1月17日
◆1771年のこの日、アメリカ小説の父、とも云われるチャールズ・ブロックデン・ブラウンがフィラデルフィアで生まれる。その 『ウィーランド』 (1798) は、「神の声」 に導かれて殺人を犯す主人公を描いて、独自の悪夢的状況を創造したゴシック小説。催眠術が重要な役割を果たしている点にも注目。もうひとつの代表作 『エドガー・ハントリー』 でも、アメリカ辺境の原野を舞台に恐怖の追跡劇が展開される。このような作品を出発点に持ったアメリカ文学が 「ゴシック」 の系譜を受け継ぐことになったのも無理からぬことかもしれない。
◆1900年のこの日、牧逸馬名義で世界怪奇実話を、谷譲次名義で 「めりけん・じゃっぷ」 物の紀行エッセーを、林不忘名義で丹下左膳などの時代小説を発表した戦前大衆文学界の怪物的人気作家、長谷川海太郎が新潟県佐渡島の赤泊村に生まれる。父親、長谷川淑夫は函館新聞社の主筆。弟に創作 「煙突奇談」 (地味井平造名義) もある洋画家の長谷川りん【サンズイに「燐」のつくり】二郎、満洲映画協会に関わり、バイコフ 『偉大なる王』 の翻訳で知られる長谷川濬、連作 『シベリア物語』 の作家・詩人、長谷川四郎がいる。ちなみに函館中学の下級生には、久生十蘭、水谷準がいた。牧逸馬/谷譲次/林不忘/長谷川海太郎については室謙二の評伝 『踊る地平線』 (晶文社) を。長谷川四兄弟を取り上げた川崎賢子 『彼らの昭和』 (白水社) もある。長谷川四郎はソ連のスパイではなかったか、という疑惑をめぐって子息の長谷川元吉が近年著した 『父・長谷川四郎の謎』 (草思社) も話題を呼んだ。
◆2008年のこの日、エドワード・D・ホックが死去。享年77。怪盗ニック、サム・ホーソーン医師、オカルト探偵サイモン・アーク、レオポルド警部、西部の男ベン・スノウなど、多くのシリーズ・キャラクターを擁して、半世紀にわたり1000篇近い短篇ミステリを発表してきた職人作家。「長方形の部屋」 でMWA最優秀短篇賞を受賞。サンテッスン編 『密室殺人傑作選』 に採られた不可能犯罪物 「長い墜落」 も印象深い。MWA賞授賞式を舞台にした 『大鴉殺人事件』、SFミステリ 『コンピューター検察局』 などの長篇もある。年刊ミステリ傑作選をはじめ、アンソロジストとしても活躍した。