6月1日
◆1879年のこの日、フリーマン・ウィルズ・クロフツがアイルランドのダブリンで生まれる。鉄道技師として20年以上働いたのち、『樽』(1920)で作家デビュー。大病を得て長期療養を余儀なくされたため、退屈しのぎにノートに書きとめた作品が『樽』の原型となった。その後も1929年に作家専業となるまで鉄道会社で仕事を続けた。クロフツといえばアリバイ破り、足の探偵、という評言が多く、またそれは決して間違ってはいないのだが、初期の『フレンチ警部とチェインの謎』や『紫色の鎌』は冒険小説的な味わいが強いし、『スターヴェルの惨劇』 はオーソドックスなフーダニット、倒叙物の名作『クロイドン発12時30分』『サウサンプトンの殺人』は企業ミステリとしても読める。意外に多様な顔を持つこの作家の再評価にあたっては、紀田順一郎「クロフツとその時代」(創元推理文庫 『シグニット号の死』 解説)が参考になる。
◆1941年のこの日、『銀の仮面』のヒュー・ウォルポールが死去。
◆1959年のこの日、サックス・ローマーが死去。悪魔博士フー・マンチューの作者はオカルト団体〈黄金の夜明け〉団のメンバーでもあり、『骨董屋探偵の事件簿』(1920)では、犯罪現場で真紅のクッションを枕に眠り、夢の中で事件の真相を透視するオカルト探偵モリス・クロウを登場させている。
◆1978年のこの日、ABCテレビの人気ドラマ〈刑事ベレッタ〉が最終回を迎える。