 「焼野の灰兵衛」 「千両の一失」 「菜の花や」 「蟹と河童」 「五ん兵衛船」 「山王の猿と」 宝引の辰最終作 「だらだら祭」 の短編15編を収録。全4巻完結。オンデマンド出版
(捕物出版 1815円)[amazon]

エイザ・ブリッグズ 『ヴィクトリア朝のもの』
イギリス・ヴィクトリア朝において製作された「もの」についての文化史。1851年にロンドンで開催された第1回万博を中核に据えて、ヴィクトリア朝の「もの」の文化のありようを検証。その後に迎える変容・変化も紹介する。玉井暲・米本弘一 監訳
(国文社 6600円)[honto]

シャネル・ベンツ 『おれの眼を撃った男は死んだ』
南北戦争で両親を亡くした少女は兄の手で自分を虐待するおじ一家から助け出されたが、さらに残酷な外の世界を知る(「よくある西部の物語」)。暴力に満ちたさまざまな時代と場所で、血まみれで生きる人々の一瞬の美しさを切り取る。O・ヘンリー賞受賞作ほか10編収録の珠玉の短編集.。高山真由美訳
(東京創元社 2420円)[amazon]

モーリーン・ジョンソン 『寄宿学校の天才探偵』
エリンガム・アカデミーは天才を輩出してきた全寮制の学校。新入生のスティヴィは推理マニア、過去に起きたアカデミー創始者エリンガムの妻と娘が誘拐された事件を調べている。身代金が払われたのに妻は殺され、娘は行方不明のまま、犯人の正体も不明。スティヴィは事件の調べ直しを課題として与えられるが、そこへ新たに殺人が……。谷泰子訳
(創元推理文庫 1540円)[amazon]

ソニア・パーネル 『ナチスが恐れた義足の女スパイ 伝説の諜報部員ヴァージニア・ホール
イギリス特殊作戦執行部 (SOE)やアメリカCIA の前身OSSの特殊工作員として単身でナチス統治下のフランスに単身で潜入、仲間の脱獄や破壊工作に従事、レジスタンスからも信頼され、第二次世界大戦を勝利に導いた知られざる女性スパイの活躍を描く実話。並木均訳
(中央公論新社 2970円)[amazon]

サルマン・ラシュディ 『真夜中の子供たち
1947年8月15日、インド独立の日の真夜中に、不思議な能力とともに生まれた子供たち。なかでも0時ちょうどに生まれたサリームの運命は、革命、戦争、そして古い物語と魔法が絡みあう祖国の歴史と分かちがたく結びつき──。刊行当時 「『百年の孤独』以来の衝撃」 とも言われた、20世紀小説を代表する一作。寺門泰彦訳
(岩波文庫 1320円)[amazon]

オスカー・ワイルド 『童話集 幸福な王子 他八篇
全身を金箔で覆われた王子の彫像が国民の悲惨な生活を知り、サファイアの目や体じゅうの金箔をツバメにたのんで貧しい人々に分けあたえる 「幸福な王子」、人魚に恋した若い漁師が財宝に目もくれず、ひたむきに恋のために自分の魂をなげうつ 「漁師とその魂」など、無垢なるものや純愛への限りない賛嘆にみちたワイルドの全童話。富士川義之訳
(岩波文庫 924円)[amazon]

イーユン・リー 『理由のない場所』
母親の「私」と自殺してまもない16歳の息子との会話で進められる物語。著者の実体験をもとに書かれた本書からは、母親の深い悲しみが伝わり、強く心を打つ。他に類をみない秀逸な一冊。篠森ゆりこ訳
(河出書房新社 2420円)[amazon]

鮎川哲也 『幻の探偵作家を求めて 完全版 下
〈論創ミステリ・ライブラリ〉
本格推理小説の第一人者、鮎川哲也の 『こんな探偵小説が読みたい』 (晶文社、1982) に収録されたエッセイ、インタビューに加え、アンソロジー解説集を増補。日下三蔵編 目次
(論創社 4620円)[amazon]

M・R・ラインハート 『ヒルダ・アダムスの事件簿』
〈論創海外ミステリ〉
看護婦探偵ヒルダ・アダムス初登場。謎の失踪事件を追い、マーチ家に潜入したヒルダが孤軍奮闘、初めての事件を解決に導けるのか? 金井真弓訳
(論創社 2420円)[amazon]

ヒュー・ペンティコースト 『シャーロック伯父さん』
〈論創海外ミステリ〉
平和な地方都市が孕む悪意と謎。レイクビューの “シャーロック・ホームズ” が全てを見透かす大いなる叡智で難事件を鮮やかに解き明かす。熊木信太郎訳
(論創社 2420円)[amazon]

W・G・ゼーバルト 『移民たち 新装版
移民たちは、長い期間をおいて、みずから破滅の道をたどる……。語り手の〈私〉はそれらの人々の生涯をたどりなおす。鈴木仁子訳
(白水社 3190円)[amazon]

『ガラン版 千一夜物語 6』
「開け、ゴマ」 の呪文で有名な 「アリババと、女奴隷に殺された四十人の盗賊の話」、魔法の馬に乗って空を飛び、ベンガルの王女に出会ったペルシアの王子の話、美しい妖精と結婚した王子の話、スルタンと結婚した妹を妬んだ姉たちが捨てた子どもたちが密かに拾われて育ち三つの宝を探し出す話など、不思議な物語が語られる。西尾哲夫訳。全6完結。
(岩波書店 3850円)[amazon]

ピエール・アルベール 『新聞・雑誌の歴史』
印刷技術や通信制度の整備により、新聞や雑誌といった定期刊行物は発展してきた。その歴史を約400紙に触れながら概説する。斎藤かぐみ訳
(白水社/文庫クセジュ 1320円)[amazon]

《本の雑誌》 6月号
特集=翻訳出版の現在! 内容
(本の雑誌社 734円)[amazon]

マーガレット・アトウッド 『サークル・ゲーム』
現代カナダ文学を代表する作家、マーガレット・アトウッドのデビュー作。不穏な空気に包まれた28篇の詩集。出口菜摘訳
(彩流社 2420円)[amazon]

《『新青年』 趣味》 20号
特集 「甲賀三郎/『新青年』 創刊100年」 内容
(「新青年」研究会)[amazon] 盛林堂

レフ・トルストイ 『戦争と平和 2』
1805年アウステルリッツの会戦でフランス軍に敗れ、負傷し行方不明になっていたアンドレイが戻った夜、妻リーザは男子を出産するのだが……。一方、ピエールは妻エレーヌの不貞への疑念からドーロホフに決闘を申し込むのだった。(全6巻) 望月哲男訳
(光文社古典新訳文庫 1210円)[amazon]

テオドール・シュトルム 『みずうみ/三食すみれ/人形使いのポーレ』
将来結婚するものと考えていた幼なじみとのはかない恋とその後日を回想する代表作 「みずうみ」 ほか、「三色すみれ」 「人形使いのポーレ」 を収録。若き日の甘く切ない経験を繊細な心理描写で綴ったシュトルムの傑作短編集。松永美穂訳
(光文社古典新訳文庫 924円)[amazon]

小泉喜美子 『ミステリー作家は二度死ぬ』
推理作家の恋住木美子は、作品数も収入も知名度も低いが、能書だけはまくし立て、おまけに酒乱ときては敬遠する編集者も多い。だが、そんな彼女にテレビ局から、現代ミステリーについて一席という出演依頼があり、それが大変なことに……自身をパロディ化した 「木美子の冒険」 をはじめ、ファンタジーやハードボイルドなど、文庫初収録を多く含む傑作短編集。
(光文社文庫 990円)[amazon]

久生十蘭 『十字街』
画学生の小田孝吉、アメリカでフランス語講師になることを夢見る高松ユキ子、計理士の勉強中の大学生・佐竹潔、ユキ子を陰で支える富豪の鹿島与兵衛。四人の日本人が、フランスで疑獄事件や左翼・右翼の権力闘争に巻き込まれ、命の危機にさらされる。〈スタヴィスキー事件〉 を題材に、鬼才久生十蘭が繰り広げるアドベンチャーストーリー。
(小学館 P+D BOOKS 660円)[amazon]

『泉鏡花〈怪談会〉全集』 東雅夫編
空前の怪談会ブームのいま、甦る大いなる原点の書。お化け好きの文豪・泉鏡花が関わった春陽堂系の三大 「怪談会」 を、初出時の紙面を復刻することで完全再現。京極夏彦インタビューを併録。
(春陽堂書店 4950円)[amazon]

G・K・チェスタトン 『知りすぎた男』
「我々は知りすぎているんです。お互いのこと、自分のことを」 新進気鋭の記者ハロルド・マーチが、取材に向かう中で出会ったホーン・フィッシャーという男とともに目撃した奇妙な自動車事故の意外な真相とは。諧謔と奇想に満ちた連作ミステリ。南條竹則訳
(創元推理文庫 880円)[amazon]

チャーリー・ジェーン・アンダーズ 『空のあらゆる鳥を』
魔法使いの少女パトリシアと天才科学少年ローレンス。特別な才能を持つがゆえに周囲に疎まれるもの同士として友情を育んだ二人は、やがて人類の行く末を左右する運命にあった……。ネビュラ賞・ローカス賞・クロフォード賞受賞の傑作SFファンタジイ。市田泉訳
(東京創元社 2640円)[amazon]

ミシェル・クオ 『パトリックと本を読む』
罪を犯したかつての教え子を救うために何ができるか。読書の喜びを通して、貧困からくる悪循環にあえぐ青年の心に寄り添った法律家の記録。神田由布子訳
(白水社 2860円)[amazon]

鹿島茂 『職業別 パリ風俗』
弁護をしない「代訴人」、情報通の「門番女」、自営の「高級娼婦」?名作に登場する様々な職業から19世紀フランス社会の実態に迫る。画から読み解く19世紀〈風俗ファイル〉。
(白水Uブックス 2090円)[amazon]

グレイス・ペイリー 『その日の後刻に』
生涯に3冊の作品集を残したグレイス・ペイリーの村上春樹訳が完結。17の短篇とエッセイ、ロングインタビュー、訳者あとがき。村上春樹訳
(文春文庫 902円)[amazon]

スジャータ・マッシー 『ボンベイ、マラバー・ヒルの未亡人たち』
1921年のインド。パールシーの一族の出身で、ボンベイ唯一の女性弁護士パーヴィーンは、ムスリムの実業家の屋敷に暮らす三人の未亡人の遺産管理のため、高級住宅街を訪れた。閉鎖的な生活を送る彼女たちの役に立とうと決意した矢先、屋敷内で殺人事件が……。アガサ賞歴史小説部門大賞受賞作。林香織訳
(小学館文庫 1320円)[amazon]

佐藤=ロスベアグ・ナナ 『学問としての翻訳 『季刊翻訳』 『翻訳の世界』 とその時代
忘れられた専門誌 『季刊翻訳』 の驚くべき革新性、次いで 『翻訳の世界』 がポストモダンの思想界に放ったインターカルチュラルな輝き。二誌の翻訳言説を追い、さらに 『翻訳の世界』 にかかわった翻訳家・編集者9人 (辻由美、鴻巣友季子、伊藤比呂美、西成彦、井上健、管啓次郎、沼野充義、丸山哲郎、今野哲男) にインタビュー。
(みすず書房 4950円)[amazon]

J・M・クッツェー 『鉄の時代』
人種差別の嵐の中、末期ガンの初老の女性がホームレスの男と心を通わせる。遠方の娘への愛と暴力的な現実。ノーベル賞作家の傑作。くぼたのぞみ訳
(河出文庫 1320円)[amazon]


▼4月刊

チャールズ・ウィルフォード 『コックファイター』
1960年代のアメリカ南部。プロの闘鶏家フランクは、最優秀闘鶏家賞のメダルを手にするまでは誰とも口を利かないという沈黙の誓いを立てて、闘鶏に命を懸けて生きてきた。サシの勝負で敗れ、最後の鶏まで喪って文無しになったフランクは復活を期して動き始めるが……。乾いたユーモアと血腥い戦いの美学に彩られた、これぞ 「男」 のノワール。解説=滝本誠。斎藤浩太訳
(扶桑社ミステリー 1155円)[amazon]

岡本健 『大学で学ぶゾンビ学 人はなぜゾンビに惹かれるのか
近畿大学の超人気講義が一冊に。そもそも 「ゾンビ」 とは何か。映画、ゲームなどのコンテンツでどのように発展してきたか。いつからゾンビは全力疾走するようになったのか。『鬼滅の刃』 はゾンビものなのか。日本独特の 「カワイイ」 文化に取り込まれたゾンビや、ゾンビでの町おこしなど、あらゆる角度からゾンビを分析。
(扶桑社新書 1034円)[amazon]

《怪と幽》 vol.004
時代を超えて読み継がれる名作から一部の世代に多大な影響を与えた奇書まで――子どもたち、そしてかつて子どもだったすべての人々に贈るこわ~い本を特集。目次
(KADOKAWA 1980円)[amazon]

『皆川博子長篇推理コレクション1 虹の悲劇 霧の悲劇』
〈小説の女王〉皆川博子の長篇ミステリ8作品を全4巻に集成。長崎のおくんち祭で起きた死亡事故と佐世保市内で起きた叔母殺し――二つの事件を結ぶ意外な展開とその背後に浮ぶ戦時中の強制連行の闇を暴く 『虹の悲劇』、深夜の路上で拾った謎の女性をめぐる探索行から明らかになる反戦宗教家の悲劇と陰謀を描く 『霧の悲劇』。日下三蔵編
(柏書房 3300円)[amazon]

エドワード・ウィルソン=リー 『コロンブスの図書館』
蔵書はあらゆる分野におよぶ3200冊。それでも持ち主が生涯をかけて蒐集したほんの一部だ。持ち主の名はエルナンド・コロン、コロンブスの私生児である。15世紀半ばのグーテンベルクの印刷革命から100年足らず、ルネサンス、宗教改革、大航海時代の最前線で世界のありとあらゆる情報を集めて目録化しようと試みた書物狂の知られざる物語。五十嵐加奈子訳
(柏書房 2970円)[amazon]

北見隆 『北見隆 装幀画集 書物の幻影』
赤川次郎、今邑彩、恩田陸、中島らも、折原一、津原泰水、カルヴィーノ、エーコ、チャペック、J・D・カー……あのワクワクは、この絵とともにあった――北見隆が40年間に手がけた装幀画から、約400点を収録した決定版画集。内容
(アトリエサード 3520円)[amazon]

ケイト・ウィルヘルム 『鳥の歌いまは絶え』
放射能汚染によって、生殖能力が極端に低くなった地球上の生物群は、緩やかな滅びへと向かっていた。その中で豊かな渓谷の一族がクローン繁殖の技術によって滅亡を回避しようと試みる。だが誕生したクローンたちは個々の自意識が薄く、今までの人類の文化と異なる無個性の王国を築き上げようとしていた……。ヒューゴー賞、ローカス賞受賞作。酒匂真理子訳
(創元SF文庫 1276円)[amazon]

アレン・スティール 『キャプテン・フューチャー最初の事件』
カーティス・ニュートンがキャプテン・フューチャーと呼ばれるようになる以前の、最初の事件。カーティスの幼年期に天才科学者の両親を殺した張本人は、月共和国の有力議員となっていた。ヒューゴー賞賞受賞「キャプテン・フューチャーの死」の著者が21世紀に完全にリブート。中村融訳
(創元SF文庫 1320円)[amazon]

シェーン・バウアー 『アメリカン・プリズン 潜入記者の見た知られざる刑務所ビジネス
イランで投獄されたことで、アメリカの刑務所問題に関心を持った著者は、身分を隠して面接を受け、アメリカ最大の刑務所運営会社が運営する刑務所で刑務官として働きはじめる。本書の元になった記事が政府を動かすほどに衝撃を与え、全米で話題を呼んだノンフィクション。満園真木訳
(東京創元社 2310円)[amazon]

トンマーゾ・カンパネッラ 『哲学詩集』
〈イタリアルネサンス文学・哲学コレクション〉
ユートピア論 『太陽の都』 の著者、預言者にして自然哲学者・占星術師・カトリック僧が、体制転覆を計画して逮捕され、四半世紀に及ぶ獄中生活において綴った詩片の集成。異形の知識人の生と思想のすべてが結実した、驚嘆すべき人倫の詩集。澤井繁男訳
(水声社 6600円)[honto]

ブアレム・サンサール 『ドイツ人の村 シラー兄弟の日記
叢書《エル・アトラス》
前途有望な兄ラシェルの突然の自殺に見舞われた弟のマルリクは、遺品として兄の日記を手渡される。日記をめくるごとに明らかになっていく兄の心境と自殺の動機、そしてナチスに加担した過去をもつ父親の存在……。人がもつ孤独の闇と、それでもなお人を信頼する希望の光を、シラー兄弟の日記を通して重層的に物語る傑作長編。青柳悦子訳
(水声社 3300円)[honto]

オーウェン・デイヴィス 『スーパーナチュラル・ウォー 第一次世界大戦と驚異のオカルト・魔術・民間信仰
第一次世界大戦中、数々の「迷信」や「呪術」が復活し、世を賑わした。護符、占い、予言、霊媒、魔術儀式、まじない、都市伝説……〈超自然的なるもの〉に人々は何を求めたのか。未曾有の災厄をもたらした戦争において、オカルトパワーの約束に魅入られた人々の驚くべきストーリーを明らかにし、ジェンダー、植民地主義を含む幅広い問題に光を当てた、戦争民俗学/戦争社会史の名著。江口之隆訳
(ヒカルランド 3520円)[amazon]

アガサ・クリスティー 『名探偵ポアロ メソポタミヤの殺人
〈ハヤカワ・ジュニア・ブックス〉
中近東の発掘調査団の宿舎で不可解な出来事がつづいた。窓からのぞく不気味な顔、深夜の倉庫にちらつく怪しい光。そして調査団リーダーの妻には、15年も前に死んだはずの元夫から脅迫状が届く。だがそれはすべて、まもなく起きる殺人事件の序曲にすぎなかった。田村義進訳
(早川書房 1320円)[amazon]

アガサ・クリスティー 『ミス・マープルの名推理 パディントン発4時50分』
〈ハヤカワ・ジュニア・ブックス〉
マギリカディ夫人は列車の窓から見た風景に、あっと驚いた。並んで走る列車のなかで男が女を絞め殺すところだったのだ。すぐに通報したが、死体は車内のどこにも見つからない。その話を聞いたミス・マープルは、ある作戦を思いつく。果たして死体の行方は? 小尾芙佐訳
(早川書房 1430円)[amazon]

ミシェル・フーコー 『監獄の誕生 監視と処罰 新装版
肉体の刑から魂を罰する刑へ――今日の監獄は、どのような歴史的社会的な背景のもとで生まれたのか。学校や軍隊にも応用された、人々を監視し管理する技術とはいかなるものか。国家権力の集中機構としての監獄を独得の考古学的手法で捉え、その本質を解明する。田村俶訳
(新潮社 5390円)[amazon]

デラノ・エームズ 『殺人者は一族のなかに ダゴベルトとジェーンの夫婦探偵シリーズ
「もうすぐ殺人が起こるだろうから……」 大農場の女主人の不気味な予言は現実となり、連続殺人へと発展。被害者と旧知のダゴベルトとジェーンが謎の解明に乗り出す。奇妙な一族に渦巻く複雑な人間関係が醸成した感情と殺意。そしてついに驚くべき真犯人が明かされる。チャーミングな素人夫婦探偵ダゴベルトとジェーンの活躍を描く本格ミステリ。Murder Begins at Home (1949)。松本真一訳
(風詠社 1430円)[amazon]

《Re-ClaM》 第4号
特集=F・W・クロフツの“Humdrum”な冒険/若島正 「『ギャルトン事件』を読む」/A・ブラックウッド 「鍵をかけろ」/E・D・ホック 「ゴーストタウン」/他 目次
(Re-ClaM編集部 1200円)取扱=盛林堂

『大阪圭吉 自筆資料集』 小野純一編
大阪圭吉遺族の家に保管されていた、創作ノートをはじめとした大阪圭吉の自筆資料を発掘。「らくがき帖 その二」、「作品記録帳」、原稿、仕事メモ他、約20点の資料をカラー収録。
盛林堂ミステリアス文庫 4500円)

堀井一摩 『国民国家と不気味なもの 日露戦後文学の〈うち〉なる他者像
男たちを獣に変える女、寸断された兵士の死体、国家を蝕む伝染病――フロイトの論を手がかりに、日露戦前・戦後の文学空間に取り憑く 「不気味なもの」 をたどりつつ、国民化の抑圧と民衆の抵抗の力学を鮮やかに剔抉する。国民国家論更新の試み。
(新曜社 4180円)[amazon]

ヴィットーリオ・アルフィエーリ 『アルフィエーリ悲劇選 フィリッポ サウル』
〈ルリユール叢書〉
若きスタンダールとバイロンを熱狂させた異形の才能、18世紀イタリア最大の劇作家アルフィエーリ──王家の親子の確執を描いた『フィリッポ』、正気と狂気の狭間をゆれ動く古の王『サウル』の傑作悲劇2篇を収録。本邦初訳。菅野類訳
(幻戯書房 3960円)[amazon]

ジャコモ・レオパルディ 『断想集』
〈ルリユール叢書〉
イタリア人に最も愛された大詩人にして、ショーペンハウアー、ニーチェ、ベンヤミン、カミュ、夏目漱石、芥川龍之介、三島由起夫ら、東西の文人に影響を与えた19世紀イタリアの思想家・哲学者レオパルディ──実存主義に先駆けた、「人間と事物の本性」をめぐる遺作の哲学散文集。國司航佑訳
(幻戯書房 3190円)[amazon]

ヴィクトール・ユゴー 『レ・ミゼラブル 第五部 ジャン・ヴァルジャン
1832年共和派市民が政府軍と死闘に。バリケードにはマリウスら主要登場人物たちが。最後は地下道を抜け出た主人公の天上的な死。西永良成訳
(平凡社ライブラリー 1870円)[amazon]

チャールズ・ディケンズ 『大いなる遺産 上・下
鍛冶屋の義兄ジョーに育てられている少年ピップは、クリスマス・イヴの晩、脱獄囚の男と出会う。ピップは男に脅されて、足枷を切るヤスリを家から盗んで与えた。長じたある日、ロンドンから来た弁護士に、さる人物の莫大な遺産を相続することを示唆され……。痛烈なユーモアと深い情感で人間世界の悲喜交々を描いた、19世紀英国の文豪の代表長編。加賀山卓朗訳
(新潮文庫 各781円)[amazon]

ジョーゼフ・キャンベル 『ジョーゼフ・キャンベルの神話と女神』
原始の時代、女神は生と死と豊饒を司り、尊敬を集めていた。しかし社会の変化にともない、男神にその地位を追われていく。世界各地の神話、伝承をもとに、神話学の第一人者が女神の変容の歴史を探る。図版多数。倉田真木訳
(原書房 4950円)[amazon]

『月岡芳年 血と怪奇の異才絵師河出書房新社編集部編
衝撃の残酷絵で人気絵師へ。武者絵から歴史画まで多様な画風をこなした芳年の魅力を、傑作の数々とともに。オールカラー。新装版。
(河出書房新社 2640円)[amazon]

濱中利信編 『改訂増補新版 エドワード・ゴーリーの世界』
唯一無二の作家の魅力と作品を紹介した日本オリジナル編集。新たなコレクションを増補改訂、カラーページも増量した最新決定版。
(河出書房新社 2200円)[amazon]

パオロ・ジョルダーノ 『コロナの時代の僕ら』
2020年2月から3月のイタリア、ローマ。小説家パオロ・ジョルダーノにもたらされた空白は一冊の傑作を生みだした。生まれもった科学的な姿勢と、全世界的な抑圧の中の静かな情熱が綾をなす、私たちがこれから生きなくてはならない、コロナウイルス時代の文学。飯田亮介訳
(早川書房 1430円)[amazon]

横溝正史 『完本 人形佐七捕物帳 三』
江戸を舞台に、人形のような色男佐七が繰り広げる推理劇。【収録作品】 血屋敷/敵討走馬燈/捕物三つ巴/いろは巷談/清姫の帯/鳥追人形/まぼろし小町/身代り千之丞/出世競べ三人旅/怪談閨の鴛鴦/人面瘡若衆/蝙蝠屋敷/笛を吹く浪人/狼侍/日蝕御殿/雪達磨の怪/坊主斬り貞宗
(春陽堂書店 4950円)[amazon]

ベルンハルト・シュリンク 『オルガ』
女は手が届く確かな幸せを願い、男は国の繁栄を求めて北の果てに消えた。運命に引き裂かれ、数々の苦難を乗り越えて20世紀ドイツを生き抜いたオルガ。彼女が最期にとった途方もない選択とは? ぶれることのない女性の、ひたむきな生き方に心揺さぶられる最新長篇。松永美穂訳
(新潮クレスト・ブックス 2200円)[amazon]

横溝正史 『憑かれた女』
自称探偵小説作家の井手江南に伴われ、エマ子は不気味な洋館の中へ入った。そして問題のドアが開かれた瞬間、彼女は恐怖の悲鳴を上げた。部屋の隅に燃えさかる暖炉の中には、黒煙をあげてくすぶる一本の女の腕が……。名探偵由利先生と事件記者三津木俊助シリーズ長編ほか、「首吊り船」「幽霊騎手」の2篇を収録。
(角川文庫 836円)[amazon]

小松左京 『日本沈没
上・下
伊豆諸島・鳥島の東北東で一夜にして小島が海中に没した。現場調査に急行した深海潜水艇の操艇者・小野寺俊夫は、地球物理学の権威・田所博士とともに日本海溝の底で起きている深刻な異変に気づく。
(角川文庫 予価各660円)[amazon]

鈴木棠三 『日本俗信辞典 動物編』
「猫が顔を洗うと雨がふる」 「ナマズがあばれると地震がおきる」 「ねずみがいなくなると火事がおきる」――。日本全国に伝わる俗信を、「猫」 「狐」 「とんぼ」 「蛇」 などの項目ごとに整理した画期的な辞典。
(角川ソフィア文庫 1848円)[amazon]

松岡正剛 『千夜千冊エディション 大アジア』
古代から近代までのアジアと日本の関係とその変転、そして歪められた近代アジア史の問題点を考察。アジアにおける日本の立ち位置を考えるうえで必須の一冊。
(角川ソフィア文庫 1606円)[amazon]

チェ・ウニョン 『わたしに無害なひと』
〈となりの国のものがたり〉
あの頃の私は、まだ何もわかっていなかった。二度と会えなくなった友人、傷つき傷つけた恋人との別れ、弱きものに向けられた暴力……。あのとき言葉にできなかった想いがさまざまにあふれ出る。もし時間を戻せるなら、あの瞬間に……。第8回若い作家賞受賞作「あの夏」を含む7作品を収録。古川綾子訳
(亜紀書房 1760円)[amazon]

アントーニオ・スクラーティ 『私たちの生涯の最良の時』
ファシズム体制のもと、迫害・拷問・獄死という過酷なレジスタンスの生涯を生き抜いたギンツブルグ家の数奇な運命。戦火の絶えない20世紀を生きた人々の《大河ドラマ》にして、苦渋に満ちた家族の一大《サーガ》。ヴィアレッジョ賞、カンピエッロ賞 同時受賞作。望月紀子訳
(青土社 2860円)[amazon]

泡坂妻夫 『宝引の辰 捕者帳 第三巻 鳥居の赤兵衛
1995~2002年に発表された 「朱房の鷹」 「笠秋草」 「角平市松」 「この手かさね」 「墓磨きの怪」 「天狗飛び」 「にっころ河岸」 「鳥居の赤兵衛」 「優曇華の銭」 「黒田狐」 の短編10編を収録。オンデマンド出版
(捕物出版 1804円)[amazon]

ラーラ・プレスコット 『あの本は読まれているか』
冷戦下。CIAにタイピストとして雇われたロシア移民の娘イリーナは、秘かにスパイの訓練を受け、ある特殊作戦に抜擢される。その目的は、反体制的とされた共産圏の禁書 『ドクトル・ジバゴ』 をソ連国民の手に渡し、ソ連がいかに自由な思想を禁じているかを知らしめることだった。一冊の小説を武器に世界を変えようと危険な任務に挑む女性たちを描く、話題エンターテインメント。吉澤康子訳
(東京創元社 1980円)[amazon]

アガサ・クリスティ 『ハーリー・クィンの事件簿』
常に傍観者として他者の人生を眺めて過ごしてきた老人サタスウェイトが、ある屋敷のパーティで不穏な気配を感じ取る。過去に起きた自殺事件、現在の主人夫婦の間に張り詰める見えざる緊張の糸。その夜屋敷を訪れた不思議な人物ハーリー・クィン氏にヒントをもらったサタスゥェイトは、鋭い観察眼でもつれた謎を解きはじめる。深い人間描写が光る12編を収めた短編集。山田順子訳
(創元推理文庫 990円)[amazon]

オルテガ・イ・ガセット 『大衆の反逆』
スペインの哲学者オルテガ・イ・ガセットによる痛烈な時代批判の書。自らの使命を顧みず、みんなと同じであることに満足しきった「大衆」は、人間の生や世界をいかに変質させたのか。1930年刊行の本文に加え、「フランス人のためのプロローグ」および「イギリス人のためのエピローグ」も収録。佐々木孝訳
(岩波文庫 1177円)[amazon]

ウィリアム・シェイクスピア 『から騒ぎ』
「確かに私はあらゆる女性に愛される、あなたは別だが」──アラゴンの貴族クローディオーとメシーナの知事の娘ヒーローは、互いに好意を寄せる仲。ベアトリスとベネディックは、会えば必ず激しい舌戦。シェイクスピア喜劇、屈指の機知溢れるやりとりで、二つの対照的な恋を描く。その台詞の躍動感をいきいきと正確に伝える新訳。喜志哲雄訳
(岩波文庫 726円)[amazon]

岩波文庫 重版
ジョージ・オーウェル 『オーウェル評論集』
バンジャマン・コンスタン 『アドルフ』


クラウス・コルドン 『ベルリン1933 壁を背にして 上・下

1932年夏、世界恐慌のあおりでベルリンの街にも失業者があふれるなか、「よりよき未来」を約束するナチは急速に勢力を拡大していた。ヘレの弟ハンスは、悩みながらも社会に足を踏み入れていくが、やがて否応なく不穏な時代の流れに巻き込まれていく。.ヒトラー政権奪取までのわずか数か月を、15歳の視点で描く第二作。酒寄進一訳
(岩波少年文庫 各1320円)[amazon]

J・M・クッツェー 『イエスの学校時代』
少年ダビードはシモンとイネスの庇護のもと、言葉を学び、友を作った。犬のボリバルも健在だ。やがて少年は七歳になり、バレエスクールへ入学する。ダンスシューズを履いた彼は、徐々に大人の世界の裏を知る――成長とは? 親とは? クッツェーの新境地。鴻巣友季子訳
(早川書房 2530円)[amazon]

マーク・グリーニー/H・リプリー・ローリングス四世 『レッド・メタル作戦発動 上・下
レアメタル鉱山の極秘奪回作戦を始動したロシア。世界を揺るがすこの陰謀に、世界各地の精鋭が立ち向かう。大型冒険アクション。伏見威蕃訳
(ハヤカワ文庫NV 各1078円)[amazon]

リチャード・フォックス 『鉄の竜騎兵 新兵選抜試験、開始
幼少時に異星人との戦闘で両親を失ったローランドは、地球連合軍の中でも最強とうたわれる装甲機動兵部隊への入隊を志願するが……。丸山伸子訳
(ハヤカワ文庫SF 990円)[amazon]

野村胡堂 『銭形平次捕物控 傑作集5 江戸風俗篇
野村胡堂の不朽の名作『銭形平次捕物控』。富籤が引き起こす殺人、庶民を震撼させた連続放火、傾城番付ならぬ色男番付など、江戸時代特有の習俗に絡んだ事件に平次親分が挑む名作シリーズのテーマ別傑作集第5弾。
(双葉文庫 704円)[amazon]

佐々木喜善 『ザシキワラシと婆さま夜語り 遠野のむかし話
『遠野物語』に結実した伝承を提供した喜善が研究した座敷童子の話と、遠野の老婆から聞き書きした「老媼夜譚」を現代仮名遣いで。
(河出書房新社 1760円)[amazon]

筒井康隆 『堕地獄仏法/公共伏魔殿』
巨大な権力を握った某国営放送の腐敗と恐怖を描き、一読すれば受信料を払わずにはいられない「公共伏魔殿」、諸事情によりここにはあらすじを書けないもうひとつの表題作「堕地獄仏法」、ロボット記者たちに理路整然と問い詰められた政治家がパニックになり、無茶苦茶な答弁をしてしまう「やぶれかぶれのオロ氏」など、初期傑作短篇16作を収録。日下三蔵編
(竹書房文庫 1430円)[amazon]

『戯曲アルセーヌ・ルパン対ハーロック・ショームズ』
原作 モーリス・ルブラン/作 ヴィクトール・ダルレ&アンリ・ド・ゴルス
1910年10月 パリ、シャトレ劇場初演。モーリス・ルブランが公認したこのパロディ劇は、「ルパン対ホームズ」物としては最初期の作品。近年発見された脚本を翻訳。萩原純訳
(トサカ文庫 2500円) 取扱=盛林堂

古井戸秀夫 『鶴屋南北』
文化文政期の江戸歌舞伎を支えた狂言作者。江戸日本橋に生まれ、57歳で4世を襲名。おかしみのある茶番、目まぐるしい場面展開で小気味の良さが持ち味。初世尾上松助や5世松本幸四郎らの当たり作を生み出し、『東海道四谷怪談』 など百数十種の台本を著す。幅広い年齢層に知られ、子供の頃より人を笑わせることを好んだ「大南北」の生涯に迫る。
(吉川弘文館/人物叢書 2420円)[amazon]

エリック・ジャコメッティ/ジャック・ラヴェンヌ 『邪神(メシア)の覚醒 上・下
史上最悪の独裁者ヒトラーの覚醒により、覇者の秘宝<鉤十字>を巡る戦いは苛烈を極めていく。メタ戦記ミステリ、シリーズ第二弾。大林薫訳
(竹書房文庫 各1100円)[amazon]

アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ 『すべては消えゆく』
五月下旬の午後遅く、パリの町の美しさを堪能しつつメトロに乗り込んだユゴー・アルノルドは、隣の席に座った女が無遠慮に化粧するさまに魅了される。女優だという彼女は彼をエロスの極みに誘うが……。隣り合わせの性と死を描く3篇収録。中条省平訳
(光文社古典新訳文庫 1078円)[amazon]

マルティン・ハイデガー 『存在と時間 7』
第7巻では、〈死に臨む存在〉としての死への先駆性と良心の根源的な働きである決意性を時間性によって結びつけることで、現存在の本来的なあり方を明らかにする。将来、既往、現在、時熟という独自の時間概念での考察が展開される。中山元訳
(光文社古典新訳文庫 1430円)[amazon]

仁木悦子 『死の花の咲く家 昭和ミステリールネサンス
寿子にとって誰よりも仲良しだった母。だが寿子が思いを寄せる青年からの手紙を勝手に開封し、タンスに隠していて……。単行本初収録になる「隠された手紙」など短編8編、ショートショート4編を収録。
(光文社文庫 990円)[amazon]

ジョン・ジェームズ・オーデュボン 『オーデュボンの鳥 『アメリカの鳥類』 セレクション
19世紀博物画集の名作 『アメリカの鳥類』 収録の鳥類画435点から150点を精選し、テーマ別に編成。オールカラー。
(新評論 2200円)[amazon]

『死の濃霧 延原謙翻訳セレクション
〈論創海外ミステリ〉
探偵作家による往年の名訳をまとめた〈翻訳セレクション〉第3弾は延原謙翻訳集。 大正時代のコナン・ドイル翻訳から昭和30年代に改訳された〈シャーロック・ホームズ物語〉まで選りすぐりの14作を集成。コナン・ドイル、マッカレー、ビーストン、クロフツ、ウェイド、メースン他。収録内容 中西裕編
(論創社 3520円)[amazon]

『甲賀三郎探偵小説選Ⅳ』
〈論創ミステリ叢書〉
甲賀三郎の代表長編 「姿なき怪盗」 を巻頭に、傑作短編をセレクションした〈甲賀三郎探偵小説選〉第四集。次女・深草淑子による未発表短編を併録し、巻末には最新情報を反映させた「甲賀三郎著作リスト[改訂版]」を付す。収録内容
(論創社 4620円)[amazon]

中川裕 『改訂版 アイヌの物語世界』
アイヌ=人間とカムイが織りなす様々な物語――『ゴールデンカムイ』 の監修者が繙く、豊かなアイヌの世界観と口承文芸の魅力。
(平凡社ライブラリー 1540円)[amazon]

コン・ソノク 『私の生のアリバイ』
〈韓国文学ショートショートきむふなセレクション〉
「私は知らない。本当に、私がテリムについて知っていることはそれほど多くない。そして、私はテリムを知っている」 80年代の光州をともに過ごした旧友をめぐる4つの陳述。社会から疎外された人々の姿と貧困の問題を見つめ続けたコン・ソノクが描く、様々なかたちの 「愛」 の有無。カン・バンファ訳
(クオン 1320円)[amazon]

イ・ジャンウク 『私たち皆のチョン・グィボ』
〈韓国文学ショートショートきむふなセレクション〉
死後にその名を知られるようになった伝説の画家、チョン・グィボ。美術専門出版社の依頼で彼の評伝執筆に取りかかった「私」は、その足跡をたどって取材を重ねるうちに不思議な世界に迷い込む……。五十嵐真希訳
(クオン 1320円)[amazon]

ペガーナ・コレクション第3巻 『戦争の物語』
かつては幻の短篇集と言われ、姉妹作 「過ぎ去りし不幸」 とあわせて涙なしには読めないと言われた戦争文学珠玉の作品集。2004年版を全面改訂、新たに発見された未収録作品5篇も収載。稲垣博訳。
盛林堂ミステリアス文庫 2000円) 4/5予約開始

沼野充義 『徹夜の塊3 世界文学論』
世界文学とは「あなたがそれをどう読むか」なのだ。つまり、世界文学――それはこの本を手に取ったあなただ。『亡命文学論』『ユートピア文学論』に続く〈徹夜の塊〉三部作、ついに完結。
(作品社 5720円)[amazon]

エドワード・ウェイクリング 『ルイス・キャロルの実像』
手紙や日記、回顧録など膨大な一次資料から浮き上がる、『不思議の国のアリス』の作者、ルイス・キャロルの真の姿。楠本君恵・高屋一成・下笠徳次 監訳。内容
(小鳥遊書房 6600円)[amazon]

マルクス・シドニウス・ファルクス/ジェリー・トナー=解説 『奴隷のしつけ方』
奴隷の選び方から反乱を抑える方法まで、古代ローマ貴族が現代人に向けて平易に解説。奴隷なくして回らない古代ローマの姿が見えてくる。橘明美訳
(ちくま文庫 880円)[amazon]

矢島文夫 『メソポタミアの神話』
バビロニアの創世記」から「ギルガメシュ叙事詩」まで、古代メソポタミアの代表的神話をやさしく紹介。第一人者による最良の入門書。
(ちくま学芸文庫 1100円)[amazon]

ウィリアム・オヴ・レンヌ 『ブリタニア列王の事績 中世ラテン叙事詩
古典古代の叙事詩の伝統的な韻律 (長短短六韻脚) を用い、ジェフリー・オヴ・モンマスの 『ブリタニア列王史』 を英雄叙事詩に翻案した幻のアーサー王物語。本邦初訳作品を読みやすい散文訳で。瀬谷幸男訳
(論創社 4400円)[amazon]

ヘンリック・イプセン 『人形の家』
〈近代古典劇翻訳〈注釈付〉シリーズ〉 世界でもっとも上演される近代劇の父、ヘンリック・イプセン。女性解放を促した不朽の名作に詳細な注釈を付す。毛利三彌訳
(論創社 1650円)[amazon]

ジョーン・エイキン 『月のケーキ』
幼い娘が想像した「バームキン」を宣伝に使ったスーパーマーケットの社長、だが実体のない「バームキン」がひとり歩きしてしまい大騒ぎに……『バームキンがいちばん』。ヴァイキングの侵略者が攻めてきた。魔女だった祖母亡き今、城の守りは孫のコラムに託された。果たしてコラムはどんな手段を使って城を守るのか? 『にぐるま城』 など、奇妙な味わいの13編を収めた短編集。三辺律子訳
(東京創元社 2200円)[amazon]

ミネット・ウォルターズ 『カメレオンの影』
アクランド英国軍中尉はイラクで爆弾によって頭に重傷を負い、片目を喪失する。病院では他人に触れられると暴力的になった。退院後、ロンドンに住むが、アクランドともめた高齢の男がその後に何者かに襲われ、彼は警察に拘束される。近隣では独り暮らしの男性が殴殺される連続殺人が起きていた。 〈現代英国ミステリの女王〉の最新作。成川裕子訳
(創元推理文庫 1540円)[amazon]

エリー・アレグザンダー 『ビール職人のレシピと推理』
ビールで知られる小さな町レブンワースに、今年も待ちに待ったオクトーバーフェストの開催が迫っていた。そんな中、クラフトビールをテーマにしたドキュメンタリー映画がこの町で撮影されることに。しかし、イベント前日の夜、会場近くで映画の関係者が殺されているのが見つかって……。愉快で美味しいビール・ミステリ第二弾。越智睦訳
(創元推理文庫 1210円)[amazon]

《ミステリーズ!》 vol.100
【ミステリーズ!100号記念】 青崎有吾、堂場瞬一、山田正紀ら新作読切による豪華共演。気鋭・櫛木理宇の長編新連載 『老い蜂』。「懸賞付き犯人当て小説」に法月綸太郎が登場。麻耶雄嵩「紅葉の錦」解答編も掲載。第5回創元ファンタジイ新人賞選評ほか。
(東京創元社 1320円)[amazon]

シャルル=ルイ・ドモンテスキュー 『ペルシア人の手紙』
宮廷での政争に疲れたペルシアの貴族ユズベクがパリに長期滞在する間、故国をはじめとする各地の知人・友人と交わした書簡のかたちで、著者の政治や宗教についての考え、思想を明かしたモンテスキューの代表作。田中卓臣訳
(講談社学術文庫 2068円)[amazon]

カール・マルクス 『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』
1848年革命に乗じ、大統領選挙で勝利したルイ・ボナパルトは、1851年12月2日にクーデタを起こし議会を解散、翌52年には皇帝に即位し、第二帝政を開始する。この過程をジャーナリストとしてつぶさに見ていたマルクスが、なぜルイ・ボナパルトは次々に野望を実現することができたのかを分析する。丘沢静也訳
(講談社学術文庫 924円)[amazon]

ジェームズ・ロリンズ 『AIの魔女 上・下
クリスマスイヴの夜、〈シグマフォース〉隊員グレイ・ピアースの家が荒らされ、恋人のセイチャンと同僚モンクの子供たちが誘拐された。一方、ポルトガルでは5人の女性科学者が虐殺され、21歳の天才AI研究者が行方不明に。二つの事件を結びつけるのは、中世の魔女狩り論文 『魔女への鉄槌』。AI研究と“魔女”の間にどんな繋がりがあるのか? 森田健訳
(竹書房文庫 各825円)[amazon]

トニ・ヒル 『ガラスの虎たち』
1978年12月、バルセロナの貧困地区で一人の少年が殺された。それから37年後、二人の男が偶然再会した。一人は人生の成功者として、一人は人生の落伍者として。彼らは幼い頃に同じ団地で過ごし、12歳の時に罪を犯して、周囲の思惑で離ればなれとなっていた。そしてその再会から全ての歯車が狂い始めた……。ノスタルジックでやるせない、スペイン発傑作ミステリー。村岡直子訳
(小学館文庫 1320円)[amazon]

『世界の文学、文学の世界』奥彩子・鵜戸聡・中村隆之・福嶋伸洋 編
世界のさまざまな場所であまたの文学が生み出され、それら一つ一つを大切に受けとめる人たちの営みとともに、文学の世界がかたちづくられ、はてしなくひろがってゆく。ケニア、シリア、イラン、タイ、デンマーク、アルバニアほか、多様な国の、多様な言語で書かれた小説・詩・戯曲を集めた、世界の文学/文学の世界への扉となるアンソロジー。目次
(松籟社 1980円)[amazon]

フォルチュネ・デュ・ボアゴベ 『乗合馬車の犯罪』 別冊Re-ClaM Vol.2
夜更けのパリを走る乗合馬車の終点で、年若い娘の死体が発見される。馬車に乗り合わせた画家のポールは、その死因が毒の塗られたヘアピンで刺されたことだと偶然突き止めてしまう。19世紀フランスの人気作家ボアゴベの知られざる犯罪小説。小林晋訳
(Re-ClaM 2500円) 取扱=盛林堂

日影丈吉編 『フランス怪談集』
奇妙な風習のある村、死霊に憑かれた僧侶、ミイラを作る女達……。フランスを代表する作家たちの、怪奇とスリルに満ちた傑作怪談集。新装復刊。
(河出文庫 1210円)[amazon]

ジェレミー・マーサー 『シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々』
パリの伝説の書店に偶然住みつくこととなった、カナダから来た元新聞記者による回想記。本好きに圧倒的支持を受けた楽しき書店物語。市川恵里訳
(河出文庫 1320円)[amazon]

《ナイトランド・クォータリー》 vol.20
〈特集=バベルの図書館〉
その架空の図書館の存在は、無限の知識と想像の集積をイメージさせる。図書館と本へのインスピレーションから生まれた驚異の物語。ゾラン・ジヴコヴィッチ、ジーン・ウルフ、M・ジョン・ハリスン、ジェイムズ・ブランチ・キャベルなど翻訳8編。高山宏ロングインタビューを掲載。目次
(アトリエサード 1870円)[amazon]

ローリー・レーダー=デイ 『最悪の館』
不眠症に悩まされるイーデンは星空の鑑賞で有名なダークスカイ・パークを訪れる。死んだ夫が生前、結婚記念日に予約していたのだ。だがゲストハウスには別のグループも宿泊することに。そしてその夜、殺人が……。ディーヴァー&クリーヴス絶賛のフーダニット。岩瀬徳子訳
(ハヤカワ・ミステリ 2090円)[amazon]

ヴィクター・メソス 『弁護士ダニエル・ローリンズ』
飲んだくれのバツイチ美人弁護士ダニエルは薬物売買で告発された知的障害を持つ少年の弁護を引き受けるが、背後には公権力の影が……。関麻衣子訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 1166円)[amazon]

ニール・スティーヴンスン 『七人のイヴ 上・下
何の前触れもなく月が7つに分裂した。ビル ・ゲイツが絶賛しオバマ大統領が楽しんだ、人 類滅亡の危機に挑む近未来宇宙開発ハードSF。日暮雅通訳
(ハヤカワ文庫SF 各1606円)[amazon]

ガエル・ファイユ 『ちいさな国で』
内戦が起きて、ぼくの日常は崩れ去った。フランスで活躍するアフリカ生まれのラッパーが、自らの生い立ちをもとにつづった感動作。加藤かおり訳
(ハヤカワepi文庫 990円)[amazon]

ラハッティン・デミルタシュ 『セヘルが見なかった夜明け』
刑務所の窓に巣をかけたスズメの夫婦、通勤中にデモに出くわした掃除婦、工場の同僚に恋心を寄せる女性、紛争地帯のレストランの店主……中東に暮らす人々の日々の営みと、彼らが情勢や伝統に翻弄される様を、トルコ政府に拘束中のクルド系政治家が描く短篇集。鈴木麻矢訳
(早川書房 2090円)[amazon]

フランソワ・トリュフォー 『ある映画の物語』
映画はこうしてつくられる。『華氏451』 製作中の苦吟する日々の撮影日記、『アメリカの夜』 の映画作りの混乱する現場を描いたシナリオ――フランソワ・トリュフォー監督が自作2作品を通して、映画という芸術形式の創造の秘密を赤裸々にかつ率直に綴った稀有な本。山田宏一訳
(草思社文庫 1760円)[amazon]


▼3月刊

深町悟 『「侵攻小説」 というプロパガンダ装置の誕生』
1871年に英国で誕生した 「侵攻小説」。その後世界に広まったこのジャンルは 「未来戦記」 「架空戦記」 「IF戦記」 などの名称で日本でも親しまれている。本書はそのオリジナルとして知られる 『ドーキングの戦い』 に加え、未だ研究のなされてこなかった数々の作品を取り上げ、そのジャンルの英国での受容を論じる。目次
(溪水社 3080円)[amazon]

『二〇世紀 「英国」 小説の展開』 高橋和久・丹治愛編
20世紀英国小説研究の新しい傾向を踏まえつつ、「小説を読む」意味を問い直す。ヘンリー・ジェイムズ、コンラッド、ウォーからファウルズ、クッツェー、カズオ・イシグロまで、重要な作家の作品論を、幅広い世代の18人の論者が展開する。目次
(松柏社5280円)[amazon]

トーマス・ブルスィヒ 『太陽通り ゾンネンアレー
まだ東西ドイツがあった頃のお話。15歳の男の子ミヒャエルは太陽通り(ゾンネンアレー)の「ベルリンの壁」近くに住んでいる。太陽通りは西ベルリンから長く続く道で、最後の60メートルだけが東ベルリンにある。あとちょっとで西側に住めたのに、とミヒャは思う。ミヒャと、彼をとりまくおかしな人々による「ベルリンの壁コメディー」。浅井晶子訳
(三修社 2200円)[amazon]

フェデリーコ・ヴィットーレ・ナルデッリ 『ピランデッロ秘密の素顔』
20世紀前半のイタリアを代表する小説家、劇作家ピランデッロの、亡命中のパリでの3カ月にわたるインタビューをもとに書き上げられた、半ば自伝とも言いうる詳細な伝記。斎藤泰弘訳
(水声社 4400円)[honto]

ビアトリス・ホーネガー『茶の世界史 中国の霊薬から世界の飲み物へ 新装版
その一杯を味わいながら繙きたい――ポスト・コロニアルな問題意識とお茶への愛とに裏打ちされた豊穣な東西文化史。平田紀之訳
(白水社 予3520円)[amazon]

香住春吾 『地獄横丁』
ミステリ作家・脚本家・放送作家である香住春吾の中篇スリラー小説を初の書籍化。表題作以外にも、単行本未収録となっている短篇5編を収録。
(盛林堂ミステリアス文庫 2500円)

城崎龍子 『ハルピンお龍行状記 姿なき脅迫者』
城崎龍子(潮寒二)の女スリ「ハルピンお龍」シリーズを初集成。善渡爾宗衛編
(我刊我書房 6000円) 取扱=盛林堂

ヒュー・ロフティング 『ドリトル先生アフリカへ行く』
ドリトル先生シリーズ100周年改訂新版 (原書のユーモアや面白さはそのままに、現代の見地から見ると問題のある表現などを改めたもの)。金原瑞人・藤嶋桂子訳
(竹書房 1540円)[amazon]

西崎憲 『未知の鳥類がやってくるまで』
「行列」 「開閉式」 「東京の鈴木」 などに書き下ろし 「未知の鳥類がやってくるまで」 を加えた全10作の短篇集。SF的、幻想的、審美的味わいと本をめぐる物語。
(筑摩書房 1870円)[amazon]

一柳廣孝 『怪異の表象空間 メディア・オカルト・サブカルチャー』
日本の近現代は怪異とどう向き合ってきたのか。明治期の怪談の流行から1970年代のオカルトブーム、そして現代のポップカルチャーまで、21世紀になってもなおその領域を拡大し続ける「闇」の領域――怪異が紡いできた近現代日本の文化表象を多角的視座から探究。目次
(国書刊行会3960円)[amazon]

木場貴俊 『怪異をつくる 日本近世怪異文化史
人がいなければ、怪異は怪異にはならない。では誰が何を 「あやしい」 と認定して怪異になったのか。つまり、怪異はどうつくられてきたのか。その様々なありさまを、当時の 「知」 の体系に照らし描く。近世の怪異をつくった第一人者、林羅山からはじまり、政治、本草学、語彙、民衆の怪異認識、化物絵、ウブメ、河童、大坂、古賀侗庵の全10章プラス補論3章。
(文学通信 3080円)[amazon]

ユーディット・シャランスキー 『失われたいくつかの物の目録』
解体された東ドイツの宮殿、絶滅種のトラ、太平洋に沈んだ島、老いたグレタ・ガルボ……自然や芸術作品が雄弁に語り始める夢の目録。細井直子訳
(河出書房新社 3190円)[amazon]

クライブ・カッスラー/グラハム・ブラウン 『気象兵器の嵐を打ち払え 上・下
インド洋で発見された焼けただれた漂流船は、水温調査をしていたNUMA(国立海中海洋機関)の双胴船だった。真相究明にモルディブへ向かったオースチンらNUMA特別出動班は、船体の燃え滓の中に異常な物体を大量に見つける。〈NUMAファイル〉シリーズ第10弾。土屋晃訳
(扶桑社ミステリー 各990円)[amazon]

寺尾隆吉 『100人の作家で知る ラテンアメリカ文学ガイドブック』
ラテンアメリカ出身の作家は数多く日本で紹介され、作品も多く邦訳されている。しかし、その一方でそうした作家や作品をまとめて紹介した媒体はほとんど存在していない。19~21世紀の代表的な作家100人と、作家の代表作を紹介し、ラテンアメリカ文学を読む人への指針となるハンドブック。
(勉誠出版 3080円)[amazon]

《ミステリマガジン》 5月号
〈特集=ハヤカワ・ジュニア・ミステリ創刊〉 目次
(早川書房 1320円)[amazon]

テレツィア・モーラ 『よそ者たちの愛』
〈エクス・リブリス〉
この世界になじめずに都市の片隅で不器用に生きる人びと。どこにでも、誰のなかにも存在する<よそ者>たちの様々な思いを描く短篇集。鈴木仁子訳
(白水社 3190円)[amazon]

ジェスミン・ウォード 『歌え、葬られぬ者たちよ、歌え』
アメリカ南部で困難を生き抜く家族の絆の物語であり、臓腑に響く力強いロードノヴェルでありながら、生者ならぬものが跳梁するマジックリアリズム的手法がちりばめられた、壮大で美しく澄みわたる叙事詩。現代アメリカ文学を代表する長篇小説。全米図書賞受賞。石川由美子訳
(作品社 2860円)[amazon]

イ・ジン 『ギター・ブギー・シャッフル』
〈韓国文学セレクション〉
朝鮮戦争の傷跡が残る1960年代初頭のソウル。戦争で孤児となった主人公キム・ヒョンの心の友は、米軍のラジオ局から流れてくる最新のポップスだった。どん底の生活を続けていたヒョンは偶然の積み重ねで、憧れの龍山(ヨンサン)米軍基地内のクラブステージにギタリストとして立つことに……。李眞・岡裕美訳
(新泉社 2200円)[amazon]

横溝正史 『蝶々殺人事件』
原さくら歌劇団の主宰者、原さくらが 「蝶々夫人」 の大阪公演を前に突然、姿を消した。数日後、数多くの艶聞をまきちらしプリマドンナとして君臨していたさくらの死体は、バラと砂と共にコントラバスの中から発見される。由利麟太郎&三津木俊助シリーズ。表題作他「蜘蛛と百合」「薔薇と鬱金香」を収録。
(角川文庫 946円)[amazon]

アリ・スミス 『秋』
分断が進む世界で小説に何ができるのか。新時代の希望を描く「EU離脱後」小説。EU離脱に揺れるイギリスのとある施設で眠る謎の老人と、彼を見舞う若い美術史家の女。かつて隣人同士だった二人の人生は、六〇年代に早世した女性アーティストを介して再び交錯し――不協和音が響く現代に、生きることの意味を改めて問いかける。『両方になる』で読者を驚かせた著者による、奇想とユーモアに満ちた話題作。 木原善彦訳
(新潮社クレスト・ブックス 2200円)[amazon]

泡坂妻夫 『宝引の辰 捕者帳 第二巻 凧をみる武士』
日本推理作家協会賞、直木賞受賞に輝く著者の代表的な捕者小説。本書には1993~1995年に発表された旅差道中、夜光亭の一夜、忍び半弓、雛の宵宮、面影蛍、幽霊大夫、とんぼ玉異聞の短編7編と、中編の凧をみる武士を作品発表順に収録。オンデマンド出版
(捕物出版 1804円)[amazon]

チョン・セラン 『保健室のアン・ウニョン先生』
養護教諭のアン・ウニョンが新しく赴任した私立M高校。この学校には原因不明の怪奇現象や不思議な出来事がつぎつぎと起こる。霊能力を持つ彼女はBB弾の銃とレインボーカラーの剣を手に、同僚の漢文教師ホン・インピョとさまざまな謎や邪悪なものたちに立ち向かう。『フィフティ・ピープル』の若き旗手が放つ、奇想天外な物語。斎藤真理子訳
(亜紀書房 1760円)[amazon]

ダン・フェスパーマン 『隠れ家の女』
聞いてはいけない工作員たちの会話を録音してしまったCIA女性職員ヘレンに命の危険が迫る。ミステリの興趣溢れるスパイ小説。東野さやか訳
(集英社文庫 1540円)[amazon]

エルンスト・ユンガー 『エウメスヴィル あるアナークの手記
〈叢書・エクリチュールの冒険〉
後の架空の都市国家に生きる一青年の任務と日常に仮託して、来たるべき人間と社会の趨勢を描いた、ユンガーの知られざる長篇小説。『大理石の断崖の上で』『ヘリオーポリス』に続く本作で、ユンガーはついに、独裁者たちが巨大な森へと消失する未来を幻視する。稀代の魔術的リアリストが描く、異形のSF世界。田尻三千夫訳
(月曜社 3850円)[amazon]

岡田鯱彦 『薫大将と匂の宮』
身体から不思議な芳香をはなつ薫大将と、源氏の孫にあたる匂の宮――源氏の亡き後、二人の貴公子の織りなす物語が 『源氏物語』 でも名高き「宇治十帖」である。その「宇治十帖」を最後に未完とされていたこの物語には、幻の続編が存在した。貴公子たちの恋の鞘当てが招く、美しき姫君たちの死。平安の宮中を震撼させる怪事に、紫式部と清少納言が推理を競う。推理作家にして古典文学者、ふたつの顔を持つ著者のみが書き得た絢爛たる王朝推理絵巻が、いま甦る。「艶説清少納言」 「「六条の御息所」 誕生」 他、関連短編とエッセイを併録。
(創元推理文庫 1100円)[amazon]

小森収編 『短編ミステリの二百年 2』
短編ミステリの歴史をさぐるアンソロジー第二巻は、1920~50年代の都会小説、ハードボイルド/私立探偵小説、謎解きミステリの逸品を通して、進化と発展の過程を概観。ハメット、チャンドラー、スタウト、アリンガム、クリスピン、ヴィカーズらの11短編を新訳で収録。猪俣美江子他訳 収録内容
(創元推理文庫 1540円)[amazon]

アーナルデュル・インドリダソン 『湖の男』
干上がった湖の底で発見された白骨。頭蓋骨には穴があき、壊れたソ連製の盗聴器が体に結びつけられている。エーレンデュルらの調査はひとつの失踪事件に行き当たった。農機具のセールスマンが婚約者を残し消息を絶ったのだ。男は偽名を使っていた。男は何者で、何故消されたのか? 北欧ミステリ大作。柳沢由実子訳
(創元推理文庫 1496円)[amazon]

ケン・リュウ編 『月の光 現代中国SFアンソロジー
『三体』著者、劉慈欣による表題作ほか、現代の北京でSNS産業のエリートのひとりとして生きる主人公の狂乱を描いた、『荒潮』著者の陳楸帆による「開光」など、14作家16篇を収録。最先端の現代中国SFを収録した、ケン・リュウ編によるアンソロジー第2弾.
(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 2420円)[amazon]

アリソン・ゲイリン 『もし今夜ぼくが死んだら、』
自殺をほのめかす少年。彼に何が起こったのか――時は遡り、4人の登場人物の視点から、嘘と秘密に満ちた5日間が描かれる。奥村章子訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 1386円)[amazon]

アガサ・クリスティー 『名探偵ポアロ オリエント急行の殺人』
〈ハヤカワ・ジュニア・ミステリ〉
豪華列車内で事件がおきた。殺されたのは金持ちの男。世界一の名探偵ポアロが調査することに。犯人は乗客の誰かにまちがいない。だが全員にアリバイがある。はたしてポアロの推理は……。クリスティーの傑作を、ルビと挿絵つき、完訳で贈る。小学5・6年生から。山本やよい訳
(早川書房 1430円)[amazon]

アガサ・クリスティー 『そして誰もいなくなった』
〈ハヤカワ・ジュニア・ミステリ〉
なぞの人物に招待された十人の男女が孤島の邸宅に集まったとき、おそるべき殺人ゲームがはじまる。童謡の歌詞どおりに一人また一人と殺されてゆく。犯人は誰か? そして生き残るのは……? クリスティーの傑作を、ルビと挿絵つき、完訳で贈る。小学5・6年生から。青木久恵訳
(早川書房 1430円)[amazon]

ダニエル・アレンソン 『地球防衛戦線1 スカム襲来』
異星人の攻撃により人口の6割が死亡した地球を舞台に、絶望的な状態の中、果敢に戦いを挑む若き兵士たちの死闘を描く戦争SF。金子浩訳
(ハヤカワ文庫SF 1100円)[amazon]

ニコラス・アーヴィング/A・J・タタ 『狙撃手リーパー ゴースト・ターゲット』
久々に帰国した凄腕スナイパーを待っていたのは、所在不明になった彼自身の銃を使った連続狙撃事件だった。アクション・スリラー。公手成幸訳
(ハヤカワ文庫NV 1254円)[amazon]

『オカルト伝説 人を魅了する世界の不思議な話ナショナル ジオグラフィック編
世界各地のオカルト伝説を紹介し、人間の生活とどのように絡み合って来たのか、古代から中世、現代へと歴史を辿りながら明らかにする。魔法や幽霊、UFOなどを現代の科学的知識によって、ただ単に種明かしするのではなく、それらの現象を生み出した社会背景、人間の心理などを分析して、オカルト伝説とは何かを考察する。
(日経ナショナルジオグラフィック社 1540円)[amazon]

ジェラール・ド・ネルヴァル 『火の娘たち』
「その美しい夏の朝かぎり、ぼくらは花婿と花嫁だった」──パリの女優の面影が呼び覚ます、故郷ヴァロワの日々。金髪のアドリエンヌ、黒髪のシルヴィの回想は、過去と現在、夢とうつつ、光と闇とを往還する。小説・戯曲・翻案・詩を一つに編み上げた、幻想の作家ネルヴァル珠玉の作品集。その魔術的魅惑を爽やかな訳文で伝える。野崎歓訳
(岩波文庫 1386円)[amazon]

福井健策 『改訂版 著作権とは何か 文化と創造のゆくえ
著作権はどのような場合に生まれ、具体的にどのようなことができ、そもそも何のために存在するのか。著作権を専門とする弁護士が、その基礎や考え方をシェイクスピア、ディズニー、手塚治虫などの豊富な実例でわかりやすく解説。著作権保護期間など最近の状況を盛り込んだ、ロングセラーの増補版。
(集英社新書 902円)[amazon]

式場隆三郎 『二笑亭綺譚』
精神科医・式場隆三郎が実在した奇妙な建築「二笑亭」と、その主人の人生を詳らかに描いた 『二笑亭綺譚』 が、式場が熱望した木村荘八の挿絵(未発表)と、発見された当時の資料をあわせ新装版として蘇る。『決定版 二笑亭綺譚』(今野書房、昭和40年)の章立てを一部変更して採録し、書下ろしを加えて構成。
(中西出版 3300円)[amazon]

ハン・スンウォン 『月光色のチマ』
〈韓国文学の源流シリーズ〉 日本による植民統治時代に生まれ、露草のように美しく生きた気丈な母チョモン。半島南部のとある海辺風景をバックに、激動の時代の約一世紀を強く生き抜いた母の生涯を叙情あふれる筆致で描く傑作長編。井手俊作訳
(書肆侃侃房 2420円)[amazon]

デヴィッド・コープ 『深層地下4階』
貸倉庫の夜勤シフトについた前科持ちのティーケイクは、壁の奥に隠された深層地下階の図面パネルを発見する。それは40年前、小さな町を全滅させるほどに進化した寄生体が極秘に封印されている場所だった……。異色スリラー。伊賀由宇介訳
(ハーパーBOOKS 1200円)[amazon]

J・D・バーカー 『嗤う猿』
「見ざる、聞かざる、言わざる」 になぞらえ猟奇殺人を繰り返した“四猿"が忽然と姿をくらましてから4カ月――シカゴを震撼させる新たな事件が発生した。公園の池で凍った少女の死体が発見されたが、体には拷問の跡や不可解な点が見られ、その奇怪な手口に世間は“四猿の再来"と騒ぎ立てる。『悪の猿』 に続くシリーズ第2弾。富永和子訳
(ハーパーBOOKS 1360円)[amazon]

瀬川裕司 『映画講義 ロマンティック・コメディ』
ロマンティック・コメディは時代とともにいかに変化してきたか。物語のパターンの読み解き、登場人物の特徴など、魅力の源泉に迫る。
(平凡社新書 1012円)[amazon]

チャールズ・ディケンズ 『オリバー・ツイスト』
イギリスの地方都市の救貧院で育った孤児オリバー・ツイストは、ロンドンの犯罪社会に巻き込まれたり、温厚な紳士の庇護を受けたり、様々な運命の変転を経験しながら、やがて自らの出自の謎を知る……。文豪ディケンズの代表作。挿絵多数。唐戸信嘉訳
(光文社古典新訳文庫 1760円)[amazon]

新章文子 『沈黙の家』
男女の愛憎と微妙な心理を巧みに配した長編サスペンスに加え、レトリックが冴える傑作短編3編を収録。いずれも初文庫化。
(光文社文庫 1078円)[amazon]

『飛鳥高探偵小説選Ⅴ』
〈論創ミステリ叢書〉
長編「ガラスの檻」を巻頭に、デビュー直後の短編「湖」から断筆直前の単行本未収録中編「プルタバの流れ」まで全16作を収録。日本推理小説文壇最長老、飛鳥高の探偵小説集第5弾にして集大成。
(論創社 4400円)[amazon]

キャロル・オコンネル 『修道女の薔薇』
消えた修道女を捜してほしい、マロリーのもとに一件の訴えが持ち込まれる。同じとき、彼女の甥と思われる盲目の少年も姿を消していた。数日後、修道女は意外なところで発見される。市長邸の正面階段に積まれた四体の死体、その中に彼女もいたのだ。その頃少年は、ある男のもとに囚われていた。一方殺害事件を追うマロリーは……。氷の天使、マロリー・シリーズ。務台夏子訳
(創元推理文庫 1628円)[amazon]

ユーン・ハ・リー 『ナインフォックスの覚醒』
物理法則を超越する科学体系〈暦法〉を駆使する星間大国〈六連合〉の若き女性軍人にして数学の天才チェリスは、伝説の戦術家ジェダオの精神をその身に憑依させ、艦隊を率いて巨大宇宙都市要塞の攻略に向かう。2017年ローカス賞受賞、ヒューゴー賞・ネビュラ賞候補の本格宇宙SF。赤尾秀子訳
(創元SF文庫 1210円)[amazon]

桑野隆 『改訂版 バフチン カーニヴァル・対話・笑い
じつは哲学、言語学、記号論等々をまたぐ領域横断的な知のあり方が本領のバフチン。全体像をあますところなく描く最良の入門書。
(平凡社ライブラリー 1760円)[amazon]

ヴィクトール・ユゴー 『レ・ミゼラブル 第四部 プリュメ通りの牧歌とサン・ドニ通りの叙事詩
七月革命後の混迷のパリを舞台に物語は核心部へ。コゼットとの愛を育みつつ反政府秘密結社員として活動を続けるマリユスは……。西永良成訳
(平凡社ライブラリー 1980円)[amazon]

稲垣足穂 『稲垣足穂詩文集』
「詩的要素は多い」と認めつつ、「詩人」のレッテルを否定した稲垣足穂。それでも、詩やコントというべき独創的作品が数多く大正期の前衛詩誌に発表され、若い詩人たちに影響を与えた。1920-30年代を中心に晩年までの作品集に、詩論やエッセイを併載し、日本文学の異才の“詩性”を剔出する。中野嘉一編
(講談社文芸文庫 2420円)[amazon]

山尾悠子 『翼と宝冠』
小説と人形が織りなす奇蹟の幻想譚 『小鳥たち』 外伝。小鳥の侍女のさいしょの始まり。プロローグにしてコーダ。物語はこの侍女の譚をもって完結する。山尾悠子の新作書き下ろし、豆本にてリリース。
(ステュディオ・パラボリカ 2200円)[amazon]

カルメン・マリア・マチャド 『彼女の体とその他の断片』
首にリボンを巻いている妻の秘密、セックスをリスト化しながら迎える終末、食べられない手術を受けた私の体、消えゆく女たちが憑く先は……。大胆奔放な想像力と緻密なストーリーテーリングで「身体」を書き換える新しい文学、クィアでストレンジな全8篇収録の短篇集。小澤英実・小澤身和子・岸本佐知子・松田青子訳
(エトセトラブックス 2640円)[amazon]

エリカ・ダイアン・ラパポート 『お買い物は楽しむため 近現代イギリスの消費文化とジェンダー
中・上流階級の女性の娯楽、社交生活、政治の拠点となったロンドンのウェストエンド。百貨店の誕生から、既婚女性財産法、フェミニストの運動、演劇と女性のショッピング、ショーウィンドウを破壊した女性参政権運動まで。19世紀~20世紀初めのロンドンで、女性たちがどのように「家庭」から「街」に飛び出し、ショッピングを楽しむようになったのかを明らかにする。目次
(彩流社 5280円)[amazon]

都筑道夫 『悪意銀行』
洒落た会話と何重にも仕掛けられる罠、激烈な銃撃戦(死者多数)とちょっぴりのお色気、そして結末は完全予測不能。近藤・土方シリーズ第二弾が復活。日下三蔵編
(ちくま文庫 880円)[amazon]

恩田陸 『土曜日は灰色の馬』
顔は知らない、見たこともない。けれど、おはなしの神様はたしかにいる――。恩田陸が眺める世界を堪能できる、傑作エッセイを待望の文庫化。
(ちくま文庫 792円)[amazon]

西山けい子 『エドガー・アラン・ポー 極限の体験、リアルとの出会い
19世紀前半の作家でありながら、今なお読者を魅了してやまないエドガー・アラン・ポー。その魅力を、怪奇小説、探偵小説の祖というだけでなく、多様な作品を取り上げて、常に境界を超出してリアルに出会おうとする現代的作家資質に見出す。
(新曜社 3520円)[amazon]

小野俊太郎 『「クマのプーさん」 の世界』
誰でも名前は知っている世界一有名なクマ。『クマのプーさん』 と 『プー横丁の家』 を精読。「正典」とされる二作品の各章の「あらすじ」を整理しながら、各章ごとに鍵になるテーマを順に読解していく。また、「プー物語」の他の作品への影響関係などにも迫る。目次
(小鳥遊書房 2640円)[amazon]

二上洋一 『銀の宝珠 二上洋一童話集
ミステリ評論家・少年小説研究家、二上洋一氏の初の小説集。蔵書整理中に発見された大学時代にノートに書かれた作品を集成。
盛林堂ミステリアス文庫 1500円)

レスコフ作品集2 『髪結いの芸術家』
ロシア・ウラル地方の鉱山で発見されて皇帝の名を与えられた宝石「アレクサンドライト」、妖しい光を放つチェコの紅柘榴石。神秘的な石に魅せられた人間が誘い込まれる物語とは…。冷酷な地主にさからえないおかかえ劇団の女優と腕のいい美容師「髪結いの芸術家」が命がけの駆け落ちをはかったその先に待ち受けていた運命とは…。物語作家として名高いレスコフの持ち味が存分に発揮された新訳作品集。
(群像社 1100円)[amazon]

レスコフ作品集1 『左利き』
ある日突然現れたかと思えばふいに姿を消してまた帰ってくる「じゃこう牛」というあだ名の男。世の中をさかなでするような遍歴を繰り返すこの不思議な男はどこへ向かうのか…。ロシアの皇帝から与えられた課題を「左利き」の職人が見事な腕前で成し遂げて先進国イギリスの鼻をあかしたかと思いきや、その技巧が思いがけない展開を呼びこんで…。ロシアにはこんな人間が必ずいる、そんな主人公を次々と生み出すレスコフの実話と見まがう物語。
(群像社 1100円)[amazon]

フランク・グルーバー 『ポンコツ競走馬の秘密』
〈論創海外ミステリ〉
伸るか反るかの大博打! 狙うは大穴、一攫千金。駄馬の馬主になったお気楽ジョニー、競馬界に進出か? 駄馬の馬主になったお気楽ジョニーは奇禍に見舞われ、ギャングの包囲網を逃れながら殺人犯の汚名を晴らすハメに……。ドタバタ喜劇の真骨頂、〈ジョニー&サム〉シリーズ第6作。冨田ひろみ訳
(論創社 2420円)[amazon]

M・R・ラインハート 『憑りつかれた老婦人』
〈論創海外ミステリ〉
閉め切った部屋に出没する蝙蝠の謎。それは老婦人の妄想か? パットン警視の要請により看護婦探偵ミス・ピンカートンが調査に乗り出す。金井真弓訳
(論創社 3080円)[amazon]

アレックス・リーヴ 『ハーフムーン街の殺人』
19世紀末のロンドン、病院の解剖医助手レオ・スタンホープは、牧師の娘として生まれながら15歳で家を出て、男として生きてきたトランスジェンダーだった。娼婦のマリアと恋人になることを夢見ていたが、マリアは殺され、レオは容疑者として連行されてしまう。突然、「上からの命令」で釈放されたレオの真犯人探索が始まる。CWAヒストリカル・ダガー賞最終候補作。満園真木訳
(小学館文庫 1045円)[amazon]

クリスティーン・ベル 『不協和音 GRIEVANCE
最愛の夫デズを亡くした二児の母リリーのもとに、夫の過去の恋人を名乗る者から妙なお悔やみの手紙が届く。リリーは心を乱されるが、その後もエスカレートする手紙と共に不穏な出来事が続く。追い詰められていく彼女を待ち受けていたのは……。国際スリラー作家協会賞受賞作。大谷瑠璃子訳
(小学館文庫 1034円)[amazon]


種村季弘編 『ドイツ怪談集』
死んだ男が歩き回る村、知らない男が写りこむ家族写真、話し出す髑髏……ドイツで紡がれた暗黒と幻想の傑作怪談集、待望の新装復刊。
(河出文庫 1100円)[amazon]

ジョゼ・サラマーゴ 『白の闇』
ある日突然失明する原因不明の「白い病」。一人視力の残る女性の視点で語られる悪の連鎖。ノーベル賞作家の究極のディストピア小説。雨沢泰訳
(河出文庫 1430円)[amazon]

ミラン・クンデラ 『邂逅 クンデラ文学・芸術評論集
ラブレー、ドストエフスキー、セリーヌ、ガルシア=マルケス、フェリーニ……愛する小説、絵画、音楽、映画を論じた、決定版評論集。西永良成訳
(河出文庫 1540円)[amazon]

ブラッドリー・ハーパー 『探偵コナン・ドイル』
19世紀英国。作家・医者のコナン・ドイルは 〈名探偵シャーロック・ホームズ〉 シリーズ第1作 『緋色の研究』 が思ったように売れず落ち込んでいた。そこにホームズのモデルにしたベル博士が、巷を騒がす連続殺人鬼の事件を一緒に調査しないかと誘ってきて……。府川由美恵訳
(ハヤカワ・ミステリ 1980円)[amazon]

ディーリア・オーエンズ 『ザリガニの鳴くところ』
ノースカロライナ州の湿地で村の青年チェイスの死体が発見された。人々は真っ先に、「湿地の少女」 と呼ばれているカイアを疑う。6歳のときからたったひとりで生き延びてきたカイアは、果たして犯人なのか? 不気味な殺人事件の顚末と少女の成長が絡み合う長篇。友廣純訳
(早川書房 2090円)[amazon]

フィリップ・K・ディック 『タイタンのゲーム・プレーヤー』
星間戦争に敗北し、タイタンの生物に支配された地球。人口が激減したこの世界では、自らの土地を賭けた〈ゲーム〉が流行していた。大森望訳
(ハヤカワ文庫SF 1496円)[amazon]

ピーター・シェーファー 『ピーター・シェーファー 1 ピサロ/アマデウス』
パルコ劇場オープニング作品として話題の『ピサロ』、アカデミー賞受賞作の原作『アマデウス』の傑作2篇。
(ハヤカワ演劇文庫 2090円)[amazon]

サマル・ヤズベク 『無の国の門 引き裂かれた祖国シリアへの旅
祖国を逃れた作家が一時帰還し、反体制派の人々の苦悩と挫折に耳を傾ける。記録する行為を通じて内戦という過酷な現実と向き合う労作。柳谷あゆみ訳
(白水社 3520円)[amazon]

池上俊一 『ヨーロッパ中世の想像界』
西洋中世の人々が生きた豊穣なる世界——。動植物や人間から、四大や宇宙、天使や魔女、仲間と他者、さらには楽園と煉獄まで、文学・図像・伝説・夢を彩る広大な想像界を縦横無尽に論じ、その全体構造を解明する。心性史・社会史を刷新する「イマジネールの歴史学」の集大成。目次
(名古屋大学出版会 9900円)[amazon]

横溝正史 『完本 人形佐七捕物帳 二』
江戸の町を舞台に、人形のような色男佐七が繰り広げる推理劇。最初で最後の大全集。全180篇を初めて完全集成(全10巻)。《収録内容》「敵討人形噺」「恩愛の凧」「まぼろし役者」「いなり娘」「括猿の秘密」「戯作地獄」「佐七の青春」「振袖幻之丞」「幽霊姉妹」「二人亀之助」「風流六歌仙」「生きている自来也」「血染め表紙」「怪談五色猫」「本所七不思議」「紅梅屋敷」「からくり御殿」「お化小姓」「嵐の修験者」
(春陽堂書店 4950円)[amazon]

フレデリック・フォーサイス 『ザ・フォックス』
ミッションはシステム侵入。標的は、イラン、北朝鮮、ロシアの最高機密。サイバースペースで繰り広げられる戦いを、圧倒的なリアリティで描く、国際謀略サスペンス。黒原敏行訳
(KADOKAWA 1980円)[amazon]

井村君江 『妖精についてのおはなし 新・妖精学入門
井村君江米寿記念出版。本について、音楽について、演劇について、あらゆる場面にあらわれる妖精についての入門書。
(Oisein Press 3000円) 取扱=盛林堂

ケン・フォレット 『火の柱 上・中・下
16世紀中葉のイングランド。ウィラード家のネッドと商売敵フィッツジェラルド家のマージェリーは恋仲だったが、両親の反対にあって引き裂かれる。失意のネッドは、エリザベス・チューダーの下で仕事をするようになるが……。戸田裕之訳
(扶桑社ミステリー 1430円/1430円/1375円)[amazon]



▼2月刊

松下隆志 『ナショナルな欲望のゆくえ ソ連後のロシア文学を読み解く
ゼロ年代のロシア文学とはなんだったのか。ソローキンなど数々の翻訳で知られる著者の現代ロシア文学論。ソ連崩壊後のロシアでは、国家の形だけでなく文化や文学も多様化する。本書は90年代ロシアの新しい潮流として影響力を持った《ポストモダニズム》を軸に据え、ゼロ年代にいたる多彩なロシア文学の歩みを 「一つの物語」 として読む。現代思想やチェチェン戦争の影響など、現代ロシア文学をアクチュアルに一望する。
(共和国 3080円)[amaon]

W・G・ゼーバルト 『アウステルリッツ 新装版
建築史家のアウステルリッツは、帝国主義の遺物の駅舎、要塞、病院、監獄を巡り、〈私〉に暴力と権力の歴史を語る。鈴木仁子訳。多和田葉子=解説
(白水社 3300円)[amazon]

佐野誠子 『怪を志す 六朝志怪の誕生と展開
歴史と宗教のあしもとで――。「怪力乱神を語らぬ」 儒教の国にあって、怪異はなぜ、いかにして記録されるようになったのか。『今昔物語集』 等にも影響を与えた古代中国の「志怪」について、史書の伝統や仏教伝来との関係を軸に、社会的文脈から生成過程、文体まで、初めてトータルに捉え、中国人の精神のかたちを逆照射する。
(名古屋大学出版会 6930円)[amazon]

フョードル・ドストエフスキー 『詳注版 カラマーゾフの兄弟』
見過ごされてきた誤訳の指摘や、読み飛ばしがちな19 世紀ロシアの複雑な司法・教育制度、ファッション、宗教、文化、自然などの詳細な解説を含む膨大な訳注を収録した、これまでの邦訳では味わえない新たな 『カラマーゾフ』 体験を可能にする決定版。杉里直人訳
(水声社 2巻セット19,800円)[honto]

ドロシー・L・セイヤーズ 『大忙しの蜜月旅行』
とうとう結婚へと至ったピーター卿と探偵作家のハリエット。従僕のバンターと三人で向かった蜜月旅行先は、〈トールボーイズ〉という古い農家。しかし、いざ着いてみると、屋敷は真っ暗で鍵がかかっており、待っているはずの前所有者は見当たらず……。シリーズ最後の長編を新訳。後日談の短編も収録。猪俣美江子訳
(創元推理文庫 1540円)[amazon]

アントニオ・マンジーニ 『汚れた雪』
ローマでの不祥事がもとでアルプス山麓の町に飛ばされてきた副警察長ロッコ・スキャヴォーネは、愛妻家だが、荒っぽく、悪に手を染めることもいとわない。村中が親戚関係といってもいい狭い村で、圧雪車にひかれた男の遺体が発見された。これは事故ではない。イタリアでTVドラマ化された人気作が日本上陸。天野泰明訳
(創元推理文庫 1210円)[amazon]

ソル・ケー・モオ 『女であるだけで』
〈新しいマヤの文学〉
メキシコのある静かな村で起きた衝撃的な夫殺し事件。その背後に浮かび上がってきたのは、おそろしく理不尽で困難な事実の数々だった……。先住民女性の夫殺しと恩赦を法廷劇的に描いた、《世界文学》 志向の新しい現代ラテンアメリカ文学×フェミニズム小説。吉田栄人訳
(国書刊行会 2640円)[amazon]

『別冊太陽 ロンドン・ナショナル・ギャラリー』
13~20世紀初頭の世界屈指のヨーロッパ絵画を所蔵するロンドン・ナショナル・ギャラリー。「絵画史を構築する」意図で集められた、美の殿堂のコレクションを存分に紹介。小池寿子 ・高橋明也 監修
(平凡社 2750円)[amazon]

デイビッド・ホワイトハウス 『月の科学と人間の歴史 ラスコー洞窟、知的生命体の発見騒動から火星行きの基地化まで
地球に最も近い天体である月は、アマゾン先住民から古代エジプト、イスラム、ルネッサンスから近現代の科学者まで、無数の人びとを魅了し、科学研究を動機付けてきた。優れた天文学者、ジャーナリストである著者が、先史時代から現代までの、神話から科学研究までの、人間と月との関係を描いた異色の月大全。西田美緒子訳
(築地書館 3740円)[amazon]

ポール・オースター 『サンセット・パーク』
リーマン・ショック不況下のブルックリン。それぞれの苦悩を抱えながら空家に不法居住する男女四人が織りなす、葛藤と再生の群像劇。柴田元幸訳
(新潮社 2420円)[amazon]

『夜ふけに読みたい 数奇なアイルランドのおとぎ話』
話題の〈夜ふけに読みたいおとぎ話〉シリーズに、アイルランド民話集が追加。既刊のイギリス民話集と同じアーサー・ラッカムの挿絵も楽しめる。気鋭のアイルランド研究者により、これまでばらつきのあった人名などの固有名詞をなるべく原型に近い形で統一。独自の世界観を忠実に再現した決定版。長島真以於 監修/加藤洋子・吉澤康子・和爾桃子 編訳
(平凡社 2420円)[amazon]

ミシェル・フーコー 『言葉と物 人文科学の考古学 新装版
ベラスケスの名画「侍女たち」は、古典主義時代における人間の不在を表現している。実は「人間」という存在は近代に登場したものであり、いずれ終焉を迎えることになるだろう――。西欧思想史を厳密に分析批判した上で、今日の人間諸科学の冒険的試みを統合し、画期的認識論をうちたてた名著。渡辺一民・佐々木明訳
(新潮社 5170円)[amazon]

ジョエル・ウィリアムソン 『評伝ウィリアム・フォークナー』
「響きと怒り」「八月の光」で知られるノーベル賞作家ウィリアム・フォークナー。アメリカ南部史研究の泰斗が、両親の家系、黒人親族との秘められた関係から作家の生涯を明らかにし、その栄光と悲惨を描き出す。
(水声社 8800円)[honto]

泡坂妻夫 『宝引の辰 捕者帳 第一巻 鬼女の鱗』
日本推理作家協会賞、直木賞受賞に輝く著者の代表的な捕者小説。第1巻には昭和55年に発表された第1作「吉の死人形」の他、「柾木心中」「鬼女の鱗」「辰巳菩薩」「伊万里の杯」「江戸桜小紋」「改三分定銀」「自来也小町」「雪の大菊」「毒を食らわば」「謡幽霊」の11編を収録。オンデマンド出版
(捕物出版 1870円)[amazon]

『100分de名著 アーサー・C・クラーク スペシャル』
SFの巨匠クラークが予言した人類の未来。豊富な科学知識に基づきつつも、想像力の翼を羽ばたかせたその作品群は、来たるべき未来を大胆に予言する。『太陽系最後の日』 『幼年期の終わり』 『都市と星』 『楽園の泉』 の4作を中心に、卓越した文明論としてクラークの思考実験を読みとく。(「100分de名著」 3月放送テキスト)
(NHK出版 576円)[amazon]

《SFマガジン》 4月号
特集=眉村卓追悼
(早川書房 1320円)[amazon]

バリェ゠インクラン 『独裁者ティラノ・バンデラス』
〈ルリユール叢書〉
衛兵の交代に目を光らす彼の横顔は、司祭の蝶ネクタイをつけ黒いサングラスをかけた髑髏のようだ――。スペイン 〈98年世代〉 の作家バリェ゠インクランが独自の小説技法で描き出した、いびつで歪んだグロテスクな現実世界――ガルシア゠マルケス、フエンテスら世界文学者に継承される〈独裁者小説〉の先駆的作品。本邦初訳。大楠栄三訳
(幻戯書房 4620円)[amazon]

福田理代 『切り剣 福田理代切り絵作品集
切り絵作品 《King of Herrings/リュウグウノツカイ》 のツイートに4万いいねと2万リツイート超えでブレイク。その後 《海蛸子》 でさらに大ブレイクしメディア取材が殺到、その職人芸的世界は海外からも注目を集める福田理代、初めての作品集。
(国書刊行会 2640円)[amazon]

ジョン・マクフィー 『ピュリツァー賞作家が明かす ノンフィクションの技法』
米国で当代随一のノンフィクション作家、名文家と評される著者が執筆にあたっての技術的なノウハウと考え方、そして出版業界の舞台裏を、書き手としての自身の歩みに即して綴ったハウツー本にして自伝的エッセイ。栗原泉訳
(白水社 予価2420円)[amazon]

オーブリー・シャーマン 『ヴァンパイアの教科書 神話と伝説と物語
邪悪な闇の存在でありながら愛と死を投影されてきたヴァンパイア。世界各地の伝説や伝承に基づく起源とともに、見た目のイメージを作った映画、ヴァンパイアが起こしたとされる実際の犯罪、近年のロマンス小説までをも網羅。 元村まゆ訳
(原書房 2200円)[amazon]

ベン・ハバード 『図説 毒と毒殺の歴史』
毒を使った暗殺の歴史は、人間の歴史と同じくらい古い。本書では、クレオパトラ、ボルジア家、サド侯爵といった歴史上の人物から現代のテロリストまで、毒と人間との関わりや、代表的な毒物の作用、効果をフルカラーで解説。上原ゆうこ訳
(原書房 3300円)[amazon]

《幻想と怪奇1 ヴィクトリアン・ワンダーランド 英國奇想博覧會
日本初の幻想文学専門誌 『幻想と怪奇』 (1973-74) が45年を経てここに復活。第一号のテーマは「ヴィクトリアン・ワンダーランド英國奇想博覧會」。技術や交通が大きな変革を迎え、文化が花開いた19世紀後半のイギリスで、自由な想像力を競った作家たちの奇想あふれる小説と、かの時代に夢を馳せる現代作家の作品を掲載。ディケンズ、コリンズ、レ・ファニュ、マッケン、ストーカー、ウェルズ他。目次
(新紀元社 2420円)[amazon]

スティーヴン・レイ 『ハリウッド・ブック・クラブ スターたちの読書風景
ジェームズ・ディーン、マリリン・モンロー、ソフィア・ローレン、ベティ・デイヴィス、サミー・デイヴィス・ジュニア、ハンフリー・ボガート、ローレン・バコール――55枚の写真が映し出す、スターたちの読書風景。
(竹書房 3300円)[amazon]

アレホ・カルペンティエール 『時との戦い』
〈フィクションのエル・ドラード〉
「聖ヤコブの道」「種への旅」「夜の如くに」(国書刊行会版/集英社版収録)に加え、「闇夜の祈禱」「逃亡者たち」「庇護権」の3編を新訳収録し、生前、カルペンティエール本人が編纂した 『短編全集』 を完全再現。鼓直・寺尾隆吉訳
(水声社 2420円)[honto]

ヒュー・ロフティング 『ドリトル先生アフリカへ行く』
ドリトル先生は動物のことばが話せる、世界でただひとりのお医者さん。でも患者は動物ばかりで、いつも貧乏。ある日、ジャングルのサルの間で広がる、おそろしい伝染病の話を聞き、仲良しのオウム、子ブタ、アヒル、犬、ワニたちと、船でアフリカへむかう。河合祥一郎訳 (角川つばさ文庫版の漢字表記や表現を大人向けに加筆修正)
(角川文庫 484円)[amazon]

ヒュー・ロフティング 『ドリトル先生航海記』
動物と話せるお医者さん、ドリトル先生。博物学者でもある先生は世界中を探検する。今回は、海をぷかぷか流されていくクモザル島をめざす船の旅。助手のトミー少年やおなじみの動物たちと、謎の大学者ロング・アローを捜すことに。河合祥一郎訳(角川つばさ文庫版の漢字表記や表現を大人向けに加筆修正)
(角川文庫 770円)[amazon]

松岡正剛 『千夜千冊エディション心とトラウマ』
意識や精神はどこにあるのか。脳と心は別ものなのか。自分の中に別人がいる感覚や、鏡の中に自分がいる感覚。だれもが持ちうる違和感に焦点をあてる。なにかと生きづらさを感じるこの世の中で、自分の中の道しるべにふと気づける本が満載。
(角川ソフィア文庫 1496円)[amazon]

ジーン・ウルフ 『書架の探偵』
推理作家のクローンとして図書館の書架に住む男スミス。謎を携えた令嬢が彼のもとを訪れて……。巨匠の遺作となったSFミステリ。酒井昭伸訳
(ハヤカワ文庫SF 1210円)[amazon]

エイドリアン・マッキンティ 『ザ・チェーン 連鎖誘拐 上・下
誘拐された娘を救うために、他人の子を誘拐することになった母親を襲う危機また危機!英米ミステリ界で絶賛された超話題作上陸。鈴木恵訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 各858円)[amazon]

イーゴル・デ・アミーチス 『七つ目の墓』
偽の墓に名前を書かれた人々が、その通りに残虐な死を遂げていく。清水由貴子訳
(ハヤカワ文庫NV 1298円)[amazon]

龍膽寺雄 『龍膽寺雄 焼夷弾を浴びたシャボテン
〈STANDARD BOOKS〉
戦前、突如文壇から姿を消した小説家は、戦後、サボテンの栽培研究で知られるようになる。サボテンを通じて彼が示した「荒涼の美学」「寂寥の哲学」や独自の科学観を精選。
(平凡社 1540円)[amazon]

平山三郎 『百鬼園先生雑記帳 附・百閒書簡註解
「百閒先生日暦」 「『冥土』の周辺」 ほか、阿房列車でお馴染み〈ヒマラヤ山系〉による随筆と秘蔵書簡への詳細な註解。百鬼園文学の副読本。解説=田村隆一
(中公文庫 990円)[amazon]

和田誠 『装丁物語』
星新一から村上春樹まで――かくも愉しき装丁今昔。そのデザインの源泉は、幅広い好奇心と書物への愛着。 編集者から依頼を受け、ゲラを読み、絵を描き、文字を配し、一冊の本を作り上げるプロセスを詳しく紹介。
(中公文庫 924円)[amazon]

ニコ・ウォーカー 『チェリー』
戦争から帰った青年はなぜ連続強盗犯になったのか。痛々しい青春小説と荒々しい犯罪小説を交錯させて獄中作家が綴ったベストセラー。黒原敏行訳
(文藝春秋 2145円)[amazon]

ロジェ・フリゾン=ロッシュ 『結ばれたロープ』
モンブラン山群の雪と岩と氷、シャモニー谷の緑のなかで展開する若者たちの物語。登攀ガイドの父を事故で失った青年ピエールは、苦悩の末に自らの人生を選び取ろうと氷壁に挑んでゆく。 フランスの登山家作家フリゾン=ロッシュの山岳小説の古典を新訳。石川美子訳
(みすず書房 4180円)[amazon]

スーザン・イーリア・マクニール 『スコットランドの危険なスパイ』
極秘情報を知ったために収容所として使われている孤島に囚われたマギー・ホープ。島には他にも九名が囚われていた。無為な日々を送るたマギーだが、新たな収容者が島にやってきた日から、収容者がひとりずつ謎の死を遂げていく。この島で何が起きているのか? ベストセラー・シリーズ最新刊。圷香織訳
(創元推理文庫 1496円)[amazon]

コリン・ブッチャー 『モリー、100匹の猫を見つけた保護犬』
失踪したネコを専門に探す探偵が存在する。元警部補コリンはペット事件専門の探偵事務所を開いたが、悩ましいのは失踪したネコの捜索だった。コリンは猫を探す優秀な探偵犬を自らの手で育てようと決心、候補犬探しは難航したが、そこで出会ったのが保護犬モリーだった。コリンとモリーのネコ探し探偵業が始まった。杉田七重訳
(東京創元社 1980円)[amazon]

飛鳥高 『細い赤い糸』
連続殺人を繋げる"赤い糸"の秘密とは? 日本探偵作家クラブ賞(現・日本推理作家協会賞)受賞作 『細い赤い糸』(1962) が待望の復刊。受賞コメント 「受賞の決まった日」、著者による書下ろしエッセイも収録。
(論創社 2750円)[amazon]

カリン・スローター 『開かれた瞳孔』
小さな町のレストランのトイレで、大学教授の女性が腹部を十字に切り裂かれて殺害された。偶然、第一発見者となった検死官サラは、迷いのない切創と異様な暴行の痕に戦慄を覚える。しかも犯人は被害者の習慣を熟知した人物に違いない。やがて第二の事件が発生、犯人の影はサラに忍び寄る……。MWA賞受賞作家のデビュー作。北野寿美枝訳
(ハーパーBOOKS 1100円)[amazon]

《MONKEY》 Vol.20 探偵の一ダース
柴田元幸=編集
 今年、没後90年を迎えるアーサー・コナン・ドイルの「ホームズ」シリーズより、短篇「青いザクロ石の冒険」を柴田元幸が新訳。さらに柴崎友香、円城塔、片岡義男、西川美和ら豪華作家陣が「探偵」をテーマにした作品を書き下ろし。表紙イラストレーションは和田誠。内容
(スイッチパブリッシング 1320円)[amazon]

クラウス・コルドン 『ベルリン1919 赤い水兵 上・下
戦争が終わり、皇帝はいなくなった。新しい時代を夢見た人びとは、よりよい明日を求めて戦うが……。1918年から1919年にかけての冬、ベルリンの貧しい地区で育った少年ヘレは、失敗に終わった革命を目撃する。20世紀前半のベルリンを舞台に、激動の時代の転換期を労働者一家の目線でとらえた三部作、第一巻。酒寄進一訳
(岩波少年文庫 各1320円)[amazon]

イーヴリン・ウォー 『回想のブライズヘッド 上・下
(岩波文庫 重版

ギルバート・キース・チェスタトン 『チェスタトン ショートセレクション ブラウン神父 呪いの書』
〈世界ショートセレクション〉
 ホームズのライバルといわれるブラウン神父。その面相に似合わずキレのいい推理が冴え渡る。開いた人が皆消えてしまう 『呪いの書』、残酷な息子の愚かさを描く 『世の中でいちばんおそろしい犯罪』 等5編を厳選。金原瑞人訳
(理論社 1430円)[amazon]

マイクル・コナリー 『レイトショー 上・下
ロス市警本部の強盗殺人課の女性刑事レネイは、班長のセクハラを告発したためにハリウッド分署に飛ばされ、「深夜番組(レイトショー)」と呼ばれる夜勤担当にさせられた。ある夜、受け持ち地域で、空き巣、暴行、クラブでの発砲という三件の事件が起こり、レネイたちは処理に追われる。古沢嘉通訳
(講談社文庫 各968円)[amazon]

佐々木喜善 『遠野奇談』
柳田国男に『遠野物語』を語り伝えた佐々木喜善が、自ら集め自ら綴った、遠野周辺の不思議な話。石井正己編。新装版。
(河出書房新社 1980円)[amazon]

野村胡堂 『銭形平次捕物控 傑作集4 八五郎大変篇
野村胡堂の不朽の名作 『銭形平次捕物控』。娘とみれば岡惚ればかり、いまだ独り身の八五郎が巻き込まれる事件の真相に明神下の平次親分が挑む! 昔も今も何度読んでも面白い、名作シリーズのテーマ別傑作集第4弾。
(双葉文庫 726円)[amazon]

ロマン・ガリ 『凧』
戦後フランスを代表する作家ロマン・ガリが自殺直前に遺した最後の長篇小説。凧揚げ名人を叔父にもつ少年リュドは、ポーランド人の令嬢リラに恋をするが、対ナチス戦によって二人は引き裂かれる。リュドは凧が再び自由に空を舞う日を取り戻すためにレジスタンスへ身を投じるが……。永田千奈訳
(共和国 2970円)[amazon]

マーガレット・ミラー 『鉄の門』
16年前に死亡した親友の夫アンドルーと再婚したルシール。一見平穏な生活の裏で、アンドルーを溺愛する義妹や自分から距離を置く継子たちとの関係に息苦しさを感じていたが、ある日、奇妙な男が家を訪れ、ルシールに小箱を渡して立ち去った。その後、彼女は何も言い残さずに失踪を遂げる。心理ミステリの巧手ミラーの初期傑作が新訳で復活。宮脇裕子訳
(創元推理文庫 1144円)[amazon]

ヴァージニア・ウルフ 『幕間』
スターリンがムッソリーニが、ヒトラーが台頭しつつあった頃、イギリス内陸の貴族の館で上演される野外劇に集った人々──迫り来る戦争の気配と時代の気分を捉えた遺作の新訳。片山亜紀訳
(平凡社ライブラリー 1540円)[amazon]

ヴィクトール・ユゴー 『レ・ミゼラブル 第三部 マリユス
王党派貴族を祖父にもつ青年マリユス。社会主義に感化され恵まれた身分を捨てた彼は、公園で毎日出会う未知の少女コゼットに惹かれていく。運命の大転機となる出会い。(全5巻) 西永良成訳
(平凡社ライブラリー 1650円)[amazon]

内田百閒/小川洋子編 『小川洋子と読む 内田百閒アンソロジー』
汽車に揺られ、小鳥を愛し、土手をぼんやりと歩く……どこか遠くの現実とすぐそこの幻を行き来するような、百閒先生の作品を小川洋子が編む夢の一冊 。
(ちくま文庫 968円)[amazon]

《ミステリーズ!》 vol.99
ネヴァーランドと現実世界で、凄惨な事件を起こした犯人は誰か? 衝撃の結末で贈る、小林泰三 「ティンカー・ベル殺し」 最終回。西澤保彦、奥田亜希子の傑作読み切り。南雲マサキ、第9回創元SF短編賞優秀賞掲載ほか。
(東京創元社 1320円)[amazon]

岩波文庫 春のリクエスト復刊
岡本綺堂 『修善寺物語・正雪の二代目 他四篇』
フランク・ノリス 『死の谷(マクティーグ) 上・下』
ヴィリエ・ド・リラダン 『未来のイヴ 上・下』
アンドレ・ジイド 『法王庁の抜け穴』
フリードリヒ・シルレル 『オルレアンの少女』

全27点

山本幸正 『松本清張が「砂の器」を書くまで ベストセラーと新聞小説の一九五〇年代
〈早稲田大学エウプラクシス叢書〉
清張はいかにして国民的作家になったのか。1960年、讀賣新聞夕刊に「砂の器」連載開始。しかし、清張が超えなければならない壁は三つあった。一つは全国紙の朝刊を占めるベテラン作家たち。残る二つとは……。 かつて絶大な影響力を持った新聞小説と作家の深い関係に迫る。
(早稲田大学出版部 4400円)[amazon]

エリザベス・フェラーズ 『亀は死を招く』
〈論創海外ミステリ〉
戦争未亡人のシーリアは、夫との思い出の地、フランスのマレット村を訪れた。盛大なお祭りの最中、宿泊するホテルの客が殺害される事件が発生。亀の盗難、カフェのオーナーの失踪、密入国仲介組織の暗躍と不可思議な出来事が相次ぎ、シーリアも事件に巻き込まれていく。ノン・シリーズ長編第5作。稲見佳代子訳
(論創社 2750円)[amazon]

ドメニック・スタンズベリー 『白い悪魔』
私は二度結婚した。そして、夫は二人とも死んでしまった──。故郷アメリカを離れ、ローマで暮らす若手女優とその兄。彼らは名門出身の政治家と有名女優の夫妻に惹かれて近づくが……。ルネサンス期の戯曲をもとにエドガー賞受賞作家が描きだす傑作ノワール。真崎義博訳
(ハヤカワ・ミステリ 2090円)[amazon]

『SFが読みたい! 2020』 SFマガジン編集部編
年間ベストSF発表、ベスト1作家からのメッセージ、サブジャンル別ベスト、この一年のSF関連トピック、2020年の各出版社のSF書籍刊行予定、SF関連書籍&DVD目録などでおくる、恒例のガイドブック最新版。特別企画「2010年代ベストSF」も掲載。
(早川書房 946円)[amazon]

ジャニーン・カミンズ 『夕陽の道を北へゆけ』
アカプルコで書店を営むリディアの幸せな日々は、カルテルのボスの差し金で家族16人を殺され、崩壊した。彼女は、生き残った幼い息子ルカを連れ、メキシコを縦断してアメリカを目指すことを決意する──過酷な運命の中で、明日を信じて進み続ける人々を描く。宇佐川晶子訳
(早川書房 3410円)[amazon]

ヨルン・リーエル・ホルスト 『警部ヴィンスティング カタリーナ・コード』
ノルウェー南部の小都市、ラルヴィク警察のヴィスティング警部が、謎の失踪を遂げたカタリーナ・ハウゲンの行方を追い始めて24年がたっていた。ある日来訪したオスロの国家犯罪捜査局未解決事件班の捜査官スティレルは、カタリーナ事件の2年前に起きた別の誘拐事件の再捜査を始めていた。事件は殺人事件と見なされ、その最重要被疑者として名前が挙がったのがカタリーナの夫マッティン・ハウゲンだった……。中谷友紀子訳
(小学館文庫 1100円)[amazon]

レミギウシュ・ムルス 『あの日に消えたエヴァ』
十年前、プロポーズ直後に暴漢に襲われたエヴァとヴェルネル。目の前でレイプされたエヴァはそのまま失踪した。絶望の日々を送るヴェルネルは、偶然フェイスブックで見つけた彼女の写真を手がかりに捜索を始める……。ポーランドのベストセラー作家によるスリラー。佐々木申子訳
(小学館文庫 1100円)[amazon]

『ベスト・プレイズII 西洋古典戯曲13選西洋比較演劇研究会編
演劇を学ぶ学生と演劇愛好家の座右の書として版を重ねてきた 『新訂ベスト・プレイズ 西洋古典戯曲12選』 (2011) の続編。古代ギリシア悲劇 『アンティゴネ』 から現代イタリア演劇 『作者を探す六人の登場人物』 まで、演劇を学ぶ上で「基本中の基本」ともいうべき13作を選定。内容
(論創社 4620円)[amazon]

江坂遊選 『猫の扉 猫ショートショート傑作選
古今東西の猫にまつわる名作から選びぬいた珠玉の掌編30編+α。星新一、筒井康隆、小松左京、スレッサー、ブラウンといったショートショートの代表的作家から、ヘミングウェイら文豪の名作、有名童話、コミックまで。
(扶桑社文庫 990円)[amazon]

土方正志 『瓦礫から本を生む』
解散寸前、社員3人の出版社へ届いたのは、作家、書店、そして読者からの激励の声だった。3.11の絶望に立ち向かった感動の記録。
(河出文庫 1078円)[amazon]

二階堂奥歯 『八本脚の蝶』
25歳、自らの意志でこの世を去った女性編集者による約2年間の日記。誰よりも本を物語を言葉を愛した彼女の目に映る世界とは。文庫化。
(河出文庫 1320円)[amazon]

スティーヴン・キング 『ファインダーズ・キーパーズ 上・下
多額の現金と幻の原稿を拾った貧しい少年。それは出所したばかりの強盗の盗んだものだった。少年を守るため元刑事たちが立ち上がる。 白石朗訳
(文春文庫 各968円)[amazon]

二階堂卓也 『日本映画裏返史』
多羅尾坂内・ゴジラ・変身人間・大映怪奇映画・忍法映画・マイトガイ・乱歩映画・ゲイシャ映画……東映・東宝・松竹・日活・大映、映画5社の代表的作品を扱う本書は、同時代に「映画」を見続けてきた著者の面目躍如。小川徹的「裏目読み」ともいえるタクヤの「裏返」し的映画批評。目次
(彩流社 3300円)[amazon]

『平林初之輔・佐左木俊郎 ミステリー・レガシー山前譲編
江戸川乱歩が戦時統制下に筆を折っていたように、ミステリーは自由で民主的な社会でしか発展できない。探偵小説が一般に普及したのも大正デモクラシーの風潮と無縁ではなく、そんな新しい時代に書かれたプロレタリア文学運動の理論家・平林初之輔と、農民文学の旗手・佐左木俊郎のミステリーは、長い時を経ても決して色褪せることのない輝きを放っている。
(光文社文庫 946円)[amazon]

マルクス、エンゲルス 『共産党宣言』
マルクスとエンゲルスが共同執筆し、1848年の二月革命直前に発表。その後のプロレタリア運動の指針となった「世界を変えた文書」。共産主義の勝利と人間の解放が歴史の必然であると説く。各国版序文とそれに関する二人の手紙 (抜粋)付き。森田成也訳
(光文社古典新訳文庫 1144円)[amazon]

ジークムント・フロイト 『モーセと一神教』
ファシズムの脅威のなか書き上げられたフロイトの「遺著」。ユダヤ教の成立とキリスト教誕生の間に隠された謎を、「原父殺害」「潜伏期」「抑圧されたものの回帰」といった精神分析の理論を援用して解読する。中山元訳
(光文社古典新訳文庫 1166円)[amazon]

ジャック・ケッチャム 『オフシーズン』
メイン州の避暑地へニューヨークからやってきた六人の男女。全員が到着した晩に事件は勃発した。当地に住む“食人族"が六人に襲いかかったのだ。“食人族"対“都 会族"の凄惨な死闘が開始する。ケッチャムのデビュー作、待望の復刊。金子浩訳
(扶桑社文庫 990円)[amazon]

H・G・ウェルズ 『ポリー氏の人生』
〈エクス・リブリス・クラシックス〉
「SFの父」 ウェルズが自身の青少年時代を投影し、下層中産階級の苦悩をコミカルに描く。作家自ら、最愛の作品と認める自伝的長篇。本邦初訳。 高儀進訳
(白水社 3300円)[amazon]

ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー 『フライデー・ブラック』
現代に生きるアフリカ系アメリカ人につきまとう暴力と理不尽さを描いて鮮烈な印象を残す「フィンケルスティーン5」、大量消費社会のグロテスクな姿をホラー的感覚でブラックユーモアたっぷりに描いた表題作 「フライデー・ブラック」などの短編、全12編を収録。押野素子訳
(駒草出版 2420円)[amazon]



▼1月刊

スカイ・アレクサンダー 『妖精の教科書 神話と伝説と物語
妖精はいたずら好きで気まぐれで裏切りも得意、人を助けることもあれば死に誘うこともある。ルールに縛られない自由さと危うさは、太古から人を惹きつけてきた。世界各国に存在するさまざまな性質の妖精を紹介、妖精の目撃談も収録。白須清美訳
(原書房 2200円)[amazon]

生賴範義 『生賴範義画集 〈狼男達〉』
生賴範義と平井和正による迫力の画集企画第2弾。「ウルフガイ」シリーズを中心とした初版限定300部の特装本。
復刊ドットコム 27,500円)[amazon]

クリストファー・モーリー 『取り憑かれた本屋』
1918年冬、ブルックリンの奇妙な古本屋を舞台にした探偵小説&ラブストーリー。趣味の料理をこよなく愛する本マニアの書店主とその妻、ちょっと慌て者の広告屋の若者、美しい社長令嬢、勇敢で賢いテリア犬など、愛すべきキャラクターたちが国際犯罪に立ち向かう。アメリカの古典探偵小説(1919年刊)。龍居龍昌訳
(NextPublishing Authors Press/オンデマンド出版 2200円)[amazon]

ウージェーヌ・イヨネスコ 『ベスト・オブ・イヨネスコ 授業/犀 新装版
ベケットとともに不条理演劇の双璧をなすイヨネスコの、コミカルでグロテスクな名作集。表題作のほか、『禿の女歌手』『椅子』『アルマ即興』『歩行訓練』を収める。安藤信也・木村光一他訳
(白水社 3960円)[amazon]

キム・ヨンス 『夜は歌う』
〈韓国文学セレクション〉
現代韓国を代表する作家キム・ヨンスが、満州国が建国された1930年代の北間島を舞台に、愛と革命に引き裂かれ、国家・民族・イデオロギーに翻弄された若者たちの不条理な生と死を描いた長篇。橋本智保訳
(新泉社2530円)[amazon]

マティアス・ボーストレム 『〈ホームズ〉から〈シャーロック〉へ
 偶像を作り出した人々の物語
『緋色の研究』 (1886) からBBCドラマ 『シャーロック』 (2010~) にいたるまで、世界中の人々はホームズをいかに受容してきたか、130年に及ぶ歴史をシャーロッキアンが徹底研究。熱狂的シャーロッキアンとコナン・ドイル遺族の対立の歴史、各種関連団体の立ち上げ、映画・演劇・テレビ化作品などを多角的に論じ、著名シャーロッキアンの活動も網羅した一冊。 ないとうふみこ・中村久里子訳/平山雄一監訳
(作品社 6380円)[amazon]

柴田元幸 『ぼくは翻訳についてこう考えています 柴田元幸の意見100』
アメリカ文学者・翻訳家、柴田元幸の著作、インタビュー、対談、講演、ラジオ番組、東京大学での講義等から、翻訳にまつわる選り抜きの 「いい言葉」 を100個収めた語録集。 翻訳とはどういう行為か、ぼくの翻訳手法、翻訳を仕事にするとは、翻訳の教え方、村上春樹さんとのお仕事、若い人たちへのメッセージなど、計7章に分けて収載。
(アルク 1760円)[amazon]

シーグリッド・ヌーネス 『友だち』
誰よりも大切な男友だちを失った女性作家と、主を喪くした巨大な老犬。静かな看取りの時間の中で人生の意味を問う全米図書賞受賞作。村松潔訳
(新潮クレスト・ブックス 2200円)[amazon]

萬屋健司 『ヴィルヘルム・ハマスホイ 静寂の詩人
近年欧米や日本で回顧展が開かれ再評価の気運が高まるデンマークの画家ハマスホイ。静謐な、詩情溢れる画風が印象的な孤高の芸術世界を、二十年来の研究者が紹介する、日本初の本格的画集。
(東京美術 2530円)[amazon]

泉鏡花 『銀燭集』 澁澤龍彦編
〈澁澤龍彦 泉鏡花セレクション〉
澁澤龍彦生前に企画されながらも実現を見ずに終った幻の選集が、半世紀の歳月を経てついに刊行。 第2巻は「眉かくしの霊」「海神別荘」「黒百合、沼夫人」「髯題目」「幻往来」「蠅を憎む記」「龍潭譚」「玄武朱雀」「ささ蟹」「薬草取」の全11篇を収録。
(国書刊行会 9680円)[amazon]

アンナ・カヴァン 『草地は緑に輝いて』
破壊を糧に蔓延る、 無数の草の刃。氷の嵐、炎に縁取られた塔、雲の海に浮かぶ高楼都市(ハイシティ)――中期の短篇集 A Bright Green Field (1958)。安野玲訳
(文遊社 2750円)[amazon]

キャサリン・バーデキン 『鉤十字の夜』
西暦26XX 年。19XX 年の世界最終戦争で圧勝したナチス・ドイツが「神聖ドイツ帝国」を樹立して、「日本帝国」と世界の覇権を争う時代。女性は産む機械としてゲットーに収容されるなか、従属民族のアルフレッドは帝国開闢の真相を物語る禁書を手にした……。1937 年にイギリスで刊行され、ナチスのみならず、男性中心社会を痛烈に批判したフェミニスト・ディストピア小説。日吉信貴訳
(水声社 2750円)[honto]

アーシュラ・K・ル=グウィン 『暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて ル=グウィン・エッセイ集
美しい自然や動植物、文学、音楽から、軍服、罵り言葉、愛猫パードまで。「アメリカSFの女王」 が自らの人生経験をふまえて繊細かつ奔放に綴った2010年代のエッセイを集成。 谷垣暁美訳
(河出書房新社 2640円)[amazon]

『旅する黒澤明 槙田寿文ポスター・コレクションより国立映画アーカイブ監修
1951年、ヴェネチア国際映画祭の 『羅生門』 金獅子賞受賞以来、世界の映画界を席巻してきた《クロサワ》。監督デビュー作 『姿三四郎』 から遺作 『まあだだよ』 まで、欧米諸国からアジア各国など世界30か国のデザイナーや画家たちが制作した黒澤映画海外版ポスター82点をオールカラーで集大成。
(国書刊行会 2860円)[amazon]

『ヴィルへルム・ハマスホイ 沈黙の絵画
〈コロナ・ブックス〉
「北欧のフェルメール」 と呼ばれ、熱烈なファンをもつハマスホイ。謎めいた室内画を描き続けた画家の代表作を一挙掲載。佐藤直樹監修。
(平凡社 2200円)[amazon]

ケイト・フォックス 『さらに不思議なイングリッシュネス 英国人のふるまいのルール2
老若男女、あらゆる階級のイギリス人の行動と会話を人類学の参与観察の手法で観察・分析、隠れたふるまいのルールを導き出したベストセラー 『イングリッシュネス』 の後半である本書は、ルールがさまざまな場でどう発動されるかを徹底検証。「最も奇妙で最もわけのわからないイギリス人という部族」 の 〈らしさ〉 の決め手満載のイギリス文化・イギリス人論。北条文緒・香川由紀子訳
(みすず書房 3960円)[amazon]

マーク・トウェイン 『アダムとイヴの日記』
この世で最初の男女アダムとイヴが日記をつけていた! 男女の心情のすれ違いと、愛の本質を描いた永遠の名著。最後の一行は必読。大久保博訳
(河出文庫 858円)[amazon]

ピエール・アド 『イシスのヴェール 自然概念の歴史をめぐるエッセー』
〈叢書ウニベルシタス〉
「自然は隠れることを好む」。ヘラクレイトスの謎の箴言から、25世紀にわたる西洋世界の自然探究が始まる。慎しみ深く身を隠す女神の真の相貌をめぐって、古代哲学から中世の神秘主義、ルネサンス以降の機械論的世界観からゲーテ、ニーチェやハイデガー、そして現代科学にいたるまで人間の知が繰り広げてきた思索の営みの物語。フーコーの信頼厚かったフランスの古典学者アド、初の邦訳。小黒和子訳
(法政大学出版局 5500円)[amazon]

岩田準一 『彼の偶像 岩田準一作品集
『本朝男色考』 『男色文献書志』 の男色風俗研究家、江戸川乱歩の盟友、竹久夢二の弟子という様々な顔を持つ岩田準一の小説を中心に集めた作品集。
盛林堂ミステリアス文庫 2500円)

《ミステリマガジン》 3月号
特集=シャーロック・ホームズは何度でも蘇る
(早川書房 1320円)[amazon]

イ・ギホ 『誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ』
必死で 情けなくて まぬけな 愛すべき 「私たち」。親切も罪も恥も丸ごと抱えて生きていく「人間」を、やさしい共感をこめて描き出す。韓国文学の旗手による傑作短編集。斎藤真理子訳
(亜紀書房 1870円)[amazon]

アンドリュー・メイン 『生物学探偵セオ・クレイ 街の狩人』
街に潜んで殺人を繰り返す〝おもちゃ男〟の存在を察知したセオは、その正体を追うことに。生物学探偵の暴走気味の大活躍を見よ。唐木田みゆき訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 1034円)[amazon]

陳楸帆 『荒潮』
電子ゴミまみれの中国南東部の島、シリコン島。ゴミから資源を探し出す "ゴミ人" の米米の運命は、環境調査のため島に上陸したブランドルと開宗、そして島を仕切る御三家を巻きこんで大きく狂っていく。『三体』 劉慈欣激賞、中国SFの超新星が放つデビュー作。中原尚哉訳
(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 1980円)[amazon]

ジョージ・R・R・マーティン 『七王国の騎士』
ターガリエン家が〈鉄の玉座〉に座る時代、数奇な運命を背負う騎士ダンクと従者エッグの冒険を描く〈氷と炎の歌〉シリーズ短篇集。酒井昭伸訳
(ハヤカワ文庫SF 1760円)[amazon]

スティーブン・R・バウン 『青狐の島 世界の果てをめざした挑んだベーリングと史上最大の科学探検隊
ベーリングとカムチャッカ探検隊によるシベリアへの陸路開拓、苦難する三千人の一行、アメリカ北岸への航海、壊血病……約十年間の生死を賭けた果敢な戦いを描く。世界の果てをめざした男たちの物語。小林政子訳。内容
(国書刊行会 3520円)[amazon]

入江哲朗 『火星の旅人 パーシヴァル・ローエルと世紀転換期アメリカ思想史
ハーヴァード大学の興隆に寄与した名門ローエル家に生まれたパーシヴァル。詩文をよくし、科学的知性を携えた青年は19世紀末アメリカの知識階級の伝統と逸脱に揺れ動きながら、日本へ渡る。ラフカディオ・ハーンにも読まれたジャパノロジストの足跡と、ラヴクラフトのクトゥルー神話に接続する“観測"という想像力を追う、新たなるアメリカ思想史。
(青土社 3520円)[amazon]

テーオドール・シュトルム 『従弟クリスティアンの家で 他五篇
〈ルリユール叢書〉
地上の暗さと夜空の暗い深淵との間には、解きがたい謎をはらんで微睡んでいる人間の生が横たわっていた。抒情から叙事へ――詩的写実主義の作家シュトルムの転換期を代表する人間個人の心理に肉迫する表題作ほか、「三色すみれ」「人形つかいのポーレ」「森のかたすみ」「静かな音楽家」「荒野の村」五つの短篇小説を収録。岡本雅克訳
(幻戯書房 4290円)[amazon]

矢部潤子 『本を売る技術』
本屋の仕事にはすべて道理がある。書店員の多岐にわたる仕事が、取引や流通のことから、売場作り、平積みの仕方、平台の考え方、掃除やPOPの付け方にいたるまで、具体的・論理的に語られる。本を売る人はもちろん、買う人が読んでも面白い、ますます本屋が好きになる書店員の知恵と工夫。
(本の雑誌社 1760円)[amazon]

フレデリック・フォーサイス 『キル・リスト 上・下
ホワイトハウス内に存在する極秘の〈暗殺リスト〉に、ネットでテロを扇動する狂信的イスラム主義者〈説教師〉が新たに加えられた。各国諜報機関や秘密組織、そして天才ハッカーを巻き込み、圧倒的リアリティで描く、戦慄の国際謀略サスペンス。黒原敏行訳
(角川文庫 各946円)[amazon]

ナターリヤ・ソコローワ 『旅に出る時ほほえみを』
《人間》が怪獣をつくりだした。合金の骨格に緑色の人工血液、生肉を動力源とする鉄製の怪獣17Pは、前肢の鑿岩機で地中を進み、また拙いながら人間のことばも話した。怪獣を創造した科学者、《人間》は自ら怪獣に乗りこみ、地下潜行試験を繰り返していた。一方、市内で発生したストライキを鎮圧した国家総統は独裁体制を推し進めていく。「旅に出る時ほほえみを・・・」 金属製の怪獣の歌う声が心に響く、現代のおとぎ話。草鹿外吉訳
(白水Uブックス 1980円)[amazon]

木原善彦 『アイロニーはなぜ伝わるのか?』
「言いたいことの逆を言う」 アイロニーがどうして相手に伝わるのかという問題を考え、加えて現実を相対化するための、知的な 「武器としてのアイロニー」 の可能性も示す。
(光文社新書 858円)[amazon]

ロドリゲス・デ・モンタルボ 『エスプランディアンの武勲 続 アマディス・デ・ガウラ
コンスタンチノープル防衛のための異教徒トルコ軍との戦い――天下無敵の父アマディス・デ・ガウラの子 「コンスタンチノープル皇帝エスプランディアン」 の波瀾万丈の世界を描く古典的名書。スペイン版「騎士道物語」 『アマディス・デ・ガウラ』 の続編。岩根圀和訳
(彩流社 5500円)[amazon]

レイフ・G・W・ペーション 『見習い警官殺し 上・下
被害者の名はリンダ、警察大学の学生。強姦されたうえ絞殺されていた。県警は国家犯罪捜査局の特別殺人捜査班に応援を要請する。それに応じて派遣されたベックストレーム警部率いる捜査チームは早速捜査を開始する。英国ペトローナ賞受賞。『許されざる者』 著者の最新シリーズ。
(創元推理文庫 各1144円)[amazon]

泡坂妻夫 『奇術探偵 曾我佳城全集 上・下
若くして引退した、美貌の奇術師・曾我佳城は、不可思議な事件に遭遇する度に、奇術の種明かしのごとく、鮮やかに謎を解く名探偵でもあった。殺人事件の被害者が死の間際、天井に貼りつけたトランプの意味を解き明かす 「天井のとらんぷ」。弾丸受け止め術で本物の銃が使用された事件の謎を追う 「消える銃弾」。”足跡のない殺人”の謎を解く 「ミダス王の奇跡」。佳城の夢であった奇術博物館〈佳城苑〉にて悲劇が起こる、最終話 「魔術城落成」 など、珠玉の名編を集成。
(創元推理文庫 1210円/1320円)[amazon]

マーセル・セロー 『極北』
極限の孤絶状態に陥り、 酷寒の迷宮に足を踏み入れた私の行く手に待ち受けるものは―― 最初の1ページを読み始めたら、決して後戻りはできない。予断を揺るがし、世界の行く末を見透かす、強靱なサバイバルの物語。この危機は、人類の未来図なのか。村上春樹訳
(中公文庫 946円)[amazon]

ペーター・ハントケ 『不安 ペナルティキックを受けるゴールキーパーの……』
かつてサッカーのゴールキーパーだったヨーゼフ・ブロッホは勤め先の工場を解雇され、町をうろつくなかで衝動的に殺人を犯す。しかし、日々は淡々と続いていく。不安におののく人間心理が魅惑的に描かれた、ペーター・ハントケ(2019年ノーベル文学賞受賞)の初期代表的小説。羽白幸雄訳。復刊
(三修社 1980円)[amazon]

原克 『騒音の文明史 ノイズ都市論
寺の鐘、拍子木、サイレン、ラジオ……。19世紀末~20世紀前半の東京を舞台に、さまざまなメディアに表出した庶民の織りなす音風景を、ヨーロッパ思想の援用を踏まえて博捜。騒音の歴史を通して日本の近代をあぶりだす。
(東洋書林 4180円)[amazon]

『ビジュアル版 日本の妖怪百科 普及版岩井宏實監修
鬼、天狗、コナキ爺、河童、化け猫、ザシキワラシ……古来描かれてきた妖怪画の数々とともに、伝承や古典文学に現れたもののけの世界を探る。2015年刊をソフトカバーにした新装・普及版。
(河出書房新社 2970円)[amazon]

佐藤卓己 『『キング』 の時代 国民大衆雑誌の公共性
日本で初めて発行部数100万部を達成し、雑誌の黄金時代を築いた大日本雄辯會講談社の伝説的雑誌 『キング』。同時代のメディア環境全体のなかでこの国民大衆誌の意味を捉え直し、戦時体制下において 「雑誌王」 野間清治と 「講談社文化」 とが果たした役割を解き明かしたメディア史研究の金字塔。
(岩波現代文庫 1936円)[amazon]

『ガラン版 千一夜物語 4』
王の命で買った賢く美しい女奴隷と宰相の息子の話、ペルシア王と海の王女との間に生まれた王子と海の王国サマンダルの王女との縁談をめぐる話、ダマスの商人の息子がカリフお気にいりの貴婦人を助ける話、バスラの王子が父王の死後,夢に見た老人の導きでジンの王に会い様々な冒険をする話など、不思議な物語の数々が語られる。西尾哲夫訳
(岩波書店 3850円)[amazon]

『中島河太郎著作集 上』
江戸川乱歩の薫陶を受けた推理小説研究の第一人者が書誌学者としての腕前を存分に揮った『日本推理小説辞典』と『海外推理作家事典』を一冊に合本。推理小説研究の基礎文献、待望の復刊。文学、書誌学、民俗学に精通した碩学の集大成、第1巻。中嶋淑人編
(論創社 6600円)[amazon]

ジェシカ・バリー 『墜落 フリーフォール
ロッキー山脈で小型自家用飛行機が墜落、パイロットは即死し、同乗者のアリソンひとりが生き残った。彼女は機内にあった救急セットをバックパックに突っ込んで、急ぎ現場を離れた。山を越え平地を目指し、東へと移動するアリソン。彼女は何かから逃げていた。一方、アリソンの母マギィは搭乗者の生存は絶望的と告げられるが信じられず、独自に事故の調査を始める……。法村里絵訳
(集英社文庫 1320円)[amazon]

有栖川有栖(文)・市川友章(絵) 『おろしてください』
〈怪談えほん〉
裏山を探検していた「ぼく」は、道に迷って歩きまわるうちに、小さな駅を見つけた。そこへやってきた列車に乗り込んだ「ぼく」の目に飛びこんで来たものは……。有栖川有栖と市川友章が描く、悪夢の列車がはしり出す。編集=東雅夫
(岩崎書店 1650円)[amazon]

高遠弘美 『物語 パリの歴史』
どの街角を歩いても歴史に出会う街、パリ。その尽きせぬ魅力を物語風に活写する。第1部はパリの誕生から現在まで、2000年以上にわたるその歴史を30の章に分けて紹介。第2部は、パリの様々な横顔を連想風につづる。旅行ガイドにもおすすめ。
(講談社現代新書 1100円)[amazon]

オウィディウス 『ヘーローイデス ギリシア神話の女性たち
書名の 「ヘーローイデス」 はヒロインのこと、所謂 『名婦の書簡』。ギリシア神話に登場する女性が良人や恋人に宛てた手紙21歌。それぞれの神話の結末を暗示する内容。高橋宏幸訳
(平凡社ライブラリー 1870円)[amazon]

ヴィクトール・ユゴー 『レ・ミゼラブル 第二部 コゼット
フランス・ロマン主義文学に燦然と輝く金字塔の新訳決定版全5冊。脱獄後、本巻ではいよいよジャン・ヴァルジャンがコゼットを救い出す。西永良成訳
(平凡社ライブラリー 1650円)[amazon]

ディーノ・ブッツァーティ 『怪物』
謎のメッセージを残し、地球の周りを回りつづける人工衛星の乗組員が見たものとは?…… 「一九五八年三月二十四日」、古代エジプト遺跡の発掘現場で起きた奇跡と災厄を描く 「ホルム・エル=ハガルを訪れた王」、屋根裏部屋でこの世のものとは思われない生き物に遭遇した家政婦兼家庭教師の娘が不安と疑念にからめとられてゆく 「怪物」 など、全18篇。幻想と寓意とアイロニーが織り成す未邦訳短篇集第三弾。長野徹訳
(東宣出版 2420円)[amazon]

フレドリック・ブラウン 『フレドリック・ブラウンSF短編全集2 すべての善きベムが
奇抜な着想、軽妙なプロットで、短編を書かせては随一の名手フレドリック・ブラウン。その多岐にわたる活躍の中から、SF全短編を年代順に収めた全4巻の決定版全集。第2巻には 「闘技場」 「ノック」 などSF黄金期の傑作15編を収録。安原和見訳
(東京創元社 3850円)[amazon]
アンドレアス・フェーア 『突破口 弁護士アイゼンベルク
凄腕の女性弁護士アイゼンベルクは、映画プロデューサーのユーディットから弁護を依頼される。ログハウスに爆弾を仕掛け、滞在していた恋人を遠隔操作で爆殺した容疑で逮捕されたというのだ。ユーディットは無実を主張するが、自宅からは爆弾と起爆装置が発見される。鋭い洞察力と行動力を武器に奔走する敏腕弁護士の活躍を描く、一気読み必至のエンターテインメント。酒寄進一訳
(創元推理文庫 1540円)[amazon]

シャンナ・スウェンドソン 『魔法使いのウエディング・ベル (株)魔法製作所』
MSIに入社して以来、さまざまな任務を全うしてきたが、このミッションほど緊張したことはない。愛するオーウェンとの結婚式のために、ウェディングドレスのセールで、お気に入りの一着を手に入れるのだ。ところが、会場で魔法を使ったいざこざが発生。大人気シリーズ、ついにフィナーレ。今泉敦子訳
(創元推理文庫 1210円)[amazon]

ローレンス・オズボーン 『ただの眠りを』
フィリップ・マーロウも72歳。探偵はとっくに引退、ホテルのテラスでマルガリータを飲み、カードを楽しむ日々を送っている。保険屋を名乗る怪しげな男たちの依頼で十年ぶりに仕事に復帰するが、なぜ今になって彼に仕事が……。新鋭が描く、1988年のマーロウ譚。田口俊樹訳
(ハヤカワ・ミステリ 1870円)[amazon]

レイモンド・チャンドラー 『水底の女』
私立探偵フィリップ・マーロウは、香水会社の社長から行方知れずの妻の安否を確認してほしいと頼まれるが……。旧題 『湖中の女』。村上春樹訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 1188円)[amazon]

レオポルド・ルゴーネス 『アラバスターの壺/女王の瞳 ルゴーネス幻想短編集
エジプトの古代墳墓に仕組まれていた〈死の芳香〉。その香りを纏い、関わる男性たちが自死を遂げていく女性の正体は? 博物学的で多彩なモチーフを、人間の原初的な衝動が駆動していくような、近代アルゼンチンを代表する作家の幻想的作品集。大西亮訳
(光文社古典新訳文庫 1166円)[amazon]

レフ・トルストイ 『戦争と平和1』
19世紀初頭のナポレオン戦争の時代を舞台に、ロシア貴族の興亡からロシアの大地で生きる農民に至るまで、国難に立ち向かう人びとの姿を描いたトルストイの代表作。「あらゆる小説の中でもっとも偉大な作品」(モーム)と呼ばれる一大叙事詩。望月哲男訳
(光文社古典新訳文庫 1188円)[amazon]

メアリー・ビアード 『舌を抜かれる女たち』
メドゥーサ、ピロメラ、ヒラリー・クリントン、テリーザ・メイ……。歴史上長らく、女性たちは公の場で語ることを封じられ、発言力のある女性は忌み嫌われてきた。古代ギリシア・ローマ以来の文芸・美術をひも解くと、見えてくるのは現代社会と地続きにあるミソジニーのルーツ。軽やかなウィットとともに西洋古典と現代を縦横無尽に行き来しながら、女性の声を奪い続けている伝統の輪郭をあぶり出す。宮﨑真紀訳
(晶文社 1760円)[amazon]

『ワールドブックデザイン』
世界中から厳選した優れた装丁、造本、製本100事例。全世界からこだわりぬいた装幀、製本、造本のブックデザインを集めたリファレンス集。詳細スペックや図解とともに、各デザイナーのコンセプトや狙いをあますところなく公開。小林功二 監修/石田亜矢子訳
(グラフィック社 4290円)[amazon]

南條竹則 『ゴーストリイ・フォークロア 17世紀~20世紀初頭の英国怪異譚
英国怪談の第一人者であり、古典に精通する著者が、英国・アイルランドの奇妙な物語を厳選して紹介。人の死を予言する屍蝋燭や音声妖怪、黒い犬の話、海の妖精。衒学的な怖さとユーモアに満ちた奇想天外な随筆集。
(KADOKAWA 3080円)[amazon]

スタニスワフ・レム 『完全な真空』

『新しい宇宙創造説』、『ロビンソン物語』、『誤謬としての文化』など、<存在しない書物>をユーモラスに読み解く究極の書評集。沼野充義他訳
(河出文庫 1375円)[amazon]

ジェイムズ・ヒルトン 『失われた地平線 新装版
行方不明の飛行機は、不老不死の人々が住む最後の楽園、シャングリラに不時着した。冒険小説の世界的代表作が新装復刊。
(河出文庫 935円)[amazon]

志村有弘編 『諸国山峡奇談』
古代から近代まで、諸国の山野に伝わる怪異譚、不思議な話、奇妙な話を多数蒐集し、現代語訳でお届けする。僧や、旅人、木こり、山人など、登場人物も多彩。知られざる話も多数収録。
(河出文庫 836円)[amazon]