注目の近刊
9月3日刊 リアム・オフラハティ『飢餓のアイルランド ジャガイモ飢饉一八四五~四九』 ジャガイモが全滅! 神に祈りを捧げまじない女に赤ん坊を抱かせる素朴で可憐な村人たちの谷は一瞬で地獄と化した。百万人の命を奪い、アイルランドの歴史に深い傷跡を残した大飢饉は天災か? 否! 英国統治下の圧政と混乱のすべてを凝縮した群像劇。荒木武伯訳 (未知谷 予価5500円)[amazon] 9月4日刊 レックス・スタウト『忌まわしき悪党』 〈論創海外ミステリ〉ラジオ番組の放送中に殺人事件が発生。被害者はゲストとして招かれた競馬新聞の発行人、死因は毒死だった。金欠状態のネロ・ウルフは「珍しく」事件の調査を自ら引き受けるが……。犯罪組織の黒幕アーノルド・ゼックとの壮絶な戦いを描いた三部作の劈頭を飾る長編。渕上瘦平訳 (論創社 予価2750円)[amazon] 9月4日刊 ウラジミール・アレクサンドロフ『ロシアの鎖を断ち切るために ボリス・サヴィンコフと皇帝およびボリシェヴィキに対する彼の闘い』 なぜロシアでは自由で民主的な共和体制が実現しなかったのか? ボリス・サヴィンコフ(筆名ロープシン)の『蒼ざめた馬』は、自らの経験に基づきテロリストたちの懊悩、葛藤を掘り下げ、世界中に一大センセーションを引き起こした。ドストエフスキーの思想を継承し、カミュにも影響を与えたというサヴィンコフの思想の足取りを、綿密な調査と貴重な史料を駆使して詳細に辿る。竹田円訳/沼野充義 解説 (作品社 予価8580円)[amazon] 9月4日刊 北村紗衣『学校では教えてくれないシェイクスピア』 16世紀末から現代までをタイムトラベル! 舞台芸術史研究者で不真面目な批評家、北村紗衣×男子高校生の5日間の講義録。 (朝日出版社 予価2090円)[amazon] 9月5日刊 『幻想と怪奇 幻影の街 ショートショート・カーニヴァル』 国内著名作家陣による日本の街をテーマにした競作集第三弾。牧原勝志(幻想と怪奇編集室)編 (新紀元社 予価2750円)[amazon] 9月5日刊 『エリザヴェータ・バーム/気狂い狼 オベリウ・アンソロジー』 100年前、20歳前後の若者たちによって結成された「オベリウ」は、20世紀前半のロシアにおける文学的実験の極致をきわめた。ダニイル・ハルムス「エリザヴェータ・バーム」「出来事」新訳、ニコライ・ザボロツキー「気狂い狼」、コンスタンチン・ヴァーギノフ「スヴィストーノフの仕事と日々」、レオニード・リパフスキー「水論」など、この伝説のグループ周辺12名の代表作を網羅した世界初のアンソロジー。小澤裕之訳 (書肆侃侃房 予価3300円)[amazon] 9月8日刊 ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ『骰を振る女神』 〈ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ コレクション〉傑作『赤い右手』の翌年に発表された、まったく趣の異なるピカレスクにして、先の読めないロジャーズ流異色ノワール『骰を振る女神』の他、傑作短篇「ピンクのダイヤモンド」「死はわが友」の2作を収録。夏来健次訳 (国書刊行会 予価2860円)[amazon] 9月8日刊 ギュンター・グラス『犬の年 上・下』 自由都市ダンツィヒで生まれ育った二人の主人公とやがてヒトラーの愛犬となるシェパードの系譜を軸に、戦前から戦後の「犬の年」(ドイツ語で「ひどいみじめな歳月」の意)の日々が、饒舌と思いつきと悪戯心で、下品で卑猥で、瀆神的に、執拗に何度も繰り返し、語られていく、ギュンター・グラスの初期を代表する「ダンツィヒ三部作」の三作目。中野孝次訳 (あいんしゅりっと 予価各3740円)[amazon上・下] 9月8日刊 『霊界の書 世界の幽霊・怪奇譚・超常現象』DK社編 世界各地で語り継がれる摩訶不思議な逸話や伝承、幽霊、妖怪など、人ならざるものの存在を知らしめる証拠や遺物についてまとめたビジュアル読本。世界中の超自然的存在や現象を、歴史的・文化的に掘り下げた一冊。黒川正剛 監修/ 和田侑子・小林豊子・涌井希美 訳 (グラフィック社 予価4400円)[amazon] 9月9日刊 ヴァーツヤーヤナ『完訳 カーマ・スートラ』 抱擁、接吻、爪傷、歯咬、愛打……。都市生活者が身につけるべき教養として、さまざまな愛の技法と駆け引きを分類し、よりよい享楽への到達を説く、古代インドの性愛指南書。岩本裕訳 (平凡社ライブラリー 予価2090円)[amazon] 9月9日刊 『障害文学短編集』 文学は障害をどのように描いてきたのか? 短編8編を、障害とケア、視覚障害、聴覚障害、補綴、知的障害の5つのテーマから読む。石塚久郎監訳 【収録作品】「ペン・モーファの泉」エリザベス・ギャスケル/「盲目の男」D・H・ ロレンス/「世慣れた男」Eト・ヘミングウェイ/「鍵」ユードラ・ウェルティ/「足の不自由な者は先に入ってよい」フラナリー・オコナー/「脚」ウィリアム・フォークナー/「ヨダレ病棟できいた話」ジャック・ロンドン/「あの子」キャサリン・アン・ポーター (平凡社ライブラリー 予価2200円)[amazon] 9月9日刊 デニス・ドラグンスキイ『石の心臓 デニス・ドラグンスキ自選短編集』 職業も年齢も性別もさまざまな主人公たちのまわりで起きるちょっと不可思議な出来事。数ページの短い物語のなかに長編のような世界が広がったかと思うと、突然ぽっかり口をあけた結末に放り出される。ロシアで人気の現代作家が日本の読者のために厳選した18編。吉田差和子訳 (群像社ライブラリー 予価1870円)[amazon] 9月10日刊 ヘルマン・ヘッセ『シッダールタ』 バラモンの息子シッダールタは、身分を捨てて親友ゴーヴィンダと苦行の旅に出る。解脱者ブッダとの邂逅、友との別れ、遊女との快楽生活を経て、それでも心の渇きは満たされず……。自己の解放と世界の真理を求めた青年の魂の旅路。酒寄進一訳 (光文社古典新訳文庫 予価990円)[amazon] 9月10日刊 『論語』 「学んだ知識を自分のものにしていく。そこに喜びがうまれてこないだろうか」。仏訳、英訳、現代中国語訳の『論語』も踏まえ、孔子と弟子たちの迫真の対話に出会える新訳。これまでにない世界文学的な視点からの果敢な注釈も添えて刊行。鶴ケ谷真一 訳・注 (光文社古典新訳文庫 予価1760円)[amazon] 9月10日刊 曲亭馬琴『椿説弓張月 3』 平清盛を討とうと九州から上洛の船上、為朝親子と主従は暴風雨に遭い遭難してしまう……。そして舞台は琉球に代わる続編。尚寧王に男子の世継ぎがいないことから後継者争いが勃発。王妃と結託して国政を乗っ取ろうとする高官、利勇と、寧王女を盾に国を守ろうとする忠臣、毛国鼎。妖術使いの曚雲国師と巫女の阿公、毛国鼎の子ども鶴亀兄弟と忠義を尽くす真鶴など。深い因縁も絡んだ壮絶な後継者争いを描く「琉球編」。葛飾北斎画/菱岡憲司 現代語訳 (光文社古典新訳文庫 予価1364円)[amazon] 9月11日刊 アンソニー・ホロヴィッツ『マーブル館殺人事件 上・下』 ギリシアでの生活に区切りをつけ、ロンドンに帰ってきたスーザン・ライランド。フリーランスの編集者として働いていたが、予想外の仕事が舞いこんできた。若手作家が名探偵〈アティカス・ピュント〉シリーズを書き継ぐことになり、その編集を依頼されたのだ。途中までの原稿を読んだ彼女は、作者が新作に自分の家族関係を反映しているのを感じる。ということはこの作品のように、現実世界でも不審な死が存在したのか? 『カササギ殺人事件』『ヨルガオ殺人事件』に続く、シリーズ完結編。山田蘭訳 (創元推理文庫 予価各1210円)[amazon上・下] 9月11日刊 R・H・ファン・フーリック『古代中国の性生活 先史から明代まで』 性愛こそ「道」であり、神聖なる義務である――。性にかかわるマニュアル・規範から、婚礼や纏足などの儀礼・風習、そして後宮を切り盛りする家長の務めや妓女との付き合い方まで。めくるめくエピソードを渉猟しつつ、先史より貫く中国文化の不変の根幹を抉り出す、中国性愛史研究「最初の完成者」による記念碑的大作。松平いを子訳 (講談社学術文庫 予価2640円)[amazon] 9月11日刊 小沼丹『不思議なソオダ水』 酒も煙草もたしなまず、女性にも縁のないマノ氏が、酒と女性にはまっていく様をユーモラスに描いた表題作のほか、あらゆることにだらしのない元妻に脅迫される気の弱い男性が主人公の「乾杯」、飲み仲間の男性3人が、若くて楚々とした女性をめぐって争うものの、みな手玉に取られてしまう「不可侵条約」、SF的なテイストの「女雛」「焼餅やきの幽霊」など、バラエティに富んだ10話からなる短篇集。 (小学館 P+D BOOKS 予価715円)[amazon] 9月11日刊 ペーター・ハントケ『ハントケ・コレクション 3 冬の旅ほか4篇』 ノーベル文学賞受賞作家の作品集第3巻は、ユーゴスラヴィアをめぐる90年代~2000年代の主要なエッセイ5作品を収録。ユーゴ解体について声を上げた最初のテクスト『第九のくにからの夢想家の別れ』、セルビアとボスニア・ヘルツェゴヴィナを訪れて書き記した『冬の旅』『冬の旅への夏の補遺』、NATOによる空爆を批判した『空爆下のユーゴスラヴィアで』、ミロシェヴィッチ裁判の報告『ダイミエルのタブラス』。元吉瑞枝・阿部卓也・服部裕訳 (法政大学出版局 予価5280円)[amazon] ![]() 9月12日刊 オラフ・ステープルドン『火炎人類』 カッスが山歩きの途中で拾った石を暖炉に投げ入れると、不思議な炎があがり、テレパシーで語りかけてきた。それは炎の形態をした知的生命体で、太陽系形成期に太陽から惑星とともに飛び出し、数十億年ものあいだ地球の石の中に閉じ込められていたのだ。火炎人類との対話を通して宇宙精神と生命の秘密に迫る表題中篇に、本邦初訳の珠玉の短篇群、『最後にして最初の人類』ラジオドラマ版、講演「惑星間人類?」他を収録したステープルドン傑作選。浜口稔 編訳 内容 (ちくま文庫 予価1540円)[amazon] 9月12日刊 『江戸の戯作絵本 4』棚橋正博・深谷大・二又淳 編 好評につき続巻! 蔦屋重三郎が刊行し江戸時代のベストセラーとなった朋誠堂喜三二の『見徳一炊夢』をはじめ、黄表紙黄金時代の傑作を16本収録。 (ちくま学芸文庫 予価1980円)[amazon] 9月12日刊 エリザベス・ロフタス/キャサリン・ケッチャム『目撃証言』 事件を巡る目撃者や当事者の記憶。それは驚くほど不確かで変化しやすい。心理学的視点から証言の信憑性に迫る傑作ノンフィクション。厳島行雄訳 (ちくま学芸文庫 予価1870円)[amazon] 9月12日刊 一柳廣孝『催眠術の日本近代』 明治日本をにぎわせた「催眠術」。〈科学・宗教〉と〈オカルト〉の間を往還するその曖昧な立ち位置ゆえに、人々は惹かれ、熱狂した。学者、軍人、教員、新宗教、メディアなどを巻き込みながら、娯楽から治療、アカデミズム、そして犯罪や国民統制にまで滲透した催眠術はいかに語られ、使われ、消費されたのか。「催眠術ブーム」の盛衰をたどり、日本近代史の知られざる横顔を浮かび上がらせた好著。 (法蔵館文庫 予価1210円)[amazon] 9月15日刊 ローベルト・ムージル『特性のない男 ウルリッヒとアガーテ』 ウルリッヒとアガーテは可能性の限界に向かう旅に出て、近親相姦でも〈遙かな愛〉でもない、〈肉体的であると同時に精神的な〉愛のユートピアを夢見る。その傍らで演じられる市民的性愛の数々――ニンフォマニアの裁判官夫人と性科学の教えを実践する外務省高官夫人が、これまで見過ごされてきた〈笑える形而上学小説〉の側面を浮かび上がらせる。20世紀ヨーロッパ文学を代表する大作が清新な新訳・抄訳で甦る。白坂彩乃・大川勇訳 (松籟社 予価5940円)[amazon] 9月17日刊 ラフカディオ・ハーン『東の国から 新しい日本における幻想と研究』 古代伝説の地・出雲から、熊本に移住したハーン。旅のさなかの宿屋で、夢のあわいに浦島伝説へと入りこんだような「夏の日の夢」をはじめ、〈詩人の直観と哲人の思索〉をもって近代日本の肖像を描く11篇。平井呈一訳 (岩波文庫 1276円)[amazon] 9月17日刊 泉鏡花 『夜叉ヶ池・天守物語』 伝説を媒介に、二世界の恋愛を鋭く対立させた緊密な作劇法が光る「夜叉ヶ池」、戯曲にとどまらない鏡花世界の本源を示す「天守物語」。人間の本質を異界から鋭く照射しつつ、美と永遠の救済を求めてやまぬ感情の純度の高さとその尊さによって、「今」なお甦り続ける傑作劇曲2篇を収録。解説=澁澤龍彦・吉田昌志 (岩波文庫 572円)[amazon] 9月17日刊 プラトン 『パイドン 魂の不死について』 毒杯をあおぎ刑死するその日、ソクラテスは集まった弟子たちとともに「魂の不死」をめぐる探究に挑戦する。魂はいかにして肉体の死を超えうるのか。魂のあり方は人間の生き方にいかなる意味をもつのか。イデア論の豊かな可能性を切り開きつつ、主著『国家』へと続くプラトン哲学の代表的対話篇。文字を大きくし新解説を加えた改版。岩田靖夫訳 (岩波文庫 935円)[amazon] 9月17日刊 白先勇『台湾人』 第二次世界大戦後、国共内戦によって台湾に渡り、故郷喪失者として生きざるを得なかったさまざまな階層の外省人(大陸出身者)の姿を活写した傑作短篇集。郷愁や失われた過去への哀惜、新天地で生きる苦悩を鮮烈につづり、朽ち果てゆく者には挽歌を、戦後の現実を強かに生きる人びとへは賛歌を捧げる。現代文庫版への序を収録。山口守訳 (岩波現代文庫 1331円)[amazon] 9月17日刊 小泉八雲原作/中川学絵『因果ばなし』 〈八雲えほん〉病におかされ、死のふちにいる大名の妻。唯一の心残りは妹のようにかわいがっていた側室のゆきこのことだった。妻の最後の願いにゆきこは……。二人をめぐるおぞましい因果。小泉八雲を絵本で読む。円城塔翻案/東雅夫編 (岩崎書店 予価1760円)[amazon] 9月17日刊 根津由喜夫『ビザンツ文人伝 言葉で戦った男たちの矜持と憂愁』 世俗の支配層が武人とほぼ同義の西欧中世と違い、文官・文人が存在感を示したビザンツ。毀誉褒貶入り乱れた異才たちの人生を活写する。 (白水社 予価7920円)[amazon] 9月18日刊 M・W・クレイヴン『デスチェアの殺人 上・下』 木に縛られ石打ちで殺害された男の体には、難解なコードが刻まれていた。ポーの捜査で15年前の未解決事件との関連が浮かび上がる。東野さやか訳 (ハヤカワ・ミステリ文庫 予価各1100円)[amazon上・下] 9月18日刊 ジェニファー・イーガン『キャンディハウス』 天才テック起業家ビックスは、アップロードされた他人の記憶に誰もがアクセス可能となる画期的な機器を発売する。記憶が個人のものでなくなりつつある世界で、人が求める「真のつながり」とはなにか――『ならずものがやってくる』著者による、最新連作短篇集。谷崎由依訳 (早川書房 予価3850円)[amazon] 9月18日刊 アン・パチェット『寄せ集め家族』 1965年、幼いフラニーの洗礼式で彼女の母と警察官の男が恋に落ちたことから、二つの家族は一つになった。二人の母と二人の父、そして六人の子供たちは、それぞれの葛藤を抱えながらも関係を築いてゆく。時に揺らぎ、傷つけあいながらも深く結びつく家族の物語。竹内要江訳 (早川書房 予価4180円)[amazon] 9月18日刊 サラ・オギルヴィ『世界最高の辞典と無名の編纂者たち』 20世紀にイギリスが威信をかけて編み上げた、世界最高峰の辞典「オックスフォード英語大辞典」。しかし実際に語彙を集めたのはひと握りのエリートではなく、無名の市民たちだった。辞書編纂者の著者が未公開の記録を掘り起こし、その知られざる歴史を明かす。塩原通緒訳 (早川書房 予価4950円)[amazon] 9月18日刊 藤井淑禎『松本清張と水上勉』 ともに社会派ミステリ作家として出発した松本清張と水上勉に共通点が多いのはなぜか。修業時代から最晩年まで好一対であった大作家の歩みとその名作を読み解く。 (筑摩叢書 予価1870円)[amazon] 9月18日刊 『別冊太陽 小泉セツ 世界で一番良きママさん』 話題の朝ドラ「ばけばけ」のヒロイン・小泉セツ。八雲の妻として、再話文学の語り手として、夫と歩んだ生涯と夫妻の魂の往還を繙く。 (平凡社 予価1980円)[amazon] 9月19日刊 ジューン・ハー『宮廷医女の推理譚』 1758年、朝鮮王朝期。18歳のヒョンは、王族の診察を担当する医女(イニョ)になった。ある夜、ヒョンが医術を学んだ恵民署で、4人の女性が殺害される。捕盗庁の役人はヒョンの師匠を容疑者と断定した。彼女が犯人だと信じられないヒョンは独自に事件を調べはじめ、捕盗庁の青年オジンの協力を得る。師の処刑を防ぐため、真犯人を見つけなければ――。MWA賞(ヤングアダルト部門)受賞作。安達眞弓訳 (創元推理文庫 予価1430円)[amazon] 9月19日刊 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ『九年目の魔法 新装版』 この本、こんな題名だった? 壁にかかっているのもんな写真じゃなかったはず。この9年間で本当にあったことと、今おぼえていることが違っている。ポーリィは10歳のころの思い出をたぐり寄せた。近くの屋敷のお葬式で、リンさんと出会って、ずっと歳上の男の人なのに仲良くなって、それからとても恐ろしい何かが起こりはじめた……。英国ファンタジイの女王が少女の愛と成長と闘いを綴る現代魔法譚。浅羽莢子訳 (創元推理文庫 予価1540円)[amazon] 9月19日刊 シャンナ・スウェンドソン『魔法治療師のティールーム』 無実の罪で逃亡中の治療師エルウィンがたどり着いた無人の家。そこでは彼女を歓迎するかのように、目に見えない何者かの手で料理が振る舞われ、寝台が用意される。主を迎えたがっている治療師の家に違いない。しばし身を隠すつもりで滞在したところ、村の女性たちの心配事を聞くうちにティールームを開くことに……。不思議な村を舞台にしたお茶と謎のコージーファンタジイ。今泉敦子訳 (創元推理文庫 予価1210円)[amazon] 9月19日刊 フェデリーコ・マリア・サルデッリ『失われた手稿譜 ヴィヴァルディをめぐる物語』 作曲家ヴィヴァルディは、生活苦から不遇な最期を遂げた。遺された膨大な自筆楽譜を守ろうとする弟、手稿譜に純粋な関心を寄せる貴族、買い叩こうとする司祭、遺産相続でもめる遺族たち、価値のわからない修道士たち、そしてユダヤ人学者から、ムッソリーニ、詩人エズラ・パウンドまで、人間の愛憎、欲望、無知によって翻弄された楽譜の運命をヴィヴァルディ研究の第一人者が見事に描いた小説。関口英子・栗原俊秀訳 (創元ライブラリ 予価1650円)[amazon] 9月19日刊 椿實『人魚紀聞 椿實幻想短篇選』 中井英夫・吉行淳之介らの盟友として知られた著者。代表作「メーゾン・ベルビウ」物ほか、その幻想・推理短篇を厳選した初のベスト・コレクション。 (中公文庫 予価1430円)[amazon] 9月19日刊 夢野久作『探偵小説漫想 夢野久作随筆選』 「探偵小説の正体」とは何か? 『ドグラ・マグラ』等で知られる不世出の作家夢野久作による随筆を精選、そのエッセンスを一冊に。 (中公文庫 予価1100円)[amazon] 9月19日刊 柳田國男『妹の力・女性生活史』 柳田國男は、1925年、女性の役割に着目した記念碑的論考「妹の力」を発表。以降、『婦人公論』誌上で、日々の暮らしに関わる事柄を民俗学の観点から平易に解説した。表題作ほか「毎日の言葉」「婚姻の歴史」など同誌掲載の全8篇を収めた、女性のための民俗学入門。文庫オリジナル。 (中公文庫 予価1100円)[amazon] 9月19日刊 長谷川鑛平『本と校正 増補新版』 「都合ついたら、明日からでも出て来てくれないか」。林達夫に呼ばれて行ってみれば、待っていたのは『細雪』だった――岩波書店から中央公論社を渡り歩き、赤ペンを握ること三十有余年。練達の校正者が、誤植列伝から普遍的な校正の心構えまで、ユーモアたっぷりに綴る。文庫版ではコラムと新・校正練習問題を増補。 (中公文庫 予価1100円)[amazon] 9月19日刊 モニク・トゥルン『かくも甘き果実』 “ここではないどこか”を求めつづけ、最後には日本で「移民作家・小泉八雲」となった男ラフカディオ・ハーン。彼の人生に深く関わった3人の女性が、胸に秘めた長年の思いを語りだす。生みの母ローザ・アントニア・カシマチは、1854年、故郷への帰路の船上で、あとに残してきた我が子の未来を思いながら。最初の妻アリシア・フォーリーは、夫との別離を乗り越えたのち、1906年のシンシナティで、ジャーナリストの取材を受けながら。二番目の妻小泉セツは、1909年の東京で、亡き夫に呼びかけながら。吉田恭子訳 (集英社文庫 予価1265円)[amazon] ![]() 9月22日刊 西崎憲編『10月の本』 〈12か月の本〉とくべつなひと月のために―― 〈10月〉をテーマに古今東西の小説・詩歌・随筆を集めたアンソロジー。片山廣子/三島由紀夫/サキ/小山清/宮沢賢治/稲垣足穂/日夏耿之介/アントン・チェーホフ/他。収録内容 (国書刊行会 予価3080円)[amazon] 9月22日刊 ラフカディオ・ハーン『怪談』 1904年に英・米国で発表された「KWAIDAN」には、遥かかなたの異国「JAPAN」の物語が描かれた。当時、本書を手にした読者は何を感じたのだろうか。円城塔が明らかにする、小泉八雲ことラフカディオ・ハーンの名著「KWAIDAN」の真の姿。円城塔訳 (角川文庫 予価836円)[amazon] ![]() 9月24日刊 西崎憲編『11月の本』 〈12か月の本〉とくべつなひと月のために―― 〈11月〉をテーマに古今東西の小説・詩歌・随筆を集めたアンソロジー。鈴木三重吉/田山花袋/小沼丹/林芙美子/岩本素白/幸田文/立原道造/ノーラ・ロフツ/他。収録内容 (国書刊行会 予価3080円)[amazon] 9月24日刊 『雪の怪談・冬の怪』 例の少ない、雪の夜、冬にまつわる怪談アンソロジー。「鳥取の蒲団の話」「眉かくしの霊」など、小泉八雲を中心に、泉鏡花、岡本綺堂の文学作品から、山の遭難、実話系の話まで網羅。 (河出文庫 予価891円)[amazon] 9月24日刊 イーディス・ウォートン『歓楽の家』 ニューヨーク上流社会の人間模様を描いたイーディス・ウォートン初期の傑作。1995年刊の共訳を新たに一人で訳し直し再刊。山口ヨシ子訳 (彩流社 予価3850円)[amazon] ![]() 9月25日刊 西崎憲編『12月の本』 〈12か月の本〉とくべつなひと月のために―― 〈12月〉をテーマに古今東西の小説・詩歌・随筆を集めたアンソロジー。佐藤春夫/岸田國士/ローズマリー・ティンパリー/日影丈吉/武田麟太郎/国木田独歩/石垣りん/マルセル・シュオッブ/他。収録内容 (国書刊行会 予価3080円)[amazon] 9月25日刊 『乱歩ラビリンス 池袋から人外境まで』立教大学江戸川乱歩大衆文化研究センター編 1894年、三重県に生まれた平井太郎=江戸川乱歩。誕生から作家になるまでの苦節の時代、作家としてのデビュー、そして大家となり探偵文壇の中心人物となっていったその生涯を、200枚を超える写真や残された資料と併せて紹介。初めて本に掲載される乱歩自身が撮影した映像のスクリーンショットもカラーで掲載。江戸川乱歩大衆文化研究センターの公式図録 (図書出版みぎわ 予価2640円)[amazon] 9月25日刊 カテジナ・トゥチコヴァー『ジートコヴァーの最後の女神たち』 〈新潮クレスト・ブックス〉チェコのとある辺境の寒村には、不思議な能力で人々を助ける「女神」と呼ばれる女性たちが生きていた。天候をも左右したというその術に戦争中はナチスが注目し、共産主義時代には弾圧されたことも。チェコに実在した彼女たちの数奇な運命を、その血を受け継ぐ民族誌学者の女性が探っていく。歴史のベールをはぎ取る物語。阿部賢一・豊島美波訳 (新潮社 予価3080円)[amazon] 9月25日刊 小川公代『100分de名著 ブラム・ストーカー「ドラキュラ」』 吸血鬼小説『ドラキュラ』は、19世紀末の人々が直面していた社会問題や文化現象を、作者ストーカーが批評的に見つめることで創り上げた作品だった。進化論隆盛の一方で「退化」への恐怖が規範から外れたマイノリティを排除・疎外する。社会の風潮にエンタメ作品の形をとりつつ問いを投げかけた本書は、差別や分断の進むいまこそ読むべき一冊。NHK「100分de名著」10月テキスト (NHK出版 700円)[amazon] 9月25日刊 ベンジャミン・スティーヴンソン『真犯人はこの列車のなかにいる』 豪華列車で起きた連続殺人。容疑者は乗客全員。『ぼくの家族はみんな誰かを殺してる』作者の伏線だらけの謎解きミステリー。富永和子訳 (ハーパーBOOKS 予価1430円)[amazon] 9月25日刊 イ・ラン『声を出して、呼びかけて、話せばいいの』 「家族」という地獄をサバイブしてきた──。稀代のアーティストによる書き下ろしエッセイ集。日韓同時発売。斎藤真理子訳 (河出書房新社 予価1980円)[amazon] 9月26日刊 マーガレット・アトウッド『ダンシング・ガールズ マーガレット・アトウッド短編集』 アトウッドの知られざる初期の短編集、待望の復刊。日常に潜む違和、まだ形をなさない不安……世界の歪みを少しだけ垣間見せる全7編。岸本佐知子訳 (白水社 予価2640円)[amazon] 9月26日刊 ジョーダン・ピール編『どこかで叫びが ニュー・ブラック・ホラー作品集』 『ゲット・アウト』『アス』『NOPE/ノープ』の映画監督ジョーダン・ピールが編集を手がける、ブラック・ホラー書き下ろしアンソロジー。19の収録作では、奴隷制度の記憶、公民権運動のトラウマ、移民としての分断されたアイデンティティ、そして現代社会の見えざる暴力など、超自然の恐怖だけでなく、アメリカ社会に深く根を下ろした不正義や歴史的暴力といった“現実”の〈悪夢〉が描かれる。ローカス賞、ブラム・ストーカー賞、英国幻想文学大賞受賞。ハーン小路恭子 監訳 (フィルムアート社 予価5280円)[amazon] 9月26日刊 ALT236『リミナルスペース 新しい恐怖の美学』 人の気配のない出入り口や階段、長い廊下、古びたホテルのロビー、寂れたショッピングモール、無機質な地下鉄の駅……こうした日常で目にする光景の中に、不穏さと不気味さ、そして抗いがたい魅力を見出す「リミナルスペース」は、インターネットを中心に広がった、2020年代を代表する美学的ミーム。その誕生の過程と影響を、膨大なビジュアルとともに体系的に掘り下げる。佐野ゆか訳 (フィルムアート社 予価3740円)[amazon] 9月26日刊 エトガル・ケレット『オートコレクト』 繰り返される父との最期、パラレルワールドの恋人、贈り物の小惑星……。世界40か国以上で翻訳される人気作家の最新短篇集。広岡杏子訳 (河出書房新社 予価2970円)[amazon] 9月26日刊 ヘンリック・イプセン『イプセン戯曲選 海の夫人/ヘッダ・ガーブレル』 〈ルリユール叢書〉海に憧れながら元の生活から離れぬエレーダを描く『海の夫人』。他人との関係を疎むヘッダの退屈な生を描く『ヘッダ・ガーブレル』。「自己亡命」の終焉間際に書かれた、祖国への愛憎と望郷の狭間のイプセンの葛藤が〈居場所探し〉として結晶化した、リアリズム期の傑作戯曲2篇。アンネ・ランデ・ペータス/長島確訳 (幻戯書房 予価4620円)[amazon] 9月26日刊 スティーン・スティーンセン・ブリカー『ヴァイルビューの牧師 他六篇』 〈ルリユール叢書〉デンマーク辺境の荒地を描いてアンデルセンやキェルケゴールを魅了し、19世紀前半の〈デンマーク黄金時代〉に詩的リアリズム文学を大成したスティーン・スティーンセン・ブリカー。表題作はじめ『ある教会書記の日記』など、人間の避けられぬ悲運や孤独を描いた全7篇の傑作短編集。高橋直樹訳 (幻戯書房 予価3520円)[amazon] 9月26日刊 ジュディス・フランダース『アルファベット順の文化史 図書館の分類法からオリンピックの国別入場まで』 アルファベットのルーツとされる古代エジプトの碑文に始まり、頭文字の順番で並べることが情報を分類という新たな世界に導いた。優劣をつけないフラットな並べ方、アーカイブ、索引といった技術がもたらしたものとは。星慧子訳 (原書房 予価3850円)[amazon] 9月27日刊 ラリー・ニーヴン&ジェリー・パーネル『神の目の小さな塵 新版 上・下』 西暦3017年。人類帝国宇宙海軍の巡洋艦の前にあらわれた、35光年離れた恒星系からはるばる旅してきた正体不明の光子帆船。はたして彼らの目的は? 新任艦長ロデリック・ブレイン中佐らは人類初の異星種族との接触に臨む……。ハインラインが激賞し、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞のファイナリストとなった、ファースト・コンタクトSFの名作。池央耿訳 (創元SF文庫 予価各1760円)[amazon上・下] 9月27日刊 ヘイゼル・プライア『ペンギンにさよならをいう方法』 ヴェロニカ・マクリーディは85歳の気むずかしいおばあちゃん。スコットランドにひとりで暮らし、お茶をしたり動物番組を見たりしながら、自分の遺産をどこへやろうかと考えている。ある日、南極で行なわれる資金不足のアデリーペンギン研究に興味をひかれた彼女は、遺産を譲る相手としてペンギンが相応しいかを見極めるべく、南極大陸へと一世一代の旅に出た――明日を生きる希望に満ちたペンギン文学の傑作。圷香織訳 (東京創元社 予価3080円)[amazon] 9月27日刊 クライブ・カッスラー/マイク・メイデン『死の武器商人を追い詰めろ! 上・下』 謎の武器商人ヴェンダーを追って、ファン・カブリーヨ船長は潜入捜査を開始する。海洋冒険小説の決定版オレゴン号シリーズ最新作。伏見威蕃訳 (扶桑社ミステリー 予価各1375円)[amazon上・下] 9月29日刊 ミハイル・ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』 ある春の晴れた日、モスクワに悪魔が現れた。黒魔術の教授を名乗る悪魔は、チェック柄の背広を着た邪悪なのっぽ、グラスでウオッカを飲む巨大黒ネコ、口から牙がのぞく赤毛の殺し屋、全裸の女吸血鬼ら手下を従え、首都に大混乱を巻き起こす。重奏的に描かれるのは、大作を文壇の権威に酷評され絶望に沈む巨匠と、彼に全てを捧げるマルガリータの純愛。物語は春のモスクワと古代エルサレムを去来し、色鮮やかに紡がれる。 スターリン独裁下の社会をアクロバティックに笑い飛ばしつつ、人間の善と悪、愛と芸術と罪と罰を問う、哲学的かつ挑戦的な世界的ベストセラーを躍動感あふれる新訳で。石井信介訳 (新潮文庫 予価1320円)[amazon] 9月29日刊 マリアーナ・エンリケス『秘儀 上・下』 “闇”の力を借りアルゼンチンの政財界の裏側で暗躍する〈教団〉と、それを司るブラッドフォード家。生贄を捧げる儀式で“闇”を呼びだす霊媒として利用され続けてきたフアンは、息子ガスパルにも同じ力が備わっていることに気づく。死期の近づいた自分が倒れる前に、なんとか息子を逃がす計画をたてるのだったが、不死の力を求めてやまない教団の魔手はしだいに親子に迫り……。スペイン語圏文芸ホラーの第一人者による流血の叙事詩。宮﨑真紀訳 (新潮文庫 予価各1265円)[amazon上・下] 9月29日刊 リズ・ウィリアムズ『ビジュアル図鑑 オカルト大全』 「西洋オカルティズムの起源」「占い」「儀式と典礼」「チャームとタリスマン」「呪いと呪術」「秘密結社」「パワースポットと聖地」の7章65項目にわたって、オカルトの根底にある信念や実践について、200点超の貴重な図版とともにその全貌を明らかにする。辻元よしふみ・辻元玲子訳 (河出書房新社 予価5390円)[amazon] 9月29日刊 アルトゥール・ショーペンハウアー『存在と苦悩』 ショーペンハウアー入門。生と苦悩と救済をめぐる、珠玉の警句の書。金森誠也訳 (白水Uブックス/思想の地平線 予価1980円)[amazon] 9月29日刊 ニコライ・ベルジャーエフ『ロシア共産主義の歴史と意味』 マルクス主義者から宗教哲学者へ転じた稀代の思想家によって語られる、正教精神から社会主義革命へと至るロシア民族の歴史的必然性。田中西二郎・新谷敬三郎訳 (白水Uブックス/思想の地平線 予価2200円)[amazon] ![]() 9月30日刊 ルーファス・キング『時計殺人事件』 〈論創海外ミステリ〉事件の始まりから幕引きまで約半日。ヴァルクール警部補の活躍で事件は短期間で解決したかと思われたが……。章題に時刻を記して読者に時間の経過を知らせる捜査小説のような趣向を取り入れた、ヴァルクール警部補シリーズの第一作。熊井ひろ美訳 (論創社 予価2970円)[amazon] ![]() 9月30日刊 エレン・ウィルキンソン『国会採決を告げる電鈴』 〈論創海外ミステリ〉議事堂内に響く国会採決の電鈴が死を招く。ある大物の死は事故か自殺か殺人か? 英国の女性国会議員が書いた、政治と国会の裏事情を絡ませた知られざる本格ミステリ。井伊順彦訳 (論創社 予価3080円)[amazon] 9月30日刊 アンドレイ・サプコフスキ『ウィッチャー カラスの十字路』 ウィッチャーになったばかりの若きゲラルトは、怪物と戦い、罪なき者を守ろうとするが……。人気ゲーム原作シリーズの起源を描く。川野靖子・杉浦綾訳 (ハヤカワ文庫FT 予価1650円)[amazon] 9月予定 大阪圭吉『『隆鼻術 大阪圭吉 単行本未収録作品集 再編集版』 『大阪圭吉 単行本未収録作品集』全3冊を、『死の快走船』(創元推理文庫)の収録作品を除いて再編集を行い、1冊にまとめたもの。 (盛林堂ミステリアス文庫) ▼10月刊 10月1日刊 キンバリー・マクライト『母の嘘、娘の秘密』 クレオの母が台所に血だまりを残して失踪した。捜索を始めると母の本当の職業や父との因縁、過去の秘密が次々と明らかになり……。北野寿美枝訳 (ハヤカワ・ミステリ文庫 予価1650円)[amazon] 10月1日刊 渡辺博史『ミステリで知る全米50州』 アメリカは多様だ。ニューヨークやロサンゼルスなどの大都会だけでは到底語り尽くせない。全米を旅した経済学者の著者が、自らの体験と半世紀以上にも及ぶ読書歴をもとに綴る、ユニークな紀行エッセイにしてミステリ・ガイドの決定版。全米50州基本データ付。 (早川書房 予価4620円)[amazon] 10月1日刊 小倉孝誠『フランス文学はいかに創られたか』 普仏戦争の敗北後、修辞学や批評、歴史学と対抗しながら、いかにフランス文学が生まれてきたのかを解き明かす。 (白水社 予価2750円)[amazon] ![]() 10月2日刊 ボイド・モリソン/ベス・モリソン『聖母のレリック 上・下』(仮) ベストセラー作家ボイド・モリソンと歴史学者がタッグを組んだ歴史ロマン。中世ヨーロッパを舞台に、聖なるレリックを巡る激闘が開幕。阿部清美訳 (竹書房 予価各1430円)[amazon上・下] ![]() 10月2日刊 ジェームズ・ロリンズ『氷の揺りかご ムーンフォール・サーガ シリーズ2 上・下』 ムーンフォールによるアースの破滅を予言したニックスは、それを阻止するため仲間たちとともに永遠の夜が続く大氷原を目指す。その途中で巨大コウモリの群れに襲われ、不時着した氷の下には「クレイシュ(揺りかご)」と呼ばれる世界が広がっていた――。〈シグマフォース〉のジェームズ・ロリンズ、最新ファンタジー・アドベンチャー。桑田健訳 (竹書房文庫 予価各1650円)[amazon上・下] ![]() 10月6日刊 エシ・エデュジアン『ワシントン・ブラック』 1830年、バルバドス島。11歳の黒人少年ワッシュことワシントン・ブラックは大農園の奴隷として過酷な日々を送っていたが、農園主の弟ティッチに見込まれ、科学研究の助手となる。文字や科学の知識を学び、絵の才能を開花させるワッシュ。やがてある事件を機に二人で作った気球で島から脱出、北極をめざすことに。少年の数奇な運命と世界を股にかけた破天荒な冒険、自我を探し求める人生の旅。読む悦びと驚きに満ちあふれた歴史冒険ロマン。高見浩訳 (小学館文庫 予価1430円)[amazon] ![]() 10月7日刊 フェリックス・フランシス『虎口』 英国競馬の聖地ニューマーケットで発生した厩舎火災。犠牲となった名馬の馬主の依頼で、危機管理コンサルタントの私が調査に派遣された。焼けた厩舎は高名な調教師一家のものだったが、カリスマ調教師の父のもと、三人の息子たちがいがみあう一族だった。ほどなく火災の焼け跡から人間の遺体が発見され……。「新・競馬シリーズ」第2弾。加賀山卓朗訳 (文春文庫 予価1320円)[amazon] 10月7日刊 スコット・フィッツジェラルド『最後の大君』 〈村上春樹 翻訳ライブラリー〉主人公はハリウッドの辣腕映画プロデューサー、モンロー・スター。才覚と野心でのし上がり、映画製作の現場に君臨するこの男を待ち受けるのは、運命を揺るがす出会いと悲劇の影――。創作メモに当たる「ノート」を含む未完の遺作が村上訳で甦る。その早すぎる死の直前まで、フィッツジェラルドが書き続けた最後の長篇小説。 (中央公論新社 予価1650円)[amazon] 10月7日刊 澁澤龍彦編『変身のロマン』 澁澤龍彦の「メタモルフォシス」への憧憬が詰まった珠玉の変身譚14篇。『暗黒のメルヘン』と対を成す一冊。上田秋成「夢応の鯉魚」、泉鏡花「高野聖」、中島敦「山月記」、太宰治「魚服記」、安倍公房「デンドロカカリヤ」、中井英夫「牧神の春」他 (河出文庫 予価1320円)[amazon] 10月7日刊 ジャン=アンリ・ファーブル『新版 ファーブル植物記』 ファーブルは『昆虫記』のほかにも多くの科学入門書を残した。さまざまな比喩を用いて優しく語りかけるスタイルで、植物の驚異と神秘的な生命のしくみを楽しく解き明かす。日高敏隆・林瑞枝訳 (平凡社ライブラリー 予価2420円)[amazon] 10月8日刊 グレース・D・リー『十二支像を奪還せよ』 中国系アメリカ人のウィルは、美術史を専攻する大学生。ある日、中国人の資産家から驚愕の依頼を受けた。かつて英仏軍に盗まれた清朝の5つの美術品を奪還するというものだ。ウィルは、友人のハッカーや解錠師、詐欺師とともに、世界中の美術館に向かうが……。 田村義進訳 (ハヤカワ・ミステリ 予価3630円)[amazon] 10月8日刊 サラ・ブルックス『侵略列車』 1899年、北京発モスクワ行きの列車に乗りこんだ偽名の女マリヤ。異形の〈荒れ地〉と化したシベリアで列車に謎の少女が現れるが!? 川野靖子訳 (ハヤカワ文庫SF 予価2090円)[amazon] 10月8日刊 エイモア・トールズ『モスクワの伯爵 上・下』 革命政府によって、ホテルに軟禁された伯爵。一歩外に出れば死が待っている極限状況で伯爵が見つけたのは、人生の豊かさだった!? 宇田川晶子訳 (ハヤカワ文庫NV 予価各1320円)[amazon上・下] 10月8日刊 クレア・キーガン『あずかりっ子』 赤ちゃんが生まれるまで、ひと夏の間、親戚の家に預けられた少女。怒らず優しく接してくれる親戚との生活は初めて知る愛に満ちていた。だがこの夏もやがて終わりの時が――映画「コット、はじまりの夏」原作。感情の深みを驚くほど静かに描き出す著者の代表作。鴻巣友季子訳 (早川書房 予価2200円)[amazon] 10月8日刊 香山滋『恐怖島 人見十吉秘境小説集成1 探偵くらぶ』 もはや世界で知らぬ者はいない映画「ゴジラ」の原作者としても著名な香山滋。そのライフワークともいえるのが秘境探検家・人見十吉を主人公とする一連の小説だ。「ゴジラ」にも通じるその傑作シリーズの長編二編、短編十九編を全二巻で集大成するファンには垂涎の書、第一弾。日下三蔵編 (光文社文庫 予価1540円)[amazon] 10月8日刊 フランツ・カフカ『ブレシアの飛行機/バケツの騎士』 本書収録の38編のうち24編が、「カフカがカフカになった」と言われる傑作『判決』以前の小品、初期の習作。カフカで一般的にイメージされる深刻さ、不条理といった色眼鏡を外せば、若書き特有のぎこちなさの奥にある原石の輝きが味わえる。丘沢静也訳 (光文社古典新訳文庫 予価990円)[amazon] 10月8日刊 ジャン=ジャック・ルソー『エミール 3』 大人になったエミールがパリの社交界ではなく、田舎への旅で見染めたソフィーとはどんな女性なのか? 彼女の家庭は? ルソーの女性観と教育観が語られる。そしてソフィーとの恋を育み、結婚が決まった直後、エミールに課されるのが二年間のヨーロッパ一人旅という試練だ。各国の政治、社会の実情をしっかり学ぶ必要があるという重要な旅であり、ルソーの政治思想とも密接につながる最終巻。斉藤悦則訳 (光文社古典新訳文庫 予価1760円)[amazon] 10月10日刊 ロビン・スティーヴンス/シヴォーン・ダウド原案『グッゲンハイムの謎』 「ほかの人とはちがう」頭脳をもつ少年テッドは、夏休みに訪れたニューヨークで、休館中のグッゲンハイム美術館を見学できることに。しかしまもなく館内に煙が漂い始め、テッドたちは館外へ逃れるが、騒動のなか、カンディンスキーの名画が何者かに盗まれてしまう。疑いをかけられたおばを救うため、テッドは13人の容疑者から犯人を絞り込んでいく。『ロンドン・アイの謎』続編の謎解きミステリ。越前敏弥訳 (創元推理文庫 予価1320円)[amazon] 10月10日刊 レイ・ネイラー『絶滅の牙』 近未来。野生の象は絶滅し、シベリアには遺伝子工学で復活したマンモスの保護区があった。象の研究者だったダミラは、死後その意識を一頭のマンモスに転送し、群れを率いる存在となる。一方、保護区には密猟者たちや、大金を積んでマンモス狩りの権利を得た富豪らが集まっていた。マンモスを巡る苛烈な戦いの中で彼らは何を得るのか? ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞候補作。金子浩訳 (創元SF文庫 予価1100円)[amazon] 10月10日発売 《紙魚の手帖》vol.25 第35回鮎川哲也賞選評、および第3回創元ミステリ短編賞選評&受賞作・ジョウシャカズヤ「中年交差点ゲーム」、鷲羽巧「幽霊写真」掲載。青柳碧人、待望の新連載スタート。読み切り、近藤史恵、櫻田智也、谷津矢車掲載ほか。 (東京創元社 1540円)[amazon] 10月10日刊 韓松『紅色海洋 上・下』 人類が地上に住めなくなった未来、遺伝子工学によって創られた「水棲人」が生きる「紅い海」の世界を描いた、哲学的かつ挑戦的な作品。中国SF四天王のひとり、韓松の長編SF。 立原透耶・大恵和実訳 (新紀元社 予価各3300円)[amazon上・下] 10月上旬発売 《創元推理文庫 復刊フェア》 F・W・クロフツ『英仏海峡の謎』 ジョルジュ・シムノン『13の秘密/第1号水門』 ドロシー・L・セイヤーズ『不自然な死』 ガイ・バート『ソフィー』 ジャック・フットレル『思考機械の事件簿 1』 クラーク・アシュトン・スミス『ゾティーク幻妖怪異譚』 《創元SF文庫》 クリストファー・プリースト『逆転世界』 ジェイムズ・P・ホーガン『創世記機械』 詳細 10月14日刊 藤本和子『リチャード・ブローティガン』 『アメリカの鱒釣り』などが愛され、しかしピストル自殺に至った作家の人生と作品を、翻訳者にして友人であった著者が描く。 (ちくま文庫 予価1210円)[amazon] 10月14日刊 『るきさんの文庫手帳2026』高野文子(イラスト) 超ロングセラー・高野文子のコミック『るきさん』の主人公と愉快で軽やかな一年を。ちくま文庫40周年記念、文庫手帳のスペシャルエディション。 (ちくま文庫 予価1100円)[amazon] 10月14日刊 ユージーン・サッカー『この惑星の塵のなかで 哲学のホラー』 惑星規模の災害、パンデミック、迫り来る絶滅の危機。本書は私たちが思考の彼方へと逃れ去る世界を思考するための手段として、ホラーというジャンルに目を向ける。ブラックメタルからラヴクラフト、伊藤潤二の漫画まで、さまざまな作品を媒体としながら謎めいた奇才によって提唱される、独自の宇宙的悲観主義。浅沼光樹訳 (青土社 予価2640円)[amazon] ![]() 10月14日刊 サラ・ピンスカー『失われたいくつかの場所』 彼女が噓のつもりで適当に言った不気味なローカル番組は実在し、しかも彼女自身も出演していた(「二つの真実と一つの嘘」)。飛び込んだ人間がたまに消える池で行方不明になった兄の思い出(「センチュリーはそのままにしておいた」)。バラッドの謎を解き明かそうとするネットユーザーたちは、その歌に秘められた恐ろしい意味に気づきはじめる(「オークの心臓集まるところ」)。もっとも新しく、もっとも懐かしい、記憶を揺さぶる奇想短篇集。市田泉訳 (竹書房 予価2640円)[amazon] 10月15日刊 成俔『慵斎叢話 朝鮮王朝前期の士大夫が綴る博学の書 2』 〈東洋文庫〉朝鮮随筆文学の白眉とされる史料。朝鮮王朝を中心に、新羅以降の史話や朝鮮官界の見聞譚、鬼神譚など、300超の長短さまざまな逸話に詳細な訳注を付す。巻4~7を収録。全3巻。野崎充彦 訳注 (平凡社 4620円)[amazon] 10月15日刊 ハインリヒ・フォン・クライスト『ペンテジレーア』 大宮勘一郎訳 (岩波文庫)[amazon] ![]() 10月21日刊 江戸川乱歩『乱歩心象作品集』 乱歩の心に映る執着と愛着、強迫的な思念、どこかへと惹かれてゆく心の有様……。「夢遊」「恐怖」「人形」「残虐」「身体」「錯視」「浅草」の七つの切り口で、短篇、および長篇中の名場面を精選。乱歩の神髄・魅力を凝縮した一冊。高原英理編 (中公文庫 予価1430円)[amazon] 10月22日刊 エリー・グリフィス『小路の奥の死』 ロンドンのマナーパーク校の同窓会で下院議員が殺害された。被害者の友人は個性的な有名人ばかり。被害者は「血を流す心臓」と書かれた手紙を何通も受け取っており、21年前に起きたある生徒の死亡事故の目撃者だったことが明らかになるが……。上條ひろみ訳 (創元推理文庫 予価1320円)[amazon] 10月22日刊 ジェニファー・コーディー・エプスタイン『血痕の記憶』 19世紀パリ。記憶を失い精神病院に収容された少女と付添人の愛は、やがて恐るべき真実を暴く。エドガー賞最終候補の歴史ミステリ。唐木田みゆき訳 (ハヤカワ・ミステリ文庫 予価2090円)[amazon] 10月22日刊 ウィリアム・ギブスン『カウント・ゼロ 新版』 新米ハッカーのボビイが没入中に邂逅した謎の少女の正体とは。『ニューロマンサー』を超越する圧倒的スケール、シリーズ第二作。黒丸尚訳 (ハヤカワ文庫SF 予価2310円)[amazon] 10月22日刊 筒井康隆『筒井康隆エッセイ集成1 SFを追って』 時代を超えて読み継がれる数々の傑作を生み出してきた筒井康隆はエッセイの名手でもあった。昭和期に雑誌・新聞などに掲載されてきたエッセイの数々を2巻本で集成する豪華企画。日下三蔵編 (早川書房 予価3300円)[amazon] 10月22日刊 ギオルギ・ゴスポディノフ『タイム・シェルター』 幸福だった時代を再現しアルツハイマーを治療するクリニック。患者は懐かしい記憶を追体験することで症状の改善を目指す。だが再現度が高まるほど、現実逃避を望む者が集い、やがて世界中で模倣される。過去は楽園か、それとも監獄か――。ブッカー国際賞受賞作。寺島憲治訳 (早川書房 予価3300円)[amazon] 10月22日刊 クローディ・ウンジンガー『食卓にきた犬』 老いを意識し、創作への不安を抱える作家ソフィのもとに、モップのような毛並みの若い犬が現れる。信頼と愛情を向けてくる犬と森を歩き、自然と向き合う時間が、彼女に作家として、女性としての自分を見つめ直すきっかけをもたらした。フェミナ賞受賞の感動作。永田千奈訳 (早川書房 予価3740円)[amazon] 10月22日刊 鈴木潤『Jホラーの核心 女性、フェイク、呪いのビデオ』 なぜ幽霊は「髪の長い女性」なのか、なぜ「ビデオ」が呪いを伝播させるのか。『リング』『呪怨』ほか黎明期の名作から『変な家』『近畿地方のある場所について』に至るまで、気鋭の映画研究者がジェンダー/メディアの観点でJホラーの本質を緻密に分析する。 (ハヤカワ新書 予価1210円)[amazon] 10月23日刊 平井敏晴『中華と綺想 東アジアのマニエリスム精神史』 広義のマニエリスムをベースに、「過剰・多義的・異種混合(アルス・コンビナトリア)」が、東アジアの芸術・文化・建築様式にひとつの精神史として通底していることを読み解いていく。 (工作舎 予価3300円)[amazon] ![]() 10月24日刊 筒井康隆『筒井康隆自伝』 生まれて最初の記憶と初恋、戦時中に過ごした幼少期、そして音楽、映画、演劇に明け暮れた青春を経て人気作家となるまで。 (文藝春秋 予価2090円)[amazon] ![]() 10月24日刊 ウィリアム・シェイクスピア『新訳 冬物語/シンベリン』 シチリア王は妃ハーマイオニと親友ボヘミア王の密通を疑う。親友の暗殺を臣下に命じ、妊娠中の妻を投獄し、生まれた赤子を捨てるが……(『冬物語』)。ブリテン王女と身分違いの結婚をして宮廷を追放されたポステュマス。伊達男に王女の操が奪えるかという賭けをもちかけられ……(『シンベリン』)。著者の人生に重なるロマンス劇の金字塔を徹底解説&注釈で。河合祥一郎訳 (角川文庫 予価1386円)[amazon] ![]() 10月24日刊 ジェフリー・アーチャー『TRAITORS GATE』(原題) 戸田裕之訳 (ハーパーBOOKS 予価1320円)[amazon] 10月25日発売 《SFマガジン》12月号 (早川書房)[amazon] 10月28日刊 アグスティナ・バステリカ『肉は美(うま)し』 人肉食が合法化された近未来。食肉処理工場で働くマルコスは、日々「頭」を屠畜していたが……究極の超問題ディストピアホラーSF。宮﨑真紀訳 (河出書房新社 予価2750円)[amazon] 10月28日刊 チャイナ・ミエヴィル/キアヌ・リーヴス『再誕の書』 殺戮の運命に呪われた不死者ウヌテは、あらゆる時代を彷徨い、死を求める。異端SF作家と世界的俳優の共著による、暗黒幻想奇譚。安野玲・内田昌之訳 (河出書房新社 予価4840円)[amazon] 10月28日刊 何致和『地下鉄駅』 失業、いじめ、孤立……駅で自ら死を選ぶ人々と、その防止に奔走する地下鉄職員。都会の声なき声を拾い、再生を描いた台湾発の話題書。及川茜訳 (河出書房新社 予価3080円)[amazon] 10月28日刊 ティム・ブルックス『絶滅しそうな世界の文字』 文字にこれほどのドラマがあったとは! 消滅の危機に瀕する世界の文字体系83種類の、物語、歴史、現況を探求する。黒輪篤嗣訳 (河出書房新社 予価5390円)[amazon] 10月28日刊 田中孝信『世紀末イースト・エンドとスラム小説』(仮) 世紀末ロンドンの貧民街「イースト・エンド」を舞台にした「スラム小説」を、当時の社会背景と絡めて分析する初の研究書。 (彩流社 予価3520円)[amazon] ![]() 10月29日刊 ジャン・コクトー『恐るべきこどもたち』 村松潔訳 (新潮文庫 予価693円)[amazon] ![]() 10月29日刊 レオ・マレー『駅前通り120番地』(仮) 田中裕子訳 (新潮文庫 予価825円)[amazon] 10月29日刊 南條竹則『文豪と食』 尾崎紅葉、泉鏡花、夏目漱石、森鴎外、永井荷風、井伏鱒二、志賀直哉、島崎藤村、林芙美子、谷崎潤一郎――錚々たる文豪たちの「食」へのこだわりに迫った本。彼らが作品や随筆の中で描いた、食にまつわる情景や思い出、執念ともいえる執筆ぶりを味わえる、まさに“食のエッセイ集”。文学と食が交差する、豊かな世界を楽しめる一冊。 (春陽堂書店 予価2420円)[amazon] ![]() 10月30日刊 リチャード・パワーズ『プレイグラウンド』 急速なテクノロジーの進化とその更に先を描く、アメリカ最重要作家の最新作。南太平洋に浮かぶ人口百名足らずの小島は、IT業界の寵児が訪れるとの噂で沸いていた。なんでもここに新国家を作るという。だが島には彼のかつての親友が家庭を築いていて――テクノロジーと人間の相克、そして果たされなかった友情の行方。迫りくるシンギュラリティを前に文学の可能性を映し出す、謎と驚異に満ちた物語。木原善彦訳 (新潮社 予価4950円)[amazon] 10月30日刊 黄錦樹『南洋人民共和国備忘録』 〈サイノフォン〉マラヤ共産党をめぐる24篇。個人の記憶の奥深くに隠されたマレーシア華人の集団の記憶とトラウマを圧倒的な想像力で描き出す。日本オリジナル編集によるマレーシア華人作家の最新代表作。王徳威編 (白水社 予価4180円)[amazon] 10月31日刊 ケイティ・ティージェン『事件現場をドールハウスに』 第二次世界大戦で夫を失ったメープル・ビショップ。二人の大切な家を守るために彼女にできるのは、趣味のドールハウスの制作と販売だった。幸先良いスタートを切った折、商品の配達先で農場経営者の死体を発見してしまう。警察は自殺としたが、納得できないメープルは、保安官を説得しようとドールハウスで事件現場を再現するが……。シリーズ第1弾。杉田七重訳 (創元推理文庫 予価1320円)[amazon] 10月31日刊 アリスン・モントクレア『奇妙な花嫁候補 ロンドン謎解き結婚相談所』 元スパイのアイリスと上流階級出身のグウェンが経営する結婚相談所に、アデラという既婚女性が現れる。病気で余命わずかの彼女は、昆虫にしか興味のない夫が孤独な余生を送らずにすむよう、自分の死後に後添えをさがしてほしいと依頼する。二人は頭を悩ませるが、数日後、アデラの遺体が発見され……。シリーズ第5弾。山田久美子訳 (創元推理文庫 予価1430円)[amazon] ![]() 10月下旬予定 ヴァンス・トンプソン『歪んだ木』 〈論創海外ミステリ〉精神科医レデスキー教授と出会った犯罪学者のジュール=マリー・ゲルパ氏はニューヨークで起こった保険金詐欺事件に巻き込まれていく。板垣節子訳 (論創社 予価3850円)[amazon] 10月予定 アルノ・シュミット『レヴィアータン』 〈アルノ・シュミット・コレクション〉幻の地を求めて灼熱の砂漠を突き進む男、半世紀ものあいだ脱獄を企む老探検家、馬鹿げた戦争から逃れようとする兵士、遭難した島で何者かに怯える若者……書き綴ることに囚われた人たちの生き様を描いた短編集。時代に先駆けた実験精神で既存の文学史を徹底的に再編し、戦後ドイツ文学の源流ともなった鬼才の、いまだ知られざる作品群を紹介する第2弾。窪俊一訳 (水声社 予価2200円) ▼11月刊以降予定 ![]() 11月12日刊 小妻容子『小妻容子/要画集』 嗜虐と被虐の極北の美を追い求めた、小妻容子、別名小妻要の縛り絵と刺青美人画世界。晩年まで手元に保管された傑作を選りすぐり収録。 (河出書房新社 予価4950円)[amazon] 11月12日刊 イーデン・ロビンソン『モンキービーチ』(仮) カナダ先住民女性作家によるマジックリアリズム小説。北村みちよ訳 (彩流社 予価3850円)[amazon] ![]() 11月20日刊 トマス・リゴッティ『悪夢工場』 「ホラーの化身」と呼ばれ、ラヴクラフト、ポー、カフカ、ベルンハルト、ナボコフに比する作家の初邦訳単行本。若島正・宮脇孝雄・白石朗訳 (河出書房新社 予価2475円)[amazon] ![]() 11月27日刊 グレゴリー・ヒスチャク/エドワード・ゴーリー公益信託『EはエドワードのE ゴーリー大解剖』 生誕100年記念出版! 不幸な子供たち、架空の動物、殺人ミステリー、ノンセンス。多彩な図版で読み解くそのゴシック世界の秘密。柴田元幸訳 (河出書房新社 予価16,500円)[amazon] ![]() 11月27日刊 クリスティアン・クラハト『死者たち』(仮) 1930年代初頭。ハリウッドに勝利すべく始まった日独合作のホラー映画撮影は、やがて不気味な熱を帯び──。衝撃の歴史改変小説。髙田梓訳 (河出書房新社 予価2640円)[amazon] ![]() 11月27日刊 ケイトリン・R・キアナン『溺れる少女』 絵画「溺れる少女」に瓜二つの女性に魅入られた主人公は、精神に異常をきたす。信頼できない語り手の傑作サイコロジカル・ホラー。鯨井久志訳 (河出書房新社 予価3630円)[amazon] ![]() 11月27日刊 フィリップ・マティザック『失われた古代都市 歴史に刻まれた過去の記憶』(仮) 戦乱、災害、気候変動など、さまざま理由で破壊され、放棄され、荒れ果てて廃墟となり、忘却の彼方に消えた古代都市の歴史を追う。安原和見訳 (河出書房新社 予価4290円)[amazon] 11月予定 イーディス・ウォートン『幽霊 新装版』 薗田美和子・山田晴子訳 (作品社 予価2970円)[amazon] ▼予定表に出たり消えたり(そのうち何とかなるだろう) ? ネオクリス・ガラノプロス『ヨルゴス・ダノシスの新たなバージョン』(仮) 現代ギリシャを代表する本格ミステリ作家のデビュー作。橘孝司訳 (竹書房文庫 予価1540円)[amazon] Amazonのアソシエイトとして、藤原編集室は適格販売により収入を得ています。 |