| 1月1日 ◆1753年のこの日、親戚の家を訪ねると言って出かけたロンドンの女中エリザベス・キャニングは、そのまま消息を絶った。1ヶ月後、ぼろぼろの恰好で帰ってきた娘は、二人の男にかどわかされて、ある淫売宿の一室に監禁されていたと語る。早速、問題の家に捜査の手が入り、女主人が逮捕され、裁判にかけられたが、エリザベスの証言には矛盾が多く、ついに法廷は事実無根のでっちあげという結論に達した。ではその1ヶ月、彼女はどこで、何をしていたのか。リリアン・デ・ラ・トーレは 『消えたエリザベス』 (1945) でこの失踪事件の謎に挑み、ジョゼフィン・テイは事件の舞台を現代に移し、『フランチャイズ事件』 (1948) を書いた。アーサー・マッケンにもこの事件を取り上げたThe Canning Wonder (1925) がある。 ◆1854年のこの日、『金枝篇』のジェイムズ・ジョージ・フレイザーがスコットランドのグラスゴーで生まれる。 ◆1924年のこの日、映画監督の石井輝男が東京・麹町に生まれる。家業は浅草の綿問屋だった。東映の 《網走番外地》 シリーズ (1965~67) で大ヒットを飛ばし、《江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間》 (69) などのカルト作でも知られるが、ミステリ映画的には、1960年前後に新東宝で撮った 《黒線地帯》 《黄線地帯》 《セクシー地帯》 などの犯罪映画に注目したい。新東宝ではウィリアム・アイリッシュ 『暁の死線』 を映画化する話もあったが、同社の倒産により実現しなかった。他にW・P・マッギヴァーン 『悪徳警官』 が原作の 《親分(ボス)を倒せ》 (63) があり、TVドラマでもシャーロット・アームストロング原作 (「あほうどり」) の 《喪服の訪問者》 (71)、ボアロー&ナルスジャック原作 (『呪い』) の 《汚名の女》 (81) などを手がけている。 ◆1928年のこの日、チャーリー・チャン映画 《支那の鸚鵡》 が公開される。チャン警部役はハリウッドで悪役スターとして一時代を築いた上山草人。 ◆1984年のこの日、『ホッグ連続殺人』 のウィリアム・L・デアンドリアと 『ロマンス作家は危険』 のオレイニア・パパゾグロウが、コネティカット州サウス・ノーウォークで結婚する。 ◆2024年のこの日、『モンスター・ショー』『ハリウッド・ゴシック』のホラー研究家デイヴィッド・J・スカルが交通事故で死去。酔払い運転の若者が引き起こした衝突事故で、同乗していた長年のパートナー、ロバート・ポスタコも2月6日に亡くなった。 |