7月21日
◆1865年のこの日、安楽椅子探偵の草分け 『プリンス・ザレスキー』 (1895) の作者M・P・シールが英領西インド諸島のモントセラット島で生まれる。父親はアイルランド出身の商人で、モントセラット近海の小さな岩島レドンダ島の領有を宣言、息子をレドンダ国王とした。シールは終末SF 『紫の雲』 や黄禍小説の元祖 『黄色の危機』、怪奇小説 「ゼリュシャ」 「音のする家」 など、多彩な作品を残したが、その晦渋な文体は翻訳者泣かせで、『プリンス・ザレスキーの事件簿』 の訳者中村能三は、「シール氏の文章には手応えどころか、ついには嘔吐と憎悪と、時としては敵意すら覚えることがあった」 と異例のあとがきを記している。ちなみに中村は同訳書刊行の2ヶ月後に亡くなっている。
◆1929年のこの日、最初のフー・マンチュー映画 《The Insidious Dr. Fu Manchu》 が公開。世界征服を企む中国人天才科学者フー・マンチューを演じたワーナー・オーランドは、のちに中国系ハワイ人のチャーリー・チャン警部役でも大ヒットを飛ばした。
◆1947年のこの日、小説家・新聞記者の菊池幽芳が死去。幼き日の乱歩を魅了した 『秘中の秘』 (1902-03) の他、コリンズやハガードの翻案を手がけた。しかし、その本領は家庭小説にあった。『秘中の秘』 は現在 『菊池幽芳探偵小説選』(論創社)で読める。
◆1967年のこの日、『バスカヴィル家の犬』(1939) 他のシャーロック・ホームズ役で有名な俳優バジル・ラスボーンが死去。
◆1975年のこの日、戦前には珍しい堅牢なプロットを誇る本格長篇 『船富家の惨劇』 『瀬戸内海の惨劇』 を残した蒼井雄が死去。