| 12月5日 ◆1890年のこの日、サスペンス映画の巨匠フリッツ・ラングがウィーンで生まれる。ドイツ・ウーファ映画で 《ニーベルンゲン》 《ドクトル・マブゼ》 《メトロポリス》 《M》 など、数々の傑作・大作を監督し、名声をほしいままにしながら、ユダヤ系の出自のためナチス独裁を嫌って亡命、ハリウッドに渡り (《メトロポリス》 の原作者で、ナチス支持者の夫人テア・フォン・ハルボウはドイツに残った)、《暗黒街の弾痕》 《マン・ハント》 《死刑執行人もまた死す》 《飾窓の女》 《恐怖省》 《スカーレット・ストリート》 《外套と短剣》 《復讐は俺に任せろ》 《条理ある疑いの彼方に》 など、スリルとサスペンスにあふれた作品を撮り続けた。その緻密な演出と強烈な映像効果は、ヒッチコックをはじめその後のサスペンス映画に多大な影響を与えている。 ◆1968年のこの日、アンナ・カヴァンの死体がロンドンの自宅で発見される。ヘロイン中毒者で、自殺未遂を繰り返していたカヴァンだったが、直接の死因は自然死だったようだ(実際の死亡日はおそらく前日の12月4日)。親交のあったブライアン・オールディスは、『氷』 アメリカ版(1970)に寄せた序文を次のように結んでいる。「この作品は彼女の壮麗な記念碑である。ただひとつ残念なのは、アメリカでの出版受諾の知らせが間に合わなかったことだ。この朗報が届く一週間前に、彼女はヴェネチアン・ブラインドの降りた静まり返った自室で発見された。あの忠実な注射器を傍に置いて。/彼女は氷に対する準備ができていた。残された我々は、この不意打ちに驚くばかりだった。」 (実際には注射器は腕に刺さった状態で、ただしプランジャーは押されていなかったらしい) ◆1992年のこの日、フリッツ・ライバーが死去。 |