注目の新刊 発売中


スティーヴン・ハンター 『ベイジルの戦争』
ナチス占領下のパリで幻の写本を追う英国人エージェント、ベイジルの活躍。虚々実々の諜報戦。敵中突破の秘策とは? 巨匠ハンターが描く傑作エスピオナージュ。公手成幸訳
(扶桑社ミステリー 1155円)[amazon]


▼7月刊

オーランドー・ファイジズ 『ナターシャの踊り ロシア文化史 上・下
『戦争と平和』 の貴族令嬢ナターシャは、なぜ農民の踊りを踊れてしまうのか――「ロシア」 を支えるその壮大な文化史をひもとく。数々の政治的大転換にもかかわらず、脈々と受け継がれる 「ロシア」。その 「ロシア」 という神話が生んだ、あまりに豊穣な文化の歴史絵巻。鳥山祐介・巽由樹子・中野幸訳
(白水社 5280円/5500円)[amazon]

サイモン・セバーグ・モンテフィオーリ 『ロマノフ朝史 1613-1918 上
愛憎相半ばする一族、戦争と革命、陰謀と謀反、弾圧と殺害、性愛と嗜虐……王朝の絢爛たる歴史絵巻と血にまみれた秘史を語りつくす。染谷徹訳
(白水社 7480円)[amazon]

ブライアン・インズ 『世界の幽霊出現録』
嘘か真か。紀元前から現代まで、各地に残る幽霊の目撃情報。新聞や手紙、報告書など残された資料をもとに、経緯から結果までを詳細に解説。そのときの状況を描いたイラスト、現場や当事者の写真などビジュアルも豊富に掲載。全65話。大島聡子訳 目次
(日経ナショナルジオグラフィック社 2420円)[amazon]

『妖精が現れる! コティングリー事件から現代の妖精物語へ
〈ナイトランド・クォータリー増刊〉
コティングリー妖精事件の新旧の研究史を出発点としながら、より広範な問題に対し、幻想文学の立場から向き合う。井村君江らの紀行文、エドワード・L・ガードナーの文書などコティングリー関連の記事や、妖精に関する評論・エッセイをはじめ、タニス・リー、パトリシア・A・マキリップ、ジェフリー・フォード、マンリー・W・ウェルマン、高原英理らの妖精小説も収録。
(アトリエサード 1980円)[amazon]

ショウン・バイセル 『ブックセラーズ・ダイアリー スコットランド最大の古書店の一年
変わり者の店主が、それ以上に変人ぞろいの店員や客とともに、ネット書店時代の荒波に立ち向かう、人間模様と奮闘の記録。矢倉尚子訳
(白水社 3300円)[amazon]

ミア・カンキマキ 『清少納言を求めて、フィンランドから京都へ』
セイ、あなたと私は驚くほど似ている――。仕事にも人生にもうんざりしたアラフォーシングルのフィンランド人 「私」 は、長期休暇制度を使って日本へ旅立つ。目的は 「清少納言を研究する」 ため――。遠い平安朝に生きた憧れの女性 「セイ」 を追いかけて、ヘルシンキから京都、ロンドン、プーケットを旅する長編エッセイ。末延弘子訳
(草思社 2200円)[amazon]

横溝正史 『横溝正史少年小説コレクション2 迷宮の扉』
横溝正史の少年探偵物語を全7冊に集成。第2巻は、シャム双生児の兄弟をめぐる一族の愛憎劇と遺産相続争いが引き起こす連続殺人を描く表題作、ダイヤの入った黄金の小箱を狙う仮面の怪人に金田一耕助が立ち向かう 『仮面城』、怪老人の予告通りに起きる児童連続消失事件に少年探偵たちが挑む 『金色の魔術師』 の長篇3作に、短篇 「灯台島の怪」 「黄金の花びら」 を収録。日下三蔵編
(柏書房 3080円)[amazon] [honto]

小松和彦編 『禍いの大衆文化 天災・疫病・怪異
古代から現代に至るまで、大衆もまた作者だった。地震、火事、疫病など様々な集団的経験を経て、恐怖や悲しみを乗り越えるために、人々が創り出したものは何だったのか。災厄と救いの想像力をヒントに、民衆の心性に迫る。『日本大衆文化史』に続く、大衆文化研究プロジェクトの第2弾。
(KADOKAWA 2750円)[amazon]

湯本豪一 『YOKAI 妖怪』
日本ではじめての妖怪専門のミュージアム、湯本豪一記念日本妖怪博物館<三次もののけミュージアム>のコレクション60点超を、圧巻のボリュームとディテールで紹介。
(パイインターナショナル 7150円)[amazon]

ペーター・テリン 『身内のよんどころない事情により』
〈新潮クレスト・ブックス〉
会合をドタキャンするための小さな噓が、作家の人生を激しく狂わせていく。ベルギー発のミステリアスな実験小説。AKO文学賞受賞。長山さき訳
(新潮社 2255円)[amazon]

アガサ・クリスティ 『パーカー・パインの事件簿 新訳版
「あなたは幸せですか? 幸福でないかたはパーカー・パインにご相談ください」 奇妙な新聞広告を見てオフィスを訪れる、夫の浮気を疑う妻や、退屈した退役軍人などの悩みを、パーカー・パインはいっぷう変わった方法で次々解決する。異色の経歴の名探偵が活躍する作品14編を収めた短編集、新訳決定版。山田順子訳
(創元推理文庫 990円)[amazon]

山沢晴雄 『死の黙劇 山沢晴雄セレクション
月のない夜、一台のタクシーが崖下に転落した。運転手は一命を取り留めたが、乗客の男は即死する。死者は顔いちめんに包帯を巻きつけていたものの、その下にはなぜか傷ひとつなかった――奇怪な謎が読者を魅了する表題作ほか、鮎川哲也も畏敬した本格推理作家、山沢晴雄の傑作選。戸田和光編
(創元推理文庫 1034円)[amazon]

マーク・キャメロン 『密約の核弾頭 上・下
イラン全土に現体制批判運動が広がるなか、ロシアとイラン、そして表向きは反体制派の指導者とされているカゼムが裏で手を結び、驚くべき陰謀を企てていた。ロシアの核ミサイル2基を反体制派に渡しアメリカ軍基地に撃ち込ませるというものだったが、はたして真の狙いは? 驚天動地の策謀にジャック・ライアン大統領はどう対処するのか⁉ 田村源二訳
(新潮文庫 880円/935円)[amazon]

若林踏 『新世代ミステリ作家探訪』
気鋭の書評家が話題の作家10人の本音に迫る野心的対談集。収録作家は円居挽、青崎有吾、逸木裕、斜線堂有紀、呉勝浩、澤村伊智、阿津川辰海、矢樹純、方丈貴恵、太田紫織。
(光文社 2750円)[amazon]

ヴィリエ・ド・リラダン 『残酷物語』
〈ヴィリエ・ド・リラダン・コレクション〉
亡き妻の復活を神秘的に描き出す傑作 「ヴェラ」 をはじめ、死刑愛好者を描いた 「最後の宴の会食者」、ブルジョワ社会を痛烈に皮肉る疑似科学小説 「天空の広告掲示」 「栄光製造機」 など、ヴィリエの 〈反レアリスムの美学〉 が結晶化した傑作短編集。詳註を付した新訳。田上竜也訳。内容
(水声社 3850円)[honto]

J・G・バスケス 『廃墟の形』
〈フィクションのエル・ドラード〉
1948年、ボゴタの路上で暗殺された政治家ガイタンの死はコロンビアを深刻な危機に陥れた。2014年、博物館に展示されたガイタンのスーツを盗もうとした男が逮捕される。暗殺事件の背後にある 「真実」 を探求するこの男は、かつて作家バスケスに接近し、ある本を書くようしつこく迫っていた……。すべてに陰謀を嗅ぎつける謎の男を通してコロンビアの歴史に迫り、入念な調査を元に過去の闇をスリリングに描き出す。寺尾隆吉訳
(水声社 3850円)[honto]

ジェローム・K・ジェローム 『骸骨 ジェローム・K・ジェローム幻想奇譚
『ボートの三人男』 で有名な英国ユーモア作家のもう一つの顔。心和ませる幽霊小説、冷たく怖い怪奇小説、優しく美しい幻想小説、不思議な現代ファンタジイ、数千年の時を跨ぐケルト・ファンタジイ等々、多彩な味わいの奇譚17篇を収録。中野善夫訳
(国書刊行会 4180円)[amazon]

閻 連科 『心経』
五大宗教研修センターで学ぶ純真無垢な若い尼僧が、恋とお金に翻弄されながら世の真実を知る。老子や菩薩も登場する新しい宗教小説。飯塚容訳
(河出書房新社 3960円)[amazon]

皆川博子 『皆川博子随筆精華II 書物の森への招待
単行本や文庫に寄稿された解説およそ50篇を集成。小説の女王の愛する本を一望できる、随筆集にして至高のブックガイド。日下三蔵編
(河出書房新社 3080円)[amazon]

橘外男 『燃える地平線』
〈銀河叢書〉
日本文学史上稀有の国際的スケールと型破りのジャンル混淆的ロマン性によって、再評価されるべき作家・橘外男の、主な単著未収録作品を3つのテーマで編纂した、3冊連続刊行企画第一弾。直木賞受賞作 「ナリン殿下への回想」 の続編的内容の表題作はじめ、著者が最も得意とする 「創作実話」 の観点から、未収録作品を精選した秀作集。収録内容
(幻戯書房 3850円)[amazon]

ピエール・ルヴェルディ 『魂の不滅なる白い砂漠 詩と詩論
〈ルリユール叢書〉
シュルレアリスムの先駆的存在と知らしめた〈イマージュ〉から孤高の存在へと歩を進めた詩人ルヴェルディ――初期から晩年に至る30篇の「詩」、本邦初訳「詩と呼ばれるこの情動」他「詩論」4篇、E・グリッサンのルヴェルディ論を付したルヴェルディ詩学の核心に迫る精選作品集。平林通洋・山口孝行訳
(幻戯書房 3520円)[amazon]

グリム兄弟 『夜ふけに読みたい植物たちのグリム童話』
「夜ふけに読みたいおとぎ話」 シリーズのグリム童話続編。アーサー・ラッカムの美しい挿絵とともに、植物たちのおとぎ話を収録。井口富美子監訳/吉澤康子・和爾桃子編訳
(平凡社 2420円)[amazon]

大河内常平 『人造人魚 他九篇』
風俗的な小説やヤクザものを得意とした小説家・大河内常平の単行本未収録となっている変格探偵小説寄りの扇情的な作品を集めた一冊。善渡爾宗衛編
盛林堂ミステリアス文庫 2500円)

《ミステリマガジン》 9月号
特集=躍進する華文ミステリ/ハヤカワ文庫JA総解説ミステリ篇PART 1
(早川書房 1320円)[amazon]

ブライアン・W・コリンズ 『365日、1日1本毎日ホラー映画』
1日1本、毎日ホラー映画を観よう。月ごとにテーマを設け、伝統的なベストホラー映画以外からセレクトされた365+1本を掲載。入間眞・有澤真庭訳
(竹書房 3740円)[amazon]

エリー・グリフィス 『見知らぬ人』
イギリスの中等学校タルガース校の旧館は、かつてヴィクトリア時代の作家ホランドの邸宅だった。クレアは同校の教師をしながら、ホランドの研究をしている。ある日、クレアの同僚が自宅で殺害された。遺体のそばには“地獄はからだ”と書かれたメモが残されていたが、それはホランドの怪奇短編 「見知らぬ人」 に繰り返し出てくるフレーズだった……。作中作が事件を解く鍵となるMWA賞受賞作。上條ひろみ訳
(創元推理文庫 1210円)[amazon]

都筑道夫 『日本ハードボイルド全集6 酔いどれ探偵/二日酔い広場』
おれか? おれはなにもかも失って、おちぶれはてた私立探偵だ。失うことの出来るものは、もうただひとつしか、残っていない。もうただひとつ、命しか――贋作から出発した連作 『酔いどれ探偵』 と、元刑事の私立探偵、久米五郎を主人公に東京の片隅で起こる事件を描く 『二日酔い広場』。都筑道夫を代表するハードボイルド2作を合本で贈る。北上次郎・日下三蔵・杉江松恋編
(創元推理文庫 1650円)[amazon]

J・J・アダムズ編 『不死身の戦艦 銀河連邦SF傑作選
広大無比の銀河に版図を広げた星間国家というコンセプトは、無数のSF作家の想像力をかき立ててきた。オースン・スコット・カード、ロイス・マクマスター・ビジョルド、G・R・R・マーティン、アン・マキャフリー、ロバート・J・ソウヤー、アレステア・レナルズ、アレン・スティール……豪華執筆陣によ傑作選。佐田千織他訳
(創元SF文庫 1496円)[amazon]

ジョージ・W・M・レノルズ 『人狼ヴァグナー』
1516年、ドイツの〈黒き森〉。嵐が吹きすさぶ夜、老境にあるヴァグナーは見知らぬ人物の訪問を受け、奇怪な契約を交わす。それは、若さと美貌、富と不死の命の代価として狼に変身する運命を背負うというものであった。交錯する愛憎と怨恨、野望と戦乱、フィレンツェ、コンスタンチノープル、ロードス島、さらには地中海の孤島を舞台に繰り広げられる、ゴシック・ロマンスの後裔ともいうべき波瀾万丈の物語。夏来健次訳 内容
(国書刊行会 5280円)[amazon]

杉村顕道 『杉村顕道短編集 伊達政宗の手紙』
怪談集 『彩雨亭鬼談』 復刊で再評価が進む作家、杉村顕道の探偵小説、時代小説、ユーモア小説など13篇を発掘・収録した作品集。
荒蝦夷 3300円)[honto] [盛林堂]

レジス・メサック 『「探偵小説」 の考古学 セレンディップの三人の王子たちからシャーロック・ホームズまで
古代に始まる膨大な文献を博捜して描かれる 「探偵小説」 の成り立ちの歴史。古典古代からロマン派、ゴシック小説、バルザック、ポー、ガボリオ、ホームズとニック・カーターまで。江戸川乱歩が熱いまなざしを注ぎ、ベンヤミンが激しい関心を向け 『パサージュ論』 で引用を繰り返した伝説的大著。石橋正孝監訳。目次
(国書刊行会 9680円)[amazon]

ジャン・レー/ジョン・フランダース 『マルペルチュイ ジャン・レー/ジョン・フランダース怪奇幻想作品集
「ベルギー幻想派の最高峰」 決定版作品集。 現代ゴシック・ファンタジーの傑作 『マルペルチュイ』+本邦初紹介、枠物語的怪奇譚集 『恐怖の輪』 &J・フランダース名義の幻想SF小説集 『四次元』 を収録。飽くなき生への歓喜と病的でグロテスクな想像力を混淆させ、幻怪で濃密な文体によって独自の世界を創造した、作者絶頂期の精華を集大成。岩本和子・井内千紗・白田由樹・原野葉子・松原冬二 訳 内容
(国書刊行会 5060円)[amazon]

イーディス・パールマン 『幸いなるハリー』
老い、病、性のきらめき、言えなかった秘密、後戻りのできない人生の選択。「世界最高の短篇作家」による珠玉の10作品。古屋美登里訳
(亜紀書房 2420円)[amazon]

アルフォンス・ドーデー 『風車小屋だより』
故郷プロヴァンスを舞台にした「スガンさんの山羊」「星」など24の掌篇から成るドーデーの出世作。中でも、のちに戯曲化された「アルルの女」は名高い。南フランス独特の自然と風物、洗練されたユーモアと詩情。悲喜こもごもの人生模様に向けられた作者の眼差しは、どこまでも繊細で優しい。桜田佐訳
(岩波文庫 858円)[amazon]

セーアン・スヴァイストロプ 『チェスナットマン』
コペンハーゲンで若い母親を狙った連続殺人事件が発生。一人目の被害者は右手を、二人目の被害者は両手を生きたまま切断され、現場には栗で作った人形 “チェスナットマン” が置かれていた……。話題のデンマーク・ミステリ。高橋恭美子訳
(ハーパーBOOKS 1430円)[amazon]

常光徹 『日本俗信辞典 衣裳編』
「夜オムツを干すと子が夜泣きする」 「小石を帯にはさむと便意が止まる」 衣類を中心に裁縫道具・化粧道具・装身具・はき物・かぶり物・寝具に関する俗信を集める。「動物編」 「植物編」 につづく第三弾。
(角川ソフィア文庫 1144円)[amazon]

松岡正剛 『千夜千冊エディション 資本主義問題』

貨幣、帳簿、市場……資本主義の基幹エンジンたる仕組みの歴史を紐解く。そしてケインズ、ハイエク、フリードマンの思想へ。ほころび始めたグローバル資本主義の未来を見据えながら、その本質に迫る。
(角川ソフィア文庫 1694円)[amazon]

鷲尾三郎 『Q夫人と猫』
鷲尾三郎傑作撰。第一巻は女たちの物語。Q夫人と猫が数奇な物語を紡ぎ出す表題作。地方色濃厚な 「銀の匙」、香山滋を彷彿させる怪獣もの 「サラマンダーの怒り」 など。善渡爾宗衛編
(東都 我刊我書房 5000円)
取扱=盛林堂

ジェニー・エルペンベック 『行く、行った、行ってしまった』
〈エクス・リブリス〉
引退した大学教授リヒャルトはドイツに辿り着いたアフリカ難民たちに関心を抱く。東ドイツ時代の記憶と現代の交錯を描き出す傑作長編。浅井晶子訳
(白水社 3630円)[amazon]

亀山郁夫 『ドストエフスキー 黒い言葉』
ドストエフスキー生誕から200年、激動の時代を生き、パンデミックも経験した作家が残した衝撃的な現代への提言。
(集英社新書 1122円)[amazon]

エイドリアン・チャイコフスキー 『時の子供たち 上・下
科学者たちは滅びゆく地球から生物を救うべく、惑星をテラフォーミングし猿を進化させようとするが、実験中のミスにより進化したのは猿ではなくハエトリグモだった。蜘蛛たちは巨大化し、社会を築きはじめる。進化実験から1800年後……。アーサー・C・クラーク賞を受賞した蜘蛛SF。内田昌之訳
(竹書房文庫 各990円)[amazon]

マイクル・コナリー 『鬼火 上・下
ハリー・ボッシュが新人刑事の頃、事件捜査のイロハを教えてくれた元刑事が亡くなり、葬儀に参列したボッシュは、未亡人から夫が残していた一冊の殺人事件調書を託される。そこに記された20年前の未解決事件を追い始めたボッシュだが……。古沢嘉通訳
(講談社文庫 各990円)[amazon]

都筑道夫 『なめくじに聞いてみろ 新装版
出羽の山から東京にやってきた桔梗信治。彼の父親は、殺人方法考案の天才であった。東京に10人以上いるという父親の弟子をさがし、信治は行動をおこす。弟子を皆殺しして、父親の発明した殺人方法を闇に葬るつもりだ。しかし、彼にとっては敵の居場所も武器もわからない。奇想天外なコミカル・ミステリの傑作。
(講談社文庫 1078円))[amazon]

ライリー・セイガー 『すべてのドアを鎖せ』
ニューヨークにある高級アパートメントの求人に飛びついたジュ ールズ。だが、その建物には悪夢の歴史が刻まれていた!? 戦慄のサスペンス。鈴木恵訳
(集英社文庫 1375円)[amazon]

紫 金陳 『悪童たち 上・下
完全犯罪の現場を目撃した子供たちは、殺人犯を強請ろうと画策するが……中国で大ヒットしたドラマ化原作。華文サスペンスの傑作。稲村文吾訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 各990円)[amazon]

スタン・パリッシュ 『強盗請負人』
動画が拡散された見事な宝石強盗。主犯アレックスは以後足を洗おうとするが、家族を誘拐されスペイン南岸で拉致計画に挑むことに……。上條ひろみ訳
(ハヤカワ文庫NV 1320円)[amazon]

メアリ・ロビネット・コワル 『火星へ 上・下
1961年、月面基地を建設した人類は、つぎは 初の火星有人探査を計画していた。女性宇宙 飛行士エルマはそのクルーに選ばれるが……。酒井昭伸訳
(ハヤカワ文庫SF 各1144円)[amazon]

マイリス・ベスリー 『ベケット氏の最期の時間』
パリにある引退者が暮らす施設「ティエル=タン」。静寂の中、記憶をたゆたいつつ人生の最期を待つ一人の老人がいた――ジェイムズ・ジョイスとの友情など実際のエピソードを交えながら、ノーベル賞作家サミュエル・ベケット最期の日々を精緻に描いた小説。堀切克洋訳
(早川書房 2860円)[amazon]

チゴズィエ・オビオマ 『小さきものたちのオーケストラ』
ナイジェリアの貧しい養鶏家の青年チノンソは、富裕層の女性と恋に落ちた。彼女と結婚するため全財産をなげうってキプロスに向かうが、そこで待ちうけていた運命とは――。チノンソの守り神は天界の法廷で神々に彼の人生を語りはじめる。ブッカー賞最終候補作。粟飯原文子訳
(早川書房 3850円)[amazon]

ウォルター・デ・ラ・メア 『ダン・アダン・デリー 妖精たちの輪舞曲
イギリスの児童文学・幻想文学の名手、ウォルター・デ・ラ・メアが、妖精、魔女、夢などをモチーフに幻想味豊かな詩を綴り、アメリカのイラストレーター、ドロシー・P・ラスロップが愛らしく想像力豊かな挿画を添えた、夢見る大人の絵本。井村君江訳。人形彫刻・戸田和子。
(アトリエサード 2200円)[amazon]

岡本綺堂 『修禅寺物語 新装増補版
修禅寺の面作り夜叉王は源頼家の命でその顔を写した面を打つが、そこには死相が現れていた……歌舞伎で有名な表題作 「修禅寺物語」、九尾の狐と陰陽師、怪僧らが入り乱れる平安伝奇長篇 「玉藻の前」 の2作品に、新たに 「番町皿屋敷」 を収録。
(光文社文庫 858円)[amazon]

ジークムント・フロイト 『フロイト、性と愛について語る』
対象選択という観点からの男性心理について、またエディプス・コンプレックスから読み解く幼児期の性愛と同性愛のメカニズムについて、さらには西洋の文化のあり方と性愛の関係までをテーマに、「性と愛について」の考察を進めたフロイト論文集。中山元訳
(光文社古典新訳文庫 1144円)[amazon]

岩波文庫一括重版
アイスキュロス 『アガメムノーン』
ヘーシオドス 『仕事と日』
『対訳 ジョン・ダン詩集 イギリス詩人選2』
『アイルランド短篇選』 橋本槇矩 編訳
ヘンリー・ジェイムズ 『ねじの回転 デイジー・ミラー』
ゲオルク・ビューヒナー 『ヴォイツェク ダントンの死 レンツ』
アレクサンドル・アファナーシエフ 『ロシア民話集 上・下』
ミハイル・ブルガーコフ 『悪魔物語・運命の卵』
パウサニアス 『ギリシア案内記 上・下』
吉田健一 『英国の文学』
『河鍋暁斎戯画集』
他、全27点

J・W・リンズラー 『メタモルフォシス リック・ベイカー全作品
ハリウッド映画の特殊メイクを手がけた伝説的メイクアップアーティスト、リック・ベイカーの超豪華決定版評伝・作品集。画期的な効果が光る 『狼男アメリカン』、マイケル・ジャクソンとゾンビを組み合わせた 『スリラー』、目新しいエイリアンがてんこ盛りの 『メン・イン・ブラック』など、50年間総110作品にわたる偉業をフルカラー2冊本に集成。計700ページ超、作品やスケッチ1800点以上を収録した豪華決定版。1000部限定。北川玲訳
(河出書房新社 42,900円)[amazon]

エドワード・ケアリー 『飢渇の人 エドワード・ケアリー短篇集
鬼才エドワード・ケアリーが本国で発表した単行本未収録の8編(『おちび』 のスピンオフ的作品含む)+『もっと厭な物語』(文春文庫)収録の1篇に書き下ろしの6篇を加えた、日本オリジナル短篇集。書き下ろしイラストも多数収録。ケアリーらしさがぎゅっと詰まった、ファン垂涎の一冊。古屋美登里訳
(東京創元社 2310円)[amazon]

ゾラ・ニール・ハーストン 『ヴードゥーの神々』
私たちの世界には生者と死者がいる。だが、ハイチには生者と死者がいて、それからゾンビがいるのだ――。20世紀前半の人類学者ハーストンはカリブ海域へフィールドワークの旅に出る。その成果たる本書は、習俗や秘儀等の民族誌的記述のみならず、ハイチの歴史や政治批評、調査体験談が縦横に挿入され、最後は音楽とダンスの始原についての短い神話で締めくくられる。学術調査と口承文学を往還する異色の民族誌。常田景子訳
(ちくま学芸文庫 1760円)[amazon]

都筑道夫 『哀愁新宿円舞曲 増補版
1950年代の新宿・青線地帯での男女の交わりを描いた人情話他、洗練された構成で読ませる探偵物など、幻の短編集に増補作品を加え文庫化。日下三蔵編
(ちくま文庫 1210円)[amazon]

『神秘のユニコーン事典 幻獣の伝説と物語ラスティカ エディションズ編
額に1本の角を持つ白馬。その姿は神秘的だが、実は獰猛で乙女に弱い。そんな知られざるユニコーンの秘密に迫る。謎多き生態や宗教的意味、若者に人気のポップカルチャーアイコンまで、ありとあらゆる角度から徹底解説。ダコスタ吉村花子訳
(グラフィック社 1980円)[amazon]

M・C・ビートン 『アガサ・レーズンと完璧すぎる主婦』
アガサの探偵事務所に舞いこんでくるのはぱっとしないペットの捜索依頼ばかりで、経営は早くも赤字寸前。そんなとき、羽振りのいい会社経営者から妻の浮気調査の依頼が入ってきた。ところがこの妻が一筋縄ではいかない人物で!? 羽田詩津子訳
(原書房/コージーブックス 1155円)[amazon]

ジェフリー・チョーサー 『カンタベリ物語 共同新訳
中世英文学に屹立する大詩人ジェフリー・チョーサー晩年の韻文物語集 『カンタベリ物語』 の最新邦訳版。中世英文学会の泰斗・池上忠弘の監修のもと、ベテラン・中堅・新進の研究者が参画し、各話の前に、概説・特色・出典等々を記した「解説」を付し、末尾には懇切な訳注を付した決定版。
(悠書館 7480円)[amazon]

『別冊映画秘宝 恐怖!幽霊のいる映画』
「怖い映画」の正統派は「幽霊が出る映画」だ! 洋画、邦画、時代、ジャンル問わず、観れば必ずゾッとする心霊映画のオールガイド。
(双葉社 1980円)[amazon]

ラグナル・ヨナソン 『閉じ込められた女』
真冬のアイスランド高原地帯、人里離れた農場を、猛吹雪のなか一人の男が訪れる。狩猟中に仲間とはぐれたと言うその男に農場主夫妻は疑念を抱くが……。その頃、レイキャヴィーク警察の女性警部フルダは、若い女性の失踪事件を追っていた。フルダ警部シリーズ完結編。吉田薫訳
(小学館文庫 1056円)[amazon]

アルネ・ダール 『狩られる者たち』
広大な雪原に建つ病院の中で男は目覚めた。医師から「サム」と呼びかけられた男は、記憶を失いながらも本能にかき立てられる如く、逃走を試みる――。スウェーデン発驚愕のスリラー、シリーズ第2弾。田口俊樹・矢島真理訳
(小学館文庫 1320円)[amazon]

《ISSUE 和田誠のたね》
雑誌「SWITCH」の前身にあたる「ISSUE」が35年の時を経て新創刊。第1弾は2019年に亡くなったイラストレーター、デザイナーの和田誠を特集。「週刊文春」のカバーイラストレーション、たばこ「ハイライト」のパッケージデザインの他、多くの書籍の装丁を手がけ、さらに映画制作や執筆など多彩に活躍した和田誠。本書では生前の証言を軸に、0歳〜18歳までの和田誠の作品群にフォーカスを当て、創作の原点に迫る。
(スイッチパブリッシング 1760円)[amazon]

マシュー・シャープ 『戦時の愛』
奇想天外にして摩訶不思議。現代アメリカの作家が紡ぐ 「超短篇(フラッシュ・フィクション)」 75篇。柴田元幸訳
(スイッチパブリッシング 2750円)[amazon]

キム・オンス 『キャビネット』
熾烈な現代社会を生きる人間の愚かさや滑稽さ、哀しさや愛おしさを、種の変化を予感させる特異な兆候をもつ人々“シントマー(symptomer)"を通してユーモラスかつスリリングに描き出す。韓国でいまもっとも注目されている人気作家による、奇想天外なオムニバス風長編小説。加来順子訳
(論創社 2750円)[amazon]

グレアム・ムーア 『評決の代償』
10年前に起きた大富豪の一人娘の誘拐殺人事件。その裁判の陪審員だった11人の男女が、ドキュメント番組収録のため、裁判のあいだ宿泊していたホテルに集められた。だが収録の前日、新たな証拠を見つけたと主張する陪審員の黒人男性が部屋で死体で発見される。吉野弘人訳
(ハヤカワ・ミステリ 2200円)[amazon]

H・G・ウェルズ原作/黒岩涙香訳述 『八十万年後の社会 タイム・マシン【大正翻案版】
時間を旅する 「航時機」 を発明した博士は、はるか八十万年後の世界へ飛びたつ。そこは、華奢で美しい 「人形人種」 と獰猛で危険な 「土蜘蛛人種」 が棲む、奇怪な社会であった――ウェルズの名作 『タイム・マシン』 を、原著刊行から20年を経ずして日本に紹介した黒岩涙香の 『八十万年後の社会』 (1913) を現代仮名遣いで復刊。高木直二編集。オンデマンド出版。
(扶桑社 1320円)[amazon]

アレクサンドル・ガリアン 『夜の爪痕』
パリ市内で全裸の女性の惨殺死体が発見された。捜査の結果、被害者は大学院生で、エスコートガールをしていたことがわかるが……。伊禮規与美訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 1188円)[amazon]

シモーヌ・ド・ボーヴォワール 『離れがたき二人』
20世紀初頭のパリ。少女シルヴィーは、厳格なブルジョワ家庭で育ちながらも自由を求めて反抗して生きる、ある少女と出会った。たがいに強く惹かれ合う二人の友愛は、永遠に続くはずだった――。1954年に執筆されるも、発表される事のなかった幻の小説を刊行。関口涼子訳
(早川書房 2750円)[amazon]


▼6月刊

横溝正史 『横溝正史少年小説コレクション1 怪獣男爵』
横溝正史の少年探偵物語を全7冊に集成。第1巻は、ゴリラの身体と天才科学者の頭脳を併せ持つ稀代の大犯罪者を小山田慎吾博士が迎え撃つ 『怪獣男爵』 に始まり、名探偵金田一耕助との死闘を描く 『大迷宮』 『黄金の指紋』 へと続く 〈怪獣男爵〉 三部作を一挙収録。後の改変を排したオリジナル版テキストによる編集。挿絵収録。内容。日下三蔵編
(柏書房 3080円)[amazon]

クリストファー・デ・ハメル 『中世の写本ができるまで』
中世写本の制作にまつわる実践的技法の数々を、著者の豊かな経験にもとづく解説と美しいカラー図版を対照しながら、楽しく理解する一冊。加藤磨珠枝監修/立石光子訳
(白水社 4950円)[amazon]

小野俊太郎 『映画が描くアメリカの 「病」 その根源と流れを探る
150年にわたる黒人差別を始めとしたアメリカが抱える多様な「病」の多くが、新型コロナウイルスに襲われたアメリカ社会で噴出した。そうした状況を過去のいくつもの映画を関連づけて論じることで、予見的な形で描き出された切除されない病巣を、鮮やかに描出する。目次
(松柏社 2420円)[amazon]

江戸川乱歩 『人間椅子 江戸川乱歩背徳幻想傑作集
快楽・犯罪・不貞──過去や秘密を打ち明ける登場人物たちの語り口に思わず耳を傾けてしまう作品群。目次 長山靖生編
(小鳥遊書房 2860円)[amazon]

ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクションⅠ 『ハテラス船長の航海と冒険』
北極征服に執念を燃やすジョン・ハテラスは最新鋭の蒸気船フォワード号を指揮し、目標遂行のためならいかなる犠牲も顧みない。氷山と満天のオーロラが織り成すスペクタクル、極寒の中の越冬、船員の叛乱、原初の楽園、生命に満ち溢れる凍らない海……。生き残ったわずかな者たちが最後に北極点で目にしたものとは……。初期傑作、待望の新訳。荒原邦博訳
(インスクリプト 6380円)[amazon]


C・J・ボックス 『越境者』
猟区管理官の職を辞したジョーは、知事の意向で現場に復帰していた。新たな任務として、大製薬会社の跡取りであるスコギンズ失踪事件の調査を始める。彼は暗殺業を営んでいると思しきテンプルトンの標的にされた可能性があった……。大人気冒険サスペンス、猟区管理官ジョー・ピケット・シリーズ最新作。野口百合子訳
(創元推理文庫 1430円)[amazon]

キジ・ジョンスン 『猫の街から世界を夢見る』
猫の街ウルタールの女子カレッジに大問題が起こった。学生のクラリーが “覚醒する世界” の男と駆け落ちしてしまったのだ。彼女の祖父である神が目覚めたら、街は灰燼に帰してしまう――カレッジの教授ヴェリットは、クラリーを連れ戻すための長い旅に出る。ラヴクラフトのクトゥルー神話に着想を得て描く、世界幻想文学大賞 中編部門受賞作。三角和代訳
(創元SF文庫 968円)[amazon]

ティラー・J・マッツェオ 『歴史の証人 ホテル・リッツ』
パリのホテル・リッツは、プルースト、ワイルドも出入りし、ヘミングウェイらロストジェネレーションの作家の待ち合わせの場になり、ナチ占領下にはゲーリングが拠点を置いた。ロバート・キャパが出入りし、ココ・シャネルが住み……歴史を見守ってきたこのホテル。歴史的興味も下世話な興味も満足させてくれる、恋のかけひきもナチとの闘いも、陰謀も裏切りもすべてが詰まったノンフィクション。羽田詩津子訳
(創元ライブラリ 1210円)[amazon]

余華 『兄弟』
父親を亡くした李光頭と母親を亡くした宋鋼が、片親同士の再婚によって義理の兄弟となったあと、それぞれの人生をどう歩んだかを描く物語。夢と現実、常識と非常識、正気と狂気、さらには生と死の境界を超越して人の世の不確実性を描き、その新しさと実験性で現代中国文学の 「先鋒派」 と呼ばれる余華の大長篇代表作。泉京鹿訳
(アストラハウス 3960円)[amazon]

伊藤典夫編訳 『海の鎖』
〈未来の文学〉
最後の危険なアンソロジーがついに登場! 〈異邦の宇宙船が舞い降りた……何かが起こる、 誰も逃げられない……少年トミーだけは気づいていた〉 破滅SFの傑作として名高い表題作のほか、 日本を代表するSF翻訳家:伊藤典夫が独自の審美眼で精選した全8篇。 〈未来の文学〉シリーズ完結。【収録内容】 アラン・E・ナース「偽態」/レイモンド・F・ジョーンズ「神々の贈り物」/ブライアン・オールディス「リトルボーイ再び」/フィリップ・ホセ・ファーマー「キング・コング堕ちてのち」/M・ジョン・ハリスン「地を統べるもの」/ジョン・モレッシイ「最後のジェリー・フェイギン・ショウ」/フレデリック・ポール「フェルミと冬」/ガードナー・R・ドゾワ「海の鎖」
(国書刊行会 2860円)[amazon]

P・G・ウッドハウス 『ボドキン家の強運』
〈ウッドハウス名作選〉
ユーモア小説の巨匠ウッドハウスの未知の傑作小説を紹介する新シリーズ。第1回は、百万長者の上に容姿端麗、気立てもバツグンだけど、ちょっとおまぬけな青年紳士ボドキン君が主人公。豪華客船を舞台に、ワニを飼うお騒がせの人気赤毛女優、問題の多い変人客室乗務員、へーゼル色の瞳の女子ホッケー選手等々、奇人と怪人たちが船上狭しと大活躍。本邦初訳。森村たまき訳
(国書刊行会 2420円)[amazon]

吉田広明 『映画監督 三隅研次
 密やかな革新
市川雷蔵の「眠狂四郎」、勝新太郎の「座頭市」、若山富三郎の「子連れ狼」を演出した大映時代劇の名匠・三隅研次。スタジオシステムに鍛えられた確かな演出力を持つ職人でありつつ、進取の気性に富んだ映画作家。その全体像を初めて明らかにする、画期的書き下ろし長編評論。詳細なフィルモグラフィー付。
(作品社 3960円)[amazon]

ウィリアム・フォークナー 『土にまみれた旗』
20世紀最大の物語「ヨクナパトーファ・サーガ」の第一作目となり、生前〈完全版〉として世に出ることのなかった幻の傑作が初邦訳。諏訪部浩一訳
(河出書房新社 5390円)[amazon]

斎藤美奈子 『挑発する少女小説』

赤毛のアン、若草物語、小公女……大人になって読む少女小説は新たな発見に満ちている。あの名作にはいったい何が書かれていたか?
(河出新書 946円)[amazon]

シュテファン・ツヴァイク 『過去への旅 チェス奇譚』
〈ルリユール叢書〉
無情な現実に引き裂かれる男女の合間をドラマティックに物語る、本邦初訳の未完小説 『過去への旅』。作者の生涯最後の日々に完成した、チェスをめぐる孤独と狂気の心理を克明に描く 『チェス奇譚』。ツヴァイクの生涯を貫く〈内的自由〉の思想を映した二つの傑作中編。杉山有紀子=訳
(幻戯書房 2640円)[amazon]

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 『アレクシエーヴィチとの対話 「小さき人々」の声を求めて
私は耳の作家、魂の歴史家です──。ジャーナリストとして初めてノーベル文学賞を受賞した作家の創作の道のりと極意を、NHK同行取材記録のほか、充実した講演・対談・評論によって明らかにする。「ドキュメンタリー文学」の手法とは何か。『戦争は女の顔をしていない』や『チェルノブイリの祈り』はいかに書かれたか。鎌倉英也・徐京植・沼野恭子訳
(岩波書店 3190円)[amazon]

桑原茂夫 『図説 不思議の国のアリス』
ヴィクトリア朝の魅力的な文化がワンダーランドを支えていた! アリスが迷い込んだ不思議の国の完全ガイド。新装版。
(河出書房新社 2112円)[amazon]

リー・メラー 『ビハインド・ザ・ホラー ホラー映画になった恐怖と真実のストーリー
大ヒットしたホラー映画の数々は実際にあった犯罪、心霊現象にインスパイアされて製作されていた。『サイコ』 『エクソシスト』 から 『羊たちの沈黙』 『ウィッチ』 『ザ・ライトハウス』 まで、映画の背後に潜んでいた戦慄のストーリーを、気鋭の犯罪学者が鮮やかに描き出す。五十嵐加奈子訳
(青土社 2640円)[amazon]

アレハンドロ・ホドロフスキー 『サイコマジック』
アートとセラピーを融合させた、新しい癒しの提言。時代の不安を拭い去り、希望を創る独自の心理療法〈サイコマジック〉。待望の書、ついに邦訳刊行。花方寿行訳
(国書刊行会 4180円)[amazon]

マルキ・ド・サド 『サド全集7 こぼれ話、物語、笑い話』
抄訳に留まった澁澤訳 『小咄、昔噺、おどけ話』 以来の待望の新訳。陽気なエロティシズムにサド一流のユーモアが光る逸話集。本邦初訳となる作品を多数収録。橋本到・太原孝英訳
(水声社 7150円)[honto]

ミハイル・バフチン/ヴィクトル・ドゥヴァーキン 『バフチン、生涯を語る』
ロシア最大の文芸学者=哲学者バフチンが、非公式のインタビューで語った、革命からスターリン時代にいたる激動の半生と、同時代を生きた芸術家たちの想い出。公刊はソ連崩壊後にようやく可能となった。自伝を書くことを拒んだバフチンが、語ることによって遺した唯一の〈回想録〉。佐々木寛訳
(水声社 4400円)[honto]

アンドリュス・キヴィラーク 『蛇の言葉を話した男』
これがどんな本かって? トールキン、ベケット、M.トウェイン、宮崎駿が世界の終わりに一緒に酒を呑みながら最後の焚き火を囲んで語ってる、そんな話さ。エストニア発壮大なファンタジー。関口涼子訳
(河出書房新社 3960円)[amazon]

井村君江・浜野志保編著 『コティングリー妖精事件 イギリス妖精写真の新事実
コティングリー妖精写真は、1917年と20年に二人の少女が妖精を撮影した写真である。公表されるやその真偽が問題になり、英国中に一大センセーションを巻き起こした。この事件の調査に関わった神智学者エドワード・L・ガードナーが所有していた鞄が100年の時を経て日本にやってきた。その鞄に入っていた貴重な新資料――二人の少女と妖精」 の5枚の写真プリントやネガフィルム、未公開の写真、手書きの手紙・文書などをフルカラーで紹介。資料解説に、社会的・文化的背景や心霊写真との比較などの論考も収録。
(青弓社 3080円)[amazon]

《SFマガジン》 8月号
ハヤカワ文庫JA総解説 PART1 内容
(早川書房 1320円)[amazon]

エラリー・クイーン 『消える魔術師の冒険 聴取者への挑戦IV
〈論創海外ミステリ〉
本格、密室、不可能犯罪、サスペンス。クイーン・ファン待望のラジオドラマ集。日本オリジナル編集。飯城勇三編訳
(論創社 3080円)[amazon]

村上春樹・柴田元幸 『本当の翻訳の話をしよう 増補版
「翻訳家」 村上春樹が、盟友・柴田元幸と語り合った対話全14本。海外文学から多くのものを受けとった二人が、翻訳という仕事の喜びを語りつつ、意外とも思える饒舌さで 「作家」 村上春樹の創作の秘密が明かされる必読の対話集。7本の対話を追加した増補決定版。
(新潮文庫 880円)[amazon]

ウォルター・テヴィス 『クイーンズ・ギャンビット』
孤児院で育った少女ベス。用務員にチェスを習い才能を開花させた彼女は、強豪プレイヤーを相手に次々優勝、男性優位のチェス界で頭角を現す。孤児院で与えられた安定剤と、アルコールへの依存とも闘いながら、ベスはついにソ連の大会で最強の敵ボルゴフに挑む。世界的な大ヒットドラマの原作、天才少女の孤高の挑戦を描く長編。小澤身和子訳
(新潮文庫 990円)[amazon]

エリザベス・ボウエン 『北へ』
〈ボウエン・コレクション2〉 仕事か恋愛か? ロンドンに同居する義姉妹それぞれの恋愛を1930年代戦間期のモータリゼーションにのせ結末のカタルシスへ――エリザべス・ボウエンの長篇第4作。太田良子訳
(国書刊行会 2970円)[amazon]

佐藤春夫 『佐藤春夫中国見聞録 星/南方紀行』
佐藤春夫は戦前の二十数年間に中国を三度訪れた。1920年、台湾から対岸の福建省へ。7年後には杭州・南京へ。しかし時代は田漢・郁達夫との友情に暗い影を落とす……。中華民国初期の内戦最前線を行く 「南方紀行」、名作 「星」 など、運命のすれ違いを描く9編。「わが支那游記」は近年発見されもの。
(中公文庫 1100円)[amazon]

ゼイディー・スミス 『ホワイト・ティース 上・下
ロンドン出身の優柔不断な中年男・アーチーと、バングラデシュ出身の誇り高きムスリム・サマード。第二次大戦で親友となったふたりの半世紀にわたる友情を軸に、地理的にはヨーロッパからインド、ジャマイカ、時間においては19世紀末から現代までを、自在に行き来しながら物語は進む。小竹由美子訳
(中公文庫 1320円/1430円)[amazon]

韓国文学ガイドブック』 黒あんず監修
面白い、でもそれだけじゃない。今を生きる私たちとともにある現在進行系の言葉。 注目の作家とおすすめ作品、そして作品の背景をより深く知るためのコラムも掲載。 今の韓国文学の熱さがわかる一冊。
(Pヴァイン 1980円)[amazon]

『最後に残るのは本』 工作舎編
多田智満子、小松和彦、養老孟司、池澤夏樹、鶴岡真弓、松浦寿輝など、総勢67名の書物をめぐるエッセイ集。工作舎の本にはさみこんだ新刊案内 「土星紀」 に、1986年から2000年に連載したエッセイ 「標本箱」 をまとめたもの。かつて「土星紀」デザインを担当した祖父江慎と米澤敬編集長の対談を収録。
(工作舎 2750円)[amazon]

マーシャル・マクルーハン 『マクルーハン発言集 メディア論の想像力
『グーテンベルクの銀河系』 などのメディア論で一世を風靡したマクルーハン生前の講義・講演・対談やテレビ出演など20本を初集成。ステファニー・マクルーハン/デイヴィッド・ステインズ編
(みすず書房 5060円)[amazon]

チョ・ナムジュ 『サハマンション』
超格差社会「タウン」最下層に位置する人々が住む「サハマンション」とは? 30年前の「蝶々暴動」とは何か? ディストピアの底辺で助け合い、ユートピアを模索することは可能か? 『82年生まれ、キム・ジヨン』 著者の最新長編小説。斎藤真理子訳
(筑摩書房 予価1650円)[amazon]

泡坂妻夫 『亜智一郎の恐慌』
名探偵亜愛一郎の御先祖という設定の亜智一郎とその仲間の活躍を描く。亜愛一郎シリーズの登場人物の先祖も登場する、軽妙なタッチが魅力的な時代ミステリーの傑作。オンデマンド版
(捕物出版 1749円)[amazon]

吉川一義 『『失われた時を求めて』 への招待』
岩波文庫版『失われた時を求めて』(全14冊)の完訳を達成したプルースト研究第一人者が作品の核心に迫る解説書。この不世出の大長編は、なにを、どのように語った作品なのか。全体の構成、特長、勘所を分かりやすく読み解く。魅惑の読書体験へといざない、全篇読破に挑戦する人には力強い羅針盤となるスリリングな一冊。
(岩波新書 968円)[amazon]

『探偵新聞 占領期のカストリ・探偵小説関係新聞 復刻
犯罪や事件を基調に、大手新聞では扱えないような記事を掲載し、日本探偵作家クラブのメンバーが多く寄稿した、占領期のカストリ新聞 『探偵新聞』 (探偵新聞社、昭和22-24) を復刻。石川巧 監修・解題
(金沢文圃閣 19,800円)[honto]

『移動迷宮 中国史SF短篇集大恵和実編訳
孔子が時空を越え、諸葛亮孔明はコーヒー中毒になり、乾隆帝の迷宮にマカートニー伯爵は閉じ込められ、魯迅の故郷にH・G・ウェルズのタイムマシンがやってくる――悠久の中国史を舞台に、今もっとも勢いのある中国の作家7人が想像力の限りを尽くした超豪華短篇集。大恵和実・上原かおり・大久保洋子・立原透耶・林久之=編訳
(中央公論新社 2200円)[amazon]

山本一生 『百間、まだ死なざるや 内田百間伝
没後50年を迎えた内田百間の残した作品と戦前・戦後の膨大な日記を、稀代の日記読みが丹念に読み込む初の評伝。「恋文」 「恋日記」 の時代から結婚、そして別居、学生たちとの深い交流、高利貸しとの付き合い、飛行機と船と汽車、名作誕生の経緯など、周辺の事実と照合しながら、その 「わがまま」 な人生を再構築する。
(中央公論新社 3960円)[amazon]

ピエール・ルメートル 『われらが痛みの鏡 上・下
戦禍におびえる1940年のパリ。戦争で顔の半分を失ったエドゥアールが身を寄せた下宿先 の娘ルイーズを主人公に、数奇な運命に翻弄される人々の姿を生き生きと描く傑作巨篇。平岡敦訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 各990円)[amazon]

東雅夫編 『文豪山怪奇譚 山の怪談名作選
近代の文豪から現代の人気作家まで数多くの作家が、深山幽谷を舞台とする神秘と怪異の物語を手がけてきた。山を愛し読書を愛する人々にとって必読の名作佳品を集大成した史上初のアンソロジー。
(ヤマケイ文庫 770円)[amazon]


マイケル・ロボサム 『誠実な噓』
スーパーマーケットで働くアガサと、ギャリアに加え高収入の夫と二人の子供に恵まれたメグ。偶然知り合った二人は出産時期が近いことから仲よくなるが、この出会いがそれぞれの人生を変えていき……二人の女性の数奇な運命を描く戦慄のスリラー。田辺千幸訳
(二見文庫 1595円)[amazon]

ヘニング・マンケル 『手/ヴァランダーの世界』
田舎で暮らしたいと思っていたヴァランダーは、同僚に紹介された物件の裏庭で、地面から人間の手の骨が突き出しているのを見つけてしまう。地面の下には骸骨と衣服の残りが埋まっていた。ヴァランダーは家の過去の持ち主に遡って調べ始めるが……。短編 「手」 と、シリーズの各作品、人物、地名の紹介を収録した 「ヴァランダーの世界」 を併録。柳沢由実子訳
(創元推理文庫 1430円)[amazon]

小森収編 『短編ミステリの二百年 5』
イーリイやトゥーイ等の短編巧者、グリーンやフレムリンなど英国の大物に加え、謎解きミステリの分野で独自の輝きを放った作家――ケメルマン、ヤッフェ、ポーター、ギャレットの傑作など全12編を収録。評論は1960年代に活躍した作家の代表短編を論じつつ、007の大ヒットから発生したスパイ小説ブームを分析し、SFが隣接ジャンルとしてミステリに及ぼした影響をも考察する。門野集他訳
(創元推理文庫 1540円)[amazon]

《ナイトランド・クォータリー》 vol.25 メメント・モリ〈死を想え〉~病疾(えやみ)に蠢く死の舞踏
メメント・モリ――死を想え。死を想うことで、生を見つめる、作品たち。T・F・ポウイス、ヨハネス・イルマリ・アウエルバッハ、ヤン・ゲルハルト・トーンデル、アラン・バクスター他。目次
(アトリエサード 1870円)[amazon]

レックス・スタウト 『ネロ・ウルフの災難 外出編』
〈論創海外ミステリ〉
快適な生活と蘭を守るため、決死の覚悟で出掛ける安楽椅子探偵ウルフを外出先で待ち受ける災難とは……。慣れない屋外での捜査がウルフを悩ませる。外出をテーマにした短編3作 「死への扉」 「次の証人」 「ロデオ殺人事件」 と、外出を巡る名言集を収録。鬼頭玲子訳
(論創社 3300円)[amazon]

アーサー・モリスン 『マーチン・ヒューイット 完全版
“シャーロック・ホームズのライヴァルたち” の一人、私立探偵マーチン・ヒューイットの活躍。短篇集4冊に収録されたシリーズ全25作品を1冊に集成。初出誌の挿絵165点を完全収録。平山雄一訳
(作品社 7480円)[amazon]

ラルフ・ジェームズ・サヴァリーズ 『嗅ぐ文学、動く言葉、感じる読書 自閉症者と小説を読む
文学教授を生業にする著者が、『白鯨』 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 『心は孤独な狩人』 などの名作を6人の自閉症者とともに読んだ読書セッションの記録。岩坂彰訳
(みすず書房 4180円)[amazon]

山田正紀 『フェイス・ゼロ』
ロボットの表情工学を専攻する教授に、人間国宝の文楽の人形遣いが依頼したのは……文楽を題材にしたSFミステリの表題作ほか、すべてがマニュアル化された巨大ハンバーガーチェーンの歯車が静かに狂いだす 「メタロジカル・バーガー」 など、ジャンルの壁を超えた傑作短篇群がここに集結。日下三蔵編
(竹書房文庫 1430円)[amazon]

ジョー・ヒル 『怪奇疾走』
モダンホラーの名手ジョー・ヒルが案内する悪夢のドライブ旅行。Netflixで映画化されたスティーヴン・キングとの共作 「イン・ザ・トール・グラス」 を含む傑作13篇を収録した短篇集。安野玲/白石朗/高山真由美/玉木亨訳
(ハーパーBOOKS 1590円)[amazon]

カリン・スローター 『スクリーム』
ミステリー界の新女王カリン・スローターが放つ、ノンストップ・スリラー。異常な手口で 「口を閉ざされた」 犠牲者たち――戦慄の連続殺人事件。〈ウィル・トレント〉シリーズ最新刊。鈴木美朋訳
(ハーパーBOOKS 1360円)[amazon]

チョン・へヨン 『誘拐の日』
豪邸の奥には、いつでも秘密が眠っている――間の悪い“誘拐犯”とさらわれた11歳の天才少女。奇妙な事件の裏に隠された真実とは……誘拐犯と天才少女の逃亡劇をユーモアたっぷりに描きながら、韓国社会の闇を覗かせる傑作ミステリー。米津篤八訳
(ハーパーBOOKS 1290円)[amazon]

荒このみ 『風と共に去りぬ アメリカン・サーガの光と影』
黒人文学・文化研究の第一人者であり、岩波文庫『風と共に去りぬ』の訳者でもある著者による、アメリカ文学・社会論。南北戦争による社会の分断と、激動の戦後を描く壮大な「アメリカン・サーガ」を、主人公スカーレットの背景や、アメリカ黒人史、分断と一体化といった視点から多角的に読み解く。文庫解説に新章一章を加筆。
(岩波書店 2970円)[amazon]

島克也 『我、アメリカノ敵ヲ発見セリ ハインラインの青少年向け小説における白人性
アメリカのSF作家ロバート・ハインラインの青少年向け小説群を詳細に分析・再評価し、主要作品との関連性を明らかにする。目次
(春風社 4290円)[amazon]

マックス・グラッドストン/アマル・エル=モータル 『こうしてあなたたちは時間戦争に負ける』
あらゆる時間と並行世界の覇権をめぐり争う二大勢力である〈エージェンシー〉の工作員レッドと〈ガーデン〉の工作員ブルー。二人の女性は幾多の時間線でお互いを好敵手として意識するうち、秘密裏に手紙を交換する関係になるが……。超絶技巧の多世界解釈SF。山田和子訳
(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 2090円)[amazon]

皆川博子 『インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナー』
1775年、独立戦争中のアメリカ。収監された謎の男エドワード・ターナーを記者ロディが訪ねた。ロディはエドに、何故コロニストとモホーク族の息子アシュリー・アーデンを殺害したのか訊ねるが……本格歴史ミステリ『開かせていただき光栄です』シリーズ最終作。
(早川書房 2310円)[amazon]

ヴァージニア・ウルフ 『波 新訳版
遠い太陽の光が海辺の一日に降り注ぎ、生まれては消える波のうねりを情感豊かに描き出す。男女6人の独白が物語るのは、幻想のように過ぎた半生の思い出。くり返す描写と語りが重なるとき、意識が風景に打ち解けていく。ウルフの傑作が45年ぶりの新訳で甦る。森山恵訳
(早川書房 2750円)[amazon]

ラリーン・ポール 『蜂の物語』
果樹園の蜂の巣で、最下層の蜂として生を受けたフローラ七一七。女王を崇めて労働を称える教理により厳重に管理される蜂社会で、フローラはほかの蜂とは異なっていた。育児室の世話をし、花蜜を集める彼女は、女王にのみ許される神聖な母性を手にしたのだ……。川野靖子訳
(早川書房 3300円)[amazon]

マイケル・ロボサム 『天使と噓 上・下
殺人事件を追う心理士サイラスは、嘘を見抜く能力を持った少女、イーヴィと出会う……。英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー受賞作。越前敏弥訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 各1210円)[amazon]

カミラ・レックバリ 『黄金の檻』
ストックホルムの高級マンションで夫と娘と暮らすフェイ。幸福に見えた生活は夫の束縛により崩れ去り、彼女はある復讐に乗り出す。奥村章子訳
(ハヤカワ文庫NV 1496円)[amazon]

ヘレン・リプスコム 『スパイ・バレリーナ 消えたママを探せ!
〈ハヤカワ・ジュニア・ブックス〉
バレエ学校の裏の顔はスパイ養成所!? 入学早々バレエコンクールの主役に選ばれ、スパイの仕事まで任されたミリー。透明なスパイ用スマホや 「空飛ぶチュチュ」 が行方不明のママを探すカギ? 嘘でしょ! 一癖ある仲間と共に失踪事件の謎を追う。小学5年~ 神戸万知訳
(早川書房 1650円)[amazon]

『ゴヤの手紙
「絵画には規範は存在しない」――国王寵愛の画家として頂点を極めたゴヤ。だが病に聴力を失い、革命と戦争に亡命を余儀なくされる。《裸のマハ》他の衝撃的な作品を次々に描いた画家は、近代へと向かう激流のなかで、何を求めたのか。ゴヤ全生涯の手紙は、無類の肖像画家が遺した、文章による優れた自画像である。大高保二郎・松原典子編訳
(岩波文庫 1111円)[amazon]

ヴァルター・ベンヤミン 『パサージュ論 四』
産業と技術の進展によってユートピアは訪れるのか。初期社会主義者の忘れられた側面を救出する「サン=シモン、鉄道」「フーリエ」、商品生産や価値理論から労働の意味を考察する「マルクス」、新たな技術による文化的変容を論じる「写真」、革命や蜂起の諸相を拾う「社会運動」などの項目を収録。断片の伝えるベンヤミンの世界。今村仁司他訳
(岩波文庫 1177円)[amazon]

チョン・セラン 『声をあげます』
『フィフティ・ピープル』 『保健室のアン・ウニョン先生』 の人気作家が放つ初めてのSF短編集。文明社会の行きづまりを軽やかに描き出し、今を生きる女性たちにエールを贈る、シリアスでポップな8つの物語。斎藤真理子訳
(亜紀書房 1760円)[amazon]

岡田秀則監修 『昭和の映画絵看板 看板絵師たちのアートワーク
昭和の映画全盛期、映画館や劇場街には「手描きの絵看板」が掲げられていた。大阪ミナミで絵看板を制作していた工房「不二工芸」の貴重なアーカイブから、国内外の名作300以上の絵看板写真を厳選し、すべての映画解説も収録。映画看板の写真を通して戦後の映画史を総覧できる一冊。
(トゥーヴァージンズ 2970円)[amazon]

『イタリア夜想曲 怪奇幻想集
20世紀イタリアの珠玉の怪奇幻想短篇23作+1作を集めた全編未邦訳のアンソロジー。ダンヌンツィオ、マリネッティ、ボーニ、ブッツァーティ、ランドルフィ、モラーヴィア他。香川真澄訳
(創林舎 1760円) 取扱=盛林堂

谷崎潤一郎 『白昼鬼語 探偵くらぶ
江戸川乱歩にも多大な影響を与えた谷崎潤一郎の探偵小説。その濃厚な心理描写と、意外な展開に酔う。「秘密」 「人面疽」 「呪われた戯曲」 「ハッサン・カンの妖術」 「途上」 「柳湯の事件」 「日本に於けるクリップン事件」 他。日下三蔵編
(光文社文庫 1100円)[amazon]

ヨハンナ・シュピリ 『アルプスの少女ハイジ』
アルプスの山小屋に住む祖父に預けられたハイジは、たちまち山の生活にも慣れ、大自然のなかで成長していく。でもある日、ゼーゼマン家の足の不自由な娘クララの遊び相手として、都会の家に住み込むことになり……。挿絵多数。遠山明子訳
(光文社古典新訳文庫 1540円)[amazon]

トマス・ペイン 『コモン・センス』
独立宣言へとアメリカに舵を切らせた空前絶後のベストセラー! イギリス本国に不満をつのらせる市民への檄文「コモン・センス」は、アメリカの社会・政治体制の変革を促した書物としては唯一無二。ほか、ペインの筆の力が冴えわたる3篇を収録。角田安正訳
(光文社古典新訳文庫 946円)[amazon]

花房孝典 『新装版 定本 実録 大江戸奇怪草子 忘れられた神々
江戸期に成立した不思議な100の話を掲載。江戸時代の版本を紐解きながら、さまざまな奇怪譚、滑稽譚、迷宮譚を選し、現代人の心の琴線に触れる物語を精選・ 分析。第一部では馴染み深い「狐狸」に焦点をあて、どこか微笑ましい話を収載。第二部では不思議話、第三部では縁起話と、それぞれ江戸時代の質素で信心深い庶民生 活を彷彿させる伝承に迫る。
(山と渓谷社 1760円)[amazon]

山本タカト 『Japonesthetique ジャポネステティーク 山本タカト画集
山本タカトが生み出した新しい日本趣味・耽美主義の画集。谷崎潤一郎、泉鏡花等への挿絵、伊藤彦造、高畠華宵らへのオマージュ画を収録。
(河出書房新社 4180円)[amazon]

『社史・本の雑誌』 本の雑誌編集部編
「本の雑誌」創刊45周年を記念して、椎名誠 『本の雑誌血風録』 と目黒考二 『本の雑誌風雲録』 を 「社史・本の雑誌」 として合本に。 また 「付録の本の雑誌」 として表紙一覧や和田誠・装丁劇場をカラーで収録し、45年目の特別寄稿や座談会も収録。「雑誌がぼくらの遊び場だった」 すべてがここに。読み応えも面白さも満点の社史が箱入・2分冊で発売。
(本の雑誌社 6600円)[amazon]

《MONKEY》 vol.24 特集=イッセー・シェークスピア
シェークスピア特集。翻訳家・柴田元幸と俳優のイッセー尾形が 『リア王』 に挑む。
(スイッチパブリッシング 1540円)[amazon]

フランシス・ホジソン・バーネット 『小公女』
裕福な家庭に生まれ、公女さまのように育てられたセーラは、7歳でロンドンの寄宿学校にあずけられると、たちまち学校中の人気者に。ところが11歳の誕生日に父の死と破産の知らせが届くと、セーラの境遇は一変してしまう……。羽田詩津子訳
(角川文庫 836円)[amazon]

山根貞男編 『日本映画作品大事典』
1908年から2018年までの日本映画作品を対象とした、空前のデータベース。収録した監督数は約1,300、映画作品数は約19,500。監督名を見出しに(五十音順)、公開年月日順に作品を配列し、ほとんどの作品に作品情報やあらすじなどの解説を付す。内容
(三省堂 47,300円/発売記念特価41,800円)[amazon] [honto]

エドゥアール・グリッサン 『マホガニー 私の最期の時
〈フィクションの楽しみ〉 ある子どもの胎盤とともに植えられた1本の木。その根元には、逃亡ののち銃殺された子どもが埋葬される。無数の声なき声と共に生きたマホガニーが、新たな歴史を語りはじめ…。カリブ海を代表する作家の、闘争/逃走の叙事詩。塚本昌則訳
(水声社 2750円)[honto]

ラドヤード・キプリング 『ご褒美と妖精 ペガーナ・コレクション5
ブラッドベリ、ダンセイニ、マッケンなどが多くを借り受けてきたラドヤード・キプリングという宝箱のなかの少年少女文学作品の傑作。一年前より少し大人になったダンとユーナに、妖精パックといにしえの人々が物語る煌めくような世界。『プーグが丘の妖精パック』の姉妹作。稲垣博訳
盛林堂ミステリアス文庫 2800円)

江戸川亂歩 『再劂版 孤島の鬼』
先に書肆盛林堂から発売した『孤島の鬼』 (改造社版底本。旧字・旧かなづかい) を、新装版として、我刊我書房より再厥版第二版を刊行。新解説=芦辺拓
(東都 我刊我書房 6000円) 取扱=盛林堂

ロイス・マクマスター・ビジョルド 『魔術師ペンリックの使命』
ペンリックはセドニアの将軍に宛てた手紙を携え、船でセドニア王国に向かっていた。ところが港についた途端、拘束され投獄されてしまう。庶子神の魔の助けで脱出したものの、尋ねあてた将軍は既に捕らえられ、両目をつぶされたあとだった。最初から全てが政敵による罠だったのだ……。中編3編を収録。〈五神教シリーズ〉最新作。鍛治靖子訳
(創元推理文庫 1760円)[amazon]

内田百閒 『内田百閒随筆集』
借金、酒、猫、鉄道……。諧謔と機知に満ちた百閒の随筆を、阿房列車シリーズに同乗した 「ヒマラヤ山系」 こと平山三郎が精選。
(平凡社ライブラリー 1650円)[amazon]

陳舜臣 『玉嶺よ ふたたび』
戦時中に江南を訪れた日本人を主人公とする長編推理小説。日本推理作家協会賞受賞作。オンデマンド出版
大陸書館 1760円)[amazon]

『江戸の怪談』 にほんの歴史★楽会
『曾呂利物語』 『諸国百物語』 など、江戸時代に出版された多くの怪談本の中から、怖い話、面白い話を選り抜いて現代語訳。
(出版芸術社 1430円)[amazon]

『ゾランさんと探偵小説 YOUCHAN個展図録』
イラストレーターYOUCHANの個展(6/9-17)図録。ゾラン・ジヴコヴィチ英訳全集の全装画を中心に、久生十蘭 『魔都』 や夢野久作 『暗黒公使』 等の探偵小説を題材にした描き下ろしを収録。
盛林堂ミステリアス文庫 1500円)

土田知則 『『星の王子さま』 再読』
邦題『星の王子さま』から抹殺された 「ちいさな」(petit)という形容詞抜きには読めないものとは? 作品にはなぜ「戦争」の影が立ち籠めるのか? キツネやヘビはどのような役割を果たしているのか? 『星の王子さま』という愛らしい邦訳タイトルに慣れ親しんできた読者のイメージを壊すかもしれないテクストそのものの精読。
(小鳥遊書房 2090円)[amazon]

『魔術の書』 DK社編
世界の魔術の歴史を徹底解説。魔法・魔術がどのようにして生まれ、変遷し、現代のウィッカ信仰やオカルトに発展したのか。はるか古代の儀式から、錬金術、占い、魔女裁判など、豊富な図版や写真で歴史の流れを丁寧に紹介。池上俊一監修/和田侑子・小林豊子・涌井希美訳
(グラフィック社 4180円)[amazon]

ヨーゼフ・ロート 『ヨーゼフ・ロート ウクライナ・ロシア紀行』
戦間期の1920年代。オーストリアの文豪ヨーゼフ・ロートが旅した、言語・文化・宗教のモザイクのような世界、ウクライナ・ロシアの諸都市の人々の暮らしと現実の記録。ヤン・ビュルガー編、長谷川圭訳
(日曜社 1760円)[amazon] [honto]

クレメンス・J・ゼッツ 『インディゴ』
謎多き病、消息を絶つ子供たち……その謎を探ろうとして解雇された数学教師は果たして犯罪に手を染めたのか? 15年後、かつての教え子は真相を追いかけていく。軽快な語り口と不気味さが全篇を覆い、独特な仕掛けがさまざまな読みを可能にする。既存の小説の枠組みを破壊して新しい文学の創造を目指した、神童クレメンス・J・ゼッツの野心溢れる傑作。犬飼彩乃訳
(国書刊行会 3520円)[amazon]

アレックス・ノース 『囁き男』
愛する妻を突然喪い、幼い息子ジェイクと二人残されたトムは、新たな町に引っ越し、生活をやり直そうと決意する。しかしそこには、20年前の連続児童殺人事件の犯人で現在服役中の 「囁き男」 の影が色濃く残されていた。やがて、当時の事件を彷彿させる事件が起きる。父と息子の葛藤を描く、英国発傑作スリラー。菅原美保訳
(小学館文庫 1298円)[amazon]

ロミー・ハウスマン 『汚れなき子』
真夜中、一組の母娘が救急車で病院に搬送された。自働車事故で重傷を負った母親。身元を聞かれても何も答えなかった少女が、その後語ったのは、事故の夜、少女の母親がうっかり父親を殺そうとしたこと。小さな弟がひとり今も 〈小屋〉 に取り残されていること。そして 〈小屋〉 での奇妙な暮らしぶりだった。ドイツ・ミステリの話題作。長田紫乃訳
(小学館文庫 1320円)[amazon]

ジョゼフ・グッドリッチ編 『エラリー・クイーン 創作の秘密
 往復書簡1947-1950年
本格ミステリの巨匠エラリー・クイーンの合作の内幕を明かした往復書簡集。中期の傑作 『十日間の不思議』 『九尾の猫』 『悪の起源』 執筆に際し、プロット担当のフレデリック・ダネイと小説化担当のマンフレッド・リーが細部の検討を重ね、議論を戦わせる様を描く貴重なドキュメント。飯城勇三訳
(国書刊行会 3520円)[amazon]

都筑道夫 『絶対惨酷博覧会 都筑道夫短篇コレクション
律儀な殺し屋、凄腕の諜報員、歩く死体……小粋で洒落た犯罪小説の数々。入手困難な文庫初収録作を中心におくる都筑道夫短篇傑作選。日下三蔵編
(河出文庫 1100円)[amazon]

山田風太郎 『忍者月影抄 山田風太郎傑作選 忍法篇
氷の忍者と炎の忍者の洋上対決、夢を操る忍者と鏡に入る忍者の永劫の死闘など名勝負連発、異能バトルの金字塔。
(河出文庫 979円)[amazon]

柳田国男 『葬送習俗事典 死穢の民俗学手帳
『禁忌習俗事典』 の姉妹篇となる1冊。埋葬地から帰るときはあとを振り返ってはいけないなど、全国に伝わる風習を網羅。全集未収録。
(河出文庫 990円)[amazon]

J・S・フレッチャー 『ベッドフォード・ロウの怪事件』
〈論創海外ミステリ〉
法律事務所が建ち並ぶロンドンの古い通りで起きる難事件にリチャードとリヴァーズエッジ刑事が挑む。友田葉子訳
(論創社 2860円)[amazon] [honto]

『鶴屋南北未刊作品集 第1巻 勝俵蔵篇古井戸秀夫編
南北襲名以前より、江戸の新しい世話狂言を確立した勝俵蔵の未刊行作品群を、第一人者が半生をかけて蘇らせる、驚きの綯い交ぜの世界。収録内容。全3巻
(白水社 28,600円)[amazon]

アリー・レナルズ 『寒慄 (かんりつ)
スノーボーダーたちがアルプスのロッジで再会する。共通の知人が失踪して以来、久しぶりに顔を合わせた一同であったが、そこに彼らの過去の秘密を告発する謎のメッセージが。ゴンドラは動かせず、ここから出ることはできない……。雪山を舞台にしたサスペンス。国弘喜美代訳
(ハヤカワ・ミステリ 2310円)[amazon]

アレックス・ベール 『狼たちの城』
第二次世界大戦末期、ニュルンベルクのユダヤ人古書店主イザークはポーランド移送の通達を受け取る。絶望した彼はレジスタンスに関わっていた元恋人を頼るが、彼女が用意してくれたのはゲシュタポの特別犯罪捜査官ヴァイスマンの偽の身分証だった。イザークはヴァイスマンに間違われたまま、ナチスに接収された城内で起きた女優殺人事件の捜査に臨むことに。 ナチス×スパイ×名探偵。前代未聞の歴史反転ミステリー。小津薫訳
(扶桑社ミステリー 1320円)[amazon]

ジョー・R・ランズデール 『死人街道』
二挺拳銃のガンマン牧師ジェバダイア・メーサーが、布教の旅を続けながらゾンビや怪物どもと闘う、鬼才の本領発揮の西部怪奇小説(ウィアード・ウェスト)。町に群なす生ける死者と壮絶な戦いを繰り広げる中篇 「死屍の町」 ほか全5作を収録。植草昌実訳
(新紀元社 2200円)[amazon]

ノア・ゴードン 『最後のユダヤ人』
1492年、ユダヤ人がスペインから追放された歴史的事件から始まる歴史小説。父と兄の殺害者への復讐心を胸にスペイン中をさまよい歩くヨナ。様々な人びととの出会いによって成長し、医師になると、怨讐の彼方へ辿り着き……。木村光二訳
(未知谷 6600円)[amazon]


▼5月刊

エミリ・ディキンスン 『ミラー版 エミリ・ディキンスン詩集 芸術家を魅了した50篇 <対訳と解釈>
ディキンスンが「私の辞書」と呼び、常に傍に置いていたノア・ウェブスター著 『アメリカ英語辞典』 を参考に原文に寄り添った解説と、詩に魅了された芸術家たちを紹介することで、ディキンスンの作品に新たな視座を投げかける詩選集。朝比奈緑・下村伸子・武田雅子編訳
(小鳥遊書房 4620円)[amazon]

G・K・チェスタトン 『裏切りの塔』
鳥獣や人間を食うと伝えられる異形の怪樹 《孔雀の樹》 に挑んだ大地主の失踪事件の真相とは。怪奇色に満ちた中編 「高慢の樹」。かつて名探偵として名を馳せた神父の元を訪った青年。彼が修道院で遭遇した宝物消失事件を顛末を描く表題作。創元推理文庫初収録となる 「煙の庭」 「剣の五」 に加え、夢想家の姪と実際家の甥の先行きを案じた公爵の計略が思わぬ騒動を招く、三幕仕立ての戯曲 「魔術」 を本邦初訳で贈る。南條竹則訳
(創元推理文庫 902円)[amazon]

D・M・ディヴァイン 『運命の証人』
法廷でひとりの男がまさに始まらんとする裁判の審理を見守っていた。男は弁護士だが、この場所にいるのは二件の殺人の、ほぼ有罪が確定した被告としてだった。ことの始まりは6年前。駆け出しの事務弁護士としてキャリアをスタートさせた男は、友人にある女性を紹介される。のちに妻となるその美女との出会いから、運命は狂いだしたのだ。迫真の法廷論戦と精妙な謎解き、ディヴァイン中期の傑作。中村有希訳
(創元推理文庫 1320円)[amazon]

クリストファー・バックリー 『リトル・グリーンメン MJ-12の陰謀
『ニコチン・ウォーズ』 でアメリカのロビー活動の実態を見事に描き出して、読者を大笑いさせたバックリーが描く、飛ぶ鳥を落とす勢いの人気ニュースキャスター対情報部とホワイトハウス。エイリアンがらみで失墜するキャスターの運命やいかに。青木純子訳
(創元推理文庫 1496円)[amazon]

ケイト・ウィンクラー・ドーソン 『アメリカのシャーロック・ホームズ 殺人、法医学、アメリカのCSIの誕生
アメリカの科学捜査の先駆者として 「アメリカのシャーロック・ホームズ」 と称された男、エドワード・オスカー・ハインリッヒ。1920年代に活動を始めた彼は、誤算や誤解に苦しみつつも、犯罪捜査に科学の視点をもたらしていく。筆跡鑑定を用いた司祭殺人事件や、血痕の飛び散るパターンから犯行状況を割り出そうとした事件など、知られざる科学捜査の歴史を描くノンフィクション。髙山祥子訳
(東京創元社 2860円)[amazon]

マイクル・ビショップ 『時の他に敵なし』
現代アメリカの若者が更新世初期の東アフリカへとタイムトラベルし、現生人類の祖先とされるホモ・ハビリスの集団の一員となり――。ネビュラ賞受賞作。大島豊訳
(竹書房文庫 1540円)[amazon]

アーサー・コナン・ドイル 『妖精の到来 コティングリー村の事件
〈ナイトランド叢書〉
1917年、イギリスのコティングリー村に住む二人の少女が、妖精と遊ぶ様子を写真におさめた。その写真を見たコナン・ドイルは、雑誌記事 「妖精の写真が撮れた!──人類史上に新時代を画す一大事件」 を発表、激しい賛否を引き起こす。世にいう 「コティングリー妖精事件」である。本書は問題の雑誌記事やその反響をはじめ、コナン・ドイルが妖精写真についての経緯・見解をまとめた一冊。超自然の存在をカメラという科学機器が実証したかのように思えたセンセーショナルな事件の重要な記録。訳・解説=井村君江
(アトリエサード 2200円)[amazon]

ブライアン・ラムレイ 『幻夢の英雄』
ラヴクラフトがクトゥルー神話で創造し、『タイタス・クロウ・サーガ』 でラムレイ自身が描いた異世界 《幻夢境》 を、夢の名前 (ドリームネーム) を持たない剣士デイヴッド・ヒーローと 《放浪者》 エルディンが駆ける。剣と魔法の英雄冒険譚。森瀬繚訳
(青心社文庫 1100円)[amazon]

フィリップ・プルマン 『琥珀の望遠鏡 ダーク・マテリアルズⅢ 上・下
コールター夫人に連れ去られ、薬で眠らされたライラ。ウィルは二人の天使を引き連れて救出を試みるも、頼みの短剣が折れてしまう。一方、別世界で不思議な生物・ミュレファと交流を始めたメアリー博士は、ウルシのプレート二枚から〈琥珀の望遠鏡〉を作り出し、初めてダストを目の当たりにする。あらゆる種族の思惑が交錯する、激動の第三幕。大久保寛訳
(新潮文庫 各935円)[amazon]

フィリップ・プルマン 『美しき野生 ブックオブダストⅠ 上・下
世界の運命を背負う少女の大冒険が始まる10年前。テムズ川沿いの平穏な村で、小さな異変が起こり始めた。この村で暮らす少年マルコムが、真理計の研究に励む若き日のハンナ・レルフ博士に出会う少し前、彼が出入りする修道院に生後間もない赤ん坊が預けられた。ライラと真理計をめぐるもう一つの冒険が明かされる。大久保寛訳
(新潮文庫 935円/781円)[amazon]

カルロ・ギンズブルグ 『チーズとうじ虫 16世紀の一粉挽屋の世界像 新装版
〈書物復権〉
17世紀のイタリア、「チーズの塊からうじ虫が湧き出るように天使たちが出現した」 と語り、教皇庁により告訴され、裁判の後焚刑に処せられた粉挽屋メノッキオとは何者か。異端審問記録ほか埋もれた史料を駆使しつつ地方農民のミクロコスモスを復元、民衆文化の深層にスリリングに迫ったギンズブルグ史学の初期傑作。杉山光信訳
(みすず書房 4400円)[amazon]

ヴァージニア・ウルフ 『病むことについて 新装版
〈書物復権〉
病気になったとき、私たちはどんな本を読むのだろうか?  気むずかしい父親レズリー・スティーヴンの思い出。伝記ははたして芸術たりうるか。他に、書評や 『源氏物語』 について、フォースターや30年代の世代に関してなど、14篇のエッセイを収録。さらに、皮肉とユーモアに満ちた短篇を2作収める。傑作。川本静子編訳
(みすず書房 3300円)[amazon]

荒俣宏編/紀田順一郎監修 『平井呈一 生涯とその作品』
ラフカディオ・ハーンの諸作品、『ドラキュラ』 はじめ英米怪奇文学の翻訳者として著名な平井呈一 (程一)。しかしその生涯は不明なところが多く、モデル小説とされる 『来訪者』 (永井荷風) に基づく偏見も流布している。中学時代に平井呈一の知遇を得、師事した編者・荒俣宏が、広範な資料調査と関係者への綿密な取材をもとに平井程一年譜を作成 (荒俣と同じく、平井に縁の深い紀田順一郎が監修にあたった)。加えて未発表の小説3作 (「鍵」 「顔のない男」 「奇妙な墜死」)、評論や随筆、俳句作品、呈一縁者の回想記等を併載し、平井呈一という一人の文学者の全体像を明らかにする。目次
(松籟社 2640円)[amazon] [honto]

アラン・コルバン 『草地のみずみずしさ 古代から現代までの多様な情動の歴史
「草むら」「草地」「牧場」など「草」という存在は、神聖性、社会的地位、ノスタルジー、エロス、そして「死」に至るまで、西洋の情動と思想に独特の陰影を与える表象の核となってきた。「感性の歴史家」の面目躍如たる、「草」と「人間」の歴史。 小倉孝誠・綾部麻美訳
(藤原書店 2970円)[amazon]

サミュエル・ベケット 『ワット』
〈書物復権〉
語りえないものを語ろうとする主人公ワットの精神の破綻を、複雑な語りの構造を用いて示した現代文学の奇作。高橋康成訳
(白水社 4620円)[amazon]

ドン・デリーロ 『沈黙』
〈フィクションの楽しみ〉
2022年2月、ある日曜日。原因不明の大停電が日常を覆った。電子機器の故障、ネットや電話など通信の途絶、暗闇と静寂。非常事態に困惑する人々が徘徊し、暴動に揺れる真夜中の大都会。闇を怖れるように集った5人は何を思い、何を語り、何を求めるのか。夜は深まり、あまりにも静かな黙示録がはじまる。デリーロ最新作。日吉信貴訳
(水声社 2200円)[honto]

ロベール・パンジェ 『パッサカリア』
〈フィクションの楽しみ〉
不可解な死をめぐって展開する謎めいたエクリチュール。錯綜した言葉の森の果てにぼんやりと立ち現れる……破局……解体……。ロブ゠グリエやベケットの絶賛をあびた著者の代表作。堀千晶訳
(水声社 2200円)[honto]

生賴範義 『生賴範義画集 〈神話FINAL 91 GODDESSES〉』
SF雑誌 《SFアドベンチャー》 の表紙を飾った、西洋の神話・歴史上に現れた美女・悪女・女神たちを描いた作品集 『神話』 (徳間書店 1988/A4変型) を、A3判の特大サイズで復刊したFINALバージョン。
(復刊ドットコム 17,600円)[amazon]

『罠/ボーイング=ボーイング』 日仏演劇協会編
〈書物復権〉
サガン 「スエーデンの城」、カモレッティ 「ボーイング= ボーイング」、トマ 「罠」、ルッサン 「終わりなき愛」 の戯曲4作品を収録。
(白水社 4400円)[amazon]

『短編回廊 アートから生まれた17の物語』
ゴッホ、ルノワール、葛飾北斎ら、美の巨匠に捧げる短編集。名だたる作家17人による文豪ギャラリー第2弾。ローレンス・ブロック、ジェフリー・ディーヴァー、S・J・ローザン、リー・チャイルド、ジョイス・キャロル・オーツ他
(ハーパーコリンズ・ジャパン 2640円)[amazon]

ウィリアム・シェイクスピア 『真訳シェイクスピア四大悲劇 ハムレット・オセロー・リア王・マクベス
イギリス史の深い理解とともに作品の背景にある史実や風俗を読み解き、その真の意図に迫る、初の歴史研究者による新訳。石井美樹子訳
(河出書房新社 5060円)[amazon]

トマス・ピンチョン 『ブリーディング・エッジ』
〈トマス・ピンチョン全小説〉
ITバブルは弾けたが新世紀の余韻さめやらぬニューヨークで、子育てに奮闘する元不正検査士の女性。知人の仕事を手伝い覗いたネットの深部で見つけたのは、不穏なテロの予兆だった。NYの、そして世界の運命は肝っ玉母さんの手に――オタク的こだわりと陰謀論にあふれる、謎に満ちたアメリカ文学の巨人が76歳にして新境地開拓の超話題作。栩木玲子・佐藤良明訳
(新潮社 4510円)[amazon]

劉 慈欣 『三体3 死神永生 上・下
三体文明の地球侵略に対抗する 「面壁計画」 の裏で、若き女性エンジニア程心(チェン・シン)が発案した極秘の 「階梯計画」 が進行していた。目的は三体艦隊に人類のスパイを送り込むこと。程心の決断が人類の命運を揺るがす。衝撃の三部作完結。大森望・ワン チャイ・光吉さくら・ 泊功訳
(早川書房 各2090円)[amazon]

イェンス・ピータ・ヤコブセン 『ニルス・リューネ』
〈ルリユール叢書〉
生の豊穣と頽落、夢想の萌芽、成熟から破綻までを絢爛なアラベスクとして描きだした、世紀末デカダンスに先駆ける 〈幻滅小説〉。リルケ、トーマス・マン、ヘッセ、ツヴァイク、ホーフマンスタール、ムージル、ジョイス、ルルフォを魅了した19世紀デンマーク文学の傑作長編。奥山裕介訳
(幻戯書房 3960円)[amazon]

ユング゠シュティリング 『ヘンリヒ・シュティリング自伝 真実の物語
〈ルリユール叢書〉
貧困に負けず学問を続けて大成する、独学者の数奇な人生行路を描いた18世紀ドイツの自伝文学。「疾風怒濤」 運動の中心人物ゲーテ、観相学者ラヴァーター、思想家ヘルダーらとの親交から生まれた、『ヴィルヘルム・マイスター』 よりも大衆に読まれた教養小説。本邦初訳。牧原豊樹訳
(幻戯書房 5500円)[amazon]

フョードル・ソログープ 『小悪魔』
学校教師ペレドーノフは町の独身女性から花婿候補ともてはやされていたが、実は出世主義の俗物で、打算的で傲岸不遜な男。視学官のポストを求めて画策するが、町の人々が自分を妬み、陰謀を企んでいるという疑心暗鬼に陥り、やがて奇怪な妄想に取り憑かれていく。ロシア象徴主義・デカダン派の作家が描く頽廃と倒錯の世界。青山太郎訳
(白水Uブックス 2640円)[amazon]

ジョルジュ=ヴィクトール・ルグロ 『ファーブル伝』
博物学の巨人ジャン=アンリ・ファーブル。その功績を世に広めた最大の理解者、ルグロ博士が詳細にたどる孤高の生涯。『完訳 ファーブル昆虫記』 の訳者、奥本大三郎の翻訳で贈る、ファーブル評伝の決定版。
(集英社 4620円)[amazon]

ピエール・ルメートル 『僕が死んだあの森』
6歳の子を殺してしまった少年。遺体を森に埋めて罪を逃れたが、やがて森の開発計画が。仏文学界の鬼才が放つ傑作犯罪サスペンス。橘明美訳
(文藝春秋 2090円)[amazon]

《ミステリマガジン》 7月号
特集:ジョン・ル・カレ追悼 内容
(早川書房 1320円)[amazon]

戸田山和久 『100分de名著 レイ・ブラッドベリ 『華氏451度』』
読書が有害とされ、本を所持しているのが見つかると家ごと焼き払われてしまう近未来社会。近未来SFの姿をとりながら、反知性主義が広がる 「現実」 を鋭く風刺するこの予言的作品に込められたメッセージを、科学哲学者の戸田山和久が読み解く。6月放送テキスト
(NHK出版 600円)[amazon]

横溝正史 『完本 人形佐七捕物帳 九』
人形を思わせる色男の岡っ引き、 佐七が次々に江戸の事件を解決していく推理劇 。最新の研究で明らかにされた全180 篇を 、綿密な校訂のもと初めて発表順に完全収録。
(春陽堂書店 4950円)[amazon]

ロッセル・ホープ・ロビンズ 『悪魔学大全 新版
サバト、悪魔の契約、夢魔、淫魔、吸血鬼、狼男、悪魔祓い、ポルターガイスト、異端審問、火刑など、中世から近代にいたる悪魔学の主要な文献をくまなく渉猟し、西欧の恥部ともいわれる魔女裁の全景を浮き彫りにして、質量ともに空前絶後といわれる、悪魔学の最も権威ある事典。松田和也訳
(青土社 5720円)[amazon]

ナイオ・マーシュ 『オールド・アンの囁き』
〈論創海外ミステリ〉
村の名士サー・ロルド・ラックランダーが謎めいた言葉を遺して亡くなった数日後、故人から回顧録の原稿を託されたカータレット大佐が殺される。死体の傍らには巨大魚オールド・アンの死骸が転がっていた……。ロデリック・アレン警部シリーズ Scales of Justice (1955) 金井美子訳
(論創社 3300円)[amazon]

アンリ・コーヴァン 『マクシミリアン・エレールの冒険』
〈論創海外ミステリ〉
変り者の哲学者マクシミリアン・エレールは、無実の罪で捕えられた隣人を救うため、医師の友人と共に密室内での毒殺事件を捜査することに。暗号解読の末、エレールは変装して人里はなれた城館に乗り込み、事件の核心に迫っていく。清水健訳
(論創社 2420円)[amazon]

『書評七福神が選ぶ、絶対読み逃せない翻訳ミステリベスト 2011〜2020』 書評七福神 編著
翻訳ミステリが好きでたまらない書評家七人によるミステリ好きのための書評本。この本を読めばミステリがもっと好きになる!? 書評七福神 (川出正樹 北上次郎 酒井貞道 霜月蒼 杉江松恋 千街晶之 吉野仁)
(書肆侃侃房 1980円)[amazon]

《幻想と怪奇 6》 夢境彷徨 種村季弘と夢想の文書館
古今の幻想と怪奇の物語から、夢と悪夢を描いたものを集成。ギリシャ神話の神々に招かれホメロスはじめ偉大な詩人たちと邂逅する夢。インドの修行僧となり苦行に堪える夢。果てしないチェスの対局や、猫を連れた少女に誘われて踏み込んだ妖精郷での冒険。目覚めの世界を侵食する悪夢。そして、見たままに夢を書き記す小説家の作品も。種村季弘 未発表翻訳、グスタフ・マイリンク 「商務顧問官クーノ・ヒンリクセンと贖罪者ラララジュパット-ライ」 を収録。
(新紀元社 2420円)[amazon]

ゴンサロ・M・タヴァレス 『エルサレム』
5月の真夜中、死病を抱えたミリアは痛みから外へ駆け出した──。現代ポルトガルの最重要作家による暗黒のロマンス。木下眞穂訳
(河出書房新社 3245円)[amazon]

エリザベス・ボウエン 『友達と親戚』
〈ボウエン・コレクション2〉 ローレルとジャネット姉妹二組の結婚の祝宴に漂う過去の影、暗い秘密があざなう三世代の葛藤をゴシック屋敷の四季に描くボウエンの才気。エリザべス・ボウエンの長篇第3作、本邦初訳。太田良子訳
(国書刊行会 2970円)[amazon]

鹿島茂 『パリのパサージュ 過ぎ去った夢の痕跡
フランス革命直後からパリに陸続と生まれたガラス天井の通り抜けを、「パサージュ」 という。オペラ座、パノラマ、グラン・ブールヴァール……街の名所が移るたび、生まれては寂れ、パリ市民の動線を変えてきた。夢と欲望が吹き抜けたパサージュの歴史は、パリ近代化の歴史でもある。現存する19のパサージュを辿る新しいパリガイド。
(中公文庫 1034円)[amazon]

ケン・リュウ 『Ark アーク ベスト・オブ・ケン・リュウ
リーナは死体にポーズを取らせ、肉体に永続性を与える技能で才覚をあらわす。彼女のパートナーで経営者のジョンは、死を克服したいと考えており……。映画化原作の表題作、代表作 「紙の動物園」 「母の記憶に」 など、名短篇9作を収録したベスト・オブ・ベスト。古沢嘉通訳
(早川書房 1760円)[amazon]

内田百閒/金井田英津子(画) 『冥途』
いざ、百閒のめくるめく夢幻世界へ。日本近代文学を詩情あふれる美しい版画で味わう 「文学画本」 が、新装版になって待望の復刊。
(平凡社 2860円)[amazon]
夏目漱石/金井田英津子(画) 『夢十夜』
「こんな夢を見た」──不思議な十の夢物語。
(平凡社 2860円)[amazon]
萩原朔太郎/金井田英津子(画) 『猫町』
猫、猫、猫、猫……どこを見ても猫ばかり。
(平凡社 2860円)[amazon]

マリオ・プラーツ 『マニエーラ・イタリアーナ ルネサンス・二人の先駆者・マニエリスム
〈官能の庭Ⅰ マリオ・プラーツ芸術論〉
【収録内容】 ヒエロニムス・ボスの〈奇妙な相貌〉/一五世紀版ジョイス/ルネサンスといくつもの再生/逆光のルネサンス/反ルネサンス/マニエーラ・イタリアーナ/ラビュリントス/マニエリスムの奇矯な彫刻/グロテスク/ボマルツォの怪物/カプラローラ 伊藤博明他訳 内容
(ありな書房 2640円)[amazon]

左右田秋満 『実話怪談 幽霊百話』
1900年刊行。明治に入って初めての実話怪談集か。珍しい話も。名手による読みやすい初めての現代語訳で怖さも一段。志村有弘 現代語訳
(河出書房新社 予価2002円)[amazon]

小林信彦 『決定版 日本の喜劇人』
エノケンから志村けんまで――。圧倒的影響力を持つ伝説の名著、愈々完結。芸のみならず、喜劇人の人間性にまで肉薄し、〈笑い〉を批評の対象に高めた初版刊行から半世紀。加筆・改稿の上、BIG3・志村けん・大泉洋まで言及した新稿と著者インタビューを収録。戦前のロッパ、エノケンから森繁、渥美、植木、伊東四朗らを経て現在に至る系譜を明らかにする。
(新潮社 3960円)[amazon]

アーサー・マッケン 『恐怖 アーサー・マッケン傑作選
アーサー・マッケンは平井呈一が最も愛した怪奇小説家だった。20代の頃、友人から借りた英国の文芸雑誌で 「パンの大神」 に出会った平井青年は、読後の興奮収まらず、夜が明けるまで東京の街を歩き回ったという。戦後その翻訳紹介に尽力、晩年には 『アーサー・マッケン作品集成』 全6巻を完成させた。太古の恐怖が現代に甦る 「パンの大神」 のほか、大戦中に英国の或る地方を襲った怪事件の顛末を描く中篇 「恐怖」 などの7編に、作品集成の解説すべてを併載。平井呈一訳 MORE
(創元推理文庫 1650円)[amazon]

ジュリアン・バーンズ 『イングランド・イングランド』
小さな島ワイト島をイングランドのレプリカにする 「テーマパーク・プロジェクト」。王室も、ハロッズも、二階建てバスも、ロビン・フッドもワイト島に行けばすべてが揃う、イングランドのすべてを体験できる。名付けてイングランド・イングランド。そしてレプリカが本物を凌駕する……? ブッカー賞最終候補作。古草秀子訳
(創元推理文庫 1430円)[amazon]

ジョン・コナリー 『キャクストン私設図書館』
読書好きのバージャー氏が発見した〈キャクストン私設図書館&書物保管庫〉。そこは初版本や手稿本が所蔵された図書館であり、人々に広く知れ渡ったがゆえに実体化した物語の登場人物たちの住処でもあった。アンナ・カレーニナ、シャーロック・ホームズ、ハムレットなどをめぐる事件を描いた表題作ほか、「本」 にまつわる傑作短編集。田内志文訳
(東京創元社 2310円)[amazon]

ウンベルト・エーコ 『歴史が後ずさりするとき 熱い戦争とメディア
グローバル化された世界の中での軍事衝突、ポピュリズムや原理主義の台頭、娯楽化するメディア……。歴史があたかも進歩をやめて後ずさりしはじめたかに見える21世紀初めの政治・社会の現実に鋭い批判の矢を放ち、異文化への理解や教育のあり方、知識人の使命について独特のアイロニーに富む文体で深い洞察を巡らす。リッカルド・アマデイ訳
(岩波現代文庫 1914円)[amazon]

成田亨 『特撮と怪獣 わが造形美術 増補改訂版
『ウルトラQ』 『ウルトラマン』 『ウルトラセブン』 に実質的な美術総監督として参加、怪獣・メカなどのデザインを手掛けた美術家・成田亨の自伝 『特撮と怪獣 わが造形美術』(1995)。怪獣デザインの発想、自身の彫刻作品、映画特撮美術などその類稀なるアートセンスのすべてを語り尽くした名著に、初版刊行後の情報を年譜・目録に追加した増補改訂版。
(リットーミュージック 2750円)[amazon]

リー・ベーコン 『12歳のロボット ぼくとエマの希望の旅
〈ハヤカワ・ジュニア・ブックス〉
ぼくの世界は完璧だ。豊かな自然を守って全ては計算通りに進むロボットだけの社会。でも、いるはずのない人間エマを見つけてしまった……。ロボットと少女が心通わせる感動の物語。小学3年生~ 大谷真弓訳
(早川書房 1540円)[amazon]

ローレンス・ライト 『エンド・オブ・オクトーバー 上・下
謎の疫病の蔓延を封じ込めるため、感染症専門家ヘンリーは中東へ飛ぶ。だが時すでに遅く、全世界が疫病と戦火に飲み込まれ……。公手成幸訳
(ハヤカワ文庫NV 各1100円) [amazon]

エリザベス・ギルバート 『女たちのニューヨーク』
1940年、アメリカ。小さな町のお嬢様ヴィヴィアンは、大学を辞め、NYのショーの世界に飛び込んだ。華やかで刺激的な毎日。だが、それは突然終わる。彼女の過ちが、街中を騒がす醜聞になったのだ。恋人も友達も居場所も失い、彼女は初めて自分と向き合う。那波かおり訳
(早川書房 2640円)[amazon]


ベルナール・ミニエ 『夜』
ノルウェーで起きた奇怪な殺人事件の容疑者として悪名高い連続殺人鬼の名前が浮上。舞台は吹雪に閉ざされた北海の石油プラットフォームから、仏ピレネー山麓トゥールーズ、オーストリアの観光地へ。セルヴァズ警部シリーズ第4弾。伊藤直子訳
(ハーパーBOOKS 1440円)[amazon]

『短編回廊 絵から生まれた17の物語』
すべての絵には、物語がある。名だたる作家17人による文豪ギャラリー。奇才エドワード・ホッパーに捧げる短編集。ローレンス・ブロック、スティーヴン・キング他。田口俊樹他訳
(ハーパーBOOKS 1100円)[amazon]

〈ヒラヤマ探偵文庫〉
ジョージ・シムズ 『女探偵ドーカス・デーン』 平山雄一訳 取扱=盛林堂
馬場孤蝶 『悪の華』 取扱=盛林堂
『ベデカー・ロンドン案内1905年版』 平山雄一訳 取扱=盛林堂

《Re-ClaM》 第6号
特集=シャーロック・ホームズのライヴァルたちの帰還 内容
(Re-ClaM編集部 1500円) 取扱=盛林堂

光瀬龍 『光瀬龍ジュヴナイルSF未収録作品集』
単行本未収録作の中からジュヴナイルSFを中心に収録。大橋博之監修
盛林堂ミステリアス文庫 3500円)

谷口喜作 『龕の中 谷口喜作文撰
翻訳家平井程一の双子の実兄である和菓子舗 「うさぎや」 二代目主人谷口喜作、初の作品集。河東碧梧桐の高弟にして、芥川龍之介、永井荷風らとも親しくつきあった喜作は、自身も少なからぬ数の俳句・文章を残している。杉山淳・善渡爾宗衛 編纂
(東都 我刊我書房 8000円) 取扱=盛林堂

『「新青年」 趣味』 21号
特集=木々高太郎 目次
『新青年』研究会 2000円)取扱=盛林堂

『ゴヤの手紙
「国王ご夫妻以下、僕を知らない人間はいない」――寒村に生まれながら、大いなる野心を胸に宮廷画家に上りつめたゴヤ。美と醜、善と悪、快楽と戦慄……人間の表裏を描ききった巨匠の素顔とは?自由で即興的なデッサンのような手紙、画家としての主張を述べる意見書など、ゴヤを知る一級資料を詳細な註と共に編む。大高保二郎・松原典子編訳
(岩波文庫 1111円)[amazon]

モナ・アワド 『ファットガールをめぐる13の物語』
自分の体のサイズをめぐって悩みを抱える主人公エリザベス。同じようなコンプレックスをもつ女性たちとも関わって生きている。ダイエットに取り組み、次第に彼女は痩せていくのだが──。人が自分の体を生きることの居心地のわるさを描き出したモナ・アワドのデビュー作。加藤有佳織・日野原慶訳
(書肆侃侃房 1980円)[amazon]

アドルフォ・ビオイ=カサーレス 『英雄たちの夢』
〈フィクションのエル・ドラード〉
1927年、カーニバルに沸くブエノスアイレスの夜、エミリオ・ガウナは仲間たちとのどんちゃん騒ぎの末、意識もおぼろのまま 《仮面の女》 と邂逅する。女はいつのまにか消えてしまうが、疲労感のうちに人生の頂点をなす瞬間を経験する。あの夢のような体験をもう一度生きなおすべく、ガウナは3年後、再び仲間たちを引き連れてカーニバルにくり出すのだが……。ラプラタ幻想文学の旗手ビオイ・カサーレスによる、ボルヘスが 「世界で一番美しい物語」 と評した傑作。大西亮訳
(水声社 3080円)[honto]

内田百閒 『文豪怪奇コレクション 恐怖と哀愁の内田百閒』
漱石に学び、芥川龍之介と親交を結び、三島由紀夫らにより絶讃された、天性の文人、内田百鬼園。日本語の粋を極めたその文学世界は、幻想文学の一極北として、今もなお多くの読者を魅了してやまない。史上最恐の怪談作家が遺した、いちばん怖い話のアンソロジー。幽暗な魅力にあふれる百閒幻想文学の作品が満載の一冊。東雅夫編
(双葉文庫 825円)[amazon]

田辺剛 『インスマスの影 ラヴクラフト傑作集 1・2
1927年7月、ニューイングランドを周遊していた 「私」 は、頽廃した港町インスマスを訪れた。魚類を彷彿とさせる奇怪な風貌の人々が棲み、深い影に覆われたその町で、名状し難い 「宇宙的真実」 に触れてしまう運命にあることを、知る由もなく。クトゥルフ神話の最高傑作を、世界中から評価を受ける「ラヴクラフト描き」が完全漫画化。
(KADOKAWA 各858円)[amazon]

紀 蔚然 『台北プライベートアイ』
劇作家・大学教授の呉誠(ウ―チェン)は酒席の失態から台北の裏路地に隠遁し、私立探偵の看板を掲げることに。にわか仕立ての素人探偵は台北中を震撼させる猟奇連続殺人事件に巻き込まれ、警察から犯人と疑われる羽目に陥り、己の冤罪をはらすため、真犯人を見つけることを誓う。舩山むつみ訳
(文藝春秋 1980円)[amazon]

高橋和夫 『スウェーデンボルグ 科学から神秘世界へ
18世紀スウェーデンの科学者にして神秘思想家エマヌエル・スウェーデンボルグ。カルル12世の下で科学者として多彩な業績をあげながら、50代で神秘体験を得て神秘主義神学者へ転じ、ゲーテ、カント、バルザック、ドストエフスキー、コナン・ドイル、ポー、ボルヘスなど、数多の思想家や作家たちに影響を与けた巨人の生涯と思想の全貌を描く入門書。
(講談社学術文庫 1100円)[amazon]

風間賢二 『スティーヴン・キング論集成 アメリカの悪夢と超現実的光景
スティーヴン・キング研究の第一人者によるキング論の集大成。アメリカン・ベストセラーを牽引し続ける作家の作品世界が浮き彫りに。キングをより深く理解したい人に贈る、キング批評・作品論の決定版。
(青土社 3740円)[amazon]

シェイクスピア全集33 『終わりよければすべてよし』
善と悪とが縒り合された人物たちが、とめどなく刺激的な言葉を繰り出す問題劇。25年間にわたる個人訳、全巻完結。松岡和子訳
(ちくま文庫 1045円)[amazon]

都筑道夫 『妖精悪女解剖図 増補版
鬼才・都筑道夫の隠れた名作を増補し文庫化。〈女性〉をメインに据えた予測不能のサスペンス小説集。日下三蔵編
(ちくま文庫 1100円)[amazon]

源 顕兼 『古事談 上 ・下
鎌倉時代前期に成立した説話集の傑作。空海、道長、西行、小野小町など、奈良時代から鎌倉時代にかけての歴史、文学、文化史上の著名人の逸話集成。代々の知識人が歴史の副読本として活用してきた名著。各話の妙を、当時の価値観を復元して読み解く。現代語訳、注、評、人名索引を付した決定版。伊東玉美監修・訳
(ちくま学芸文庫 各1650円)[amazon]

レフ・トルストイ 『戦争と平和 5』
モスクワに入ったフランス軍はたちまち暴徒と化し、放火か失火か、市内は大火で焼かれてしまう。使命感からナポレオン殺害を試みるピエール。退去途中で偶然、重傷のアンドレイを見つけたナターシャは、懸命の看護で救おうとするのだが……。望月哲男訳
(光文社古典新訳文庫 1232円)[amazon]

ジークムント・フロイト 『フロイト、夢について語る』
主著『夢解釈』を刊行後も、フロイトは次々と増補改訂を行い、さまざまな論考で自説を補足してきた。本書は、その後の「メタ心理学」の構想を境として、夢についての考察、理論がどのように深められ、展開されたかを六つの論考からたどる。中山元訳
(光文社古典新訳文庫 1144円)[amazon]

黄春明 『黄春明選集 溺死した老猫』
困難な政治状況が続いた台湾社会で、弱い立場におかれた民衆の現実を温かい眼差しで見つめながら、老若男女の悲哀と喜び、苦難と希望をユーモアあふれる筆致で描き続けてきた黄春明。1960年代以降の現代台湾文学を牽引してきた作家の代表的な短編10篇と、訳者によるインタビューなどを収録。西田勝訳
(法政大学出版局 2860円)[amazon]

岡田鯱彦 『駒形堂の藤吉親分捕物話』
著者最後の作品 「藤吉親分捕物話」 全3話(昭和51)に 「江戸改板 西鶴浮世草子」(昭和28) を併録。オンデマンド出版
(捕物出版 1430円)[amazon]

ポール・ギャリコ 『ほんものの魔法使』
魔術の都マジェイアにやってきた若者アダムは少女ジェインを助手に、魔術師名匠組合への試験に挑むが……ギャリコ一流の大人のためのおとぎ話。矢川澄子訳
(創元推理文庫 968円)[amazon]

マウリツィオ・デ・ジョバンニ 『誘拐 P分署捜査班
P分署管内の美術館から少年が消え、捜査が進むうちに誘拐されたと判明。ほかにも事件が発生する中、型破りな刑事たちは必死に少年の行方を追う。21世紀の87分署シリーズ。直良和美訳
(創
元推理文庫 1100円)[amazon]

キアラン・カーソン 『琥珀捕り』
この作品には、A(対蹠地)にはじまりZ(回転のぞき窓)で終わる、ギリシャ神話、中世キリスト教聖人伝、アイルランド民話から望遠鏡や潜水艦の発明に至る、一見無関係な26の単語にまつわる物語が納められている。それぞれの物語は登場する単語やイメージによって、次々と別の物語に高飛びし、そして終点にたどり着いたとき、読者はひとつの長い物語を読んでいたことに気づく。「文学におけるカモノハシ」 と言われた驚異の物語。栩木伸明訳
(創元ライブラリ 1650円)[amazon]

ヤンシィー・チュウ 『夜の獣、夢の少年 上・下
ダンスホールで働くジーリンは、ダンス中に客の男のポケットに入っていたあるものを、偶然抜き取ってしまう。ガラス容器に入れられた、干からびた人間の指。なんとか返そうとジーリンは男の行方を捜すが、男は死亡していた。どうやらその指はパトゥ・ガジャ病院の看護婦から手に入れたお守りらしい……。英国植民地のマラヤを舞台にした、東洋幻想譚。圷香織訳
(創元推理文庫 各1100円)[amazon]

クリス・ヴィック 『少女と少年と海の物語』
そのヨットには七人の少年が乗っていたが嵐で転覆。救命ボートに乗り損なったビルは、小さなボートで漂流中、他の船で難破したらしく同じく漂流している一人の少女を救出する。少女はベルベル人のアーヤと名乗る。ビルは乏しい食料を彼女と分け合い、アーヤはビルに物語を語って聞かせる。互いに心を通わせる二人に刻々と死の危険が迫っていた……。カーネギー賞最終候補作。杉田七重訳
(東京創元社 3300円)[amazon]

C・J・チューダー 『白墨人形』
あの日、僕たちが見つけた死体。その始まりは何だったのか。みんなで遊園地に出かけ、悲惨な事故を目撃したときか。白墨のように真っ白なハローラン先生が町にやってきたときか。それとも僕たちがチョークで描いた人形の絵で秘密のやりとりを始めたときか。少年時代の美しい思い出と、そこに隠された忌まわしい秘密。叙情とたくらみに満ちた傑作サスペンス。中谷友紀子訳
(文春文庫 1100円)[amazon]

《東京人》 6月号 特集「江戸東京探偵散歩」 地図で写真で旅する
主人公が縦横無尽に街を探索する探偵小説には、街の個性や時代性が顕著に現れている。神田の半七、長谷川平蔵、明智小五郎、金田一耕助、法水倫太郎……、そしてあのシャーロック・ホームズも東京に!? 江戸から昭和、そして令和まで――江戸東京を舞台に数々の難事件を解決してきた探偵たちの足跡を、地図や写真を手がかりに辿る。
(都市出版株式会社 950円)[amazon]

フリードリヒ・キットラー 『書き取りシステム1800・1900』
ドイツ・メディア学を牽引したF・キットラーの代表作にして、20世紀後半の知に大きな影響を与えた記念碑的大著。ファウストの聖書翻訳が切り開く 「1800」 の、詩・哲学・教育。ニーチェのタイプライター導入に始まる 「1900」 の、文学・精神分析・メディア技術。二つの 「書き取りシステム」 の間で、書く行為はいかにその地位を変容させたか。厖大な文献を博捜して描く革新的なメディアスシステム論。目次 大宮勘一郎・石田雄一訳
(インスクリプト 9350円)[amazon]

戸川安宣 『ぼくのミステリ・コンパス 朝日新聞連載コラム1978-1992
1978年~1992年に朝日新聞に連載したコラムをまとめた一冊。
亀鳴屋 2200円)

山田風太郎 『外道忍法帖 山田風太郎傑作選 忍法篇
切支丹の隠し財宝をめぐって、三つ巴の激闘を繰り広げる45人の忍者たち。怒涛の展開と凄絶なラストが胸を打つ、不朽の忍法帖。
(河出文庫 9792円)[amazon]


▼4月刊

木村二郎 『おれって本当にハードボイルド探偵なの? 会話形式によるミステリー・エッセイ集
海外ミステリーの研究家・翻訳家にして、作家としても活躍する著者の軽妙洒脱なミステリー論集。サム・スペイド、フィリップ・マーロウからキンジー・ミルホーンまで、さまざまな私立探偵の実像に迫り、最先端のアメリカ・ミステリー諸作を語り、「ハードボイルド」の真実を解明する。オンデマンド出版
(扶桑社 1254円)[amazon]

ボリス・ヴィアン 『ボリス・ヴィアン シャンソン全集』
『日々の泡』 など多くの名作を執筆した小説家にして、クロード・アバディ楽団のトランペッターでもあったボリス・ヴィアン。そのヴィアンが作詞を手がけた 『脱走兵』 『俺はスノッブ』 など400曲以上ものシャンソンを全訳する、本邦初のシャンソン全集。浜本正文訳
(国書刊行会 3850円)[amazon]

クラーク・アシュトン・スミス 『記憶の淵より  C・A・スミス散文詩集
アンブローズ・ビアスらに賞賛されたC・A・スミスの散文詩の一群。ゾシークやアヴェロワーニュ、リュペポレオスを髣髴させる散文詩44篇を集成。表題作はじめ、幻想と怪奇味の横溢する本邦初のクラーク・アシュトン・スミス散文詩集。矢藤生葉訳。
(5000円 綺想社) 取扱=盛林堂

クライブ・カッスラー&ボイド・モリソン 『亡国の戦闘艦〈マローダー〉を撃破せよ! 上・下
マラッカ海峡で石油タンカーがテロリストの攻撃を受け、メルボルンではアメリカ人上院議員の家族を狙ったテロ攻撃が企てられる。二つの事件にいち早く介入し、早期解決に導いたのは、ファン・カブリーヨ船長率いる新生オレゴン号のメンバーだった。新たな救難信号を受信したオレゴン号はティモール海に駆けつけるが……。伏見威蕃訳
(扶桑社ミステリー 各990円)[amazon

ジョン・ハート 『帰らざる故郷』
1972年、アメリカ。ベトナム戦争中に海兵隊を不名誉除隊させられ刑務所にいた兄と、数年ぶりに再会した弟。しかし、町で起こるある惨殺事件が、彼らを引き離す――戦争が人々の心に残した傷跡、そして兄弟の絆を描くクライム・フィクション。東野さやか訳
(ハヤカワ・ミステリ 2310円)[amazon]

アンデシュ・ルースルンド 『三時間の導線 上・下
遺体安置所に現れた「あるはずのない」死体。グレーンス警部がその謎を追うが……傑作『三分間の空隙』から続くシリーズ新作登場。清水由貴子訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 各1144円)[amazon]

フランク・グルーバー 『正直者ディーラーの秘密』
〈論創海外ミステリ〉
ネバダ州の砂漠地帯を車で走行中、ジョニー&サムは瀕死の男に出会い、一組のトランプを託された。カジノで一儲けを目論む二人は、そのまま車をラスベガスへ向けて走らせるが、途中でいわくありげな美女ジェーンと知り合う。トランプの謎とカジノと美女が一つの物語を織りなす時、凸凹コンビに大いなる禍が降りかかる。松尾恭子訳
(論創社 2200円)[amazon]

赤江瀑 『魔軍跳梁 赤江瀑アラベスク2
嵯峨の地獄野。化野とも呼ばれる地で現世に背を向けて孤独に暮らす篠子の前に現れた二人の美童の幻。過去からよみがえる愛憎と妄執が苛烈な印象を残す名作 「花曝れ首」 ほか、人と魔の織りなす情念の世界を練達の筆で描き出す傑作17編。東雅夫編
(創元推理文庫 1540円)[amazon]

ネイサン・イングランダー 『地中のディナー』
イスラエルの砂漠にある秘密基地の独房。看守は将軍の命令で囚人Zを監視している。長年二人きりで、彼らは親交を結んでおり、囚人Zは毎日将軍に手紙を書いて看守に託している。この奇妙な関係が始まったのはなぜなのか。ユダヤ系アメリカ人の学生からイスラエルの諜報員になった囚人Zの、悲惨で数奇な人生とは。小竹由美子訳
(東京創元社 2420円)[amazon]

ロバート・シルヴァーバーグ 『小惑星ハイジャック』
23世紀、宇宙産業の発展に伴い、資源の宝庫たる小惑星帯は採掘ブームに湧いた。ジョン・ストーム24歳も大企業の就職を断り、恋人を地球に待たせて小惑星帯へ出かけた。最後の最後に大鉱脈をもつ小惑星を見つけた……はずだったが、地球へ帰った彼は、登記したはずの小惑星の記録がないこと、さらには2年前に宇宙へ出た彼自身の記録もないことを知らされる。伊藤典夫訳
(創元SF文庫 858円)[amazon]

マデリン・ミラー 『キルケ』
ギリシア神話に登場する女神で魔女のキルケ。愛する者を守り、自分らしく生きようとする、遠くて近い一人の女性として、今、語り直される――。世界的な注目を集める作家による魔法のような物語。女性小説賞 最終候補作。野沢佳織訳
(作品社 3960円)[amazon]

《怪と幽》 vol.007

〈特集=LOVE 民話〉
民話――昔話、伝説、世間話といった口碑伝承は、いまも私たちの生活に息づいている。明治から昭和にかけて柳田國男ら民俗学者が聴き集めた 「話」。昭和50年代の 「民話ブーム」。そしてネット社会の現代でも 「話」 は、変化を遂げながら常に生まれ続けている。お化け好きをとりこにし続ける民話の魅力を再発見しよう。
(KADOKAWA 1980円)[amazon]

トーン・テレヘン 『キリギリスのしあわせ』
森のはずれにお店を構えるキリギリスと、とんでもないものを買いにくるどうぶつたち。『ハリネズミの願い』 に続く大人のための物語。長山さき訳
(新潮社 1430円)[amazon]

キャロル・シーモア-ジョーンズ 『化粧した影 T・S.・エリオットの最初の妻 ヴィヴィアンヌ・エリオットの生涯
エリオットの「影」であり続けた最初の妻ヴィヴィアンヌの伝記に見られる日記、ノート、書簡などを通して、学究肌で敬虔な宗教生活を送ったと言われる彼の知られざる世界に踏み込み、「伝記と作品」の関係に一石を投じた問題作。村田俊一訳
(松柏社 10,450円)[amazon]

フィリップ・プルマン 『神秘の短剣 ダーク・マテリアルズⅡ 上・下
アスリエル卿を追って謎のオーロラへ足を踏み入れたライラと、行方不明になったままでいる探検家の父親を探していた少年ウィル。二人はそれぞれの住む世界から時空を超え、第三の世界チッタガーゼへ迷い込んだ。異世界の住人たちが続々と動き出す、波乱の第二幕。大久保寛訳
(新潮文庫 737円/693円)[amazon]

フェルナンド・アラムブル 『祖国 上・下
夫を殺したのは親友の息子? バスクを舞台にごく普通の二つの家族が「愛国心」のもとに引き裂かれていく。大ベストセラー。木村裕美訳
(河出書房新社 3300円/3630円)[amazon]

高原英理編 『少年愛文学選』
当時僕は……昼となく夜となく、ただもう彼のことばかり思いつめていた――江戸川乱歩、堀辰雄、川端康成、中井ら男性作家による少年が少年を愛する物語。【収録作家】 山崎俊夫、折口信夫、江戸川乱歩、倉田啓明、木下杢太郎、武者小路実篤、稲垣足穂、堀辰雄、大手拓次、村山槐多、川端康成、中井英夫、塚本邦雄、春日井建、高原英理
(平凡社ライブラリー 1980円)[amazon]

亀井俊介 『英文学者 坪内逍遥』

人文学の危機が叫ばれる昨今──この状況を打開する方策を探し求める人たちにとって、「融会自在」 な学風を打ち立てた坪内逍遙の英文学活動は、学ぶべきところ無限にあるように思えるのだ。まさに 「逍遙に還れ」 である。目次
(松柏社 2750円)[amazon]

阿部公彦 『英文学教授が教えたがる 名作の英語』
フィッツジェラルド、ヘミングウェイ、ポー、村上春樹――東大で教えられている英米文学から、英語を学ぶ。名作短編から、文法や英文読解を徹底学習。この一冊で「英語力」と「思考力」を養える。わかりやすい原文和訳併置と、充実した作品解説つき。
(文藝春秋 1925円)[amazon]

フィリップ・プルマン 『黄金の羅針盤 ダーク・マテリアルズⅠ 上・下
ライラの世界では誰もが自分の守護精霊(ダイモン)と生きている。宿主と一心同体、片時も離れることができず、心が通じ合っている。世界が熱狂した冒険ファンタジー。大久保寛訳
(新潮文庫 各781円)[amazon]

アンナ・チマ 『シブヤで目覚めて』
プラハで日本文学を学ぶヤナと、透明になって渋谷を彷徨うヤナの「分身」。ふたつの物語が街をつなぐ、新世代幻想ジャパネスク小説。阿部賢一・須藤輝彦訳
(河出書房新社 予価2970円)[amazon]

ホレーショ・ウィンズロウ&レスリー・カーク 『虚空に消える』 別冊Re-ClaM Vol.4
錠のかかった部屋から易々と脱出する強盗犯セイラム・スプークが列車事故で落命、犯罪学者クロッツ博士によって死亡を確認された……はずだった。しかし、降霊会で自分を逮捕したクロッツへの復讐を宣言した幽霊は、不可思議な事件を次々に起こしながらその魔手を伸ばしていく。密室ミステリ研究家エイディーが推奨する不可能犯罪物。宇佐見崇之訳
Re-ClaM編集部 2000円) 取扱=盛林堂

宮野村子 『童女裸像 他八篇
ミステリ作家・宮野村子(叢子)の単行本未収録作品集第2弾。未発表作 「童女裸像」 他を収録。
盛林堂ミステリアス文庫 3000円)

《SFマガジン》 6月号
異常論文特集 内容
(早川書房 1320円)[amazon]

R・L・スティーヴンソン&ファニー・スティーヴンソン 『爆弾魔 続・新アラビア夜話
恐怖の爆弾テロリストたちの暗躍を物語の経糸にして、黄昏の世紀末ロンドン、合衆国の荒野、はたまたカリブ海の小島を舞台に繰り広げられる、怪奇で波瀾万丈な奇談の数々。コナン・ドイルやマッケンにも大きな影響を与えた連作小説、本邦初訳。南條竹則訳
(国書刊行会 2970円)[amazon]

横溝正史 『雪割草』
出生の秘密のせいで嫁ぐ日の直前に破談になった有爲子は、長野県諏訪から単身上京する。戦時下に探偵小説を書くことを禁じられた横溝正史が新聞連載を続けた作品が蘇る。著者唯一の大河家族小説。2017年に発見された横溝正史の幻の新聞連載小説、初文庫化。
(角川文庫 1276円)[amazon]

ヒュー・ロフティング 『ドリトル先生と月からの使い』
ドリトル家には楽しい動物の施設がいっぱい。なかでも犬のケッチ教授の博物館では、変わった発掘品が集められ、ちょんまげ犬の物語など、毎晩愉快なお話会が開かれる。そんなある日、お庭に謎の巨大生物が舞い降りた……。河合祥一郎訳
(角川文庫 770円)[amazon]

松岡正剛 『千夜千冊エディション 仏教の源流』
古代インドの「空」と「縁起」の思想。ブッダは一切を空であると説き、涅槃に至る。やがて仏教は個の救済から鎮護国家へ向かい、中国へ伝播した。西洋知が届かないダイナミックな思想体系が始まる。
(角川ソフィア文庫 1694円)[amazon]

ウィンストン・ブラック 『中世ヨーロッパ ファクトとフィクション
中世ヨーロッパは古代ローマとイタリア・ルネサンスに挟まれた暗黒時代だった?狡猾なカトリック教会の言いなりで、迷信を好んで科学を拒み、野蛮で不潔だった?それとも、騎士が華麗に戦い、魔法と妖精が出てくるおとぎの世界?中世ヨーロッパに関する11のフィクションをとりあげ、私たちの中世観がどのように作られてきたのか、実際どうだったのかを、豊富な一次史料とともに提示する。大貫俊夫監訳
(平凡社 3520円)[amazon]

クロエ・ベンジャミン 『不滅の子どもたち』
マンハッタンに住むゴールド家のきょうだいは、幼いころ、近所で評判の占い師に会いにいき、自分が死ぬ日を告げられる。その後4人は生物学者、軍医、マジシャン、ダンサーと、それぞれの道に。これは、予言された 「あの日」 に繋がる道なのか。4人きょうだいの、選択と宿命が織りなす 「生」 を鮮やかに描き、全米を魅了した話題作。鈴木潤訳
(集英社 3080円)[amazon]

柴田元幸 〔編・訳・註〕 『英文精読教室1 物語を楽しむ』
英語で書かれた最良の小説を精選し、読者が一人で隅々まで味わえるよう、詳細な注と解説を施した全6巻シリーズ。読者が自分の読みを確認できるよう、対訳も付す。第1巻はジェイコブズ 「猿の手」、S・ジャクソン 「くじ」、ル=グィン 「オメラスから歩き去る者たち」、カズオ・イシグロ 「日の暮れた村」 他。内容
(研究社 2420円)[amazon]
柴田元幸 〔編・訳・註〕 『英文精読教室2 他人になってみる』
スチュアート・ダイベック 「ファーウェル」、 ポール・ボウルズ 「あんたはあたしじゃない」、レベッカ・ブラウン 「A Vision」、リン・ディン 「"!"」 他。内容
(研究社 2420円)[amazon]

北村一真 『英文解体新書2 シャーロック・ホームズから始める英文解釈』
100年以上も前の英語を読むなんて時代遅れ、などと言う勿れ。学校や受験で勉強したことがこれほど生き、そしてまた構文の把握力を鍛えるのにこれほどふさわしい英語はありません。コナン・ドイルの英語を読んだあとは、ポー、スティーヴンソン、H.G.ウェルズなどの英語にも挑戦してみましょう。目次
(研究社 2420円)[amazon]

ジェームズ・ロリンズ 『タルタロスの目覚め 上・下
グリーンランドの氷河の下から9世紀のアラブの船が見つかった。だが、謎のグループの襲撃を受け、調査チームは船内にあった機械仕掛けの地図を奪われ、海洋考古学者のエレナも拉致された。調査チームの一人が持ち帰った地図の付属品を手がかりに、シグマフォースのピアース隊長たちはイタリアに赴くが……。桑田健訳
(竹書房文庫 各880円)[amazon]

萩尾望都 『一度きりの大泉の話』
「ちょっと暗めの部分もあるお話 ―― 日記というか記録です。人生にはいろんな出会いがあります。これは私の出会った方との交友が失われた人間関係失敗談です」 ――出会いと別れの“大泉時代"を、現在の心境もこめて綴った70年代回想録。
(河出書房新社 1980円)[amazon]

エドガー・アラン・ポー 『赤い死の舞踏会 付・覚書(マルジナリア)
「赤い死」が蔓延するなか、千人の友達と僧院に避難したプロスペロ公は壮麗な仮装舞踏会を催した――表題作ほか、「メッツェンガアシュタイン」 など短篇小説10篇と、蔵書の行間に書き込んだ思考の断片 「覚書(マルジナリア)」 を収録。吉田健一訳
(中公文庫 1100円)[amazon]

ヘレーン・ハンフ 『チャリング・クロス街84番地 増補版
ロンドンの古書店に勤める男性と、ニューヨークに住む本好きの女性。大西洋をはさみ、20年にわたって交わされた手紙には、読書の愉しみと相手への思いやりがあふれていた。本作発表後のあたたかい反響を描いた記事 「その後」 を新たに収録する。江藤淳訳
(中公文庫 902円)[amazon]

ジョン・デイ 『わが家をめざして 文学者、伝書鳩と暮らす
鳩の訓練は子育てに似ている――。イギリスの文学者が、鳩レースに参加しながら、家(ホーム)とは、故郷とは何なのかを考察していく。宇丹貴代実訳
(白水社 3300円)[amazon]

スザンヌ・キャラハン 『なりすまし 正気と狂気を揺るがす、精神病院潜入実験
脳炎を精神病と誤診された過去を持つジャーナリストは、かつて全米医学会を大きく揺るがした心理学実験――精神病患者になりすまして病棟に潜入する 「ローゼンハン実験」 の調査・取材を開始する。やがて、実験に隠されたある奇妙な点に気が付く。次第に明らかになる衝撃の真実とは!? 宮﨑真紀訳
(亜紀書房 2420円)[amazon]

ユン・イヒョン 『小さな心の同好会』
〈となりの国のものがたり〉
社会から軽んじられてきた主婦たち、いつのまにか生じた溝にゆれるLGBTカップル、社内での性暴力を告発した女性……。すこしの誤解やすれ違いから愛する人や大切な仲間を一瞬にして失う痛み。私たちは、なぜ分かりあえなかったんだろう? やり場のない怒りや悲しみにひとすじの温かな眼差しを向け、〈共にあること〉を模索した11の物語。古川綾子訳
(亜紀書房 1760円)[amazon]

イタロ・カルヴィーノ 『スモッグ』
存在の仕方が異なる五人の副次的人物との関わりから描かれる 「私」 という人物像。樹上を軽やかに渡り歩く 「ペンのリス」 カルヴィーノの1950年代の模索がここにもある。表題作ほか掌篇4篇併載。本邦初訳。柘植由紀美訳
(鳥影社 1980円)[amazon]

生島治郎 『死者だけが血を流す/淋しがりやのキング 日本ハードボイルド全集1
第二次世界大戦後、独自に発展した日本のハードボイルド/私立探偵小説。その草創期に大きな足跡を残した作家たちの作品を全七巻に集成。第一巻は生島治郎の巻。地方都市の腐敗した選挙戦を冷徹に描ききる長編 『死者だけが血を流す』 に、港町にうごめく人々の悲哀を海のブローカー久須見健三の視点で切り取った 「チャイナタウン・ブルース」 「淋しがりやのキング」 など6短編を収録。北上次郎・日下三蔵・杉江松恋編
(創元推理文庫 1650円)[amazon]

アガサ・クリスティ 『スタイルズ荘の怪事件 新訳版
旧友の誘いで ヘイスティングスが滞在中の 〈スタイルズ荘〉 で起きた毒殺事件。被害者は20歳ほど年下の男と婚約した屋敷の女主人で、死因はストリキーネだった。雲をつかむような事件に挑むのは、灰色の脳細胞で難事件を解決する名探偵エルキュール・ポワロ。ミステリの女王の記念すべきデビュー作。山田蘭訳
(創元推理文庫 968円)[amazon]

ホーカン・ネッセル 『殺人者の手記 上・下
「エリック・ベリマンの命を奪うつもりだ。きみに止められるかな?」 シムリンゲ署のバルバロッティ捜査官が受け取ったのは、殺人予告ともとれる手紙だった。念のため休暇先から署に連絡して調べてもらうが、同名の人物が複数いて手間取っているうちに、本当に遺体が発見される。そしてバルバロッティのもとに新たな予告状が……。スウェーデン推理作家アカデミーの最優秀賞受賞作。久山葉子訳
(創元推理文庫 各1144円)[amazon]

ステフ・チャ 『復讐の家』
人種間の緊張が高まるLA近郊で女性が狙撃された。だが、被害者には秘められた驚愕の過去があり……。圧巻の社会派サスペンス。宮内もと子訳
(集英社文庫 1375円)[amazon]

図師宣忠 『エーコ 『薔薇の名前』 迷宮をめぐる〈はてしない物語〉
〈世界を読み解く一冊の本〉
『薔薇の名前』 の緻密な物語は、ディテールを押さえてこそ楽しめる。エーコの想像力の源泉にして「舞台装置」である中世ヨーロッパを、背景知識から丁寧に解説。知の巨人が綿密に作り上げた「中世」の世界を、鳥の目と虫の目を通じて読み解いてみよう。
(慶應義塾大学出版会 2640円)[amazon]

エリザベス・ボウエン 『ホテル』
イギリスの風習喜劇の雰囲気と1920年代戦間期の不安な心理を、地中海の陽光まぶしいひと夏に鮮やかに浮かび上がらせたボウエンの手腕、長篇デビュー作。〈ボウエン・コレクション2〉 第1回配本。太田良子訳
(国書刊行会 2970円)[amazon]

ナイオ・マーシュ 『裁きの鱗』
封建的な風習が残るイギリスの田舎、准男爵ハロルド卿は亡くなる前に、回想録の原稿をカータレット大佐に託し、出版を依頼していた。その数日後、大佐が殺害され、その死体の傍らには地元で「伝説の大物」とされる鱒が置かれていた。ロデリック・アレン警部シリーズ Scales of Justice (1955) 松本真一訳
(風詠社 1450円)[amazon]

R・オースティン・フリーマン 『ソーンダイク博士短篇全集Ⅲ パズル・ロック
1920年代の探偵小説“黄金時代”に入り、さらに円熟味を増したソーンダイク探偵譚。短篇集 『パズル・ロック』 (1925)、『魔法の小箱』 (1927) は、暗号、毒殺、アリバイ、バラバラ死体などの多彩なテーマを取り上げ、独創的なトリックやプロットの妙で読者を魅了する傑作が目白押し。「パズル・ロック」 「バーナビー事件」 「バーリング・コートの幽霊」 「砂丘の謎」 「ポンティング氏のアリバイ」 ほか全18篇を収録。付録エッセーはフリーマン研究家P・M・ストーンの「キングズ・ベンチ・ウォーク五A」。全3巻完結。渕上痩平訳。MORE
(国書刊行会 4180円)[amazon]

チョ・ナムジュ 『ミカンの味』
中学校の映画サークルで出会ったソラン、ダユン、ヘイン、ウンジは 「いつも一緒にいる4人」 だった。中学3年に上がる直前、旅先の済州島で彼女たちは衝動的にある約束をするのだが──。『82年生まれ、キム・ジヨン』 の著者、チョ・ナムジュの新作長編小説。矢島暁子訳
(朝日新聞出版 1760円)[amazon]

廣野由美子 『小説読解入門 『ミドルマーチ』 教養講義
小説はいかに読めるか。19世紀英国の地方都市を舞台としたG・エリオットの長編 『ミドルマーチ』 を実例に、前半の 「小説技法篇」 で作家の用いるテクニックを解説。後半の 「小説読解篇」 では、歴史や宗教、科学、芸術などの〈教養〉を深める11の着眼点で、小説の愉しみ方を伝授する。
(中公新書 990円)[amazon]

ウンベルト・エーコ 『ウンベルト・エーコのテレビ論集成』
『薔薇の名前』 の著者が、メディア、大衆、物語、文化批評、パロディといった多様な切り口で、テレビの本質を読み解く充実の一冊。和田忠彦訳
(河出書房新社 3740円)[amazon]

ヨハネス・ヴィルヘルム・イェンセン 『王の没落』
デンマークの作家イェンセンによる傑作歴史小説。凶暴な王クリスチャン2世と破滅的な傭兵ミッケル。二人の運命を中心に16世紀北欧の激動を描く。視覚、聴覚、幻覚のイメージを巧みに駆使した生々しい筆致が胸に刺さる。「20世紀最高のデンマーク小説」 として読みつがれる、ノーベル賞作家の代表作。長島要一訳
(岩波文庫 1122円)[amazon]

アルベール・カミュ 『ペスト』
194*年、アルジェリアのオランにペストが発生した。市門は閉ざされ、疫病が猛威を振るう。絶望と混乱と不正が満ちる中、医師リユーは治療に奔走し、それを助ける保険隊も結成される。理不尽な悪に抗う人びとの心理と言動を描き、巨大な災禍のたびに読み直される傑作。国際的なカミュ研究者による新訳が、作品の魅力が蘇らせる。三野博司訳
(岩波文庫 1320円)[amazon]

ヴァルター・ベンヤミン 『パサージュ論 三』
夢と覚醒の弁証法的転換に、ベンヤミンは都市の現象を捉え、根源の歴史に至る可能性を見出す。集団的意識・想起から歴史を再考する [K]、都市を歩く遊歩者の視線をつづる [M]、認識方法についてのマニフェスト [N] など、思想的方法論や都市に関する諸断章を収録。今村仁司他訳
(岩波文庫 1320円)[amazon]

川端康雄 『オーウェルのマザー・グース 歌の力、語りの力
『一九八四年』 『動物農場』 など政治的な含意が強調されがちなジョージ・オーウェルの作品。だが、著者はその作品群のなかに、童謡や伝統文化、ユーモアの要素を丹念に読み解き、オーウェルがディストピアに込めた「希望」を救い出す。オーウェル研究の第一人者である著者の代表作に関連エッセイを加えた決定版。
(岩波現代文庫 1672円)[amazon]

タム・オマリー 『幻獣とモンスター 神話と幻想世界の動物たち
〈アルケミスト双書〉
神話のなかの幻獣たちは、今もつきることのない想像力の源泉となっている。アッシリア時代からの古い図版を集め、人びとが神話のモンスターたちをどのように幻視したかを明らかにする。山崎正浩訳
(創元社 1320円)[amazon]

ディーン・クーンツ 『ミステリアム』
自閉症の少年×特殊な才能を持つゴールデンレトリバー。彼らの運命が重なるとき、邪悪な “何か” が蠢きはじめる。名作 『ウォッチャーズ』 に続く衝撃の全米ベストセラー。松本剛史訳
(ハーパーBOOKS 1300円)[amazon]

カルメン・モラ 『花嫁殺し』
蟲に殺された美しき花嫁。7年前のおぞましい猟奇殺人の模倣か、それとも――スペイン警察・特殊分析班シリーズ第1弾。宮﨑真紀訳
(ハーパーBOOKS 1210円)[amazon]

ウィルソン夏子 『エドマンド・ウィルソン 愛の協奏曲』
詩人のエドナ・セント・ヴィンセント・ミレイ、舞台女優のメアリー・ブレア、作家のメアリー・マッカーシー、アナイス・ニン……20世紀を代表する大批評家が日記に記した華麗なる女性遍歴を義理の娘の目から描く、型破りの評伝。
(作品社 3740円)[amazon]

横田順彌 『大聖神』
怪電波の謎を解くべく、快男児中村春吉が東蒙古奥地へと向かう。明治バンカラ豪傑シリーズ、初の長篇。編集=日下三蔵
(竹書房文庫 1320円)[amazon]

『情報の歴史21』 情報工学研究所 構成/松岡正剛 監修
7000万年前の哺乳類の抬頭から2020年の新型コロナウイルス出現までを収録。見開きをタテ5つのテーマブロックに分割し、文明・文化・交易・技術・信仰・思想・創造・記録といった多様な情報の表出を時系列に配列。日本と世界の出来事が入り混じり、ヘッドラインや縦横の見出しが呼応する、分野を超越した関係の発見を呼び覚ます画期的な世界同時年表。『増補版 情報の歴史』 (1998) に、1996年から2020年を追加収録。
編集工学研究所 7480円)[amazon]

『式場隆三郎 [脳室反射鏡] 展図録』
精神科医としての医業の傍ら、民藝運動、ゴッホ研究、二笑亭調査など多才な活動を行ない、約200冊の著作を著した式場隆三郎(1898-1965)の足跡を辿った展覧会図録。
(新潟市美術館オンラインショップ 2800円)

ヴィクトリア・マス 『狂女たちの舞踏会』
19世紀末、パリ。少女ウジェニーは 「霊が見える」 と告白したために、家族に勘当され精神病院に入れられた。そこでは女性の苦悩やトラウマが 「狂気」 と診断されていた。病院で行われた公開講義や舞踏会の史実を元に、社会から排除された女性たちを描いた小説。永田千奈訳
(早川書房 2640円)[amazon]

アレックス・パヴェージ 『第八の探偵』
探偵小説黄金時代に一冊の短篇集を発表して以来、孤島で暮らす作家。その秘密とは? 7篇の作中作が織り込まれた傑作ミステリ。鈴木恵訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 1254円)[amazon]

ディーパ・アーナパーラ 『バザールの少年探偵』
インドのスラムに住む9歳のジャイ。地域の子供たちが次々に失踪する事件を解決しようと、夜のバザールや危険な駅に潜り込む……。坂本あおい訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 1408円)[amazon]

キャロル・スタイヴァース 『マザーコード』
バイオ兵器が致死的感染症となり、世界中に広まった。人類滅亡の危機に、〈マザー〉 ボットによる人類養育計画が発動するが……!? 金子浩訳
(ハヤカワ文庫SF 1386円)[amazon]

オイズル・アーヴァ・オウラヴスドッティル 『花の子ども』
母が遺した珍しいバラを持って、僕は出発する。めざすは、外国の庭園。でも旅はトラブル続き。機内で腹痛にもだえ、森でさ迷う。当の庭園は荒れ果て、意外な客が現れる。僕と一夜だけ関係をもった女性が、赤ん坊を預けにきたのだ。父親ってどうなればいいの? 神崎朗子訳
(早川書房 2310円)[amazon]

イーニッド・ブライトン 『五人と一匹見つけ隊 見つけ隊と燃える小屋のなぞ』
〈ハヤカワ・ジュニア・ブックス〉
春休みの夜、近所の小屋が誰かに燃やされた。子ども5人と一匹、ぼくらだけで犯人を見つけよう! 現場調査、容疑者への聞き込み、真夜中の潜入捜査……みんなで見つけた手がかりは、意外な犯人に繋がっていた! 河合祥一郎訳
(早川書房 1430円)[amazon]

田村博 『日本昭和トンデモ恐竜大全』
火を噴く山や荒れ狂う海をバッグに死闘を繰り広げたあの頃の恐竜たち。インパクト大のその姿は、かつてぼくらを強烈にワクワクさせてくれた。雑誌や図鑑、ソフビに食玩など、これぞまさに昭和的“ジュラシック・ワールド。
(辰巳出版 1650円)[amazon]

ヘンリック・イプセン 『ヘッダ・ガブラー』
世紀末閉塞社会の女性心理を描いた近代リアリズム演劇の白眉。あるいは、『人形の家』 のパロディか!? 詳細な注釈をつけて新たに訳されたイプセンの傑作。毛利三彌訳
(論創社 1650円)[amazon]

フランシス・ホジソン・バーネット 『小公女』
女子寄宿学校に預けられたセーラはプリンセスさながらの特別扱いを受けていたが、学校最大のパトロンであった父親の訃報と破産が知らされ、セーラに少しの財産も残らないことがわかった途端……少女の不屈の精神と、数奇な運命を描く。土屋京子訳
(光文社古典新訳文庫 1386円)[amazon]

『ワタリガニの墓 韓国現代短編選
江華島で出会った素性の知れない女は、渇きを充たすようにカニの醬油漬けを貪る――。クォン・ジエによる表題作をはじめクォン・ヨソン 「桃色のリボンの季節」、ハ・ソンナン 「隣の家の女」 など12編からなる、韓国現代文学のアンソロジー。金明順訳 目次
(クオン 2530円)[amazon]

ロバート・E・ハワード 『叛徒たちの海 生意気娘號の叛乱』
ハワードのスパイシー小説ワイルド・ビル・クラントン・シリーズ、「叛徒たちの海」 「水割りは死の匂い」 「砂漠の血華」 を収録。海野しぃる訳
(綺想社 4500円) 取扱=盛林堂

『『新青年』 名作コレクション』 『新青年』研究会編
探偵小説の牙城として江戸川乱歩をはじめ多くの作家を輩出した伝説の雑誌『新青年』の傑作集。年代別に構成し、探偵小説に限らず、評論、編集後記、戦中戦後の諸作品も多数収録。各章、各作品には解説を附す。
(ちくま文庫 1760円)[amazon]

エリザベス・ハンド 『過ぎにし夏、マーズ・ヒルで エリザベス・ハンド傑作選
余命わずかな元スミソニアン博物館学芸員のため、幻の飛行機械の動画を再現しようとする友人たちが遭遇した奇跡、演劇一族に生まれた6人姉妹の末妹と6人兄弟の末弟が屋敷の屋根裏で出会う不思議……ネビュラ賞や世界幻想文学大賞の受賞作ばかり4編を収めた珠玉の抒情SF選集。市田泉訳
(創元海外SF叢書 2530円)[amazon]

アメリア・レイノルズ・ロング 『〈羽根ペン倶楽部〉の奇妙な事件』
〈論創海外ミステリ〉
フィラデルフィア郊外の屋敷に集まった〈羽根ペン倶楽部〉の会員11人。嫌われ者だった退会メンバーが不審死を遂げ、現役会員のウォレン・デーンが殺人犯として逮捕された。犯罪学者エドワード・トリローニーはウォレンの潔白を証明するため捜査を始めるが……。赤星美樹訳
(論創社 2420円)[amazon]

林熊生(金関丈夫) 『龍山寺の曹老人』
戦時中に台湾で執筆された、台北龍山寺で日を過ごす曹老人を主人公とする連作短篇小説。「許夫人の金環」 「光と闇」 「入船荘事件」 「幽霊屋敷」 「百貨店の曹老人」 「謎の男」 「観音利生記」 の全7篇。オンデマンド版
(大陸書館 1518円)[amazon]

セバスチャン・フィツェック 『乗客ナンバー23の消失』
大西洋を横断する豪華客船で母と娘が忽然と姿を消した――。消えた妻子の行方を追うべく乗船した捜査官の前に、次々と謎が現れる。酒寄進一訳
(文春文庫 1089円)[amazon]

チョン・イヒョン 『きみは知らない』
〈韓国文学セレクション〉
あなたはわたしを知らない、だれもわたしを知らない。巧みなストーリー展開と観察眼で都市生活者の心の機微を描き、圧倒的支持を集めるチョン・イヒョンの話題作。橋本智保訳
(新泉社 2530円)[amazon]

呉明益 『複眼人』
次男が生きられぬ神話の島から追放された少年。自殺寸前の大学教師の女性と、山に消えた夫と息子。母を、あるいは妻を失った先住民の女と男。事故で山の“心”に触れた技術者と、環境保護を訴える海洋生態学者。傷を負い愛を求める人間たちの運命が、巨大な 「ゴミの島」 を前に重なり合い、驚嘆と感動の結末へと向かう。人間と生物、自然と超自然的存在が交錯する世界を、圧倒的スケールと多元的視点で描く未曾有の物語。小栗山智訳
(KAODOKAWA 2420円)[amazon]

『中島河太郎著作集 下』
文学、書誌学、民俗学に精通した碩学の集大成。下巻は、民俗学・歴史、国文学、ミステリー・大衆文学、ふるさと・趣味の他分野にわたる評論・エッセーに、日記・旅行記、創作、インタビューも収録。中嶋淑人編
(論創社 6600円)[amazon]

マシュー・バトルズ 『図書館の興亡』
中世大学図書館や王室文庫、イスラーム世界の「知恵の館」やユダヤ人の書物の墓場「ゲニーザ」など多彩な図書館の波瀾の歴史を辿る。白須英子訳
(草思社文庫 1320円)[amazon]

小栗虫太郎 『亜細亜の旗』
日中の架け橋たらんと上海の病院に勤務する青年医師・峰島譲治は、一時帰国の船上で運命の女性・暁子と出逢う。だが二人の恋は、周辺の思惑が複雑に絡み合って定まらない。大東亜共栄圏建設によって雄飛しようとする日本の姿を、主人公に仮託した小栗虫太郎の国策家庭小説。昭和16年に地方紙に連載された作品を発掘刊行。解説=山口直孝
(春陽堂書店 4950円)[amazon]

デイヴィッド・ゴードン 『続・用心棒』
ニューヨークの暗黒街で一目置かれる存在となった異色の用心棒、ジョー。彼のもとに裏社会の顔役たちから新たな依頼が舞い込んだ。テロ計画の原資になっているという薬物の供給元を潰すことは出来るのか? 大反響を呼んだ 『用心棒』 に続くシリーズ第二作。青木千鶴訳
(ハヤカワ・ミステリ 2090円)[amazon]


▼3月刊

フィリップ・ロス 『グッバイ、コロンバス』
真夏のプールで運命的な出会いを果たしたニールとブレンダ。二人はたちまち引かれ合い、結婚を意識し始める。若い男女の恋には危うさがつきまとい、季節の移ろいとともに輝かしい日々は過ぎ去っていく。フィリップ・ロスの全米図書賞受賞作を新訳。中川五郎訳
(朝日出版社 1980円)[amazon]

《ナイトランド・クォータリー》 vol.24
〈特集=ノマド×トライブ〜多世界における異質の再定義〉
世界を構成する集団の定義を考えるということ、それは、差異を考察するということだ。「トライブ(部族)」「クラン(氏族)」という言葉で定義される人の「集まり」がもたらす物語を探してみよう。目次
(アトリエサード 1870円)[amazon]

島田荘司選 『日華ミステリーアンソロジー』
島田荘司、陳浩基、知念実希人、陸秋槎、林千早、石黒順子、小野家由佳の7名の作家によるアンソロジー。翻訳=稲村文吾。
(講談社 2750円)[amazon]

カン・ファギル 『別の人』
30代前半のジナは、恋人から受けたデートⅮVをネットで告発するが、彼女のほうが誹謗中傷にさらされてしまう。さらに傷ついたジナは、かつて暮らした街を訪ねることに……。デビューから一貫して女性を襲う理不尽と絶望を書き続けてきた作家が、韓国でも社会問題化している性暴力被害を題材に、暴力が生まれる構造を正面から描く。ハンギョレ文学賞受賞、韓国フェミニズム作家の先頭を走るカン・ファギル初邦訳。小山内園子訳
(エトセトラブックス 2420円)[amazon]

『江戸川乱歩大事典』 落合教幸・阪本博志・藤井淑禎・渡辺憲司 編著
稀代の推理小説作家、江戸川乱歩。死後50年を経て、未だ我々を魅了し続ける乱歩の創作・思考の背景にあるものはいったい何か。乱歩の形成した人的ネットワーク、そして彼の生きた戦前戦後という時代と文化事象、出版文化の展開とともに花開いた様々な雑誌メディアなど、総勢70人に及ぶ執筆陣のナビゲートにより乱歩世界の広がりを実感できるエンサイクロペディア。内容
(勉誠出版 13,200円)[amazon]

ヘンリー・ジェイムズ 『デイジー・ミラー』
アメリカ人青年ウィンターボーンは、レマン湖のほとりの町で、運命の美女デイジーと出会い、一目で恋に落ちる。その奔放なふるまいは、保守的で狭量な町の人々からは嫌われていたが、青年は彼女のあとを追うようにしてマラリアの猖獗するローマへと向かった。二人の恋の結末とは……。決定版全集「ニューヨーク・エディション」の序文も収録。小川高義訳
(新潮文庫 506円)[amazon]

ジム・トンプスン 『漂泊者』
恐慌後のアメリカで、職を転々としながら出会った風変わりな人々、巻き起こる騒動――流浪のなかで書き続けた日々を描く自伝的小説。土屋晃訳
(文遊社 2750円)[amazon]

ジェイムズ・M・ケイン 『ミルドレッド・ピアース 未必の故意
〈ルリユール叢書〉
大恐慌の巨大都市郊外で、役立たずの夫を追い出した 「独居妻」 が奮闘する愛と金と逸脱の物語。米国大衆の夢と欲望を描くロサンゼルス都市小説。『郵便配達は二度ベルを鳴らす』 のジェイムズ・ケインの傑作ノワール小説。本邦初訳。吉田恭子訳
(幻戯書房 4180円)[amazon]

クラリッセ・リスペクトル 『星の時』
〈僻地〉からリオにやってきたマカベーアは自分が不幸であることを知らなかった。意識の流れの手法を用いてウルフやマンスフィールドと並び称されたブラジルの作家の代表作。福嶋伸洋訳
(河出書房新社 2695円)[amazon]

アニエス・ポワリエ 『ノートルダム フランスの魂
2019年4月15日、世界遺産である築800年の大寺院が炎に包まれた。その比類ない歴史を見つめ、国家の象徴となった道程を辿る。木下哲夫訳
(白水社 3300円)[amazon]

マイケ・アルバート 『トリノの精神 現代イタリアの出版文化を築いた人々
現代イタリアの出版および学術・文化の頂点をなすエイナウディ出版社。当時の記録や関係者へのインタビューとともに、チェーザレ・パヴェーゼ、ナタリア・ギンツブルク、レオーネ・ギンツブルク、イタロ・カルヴィーノたちの交流を描く。ファシズム台頭期からベルルスコーニの時代に到るまでの、ひとつの出版社を軸とした対抗文化の展開とその担い手たちの物語。貴重な出版文化史。佐藤茂樹訳
(明石書店 2750円)[amazon]

トーベ・ヤンソン 『メッセージ トーベ・ヤンソン自選短篇集
1971~1991年に発表された短編小説の中からヤンソン自身が選定したベストセレクションに、書き下ろし8篇を加えた傑作選。生前最後に刊行され、自伝的作品集としての側面ももつ。久山葉子訳
(フィルムアート社 3080円)[amazon]

新島進編 『ジュール・ヴェルヌとフィクションの冒険者たち』
科学的知見を採り入れることで驚くべき冒険譚を生み出したジュール・ヴェルヌ。しかし、その作品には奇抜な筋書きの裏側で稼働する文学テクプログラムが隠されていた。ホフマン、ポー、デュマ、プルースト、ルーセル、コナン・ドイル、ラスヴィッツ、レム、音二郎……ヴェルヌが耽溺し、ヴェルヌを偏愛した文豪たちと共にフィクションの極地探査へと、いま乗り出す。目次
(水声社 3300円)[honto]

パスカル・キニャール 『死に出会う思惟』
〈パスカル・キニャール・コレクション〉
『黄金伝説』や『オデュッセイア』、ソクラテスほか古今東西の文学や哲学を逍遥し、独自の声で紡ぎ出す思考のポリフォニー。千葉文夫訳
(水声社 3080円)[honto]

サーシャ・フィリペンコ 『理不尽ゲーム』
事故によって昏睡状態に陥った高校生ツィスクが、10年後の2009年、奇跡的に目覚めて見たものは、ひとりの大統領にすべてを掌握された祖国、そして理不尽な状況に疑問をもつことも許されぬ人々の姿だった。欧州最後の独裁国家ベラルーシ。その内実を小説の力で暴く。奈倉有里訳
(集英社 2310円)[amazon]

ベア・ウースマ 『北極探検隊の悲劇』
1897年、気球による北極横断に挑戦したアンドレー探検隊は、失敗して氷上に不時着。陸地をめざして数百キロの距離を徒歩で移動し、2か月半後、ついに無人島に上陸した。だがその数日後、すべての記録が途絶える。そして33年後に遺体が発見された。氷上で生き延びた彼らはなぜ陸地にたどり着いたとたん死んでしまったのか? いまも答えの出ていないこの謎に、ひとりの女性が挑んだ。15年以上にわたる調査研究の成果をまとめた一冊。ヘレンハルメ美穂訳
(青土社 2420円)[amazon]

リン・マー 『断絶』
〈エクス・リブリス〉
中国発の未知の病が世界を襲い、感染者はゾンビ化し、死に至る。無人となったニューヨークから脱出した中国移民のキャンディスは、ある生存者のグループに拾われ、安全な〈施設〉へと向かうが……。震撼のパンデミック小説。藤井光訳
(白水社 3740円)[amazon]

ワジディ・ムアワッド 『アニマ』
世界的に活躍する劇作家の代表的小説。妻を惨殺された主人公の犯人捜しの旅はまたレバノンでの幼少期の恐るべき秘密へ向かっていた。大島ゆい訳
(河出書房新社 4290円)[amazon]

アルバート・L・シェルトン 『チベットの昔話』
ヒマラヤ山脈の麓で、医師/宣教師の著者が100年以上も前に放浪牧夫たちが語った神秘的な昔話・民話を採集。女悪霊・妖怪・お金持ちになる法・王女獲得噺・弱い者の逆襲。そしてトラ、オオカミ、カエル、ウサギたちの気まま放題。西村正身訳
(青土社 2200円)[amazon]

《ミステリマガジン》 5月号
特集=特殊設定ミステリの楽しみ 内容
(早川書房 1320円)[amazon]

クライブ・カッスラー&グラハム・ブラウン 『テスラの超兵器を粉砕せよ 上・下
NUMA(国立海中海洋機関)のオースチンはシドニーで学会に出席中、ヘリコプターがパワーボートを銃撃するのを目撃する。ボートはデッキに乗り上げて大破。唯一の生存者は駆け寄ったオースチンに 「約束のものを持ってきた・・・・・・タルタ ロスの心臓」 と洩らして事切れる。オースチンは相棒ザバーラとともに事件の調査に乗り出す。
(扶桑社ミステリー 各990円)[amazon]

スティーヴン・キング 『アウトサイダー 上・下
惨殺事件の日、彼は旅行に出ていたはずだった。無実の男を陥れた〈アウトサイダー〉。悪意に満ちた「それ」を倒すことはできるのか。白石朗訳
(文藝春秋 各2420円)[amazon]

オー・ヘンリー 『オー・ヘンリー傑作集2 最後のひと葉』
「最後のひと葉」「二十年後」「犠牲打」「運命の衝撃」など、ニューヨークの片隅で懸命に生きる人々の姿を描いた作品や、「救われた改心」「水車のある教会」「都市通信」など、アメリカ南部の情緒と風情を盛り込んだ作品など、味わいあふれる名作12話を収録。越前敏弥訳
(角川文庫 726円)[amazon]

ジョージ・オーウェル 『1984年』
1984年、ビッグ・ブラザーが支配する全体主義的近未来。〈真実省〉の党員スミスは美女ジュリアとの出会いをきっかけに禁止されていた日記を密かにつけ始めるが……人間の自由と尊厳の問題を問う大傑作。田内志文訳
(角川文庫 924円)[amazon]

小松和彦 『聖地と日本人』
鞍馬・僧正ヶ谷、比叡山横川、河原院、竹生島、熊野、志度浦の龍宮、富士山、安達ヶ原……能楽の舞台となったこれらの場所は、「聖地」と呼ばれてきた。神々が遊び、鬼や妖怪が出没するといわれた異界への入口。俗世の向こう側にある極楽・地獄として、日本列島の中に見出された聖地とはいかなる場所だったのか。多彩な史料を手がかりに、中世の京都人が聖なる場所に込めた思いに迫る。
(角川ソフィア文庫 968円)[amazon]

『ビアズリー怪奇幻想名品集 増補改訂版冨田章
世紀末の鬼才、オーブリー・ビアズリーの傑作を厳選した画集、増補改訂版。
(東京美術 2640円)[amazon]

ポール・ルンダ 『大図鑑 コードの秘密 世界に隠されたメッセージを読み解く
太古の時代から現代、そして未来に至るタイムスパンで、カエサルからスティーブ・ジョブズまで、聖人から悪漢まで、人類がいかにコード化された情報を解読し、生み出し、発展させてきたかを大量の図版とともに紹介。豊穣な意味世界とcodeの軌跡、壮大なスケールで描き出すもうひとつの驚異の人類史。浜口稔訳。内容
(明石書店 4180円)[amazon]

三津木春影 『浮出た血染の手形 三津木春影翻案探偵小説集
「呉田博士」 の作者・三津木春影の翻案探偵小説集。北原尚彦編【収録作品】 浮出た血染の手形 (フリーマン原作)/函中の密書 (コナン・ドイル原作)/不思議の鈴 (コナン・ドイル原作)/死人の裁判 (コナン・ドイル原作) /殺人狂 (コナン・ドイル原作)/船室の時計 (ルブラン原作)
盛林堂ミステリアス文庫 2200円)

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ 『ゲーテ ショートセレクション 魔法つかいの弟子』
「ファウスト」 「若きウェルテルの悩み」 などで知られ、疾風怒濤期の代表的存在であるドイツの文豪ゲーテ。内に抱えた 「魔性」 に注目した彼の、理性では制御できない、感情や衝動が感じられる作品群の新訳。酒寄進一訳
(理論社 1430円)[amazon]

リサ・タトル 『夢遊病者と消えた霊能者の奇妙な事件 上・下
「幻想と怪奇」 叢書第一弾。時はヴィクトリア期。霧深いロンドンで若き諮問探偵のふたりが怪事件に挑む。G・R・Rマーティン絶賛のオカルト・ミステリ。金井真弓訳
(新紀元社 各1870円)[amazon]

セリーヌ・デュ・シェネ 『図説 魔女の文化史』
中世末から現代まで、魔女という存在がどのように認識され、表現されてきたのか。魔女に関するヴィジュアルな文化史。危険で邪悪な存在が、魅力的な存在に。この二つの魔女像は、どのように結びつくのか。 魔女のイメージの変遷を、豊富な図版とともにたどる。蔵持不三也訳
(原書房 4180円)[amazon]

山田五郎 『闇の西洋絵画史1 悪魔』
〈アルケミスト双書〉
西洋美術の「闇」の側面を浮かび上がらせる、妖しくも美しい西洋絵画史シリーズ。フルカラー64頁。聖書の悪魔/地獄の悪魔/魔女
(創元社 1650円)[amazon]
山田五郎 『闇の西洋絵画史2 魔性』
聖書の魔性の女/神話の魔性の女/実在の魔性の女
(創元社 1650円)[amazon]
山田五郎 『闇の西洋絵画史3 怪物』
キリスト教の怪物/ギリシャ神話の怪物/画家が幻視した怪物
(創元社 1650円)[amazon]
山田五郎 『闇の西洋絵画史4 髑髏』

メメント・モリ/ヴァニタス/アダムの髑髏
(創元社 1650円)[amazon]
山田五郎 『闇の西洋絵画史5 横死』

聖書の死/神話の死/権力者の死/哲学者の死/佳人の死/民衆の死
(創元社 1650円)[amazon]

J・G・バラード 『旱魃世界』
10年ほど前から兆候を見せていた世界的な旱魃は、ここ5ヶ月のあいだ、各地で急速に文明社会を崩壊させつつあった。マウント・ロイヤル市の住人たちが競うように水を求めて海岸へと殺到する中、医師ランサムは市内にとどまり破滅まで引き延ばされた時間を緩慢と生きていたが……。〈破滅三部作〉のひとつ 『燃える世界』 を徹底改稿し、改題した 《The Drought》 本邦初訳。山田和子訳
(創元SF文庫 1188円)[amazon]

スティーヴン・スポッツウッド 『幸運は死者に味方する』
ニューヨークきっての探偵リリアン・ペンテコスト。そしてわたしは元サーカス団員の助手ウィロージーン・パーカー。1945年のニューヨーク、ハロウィン・パーティ中の大邸宅の書斎で、女主人が水晶玉で撲殺された。事件の直前に開かれた降霊会が事件に関係しているのか? 探偵と助手の活躍を描くミステリ・シリーズ第一弾。法村里絵訳
(創元推理文庫 1320円)[amazon]

ひらいたかこ 『アリス、アリス、アリス!』
創元推理文庫のカバー装画や、旅の絵本シリーズなどで読者を魅了してきたイラストレーター・ひらいたかこによる 『不思議の国のアリス』 の世界。44点のイラストとカット多数収録。
(東京創元社 3300円)[amazon]

ピエテル-モリーン&ピエテル・ニィストレーム 『死ぬまでにしたい3つのこと』
大企業の社長令嬢が大量の血痕を残して失踪した。少女は腕に3つのチェックボックスのタトゥーを入れ、直前に最後の1つを埋めていた。遺体は発見されず、未解決のまま時が過ぎた10年後、同じタトゥーを入れた少女の死が判明する。スウェーデンで話題の警察小説。加賀山卓朗訳
(ハーパーBOOKS 1440円)[amazon]

《夜想》 特集=山尾悠子
山尾悠子が自身の作歴を明らかにした書きおろしエッセイ、近作掌篇2作、インタビューを収録。美術、フェミニズム、翻訳といった多様な視点から作品を読み解き、進化を続ける作家像に迫る。金井美恵子、川上弘美、諏訪哲史ら豪華執筆陣によるエッセイ、評論、インタビューも収録。目次
(ステュディオ・パラボリカ 2640円)[amazon]

『翻訳と文学』 佐藤=ロスべアグ・ナナ編
古典現代日本語訳から新たにひらかれる文芸論。モダニズム/ジャポニスムの時代ストラヴィンスキーや山田耕筰の〈和歌歌曲Waka-Lieder〉。翻訳版イラストを取り込み世界文学へリライトしてゆく村上春樹。世界文学全集の非西洋。探偵小説の移植と雨村。ヴォネガットSFの受容の変遷。他者化されるアイヌ文学者の自己構築。3・11後の気仙方言訳啄木、あるいはロルカがまざまざと浮かび上がらせる詩の集合性・共同性。論考8篇を収録。目次
(みすず書房 4950円)[amazon]

パヴェウ・ヒュレ 『ヴァイゼル・ダヴィデク』
〈東欧の想像力〉
旱魃が続き、海が魚の死骸で埋め尽くされた1967年の夏。その異常な季節を、「僕」と仲間たちは、ヴァイゼルというユダヤ人少年と共に過ごした。夏の終わりヴァイゼルは姿を消す。そのときから今に至るまで、「僕」 は問い続けている。「ヴァイゼルとは何者だったのか」 と。「10年に一度の傑作」と絶賛され、作者ヒュレの名を一躍高らしめたデビュー長編。井上暁子訳
(松籟社 2860円)[amazon]

小澤みゆき編 『かわいいウルフ』
モダニズム文学の旗手、フェミニスト、レズビアン……文学史の中で燦然と輝くウルフ。でも、その文章の味わいは、ミニマムでかわいい! 作品解説、翻訳、まんが、『灯台へ』 の料理再現、『オーランドー』 のボリウッド版構想など、ウルフをもっと身近に感じるためのファンブック。片山亜紀、小川公代、西崎憲、水原涼、イ・ミンギョンら、多くの方もお招きして、ウルフのかわいい部分を一冊に凝縮。好評を博した同人誌を再編集・書籍化。内容
(亜紀書房 1870円)[amazon]

ケン・リュウ 『宇宙の春』
いま宇宙は真冬であり、わたしは宇宙最後かもしれない星に向かっている――宇宙を漂う放浪者がその滅びゆく美しさを想う表題作など10篇を収録。『三体』 などの中国SF翻訳者・紹介者としても活躍する短篇の名手ケン・リュウ、日本オリジナル短篇集第4弾。古沢嘉通訳
(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 2090円)[amazon]

キャスリーン・デイヴィス 『シルクロード』
ラビリンスの奥深く、香の匂いが立ち込める部屋で、ジー・ムーンが導くヨガクラスが行われている。参加者は、文学者、記録家、植物学者、守護者、位相幾何学者、地理学者、氷屋、コック。彼らは屍のポーズをとりながら、それぞれの過去をめぐる旅に出る……。久保美代子訳
(早川書房 3080円)[amazon]

サマンサ・ダウニング 『殺人記念日』
殺人で夫婦円満を保っている「私」と妻。しかしある事件がきっかけで、彼らは20年前の連続殺人鬼に罪をなすりつけることに……。唐木田みゆき訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 1386円)[amazon]

ザック・ジョーダン 『さよなら、最後の人類 上・下
絶滅させられた"人類"の生き残りのサーヤは、賞金稼ぎに狙われ、盗船で宇宙に旅立った。そして人類滅亡の謎を解くことに……。中原尚哉訳
(ハヤカワ文庫SF 各1078円)[amazon]

S・エリザベス 『オカルトの美術 現代の神秘にまつわるヴィジュアル資料集
未知なる世界を描き、時空を超越した不可思議な作品たち。芸術におけるオカルトについて、知られざるテーマを読み解く。霊的信仰や魔術の技法、神話や幻想的な体験から触発され創造された古今東西約200点の作品を紹介。
(青幻舎 3520円)[amazon]

藤井淑禎 『乱歩とモダン東京 通俗長編の戦略と方法
1930年代の華やかなモダン東京を見事に描いて、読者の憧れをかきたてた江戸川乱歩。都市の魅力を盛り込み大衆の心をつかむ、その知られざる戦略を解明する。
(筑摩選書 1650円)[amazon]

『佐左木俊郎探偵小説選 II』
〈論創ミステリ叢書〉
日本初の書下ろし探偵小説叢書を実現させた佐左木俊郎。農村文学の旗手の知られざる 「探偵小説家としての顔」 を明らかにする探偵小説集第2弾。竹中英俊・土方正志編 内容
(論創社 3740円)[amazon]

『岩波少年文庫のあゆみ 1950-2020』 若菜晃子 編著
岩波少年文庫は1950年のクリスマスの創刊以来、途切れることなく刊行され続けてきた。過去の資料を駆使し、各時代に書かれた著名人のエッセイも織り交ぜながら、70年のあゆみを振り返る。代表作と作家の解説、挿絵画家の逸話、翻訳者の仕事にも光をあて、少年文庫の全容を紹介する初の保存版。カラー口絵4頁、総目録付き。
(岩波書店 1100円)[amazon]

ジョナサン・スウィフト 『奴婢訓 他一篇
〈過ちを叱られた時は、部屋の出がけや階段の途中で、聞こえよがしにぶつぶつ言うこと、冤罪と思わせる効果がある〉――召使の奉公上の処世訓が皮肉たっぷりに説かれた 「奴婢訓」。他に当時のアイルランドの貧困処理について述べた激烈な一文を付す。『ガリヴァ旅行記』の作者の逆説に満ちた諷刺を堪能できる味わい深い訳。深町弘三訳
(岩波文庫 572円)[amazon]

『ケサル王物語 チベットの英雄叙事詩アレクサンドラ・ダヴィッド=ネール、アプル・ユンテン
チベット、モンゴル、中央アジアで吟遊詩人により朗誦され、親しまれてきたチベット文学の一大叙事詩。仏敵調伏のため神々の世界から人間界に転生したケサル王の英雄譚にして、チベットのはてしない天地を舞台に神々や悪鬼の化身である人間たちが繰り広げる、奇想天外でユーモア溢れる物語。富樫瓔子訳
(岩波文庫 1254円)[amazon]

天藤真 『逢う時は死人』
探偵社に入社間もない私の仕事は、面倒な客の依頼を断ること。だが、みとれるほど美しい女性の依頼を個人的に受けてしまい…。表題作ほか、独特のユーモアと功緻なレトリックで魅了する中短編全8話を収録。
(光文社文庫 968円)[amazon]

エルフリーデ・イェリネク 『光のない。[三部作]
3.11以後の世界に、ノーベル文学賞作家が捧げるレクイエム。東日本大震災と原発事故がモチーフの三部作、一挙収録 [訳文一新]。林立騎訳。
(白水Uブックス 1980円)[amazon]

横溝正史 『完本 人形佐七捕物帳 八』
人形を思わせる色男の岡っ引き、 佐七が次々に江戸の事件を解決していく推理劇 。最新の研究で明らかにされた全180 篇を、綿密な校訂のもと初めて発表順に完全収録。
(春陽堂書店 4950円)[amazon]

『疫病短編小説集』 K・A・ポーター、R・キプリング他
天然痘・コレラ・インフルエンザ、そして 「疫病の後」。繰り返し襲いくる見えない恐怖を主題とする7編。コロナの時代に必読の1冊。石塚久郎監訳。【収録内容】 「赤い死の仮面」 E・A・ポー/「レディ・エレノアのマント」 ナサニエル・ホーソーン/「見えざる巨人」 ブラム・ストーカー/「モロウビー・ジュークスの奇妙な騎馬旅行」 「一介の少尉」 ラドヤード・キプリング/「蒼ざめた馬蒼ざめた騎手」 キャサリン・アン・ポーター/「集中ケアユニット」 J・G・バラード
(平凡社ライブラリー 1650円)[amazon]

ルイス・バーナード 『暗殺教団 「アサシン」 の伝説と実像
イスラム教の分派ニザール派。彼らは敵対集団の要人を暗殺することも厭わない信徒集団とされ、その活動は歴史が下るとともに伝説的な色彩を帯び、大麻を用いる狂信者教団として語られるようになった。「山の老人」 は実在したのか? 狂信者集団としてヨーロッパで伝説化された彼らの歴史的実像を、中東学の権威が丹念に描く。
(講談社学術文庫 1221円)[amazon]

《本の雑誌》 4月号
特集=津野海太郎の眼力
目次
(本の雑誌社 734円)[amazon]

ダフネ・デュ・モーリア 『原野の館』
母が亡くなり、叔母の住むジャマイカ館に身を寄せることになったメアリー。だが、荒野の中に建つ館で見たのは、昔の面影もなく窶れ怯えた様子の叔母と、その夫だという荒くれ者の大男だった。寂れ果てた館、夜に集まる不審な男たち、不気味な物音。ジャマイカ館で何が起きているのか? 『レベッカ』 の作家デュ・モーリアが、故郷コーンウォールを舞台に描くサスペンスの名作 《Jamaica Inn》 新訳。務台夏子訳
(創元推理文庫 1320円)[amazon]

J・J・アダムズ編 『この地獄の片隅に パワードスーツSF傑作選
パワードスーツ、パワードアーマー、人型歩行メカ―― 《彷徨える艦隊》 のジャック・キャンベル、《啓示空間》 のアレステア・レナルズら豪華執筆陣が、古今のSFを華やかに彩ってきたコンセプトをテーマに描く、書き下ろし全12編のSFアンソロジー。中原尚哉訳
(創元SF文庫 1210円)[amazon]

ジョン・コナリー 『失われたものたちの本』
母親を亡くし、本の囁きが聞こえるようになった12歳のデイヴィッドは、死んだはずの母の声に導かれて幻の王国に迷い込んでしまう。狼に恋した赤ずきんが産んだ人狼、醜い白雪姫、子どもをさらうねじくれ男……そこはおとぎ話の登場人物や神話の怪物たちが生きる、美しく残酷な物語の世界だった。本にまつわる異世界冒険譚。田内志文訳
(創元推理文庫 1320円)[amazon]

ジョージ・エリオット 『ミドルマーチ 4』
ラッフルズの不審死について、リドゲイトは少なからぬ関与を疑われ、窮地に立つ。一方、ドロシアとウィル・ラディスロー、フレッドとメアリ・ガースの交際が進展し、壮大な社会絵巻は終局へと向かう。「英国最高の小説」 完結。廣野由美子訳
(光文社古典新訳文庫 1496円)[amazon]

フランシス・ホジソン・バーネット 『小公子』
母と二人、ニューヨークでつましく暮らしていた幼いセドリックは、祖父ドリンコート伯爵の跡継ぎとして教育されるべく、突如英国の豪邸に呼びつけられる……。新しい生活を吸収しながら、周りにも影響を与えていく少年の姿を描く。挿絵多数。土屋京子訳
(光文社古典新訳文庫 1298円)[amazon]

ジェフリー・ディーヴァー 『オクトーバー・リスト』
娘を誘拐され、秘密のリストの引き渡しを要求された女ガブリエラ。隠れ家にひそみ、誘拐犯との交渉に向かった友人の帰りを待っていた。しかし玄関にあらわれたのは誘拐犯だった。その手には銃。それを掲げ、誘拐犯は皮肉に笑った……。ドンデン返しの魔術師が技巧のかぎりを凝らした前人未踏&驚愕連続の “逆行” ミステリー。土屋晃訳
(文春文庫 1045円)[amazon]

ヨルン・リーエル・ホルスト 『警部ヴィスティング 鍵穴』

大物政治家クラウセンが心臓発作で急逝し、その別荘で大金の入った段ボール箱が発見される。巨額の外国紙幣で、汚職につながる可能性があった。検事総長の指示でヴィスティング主任警部が現地に捜査に赴いた翌日、別荘は放火され、クラウセンが過去の事件に関与していた疑惑が浮上する。ノルウェー警察小説。中谷友紀子訳
(小学館文庫 1100円)[amazon]

ジョゼフ・コンラッド 『ロード・ジム』
東洋の港で船長番として働く男を暗い過去が追う。『闇の奥』のコンラッドが人間の尊厳を描いた海洋冒険小説の最高傑作。柴田元幸訳
(河出文庫 1562円)[amazon]

山田風太郎 『信玄忍法帖 山田風太郎傑作選 忍法篇
信玄が死んだ!? 真偽を探るため甲斐に潜入した伊賀忍者を迎え撃つは山本勘介、真田昌幸、真田忍者。超絶忍法が炸裂する傑作忍法帖。
(河出文庫 979円)[amazon]

柳田国男 『禁忌習俗事典 タブーの民俗学手帳
「忌む」とは何か。ここに死穢と差別の根原がある。日本各地からタブーに関する言葉を集め、解説した読める民俗事典。全集未収録。
(河出文庫 990円)[amazon]

ウィリアム・ブレイク 『無垢の歌』
最強の本読み父娘がおくる〈ことばの薬〉。英国ロマン派の詩人・幻視者ブレイクの名を高めた 『無垢の歌』 初邦訳から90年、名著が新たな輝きとともによみがえる。こころを癒やす愛の詩集。池澤夏樹・池澤春菜訳
(毎日新聞出版 1760円)[amazon]

エドワード・セント・オービン 『語りなおしシェイクスピア2 リア王 ダンバー メディア王の悲劇
世界のベストセラー作家がシェイクスピアの名作を語りなおすシリーズ第二弾。テレビ局や新聞社を傘下に収めるメディア王ダンバーは、会社乗っ取りを狙う娘たちに療養所に入れられるも脱走。末娘だけが父の身を案じて捜索にのりだすが……。イギリス上流階級の腐敗を描き続ける作家が横暴な父親 「リア王」 を語りなおす。小川高義訳
(集英社 2970円)[amazon]

メアリー・ロバーツ・ラインハート 『ローランド屋敷の秘密』
看護師探偵 「ミス・ピンカートン」 ことヒルダ・アダムズ最後の事件。平山雄一訳
(ヒラヤマ探偵文庫 1500円) 取扱=盛林堂

ジャン・ジオノ 『大群』

若者たちは戦争に出征していった。瀕死の戦友を見守る兵士。ドイツ軍の弾丸を塹壕のなかで避けている兵士。妻からの手紙を読む兵士……。ジオノ唯一の反戦小説。山本省訳
(彩流社 3300円)[amazon]

アビール・ムカジー 『マハラジャの葬列』

1920年6月、英国領インド東部に位置する藩王国サンバルプールの皇太子がカルカッタで暗殺された。インド帝国警察のウィンダム警部は、皇太子と同窓生だった相棒のバネルジー部長刑事と共に真相を追いサンバルプールへ赴く。歴史ミステリの傑作シリーズ第2弾。田村義進訳
(ハヤカワ・ミステリ 2530円)[amazon]

A・J・フィン 『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ 上・下
自宅にひきこもって暮らす医師アナは、隣家で女性が刺されるのを窓から目撃するが、誰もそれを信じてくれず……戦慄のサスペンス。池田真紀子訳
(ハヤカワ文庫NV 各1012円)[amazon]

田口俊樹 『日々翻訳ざんげ エンタメ翻訳この四十年
ミステリーを中心に200冊近い訳書を刊行してきた名翻訳家が、自身が手掛けてきた訳書を再読し、翻訳家デビューのいきさつから、誤訳の数々、マイクル・Z・リューインとのメール交流、ジョン・ル・カレの逆鱗に触れた英文、レイモンド・チャンドラー 「待っている」 新訳での 「大発見」 まで、それぞれの訳書にまつわるエピソードと時々の翻訳事情で40年に及ぶ翻訳稼業を振り返る回顧録。
(本の雑誌社 1760円)[amazon]

眉村卓 『静かな終末』
SF第一世代の巨匠による、やわらかな口当たりと驚きのコクが味わえる、眉村卓最初期の知られざる傑作、1960年代のショートショート50篇。『ながいながい午睡』(三一書房、1968)収録作+未収録作品。日下三蔵編
(竹書房文庫 1430円)[amazon]

カズオ・イシグロ 『クララとお日さま』
子供の愛玩用に開発された人工フレンドのクララ。好奇心旺盛で店のウィンドウから外の世界を観察するのが大好きだ。ある少女の家庭に買われていったクララは、やがて一家の大きな秘密を知ることに……愛とは、知性とは、家族とは? 根源的な問いに迫る感動作。土屋政雄訳
(早川書房 2750円)[amazon]


▼2月刊

サラ・ピンバラ 『瞳の奥に』
ロンドンの精神科クリニックの秘書ルイーズは、新しいボスのデヴィッド医師を見て仰天する。前夜にバーで会って意気投合し、キスまでしてしまった相手だったのだ。二人は関係を深めるが、ルイーズは彼の妻アデルとも偶然知り合い友情を結ぶ。しかし、この夫婦にはどこかおかしなところがあって……意想外の展開が読者を翻弄する驚天動地の心理スリラー。佐々木紀子訳
(扶桑社ミステリー 1375円)[amazon]

ヴィトルト・シャブウォスキ 『踊る熊たち 冷戦後の体制転換にもがく人々
ブルガリアに伝わる「踊る熊」の伝統の終焉と、ソ連崩壊後の旧共産主義諸国の人々の今。ポーランドの気鋭による異色のルポルタージュ。芝田文乃訳
(白水社 3300円)[amazon]

山尾悠子 『山の人魚と虚ろの王』
風変わりな若い妻を迎えた男、秋の新婚の旅は 〈夜の宮殿〉その他の街を経て、機械の山へ。舞踏と浮遊/夜の芝地を埋め尽くす不眠の観衆たち/幾つかの寝室と寝台の謎。圧倒的なるイメジャリーに満ちみちた驚異と蠱惑の 〈旅〉 のものがたり。
(国書刊行会 2640円)[amazon]

『博覧会の世紀 1851-1970』 監修=橋爪紳也・乃村工藝社
江戸時代の見世物から明治、大正、昭和におよぶ国内外の博覧会を辿る。1851年のロンドン万国博覧会から欧米各国に広まった博覧会。「見世物」の文化が根付いていた日本では博覧会をどのように受け入れたのか。江戸時代の見世物から明治、大正、昭和に及ぶ国内外の博覧会の歴史を、乃村工藝社所蔵の博覧会関係資料を中心に紹介。
(青幻舎 2750円)[amazon]

江戸川乱歩 『白昼夢 江戸川乱歩 妖異幻想傑作集
思想としての本格指向と、資質としての変格嗜好に引き裂かれる部分を持ちながらも、双方を排斥しあうことなく交錯し蝕知させる作品群。乱歩が覗く景色は、何かを明らかにするよりも新たな迷宮や闇を増やし、世界を甘美な恐怖の坩堝に突き落とす。長山靖生編。内容
(小鳥遊書房 2860円)[amazon]

荒俣宏 『普及版 世界大博物図鑑 1 蟲類』
2014年に刊行された新装版全5巻、別巻2巻〔本体12,621円~19,500円〕の全7巻が縮刷版(A5変)として登場。昆虫のみならず、クモやムカデ、エビ・カニ類まで世界中の〈蟲〉が一堂にそろった〈蟲の百科全書〉。
(平凡社 6380円)[amazon]
荒俣宏 『普及版 世界大博物図鑑 2 魚類』
おなじみのコイやアユから、目撃例が一度しかない深海魚まで、魚の自然誌をもれなく記す。ルナールによる世界最初の原色図譜ほか、貴重な図版を満載した驚天動地の一冊。
(平凡社 6380円)[amazon]
荒俣宏 『普及版 世界大博物図鑑 3 両生・爬虫類』
カエル、ヘビから龍、ドラゴンにいたるまで、両生・爬虫類の博物誌を古今東西の文献から集大成。ゲスナー、セバなどの16-17世紀の貴重なカラー図版も収録。
(平凡社 5720円)[amazon]
荒俣宏 『普及版 世界大博物図鑑 4 鳥類』
ダチョウからカラスまで、鳥の博物誌を詳しく、〈天界の生物〉の秘密を明かす。グールドやルヴァイヤンなど博物学史上に燦然と輝く名著の図版を収録。
(平凡社 5940円)[amazon]
荒俣宏 『普及版 世界大博物図鑑 5 哺乳類』
ヒトを筆頭にしてネズミからクジラまで、地球上のあらゆる哺乳類について語り尽くす。シュレーバー、シンツなどの傑作図譜から、秀作ばかりを選りすぐって披露する。
(平凡社 5940円)[amazon]
荒俣宏 『普及版 世界大博物図鑑 別巻1 絶滅・希少鳥類』
(平凡社 6820円)[amazon]
荒俣宏 『普及版 世界大博物図鑑 別巻2 水生無脊椎動物』
(平凡社 5720円)[amazon]

ルイザ・メイ・オルコット 『仮面の陰に あるいは女の力
〈ルリユール叢書〉
英国の富裕階級の家にガヴァネス(家庭教師)としてやって来た女性は、その才智と美貌で一家を魅了するが……。オルコットが 『若草物語』 以前にA・ M・ バーナードの男性名義で発表した大衆スリラー小説。大串尚代訳
(幻戯書房 2970円)[amazon]

ヴァージニア・ウルフ 『フラッシュ ある犬の伝記
〈ルリユール叢書〉
19世紀の英国詩人エリザベス・バレット・ブラウニングの日常模様が、愛犬フラッシュの目を通して語られる、ユーモア溢れる伝記小説。英国版「吾輩は犬である」。ウルフが飼い犬に寄せたエッセイ 「忠実なる友について」、エリザベス・バレットの詩 「わが忠犬、フラッシュに寄す」 も収録。。岩崎雅之訳
(幻戯書房 2860円)[amazon]

『武部本一郎画集 〈plus〉 The very best of Motoichiro Takebe
没後40年、いまなお多くのSFファンを魅了し続ける画家・武部本一郎の世界。A4判・192頁。 佐藤紅子監修/岩郷重力編
復刊ドットコム 12,100円)[amazon]

《芸術新潮》 3月号
〈唯美と奇想の王国 英国絵画史〉 ターナー、コンスタブル、ラファエル前派、そしてバンクシー……。いまや欧州随一の美術大国となったイギリス。その絵画通史を日本で初めてお届けします。目次
(新潮社 1500円)[amazon]

鈴木優作 『探偵小説と〈狂気〉』
近代は何を狂わせたか――江戸川乱歩、小栗虫太郎、夢野久作、小酒井不木、大阪圭吉、岡本綺堂、浜尾四郎、木々高太郎ほか、探偵小説がいかに〈狂気〉を描いたかを読み解き、近代という時代に潜む文化と制度の裡面、そして文学によってなされた大胆な企みを明らかにする文学論。目次
(国書刊行会 3850円)[amazon]

日影丈吉 『応家の人々』
昭和14年、日本統治下の台湾、名家の美女を取り巻く男たちの死。内地の警察書記が台南の町々をめぐり事件の謎を追う妖しい推理長篇。解説=松浦寿輝
(中公文庫 990円)[amazon]

鮎川哲也選 『狂った機関車 鮎川哲也の選んだベスト鉄道ミステリ
戦前の本格推理から、知られざる作家の佳品まで、鉄道を舞台にしたミステリのアンソロジー。自身、多くの鉄道推理を手がけた鮎川哲也が編んだ 『鉄道推理ベスト集成』 全4巻(徳間ノベルズ)の40篇から7篇を精選。大阪圭吉、海野十三、永瀬三吾、香山滋、二条節夫、天城一、鮎川哲也。日下三蔵編
(中公文庫 990円)[amazon]

内田百閒 『追懐の筆 百鬼園追悼文集
師の臨終に立ち会い号泣し、奇禍に倒れた友の事故の様子を丹念に取材し記し、幽霊でも良いから夢に出てこいと弟子へ呼びかける。夏目漱石、芥川龍之介、鈴木三重吉ら一門の文学者から、親友宮城道雄、教え子、飼い猫クルツまで。その死を嘆き、哀惜をこめて思い出を綴る追悼文集。
(中公文庫 1100円)[amazon]

C・S・ルイス 『新訳 ナルニア国物語3 夜明けのむこう号の航海
ルーシーとエドマンドは意地の悪いいとこユースタスとともに、再びナルニアへ。カスピアン王やネズミの騎士リーピチープと再会し、行方不明の7人の貴族を探す《夜明けのむこう号》の船旅に同行する。人が竜に変身する島、すべてを黄金に変える湖、悪夢が現実になる島――船はついにこの世の果て《アスランの国》に辿りつき……。河合祥一郎訳
(角川文庫 792円)[amazon]

C・S・ルイス 『新訳 ナルニア国物語4 銀の椅子
ユースタスといじめられっ子の同級生ジルは、アスランに呼びだされ、ナルニアへ。今ではすっかり年老いたカスピアン王の行方不明の王子を探しだすよう命じられる。フクロウ会議、巨人の都、地下の国――根暗すぎる男、沼むっつりを案内人にして、史上最高に危険な冒険が始まる。河合祥一郎訳
(角川文庫 792円)[amazon]

夢野久作 『空を飛ぶパラソル』
新聞記者である私は、美貌の女性が機関車に轢かれる様を間近に目撃する。思わず轢死体の身元を改めると、衝撃の事実が続々と明らかになって……。全8篇収録の短篇集。
(角川文庫 704円)[amazon]

皆川博子 『夜のリフレーン』
秘めた熱情、封印された記憶、日常に忍び寄る虚無感――。福田隆義氏のイラスト、中川多理氏の人形と小説とのコラボレーションも収録。著者の物語世界の凄みと奥深さを堪能できる選り抜きの24編を収録。日下三蔵編
(角川文庫 924円)[amazon]

《SFマガジン》 4月号
小林泰三特集/若島正 「「アメリカの七夜」 論」/他
(早川書房 1320円)[amazon]

ハンナ・ティンティ 『父を撃った12の銃弾』
わたしの父の身体には、たくさんの銃弾が刻んだ傷跡がある――。いじめや恋愛を経験して成長してゆくルーの物語と、サミュエルを撃った弾丸にまつわる過去の断章を交互に語り、緊迫のクライム・サスペンスと雄大なロード・ノヴェル、鮮烈な青春小説と美しい自然の物語を完璧に融合させ、みずみずしい感動を呼ぶ傑作ミステリー。MWA賞候補作。松本剛史訳
(文藝春秋 2420円)[amazon]

パク・ソルメ 『もう死んでいる十二人の女たちと』
〈エクス・リブリス〉
3・11、光州事件、女性暴行事件などの社会問題に、韓国で注目の新鋭作家が独創的な想像力で対峙する鮮烈な8篇。待望の日本オリジナル短篇集。斎藤真理子訳
(白水社 2200円)[amazon]

フレドリック・ブラウン 『フレドリック・ブラウンSF短編全集4 最初のタイムマシン
奇抜な着想、軽妙なプロットで、短編を書かせては随一の名手フレドリック・ブラウン。その多岐にわたる活躍の中から、SF全短編を年代順に収めた全4巻の決定版全集。第4巻には 「回答」 「猫恐怖症」 など傑作68編を収録。安原和見訳
(東京創元社 3850円)[amazon]

マルク・ロジェ 『グレゴワールと老書店主』

見習い介護士の青年グレゴワールが、老人介護施設で元書店主のピキエ老人に出会い、無縁だった本の世界に足を踏み入れることに。ピキエ氏から朗読を頼まれ、彼の道案内にしたがって、さまざまな本に出会い、読書の魅力を知り、人々と出会い成長していく。本と友情、本と愛情、本と人生を描いた傑作。藤田真利子訳
(東京創元社 2200円)[amazon]

ピーター・トレメイン 『憐れみをなす者 上・下
修道女としての人生に疑問を抱き、巡礼の船旅に出たフィデルマだが、船にはかつての恋人キアンが乗っていた。波乱ぶくみの船旅だったが、巡礼の一員の修道女が行方不明に。時化のなか海に落ちたと思われたが、船室から血のついた衣が……。7世紀アイルランドを舞台に、王の妹にして弁護士、美貌の修道女フィデルマが活躍するシリーズ第7作。田村美佐子訳
(創元推理文庫 各1100円)[amazon]

ダニエル・フリードマン 『もう耳は貸さない』
メンフィス市の殺人課を引退して数十年、89歳になったわたしに、ラジオ番組のレポーターからインタビューの申し込みがあった。かつて逮捕し、死刑の執行を目前にした殺人者が、わたしから暴力的に自白を強要されたと主張しているという――。バック・シャッツ・シリーズ最新作。野口百合子訳
(創元推理文庫 1144円)[amazon]

連城三紀彦 『敗北への凱旋』
終戦間もない降誕祭前夜、横浜・中華街の安宿で死体となって見付かった隻腕の男。ピアニストとして将来を嘱望された男は、如何にして右腕を失い、名前を捨て、悲惨な末路を辿るに到ったのか。そして、遺された楽譜に仕組まれたメッセージとは……。初期の代表長編。
(創元推理文庫 858円)[amazon]

近藤健児 『絶版新書交響楽 新書で世界の名作を読む
新書判の翻訳文学は網羅的には調査・紹介されておらず、ネットにもまとまった情報はない。けれども、知られていないだけで、魅惑的な作品の宝庫だ。岩波新書の中国文学、ミリオン・ブックス、河出新書文芸篇、英米名作ライブラリー、白水Uブックス、その他マイナー新書にも光を当てる。
(青弓社 1760円)[amazon]

ジャン=バティスト・ド・パナフィユ 『図説 異形の生態 幻想動物組成百科
ユニコーンやドラゴン、セイレーン、バジリスクなど、神話や伝説に登場する異形たちの、その姿ばかりではなく、組成や体内構造にまで、フルカラーで詳細画とともに生物学者が紹介した話題の書。星加久美訳
(原書房 3080円)[amazon]

キム・ニューマン 『《ドラキュラ紀元一九五九》 ドラキュラのチャチャチャ』
〈ナイトランド叢書EX〉
ドラキュラの結婚式が行なわれるローマに飛んだジャーナリスト、ケイトが遭遇したのは、長生者 (エルダー) ばかりを狙う謎の〝深紅の処刑人〟だった。本邦初訳の中編 「アクエリアス──ドラキュラ紀元一九六八」 を収録した 《ドラキュラ紀元》 シリーズ完全版第三弾。鍛冶靖子訳
(アトリエサード 3960円)[amazon]

ヴォーン・スクリブナー 『人魚の文化史 神話・科学・マーメイド伝説
リンネによる人魚の解剖記録とは? 興行師バーナムの「偽人魚」と日本の関係は? 美術、建築、科学、見世物、映画などさまざまな点からマーメイドの秘密に迫る。川副智子・肱岡千泰訳
(原書房 3520円)[amazon]

ローレン・グロフ 『丸い地球のどこかの曲がり角で』
爬虫類学者の父と、本屋を営んだ母。かつて暮らした家には蛇が住み着いていた。幽霊、粘菌、オオカミ、ハリケーン……自然との境界で浮かびあがる人間の意味を物語性豊かに描く11の短篇。光野多恵子訳
(河出書房新社 3300円)[amazon]

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 『
完全版 チェルノブイリの祈り 未来の物語
1986年4月26日、その事故は起こった。人間の想像力をこえる巨大な惨事に遭遇した人びとが語る個人的な体験、その切なる声と願いを、作家は被災地での丹念な取材により書きとめる。消防士の夫を看取る妻、事故処理にあたる兵士、汚染地に留まりつづける老婆――。旧版より約1・8倍の増補改訂が施された完全版。松本妙子訳
(岩波書店 3630円)[amazon]

田中純 『デヴィッド・ボウイ 無を歌った男
誘惑する異星人か、ロック共同体の救世主か、はたまた死者を連れた亡霊か。ロックとロックならざるものの境界を、変幻するスタイルでラディカルに問いつづけたボウイ。多彩な煌めきを曳いて流れたその星(スター)の軌跡に、一貫した「作家性」を認め、綿密な作品批評を通してひとつの稀代の美学・思想として読み解く。渾身の作家論。
(岩波書店 5390円)[amazon]

エラリイ・クイーン 『十日間の不思議 新訳版
知人の懇願を受けてライツヴィルへと赴いた名探偵エラリイは、奇怪な脅迫事件に巻き込まれ……。本格推理小説の極北、新訳決定版。越前敏弥訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 1430円)[amazon]

ダヴィド・ラーゲルクランツ 『ミレニアム6  死すべき女 上・下
リスベット・サランデルは姿を消していた。だが、ミカエルには彼女を再び探す理由が……。世界を揺るがせた六部作、ここに終幕。ヘレンハルメ美穂・久山葉子訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 各968円)[amazon]

ジュリア・フィリップス 『消失の惑星(ほし)
カムチャツカの街で幼い姉妹が行方不明になった。事件は半島中に影を落とす。2人の母親、目撃者、恋人に監視される大学生、自身も失踪した娘をもつ先住民の母親……女性たちの語りを通し、事件、そして日々の見えない暴力を描き出す、米国作家のデビュー長篇。井上里訳
(早川書房 2420円)[amazon]

ローレン・ウィルキンソン 『アメリカン・スパイ』
冷戦下、FBIで働く黒人女性のマリーは、ブルキナファソのカリスマ的リーダー、トマ・サンカラを罠にかける任務を言い渡される。しかし、スパイとしてサンカラに近づくうちに、彼女の信念は揺らぎ始め……。史実を元に、一人の女性の生き様を描く歴史スパイ小説。田畑あや子訳
(早川書房 2530円)[amazon]

バーバラ・ボーランド 『わたしは贋作』
個展に出す予定の連作を火事で失った若手画家。大物アーティスト集団のスタジオを間借りした彼女は、彼らの闇を覗き見てしまう。服部理佳訳
(ハヤカワ文庫NV 1408円)[amazon]

ニック・ウェブ 『伝説の艦隊2 〈ウォリアー〉』
地球の植民星系に襲来した異星人艦隊を撃破すべく、グレンジャー艦長は〈伝説の艦隊〉の〈ウォリアー〉を率いて救援に向かうが!? 置田房子訳
(ハヤカワ文庫SF 1320円)[amazon]

エピクテトス 『エピクテトス 人生談義
「もし君が自分のものでないものを望むならば、君自身のものを失うことになる」。ローマ帝国に生きた奴隷出身の哲人エピクテトスは、精神の自由を求め、何ものにも動じない強い生き方を貫いた。幸福の条件を真摯にさぐるストア派哲学者の姿が、弟子による筆録から浮かび上がる。國方栄二訳
(岩波文庫 1386円)[amazon]

ヴァルター・ベンヤミン 『パサージュ論
遊歩、アレゴリー、メランコリー…。資本主義をめぐるベンヤミンの歴史哲学は、ボードレールの 「現代性(モデルニテ)」の探究に出会う。『パサージュ論』 の中で最大の断章項目 「ボードレール」 のほか、「蒐集家」 「室内、痕跡」 を収録。今村仁司他訳
(岩波文庫 1320円)[amazon]

イタロ・ズヴェーヴォ 『ゼーノの意識
「人生はむずかしくはないが、とても不条理だ」。事業も生活も期待通りにいかない。さりとて打開する意志もなく、ただ偶然に身をまかせるばかり。あれこれと思いめぐらし、来し方を振り返るゼーノ。その当てどない意識の流れが、不可思議にも彼の人生を鮮やかに映し出す。独白はカタストロフィの予感を漂わせて終わる。堤康徳訳
(岩波文庫 1067円)[amazon]

明日鉄男 『江戸10万日全記録 新装版
社会的事件から江戸時代を読む、江戸時代事件年表。天正17年(1589)から慶応3年(1867)までの約280年間に起こった社会的事件 (犯罪・事故・天災・人災や一揆・騒擾など) を克明に記録。取り上げる人物も庶民を重視し、その人間性を示す逸話などを収録。小説のように楽しめる、「読む」年表。
(雄山閣 3520円)[amazon]

マルコ・マルターニ 『老いた殺し屋の祈り』
還暦をとうに過ぎながら組織一の殺し屋として名を轟かすオルソ。ある日心臓発作で生死の境を彷徨った彼は、40年前に別れた恋人と娘に一目会いたいと、二人が暮らすという小さな町へ向かうが、その途上、列車内で男に襲われる。イタリア映画界の旗手が放つ慟哭の傑作ノワール。飯田亮介訳
(ハーパーBOOKS 1300円)[amazon]

『幻想と怪奇5 アメリカン・ゴシック E・A・ポーをめぐる二百年
H・P・ラヴクラフト、レイ・ブラッドベリ、スティーヴン・キング……アメリカン・ホラーの巨匠たちがみな、敬愛を込めてその名を口にする文学者がいる。そう――彼の名は、エドガー・アラン・ポー。「ベレニス」 他のポー作品、C・B・ブラウン、W・アーヴィング、ホーソーン、フィッツ=ジェイムズ・オブライエン、ウォートン、ダーレス、シャーロット・パーキンス・ギルマン、デイヴィス・グラッブ、M・W・ウェルマン、テム他、ポー以前から現代までアメリカン・ゴシックの系譜を辿る。内容
(新紀元社 2420円)[amazon]

魚住昭 『出版と権力 講談社と野間家の一一〇年
臆面もなく立身出世を説き、一代にして 「雑誌王」 に成り上がった初代清治。勃興する帝国日本の大衆の心を鷲づかみにした印刷物は、やがて軍部との関係のなかで変貌していく。そして敗戦後、総合出版社への転換をなしとげ、国民教育と出版による世界平和の夢を追いつづけた四代省一。未公開資料を駆使し、近代出版150年を彩る人物群像のなかに野間家の人びとを位置づけた大河ノンフィクション。
(講談社 3850円)[amazon]

《MONKEY》 vol.23 特集 ここにいいものがある。
英語圏の“新しい"文学を最前線でお届け。本邦未紹介の作家の短篇作品を岸本佐知子と柴田元幸が競訳。内容
(スイッチパブリッシング 1320円)[amazon]

鴻巣友季子 『翻訳教室 はじめの一歩
「翻訳をする」 とは一体どういう事だろう? 引く手数多の翻訳家とその母校の生徒達によるとっておきの超・入門書。スタートを切りたい全ての人へ。
(ちくま文庫 880円)[amazon]

ジョージ・サルマナザール 『フォルモサ 台湾と日本の地理歴史
自称台湾人の詐欺師による詳細な台湾・日本紹介。奇怪な風習・宗教、言語など、すべて架空の創作ながら知識層に広く読まれ、18世紀欧州の極東認識やスウィフト 『ガリヴァー旅行記』 にも影響を与えた世紀の奇書。原田範行訳
(平凡社ライブラリー 1980円)[amazon]

甘美で痛いキス 吸血鬼コンピレーション

『魔人ドラキュラ』から90年。怪奇と恐怖を愛する作家・山口雅也の総指揮の下、フィクションにおける「吸血鬼」像の変遷と豊かなヴァリエーションを、海外古典と日本人作家の短篇を通して追うコンピレーションブック。菊地秀行×山口雅也「古今東西吸血鬼映画ベスト」、山口雅也×京極夏彦「対談:西洋の吸血鬼vs日本の吸血妖怪」も収録。「吸血鬼」 ポリドリ/「ヘンショーの吸血鬼」 カットナー/「吸血鬼の歯」 ロラン・トポール/「おしゃぶりスージー」 ジェフ・ゲルブ/「ホイットビー漂流船事件」 レイフ・マクレガー/「吸血機伝説」 ゼラズニイ/他 内容
(二見書房 2090円)[amazon]

アリスン・モントクレア 『ロンドン謎解き結婚相談所』
舞台は戦後ロンドン。戦時中にスパイ活動のスキルを得たアイリスと、上流階級出身のグウェンが営む結婚相談所に、若い美女が入会する。奥手だが誠実な会計士を紹介したが、女性は殺され、会計士の青年が逮捕されてしまう。彼が犯人と思えない二人は真犯人捜しに乗りだすが……。山田久美子訳
(創元推理文庫 1320円)[amazon]

《ミステリーズ》 Vol.105
不気味な老人が暗躍する事件の真相とは? 衝撃の結末で贈る、櫛木理宇 『老い蜂』 最終回。『皇帝と拳銃と』 で活躍した、乙姫警部の名推理再び! 倉知淳、渾身の倒叙ミステリシリーズ最新中編ほか。※最終号(今夏、新文芸誌創刊予定)
(東京創元社 1320円)[amazon]

『SFが読みたい!2021年版』 SFマガジン編集部
年間ベストSF発表、ベスト1作家からのメッセージ、サブジャンル別ベスト、この一年のSF関連トピック、2021年の各出版社のSF書籍刊行予定、SF作家たちの最新予定「2021年のわたし」、SF関連書籍&DVD目録などでおくる恒例のガイドブック最新版。
(早川書房 968円)[amazon]

コリン・ワトソン 『ロンリーハート・4122』
〈論創海外ミステリ〉
結婚願望を持つ中年女性のルーシーは、イギリスの田舎町の結婚相談所で 「ロンリーハート(交際を希望する中年男性)4122号」 と知り合い、甘美な未来と薔薇色のロマンスを夢見る。しかし、過去に彼と関わった女性は二人とも行方不明になっていた……。英国推理作家協会賞候補作(1967)。岩崎たまゑ訳
(論創社 2640円)[amazon]

林熊生(金関丈夫) 『船中の殺人』
昭和18年10月に東都書籍台北支店で刊行された 『船中の殺人』 は基隆-門司間を結ぶ内台連絡船の船中で起きた殺人事件を描く長編探偵小説。人類学者、解剖学者の著者は、戦時中に台北帝国大学医学部教授を務める傍ら、林熊生の筆名で台湾の出版社から探偵小説を上梓した。オンデマンド版
(大陸書館 1430円)[amazon]

蒲松齢 『聊斎志異』
中国清代の蒲松齢作。民間伝承などをもとに豊かな空想力と古典の教養を駆使し、神仙、幽霊、野狗、妖怪などと人間との不思議な交わりを描いた怪異譚。43篇を厳選収録。芥川龍之介や太宰治ら多くの日本の作家に影響を与えた中国怪異小説の傑作。黒田真美子訳
(光文社古典新訳文庫 1716円)[amazon]

フェルナンド・デル・パソ 『帝国の動向』
〈フィクションのエル・ドラード〉
1861年、対外債務の支払いを拒否したメキシコは列強の反発を招き、フランス皇帝ナポレオン3世は派兵して君主制の創設を目論んだ。白羽の矢が立ったオーストリア大公フェルディナント・マクシミリアンはベルギー王女シャルロットと共に、メキシコ皇帝夫妻としてその地を踏むこととなる。動乱のメキシコ近代史に束の間君臨した皇帝夫妻の悲劇的運命を、史実とフィクションによって描く。寺尾隆吉訳
(水声社 5500円)[honto]

スティーヴン・キング 『任務の終わり 上・下
奇怪な能力を駆使して大量殺人を企む殺人鬼を傷だらけで追う退職刑事。恐怖の計画を阻止せよ。ミステリーとホラーを融合させた大作。白石朗訳
(文春文庫 990円/1034円)[amazon]

木村生死 『秀吉になった男 木村生死傑作集
矢野徹らと日本初の科学小説専門誌 『星雲』 を発行した木村生死の小説作品をまとめた一冊。
盛林堂ミステリアス文庫 3500円)

山田風太郎 『八犬伝 上・下 山田風太郎傑作選 江戸篇
正義の八犬士が活躍する 『南総里見八犬伝』 の 「虚の世界」 と、作者馬琴の 「実の世界」 とを交錯させながら描く、驚嘆の伝奇ロマン。
(河出文庫 各1155円)[amazon

レイチェル・クシュナー 『終身刑の女』
29歳にして二つの終身刑プラス6年の刑で服役しているロミー。幼い頃から愛情に恵まれず、ドラッグや万引きを繰り返し、ストリッパーになり、子を産んで、その子が幼いうちにストーカーを殺し、逮捕された。やがて息子の面倒を見ていた母親が亡くなったと知り、ロミーは絶望の果てに脱走を企てる。池田真紀子訳
(小学館文庫 1243円)[amazon]

千街晶之編 『伝染る恐怖 感染ミステリー傑作選
古来より人類は感染症の脅威に直面してきた。「理知の文学」であるミステリーは、疫病をいかに描いてきたのか。古今東西の 「疫病」 「感染症」 にまつわる短編アンソロジー。【収録内容】 ポオ 「赤死病の仮面」、コナン・ドイル 「瀕死の探偵」、フリーマン 「悪疫の伝播者」、マーキー 「空室」、西村京太郎 「南神威島」、皆川博子 「疫病船」、梓崎優 「叫び」、水生大海 「二週間後の未来」
(宝島社文庫 990円)[amazon]

ジョン・ヴァーチャー 『白が5なら、黒は3』
混血のボビーは、黒人のアイデンティティーを隠し、白人としてやり過ごしてきた。しかし、出所したばかりの白人の親友が起こした黒人青年へのヘイトクライムに、不本意に関わってしまったことをきっかけに、親友、そして家族との関係は思いもよらぬ展開へ……。関麻衣子訳
(ハヤカワ・ミステリ 1980円)[amazon]

ケン・リュウ 『神々は繋がれてはいない』
殺し屋になった唐の将軍の娘を描く表題作やデビュー作 「カルタゴの薔薇」 など8篇を収録する単行本 『生まれ変わり』 二分冊二冊目。古沢嘉通・幹遙子・大谷真弓訳
(ハヤカワ文庫SF 1078円)[amazon]

《月刊みすず》 1・2月合併号
読書アンケート特集
みすず書房


▼1月刊

レオ・ブルース 『ビーフ巡査部長のための事件』
森で発見された死体と、1年前の殺人計画手記。錯綜する証拠から導かれる意想外の真相とは? 「動機なき芸術殺人」 の謎に名探偵ビーフが挑む。英国黄金期本格の巨匠、第6長篇。小林晋訳
(扶桑社ミステリー 1100円)[amazon]

平山亜佐子編著 『戦前尖端語辞典』
生活、学生、外来語、思想、女学生、文化、医療、社会、隠語の9つのジャンルからなる新語・流行語を大正8年〜昭和15年までの約30の流行語辞典から収録。言葉が生まれる背景から関係する当時の事件まで、多くの引用とともに書かれた著者オリジナルの解説に加え、同時代の文芸作品から用例を示した。絵・漫画=山田参助
(左右社 1980円)[amazon]

『中国・アメリカ 謎SF』 柴田元幸・小島敬太編訳
〈謎SF〉の世界へようこそ! 謎マシン、謎世界コンタクト……中・米の現代文学最前線から、インスピレーションによって紡がれた偏愛の7篇の競演。【収録内容】 「マーおばさん」 ShakeSpace(遥控)/「曖昧機械―試験問題」 ヴァンダナ・シン/「焼肉プラネット」 梁清散/「深海巨大症」 ブリジェット・チャオ・クラーキン/「改良人類」 王諾諾/「降下物」 マデリン・キアリン/「猫が夜中に集まる理由」 王諾諾
(白水社 2200円)[amazon]

荒俣宏 『妖怪少年の日々 アラマタ自伝
戦後の東京下町で、海や虫やお化けと戯れた少年時代、貪るように本を読み、幻想・怪奇文学に出会った学生時代、平凡社で寝起きして 『世界大博物図鑑』 を完成させた社会人時代……。人生の軌跡を網羅した初の自伝。
(KADOKAWA 予価2970円)[amazon]

文藝別冊 我らの山田風太郎 古今無双の天才河出書房新社編集部編
圧倒的な奇想と物語で我々を魅了し続ける鬼才山田風太郎。ミステリから忍法帖、明治もの、戦中日記まで、その全貌に迫る決定版読本。
(河出書房新社 1430円)[amazon]

ロバート・クレイス 『危険な男』
私立探偵ジョー・パイクは、銀行の帰りに窓口の女性イザベルの誘拐を目撃、彼女を救い、二人組の犯人を警察に引き渡した。ところが犯人が保釈されたことを知ったイザベルは、また狙われるのではと怯え、パイクの電話にメッセージを残し失踪する。だが、二人組は保釈直後に殺害されていた……。人気シリーズ第4弾。高橋恭美子訳
(創元推理文庫 1496円)[amazon]

ロビン・スローン 『はじまりの24時間書店』
1969年、ひとりの大学図書館員が一冊の貴重な書物を見つけ出す使命を帯びてサンフランシスコを訪れた。手がかりを求め行き着いた小さな書店は、客も少ないのになぜか終日休まず営業していた――あの 〈二十四時間書店〉 が秘めていた、もうひとつの本にまつわる不思議な冒険の物語。島村浩子訳
(東京創元社 1760円)[amazon]

別冊太陽スペシャル 松井冬子』
生きることの痛みなど、内省的なテーマを描き続ける松井冬子。新作《生々流転》を含む代表作をひもときながら、画業の全体像を紹介。八柳サエ監修
(平凡社 2750円)[amazon]

イアン・マキューアン 『恋するアダム』
AIはどこまで人を愛せるのか? さえない独身男と高学歴女子の間に割り込んできたアンドロイド。奇妙な三角関係のゆくえは? 村松潔訳
(新潮社 2750円)[amazon]

ジョン・マーズデン/ショーン・タン(絵) 『ウサギ』
大勢のウサギがやって来て大陸に蔓延し、先住者は危機に追いやられていく。美麗なイラストで語られる建国寓話。豪児童文学賞受賞。岸本佐知子訳
(河出書房新社 2200円)[amazon]

ジョージ・R・R・マーティン 『炎と血 2』
〈氷と炎の歌〉で描かれる世界の300年前、東方のヴァリリアからドラゴンを従えてウェスタロスを征服王したエイゴン一世に始まるターガリエン家の治世を綴った年代記。原書を二分冊・2ヶ月連続刊行。酒井昭伸・鳴庭真人訳
(早川書房 3410円)[amazon]

《ミステリマガジン》 3月号
〈特集=クイーンのライツヴィル〉
 戯曲『災厄の町』(ジョゼフ・グッドリッチ)、「中・後期クイーン座談会」有栖川有栖×綾辻行人×法月綸太郎×麻耶雄嵩(司会・千街晶之) 他
(早川書房 1320円)[amazon]

ウォルター・S・マスターマン 『誤配書簡 kindle版
屋敷内の施錠された密室で、内務大臣の死体が発見された。死因は頭部への銃撃。捜査に乗りだした警視と私立探偵が直面する、謎また謎、そしてロマンス。紛糾した事件は、やがて驚きの結末へ――黄金時代の埋もれた本格探偵小説。夏来健次訳
(扶桑社 873円)[amazon]

フランチェスコ・ディミトリ 『蒸気の国のアリス』
幻覚を誘発する異様な蒸気に満ちたスチームランドを旅する人類学者アリスの過酷な冒険と熾烈な戦いの物語。現代イタリアの長篇ファンタジー。久保耕司訳
盛林堂ミステリアス文庫 3500円)

大下宇陀児 『探偵小説 幽霊紳士 或いは、恐怖の歯型 室蘭版
室蘭毎日新聞に連載された、『恐怖の歯型』 の異稿版。
(東都 我刊我書房 5000円) 取扱=盛林堂

クラーク・アシュトン・スミス 『惡の華』
「惡の華」「冥王星の秘薬」「幽霊銅鑼」「銅像」「マレーのクリス剣」「大神アウトゥ」「ムハマンド・ディンの幽霊」「藩王と虎』『象使い」「コルゴーンの酒宴」「砂漠で語られしこと」「戯曲 死者が汝の妻を寝取るだろう」を収録。大網鐵太郎編/矢藤生葉訳
(綺想社 5000円) 取扱=盛林堂

ジョナサン・スウィフト 『ガリヴァー旅行記』

〈英国十八世紀文学叢書〉
「リリパット渡航記」 「ブロブディングナッグ渡航記」 「ラピュタ、バルニバルビ、ルグナグ、グルブドゥブドリブ、ジャパン渡航記」 「フウイヌム国渡航記」 の四部からなる架空旅行記・諷刺小説の名作。高山宏訳
(研究社 3300円)[amazon]

グリム兄弟 『夜ふけに読みたい 動物たちのグリム童話』
「夜ふけに読みたいおとぎ話」 シリーズ最新巻は 「グリム童話」。「カエルの王さま」「赤ずきんちゃん」「ハーメルンの笛吹き」など、動物が出てくるお話を収録。挿絵アーサー・ラッカム。吉澤康子・和爾桃子編訳/井口富美子監訳
(平凡社 2420円)[amazon]

ファニー・ピション 『プルーストへの扉』
『失われた時を求めて』 を読みたいと思っている人、読みはじめたけれど挫折してしまった人に捧げる、斬新でわかりやすいアプローチ。高遠弘美訳
(白水社 2310円)[amazon]

山本貴光・吉川浩満 『人文的、あまりに人文的』
古代ローマからマルチバースまでブックガイド20講+α。人(ヒト)の文(アヤ)から考えよう。〈山本くん〉と〈吉川くん〉の読書会。古代文明からエピクテトス、モンテーニュ、カント、フーコー、千葉雅也、加藤陽子、読書猿、神経科学、多元宇宙論まで、新旧基本図書総ざらい。
(本の雑誌社 2090円)[amazon]

荒川紘 『龍の起源』
奇怪な空想の怪獣がなぜ宇宙論と結びついたのか。 西洋のドラゴンには、なぜ羽が生えているのか。なぜ、権力と結びついたのか……。神話や民話、絵画に描かれた世界各地の龍を調査・探索。龍とは何かに迫る画期的な書。
(角川ソフィア文庫 1496円)[amazon]

松岡正剛 『千夜千冊エディション サブカルズ』
サブカルチャーの起こりは1世紀前のアメリカに遡る。ブルース、ジャズ、グラフィティが「クール」に文化を騒がせた。戦後日本の表現史から「おたく」の誕生、マンガ、ラノベまでサブカルの系譜を辿る。
(角川ソフィア文庫 1694円)[amazon]

ヨハンナ・シュピリ 『アルプスの少女ハイジ』
両親を失いながらも太陽のように明るく人々の心を照らす少女ハイジ。アルプスの山小屋で孤独に暮らすおじいさん、ヤギ飼いのペーター、足の不自由な少女クララらとの出会いと交流。雄大な自然を背景に、人間性の回復と再生を描く、愛と感動の物語。松永美穂訳
(角川文庫 1276円)[amazon]

フランシス・ホジソン・バーネット 『小公子』
ニューヨークの下町で母親と暮らす少年セドリックは天真爛漫な男の子。ある日、イギリスの貴族である祖父の跡取りとして迎えられることになり、母とともに海を渡る。だが、冷酷な祖父ドリンコート伯爵は、アメリカ人の母親を憎み、二人を引きはなそうとしていた……。羽田詩津子訳
(角川文庫 836円)[amazon]

郝 景芳 『人之彼岸』
破壊された村にやってきた主人公とその管理下のロボット 「雪怪」 が小型機械車と出会った顛末を描く 「戦車の中」 ほか、AIをめぐる物語6篇と2篇のエッセイを収録。劉慈欣 『三体』 に続き、中国にヒューゴー賞をもたらした 「折りたたみ北京」 著者による短篇集。
(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 1980円)[amazon]

リチャード・ロイド・パリー 『津波の霊たち 3・11 死と生の物語
2011年の東日本大震災における津波被災に焦点をあて、巨大災害が人々の心に与えたトラウマと余波に迫る。テーマはおもに2つ。1つは宮城県石巻市立大川小学校の事件について。2つめは、被災地の心霊現象について。津波で亡くなった人びとが幽霊となって現れたという目撃談を綴る。外国人ジャーナリストの目から見た3・11の深層を浮かび上がらせる。濱野大道訳
(ハヤカワ文庫NF 1122円)[amazon]

ピーター・ヘラー 『燃える川』
カヌーの旅に出た親友同士の大学生二人。しかし不穏な事件に遭遇し、大自然のなか生き延びるために闘うことに。迫真のサスペンス。上野元美訳
(ハヤカワ文庫NV 1254円)[amazon]

モーリス・ルブラン 『ルブラン ショートセレクション 怪盗ルパン さすらう死神』
フランスの作家、モーリス・ルブランが産み出した傑作 「怪盗紳士アルセーヌ・ルパン」 シリーズから、怪盗でありながら正義の味方でもあるルパンの魅力が遺憾なく発揮された表題作はじめ四つの短編を新訳で紹介。平岡敦訳
(理論社 1430円)[amazon]

常盤新平 『片隅の人たち』
植草甚一、都筑道夫、清水俊二……。1950年代から60年代にかけて、小説の翻訳を生業とする個性豊かな面々が現れた。直木賞受賞作 「遠いアメリカ」 と同時期を舞台に、出版界の片隅に生きる人々の姿を、憧れに満ちた青年のまなざしから描いた自伝的短篇集。巻末にエッセイ「二十代の終わりごろ」他一篇を付す。
(中公文庫 946円)[amazon]

ブリア=サヴァラン 『美味礼讃 上・下
新しい料理の発見は人類の幸福にとって天体の発見以上のものである。1825年に刊行された『味覚の生理学』は、日本では 『美味礼讃』 の訳書名で知られてきた。美食家としての情熱と蘊蓄を科学的知見をもとに掘り下げ、食べることが人間と社会にとっていかに重要であるかを説いた美味学の古典。玉村豊男訳
(中公文庫 各990円)[amazon]

バーナード・マラマッド 『テナント』
1970年のニューヨーク。再開発で立ち退きを迫られながら新作完成まではと居座るユダヤ系作家レサー。唯一の住人のはずが、空き部屋からタイプライターを叩く音……「誰かが書いている!」 黒人の作家志望ウィリーとの凄絶な心理戦争がはじまる。ベトナム反戦の過激化とともに盛り上がるブラック・パワーの時代を、持ち前のユーモアとペーソスにサイケを加えて描く異色長編。青山南訳
(みすず書房 3080円)[amazon]

ヴィンセント・ディ・マイオ/ロン・フランセル 『死体は嘘をつかない』
男は黒人少年を射殺した犯罪者なのか、正当防衛で発砲した無実の市民なのか。それは死体の傷口から一目瞭然である――。練達の検死医が語る、知られざる検死の世界。法医学的に鮮やかに明かされる数々の事件の意外な真相から目が離せない、傑作ノンフィクションが文庫化。満園真木訳
(創元ライブラリ 1320円)[amazon]

ピーター・メイ 『ロックダウン』
死亡率80%の新型ウイルスの流行で、都市封鎖されたロンドン。その最中、肉を削ぎ落とされた人骨が発見され、第二、第三の殺人が――。現在と驚くほど酷似する世界、2005年に出版を見送られた異色のミステリー。堀川志野舞・内藤典子訳
(ハーパーBOOKS 1200円)[amazon]

イタロ・ズヴェーヴォ 『ゼーノの意識
「お書きなさい。自分の姿が見えてきますよ」。医師の勧めで回想録を書き始めた主人公ゼーノ。嫉妬、虚栄心、背徳感、己を苛んだ感情をまざまざと蘇らせながらも、精神分析医のごとく自身の人生を淡々と語る。ジョイス『ユリシーズ』にもつらなる「意識の流れ」を精緻に描き出した、ズヴェーヴォの代表作。堤康徳訳
(岩波文庫 1067円)[amazon]

アネッテ・ヘス 『レストラン 「ドイツ亭」 アウシュヴィッツ裁判で明かされた秘密
ベストセラー『朗読者』を彷彿とさせるノンフィクション小説。「アウシュヴィッツ裁判」でナチス戦犯に父母を発見する主人公の苦悶。森内薫訳
(河出書房新社 3190円)[amazon]

Colin Larkin 《
Cover Me: The Vintage Art of Pan Books: 1950-1965》

英国のペイパーバック、パン・ブックスのカバーアート300点以上をフルカラーで収録、詳細な解説を付したヴィジュアルブック。内容
(Telos Publishing)[amazon]

横溝正史 『完本 人形佐七捕物帳 七』
人形を思わせる色男の岡っ引き、 佐七が次々に江戸の事件を解決していく推理劇 。最新の研究で明らかにされた全180 篇を 、綿密な校訂のもと初めて発表順に完全収録。
(春陽堂書店 4950円)[amazon]

19世紀イタリア怪奇幻想短篇集』
ひょんなきっかけで亡霊が男爵に取り憑く 「木苺のなかの魂」、〈真実の口〉ドン・ペッピーノが王の家族に忠義心を試される寓話風の 「三匹のカタツムリ」 ほか、どこか一癖ある19世紀イタリア文学の怪奇幻想短篇を収録。9篇すべて本邦初訳。橋本勝雄編訳。【収録内容】 「木苺のなかの魂」イジーノ・ウーゴ・タルケッティ/「ファ・ゴア・ニの幽霊」 ヴィットリオ・ピーカ/「死後の告解」レミージョ・ゼーナ/「黒のビショップ」 アッリーゴ・ボイト/「魔術師」 カルロ・ドッスィ/「クリスマスの夜」 カミッロ・ボイト/「夢遊病の一症例」 ルイージ・カプアーナ/「未来世紀に関する哲学的物語 西暦二二二二年、世界の終末前夜まで」 イッポリト・ニエーヴォ/「三匹のカタツムリ」 ヴィットリオ・インブリアーニ
(光文社古典新訳文庫 1100円)[amazon]

レフ・トルストイ 『戦争と平和4
ナターシャとの破局後、軍務に復帰したアンドレイは実戦部隊で戦闘に参加。途中、父の領地への敵の接近を報せるが、退避目前で父は死去し、妹は領地の農民の反抗にあう。一方ピエールは、モスクワへ迫るナポレオン軍との戦いの現場に乗り込む。望月哲男訳
(光文社古典新訳文庫 1232円)[amazon]

チャ―ルズ・ディケンズ 『ディケンズ全集 書簡集I
1820-1839年
小説家として地歩を固める『オリヴァー・トゥイスト』完結前後までの,友人や出版社・編集者,後に妻となるキャサリン・ホガースらとの交流を物語る1,061通を収める書簡集。田辺洋子訳
(萌書房 8800円)[amazon]

『ロバート・フロスト詩集 ニューハンプシャー』
20世紀アメリカ詩を代表する詩人の第4詩集 『ニューハンプシャー』 の翻訳。これによって、フロストは、ピュリッツァー賞を射止めた。藤本雅樹訳
(春風社 4400円)[amazon]

魔子鬼一 『牟家殺人事件』
江戸川乱歩氏の推薦によって、新人の作品として 「宝石」 昭和25年4月号に一挙掲載、中国を舞台にした長編探偵小説。
(大陸書館 1694円)[amazon]

カート・セリグマン 『魔法 その歴史と正体
神秘思想、呪術、魔術、秘密結社、占星術……知られざる精神の歴史と正体を豊富な図とともに詳解する。隠された思想の起源と転換点を解き明かす知の万華鏡。平田寛・澤井繁男訳
(平凡社ライブラリー 2640円)[amazon]

レイフ・GW・ペーション 『平凡すぎる犠牲者』
殺されたのは、アルコール依存症で年金生活者の老人だった。きわめてありふれた事件。ベックストレーム警部以下、ソルナ署の刑事たちが捜査にあたるが、有力な容疑者の一人だった第一発見者の新聞配達人が死体で発見される。スウェーデンミステリ界の重鎮、最新シリーズ第2弾。久山葉子訳
(創元推理文庫 1430円)[amazon]

ピーター・ワッツ 『6600万年の革命』
地球を出発してから6500万年。恒星船〈エリオフォラ〉は、銀河系にワームホールゲート網を構築する任務を続けていた。乗組員サンデイは任務に忠実だったが、あるきっかけで極秘の叛乱計画に加わることを決意する。傑作ハードSF。嶋田洋一訳
(創元SF文庫 1034円)[amazon]

田中小実昌 『幻の女 ミステリ短篇傑作選
夜の街の片隅で起こる世にも奇妙な出来事たち。日下三蔵編
(ちくま文庫 924円)[amazon]

マーティン・ガードナー 『新版 自然界における左と右 上・下
「左と右」 は自然界において区別できるか? 上巻では、鏡の像の左右逆転から話をはじめ、動物や人体における非対称、分子の構造等について論じる。下巻では、パリティの法則の破れ、反物質、時間の可逆性等が取り上げられ、壮大な宇宙論が展開される。解説 若島正。坪井忠二・藤井昭彦・小島弘訳
(ちくま学芸文庫 1430円/1595円)[amazon]

オインカン・ブレイスウェイト 『マイ・シスター、シリアルキラー』
真面目な看護師コレデはうんざりしていた。美貌の妹アヨオラが、今日もまたその彼氏を殺してしまったのだ。これで三人目。コレデは死体を処理するが、次第に警察の捜査が姉妹に迫り……。ナイジェリアの新星が描くブラックユーモアと切なさに満ちたサスペンス。ミステリ賞4冠、ブッカー賞候補作。粟飯原文子訳
(ハヤカワ・ミステリ 予価1870円)[amazon]

ジョン・マクマホン 『刑事失格』
人種差別主義者と黒人少年が殺害された。心に傷を負った刑事、マーシュは二つの事件を追うことに。二転三転する捜査の行方は? 恒川正志訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 1210円)[amazon]

ケン・リュウ 『生まれ変わり』
悪い記憶を切除する異星の訪問者にまつわる事件を描く表題作など第三短篇集 『生まれ変わり』 単行本版から12篇を収録した傑作集。古沢嘉通・幹遙子・大谷真弓訳
(ハヤカワ文庫SF 1078円)[amazon]

L・J・R・ケリー 『こぐまとブランケット 愛されたおもちゃのものがたり
少年とどんなときも一緒だったくまのぬいぐるみとブランケット。ある時ふとしたことでなくしてしまう。《こぐまとブランケット》は少年の元へ戻ろうとするが――。本書は"オモチャのその後"を描いた少し不思議でやさしい物語。子どもの想像力・感受性を育む一冊。内田也哉子訳
(ハヤカワ・ジュニア・ブックス 1650円)[amazon]

『百鬼園先生 内田百閒全集月報集成佐藤聖編
没後すぐの1971年から刊行の始まった講談社版、80年代後半の福武書店版。二つの全集月報に、福武文庫シリーズの解説を加え初集成する。86人の執筆者が語る百閒の人と文学。略年譜、作品索引を付す。没後50年記念出版。
(中央公論新社 5280円)[amazon]

ピート・ハミル 『ニューヨーク・スケッチブック』

ニューヨークで生きる人々の日常を絶妙な語り口で描く人生ドラマ。映画 『幸福の黄色いハンカチ』 原作を含む著者代表作。新装版。
(河出文庫 968円)[amazon]

『ハーメルンの笛吹きと完全犯罪 昔ばなし×ミステリー 【世界篇】
白雪姫、ハーメルンの笛吹きなど誰もが知る世界の童話から生まれた傑作ミステリーアンソロジー。「怖さ」がにじむ8篇を収録。仁木悦子・角田喜久雄・石川喬司・鮎川哲也・赤川次郎・小泉喜美子・結城昌治
(河出文庫 792円)[amazon]

『カチカチ山殺人事件 昔ばなし×ミステリー 【日本篇】
カチカチ山、猿かに合戦など日本人なら誰もが知る昔ばなしから生まれた傑作ミステリーアンソロジー。その「怖さ」をあぶりだす7篇。伴野朗・都筑道夫・戸川昌子・高木彬光・井沢元彦・佐野洋・斎藤栄
(河出文庫 792円)[amazon]

千街晶之編 『歪んだ名画 美術ミステリーアンソロジー
立石の営む古美術店に、なじみの客から大量の骨董品を売りたいと申し出があった。それらの品にはある秘密が隠されていて──(「老松ぼっくり」)。掛物、陶磁器、絵画、刺青など美術にまつわる傑作ミステリーを集めた短編アンソロジー。
(朝日文庫 968円)[amazon]

アンドレアス・フェーア 『咆哮』
ドイツ南部の小さな湖で、凍りついた湖面の下から16歳の少女の死体が発見された。謝肉祭のプリンセスのようなドレスを着て、口の中には数字の書かれたブリキのバッジが押し込まれていた。フリードリヒ・グラウザー賞(ドイツ推理作家協会賞)新人賞受賞作。
(小学館文庫 1155円)[amazon]

ロバート・ベイリー 『ラスト・トライアル』
相棒リックが 「マクマートリー&ドレイク法律事務所」 を離れ、一人で弁護士業務を請け負うことになったトムのもとに一人の少女が現れ、殺人事件の容疑者として逮捕された母親の弁護を依頼する。被害者はトムとリックにとって宿敵の男。そして容疑をかけられた母親は、あの因縁の人物だった……。人気法廷シリーズ第3弾。吉野弘人訳
(小学館文庫 1210円)[amazon]

ピエール・ルメートル 『監禁面接』
57歳の失業者アランは再就職のための最終試験に挑む。それは重役会議を襲撃せよというもの……「働く」意味を問いかける怒涛の長篇。橘明美訳
(文春文庫 968円)[amazon]

パスカル・キニャール 『はじまりの夜』

イメージとはなにか。孕まれた瞬間を、自らが不在であり、起源である場面。夜の画家たちによって生み出された起源の場面を巡って、芸術に造詣の深い著者が考察する、幻想的な絵画論。大池惣太郎訳
(水声社 3300円)[honto]