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注目の近刊
12月9日刊 グレゴリー・ヒスチャク/エドワード・ゴーリー公益信託『EはエドワードのE ゴーリー大解剖』 エドワード・ゴーリー生誕100年記念出版。不幸な子供たち、架空の動物、殺人ミステリー、ノンセンス。多彩な図版で読み解くそのゴシック世界の秘密。柴田元幸監訳 (河出書房新社 予価16,280円)[amazon] 12月9日刊 ケイトリン・R・キアナン『溺れる少女』 狂気を宿した母ローズマリーと祖母キャロラインの記憶とともに生きる、画家・小説家のインプ。ある日、町で出会ったゲームライターのアバリンと恋をするが、ドライブ中の路上で裸の女性エヴァと出会い、物語が反転していく。11歳のときにはじめて見た絵画『溺れる少女』、セーヌ河で溺れた名なしの少女、赤ずきんちゃん、ルイス・キャロル、ブラック・ダリア、ウラジーミル・ナボコフ、ジェヴォーダンの獣、セイレーン……。エヴァに出会ったのは、夏の夜のルート122か、秋の夜のウルフ・デン・ロードか。真実と事実が入りまじる、新たなゴースト・ストーリー。鯨井久志訳 (河出書房新社 予価3850円)[amazon] 12月9日刊 ヴァージニア・ウルフ『ヴァージニア・ウルフ エッセイ集』 文学や社会におけるジェンダー、階層を超えた女性の連帯、空襲下で綴られた平和論……。「ベネット氏とブラウン夫人」「病気になるということ」「ロンドン上空を飛ぶ」「女性にとっての職業」「傾いた塔」ほか、初訳を多数含む25篇のエッセイを収録。初期から晩年までウルフの思想をたどるオリジナル選集。片山亜紀編訳 (平凡社ライブラリー 予価1980円)[amazon] 12月9日刊 成俔『慵斎叢話 朝鮮王朝前期の士大夫が綴る博学の書 3』 〈東洋文庫〉朝鮮随筆文学の白眉とされる史料。朝鮮王朝を中心に、新羅以降の史話や朝鮮官界の見聞譚、鬼神譚など、300超の長短さまざまな逸話に詳細な訳注を付す。巻8~10を収録。全3巻完結。野崎充彦 訳注 (平凡社 予価4620円)[amazon] 12月9日刊 イーディス・ウォートン『歓楽の家』 20世紀転換期の上流社会。未婚の女性リリー・バートは、社交界の花と謳われながら、心の奥に空虚さを感じていた。リリーの苦悩に、人びとの欲望がからみつく。ニューヨーク上流社会の人間模様を描いたイーディス・ウォートン初期の傑作。1995年刊の共訳を新たに一人で訳し直し再刊。山口ヨシ子訳 (彩流社 予価3850円)[amazon] 12月10日刊 ジェイン・オースティン『ノーサンガー・アビー』 ゴシック小説に夢中な17歳のキャサリンは、逗留先のバースで社交界デビューを果たす。舞踏会で知り合ったヘンリー・ティルニーに惹かれ、彼の妹とも懇意になる。親友の兄の身勝手な妨害のために、関係が危うくなりもしたが、ついにティルニー家の自宅に招かれることに。そこは小説の舞台さながらの古い元僧院だと聞き、キャサリンの期待はいやがうえにも高まるが……。夢見がちな女子の成長と恋愛を描く。唐戸信嘉訳 (光文社古典新訳文庫 予価1540円)[amazon] 12月10日刊 曲亭馬琴『椿説弓張月5』 絶体絶命の危機を脱出した為朝と寧王女は巴麻島へと渡り、神仙の導きで舜天丸と家来の紀平治と再会する。また鶴と亀は因縁の敵である託女、阿公を天孫廟で討ちとる。こうして為朝と舜天丸はふたたび首里を攻めて曚雲と雌雄を決する。その後為朝は八頭山にのぼって神仙と出会い、また残った舜天丸は尊敦と名乗り、ついに琉球王となる。登場人物それぞれの因縁、生前と死後のことなどがすべて明かされる最終巻。全5巻完結。葛飾北斎 画/菱岡憲司 現代語訳 (光文社古典新訳文庫 予価1386円)[amazon] 12月10日刊 『おすすめ文庫王国2026』本の雑誌編集部編 本の雑誌が選ぶ2025年度文庫ベストテンから文学、SF、ミステリーなどのジャンル別文庫ベスト、そして毎年大注目のBリーグ座談会と2025年のおすすめの文庫がこの一冊でわかります。 (本の雑誌社 880円)[amazon] 12月10日刊 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ『大魔法使いクレストマンシー 魔法使いはだれだ』 寄宿学校にひそむ謎の魔法使いの正体は…? ユーモアたっぷりの「ファンタジーの女王」による代表連作。野口絵美訳 (徳間文庫 予価935円)[amazon] 12月11日刊 マウリツィオ・デ・ジョバンニ『対立 P分署捜査班』 早朝、実直なパン屋の主人が撃たれて殺された。現場に急行したロヤコーノ警部たちだが、検察庁マフィア対策班の横槍がはいる。被害者は対マフィア一家裁判の重要証人だったため、口封じされたと確信しているのだ。だが、現場の状況からロヤコーノはマフィアの犯行ではないと推理する。捜査方針で真っ向から対立したP分署の刑事たちは、署の存続を賭けて事件に挑むことに――〈21世紀の87分署〉イタリアの警察小説シリーズ。直良和美訳 (創元推理文庫 予価1540円)[amazon] 12月11日刊 C・J・ボックス『群狼』 猟区管理官ジョー・ピケットは、隣の地区の猟区管理官から、ドローンがシカの群れを追い立てている件で協力を要請される。情報を集めるうち、ドローンの所有者が2年前に東部から来た男で、ジョーの三女のボーイフレンドの父親らしいとわかるが、なぜか捜査にFBIが絡んでくる。一方、鷹匠のネイトは銃のケースを持つ男女を目撃し、不穏な予感を抱くが……。ジョー・ピケットVS.冷酷非情な暗殺者チーム。大人気冒険サスペンス。野口百合子訳 (創元推理文庫 予価1428円)[amazon] 12月11日発売 《紙魚の手帖》vol.26 阿部智里、越谷オサム、櫻部由美子、澤田瞳子で贈る、読切特集「猫」。桜庭一樹、新連載スタートほか。 (東京創元社 1540円)[amazon] 12月12日刊 夢野久作『あやかしの鼓 夢野久作ベストコレクション 夢の巻』 没後90年を目前にしながら今なお根強い人気を博す異端の作家・夢野久作。彼の中短篇の代表作を選定し、2冊にまとめる決定版作品集の上巻。日下三蔵編 (ちくま文庫 予価1540円)[amazon] 12月12日刊 リチャード・ブローティガン『風に吹きはらわれてしまわないように』 孤独な少年、忘れ難い人々、幻想的な光景、突然の悲劇……ブローティガンが生前に発表した最後の小説『ハンバーガー殺人事件』が改題、改訳で復刊。松本淳訳 (ちくま文庫 予価990円)[amazon] 12月12日刊 マイクル・コナリー『迷宮 上・下』 ロス市警未解決事件班刑事のバラードは銃とバッジを盗まれて窮地に陥る。ボッシュの協力を得て窃盗犯に迫った彼女は、犯人が連邦議会議事堂襲撃事件の指名手配犯とつながっていることを突き止めた。二人は市警とは秘密裏にFBIと連携、さらなる大規模テロを阻止し、盗まれた物を取り戻そうとするが──。女性刑事レネイ・バラード登場第6作。ハリー・ボッシュも娘マディと大活躍。古沢嘉通訳 (講談社文庫 予価各1155円)[amazon上・下] 12月12日刊 『2026本格ミステリ・ベスト10』探偵小説研究会編 気鋭の台頭がジャンルを焦がす! 今年も見逃せない濃密ランキングをはじめ、特集は「特殊設定ミステリ100」、インタビューはもちろんあの話題作。映像、コミックからゲーム、演劇方面まで、「本格の呼吸」を網羅した必携版。 (原書房 1210円)[amazon] 12月12日刊 『原典訳 マハーバーラタ 2』 ドゥルヨーダナの謀殺から逃れたパーンダヴァ五王子。ビーマは羅刹の娘との間に息子をもうけ、婿選式に参加したアルジュナはパンチャーラ国の王女ドラウパディーを勝ち取る。無事クル王国に帰還を果たしたユディシティラは皇帝即位式を挙行する。彼らの繁栄ぶりを妬むドゥルヨーダナは、叔父のシャクニと謀り、ユディシティラをいかさま賭博に誘う。賭博に負け13年の国外追放となった五王子は、復讐の誓いを胸に放浪の旅へ出立する。上村勝彦訳 (法蔵館文庫 予価1980円)[amazon] 12月12日刊 キム・イファン『お布団の外は危険』 「布団の外は危ないから出ないで」――ある日、お布団が話しかけてきた(表題作)。マクドナルドの店内で宇宙の謎が解き明かされる(「万物の理論」)。整形どころか人体改造が一般的になった世界(「君の変身」)。透明ネコが最高な話(「透明ネコは最高だった)。韓国の奇才による奇想SF短篇集。関谷敦子訳 (竹書房文庫 予価1540円)[amazon] 12月15日刊 マリオ・バルガス=リョサ『沈黙をあなたに』 クリオーリョ音楽の研究者トーニョが出会った、世界で最も美しいギターの音色。そしてその奏者であるラロ青年の夭折。それはリマ近郊でつつましく暮らすトーニョの人生をすっかり変えてしまった。彼について、そしてこの国の音楽について本を書かなくては! 使命感に燃えるトーニョだが、その熱意は様々な人を巻き込んでいき……。喜劇と悲劇、そして音楽と本と祖国への愛に満ちた人間賛歌。バルガス=リョサ最後の小説。柳原孝敦訳 (集英社 予価2750円)[amazon] 12月16日刊 ヤーコプ・ヴァッサーマン『カスパー・ハウザー あるいは怠惰な心』 1828年、ニュルンベルクに突如現れた謎の少年。言葉もおぼつかず、長く幽閉されていたと思しき彼の存在は、瞬く間に世間を騒がせた。王族の落胤か、それとも詐欺師か。憶測はやがて、人々の同情を猜疑心と憎悪に変え、少年を追い詰めてゆく。ドイツ史上稀に見る真相不明事件を、鋭い洞察と緻密な構成で描き出した傑作。酒寄進一訳 (岩波文庫 1507円)[amazon] 12月16日刊 莫言『赤い高粱 下』 日本軍を撃退した余占鰲。しかし、戦火のなか戴鳳蓮は銃弾に斃れ、配下のゲリラ部隊も全滅、村は報復により焼かれた。高密県東北郷の黒土を一面におおう、血の海のような赤い高粱。抗日戦争の時代を激しく生き抜く一族の物語はつづく。下巻は五つの連作中篇の後半三篇を収録する。井口晃訳 (岩波文庫 1650円)[amazon] 12月16日刊 スーザン・ソンタグ『隠喩としての病い・エイズとその隠喩』 「隠喩と神話は人を殺す」。ソンタグは、結核と癌というふたつの病いをとりまくテクストを読み解き、病いに付与される過剰な「意味」がいかに人びとを支配してきたか、その暴力的なありかたを見事に解体してみせた。エイズという「伝染病」の分析とともに、今なお鮮烈な「反解釈」実践の書。富山太佳夫訳 (岩波文庫 1001円)[amazon] 12月16日刊 桑木野幸司『ヨーロッパ綺想庭園めぐり 歴史の中の庭を歩く』 神々が遊ぶ聖苑から、政治・科学・文学の重要な舞台としての緑地、「お皿に盛られた」庭や、鉢植え文化まで、庭園にみる西欧史。 (白水社 予価3520円)[amazon] 12月16日刊 ベン・ラーナー『10:04』 《ニューヨーク・タイムズ》紙が選ぶ21世紀のベスト100冊に選出された、「新しい古典」とも呼びうるベン・ラーナーの飛躍作。木原善彦訳 (白水Uブックス 予価2530円)[amazon] 12月17日刊 アンソニー・ドーア『天空の都の物語』 陥落を前にしたコンスタンティノープル、現代アメリカの図書館、未来の宇宙船。異なる時空を生きる人々が古代ギリシャの物語により繋がっていく。どの時代も避けられぬ絶望の中で物語は希望を灯し――。『すべての見えない光』作者が語り継ぐ力を讃えるサーガ。藤井光訳 (早川書房 予価4950円)[amazon] 12月17日刊 余兒『九龍城砦外伝 信一伝 特装版』 〈青天會〉が瓦解し、香港黒社会で龍捲風率いる〈龍城幫〉の脅威はいなくなった。だがある日突然悲劇が訪れ、龍捲風は親友にかわりその甥・信一を育てることを決意する。信一と龍捲風のかつての日々を描くシリーズ外伝を函入り・特典盛りだくさんの特装版で。光吉さくら/ワン・チャイ訳 (早川書房 予価5830円)[amazon] 12月17日刊 筒井康隆『筒井康隆エッセイ集成2 記憶の断片』 昭和期に発表された筒井康隆によるエッセイの数々を、名アンソロジスト日下三蔵の編集で集成する豪華企画の第2巻。会社員時代の回想から、神戸のこと、社会時評まで、エッセイの名手が自由自在に語りつくす。ここでしか読めないファン垂涎の一冊。日下三蔵編 (早川書房 予価3850円)[amazon] 12月17日刊 鴻巣友季子『なぜ日本文学は英米で人気があるのか』 王谷晶『ババヤガの夜』や柚木麻子『BUTTER』を筆頭に、日本文学がいま英語圏の読者を魅了しているのはなぜか。女性作家の躍進、翻訳ワークショップの活況、若い世代からの支持……世界文学の潮流と重ね合わせることで、その理由がクリアに見えてくる。 (ハヤカワ新書 予価1210円)[amazon] 12月17日刊 ポール・オースター『バウムガートナー』 70歳の哲学者・大学教授のS・T・バウムガートナーが、詩人で翻訳者の妻アンナとの出会いと別れを回想し、自身の死も見つめながら生きる日々を綴る。オースターの遺作。柴田元幸訳 (新潮社 予価2530円)[amazon] 12月17日刊 ヴェロニク・オヴァルデ『わたしたちの不完全な人生へ』 あまりにも不運な男は、ある日、「人生のギヤ」を切り替える決心をする。「ボブ」と名乗る思春期の娘に悩み、仕事に一生懸命になりすぎて疲れきったシングルマザーは、酒に逃げるのをやめることにする。少女時代、親友との友情のために映画出演のチャンスを見送った女性は、ふとあることに気づく。完璧には程遠い人生を受け止めて生きる、愛すべき人々を描く連作短編集。村松潔訳 (新潮社 予価2035円)[amazon] 12月17日刊 マーク・グリーニー『暗殺者の奪還 上・下』 極寒の強制収容所に捕らわれたゾーヤを救うため、グレイマンはロシア入国を目指し、脅迫や賄賂、殺人などあらゆる手を尽くすが……。伏見威蕃訳 (ハヤカワ文庫NV 予価各1540円)[amazon上・下] 12月18日刊 アントニイ・バークリー『毒入りチョコレート事件 新訳版』 ある夫妻が譲り受けたひと箱のチョコレート。夫妻はともにそれを食べ、夫は一命をとりとめたが、妻は死亡した。中に毒が仕込まれていたのだ。迷宮入り寸前の事件に興味を抱いたロジャー・シェリンガムと、彼が創設した〈犯罪研究会〉の面々は、それぞれが探偵として事件を調査し、ひと晩にひとり、推理を披露することに――。謎のチョコレートをめぐる究極の推理合戦。ミステリ史に燦然と輝く傑作、著者序文を追加収録した新訳決定版。藤村裕美訳 (創元推理文庫 予価1100円)[amazon] 12月18日刊 アンデシュ・デ・ラ・モッツ&モンス・ニルソン『死が内覧にやってくる』 スウェーデン南部の田舎町で、不動産開発を目論んでいた不動産ブローカーでテレビタレントの女性が死亡した。反対する地元住民を懐柔するために購入した彫刻の上に転落したのだ。事故か、はたまた殺人か。事件を担当するのは、病気療養のために現地に滞在していたストックホルムの敏腕捜査官と、地元警察署の駆け出し女性刑事。久山葉子訳 (創元推理文庫 予価1428円)[amazon] 12月18日刊 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ『わたしが幽霊だった時 新装版』 歩きながら(事故だわ!)ふいにそう思った。事故にあったって思うんだけど、頭がぼやけてて何も思い出せない。下を見たら体がない! 生垣を通り抜け、ドアを通り抜けて家のなかに入った。宙に浮きながら。部屋じゃ、だいっ嫌いな姉さんや妹たちが相変わらずのけんか。誰もあたしのこと気づかない。あたし、幽霊になっちゃったんだ……でも、なぜ? ほろ苦く暖かい、時空を超えたファンタジイ。浅羽莢子訳 (創元推理文庫 予価1210円)[amazon] 12月18日刊 シヴォーン・ダウド/エマ・ショード絵『崖の上のヒバリたち』 ジムは、両親や親族とトレーラーで集団移動しながら暮らす〈パヴィー〉の少年。アイルランドの小さな町で、定住者である〈バッファー〉の学校に通いはじめるが、偏見や差別、不良たちからの暴力に苦しむ。そんな中、周囲から浮いているバッファーの少女、キットと親しくなるが、ジムの病弱の従弟が不良たちに襲われる事件が起きて――。『ロンドン・アイの謎』の著者の繊細な一編に、気鋭の版画家が挿絵をつけた忘れがたい物語。宮坂宏美訳 (東京創元社 予価2420円)[amazon] 12月18日刊 若林踏『日本ミステリ新世紀MAP 現代ミステリ25年の歩みと31人の作家たち』 2000年~2025年の日本ミステリの潮流を社会の変化と共に描く。ブックガイドとしても楽しめ、資料も充実。 (実業之日本社 予価2530円)[amazon] 12月19日刊 ケイト・サマースケイル『恐怖症・偏執狂辞典 世にも奇妙な99の妄想の歴史』 愛書狂、生き埋め恐怖症、舞踏病、風船恐怖症など、恐れと執着にまつわる99個の症例を取り上げ、心理学と文化史の視点からユーモアを交えて読み解く。奇妙で魅惑的な「妄想」の姿が見えてくる。田内志文訳 内容 (国書刊行会 予価2970円)[amazon] 12月19日刊 ルー・リード/ローリー・アンダーソン編『ルー・リード 俺の太極拳』 ロック界の巨星の飽くなき挑戦の裏には、情熱を注ぐ太極拳の存在があった。太極拳の哲学に「創造の秘訣」を見出した彼の自己変革のプロセスを収めた魂の記録。これは本質を摑むための実践の書である。吉田俊太郎訳 (国書刊行会 予価4180円)[amazon] 12月中旬予定 オノレ・ド・バルザック『《人間喜劇》第2巻 〈風俗研究〉「私生活情景**」』 コルシカの復讐の伝統を背景に、社会的上昇を夢見る若者と、血の掟に縛られた母との葛藤を描く本邦初訳の『ラ・ヴァンデッタ』や、愚かさと虚栄心の戒めを語る『人生への門出』、愛と策略の交錯を描き出す『アルベール・サヴァリュス』など10 の中短編小説を収録。 (水声社 予価11,000円) 12月22日刊 黄晳暎『マテニ10号 上・下』 植民地支配、幻の解放、南北分断、そして21世紀へ。闘う産業労働者たちと鉄道員一家四代の朝鮮半島における百年の物語。国際ブッカー賞、最終候補作。姜信子・趙倫子訳 (白水社 予価各2530円)[amazon上・下] 12月23日刊 東雅夫『怪奇の文芸、妖美な絵画 文豪たちと画家たち』 文豪のそばに、名画家あり。泉鏡花と鏑木清方、小村雪岱、江戸川乱歩と村山槐多、谷崎潤一郎と水島爾保布……名作を彩った画の秘密とは!? 怪しき文芸と妖しき絵画がそれぞれを高め合った傑作を、怪談文芸評論の第一人者がガイド。「怪と幽」人気連載の書籍化。図版フルカラー。 (KADOKAWA 予価2640円)[amazon] 12月23日刊 J・D・サリンジャー『彼女の思い出/逆さまの森』 第二次世界大戦中の1942年に陸軍へ入隊、44年ノルマンディー上陸作戦に参加したサリンジャーは、戦争を挟んで多くの短篇を執筆していた。大戦前のウィーンで出会った美少女、急病で倒れた黒人ジャズシンガー、行方不明になった天才詩人――。20代の著者が雑誌に発表したあと、本国では単行本に収録されないままの幻の名作9篇を厳選し、若き日の繊細な才能のきらめきをとじこめた一冊。金原瑞人訳 (新潮文庫 予価825円)[amazon] 12月23日刊 ジョン・グリシャム『判事の殺人リスト 上・下』 現役判事の不正行為告発の真偽を見極めるフロリダ州司法審査会調査官レイシーのもとに、新たな告発が寄せられた。大学教授を務める女性ジェリによると、二十二年前に父親を殺したのが現職の判事で、過去に何件もの殺人に手を染めているというのだ。まさかの訴えに戸惑ったレイシーだったが……。逮捕権すら持たない調査官のヒロインが、狂気の連続殺人犯に挑むノンストップ・サスペンス。白石朗訳 (新潮文庫 予価各935円)[amazon上・下] 12月23日刊 アンドレア・ウルフ『フンボルト 自然の発見者 上・下』 19世紀プロイセンに生まれ、科学者・思想家・冒険家として比類無い功績を残したフンボルトは、該博な知識と科学的思考に加え、並々ならぬ情熱をもって中南米の調査旅行を敢行。高山を踏破し、活火山の炎を観察して、あらゆる自然や現象の連鎖を観察し、記録し、分類し、科学の基礎を築いた。知的好奇心に満ちた全生涯を描く評伝。鍛原多惠子訳 (中公文庫 予価各1650円)[amazon上・下] 12月23日刊 ジョン・スタインベック『アメリカとアメリカ人 未来のためのエッセイ』 大前正臣訳 (中公文庫 予価1012円)[amazon] 12月23日刊 ハン・ガン『光と糸』 2024年にノーベル文学賞受賞後に韓国で刊行された初の単行本。命と光をめぐる祈りのメッセージ。斎藤真理子訳 (河出書房新社 予価2200円)[amazon] 12月23日刊 平野啓一郎・鈴木結生・小黒康正『トーマス・マンはなぜ日本で愛されるのか』 23歳で初の短編小説集を刊行した作家の作品の魅力を、23歳で芥川賞を受賞したふたりの小説家が著名な研究者とともに語り尽くす。 (白水社 予価1870円)[amazon] 12月23日発売 《怪と幽》vol.021 特集一 この世界にはムーミンがいる/特集二 澤村伊智十周年 (KADOKAWA 2200円)[amazon] 12月24日刊 レベッカ・ウェスト『兵士の帰還』 第一次大戦中の英国。出征した夫クリスの帰りを待つ妻キティと、従妹ジェニーのもとに、見すぼらしい身なりの女性がやってくる。クリスは戦地で入院中で、砲撃ショックのため過去15年間の記憶を失っているという。彼はひたすらかつての恋人に会いたいと望んでいたが、知らせを持ってきた女性こそがその元恋人だったのだ。やがて戦地から帰還したクリスをめぐって三人の女性の心理ドラマが始まる。ケアの視点からも再評価される20世紀英国小説の名作。併録「終わらない結婚生活」。鈴木孫和・小山太一訳 (白水Uブックス 予価2090円)[amazon] 12月24日刊 ルネ・デカルト『方法叙説』 「私は考えている、だから私は有る」――すべての近代思想はここから始まった。三宅徳嘉・小池健男訳 (白水Uブックス/思想の地平線 予価1320円)[amazon] 12月24日刊 セシリア・マンゲラ・ブレイナード『虹の女神が涙したとき』 〈ルリユール叢書〉太平洋戦争時、日本軍の侵攻に抵抗するフィリピンの住民たちが自由のために戦う中、一人の少女が神話的想像力によってエンパワメントを歌い求める――フィリピン系アメリカ人女性作家ブレイナードの半自伝的なマジックリアリズム小説にして歴史証言の文学。松田卓也訳 (幻戯書房 予価3960円)[amazon] 12月24日刊 アンドレイ・プラトーノフ『プラトーノフ・コレクション I エーテル軌道 1920‒1931』 カフカ、ベケットと並び20世紀を代表する幻のロシア作家の全貌がついに明らかに――代表的な中篇・短篇・評論・童話・戯曲を網羅した待望の著作コレクション全2巻。「ヤムスカーヤ町」「月探査」「エーテル軌道」「電化」「エピファニの水門」他。工藤順・古川哲編 (作品社 予価5940円)[amazon] 12月25日刊 ウンベルト・エーコ『薔薇の名前 完全版 上・下』 北イタリアの僧院で起きた『ヨハネの黙示録』に従った連続殺人。すべての秘密は迷宮構造を持つ文書館にあるらしい。バスカヴィルのウィリアム修道士が事件の影には一冊の書物の存在があることを探り出したが……。刊行後、折々に加えられた訂正や削除……執筆にあたり、エーコ自身が描いた登場人物のスケッチ、文書館の図面、そして覚書を加えた完全版。河島英昭・河島思朗訳 (東京創元社 予価3300円/3520円)[amazon上・下] 12月25日刊 小鷹信光『パパイラスの舟 海外ミステリ随想』 夫婦探偵小説のパターン分類、フランスのセリノワールから発見したジム・トンプスン、エドガー短編賞受賞作研究、書誌をめぐるジョン・D・マクドナルドとファンの交流、ロス・マクドナルドとリュウ・アーチャーの歪な関係、ハードボイルドにおける“英雄”の死――アメリカ探偵小説の大海を知的好奇心の赴くまま縦横無尽した航海記録。日本におけるアメリカ探偵小説受容に絶大な影響を与えた伝説的名著、初刊から五十年目にして初の文庫化。 (創元推理文庫 予価1320円)[amazon] 12月25日刊 西崎憲編『1月の本』 〈12か月の本〉とくべつなひと月のために―― 〈1月〉をテーマに古今東西の小説・詩歌・随筆を集めたアンソロジー。宇野千代/獅子文六/大下宇陀児/渡辺温/向田邦子/須賀敦子/川上弘美/アンドレ・マルロー 内容 (国書刊行会 予価3080円)[amazon] 12月25日刊 『小村雪岱 デザイン大鑑』 大正から昭和初期にかけて活躍したデザイナー、小村雪岱。日本画家・装幀家・挿絵画家として泉鏡花や谷崎潤一郎の作品を数多く手がけ、その洗練された構図感覚と装飾性によって、近代日本の「本のデザイン」に新たな地平を拓いた。時代を超えて愛される雪岱の造形世界を「デザイン」の観点から読み解く。山田俊幸監修/永山多貴子・大平奈緒子・谷口朋子編 (国書刊行会 予価5940円)[amazon] 12月25日刊 レックス・スタウト『二度目の告白』 〈論創海外ミステリ〉探偵助手のアーチー・グッドインは行き違いからアーノルド・ゼックの部下を襲撃してしまった。報復として犯罪組織はウルフの自宅を襲撃し、機関銃を乱射する報復に出た……。犯罪組織の黒幕アーノルド・ゼックとの壮絶な戦いを描いた三部作の第二弾、本邦初訳。渕上瘦平訳 (論創社 予価3080円)[amazon] 12月25日刊 タビサ・スタンモア『中世ヨーロッパの魔術師』 中世ヨーロッパでは魔術は日常の一部であり、王も騎士も聖職者までがそれに頼っていた。魔術を通して当時のリアルな生活を描く。ダコスタ吉村花子訳 (河出書房新社 予価3850円)[amazon] 12月25日刊 ボニー・マクバード『シャーロック・ホームズの事件録 三つの鍵』 1887年、大魔術師の公演に沸くロンドン。その魔術師のもとに切断された指が届き、心配した妻がベイカー街221Bを訪ねてきた。ホームズとワトスンが公演へ赴くと、巨大な水槽からの大脱出の最中ありえない事故が起きる。同じ頃、若い娘が忽然と姿を消し、腕をもぎとられた彼女の人形が川で発見される。さらにワトスンは亡き母が遺した鍵のかかった小箱を受け取り……。ホームズの新たな事件。日暮雅通訳 (ハーパーBOOKS 予価1540円)[amazon] 12月26日刊 西崎憲編『2月の本』 〈12か月の本〉とくべつなひと月のために―― 〈2月〉をテーマに古今東西の小説・詩歌・随筆を集めたアンソロジー。矢川澄子/立原道造/宇野浩二/菊池寛/森鷗外/小野二郎/山本周五郎/ヴァルター・ベンヤミン 他 内容 (国書刊行会 予価3080円)[amazon] 12月26日刊 ソール・ベロー『ソール・ベロー傑作短篇集』 生き生きした《笑い》と、いっぷう変わったユーモア、タッチの軽妙さで人間を描くノーベル文学賞作家ソール・ベローは、優れた肖像画家である。世俗的で宗教的な問いを読者に投げかける全10篇。「セント・ローレンス川のほとりで」「銀の皿」「遠い親類たち」「ゼットランド」「足を口にくわえた彼」「覚えていてほしいこと」の6篇は本邦初訳。鈴木元子監訳 内容 (小鳥遊書房 予価3570円)[amazon] 12月26日刊 スティーヴン・クレイン『スティーヴン・クレイン全詩集』 エミリー・ディキンソンにも似た簡潔さ、神を撃ち、戦争をあざけり、言葉の力を極限まで濃縮した「行」の連なり。クレインが見た世界の「苦さ」は、現代の私たちの胸にも、鋭く、深く、突き刺さる。いま再び熱い視線を集めるアメリカ文学の異才スティーヴン・クレイン。その全詩篇が一冊に。詩人・批評家の管啓次郎による鮮烈な訳に、柴田元幸の解説を収録した、スティーヴン・クレイン全詩集、本邦初訳。菅啓次郎訳 (コトニ社 予価2750円)[amazon] 12月27日刊 西崎憲編『3月の本』 〈12か月の本〉とくべつなひと月のために―― 〈3月〉をテーマに古今東西の小説・詩歌・随筆を集めたアンソロジー。内田百閒/牧野信一/北原白秋/須賀敦子/森茉莉/向田邦子/山村暮鳥/イェジ・アンジェイエフスキ 他 内容 (国書刊行会 予価3080円)[amazon] 12月27日刊 クラウディア・ドゥラスタンティ『異邦人』 〈エクス・リブリス〉聾者の母に捧げられた、「ある家族の会話」の軌跡。米・伊・英と移住する異才による、従来の「移民文学」とは一線を画す長篇。栗原俊秀訳 (白水社 予価3630円)[amazon] 12月27日刊 カルダー・ウォルトン『スパイたちの百年戦争 東西の熾烈な諜報活動 下』 ロシア革命から第二次大戦、冷戦、ソ連崩壊、新冷戦、ウクライナ戦争、ロシア・中国の策謀まで逸話満載、「陰の戦争」の攻防を追う。松島芳彦訳 (白水社 予価4070円)[amazon] 12月29日予定 イーデン・ロビンソン『モンキービーチ』 1970~80年代、カナダ・ブリティッシュコロンビア州西海岸、先住民ハイスラ族の居留地。ある日、19歳のリサは、弟ジミーの乗った漁船が行方不明になったことを知らされる。船が消えた夜、リサは夢の中で、ジミーが思い出の地モンキービーチにいるのを目にしていた。弟を捜す旅は、やがて彼女自身の、そして先住民の記憶とアイデンティティに向き合う旅となる。カナダ先住民女性作家によるマジックリアリズム小説。北村みちよ訳 (彩流社 予価3850円)[amazon] 12月刊 ジュリー・フィリップス『男たちの知らない女 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの二つの生涯 Ⅰ・Ⅱ』 べつの誰かになったときにのみ、彼女は自身の真実を語ることができた。エイリアンについて書くときにのみ、彼女は自分の身体や経験を語ることができた――『愛はさだめ、さだめは死』『たったひとつの冴えたやりかた』などの名作で知られる伝説のSF作家ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア、初の決定版伝記がついに登場。波乱に満ちたドラマチックな生涯を追った傑作ノンフィクション。全米批評家協会賞、ヒューゴー賞、ローカス賞受賞。北川依子訳 (国書刊行会 予価各3960円)[amazonⅠ・Ⅱ] 12月予定 アルノ・シュミット『レヴィアータン』 〈アルノ・シュミット・コレクション〉幻の地を求めて灼熱の砂漠を突き進む男、半世紀ものあいだ脱獄を企む老探検家、馬鹿げた戦争から逃れようとする兵士、遭難した島で何者かに怯える若者……書き綴ることに囚われた人たちの生き様を描いた短編集。時代に先駆けた実験精神で既存の文学史を徹底的に再編し、戦後ドイツ文学の源流ともなった鬼才の、いまだ知られざる作品群を紹介する第2弾。窪俊一訳 (水声社 予価2200円) ▼2026年1月予定 1月6日刊 シャーロット・ヴァッセル『果てしない残響』 テムズ川で溺死体が発見された。ボーシャン警部の捜査により、30年前、企業年金を横領して姿を消したCEOの事件との関連が浮かび上がる。さらに少女失踪事件も抱える彼は、排他的な上流階級に苛立ちながら聞き込みを続ける。エドガー賞最優秀長篇賞受賞作。山中朝晶訳 (ハヤカワ・ミステリ 予価2625円)[amazon] 1月6日刊 ウィリアム・グブスン『クローム襲撃 新版』 『ニューロマンサー』の原型たる表題作ほかサイバーパンクの真髄と電脳空間の綺想を堪能できる珠玉の10篇を収録。 浅倉久志・黒丸尚・酒井昭伸・小川隆訳 (ハヤカワ文庫SF 予価2310円)[amazon] 1月7日刊 ケリー・ギャレット『偽妹』 不可解な死を遂げた妹。生前の足取りを追う姉は、やがて事件に隠された嘘と秘密にたどり着く。エドガー賞最終候補のサスペンス。矢島真理訳 (ハヤカワ・ミステリ文庫 予価1980円)[amazon] 1月7日刊 ジョナサン・スウィフト『ガリバー旅行記』 世界中の子どもと大人が読む18世紀の英国の名作を、人気と実力をそなえた柴田元幸が見事に翻訳し注釈する。小人国、巨人国、空飛ぶ島ラプータ、馬たちが暮らす理想郷。次々と起きる出来事、たっぷりの風刺、理屈ぬきの面白さ。待望の文庫化。柴田元幸訳 (朝日文庫 予価1430円)[amazon] 1月7日刊 平川祐弘『小泉八雲 西洋脱出の夢』 明治時代に来日したハーン=小泉八雲の心を日本がとらえたのはなぜか。ハーン研究の第一人者による評伝。サントリー学芸賞受賞。 (河出文庫 予価1540円)[amazon] 1月7日刊 チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』 英語圏を代表する女性作家のTEDスピーチを文庫化。フェミニズムを理解するための最適の一冊。姉妹編「イジェアウェレへ」も併録。くぼたのぞみ訳 (河出文庫 予価880円)[amazon] 1月7日刊 ロバート・ベイリー『リッチ・ウォーターズ』 アラバマ州マーシャル郡で、若く優秀な保安官補が銃殺された。容疑者は元高校フットボールのスーパースターにして、リッチの姉の裁判で証言台に立った因縁の人物。彼が犯人であることを示す証拠は充分すぎるほど揃っていたが……。法廷闘争、覚醒剤王の魔の手、依存症との闘い…アメリカ南部発、リーガル・スリラーシリーズ第2弾。吉野弘人訳 (小学館文庫 予価1496円)[amazon] 1月9日刊 大下宇陀児『奇蹟の扉』 (春陽文庫 予価1320円)[amazon] 1月9日刊 木々高太郎『彼の求める影』 (春陽文庫 予価1320円)[amazon] 1月9日刊 オスカー・ワイルド『まじめが肝心/レイディ・ウィンダミアの扇』 ワイルドが喜劇作家としての絶頂期に書いた2作を収録。最高傑作ともいわれる『まじめが肝心』は、「ノーカット四幕の完全版」を、初演時発表の初版との異同もわかる体裁で本邦初訳。両作品とも絶妙な話のこじれ具合とオチが楽しめる。河合祥一郎訳 (光文社古典新訳文庫 予価1408円)[amazon] 1月9日刊 アレクサンドル・デュマ『モンテ゠クリスト伯 2』 密輸船の水夫となったダンテスは、モンテ゠クリスト島で、ファリアの言葉どおり財宝を発見する。そして九年後、「船乗りシンドバッド」を名乗る富豪がローマに現れ……。前山悠訳 (光文社古典新訳文庫 予価1650円)[amazon] 1月13日刊 アーナルデュル・インドリダソン『悪い男』 レイキャヴィクのアパートの一室で、刃物で喉を切り裂かれた若い男の死体が発見された。男はレイプドラッグと言われるクスリを所持しており、どうやら酒に酔った女性にクスリを飲ませて意識を失わせレイプをしていた常習犯らしい。被害者の復讐か? 犯罪捜査官エーレンデュルが行方不明のなか、同僚のエリンボルクは現場に落ちていた一枚のスカーフの香りを頼りに捜査を進める。北欧の人気シリーズ第7弾。柳沢由実子訳 (創元推理文庫 予価1496円)[amazon] 1月13日刊 ジャネット・スケスリン・チャールズ『わたしたちの図書館旅団』 1918年。ニューヨーク公共図書館の司書ジェシーはフランス北部に到着した。戦争で荒廃した村で、ドイツ軍に破壊された図書館の再建を目指すためだ。ジェシーは傷ついた住民に本を届け、兵士に戦地での慰めとなる一冊を紹介し、子どもたちに読み聞かせをおこなっていく。だがドイツ軍が村に迫ってきて……。第一次世界大戦中、命を失う恐怖を抱えながら、本の力を信じて闘った司書の物語。『あの図書館の彼女たち』著者の傑作長編。髙山祥子訳 (東京創元社 予価2530円)[amazon] 1月13日刊 ブレット・イーストン・エリス『いくつもの鋭い破片 上・下』 1980年代LA。退廃に耽る高校生たちの日常に連続殺人鬼の気配が迫る。『アメリカン・サイコ』の鬼才が、己の全てを注ぎ込んだ大作。品川亮訳 (文藝春秋 予価各3630円)[amazon上・下] 1月13日刊 夢野久作『冗談に殺す 夢野久作ベストコレクション 久の巻』 ちくま文庫に甦る夢野久作の世界。日下三蔵編集による中・短編の傑作を一挙に集めた圧倒的ボリュームで贈る決定版的作品集。全2巻シリーズの下巻。 (ちくま文庫 予価1540円)[amazon] 1月13日刊 マイケル・ファラデー『ロウソクの科学』 電磁気学の創始者が、少年少女向けに語った科学史に残る連続授業。ロウソクの小さな炎から物理・化学の基本原理を鮮やかに解き明かしてゆく。新訳。渡辺正訳 (ちくま学芸文庫 予価990円)[amazon] 1月13日刊 M・C・ビートン『アガサ・レーズンと借りて返さない女』 表の顔は善行を積む明るく美しい女性。だが裏の顔は……押しつけがましく、借りた品を自分のものと言い張る村の厄介者。そんな女性が毒殺されてアガサ・レーズンは捜査に乗り出すが、村は誰もが何かを隠しているようで……⁉ 羽田詩津子訳 (原書房/コージーブックス 予価1650円)[amazon] 1月14日予定 寺尾隆吉『ガブリエル・ガルシア・マルケス』 〈知の革命家たち〉 (水声社 予価1980円) 1月14日予定 田中孝信『世紀末イースト・エンドとスラム小説 ヴィクトリア朝ロンドンにおける貧困の表象』 ロンドンのイースト・エンドは、長きにわたり、とくに19世紀末から20世紀初頭にかけて、都市の貧困を象徴するスラムであった。ウォルター・ベサントからギッシング、ディケンズ、ジャック・ロンドン、トマス・バーク等、世紀末イースト・エンドを舞台にした「スラム小説」を、社会背景と絡めて分析する初の研究書。 関連年表付。 (彩流社 予価3520円)[amazon] 1月15日刊 礒崎純一『幻想文学怪人偉人列伝 国書刊行会編集長の回想』 澁澤龍彦、種村季弘、橋本治から元国書刊行会社長まで、摩訶不思議な12人たちと共に数多くの書籍を世に出した編集者が綴る、舞台裏からみた幻想文学の黄金時代。 (筑摩書房 予価2750円)[amazon] 1月15日刊 春日武彦『怪談の真髄 ラフカディオ・ハーンを読みなおす』 耳なし芳一、雪女、狢、食人鬼etc. ラフカディオ・ハーンの残した怪談の数々は、じっさい何がこわいのか。恐怖のメカニズムに精通した精神科医が読み解く。 (筑摩書房 予価1980円)[amazon] 1月刊 カエサル『カエサル ガリア戦記』 高橋宏幸訳 (岩波文庫)[amazon] 1月刊 モンテスキュー『本当の話』 田口卓臣訳 (岩波文庫)[amazon] 1月刊 小林勇『惜櫟荘主人 一つの岩波茂雄伝』 (岩波文庫)[amazon] 1月16日刊 ウィトルーウィウス『建築書』 古代ローマの建築家マルクス・ウィトルーウィウス・ポッリオーによる、現存する最古の建築書。ローマ初代皇帝アウグストゥス(在位前27-後14)時代に活動したウィトルーウィウスは、『建築書』の著者であること以外、その出自や生涯は何も知られていない。本書は建築に関する包括的な著作であると同時に、当時の技術を幅広く記録した百科事典的なものでもある。森田慶一訳 (講談社学術文庫 予価1980円)[amazon] 1月16日刊 『原典訳 マハーバーラタ 3』 賭博に負け、森で暮らすことになったパーンダヴァ五王子と共通の妻ドラウパディー。神々から武器を得るため北方へ旅立ったアルジュナは、シヴァ神を満足させたことで最強兵器ブラフマシラスを獲得し、武器や舞踏などを学びながらインドラの世界で五年を過ごす。一方ユディシティラは賭博ですべてを失ったナラ王の物語を聞く。聖地巡礼の途中ビーマは神猿ハヌーマットに出会い、クベーラ神の眷属である羅刹や夜叉を討伐する。上村勝彦訳 (法蔵館文庫 予価2200円)[amazon] 1月16日刊 D・A・ミラー『ジェイン・オースティンあるいはスタイルの秘密』 オースティンが描く世界にジェインの居場所はどこにもない。未婚女性の小説家が描いた世界で、なぜ女性たちはみな結婚を避けられないのか? 「個別性」や「単独性」をひどく嫌ったスタイル主義者オースティンの《スタイル》=「文体、美意識、流儀、作風」がどのように生まれたのかは永遠に謎のまま誰にも真似することはできない。玉井潤野訳 (小鳥遊書房 予価2420円)[amazon] 1月19日刊 朝宮運河『日本ホラー小説史 怪談、オカルト、モキュメンタリー』 1970年代のオカルトブーム、80年代のホラー映画ブームと共鳴しつつ広がった日本のホラー小説。戦後の江戸川乱歩の影響から現在のモキュメンタリー人気に至るまでその歴史を語る。 (平凡社新書 予価1100円)[amazon] 1月20日刊 アン・マイクルズ『抱擁』 1917年、戦場で瀕死の重傷を負ったジョンは記憶の断片にすがりながら生還する。やがて北ヨークシャーへ戻り写真館を再開するが、写した像に亡霊が現れ始め――夢幻的な語りの断片が紡ぎだす四世代にわたる物語。詩的な文体で記憶と愛を描き出す巨匠の最新長篇。黒原敏行訳 (早川書房 予価2750円)[amazon] 1月21日刊 レベッカ・ヤロス『フォース・ウィング3 昏き瞳の竜騎手 上・下』 ヴァイオレットが竜騎手候補生になって一年半、妖術使いとの戦闘が激しさを増すなか、彼女を守ろうとしたゼイデンが闇に墜ちた――彼を取り戻すことはできるのか? ヴァイオレットは竜たちとともに未知の土地へ旅立ち、愛する人々を救う方策をさぐるが……!? 原島文世訳 (早川書房 予価各2640円)[amazon上・下] 1月21日刊 ダニエル・キイス『心の鏡 新版』 『アルジャーノンに花束を』の原型である中篇版、奇妙な能力をもつ少年を描く表題作など全七篇を収録した日本オリジナル作品集。小尾芙佐訳 (ハヤカワ文庫NV 予価1540円)[amazon] 1月21日刊 ジョシュ・ヘイヴン『シベリアをおれの手のなかに』 産業の民営化を目指し株式を配ったロシア政府。金儲けのため株を買い集める二人の男が同じく株を狙うマフィアと対峙することに! 渡辺義久訳 (ハヤカワ文庫NV 予価1870円)[amazon] 1月21日刊 白石雅彦『「ウルトラQ」の誕生 増補版』 1966年1月2日、第1話「ゴメスを倒せ!」放送から始まった『ウルトラQ』は、テレビ界に革命をもたらす番組となった。だが、名作誕生までの道のりは決して平坦でなかった。スタッフは過去に例のない番組を作るため、文字通り暗中模索だった。そして番組成立の背景には、テレビの興隆と映画の衰退という二つの歴史的潮流があった。2016年刊『「ウルトラQ」の誕生』に、新たに判明した事実などを加えた増補版。 (双葉社 予価2420円)[amazon] 1月21日刊 白石雅彦『「ウルトラマン」の飛翔 増補版』 戦後日本最大のヒーロー「ウルトラマン」は、1966年7月17日放送の第1話「ウルトラ作戦第一号」で、初めてその姿を現した。銀色に輝く巨大宇宙人という前代未聞のアイディアにたどり着くまで、金城哲夫をはじめスタッフは文字通り産みの苦しみを味わった。そして誕生したヒーローの物語は、才能溢れる若者達の情熱によって、驚くべき発展を遂げていく。2016年刊『「ウルトラマン」の飛翔』に、新たに判明した事実などを加えた増補版。 (双葉社 予価2530円)[amazon] 1月22日刊 ジル・ペイトン・ウォルシュ『セント・アガサが揺れた夜』 ケンブリッジ大学セント・アガサ・カレッジに伝わる〈ハーディングの悪ふざけ〉。ある夏の夜、新進気鋭のフェローが転落死したのは、塔から図書館の屋根へ飛び移るこの悪弊に失敗したからだと思われた。しかし事故死という判断は数か月後、大いに揺らぐことになった。ごたごたを抱えた演劇クラブが『ハムレット』を公演中の出来事で――。〈イモージェン・クワイ〉シリーズ最終巻。猪俣美江子訳 (創元推理文庫 予価1430円)[amazon] 1月22日刊 ジョヴァーニ・マルチンス『太陽に撃ち抜かれて』 「フィナンシャルタイムズ」「スペクテイター」年間ベストブック選出。リオのスラム街〈ファベーラ〉発の鮮烈デビュー作。福嶋伸洋訳 (河出書房新社 予価2420円)[amazon] 1月22日刊 アンディ・ウィアー『プロジェクト・ヘイル・メアリー 上・下』 未知の物質によって太陽に異常が発生、氷河期に突入しつつある地球。ひとり宇宙へ飛び立った男は、人類を救うミッションに挑む。地球上の全生命滅亡まで30年、人類の命運を賭けた一大プロジェクトに挑む宇宙飛行士の奮闘を描く、極限のエンターテインメント。小野田和子訳 (ハヤカワ文庫SF 予価各1430円)[amazon上・下] 1月22日刊 井上ひさし『盗む男 ミステリ短篇選』 人間は謎の中に産み落とされ、やがて謎をほとんど解くことなく死んで行く。その作品すべてにミステリ要素を組み込んだと言われる井上ひさし。なかでも、ミステリ色濃厚な隠れた名品を精選。暗号トリック、どんでん返し、時代物、実録物、詐欺師……文庫未収録を含む短篇と関連エッセイで味わう、井上ミステリの見本市。文庫オリジナル。 (中公文庫 予価1210円)[amazon] 1月23日刊 ドン・ウィンズロウ『クライム101』 映画原作「クライム101」を収録した傑作短篇集、新装版。田口俊樹訳 (ハーパーBOOKS 予価1738円)[amazon] 1月23日刊 カリン・スローター『WE ARE ALL GUILTY HERE』(原題) 真夏の夜に起きた殺人――少女のロッカーに残されたのは、見るもおぞましい写真だった。保安官補が挑む、小さな町に潜む闇。鈴木美朋訳 (ハーパーBOOKS 予価1738円)[amazon] 1月23日刊 ジェームズ・キャンベル『「クマのプーさん」誕生物語 A・A・ミルンとE・H・シェパードの生涯とその世界』 世界中で愛される「クマのプーさん」。誕生から百年以上経った今でも人々の心をとらえて離さない物語性とユーモアは、作家のミルンと画家のシェパードの奇跡的な出会いから始まった。各財団公認書籍。未公開のカラー図版多数。富原まさ江訳 (原書房 予価2200円)[amazon] 1月28日刊 ロス・トーマス『悪党たちのシチュー』 松本剛史訳 (新潮文庫 予価1155円)[amazon] 1月28日刊 ジーン・ウェブスター『おちゃめなパティ、カレッジへ行く』 三角和代訳 (新潮文庫 予価781円)[amazon] 1月28日刊 大藪春彦『野獣死すべし』 (新潮文庫)[amazon] 1月28日刊 荒俣宏編訳『アメリカ異世界冒険譚 荒俣宏幻想文学翻訳集成 欧米幻想ファンタジー精華3』 アメリカで誕生した心霊現象や幻獣、不可解な人間の無意識な現象にまで及ぶ新感覚の怪異談集。「来たるべき能力」(エドワード・ベラミー)、「血は命なれば」(F・M・クロフォード)、「カリブ海の魔術師」(H・S・ホワイトヘッド)他。 (春陽堂書店 予価6050円)[amazon] 1月29日刊 ミヒャエル・ケンペ『ライプニッツの輝ける七日間』 〈新潮クレスト・ブックス〉「最後の万能の天才」の多彩な生涯を7日間の出来事で描く画期的〈評伝〉。数学や哲学で多大な業績を残し、歴史家や発明家としても活躍した知の巨人ライプニッツ。時に政治に口を出し、時に論争を巻き起こしながら、バロック時代を「転がる石」のように生きた70年の生涯から岐路となった7日間を取り上げ、遺された10万ページのメモと2万通の手紙を元にその思考と業績を再構築した比類なき書。森内薫訳 (新潮社 予価2640円)[amazon] 1月30日刊 都筑道夫『死体を無事に消すまで 都筑道夫エッセイ集成』(仮) 〈キイ・ライブラリー〉EQMM日本版の初代編集長にして戦後英米ミステリ翻訳紹介の第一人者、幅広い分野で傑作をものした作家、都筑道夫は稀代の評論家・随筆家でもあった。その才気が発揮されたエッセイを、分野別に全3巻に集成。第1巻はミステリ論集『死体を無事に消すまで』を中心に、日本版EQMM掲載・単行本未収録の海外ミステリ時評「望遠レンズ」や「辛味亭辞苑」などを収める。日下三蔵編 (東京創元社 予価4400円)[amazon] 1月30日刊 ガイ・バート『タンポポ時計』 ロンドンでキャリアの絶頂にある画家のアレックスは、実家を売却するため、イタリアの小村を数十年ぶりに訪れる。年少期に彼は、海と山に囲まれたこの地で、一歳違いのジェイミーと三つ年上のアンナとひと夏を過ごした。平凡だけど明るい夏休みになるはずだった――廃墟となった礼拝堂で傷ついた“隠者”に出会うまでは。アレックスは記憶の断片を繋ぎ合わせて追想する……幼かった三人が深く結びついたあの日々、自分たちのそれからの流転する人生を。煌めくような郷愁と心震わせる愛惜が描き出す円熟の傑作。山田蘭訳 (東京創元社 予価5500円)[amazon] 1月30日刊 H・G・ウェルズ『タイム・マシン ウェルズSF傑作選 新版』 19世紀末のイギリスに登場したウェルズこそはサイエンス・フィクションの巨人である。彼はその後に連綿とつづく現代SFのアイデアのほとんどを創造したといってよい。あまりにも有名な時間旅行SFの原点となった表題作ほか、「塀についたドア」「奇跡をおこせる男」「ダイヤモンド製造家」「イーピヨルニスの島」「水晶の卵」など6編を収める。阿部知二訳 (創元SF文庫 予価990円)[amazon] 1月30日刊 ローラン・ビネ『言語の七番目の機能』 ロラン・バルトの事故死についてバイヤール警部が捜査を開始した。哲学も記号論もチンプンカンプンの反動的プチブルの彼は若手記号学者シモンに協力を仰ぐ。シモンは次第にジェームズ・ボンドばりの活躍をするように! 謎の文書「言語の七番目の機能」がすべての鍵らしい。ウンベルト・エーコが会長を務める秘密結社《ロゴス・クラブ》とは? フーコー、ソレルス、クリステヴァ、ドゥールーズ、デリダ等々現代思想の重鎮や政治家たちも乱舞する、驚愕の記号学ミステリ。言葉の持つ力について改めて考えずにはいられない傑作。高橋啓訳 (創元文芸文庫 予価1870円)[amazon] 1月30日刊 レイモンド・チャンドラー『ザ・リトル・シスター』 兄を探してほしいと、若い娘に依頼されたマーロウは、訪れる先々で死体と遭遇する。やがて、ハリウッドの闇の渦中へ……。フィリップ・マーロウ物第5長篇。市川亮平訳 (小鳥遊書房 予価2420円)[amazon] 1月30日刊 A・A・ミルン『名誉ある平和 『クマのプーさん』の作家による平和への提言』 「戦争を阻止するただ一つの方法は戦争を放棄することです。」第一次世界大戦後に書かれたエッセー「名誉ある平和──戦争という習慣の研究」。その6年後、第二次世界大戦を前に変化した思想が反映された「名誉ある戦争」を収録。第一次大戦にも従軍した『クマのプーさん』の児童作家ミルンが願った平和とは。吉村圭訳 (小鳥遊書房 予価2970円)[amazon] ▼2月以降予定 2月4日刊 フェリックス・フランシス『勝機』 妻を失いかけて失意のシッドに不正の告発が届く。規制の網の目を突く、その悪辣な手口とは。大きな転機を迎えたシッドの不屈の戦い。加賀山卓朗訳 (文春文庫 予価1320円)[amazon] 2月4日刊 アンドレイ・プラトーノフ『プラトーノフ・コレクションⅡ ジャン 1932‒1951』 カフカ、ベケットと並び20世紀を代表する幻の作家の全貌が、ついに明らかに。代表的な中篇・短篇・評論・童話・戯曲を網羅的に紹介。「初生水の海」「ジャン」「ごみの風」「牝牛」「ノアの方舟」ほか。工藤順・古川哲編 (作品社 予価5720円)[amazon] 2月4日刊 アントワーヌ・コンパニョン『文学は割に合う!』 文学は著者に、読者に、どれほどの見返りをもたらすものなのか。多角的な視点から、ユーモアを交えて語る、碩学による刺激的な一冊。本田貴久訳 (作品社 予価2640円)[amazon] 2月5日刊 ジャン=クリストフ・グランジェ『死の烙印 1』 第二次世界大戦直前のベルリン。ナチ党の旗が翻るなか、上流階級の若い女性が次々と殺される。喉や腹部を切り裂かれ、靴を盗まれた彼女たち。被害者の女性の共通点は、夢に「大理石の男」が出てきたこと。犯人の目的、正体、そして、「大理石の男」の秘密とは。高野優・坂田雪子訳 (ハヤカワ・ミステリ)[amazon] 2月5日刊 ジョー・ハート『町は騙る』 幼馴染と不倫中の男に届いた不倫を咎める手紙。相手の夫の仕業と疑うも、夫は殺され、幼馴染も失踪してしまう。エドガー賞受賞作。仁木めぐみ訳 (ハヤカワ・ミステリ文庫 予価1870円)[amazon] 2月5日刊 ガエル・ファイユ『ジャカランダの樹』 1994年フランス。12歳のミランは、母の祖国で起きたジェノサイドを他人事だと思っていた。だが、虐殺から逃れてきた少年と出会い一変する。ミランがルワンダで目にした憎しみの連鎖。赦しと怒りの狭間で揺れる人々の苦悩。その先に見出した希望とは――。加藤かおり訳 (早川書房)[amazon] 2月6日刊 リチャード・パワーズ『囚人のジレンマ 上・下』 風変わりな父を持つホブソン一家は、記憶と歴史の交差する場所で人類最大の矛盾に直面する。現代アメリカ文学の旗手による傑作長篇。柴田元幸・前山佳朱彦訳 (河出文庫 予価各1320円)[amazon上・下] 2月6日刊 スタッズ・ターケル『仕事! 上・下』 全米で長期ベストセラー、ジャーナリズムの記念碑的著作。ピューリッツァー賞作家代表作にして伝説の名著を復刊文庫化。中山容訳 (河出文庫 予価1925円/2178円)[amazon上・下] 2月6日刊 角田喜久雄『歪んだ顔』 (春陽文庫 予価1320円)[amazon] 2月6日刊 国枝史郎『犯罪列車』 (春陽文庫 予価1320円)[amazon] 2月11日刊 『SFが読みたい! 2026年版』S‐Fマガジン編集部編 年間ベストSF発表、ベスト1作家からのメッセージ、サブジャンル別ベスト、この一年のSF関連トピック、2026年の各出版社のSF書籍刊行予定、SF作家たちによる最新予定「2026年のわたし」、SF関連書籍目録などでおくる恒例のSFガイドブック最新版。 (早川書房)[amazon] 2月18日刊 ジェイムズ・ラヴグローヴ『シャーロック・ホームズとハイゲイトの恐怖 上・下』 ワトスンの恐るべき手稿には続きがあった――ホームズに持ち込まれたハイゲイト墓地での遺体消失事件は異形へと繋がっており!? 日暮雅通訳 (ハヤカワ文庫FT)[amazon上・下] 2月18日刊 ピーター・ヘラー『ラスト・サバイバー 上・下』 人類の大半が流感で死んだ世界。愛犬と孤独に暮らす男は、無線で何者かの声を聞く。希望を抱き、声の主を探しに旅へ。映画化原作。堀川志野舞訳 (ハヤカワ文庫NV)[amazon上・下] 2月18日刊 馬伯庸『両京十五日 1 南京脱出』 十五世紀の中国、明の時代。何者かからの襲撃を受けた皇太子・朱瞻基は、三人の仲間とともに、南京から北京へ十五日の決死行を行う。齊藤正高・泊功訳 (ハヤカワ文庫NV)[amazon] 2月18日刊 北清夢『漂泊の星舟』 人類の生存を賭け、恒星間ミッションに旅立った80人の女性。船に爆弾がしかけられ、代替要員のアスカは犯人探しを命じられるが!? 金子浩訳 (ハヤカワ文庫SF)[amazon] 2月18日刊 マックス・ポーター『悲しみは羽根のあるもの』 母を突然亡くした幼い兄弟と、その父親。喪失の重みが沁みこみ始めたロンドンのフラットに、奇妙な喋るカラスがやってきてこう言う――おまえがおれをいらなくなるまでここにいる。ハン・ガンが「いびつなほどのぬくもりと美しさを秘めた本」と絶賛した傑作。桑原洋子訳 (早川書房)[amazon] 2月27日刊 J・D・サリンジャー『サリンジャー初期短篇全集』 一目惚れをした男が投獄されるユーモラスなアンチ・ラブストーリー、戦争の気配が色濃くなる時代の若者たちを活写した傑作など、サリンジャーの原点とエッセンスが詰まった初期全作品集。柴田元幸訳 (河出書房新社 予価2970円)[amazon] 2月以降刊 ジェスミン・ウォード『私たちが刈り取った男たち』 石川由美子訳 (作品社 予価2970円)[amazon] 2月以降刊 李箱『増補新版 李箱作品集成』 崔真碩編訳 (作品社 予価5940円)[amazon] ▼予定表に出たり消えたり(そのうち何とかなるだろう) ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を 特装版』 32歳になっても幼児なみの知能しかないチャーリイ・ゴードン。そんな彼に夢のような話が舞いこんだ。大学の先生が頭をよくしてくれるというのだ。やがて手術によってチャーリイの知能は向上していくのだが……。全世界が涙した不朽の名作を函入りの特装版で。小尾芙佐訳 (早川書房 予価7150円)[amazon] エイモア・トールズ『モスクワの伯爵 上・下』 革命政府によって、ホテルに軟禁された伯爵。一歩外に出れば死が待っている極限状況で伯爵が見つけたのは、人生の豊かさだった!? 宇佐川晶子訳 (ハヤカワ文庫NV 予価各1430円)[amazon上・下] ギオルギ・ゴスポディノフ『タイム・シェルター』 幸福だった時代を再現しアルツハイマーを治療するクリニック。患者は懐かしい記憶を追体験することで症状の改善を目指す。だが再現度が高まるほど、現実逃避を望む者が集い、やがて世界中で模倣される。過去は楽園か、それとも監獄か――。ブッカー国際賞受賞作。寺島憲治訳 (早川書房 予価3300円)[amazon] ネオクリス・ガラノプロス『ヨルゴス・ダノシスの新たなバージョン』(仮) 現代ギリシャを代表する本格ミステリ作家のデビュー作。橘孝司訳 (竹書房文庫 予価1540円)[amazon] Amazonのアソシエイトとして、藤原編集室は適格販売により収入を得ています。 |