4月25日
◆1873年のこの日、詩人・小説家のウォルター・デ・ラ・メアが、ケント州チャールトンで生まれる。『死者の誘い』『魔女の箒』『ムルガーのはるかな旅(三匹の高貴な猿)』『恋のお守り』(短篇集)『妖精詩集』、他に児童書など、邦訳は意外に多い。ちなみに長男リチャードは名門出版社フェイバー・アンド・フェイバー(かつてT・S・エリオットが取締役を務めていた)に入社し、会長にまでなった。
◆1945年のこの日、戦前、欧米探偵小説の紹介・評論に活躍した井上良夫が病死。享年37。「若し君が生きてゐたら、誰よりも熱心にこの本を読み、且つ批判してくれるだらうと思ふ」と乱歩『幻影城』の献辞にある。
◆1983年のこの日、短篇ミステリのスペシャリスト、ジャック・リッチーが死去。350篇近い短篇をミステリ雑誌に執筆したリッチーだが、生前に刊行された短篇集はわずか一冊だった。
◆2004年のこの日ジョゼ・ジョバンニがスイスのローザンヌで脳出血のため死去。『穴』『オー!』『気ちがいピエロ』など、犯罪者たちの世界を描いた暗黒小説(ロマン・ノワール)で一世を風靡した。若き日のジョバンニ自身、暗黒街に出入りし、殺人事件に関与して死刑判決を受け、刑務所に収監されたことがあり、脱獄も試みている。その後、減刑され、出所後、自らの体験をもとに小説を書き始めた。その犯罪小説の多くが映画化されているが、日本での人気は岡村孝一の個性的な訳文に拠るところも大きい。