| 3月1日 ◆1887年のこの日、『検死審問』 『悪党どものお楽しみ』 『探偵術教えます』 のパーシヴァル・ワイルドがニューヨークで生まれる。 ◆1892年のこの日、芥川龍之介が東京市京橋区入船町で生まれる。龍之介という名前は、辰年辰月辰日の辰の刻の生まれにちなんで、という。木々高太郎が 「探偵小説」 に替わる呼称として 「推理小説」 を提唱したとき、その例として芥川の 「河童」 を挙げたことはよく知られているが、「藪の中」 を “解決のないミステリ” として読むことも可能だろう。ちなみに 『文豪ミステリ傑作選/芥川龍之介集』 (河出文庫) は、「奉教人の死」 「開化の殺人」 「疑惑」 「魔術」 「未定稿」 「黒衣聖母」 「影」 「妙な話」 「アグニの神」 「奇怪な再会」 「藪の中」 「報恩記」 を収録している。怪奇幻想作家としての側面に注目して編まれたものに 『伝奇ノ匣3/芥川龍之介妖術伝奇集』 (学研M文庫)、『文豪怪談傑作選/芥川龍之介集 妖婆』 (ちくま文庫) がある。 ◆1908年のこの日、『迷宮としての世界』 『文学におけるマニエリスム』 のグスタフ・ルネ・ホッケがブリュッセルで生まれる。 ◆1932年のこの日、生後1年7ヶ月のチャールズ・A・リンドバーグ・ジュニアが誘拐される。大西洋単独横断飛行の英雄の息子の誘拐事件を、新聞は 「世紀の犯罪」 と書き立て、全米が騒然となった。72日後、子供は近くの林の中で死体となって発見された。その2年後、ハウプトマンという男が逮捕され、死刑判決を受けて、事件は一応の決着をみたが、その後もさまざまな疑惑が取り沙汰され、リンドバーグ自身が犯人という説 (たとえばアールグレン&モニアー 『リンドバーグの世紀の犯罪』 朝日新聞社) を含め、いまも事件の 「真相」 を探る試みは尽きない。なお、アガサ・クリスティーはこの誘拐事件に想を得て、 『オリエント急行の殺人』 (1934) を執筆している。 ◆1939年のこの日、岡本綺堂が死去。慢性の気管支炎が悪化して肺浸潤を宣告され、前年の10月から病床にあったが、2月12日には危篤状態に陥り、やや持ち直したものの、綺堂はすでに死を覚悟していた。岡本経一 『綺堂年代記』 (青蛙房) から引く。「意識の明瞭なこと、気力の衰へぬこと、これを唯一の頼みにして、みんな奇蹟を信じてゐたけれども、定命のともしびの消えかかるものを防ぎ止むる術はなかつた。三月一日の夜明け前、門下代表の額田六福を枕許に招いて、ただ看護の礼と後を頼むといふ言葉だけで、殊更の遺言も感想も洩さなかつた。こんこんと深い眠りに落ちて再び目を開かなかつた。遠間の静かな息が長く尾を引いて消えてなくなつたのは、真昼の零時二十分である。例の少し唇を曲げて含み笑ひをするやうな白晢の顔に死の苦渋は見られなかつた。享年六十八、六十六年三月の生涯をここに終る」 ◆1971年のこの日、『帽子から飛び出した死』 『天井の足跡』 「天外消失」 のクレイトン・ロースンが死去。1963年から70年まで 《EQMM》 の編集者でもあった。 |