注目の近刊
7月8日刊 マックス・フリッシュ『アテネに死す』 50代の技師フェイバーは船上で女学生エリザベスと出会い、運命の悪戯が二人を導いてゆく。作家の名を世界に知らしめた傑作長篇、待望のUブックス化。映画『ボイジャー』原作。中野孝次訳 (白水Uブックス 予価2640円)[amazon] 7月8日刊 楊双子『四維街一号に暮らす五人』 古い日式建築の女性専用シェアハウス四維街一号。そこへ入居した、知凰(才媛)・知衣(BL作家)、乃云(シャイ)・家家(苦学生)。酒呑み大家に見守られ、賑やかだった共同生活は、百年前の台湾料理レシピの出現とともに、ある家族の苦い歴史と五人の孤独を溶け合わせていく――いま最も注目される台湾人作家が贈る、忘れがたい台中ローカル食卓物語。三浦裕子訳 (中央公論新社 予価2090円)[amazon] 7月8日刊 キャメロン・ウォード『螺旋墜落』 午前0時、この機は墜落する。事故直前、1時間のタイムループに囚われたチャーリーは阻止のために機内を奔走する。緊迫のSFサスペンス。吉野弘人訳 (文春文庫 予価1265円)[amazon] 7月8日刊 松本清張『清張の牢獄 松本清張時代短編セレクション』 宮部みゆきが加わってさらにパワーアップした傑作選第2弾。史伝から捕物帳まで、当代随一の本読みが自信をもって薦める9編収録。宮部みゆき・有栖川有栖・北村薫編 (文春文庫 予価1078円)[amazon] 7月8日刊 久生十蘭『久生十蘭ラメール戦記』 海軍報道班員として南方に派遣された体験に基づく、太平洋戦争に材をとった16の作品。「要務飛行」「海軍歩兵」「酒保」他、いずれ劣らぬジュラネスク色満載。初文庫化作品も多数収録。 (河出文庫 予価990円)[amazon] 7月8日刊 澁澤龍彦『深夜の祝祭 澁澤龍彥怪異小品集』 「女妖」「書妖」「地妖」をキーワードに幻想小説、随筆、評論を精選するオリジナル選集。文豪怪異小品集シリーズ第14弾。東雅夫編 (平凡社ライブラリー 予価2090円)[amazon] 7月9日刊 カール・シュミット『政治的なものの概念』 ドイツの政治思想家シュミットの代表的著作。政治の本質を「友と敵の区別」であると規定し、友と敵を定義したうえで、政治的なものの考察を深めて理論づけた。ナチス入党前後に改訂、刊行された「ナチス版」(1933年)も収録。中山元訳 (光文社古典新訳文庫 予価1166円)[amazon] 7月9日刊 ジャン=ジャック・ルソー『エミール 2』 「われわれは、いわば二度生まれる。まず、存在する者として生まれ、それから生きる者として生まれる。つまり、まず人間として生まれ、つぎに男あるいは女として生まれる」官能の情念、性の欲求に目覚める思春期を扱う。あらゆる情念のもとである自己愛と自尊心を区別し、あわれみの感情を育てること。そして社会のなかでどう生きるかを考えるうえで重要な宗教、道徳について語られる「サヴォワの助任司祭の信仰告白」を収録。斉藤悦則訳 (光文社古典新訳文庫 予価1650円)[amazon] 7月10日刊 アレステア・レナルズ『反転領域』 時は19世紀。医師サイラス・コードが乗船する小型帆船デメテル号は、ノルウェー沿岸のフィヨルドへ極地探検に向かっていた。目的地には、古代に建造されたとおぼしき謎の大建築物が存在するという。ついに現地に到達した探検隊は、先着したライバル船のたどった運命を知る。そのとき、予想もしなかった事態が出来する……つぎつぎと明らかになる真実は、読者を予測不能の展開へと誘う。ローカス賞、ドラゴン賞候補作。中原尚哉訳 (創元SF文庫 予価1650円)[amazon] 7月10日刊 冨原眞弓『トーヴェ・ヤンソン ムーミン谷の、その彼方へ』 ムーミン谷はなぜ生まれたのか。いったいかれらは誰なのか。その謎はトーヴェ・ヤンソンの生涯をたどると見えてくる。ヤンソン研究の第一人者による決定版評伝。 (筑摩書房 予価3300円)[amazon] 7月10日刊 チョ・ナムジュ『コマネチのために』 新体操の選手になることを夢みる10歳の少女と、成長し30代の日々を生きる私の物語。『82年生まれ、キム・ジヨン』著者の初期作品。黄山伐青年文学賞受賞。すんみ訳 (筑摩書房 予価1980円)[amazon] ![]() 7月11日発売 『没後80年記念 探偵作家・大阪圭吉展 図録』 探偵作家・大阪圭吉展(7/11~26 東京古書会館)の図録。大阪圭吉自筆資料、単行本、関係者からの書簡等の資料をカラー掲載。資料編として著作・単行本・作品収録書籍一覧を付す。200頁 (盛林堂書房 2750円/会場特価2500円)※会場販売 7月11日刊 アントン・チェーホフ『桜の園』 変わりゆく時代に翻弄される人々を鮮やかに描いたチェーホフ最晩年の傑作。本書はこれまで翻訳されてきた最終稿ではなく、チェーホフが上演を望んでいたノーカット版の新訳に詳細な注釈を付す。内田健介訳 (論創社 予価1650円)[amazon] ![]() 7月14日刊 オラフ・ステープルドン『シリウス』 生理学実験により人工的に創造された高い知能を持つ超犬シリウスは、天才科学者トレローンの末娘プラクシーと共に育てられる。人間と同等の知性を獲得し、プラクシーとは強い愛情で結びつくが、噴出する野性が時に彼を悩ませた。やがて時局の悪化とともに、人々の異質な存在への敵意がシリウスに向けられていく。孤高の精神を宿した超犬の成長の軌跡と、それゆえの苦悩と葛藤を描いた感動の名作SF。 (ちくま文庫 予価1430円)[amazon] 7月14日刊 渡辺一夫『敗戦日記』 日本が敗戦へと向かうなか、フランス語で綴られていた日記。そこには国家への絶望と希望の間で揺れ動く知識人の生々しい姿があった。串田孫一・二宮敬編 (ちくま学芸文庫 予価1540円)[amazon] 7月14日刊 ロサ・リクソム『コンパートメントNo.6』 ソ連崩壊直前の春。フィンランド人留学生の寡黙な少女がモスクワからウランバートルまで、シベリア鉄道で旅をする。同室には建設現場へ出稼ぎにいく中年男性。共通点がない二人は寝食をともにし、互いの過去を打ち明け、衝突もしながら、さまざまな文化圏が混在する大陸を移動する。社会主義的なディテールや車窓風景を映像的な文体で描き切ったロード・ノヴェル。フィンランディア文学賞受賞。末延弘子訳 (みすず書房 予価3960円)[amazon] 7月15日刊 ペク・スリン『まぶしい便り』 派遣看護師としてドイツに渡った伯母を頼り、母と幼い妹とともに西ドイツに移り住んだヘミ。悲劇的な事故により心に傷を負ったまま、孤独な日々を過ごすヘミだったが、伯母と同じ派遣看護師のおばさんたちの子どもたちと過ごすうち、徐々に日常を取り戻していく。美しい文章とあたたかなまなざしで描くペク・スリンの初長編。カン・バンファ訳 (書肆侃侃房 予価2200円)[amazon] 7月16日刊 ナディーファ・モハメッド『運命の男たち』 1952年、英国カーディフ。殺人事件の容疑をかけられたのは、港町で暮らす若きソマリア人船乗りだった。証拠ではなく偏見が彼を追い詰めてゆく。実際の冤罪事件に基づき、多文化社会の光と影、司法の不条理、そしてひとりの男の誇りを描ききるブッカー賞候補作。粟飯原文子訳 (早川書房 予価3520円)[amazon] 7月16日刊 兒 余『九龍城砦1 囲城』 1980年代、香港。武侠の道でその名を知られる青年・陳洛軍(チャン・ロッグワン)は、裏社会を牛耳る大老闆(ボス)に騙されて、追われる身となってしまう。洛軍は、大老闆の手が唯一及ばない場所である魔窟・九龍城砦に足を踏み入れるのだが……!? 映画原作、《九龍城砦》シリーズ開幕篇。よしだかおり/光吉さくら/ワン・チャイ 訳 (早川書房 予価2420円)[amazon] 7月16日刊 マーク・グリーニー『アーマード2 極限死境 上・下』 家族とともにガーナに派遣された米国国務省のジョシュ。だが、中国の策略により家族に危険が迫る。彼が守るべきは家族か、使命か。伏見威蕃訳 (ハヤカワ文庫NV 予価各1485円)[amazon上・下] 7月16日刊 ジョン・スコルジー『怪獣保護協会』 失業して連れていかれたのは、巨大怪獣が暮らす並行世界の地球!? 怪獣を調査・保護する秘密組織に加わったジェイミーに迫る危機。内田昌之訳 (ハヤカワ文庫SF 予価1760円)[amazon] 7月16日刊 朝宮運河『現代ホラー小説を知るための100冊』 現代ホラー小説シーンをトータルに見渡すブックガイドがついに登場! 1990年代から現在に至るホラー小説の歴史を100の名作で辿る入門ガイド。 (星海社新書 予価1320円)[amazon] 7月16日刊 E・P・トムスン『ウィリアム・モリス ロマン派から革命家へ』 ロマン派の反抗者モリスが、リアリスト、思想家、革命家となっていく過程を精緻かつ情熱的に描きだし、モリス像の大転換を促した、研究史上の画期となった名著(1955/改訂1976)の完訳。川端康雄監訳/田中裕介・星野真志・山田雄三・横山千晶訳 (月曜社 予価7480円)[amazon] 7月17日刊 マリオ・バルガス=リョサ『世界終末戦争 上』 19世紀末、ブラジル北東部の最貧地帯に現れたキリストの再来をおもわせるコンセリェイロ(「教えを説く人」)およびその使徒たちと、彼らを殲滅しようとする中央政府軍の死闘を描く、円熟の巨篇。ブラジルで実際に起きた「カヌードスの反乱」をモチーフにした、バルガス=リョサ畢生の超大作。全二冊。旦敬介訳 (岩波文庫 1507円)[amazon] 7月17日刊 イワン・ブーニン『ミーチャの恋・日射病 他十篇』 「文字通り貫かれたのだ。この恐るべき日射病に、甚だしい愛に、甚だしい幸福に!」――亡命ロシア人作家イワン・ブーニンは人間を捕らえる愛の諸相を精緻な文体で描いた。見知らぬ女性との一夜の記憶が鮮やかさを増す「日射病」、初恋の歓喜が嫉妬の情に蝕まれていく「ミーチャの恋」など、珠玉の中短篇集。高橋知之訳 (岩波文庫 1155円)[amazon] 7月18日刊 ヒラリー・ウォー『マダムはディナーに出られません』 〈論創海外ミステリ〉私立探偵のシェルダン・ウェズリーは富豪の女性からディナー・パーティの招待を受けた。妻のダイアナと連れ立って会場入りするが、殺人事件の発生によって晩餐の席は疑惑の場と化してしまう。駆けつけた地元警察のスローカム署長とウェズリー探偵は捜査に乗り出すが……。熊木信太郎訳 (論創社 予価3300円)[amazon] 7月18日刊 マリオ・プラーツ『イギリスという水彩画 建築と美術と文学と 碩学の旅Ⅶ』 永遠の都ローマを知り尽くした碩学が、古き良き英国を旅し、伝統と時代の狭間の、光と影、風と水、五感と記憶の織りなす、何気ない広場や街路や佇まいに秘められた、時空を超えた深い歴史的意味と栄枯盛衰への哀悼と芸術的精華を語る、英国ピクチャレスク論。伊藤博明・金山弘昌・新保淳乃訳 (ありな書房 予価3630円)[amazon] 7月22日刊 スティーヴン・ミルハウザー『ナイフ投げ師』 天才的な腕前を誇るナイフ投げ師が、私たちの町にやってきた。彼の名はヘンシュ。それまでいかなるナイフ投げ師も越えなかった一線を越えたことで、その名声を築き上げたのだ。公演の夜、噂に聞いたヘンシュの投げ技は、徐々に趣向をエスカレートさせ……。夜の少女、自動人形、空飛ぶ絨毯――ミルハウザーの世界を闊歩するひとびとは、精密な文章によって現実から飛翔する。О・ヘンリー賞受賞作ほか、濃密にして研ぎ澄まされた12篇。柴田元幸訳 (創元文芸文庫 予価1320円)[amazon] 7月22日刊 L・M・ビジョルド『魔術師ペンリックと暗殺者』 愛する妻と娘と共に平和に暮らしていたペンリック。だが、そんなささやかな平和も、妻の兄アリセディア将軍に暗殺者が差し向けられたことで、もろくも崩れ去った。“魔”を使っての暗殺を阻止したペンリックだったが、セドニアの政争に否応なく巻き込まれる……。長編「ササロンの暗殺者」に、死体安置所に収容された死体が動き出した事件にペンリックが駆り出される短編「影の結び目」を併録。シリーズ第4弾。鍛治靖子訳 (創元推理文庫 予価1870円)[amazon] 7月23日刊 フョードル・ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟 3』 カラマーゾフ家の人々の間にさまざまな思惑が入り乱れる中、ついに父フョードルが殺害される。はたして犯人は……。江川卓訳 (中公文庫 予価1320円)[amazon] 7月23日刊 久生十蘭『平賀源内捕物帳』 源内先生、べらぼうな事件の謎に挑む。江戸を震撼させる連続殺人、不可能犯罪のトリック、田沼意次爆殺の謀議……。平賀源内の推理が冴えわたる。【収録作品】萩寺の月/牡丹亭還魂記/稲妻草紙/山王祭の大象/長崎ものがたり/尼寺の風見鶏/蔵宿の姉妹/爆弾侍 (中公文庫 予価1100円)[amazon] 7月23日刊 三津田信三編『怪異十三』 「一編でも読者が心から怖がってくれれば、編者冥利に尽きる」怪異の名手三津田信三が選んだ、国内外のホラー名作13篇。加えて編者の書き下ろし作品「霧屍疸村の悪魔」を収録した珠玉のホラーアンソロジー。南部修太郎、岡本綺堂、田中貢太郎、橘外男、丘美丈二郎、宇江敏勝、菊地秀行、R・L・スティーヴンスン、M・R・ジェイムズ、ロイ・ヴィカーズ、マイクル・アレン、W・F・ハーヴィー、イーディス・ウォートン (中公文庫 予価1265円)[amazon] ![]() 7月24日刊 スティーブン・R・バウン『1494年 中世スペイン王家の内紛はいかにして世界を二分させたのか』 コロンブスが意気揚々とスペインに帰国したそのとき、世界の海洋支配の対立に火がつく。1494年のトルデシリャス条約、それは大西洋上に線を引き、世界をスペインとポルトガルで二分するというものだった。超大国になった両国と他のヨーロッパ諸国の衝突は不可避となり、以後二百年間、世界は国家間の陰謀と海賊たちの跋扈、戦争の脅威に晒されることになる。小林政子訳 (国書刊行会 予価3960円)[amazon] 7月25日刊 『乱歩ラビリンス 池袋から人外境まで』立教大学江戸川乱歩大衆文化研究センター編 1894年、三重県に生まれた平井太郎=江戸川乱歩。誕生から作家になるまでの苦節の時代、作家としてのデビュー、そして大家となり探偵文壇の中心人物となっていったその生涯を、200枚を超える写真や残された資料と併せて紹介。初めて本に掲載される乱歩自身が撮影した映像のスクリーンショットもカラーで掲載。江戸川乱歩大衆文化研究センターの公式図録 (図書出版みぎわ 予価2640円)[amazon] 7月25日刊 アーネスト・トムソン・シートン『シートン動物記 傑作選』 リアルで力強く、驚くべき知性と社会性を持った動物たちの世界――今こそ「本当のシートン動物記」に出会う、大人のための新訳。越前敏弥訳 (角川文庫 予価1100円)[amazon] 7月25日刊 井上秀樹『日活向島撮影所』 日本映画の創成期、関東大震災によって瓦解し、わずか10年で使命を終えた幻の撮影所の姿を、数少ない資料と証言から再現した力作。 (白水社 予価2970円)[amazon] 7月25日刊 マイケル・ロブ『英国ブックセラーの歴史 出版・書店・販売』 500年以上にわたる英国の書籍販売と出版の歴史を、業界の内側から描く。Amazon登場、デジタル時代、独立系書店の隆盛まで、自身の体験を交えながら本の未来を探る。書店・出版に関わるすべての人、本を愛するすべての人へ。大槻敦子訳 (原書房 予価4620円)[amazon] 7月25日刊 マシュー・リチャードソン『スパイたちの遺灰』 MI6の伝説的エージェント、スカーレット。その回顧録は世界の秩序を覆す――ジェフリー・ディーヴァー絶賛、極上の歴史スパイ小説。熊田優訳 (ハーパーBOOKS 予価1551円)[amazon] ![]() 7月27日刊 パウル・ブッソン『メルヒオール・ドロンテの転生』 〈オーストリア綺想小説コレクション〉ゼノン・フォラウフには前世の記憶があった。以前の彼は18世紀ドイツの男爵家の息子メルヒオール・ドロンテであり、幼い頃、回教僧の蠟人形に命を救われていた。その後も謎の回教僧は折にふれ姿を見せ、運命に翻弄され流浪を続ける彼の人生を導く。苛酷な戦場、悪魔の誘惑、予言と幻視。そして物語の舞台は大革命下のパリへ。若き主人公のピカレスクな冒険と、魂の遍歴を描く神秘転生譚。垂野創一郎訳 (国書刊行会 予価4400円)[amazon] 7月28日刊 アルトゥール・ショーペンハウアー『孤独と人生 幸福について』 生を苦ととらえ、苦からの解脱を説くショーペンハウアー。東洋思想に通底するそのペシミズムより湧出した、幸福論。金森誠也訳 (白水Uブックス/思想の地平線 予価1980円)[amazon] 7月28日刊 ピエール・ジャン・ジューヴ『カトリーヌ・クラシャの冒険』 〈ルリユール叢書〉ボードレール、ネルヴァル、ヘルダーリンに列せられる詩人・小説家ピエール・ジャン・ジューヴ――映画女優カトリーヌをめぐる三角関係と破局を描く『ヘカテー』。小説の結構が瓦解し、主人公の夢と現が混淆する『ヴァガドゥ』。めくるめく二つの物語がオペラのように紡がれる詩的長編小説。小川美登里・飯塚陽子訳 (幻戯書房 予価4950円)[amazon] 7月28日刊 ガブリエル・マルセル『渇き』 〈ルリユール叢書〉日常生活における真の「愛」の実相が家庭劇の対話を通じて追求され、登場人物各自の自発的な自己反省から人間存在そのものの内なる飢え、〈渇き〉という存在論的問題が浮き彫りにされる――「形而上的体験」が具現化された、哲学者ガブリエル・マルセル中期の代表的戯曲。本邦初訳。古川正樹訳 (幻戯書房 予価30190円)[amazon] 7月29日刊 荒俣宏編訳『イギリス寒雪夜がたり集 荒俣宏幻想文学翻訳集成 欧米幻想ファンタジー精華2』 荒俣宏による半世紀にわたる幻想文学翻訳の集大成(全4巻)。第2巻は「霊的なふしぎ世界」と「現実のほころび」への関心を描く作品群を収録。ビュルガー「レノーレ」、ヴァーノン・リー「まぼろしの恋人」、アンナ・キングズフォード「夢日記」、ブラックウッド「帰還」他、全15篇。 (春陽堂書店 予価6050円)[amazon] ![]() 7月29日刊 『筑前化物絵巻』近藤瑞木編 テレビ番組『開運!なんでも鑑定団』で紹介され話題騒然、福岡の旧家の蔵から発見された「荒木家妖怪絵巻」を書籍化。 未知の新種妖怪が40体以上登場。安政4~6年頃(1857~59)成立、作者は福岡・黒田藩の武士と推定される。 現代語訳・翻刻付。序文 京極夏彦 (河出書房新社 予価3278円)[amazon] 7月29日刊 ジョゼ・サラマーゴ『修道院覚書 バルタザールとブリムンダ』 左手を失った帰還兵バルタザールと不思議な力を持つブリムンダの愛の物語。ノーベル賞作家サラマーゴの最高傑作、新訳決定版。木下眞穂訳 (河出書房新社 予価4950円)[amazon] 7月29日刊 ジェイムズ・リー・バーク『磔の地』 ルイジアナ州アイビーリア郡。刑事ロビショーのもとに、かつて私刑により父親を磔殺された写真家ミーガンが訪ねてくる。窃盗罪で拘置中の黒人が看守に虐待されていると訴えてきたのだ。真相を探るうち、件の囚人の妻の自殺、レイプ犯らの殺害と、様々な悲劇が表面化し、かつての磔の惨劇へと結びつく……。米南部ミステリーの巨匠が犯罪小説に文学性を吹き込んだCWA賞受賞作。吉野弘人訳 (新潮文庫 予価1210円)[amazon] 7月29日刊 マシュー・ブレイク『眠れるアナ・O』 友人二人が刺殺された現場近くで、アンナはナイフを手にしたまま昏睡状態に陥ってしまう。以来四年間、容疑者とされたまま眠り続けていた。睡眠が関連する犯罪の専門家ベンは、彼女に刑事責任を問うために覚醒させる任務を受ける。だが、アンナが目覚めたとき、事件は思わぬ方向へと転がり落ち……。目に映る真相が幾度も覆される驚異のクライマックス。全英の話題をさらった超弩級のデビュー作。池田真紀子訳 (新潮文庫 予価1265円)[amazon] 7月29日刊 『文芸のなかの怪異・妖怪』小松和彦監修/伊藤慎吾編 〈怪異・妖怪学コレクション4〉怪異・妖怪研究は今世紀に入っても大きな進展を遂げている。2000年以降発表のものを中心に、今後の研究に不可欠な重要論考を精選。文学・美術の観点を取り上げる第4巻。 (河出書房新社 予価3520円)[amazon] 7月29日刊 多賀新『多賀新の世界 銅版画+鉛筆画』 江戸川乱歩文庫のカバー装画で一躍たくさんの人に認知されるようになった多賀新。半世紀に渡る画業の集大成と言える銅版画と鉛筆画の豪華画集。 (春陽堂書店 予価19,800円)[amazon] 7月29日刊 アントニオ・マチャード『フアン・デ・マイレーナ』 〈叢書・ウニベルシタス〉スペイン近代文学を代表する詩人で、ウナムーノらとともに〈98年世代〉の一人とされるマチャード。故国スペインを深く思い、同時代の国民の啓蒙に奮闘する詩人は、その分身たる修辞学・詩学教師フアン・デ・マイレーナによるアフォリズム的な偽作手記の形で独自の表現を得た。1936年刊の理論的代表作と、『全詩集』中の関連部分を初めて日本語訳。杉山武訳 (法政大学出版局 予価4400円)[amazon] ![]() 7月29日出庫 《岩波文庫一括重版》 『アダルヴァ・ヴェーダ讃歌』 アリストパーネス『雲』 ウェルギリウス『アエネーイス 上・下』 R・L・スティーヴンスン『バラントレーの若殿』 ゴンチャロフ『オブローモフ 上・中・下』 ※全24点 7月30日刊 マッテオ・B・ビアンキ『遺された者たちへ』 〈新潮クレスト・ブックス〉最愛の彼を自死で失った僕が、四半世紀を経て書き上げた悲嘆と再生の記録。1998年のある日、作家のビアンキは7年間同棲して別れた直後のパートナーが自宅で死んでいるのを発見した。やり場のない自責の念や罪悪感、怒りと哀惜、埋めようのない寂しさ……。同様の経験をした人々に向けて、どのように死を受け入れ、他人と新しい関係を築いていけるようになったのかを包み隠さず綴った貴重な体験録。関口英子訳 (新潮社 予価2420円)[amazon] 7月30日刊 ホリー・ジャクソン『夜明けまでに誰かが』 高校生のレッドは友人3人、お目付役の大学生2人とキャンピングカーで旅行に出かけたが、人里離れた場所で突然何者かに狙撃され、車に閉じ込められてしまう。午前零時、狙撃者はレッドたちにある要求を突きつける。6人のうちのひとりが秘密をかかえている。命が惜しければそれを明かせ。制限時間は夜明けまで。レッドたちは必死で助けを求めつつ、互いの秘密を探り合うが……。アメリカで初版50万部の傑作サスペンス。服部京子訳 (創元推理文庫 予価1540円)[amazon] 7月30日刊 ブレイク・マーラ『ロンドン、ドッグパーク探偵団』 愛犬を連れて公園を散歩していたルイーズと友人は、人間の死体を見つけてしまう。その場で警察に通報して事態は彼女たちの手を離れた……はずだった。ところが死んでいた男性が、かつての犬の散歩仲間だと判明。ルイーズはドッグパークの友人たちを巻きこんで事件を探りはじめる。イーストロンドンを舞台に、愛すべき犬たちとその飼い主が大活躍のシリーズ開幕。高橋恭美子訳 (創元推理文庫 予価1570円)[amazon] 7月30日刊 エドワード・ブライアント『シナバー 辰砂都市』 朱き砂漠の果てに忽然とあらわれる遠未来都市〈シナバー〉。市民たちは機械知性の管理のもと、永遠の命を享受していた。奔放で美しい〈ネットワーク〉のスター、奇抜な発明で都市を騒がせる何でも屋の科学者、母性と知性を強化された巨大猫。珍奇な愉しみに満ちた彼らの日々はしかし、メランコリアと頽廃の影に侵されつつあった――。ネビュラ賞作家ブライアントが、バラードの名作〈ヴァーミリオン・サンズ〉へ捧げたSF連作。市田泉訳 (創元SF文庫 予価1320円)[amazon] 7月31日刊 ニコール・ハナ=ジョーンズ編『1619年プロジェクト アメリカの黒人差別の歴史 下』 建国史を奴隷制と黒人の視点から捉え直し、最初の黒人奴隷が到着した「1619年が米国の真の始まり」と位置づけ大反響を呼んだ書。ピュリツァー賞受賞作を含む画期的な論集。森本奈理訳 (白水社 予価4180円)[amazon] 7月予定 アルノ・シュミット『レヴィアータン』 〈アルノ・シュミット・コレクション〉幻の地を求めて灼熱の砂漠を突き進む男、半世紀ものあいだ脱獄を企む老探検家、馬鹿げた戦争から逃れようとする兵士、遭難した島で何者かに怯える若者……書き綴ることに囚われた人たちの生き様を描いた短編集。時代に先駆けた実験精神で既存の文学史を徹底的に再編し、戦後ドイツ文学の源流ともなった鬼才の、いまだ知られざる作品群を紹介する第2弾。窪俊一訳 (水声社 予価2200円) ▼8月予定 8月4日刊 セルゲイ・トレチヤコフ『子どもがほしい!』 「子どもがほしいけど、夫はほしくない」1920年代のソ連社会を舞台に展開される恋愛、結婚、家族をめぐる討論劇。メイエルホリドやブレヒトを魅了した演劇史上の問題作。伊藤愉訳 (白水Uブックス 予価2090円)[amazon] 8月4日刊 ガブリエーラ・ザーブ『革命と戦火の娘たち 上・下』 1917年、革命下のモスクワ。収監されていた社会革命党エス・エルの活動家スウェトラーナは釈放後、アジトに向かうが、リーダーのおじは既に暗殺されており、仲間からは裏切りを疑われる始末。スウェータは潔白を証明すべくボリシェヴィキの暗殺者を追う。一方1941年、独ソ戦のさなか、少女ミラが包囲されたレニングラードから祖父母のもとへ疎開する。厳格な盲目の祖母との田舎暮しに戸惑うミラだったが、ある日、ドイツ軍の蛮行を目にし──ふたつの時代を結ぶ歴史巨編。 (扶桑社ミステリー 予価各1540円)[amazon 上・下] 8月5日刊 角悠介『呪文の言語学 ルーマニアの魔女に耳をすませて』 古い魔女文化がいまも残る東欧ルーマニアの〈魔女〉〈魔術〉〈呪文〉を、高校卒業後にルーマニアに渡った著者の実体験を交えて紹介し、言語学の視点から“呪文の正体”に迫る。ルーマニア在住歴20年の言語学者の語学体験記にして、呪文という聖域を言語学的に分析する試み。 (作品社 予価2420円)[amazon] 8月5日刊 J・J・ファージョン『向かいを見つめる空き家の目』 〈論創海外ミステリ〉霧の夜に巻き込まれた不思議な事件から解放されたベンを待ち受ける新たなる冒険は二軒の家を巡る奇妙な事件。映画化もされた〈船乗りベン〉シリーズの第二弾を初邦訳。小倉さなえ訳 (論創社 予価3630円)[amazon] 8月5日刊 ダグラス・ウォーク『マーベル・コミックのすべて』 映画化作品が世界の興行成績記録を何度も塗り替え、エンターテイメントの世界の頂点に君臨するマーベル作品。各時代のアメリカを映すその膨大な作品群は、現代文化の巨大な山としてそびえ立っている。 マーベル・コミック2万7000冊、50万ページを読破した著者による、広大な作品世界の完全ガイド。上杉隼人訳 (作品社 予価5940円)[amazon] 8月6日刊 アンジェライン・ブーリー『真実に捧げる祈り』 オジブワ族の父をもつ18歳のドナスは、自らのルーツと進路に悩んでいた。ある日、薬物絡みの殺人事件を目撃する。その薬物は、伝統医療を悪用して作られたものだった。潜入捜査官に協力を求められたドナスは、事件の闇と、揺れる自分自身に向き合っていく。吉田育未訳 (ハヤカワ・ミステリ 予価3630円)[amazonn] 8月6日刊 リチャード・オスマン『木曜殺人クラブ』 高齢者施設内の開発を巡って住民は反発していた。ある日、経営者が殺害され、推理好きの住民が集う「木曜殺人クラブ」が動き出す。羽田詩津子訳 (ハヤカワ・ミステリ文庫 予価1584円)[amazon] 8月5日刊 エミリー・ティッシュ『宙の復讐者』 人類最後の生き残り〈ガイア・ステーション〉の子として、キアは日々厳しい戦闘訓練を続けてきた。胸に抱くのは、地球を滅亡させた異星人とその時空を操る装置への復讐のみ。だが、ガイア司令部の嘘を知って、彼女は旅立った……地球が滅亡しなかった世界に! 金子浩訳 (早川書房 予価4180円)[amazon] 8月6日刊 二コラ・マチュー『最果ての子供たち』 1992年、東フランスの錆びれた町。外の世界を求める14歳のアントニーは、盗んだカヌーでたどり着いたビーチで少女と出会う。その出会いは彼の世界を一変させた......かつて製鉄で栄えた「限界都市」に生まれた少年の八年間の青春を描く、ゴンクール賞受賞作。山木裕子訳 (早川書房 予価4070円)[amazon] 8月6日刊 古谷博和『幽霊の脳科学』 「タクシーに乗ってくる髪の長い女」は高速道路催眠現象、「神隠し」はてんかんによる記憶障害? 幽霊が夏の夜によく出る理由とは? 脳神経内科医として数々の不可思議な幻覚症状を長年診察してきた著者が、その診断基準を用いて古今東西の怪談を解き明かす。 (ハヤカワ新書 予価1254円)[amazon] 8月6日刊 マリオ・バルガス=リョサ『激動の時代』 1954年、グアテマラ。CIA=米国の支援を受けた軍事クーデターによりアルベンス政権が崩壊、カルロス・カスティーリョ・アルマスを大統領とした独裁政権が樹立される。その背後では「グアテマラが共産主義国になってソ連の海岸堡になる」という噓が真実として流布されていた。冷戦下のグアテマラを舞台に、権謀術数渦巻き虚実入り交じる国際政治の闇を描いた、激動の長篇小説。久野量一訳 (作品社 予価3960円)[amazon] 8月6日刊 ミシェル・ウエルベック『H・P・ラヴクラフト 世界と人生に抗って』 《世界一センセーショナルな作家》が、「クトゥルフ神話」の創造者ラヴクラフトの生涯と作品を熱烈な偏愛で語る、衝撃のデビュー作。スティーヴン・キング序文。星埜守之訳 (河出文庫 予価1100円)[amazon] 8月6日刊 桑原茂夫『不思議の国のアリス 完全読本』 『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』を、わかりやすく楽しい解説と美しい挿絵で完全ガイド。アリス入門の決定版。新装版。 (河出文庫 予価990円)[amazon] ![]() 8月7日刊 下楠昌哉編訳『雪女・吸血鬼短編小説集 ラフカディオ・ハーンと怪奇譚』 小泉八雲が見出した怪奇譚を中心に、雪女と吸血鬼にまつわる同時代の短編を編む。雪の中、人を異界へと誘う謎の女、血を求め夜をさまよう「何か」……身体の芯から凍える13篇。 (平凡社ライブラリー 予価2090円)[amazon] 8月7日刊 クラフト・エヴィング商會『ただいま装幀中』 カバーと本も、装丁家と作品も、つかず離れずがちょうどいい。装幀の仕事を始めて30年を迎えたクラフト・エヴィング商會が、その創作の秘密を語ります。 (ちくまプリマー新書 予価1100円)[amazon] 8月8日刊 ジェフリー・オヴ・モンマス『ブリタニア列王史 アーサー王ロマンス原拠の書』 アーサー王物語はここから始まった。ブリタニア王国建国から滅亡までの二千年を活写し、アーサー王や魔術師マーリンの事績を体系づけた壮大な偽史。瀬谷幸男訳 (ちくま学芸文庫 予価1760円)[amazon] 8月刊 マリオ・バルガス=リョサ『世界終末戦争 下』 旦敬介訳 (岩波文庫)[amazon] 8月刊 ラフカディオ・ハーン『骨董 さまざまの蜘蛛の巣のかかった日本の奇事珍談』 平井呈一訳 (岩波文庫)[amazon] 8月12日発売 『紙魚の手帖』vol.24 天沢時生、小川一水、理山貞二ら豪華執筆陣が集う、恒例夏のSF特集号。第16回創元SF短編賞受賞作・選評掲載。目利きの書評家・翻訳家たちによる「SF短編入門ベスト10」座談会など記事も充実。 (東京創元社 1540円)[amazon] 8月14日刊 トリスタン・ガルシア『7』 麻薬の売人、ロックスター、元モデル、革命家、宇宙人を待つ兄弟、分断世界の監視人、そして……。7つの世界が交差する圧巻の大作。高橋啓訳 (河出書房新社 予価5280円)[amazon] 8月19日刊 シオドラ・ゴス『メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち 上・下』 令嬢メアリは探偵ホームズと、マッド・サイエンティストに造られた「モンスター娘」たちとともに連続殺人事件を追うことになり!? 鈴木潤・原島文世訳 (ハヤカワ文庫FT 予価各1562円)[amazon上・下] 8月20日刊 曲亭馬琴『 『保元物語』に登場する強弓の武将、 (光文社古典新訳文庫 予価各1320円)[amazon1・2] 8月20日刊 フリーダ・マクファデン『ハウスメイド』 ミリーが手にしたハウスメイドの仕事。だが、この家は何かがおかしい。妻の奇妙な言動。牢屋のような部屋。恐怖と驚きの結末とは。高橋知子訳 (ハヤカワ・ミステリ文庫 予価1408円)[amazon] 8月20日刊 ジョン・ル・カレ『ミッション・ソング』 アイルランド人宣教師とコンゴ人女性の間に生まれたサルヴォは英国情報部の依頼で秘密会議の通訳をするが、背後には巨大な陰謀が。加賀山卓朗訳 (ハヤカワ文庫NV 予価2200円)[amazon] 8月20日刊 ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー 新版』 広大無辺の電脳空間(サイバースペース)とネオンきらめく退廃都市とが交錯する近未来。元・凄腕ハッカーのケイスは能力再生のため、巨大財閥(ザイバツ)の陰謀に挑む。黒丸尚訳 (ハヤカワ文庫SF 予価1980円)[amazon] 8月20日刊 サリー・ルーニー『インテルメッツォ』 饒舌な弁護士だが私生活では空回りが多い兄と、社交が苦手な頭脳派チェスプレイヤーの弟。二人は父の死をきっかけに、互いの不器用さと向き合うことに。喪失の中で愛情を求め、複雑な恋愛関係や社会との距離に揺れ動く兄弟を描き切る、サリー・ルーニー最新作。北田絵里子訳 (早川書房 予価3740円)[amazon] 8月20日刊 フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか? Deluxe Edition』 第三次大戦後、汚染された地球では動物の所有が地位の象徴となっていた。人工の電気羊しか飼えないリックは、〈奴隷〉アンドロイドの首にかけられた賞金を狙い、決死の狩りを始める――。『ブレードランナー』原作の伝説的SFが豪華特典付属の函入本で登場。浅倉久志訳 (早川書房 予価6600円)[amazon] 8月20日刊 光瀬龍・小松左京・神林長平『SFマガジン連載版 果しなき流れの果に/百億の昼と千億の夜/戦闘妖精・雪風』 SFマガジン連載から半世紀の歳月を経てもなお、日本SFのオールタイム・ベストとしてランクインし続ける不朽の名作3長篇。その原点たる連載時の誌面を完全復刻、詳細な解説やコラムを付して合本のうえ、豪華装幀を施して贈るファン必携の一冊。 (早川書房 予価6930円)[amazon] 8月21日刊 ピーター・トレメイン『修道女フィデルマの慧眼』 聖人の亡骸が眠る地への巡礼に加わったフィデルマ、そこで修道女の遺体が見つかり捜査をすることに……「祝祭日の死体」。ラーハン王国の大祭を訪れ、酒の飲み比べ中に死んだ闘士の事件に挑む「夜の黄金」。殺人および窃盗の罪で告発された少年の弁護を引き受ける「撒かれた棘」など全5編。法廷弁護士にして裁判官、旅する修道女探偵フィデルマが事件を鮮やかに解決する、短編集第6弾。田村美佐子訳 (創元推理文庫 予価1100円)[amazon] 8月21日刊 マーティン・エドワーズ編『本好きに捧げる英国ミステリ傑作選』 現代英国を代表するミステリ作家にして愛好家M・エドワーズが、探偵小説の巨匠たちの名品から精選した「本にまつわるミステリ」。毒を盛られた愛書家が死の間際に蔵書に書き残したアンダーラインの真相。殺人現場に残された詩集の謎。作家クリスチアナ・ブランド宛ての原稿依頼書を誤って受け取った女性による奇妙な犯罪の顚末……。犯人当てから〈奇妙な味〉まで、様々なバリエーションで本好きに捧げる16の傑作ミステリ。深町眞理子他訳 (創元推理文庫 予価1430円)[amazon] 8月21日刊 レイ・ブラッドベリ『ウは宇宙船のウ ブラッドベリ自選傑作集 新訳版』 「これらの物語をすべての男の子たちに捧げる。過去に思いをめぐらし、未来に高い希望をいだく者たちに」(著者序文より)――宇宙船乗組員を夢見る少年の日々を描く表題作をはじめ、著者自身が自選した17編を新訳で贈る。中村融訳 (創元SF文庫 予価1320円)[amazon] 8月21日刊 フョードル・ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟 4』 父フョードル殺害事件の裁判が進展する一方で、カラマーゾフの兄弟たちはそれぞれに転機を迎えていた。やがて、あの夜の真相が明らかになる。彼らは、ロシアは、そして人類の運命は――「現代の予言書」として読み継がれてきた一大叙事詩はついにクライマックスへ。注解付き江川卓訳、全4巻完結。 (中公文庫 予価1430円)[amazon] 8月21日刊 千野栄一『プラハの古本屋』 百塔の都といわれる古都プラハに学んだ言語学者が、ことば、古本、ビール、旅を通じて得た出会いを語る。文化・言語に対する深い洞察とあたたかいユーモアに彩られた名エッセイ。 (中公文庫 予価1155円)[amazon] 8月21日刊 鹿島茂『「レ・ミゼラブル」百六景 増補新版』 19世紀フランスで大ヒットしていた「レ・ミゼラブル」。話題作を《絵》で読みたいと欲する民衆のため、膨大な木版挿絵360葉をつけた廉価版全巻233冊が刊行された。それをパリの古書店で偶然発見した著者が、挿絵230葉を選りすぐり、物語の要約を添え、さらに当時の社会情勢や民衆の生活をわかりやすく解説。時代を超えて人々の心に響く、愛と苦悩の物語を繙く。 (中公文庫 予価1760円)[amazon] 8月22日刊 テリー・イーグルトン『悲劇とは何か』 古代ギリシャ演劇からシェイクスピア、さらにはニーチェやジジェクをはじめとする思想史における悲劇論の系譜をたどりながら、人間と文化の根幹に迫る。大橋洋一訳 (平凡社 予価3960円)[amazon] 8月22日刊 成俔『慵斎叢話 1』 〈東洋文庫〉朝鮮随筆文学の白眉とされる史料。朝鮮王朝を中心に、新羅以降の史話や朝鮮官界の見聞譚、巷の噂話、鬼神譚など、300を超える長短さまざまな逸話を収め、詳細な訳注を付す。全3巻。野崎充彦 (平凡社 予価4400円)[amazon] 8月25日刊 ジェフリー・アーチャー『機は熟せり クリフトン年代記』 戸田裕之訳 (ハーパーBOOKS 予価1570円)[amazon] 8月25日刊 ジェフリー・アーチャー『永遠に残るは クリフトン年代記』 戸田裕之訳 (ハーパーBOOKS)[amazon] 8月25日刊 クリス・チブナル『DEATH AT THE WHITE HART』(原題) 林啓恵訳 (ハーパーBOOKS 予価1430円)[amazon] 8月25日発売 《ミステリマガジン》10月号 (早川書房 1640円)[amazon] 8月25日発売 《SFマガジン》10月号 (早川書房 1540円)[amazon] 8月26日刊 リチャード・フラナガン『第七問』 終末的未来を描いた小説家、原爆開発の端緒を開いた物理学者、〈死の鉄路〉から生還した父と家族、流刑地だった国と人々の歴史を描く。ベイリー・ギフォード賞受賞のメモワール。渡辺佐智江訳 (白水社 予価3300円)[amazon] 8月27日刊 チャーリー・カウフマン『アントカインド』 制作期間90年・上映時間90日の「究極の映画」の謎をめぐり、記憶の深淵へ……。奇想天外で危険な〈読むカルト映画〉。『マルコヴィッチの穴』『エターナル・サンシャイン』のアカデミー賞天才作家カウフマンの初小説が、ついに日本上陸。木原善彦訳 (河出書房新社 予価15,400円)[amazon] 8月27日刊 ウラジーミル・ソローキン『ドクトル・ガーリン』 G8首脳のクローンと医師ガーリンは、核攻撃を避けるため北へ向かう。『青い脂』の衝撃が近未来の異世界に響きわたる集大成的傑作。松下隆志訳 (河出書房新社 予価5280円)[amazon] 8月27日刊 エトガル・ケレット『自動修正』(仮) 繰り返される父との最期、パラレルワールドの恋人、贈り物の小惑星……。世界40か国以上で翻訳される人気作家の最新短篇集。広岡杏子訳 (河出書房新社 予価2970円)[amazon] 8月27日刊 トーリ・ピーターズ『ディトランジション、ベイビー』 性のあり方に悩み、傷つけ合いながら、新しい家族の形を模索し生きる三人のマイノリティの物語。NYT「21世紀のベスト100冊」。吉田育未訳 (河出書房新社 予価3278円)[amazon] 8月27日刊 『娯楽としての怪異・妖怪』小松和彦監修/香川雅信編 〈怪異・妖怪学コレクション5〉今世紀に入っても大きな進展を遂げている怪異・妖怪研究の近年の重要論考を精選。大衆文化・フィクションとしての面を扱う第5巻。 (河出書房新社 3520円)[amazon] ![]() 8月27日刊 『別冊太陽 世界の呪術と民間信仰 国立民族学博物館コレクション』 人類にとって最も基層的な宗教現象である呪術と民間信仰。その実践的な在り方を、民博が所蔵する膨大なコレクションとともに紹介。島村一平監修/国立民族学博物館 特別協力 (平凡社 予価2750円)[amazon] 8月29日刊 SF・サイード『タイガー』 奴隷制度が存続する帝国主義の英国。移民の両親をもつ少年アダムは、ある日強盗に襲われたところを一頭のトラに救われる。助けてくれた感謝の印に、トラの肩に刺さっている矢を抜いてやると、トラは世界の滅亡の秘密に通じる驚くべき事実を告げる。世界とトラを救うべく、アダムは馴染みの少女サディとともに奔走するが……。ウィリアム・ブレイク、フィリップ・プルマン、アラビアンナイトにインスパイアされた奇妙で独創的な物語。杉田七重訳 (東京創元社 予価3300円)[amazon] 8月29日刊 福井健太編『新・黄色い部屋 犯人当て小説傑作選』 不可能犯罪が描かれた問題編。その謎を解く手掛かりは、全て本文中に記されています。フェアな記述から、解決編を読む前にあなたは探偵として真相を暴き、犯人を当てることができますか? ――ミステリ作家からの挑戦に読者が臨む、犯人当て小説の傑作から「読者への挑戦」スタイルの作品を精選、全3巻に収録。第1巻は、ホテルの密室で起きた殺人に名探偵が挑む高木彬光「妖婦の宿」、黄色い窓ガラスの部屋で男が殺された事件を描く陳舜臣「新・黄色い部屋」など全10編。 (創元推理文庫 予価990円)[amazon] ![]() 8月29日刊 ルーシー・フリーマン・サンドラー『写本に描かれた本たち 西洋中世からルネサンスにみる本の象徴性と実用性』 大英図書館所蔵の写本挿絵に見る、本の制作から使用、破壊まで。本とは、いかなる意味を持った存在だったのか。冊子本や巻物が描かれた彩飾写本の挿絵を読み解いていく。加藤磨珠枝監修/立石光子訳 (白水社 予価4950円)[amazon] 8月29日刊 ネオクリス・ガラノプロス『ヨルゴス・ダノシスの新たなバージョン』(仮) 現代ギリシャを代表する本格ミステリ作家のデビュー作。橘孝司訳 (竹書房文庫 予価1540円)[amazon] ▼9月以降予定 ![]() 9月1日刊 マーガレット・アトウッド『ダンシング・ガールズ マーガレット・アトウッド短編集』 アトウッドの知られざる初期の短編集、待望の復刊。日常に潜む違和、まだ形をなさない不安……世界の歪みを少しだけ垣間見せる全7編。岸本佐知子訳 (白水社 予価2640円)[amazon] ![]() 9月2日刊 ポール・ハーディング『もうひとつのエデン』 18世紀末、メイン州沿岸の小さな無人島に住み着いた逃亡奴隷とその妻。歴史からこぼれ落ちた人々を描く、ブッカー賞最終候補作。小竹由美子訳 (白水社 予価3740円)[amazon] 9月4日刊 ウラジミール・アレクサンドロフ『ロシアの鎖を断ち切るために ボリス・サヴィンコフと皇帝およびボリシェヴィキに対する彼の闘い』 竹田円訳/沼野充義 解説 (作品社 予価8580円)[amazon] 9月5日予定 レックス・スタウト『忌まわしき悪党』 〈論創海外ミステリ〉ラジオ番組の放送中に殺人事件が発生。被害者はゲストとして招かれた競馬新聞の発行人、死因は毒死だった。金欠状態のネロ・ウルフは「珍しく」事件の調査を自ら引き受けるが……。犯罪組織の黒幕アーノルド・ゼックとの壮絶な戦いを描いた三部作の劈頭を飾る長編。渕上瘦平訳 (論創社 予価2750円)[amazon] 9月5日予定 ルーファス・キング『時計の殺人』 〈論創海外ミステリ〉事件の始まりから幕引きまで約半日。ヴァルクール警部補の活躍で事件は短期間で解決したかと思われたが……。章題に時刻を記して読者に時間の経過を知らせる捜査小説のような趣向を取り入れた、ヴァルクール警部補シリーズの第一作。熊井ひろ美訳 (論創社 予価2970円)[amazon] 9月11日刊 ペーター・ハントケ『ハントケ・コレクション 3 冬の旅ほか4篇』 元吉瑞枝・阿部卓也・服部裕訳 (法政大学出版局 予価5280円)[amazon] 9月予定 西崎憲編『10月の本』 〈12か月の本〉〈10月〉をテーマに古今東西の小説・詩歌・随筆を集めたアンソロジー。 (国書刊行会 予価3080円)[amazon] 西崎憲編『11月の本』 〈12か月の本〉〈11月〉をテーマに古今東西の小説・詩歌・随筆を集めたアンソロジー。 (国書刊行会 予価3080円)[amazon] 西崎憲編『12月の本』 〈12か月の本〉〈12月〉をテーマに古今東西の小説・詩歌・随筆を集めたアンソロジー。 (国書刊行会 予価3080円)[amazon] 10月23日刊 平井敏晴『中華と綺想 東アジアのマニエリスム精神史』 広義のマニエリスムをベースに、「過剰・多義的・異種混合(アルス・コンビナトリア)」が、東アジアの芸術・文化・建築様式にひとつの精神史として通底していることを読み解いていく。 (工作舎 予価3300円)[amazon] 10月30日刊 黄錦樹『南洋人民共和国備忘録』 〈サイノフォン〉マラヤ共産党をめぐる24篇。個人の記憶の奥深くに隠されたマレーシア華人の集団の記憶とトラウマを圧倒的な想像力で描き出す。日本オリジナル編集によるマレーシア華人作家の最新代表作。王徳威編 (白水社 予価4180円)[amazon] ▼予定表に出たり消えたり(そのうち何とかなるだろう) グレース・D・リー『十二支像を奪還せよ』 中国系アメリカ人のウィルは、美術史を専攻する大学生。ある日、中国人の資産家から驚愕の依頼を受けた。かつて英仏軍に盗まれた清朝の5つの美術品を奪還するというものだ。ウィルは、友人のハッカーや解錠師、詐欺師とともに、世界中の美術館に向かうが……。 田村義進訳 (ハヤカワ・ミステリ 予価2420円)[amazon] Amazonのアソシエイトとして、藤原編集室は適格販売により収入を得ています。 |