| 1月26日 ◆1804年のこの日、1840年代に 『パリの秘密』 『さまよえるユダヤ人』 などの新聞小説で、西欧読書界を席巻したウージェーヌ・シューがパリで生まれる。《ジュルナル・デ・デバ》 紙に連載された犯罪ロマンスの大作 『パリの秘密』 (1842-43) は絶大な人気を博し、各国語に翻訳され、『ロンドンの秘密』 をはじめ模倣作が続出、『~の秘密』 というタイトルが大流行した。新聞の犯罪小説連載は、以後定番となり、やがてそこからガボリオやボアゴベ、ルルーが登場することになる。『パリの秘密』 は東京創元社 〈世界大ロマン全集〉 で大幅な簡約版が、集英社からは4巻本の邦訳 (これでもまだ完訳ではないという) が出ているが、集英社版のほうは古本屋でも滅多にみかけない (そういえば、読んだ、という人の話も聞いたことがない)。シューの作品では未訳の遺作 『民衆の秘密』 が 『パリの秘密』 以上の傑作らしいのだが。19世紀フランスのフィユトン(新聞小説)については、松村喜雄 『怪盗対名探偵』 (晶文社) や小倉孝誠 『推理小説の源流』(淡交社)でも触れられているが、鹿島茂 『新聞王伝説』 (筑摩書房) が19世紀メディア勃興期の熱気と数多の異才奇人を紹介して面白い。『パリの秘密』 と作者シューを集中的に論じた小倉孝誠 『「パリの秘密」 の社会史』 (新曜社) という本も出た。 ◆1935年のこの日、東京市麹町区内幸町の大阪ビル、レインボーグリルで、夢野久作 『ドグラ・マグラ』 出版記念会が開かれる。司会は大下宇陀児。江戸川乱歩、甲賀三郎、森下雨村、浜尾四郎、小栗虫太郎、水谷準、松野一夫らが祝辞を述べた。 ◆1948年のこの日、帝国銀行椎名町支店に、東京都の腕章をつけた男が現れ、集団赤痢の予防薬と偽り行員に青酸カリを飲ませ、12人を毒殺、現金12万円と小切手を強奪する。のちに犯人として逮捕された画家・平沢貞道には死刑判決が下されたが、平沢は犯行を否認しつづけたまま1987年に獄中死。横溝正史は 『悪魔が来たりて笛を吹く』 (1951-53連載) で、この事件を 〈天銀堂事件〉 として取り入れている。 ◆2000年のこの日、『宇宙船ビーグル号』 のA・E・ヴァン・ヴォークトが死去。 |