注目の近刊
6月15日発売 《MONKEY》vol.36 特集 オーイン・マクナミーという謎 吹きつける潮風。荒んだ町並み。立ち込める暴力の気配。 アイルランド国境地帯を舞台に、そこに生きる人々の過酷な生を描く。知られざる作家オーイン・マクナミー、その珠玉の短篇11 篇を一挙掲載。 純文学か、ノワールか。謎めいた作品世界に迫る徹底特集。柴田元幸責任編集 (スイッチ・パブリッシング 1320円)[amazon] 6月17日刊 アーサー・コナン・ドイル『失われた世界』 ロンドンの若き新聞記者マローンが恋焦がれる才女グラディス。彼女との結婚の条件は「英雄的な行いを為すこと」。博覧強記で乱暴者の科学者チャレンジャー教授が話す「未知の台地と恐竜の存在」。その真偽を確かめるため、マローンとチャレンジャーはロクストン卿、サマリー教授と船で旅立つ。たどり着いた台地で彼らを待ち受けるものとは――。冒険SF小説の古典的傑作の新訳刊行。駒月雅子訳 (角川文庫 予価1166円)[amazon] 6月17日刊 チャールズ・ディケンズ『新訳 大いなる遺産 上・下』 親のいない少年ピップは意地悪な姉に育てられた。ある晩、脱獄囚の命を救うが、その日を境に不可解な出来事が起きる。何者かから譲られた莫大な遺産。謎の暴行事件。資産家の美しい養女エステラとの出会い。彼女に見合う男になろうと、故郷を捨てロンドンへ紳士修行に向かうが……。文豪ディケンズの最高峰。原文に忠実な新訳でラストの真意が初めてわかる。河合祥一郎訳 (角川文庫 予価各1078円)[amazon上・下] 6月17日刊 柳田国男『柳田国男自伝 故郷七十年・拾遺・補遺』 生誕150年を迎える柳田国男。みずからの生涯を振り返った「故郷七十年」に「拾遺」「補遺」を加え、『全集』編集委員による詳細な注釈を付す。地図、系図、写真を多数収録した文庫決定版。石井正己編 (角川ソフィア文庫 予価2046円)[amazon] 6月17日刊 中村禎里『狸とその世界』 カチカチ山、化け狸、信楽焼……人は狸の姿になにを見てきたか? 古代から人の近くに暮らし、様々な伝承に登場する狸。人は狸にどのようなイメージを重ね、そこから何を想像してきたのか。狸を視点に世界を読み解けば人間の思考と歩みが見えてくる。 (角川ソフィア文庫 予価1540円)[amazon] 6月17日刊 行方昭夫編訳『お許しいただければ 続イギリス・コラム傑作選』 「毎朝20年間も髭を剃っていれば、誰だって何かを学ぶことになる」(リンド)。隣人の騒音問題や犬派・猫派論争から当時の世界情勢まで、誰にとっても身近な出来事をユーモアたっぷりに語る、ガードナー、ルーカス、リンド、ミルンの名エッセイ。約一世紀前の作ながら、その人間性への鋭い洞察は今なお大いに共感を呼ぶ。 (岩波文庫 予価935円)[amazon] 6月17日刊 トーマス・マン『トーニオ・クレーガー』 「僕は旅に出るよ、リザヴェータ。新鮮な空気が必要なんだ」 芸術への愛と市民的生活との間で葛藤する繊細な青年トーニオ。自己を求めて遷ろい、かつて憧れた二人の幻影を見た彼は、何を悟るのか。トーマス・マンの自画像にして数多の作家が愛読した名作が、原文のニュアンスに忠実、かつ読みやすい訳で蘇る。小黒康正訳 (岩波文庫 予価627円)[amazon] 6月17日刊 J・M・G・ル・クレジオ『歌の祭り』 インディオたちの生活の美しさと秘められた知恵、そして深遠な宇宙観――。若き日のル・クレジオにまったく新しい宇宙と生き方を開示した、パナマのエンベラ族との出会いを語る表題作をはじめ、著者が一貫して熱情にみちた関心をそそぐ、南北両アメリカ先住民世界をめぐる、しずかな抒情と宇宙論的ひろがりをたたえた民族誌。管啓次郎訳 (岩波文庫 予価1155円)[amazon] 6月17日刊 佐藤良明『定本 ラバーソウルの弾みかた ビートルズと僕らの文明』 1960年代のカウンターカルチャーが清教徒革命、産業革命に匹敵する巨大な「精神の変容」を伴ったことを活写した記念碑的著作を全面改稿。2020年代まで射程を広げ、後期資本主義のエートスを描き直す。 (岩波現代文庫 予価2002円)[amazon] 6月18日刊 サーデク・ヘダーヤト『盲目の梟』 ペルシア語文学史に現れた「モダニズムの騎士」による、狂気と厭世に満ちた中短篇集。「人生には徐々に孤独な魂をむしばんでいく潰瘍のような古傷がある」という独白で始まる「盲目の梟」は、筆入れの蓋に絵を描くことを生業とする男が、心惹かれた乙女の死体を切り刻みトランクに詰めて埋めにいくシュルレアリスム的な前半部と、病に臥した男が「妻殺し」を回想する後半部とが、阿片と酒精、強烈なペシミズムと絶望、執拗に反復されるモチーフと妄想によって複雑に絡み合う。ドストエフスキーやカフカ、ポーなどの西欧文学と、仏教のニルヴァーナ、イランの神秘主義といった東洋思想とが融合した表題作と、9つの短篇に加え、紀行文『エスファハーンは世界の半分』を収録。中村公則訳 (白水Uブックス 予価2090円)[amazon] 6月18日刊 L・M・チルトン『死のマッチング・アプリ』 長年の交際が破局したグウェンは一念発起してマッチングアプリに登録するが、これまでのデート相手が次々に殺されてしまい……!? 山田佳世訳 (ハヤカワ・ミステリ文庫 予価1980円)[amazon] 6月18日刊 宝樹『三体X 観想之宙』 太陽系侵略を企む三体文明に人類のスパイを送る「階梯計画」の主人公となった孤独な男・雲天明が語る真実とは。『三体』公式外伝。大森望・光吉さくら・ワン チャイ訳 (ハヤカワ文庫SF 予価1540円)[amazon] 6月18日刊 パスカル・ロベール゠ディアール『小さな嘘つき』 5年前の強姦事件の被害者リザは控訴審の弁護をアリスに依頼した。アリスが調査を進めると、当時15歳のリザの嘘により誤審が下ったことが判明する。嘘をつかざるを得なかった少女の痛み、社会の偏見により歪む司法……法廷記者の著者が放つ繊細な倫理の物語。伊禮規与美訳 (早川書房 予価2640円)[amazon] 6月18日刊 クリスティン・ハナ『風に向かって』 1930年代テキサス。愛を知らずに育ったエルサは、幸せな家庭を夢見た。やがて手に入れた夢は、大干ばつによって崩れ去る。飢えと絶望の中、彼女は決断を迫られる。愛する養父母とここに残るか、希望を求めて子どもと西へ旅立つか。試練を乗り越える女性の物語。岩瀬徳子訳 (早川書房 予価3740円)[amazon] 6月18日刊 イオン・ソミン『工房の季節』 放送作家の仕事を突然辞めることになった30歳のジョンミンは、偶然見つけた陶芸工房に引き寄せられる。謎めいた工房の先生、粘土の匂い、窓から差し込む光、人懐っこい猫、素晴らしいコーヒーが彼女の感覚を呼び覚ました。季節の移り変わりとともに、ジョンミンは徐々に自分を取り戻し、工房の仲間たちとの新しいコミュニティーを築いていく。朝田ゆう訳 (講談社 予価2420円)[amazon] 6月19日刊 カーター・ディクスン『爬虫類館の殺人 新訳版』 第二次世界大戦下のロンドン。ある夜、爬虫類館で名高いロイヤル・アルバート動物園の一室で、園長と一匹の大蛇がガス中毒で死亡する。部屋は内側からすべての扉と窓に目張りがされた密室で、状況からは自殺としか思えない。だが、爬虫類に生涯を捧げた園長が蛇を道連れにするだろうか? 名探偵サー・ヘンリ・メリヴェール登場。不可能犯罪の巨匠、中期の傑作。白須清美訳 (創元推理文庫 予価1012円)[amazon] 6月19日刊 ドーン・ブルックス『地中海クルーズにうってつけの謎解き 警官レイチェル&看護師サラの事件簿』 婚約者に裏切られて傷心の警察官レイチェルは、豪華客船で看護師として働く親友のサラに誘われて、2週間の地中海クルーズに参加した。しかし寄港したリスボンで同じ船の乗客がトラックの下敷きになって亡くなってしまう。レイチェルは親しくなった乗客の男性が現場から走り去る姿を見かけ、サラと協力して事件を調べることに。親友同士の女性たちが謎解きに挑む新シリーズ開幕。田辺千幸訳 (創元推理文庫 予価1100円)[amazon] 6月20日刊 フョードル・ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟 1・2』 ドストエフスキー作品の謎に最も迫った翻訳者・江川卓による魂の訳業、初文庫化。各巻に、訳者自身による詳細な注解を付す。 (中公文庫 予価各1320円)[amazon1・2] 6月20日刊 ケン・ジャヴォロウスキー『罪に願いを』 ペンシルヴェニアの小さな町を舞台に、男女三人の犯したそれぞれの罪と人生が交差する珠玉の犯罪小説。エドガー賞新人賞候補作。白須清美訳 (集英社文庫 予価1155円)[amazon] 6月予定 小泉八雲『幽霊と旅をする』 東雅夫編 (田畑書店)[amazon] 6月23日刊 西崎憲編『7月の本』 〈12か月の本〉〈7月〉をテーマに古今東西の小説・詩歌・随筆を集めたアンソロジー。四季をあじわい、あの作品といま同じ季節を生きるよろこびをつくる本。長野まゆみ/川端康成/尾形亀之助/岡本綺堂/志賀直哉/海野十三/穂村弘/スティーヴン・ミルハウザー/他 収録内容 (国書刊行会 予価3080円)[amazon] 6月23日刊 アルベルト・マンゲル『図書館 愛書家の楽園 新装版』 アレクサンドリア図書館、ネモ船長の図書室、ヒトラーの蔵書、ボルヘスの書棚……古今東西、現実と架空の〈書物の宇宙〉をめぐる旅。野中邦子訳 (白水社 予価4180円)[amazon] 6月23日刊 アルフレッド・フィエロ『パリ歴史事典 新装版』 文化・政治・宗教から芸術・風俗習慣まで、600の項目で浮かび上がる千年の都パリ。エピソードも盛り込み読んでたのしめる事典。鹿島茂監訳 (白水社 予価5720円)[amazon] 6月23日刊 ズジスワフ・ベクシンスキ/ベクシンスキー『新装版 ベクシンスキー作品集成Ⅱ ver.1.2』 〈パン・エキゾチカ〉ポーランド幻想絵画の巨匠ベクシンスキを集成したシリーズ。1980~90年代と晩年の絵画作品、60年代の彫刻レリーフ作品を収める。 (河出書房新社 予価4400円)[amazon] 6月24日刊 西崎憲編『8月の本』 〈12か月の本〉〈8月〉をテーマに古今東西の小説・詩歌・随筆を集めたアンソロジー。 堀辰雄/北原白秋/山川方夫/須賀敦子/茨木のり子/井上靖/唐十郎/ブルーノ・シュルツ/他 収録内容 (国書刊行会 予価3080円)[amazon] 6月24日刊 『本朝妖怪年代紀 日本史の忘れもの』工作舎編 坂田金時が酒呑童子を倒したのは? 河童の伝承はいつから言い伝えられた? いつどこで両面宿儺は倒された? どこから読んでも不思議世界へまっしぐら、2500余項目の妖怪事象を神代から幕末までまとめた怪異譚年表。400図版を収録。 (工作舎 予価3520円)[amazon] 6月24日刊 スティーブン・グリーンブラット、アダム・フィリップス『セカンド・チャンス シェイクスピアとフロイトに学ぶ「やり直しの人生」』 「セカンド・チャンス」(人生をやり直すチャンス)という、危機に直面する人間存在を揺さぶる想念はいつの時代も文学的想像力の核心であった。偶然や意志や運命に左右されるセカンド・チャンスの実現や失敗を描いてきた歴史上最高の作家とその最高の解釈者を通して、人間の再生能力の力強さを考察する珠玉の一冊。河合祥一郎訳 (岩波新書 予価1320円)[amazon] 6月24日刊 小川公代『ケアの物語 フランケンシュタインからはじめる』 強者が押しつける「正しさ」と暴力や分断がはびこる現代社会。そこで置き去りにされているのは、尊厳を踏みにじられた人々が紡ぐ〈小さな物語〉――恐ろしい怪物の物語として知られる『フランケンシュタイン』を、10のテーマを通して多様な作品群と縫い合わせ、読む者をケアの本質へと誘う。想像力を解き放つ文学論。 (岩波新書 予価1100円)[amazon] 6月24日刊 フリードリヒ・ニーチェ『悲劇の誕生』 ギリシア悲劇に理性と本能、秩序と陶酔の究極の結合を見出し、理性を重んじた近代的な道徳を批判する、ニーチェ哲学の原点。浅井真男訳 (白水Uブックス/思想の地平線 予価1870円)[amazon] 6月24日刊 ショーン・バイセル『ブックセラーズ・ダイアリー3 スコットランドの古書店主がまたまたぼやく』 古書ポルノ・ハンター、熱狂的なアーサー王読者、居心地のいい書店の一角でおしっこをしたがる幼児……古書店主ショーンのもとには、ひと癖もふた癖もある客が今日も訪れる。古書店主の世界的ベストセラー日記シリーズ最新作。阿部将大訳 (原書房 予価2970円)[amazon] 6月25日刊 西崎憲編『9月の本』 〈12か月の本〉〈9月〉をテーマに古今東西の小説・詩歌・随筆を集めたアンソロジー。 鈴木三重吉/蒲松齢/小沼丹/北野勇作/木下杢太郎/有島武郎/島崎藤村/リッキー・デュコーネイ/他 収録内容 (国書刊行会 予価3080円)[amazon] 6月25日刊 リチャード・デミング『私立探偵マニー・ムーン』 弁護士ランダルから仕事の依頼で事務所に呼び出されたムーンは、待合室で長く待たされていた。応接室からは弁護士の声が聴こえるも、入ってこいとの合図はない。痺れをきらして応接室のドアへと突入するムーン。そこにはデスクに腰かけたままナイフを突き立てられたランダルの死体が残され、殺害犯は廊下へ続くドアから逃亡したものと思われたが……「フアレスのナイフ」をはじめ、義足の私立探偵マニー・ムーンの名推理全7篇を収録した連作中篇集。《ブラック・マスク》誌などで活躍、後にエラリー・クイーン名義のペーパーバック作品も手がけた名手による “本格推理 私立探偵小説” ここに甦る。田口俊樹訳 (新潮文庫 予価1320円)[amazon] 6月25日刊 リツ・ムケルジ『裁きのメス』 19世紀、南北戦争後のフィラデルフィア。解剖学者にして教授であるリディアの元に、女性の水死体が運ばれてきた。警察は、リディアの友人で患者のアンナだといい自殺を仄めかしたが、疑問を抱いたリディアは捜査にのりだす。謎めいた手帳、身分違いの恋人、不可解な火災。そして明らかになるアンナの秘密。理不尽な暴力がリディアに迫ったとき、彼女が導き出した正解とは。医師作家による傑作ミステリー。小西敦子訳 (新潮文庫 予価1100円)[amazon] 6月25日刊 C・S・ルイス『ナルニア国物語7 さいごの戦い』 ナルニアに偽のアスランが現れた。その命令のもと無惨に切り倒される木の精や、奴隷として働かされる動物たちを目にしたティリアン王は怒りに震え、剣を抜くが――。敵国カロールメンの兵士や邪神タシュまでもが現れ、滅亡の危機に瀕するナルニア。だがそこにユースティスやジル、ルーシーらをはじめとするかつての仲間たちが駆けつける。いま、二つの世界にまたがる史上最大の戦いが始まる。小澤身和子訳 (新潮文庫 予価737円)[amazon] 6月25日刊 ダニエル・シルヴァ『コーンウォールに死す』 海辺の町で発生した〈斧男〉の連続殺人事件と、消えたピカソの名画。二つの謎が交わるとき、英国政府に危機が迫る。山本やよい訳 (ハーパーBOOKS 予価1628円)[amazon] 6月25日刊 チョン・ヘヨン『誘拐の日 新装版』 豪邸の奥には、いつでも秘密が眠っている――殺人事件に巻き込まれた不器用な“誘拐犯”と11歳の天才少女の逃亡劇。話題の韓国ミステリー、新装版。米津篤八訳 (ハーパーBOOKS 予価1290円)[amazon] 6月25日発売 《SFマガジン》8月号 ウィリアム・ギブスン特集 (早川書房 1540円)[amazon] 6月26日刊 トルーマン・カポーティ『草の竪琴』 1940年代アラバマ州の田舎町。母を亡くした少年コリンは遠縁にあたるドリーとヴェリーナの老姉妹に引き取られる。ドリーは妹との諍いを機に、コリンとメイドのキャサリンを連れてツリー・ハウスで暮らし始めるのだが……。初期の名作「草の竪琴」のほか、「最後のドアを閉めろ」「ミリアム」「夜の樹」の短篇3作を収録。村上春樹訳 (新潮社 予価2695円)[amazon] 6月26日刊 酒井順子『松本清張の女たち』 雑誌の個性に合わせて作品を書き分けた松本清張が、女性誌も書いた小説群に着目。そこに登場する女性主人公たちを、お嬢さん探偵、黒と白の「オールドミス」、母の不貞、不倫の機会均等のキーワードを軸に考察し、昭和に生きた女たちの変遷を映し出すと同時に、読者の欲望に応え続けた作家の内面に迫る。 (新潮社 予価1870円)[amazon] 6月26日刊 フランツ・ヘッセル『ベルリン散歩』 ベンヤミンの街歩きの師であり、プルースト『失われた時を求めて』を共訳したことでも知られるユダヤ人作家、フランツ・ヘッセルの主著を初邦訳。「遊歩とは、通りを読むという一種の読書である」。1920年代のベルリンを歩き、街路の細部に目を向け、そこに宿る歴史を「読む」ことで浮かび上がる都市のイメージ。ベンヤミンによる書評「遊歩者の帰還」(1929)の新訳を付す。岡本和子訳 (法政大学出版局 予価4400円)[amazon] 6月26日刊 エーリッヒ・アウエルバッハ『文学と戦争 ヨーロッパの歴史と文化をめぐる亡命者の思索(1938-1947)』クリスティアン・リヴォレッティ編 〈叢書・ウニベルシタス〉『ミメーシス』執筆以前のアウエルバッハの仕事はこれまでほとんど知られていなかった。今回発見された劇的な歴史的瞬間が反映されている一連の論考は、とりわけ危機の時代において、なおも解決されていない問いの数々にたいする答えを提供してくれるだろう。歴史的・文化的な諸現象やダイナミズムを注意深く考察することが、アクチュアルな出来事を説明するのだ。本邦初訳。高田康成・竹峰義和訳 (法政大学出版局 予価3960円)[amazon] 6月27日刊 パーシヴァル・エヴェレット『ジェイムズ』 我が身を売られる運命を知り、生き延びるために逃げ出した黒人奴隷ジェイムズ。しかし少年ハックをともないミシシッピ川をくだる彼を待ち受けるのは、あまりに過酷な旅路だった。奴隷主たちを出し抜き、ペテン師を騙し返し、どこまでも逃げていくジェイムズの逃避行の果てに待つものとは──。黒人奴隷ジムの目から「ハックルベリー・フィン」を語り、痛烈な笑いと皮肉で全世界に衝撃を与えた怪物的話題作。全米図書賞&ピュリツァー賞受賞。木原善彦訳 (河出書房新社 予価2750円)[amazon] 6月27日刊 『怪異・妖怪の博物誌』小松和彦監修/伊藤龍平編 〈怪異・妖怪学コレクション6〉今世紀に入っても大きな進展を遂げている怪異・妖怪研究の近年の重要論考を精選。個別のキャラクターを探究する第6巻。 (河出書房新社 予価3520円)[amazon] 6月27日刊 クロード・シモン『綱渡り』 〈ルリユール叢書〉画家になることの断念から「新しい小説」を書く作家へとみずからを変貌させた小説家クロード・シモン――作家自身の自画像を描いた〈私小説〉を想起させる自伝的小説にして、文学の前衛運動をいち早く先取りしていた、世界文学最初の〈ヌーヴォー・ロマン〉作品。本邦初訳。芳川泰久訳 (幻戯書房 予価3190円)[amazon] 6月28日刊 レックス・スタウト『人盗り合戦』 〈論創海外ミステリ〉探偵ウルフと助手のアーチーは今日も事務所内で口喧嘩。女性嫌いのウルフに嫌がらせするため、アーチーは身元を伏せる謎めいた美女を「女人禁制」の西35丁目の家に受け入れた。しかし、その女性が殺害される非常事態に、ウルフとアーチーは否応なく殺人事件に巻きこまれていく。鬼頭玲子訳 (論創社 予価2750円)[amazon] 6月28日刊 M・R・ラインハート『イザベルの不在証明』 〈論創海外ミステリ〉第二次大戦下の緊迫した空気を孕みながら繰り広げられるスリルと謎とサスペンス。一世を風靡した人気作家M・R・ラインハートの傑作短編集。菱山美穂訳 (論創社 予価2860円)[amazon] 6月30日刊 夏来健次編訳『英国幽霊屋敷譚傑作集』 英国では奇妙なことに幽霊が居着いている物件ほど高く評価される傾向にある。殺人や凶事が起きた建物を巡るツアーも人気を博し、現在でも幽霊は英国人の「親しき隣人」として敬意を払われている。領主屋敷、廃城、農場屋敷など、様々な建物に現われる怪異を描いた13編を集成する本書には、ゴシック譚から推理小説風の逸品、ゴーストハントもの、変わり種としては灯台の幽霊話などバリエーション豊かな逸品を収める。本邦初訳作多数。コナン・ドイル、アンドリュー・ラング他。収録内容 (創元推理文庫 予価1320円)[amazon] 6月30日刊 ピーター・スワンソン『9人はなぜ殺される』 ある日、アメリカ各地の9人に、自分の名を含む9つの名前だけが記されたリストが郵送されてくる。差出人も意図も不明。まず、ホテルを経営する老人が溺死させられた。そして翌日、ランニング中の男性が背中を撃たれた。FBI捜査官ジェシカはリストの人々の特定にかかる。自分も、死んだふたりと同じリストを受け取っていたのだ。驚愕の展開の連続で読者を翻弄する極上のサスペンス。務台夏子訳 (創元推理文庫 予価1320円)[amazon] 6月30日刊 アーナルデュル・インドリダソン『黒い空』 レイキャヴィク警察の犯罪捜査官シグルデュル=オーリは、友人から厄介な相談を受ける。妻の姉夫婦がいかがわしい写真をネタに強請られているので、表沙汰にならないよう写真のデータを取りもどして欲しいというのだ。恐喝者の女性の家に行ってみると彼女は血を流して倒れており、彼自身も何者かに殴られて昏倒してしまう……。主人公エーレンデュルが行方不明のなか、同僚シグルデュル=オーリが捜査を進める。柳沢由実子訳 (東京創元社 予価2860円)[amazon] 6月30日刊 アガサ・クリスティー『そして誰もいなくなった 特装版』 孤島に招き寄せられた、職業や年齢も違う十人の男女。招待主の姿は島にはなく、やがて、彼らの過去の犯罪を暴き立てる謎の声が……。そして、彼らが一人ずつ殺されてゆく。ミステリの女王の最高傑作が、ファン垂涎の仕掛けのついた豪華な函入り本として登場。青木久惠訳 (早川書房 予価7150円)[amazon] 6月30日刊 ロバート・フロスト『少年の心 ロバート・フロスト詩集』 「以前と変わらぬままでいられるものなど、決して存在しない」若者の心の成長発展の過程を清冽にうたいあげたアメリカの国民的詩人の第一詩集を新訳。詳細な注解にくわえ、訳者による随想「エズラ・パウンドとロバート・フロスト~詩人たちの出会いと別れ」も収録。藤本雅樹訳 (小鳥遊書房 予価2860円)[amazon] 6月予定 『乱歩ラビリンス 池袋から人外境まで』立教大学江戸川乱歩大衆文化研究センター編 江戸川乱歩大衆文化研究センターの公式図録 (図書出版みぎわ 予価2640円)[amazon] ▼7月予定 7月1日刊 ニコール・ハナ=ジョーンズ編『1619年プロジェクト アメリカの黒人差別の歴史 上』 建国史を奴隷制と黒人の視点から捉え直し、最初の黒人奴隷が到着した「1619年が米国の真の始まり」と位置づけ大反響を呼んだ書。ピュリツァー賞受賞作を含む画期的な論集。森本奈理訳 (白水社 予価4180円)[amazon] 7月1日刊 多賀新『多賀新の世界 銅版画+鉛筆画』 江戸川乱歩文庫のカバー装画で一躍たくさんの人に認知されるようになった多賀新。半世紀に渡る画業の集大成と言える銅版画と鉛筆画の豪華画集。 (春陽堂書店 予価19,800円)[amazon] 7月2日刊 ラグナル・ヘルギ・オラフソン『父の四千冊 アイスランドのアーティストによる回想』 アイスランドのアーティストが、父親の大量の蔵書と向き合う日々を綴った、書物と喪失をめぐるメモワール。出版社を経営していた父親が他界して8年。著者は父の蔵書4千冊の整理という一大事業にようやく手をつけた。レイキャヴィークの古書店の店主とコーヒーを飲んで語りあい、人びとの電車の中での過ごし方を観察し、父親が蒐集していたアイスランドの神話や伝説にまつわる膨大な本を読む。大量の蔵書と向き合う日々は、やがて彼を思わぬところへと連れていく。書物の社会的な位置づけの変遷、過去と現在を結びつける役割などを自由に考察した、詩的で深みある一冊。小林玲子訳 (作品社 予価2860円)[amazon] 7月3日刊 J・B・ターナー『ノー・ウェイ・バック』 不正を憎む刑事マクニールの妻が遺体で発見された。妻はホワイトハウス担当記者だった。死因は自殺とされるが、かつて社交界で起きた不審死に似ていた。政治的陰謀を疑い、捜査をはじめたマクニールは自問をする。自分を駆り立てているのは、正義か、復讐か。山中朝晶訳 (ハヤカワ・ミステリ 予価2750円)[amazon] 7月3日刊 カミーラ・シャムジー『焦げついた影』 長崎への原爆投下でドイツ人の許婚を失った寛子は、戦後、彼の異母姉を頼って単身インドのデリーに渡る。インド・パキスタン分離独立、ソ連のアフガニスタン侵攻、2001年同時多発テロ――激動の現代史に翻弄された日本人女性の生の軌跡を描く圧巻の文芸大作。松本朗訳 (早川書房 予価3850円)[amazon] 7月4日刊 下平尾直『版元番外地 〈共和国〉樹立篇』 「書物で世界をロマン化せよ!」2014年春、ひとりの失業編集者が、こんな理想を掲げて出版の世界に火を熾した。社員なし、事務所なし、なのに社名だけはむやみに大きい超零細出版社は、この転形期に何を夢みたのか? その行き着く先は? ひとり出版社の先駆け〈共和国〉の代表、下平尾直が赤裸々に書き下ろした共和国の十年。 (コトニ社 予価3080円)[amazon] 7月8日刊 荒俣宏編訳『イギリス寒雪夜がたり集 荒俣宏幻想文学翻訳集成 欧米幻想ファンタジー精華2』 荒俣宏による半世紀にわたる幻想文学翻訳の集大成(全4巻)。第2巻は「霊的なふしぎ世界」と「現実のほころび」への関心を描く作品群を収録。ビュルガー「レノーレ」、ヴァーノン・リー「まぼろしの恋人」、アンナ・キングズフォード「夢日記」、ブラックウッド「帰還」他、全15篇。 (春陽堂書店 予価6050円)[amazon] 7月8日刊 マックス・フリッシュ『アテネに死す』 50代の技師フェイバーは船上で女学生エリザベスと出会い、運命の悪戯が二人を導いてゆく。作家の名を世界に知らしめた傑作長篇、待望のUブックス化。映画『ボイジャー』原作。中野孝次訳 (白水Uブックス 予価2640円)[amazon] 7月8日刊 キャメロン・ウォード『螺旋墜落』 午前0時、この機は墜落する。事故直前、1時間のタイムループに囚われたチャーリーは阻止のために機内を奔走する。緊迫のSFサスペンス。吉野弘人訳 (文春文庫 予価1210円)[amazon] 7月8日刊 松本清張『清張の牢獄 松本清張時代短編セレクション』 宮部みゆきが加わってさらにパワーアップした傑作選第2弾。史伝から捕物帳まで、当代随一の本読みが自信をもって薦める9編収録。宮部みゆき・有栖川有栖・北村薫編 (文春文庫 予価968円)[amazon] 7月8日刊 久生十蘭『久生十蘭ラメール戦記』 海軍報道班員として南方に派遣された体験に基づく、太平洋戦争に材をとった16の作品。「要務飛行」「海軍歩兵」「酒保」他、いずれ劣らぬジュラネスク色満載。初文庫化作品も多数収録。 (河出文庫 予価880円)[amazon] 7月8日刊 澁澤龍彦『深夜の祝祭 澁澤龍彥怪異小品集』 「女妖」「書妖」「地妖」をキーワードに幻想小説、随筆、評論を精選するオリジナル選集。文豪怪異小品集シリーズ第14弾。東雅夫編 (平凡社ライブラリー 予価2090円)[amazon] 7月9日刊 カール・シュミット『政治的なものの概念』 ドイツの政治思想家シュミットの代表的著作。政治の本質を「友と敵の区別」であると規定し、友と敵を定義したうえで、政治的なものの考察を深めて理論づけた。ナチス入党前後に改訂、刊行された「ナチス版」(1933年)も収録。中山元訳 (光文社古典新訳文庫 予価1166円)[amazon] 7月9日刊 ジャン=ジャック・ルソー『エミール 2』 「われわれは、いわば二度生まれる。まず、存在する者として生まれ、それから生きる者として生まれる。つまり、まず人間として生まれ、つぎに男あるいは女として生まれる」官能の情念、性の欲求に目覚める思春期を扱う。あらゆる情念のもとである自己愛と自尊心を区別し、あわれみの感情を育てること。そして社会のなかでどう生きるかを考えるうえで重要な宗教、道徳について語られる「サヴォワの助任司祭の信仰告白」を収録。斉藤悦則訳 (光文社古典新訳文庫 予価1650円)[amazon] 7月10日刊 アレステア・レナルズ『反転領域』 時は19世紀。医師サイラス・コードが乗船する小型帆船デメテル号は、ノルウェー沿岸のフィヨルドへ極地探検に向かっていた。目的地には、古代に建造されたとおぼしき謎の大建築物が存在するという。ついに現地に到達した探検隊は、先着したライバル船のたどった運命を知る。そのとき、予想もしなかった事態が出来する……つぎつぎと明らかになる真実は、読者を予測不能の展開へと誘う。ローカス賞、ドラゴン賞候補作。中原尚哉訳 (創元SF文庫 予価1650円)[amazon] 7月10日刊 冨原眞弓『トーヴェ・ヤンソン ムーミン谷の、その彼方へ』 ムーミン谷はなぜ生まれたのか。いったいかれらは誰なのか。その謎はトーヴェ・ヤンソンの生涯をたどると見えてくる。ヤンソン研究の第一人者による決定版評伝。 (筑摩書房 予価3300円)[amazon] 7月10日刊 チョ・ナムジュ『コマネチのために』 新体操の選手になることを夢みる10歳の少女と、成長し30代の日々を生きる私の物語。『82年生まれ、キム・ジヨン』著者の初期作品。黄山伐青年文学賞受賞。すんみ訳 (筑摩書房 予価1980円)[amazon] ![]() 7月14日刊 オラフ・ステープルドン『シリウス』 生理学実験により人工的に創造された高い知能を持つ超犬シリウスは、天才科学者トレローンの末娘プラクシーと共に育てられる。人間と同等の知性を獲得し、プラクシーとは強い愛情で結びつくが、噴出する野性が時に彼を悩ませた。やがて時局の悪化とともに、人々の異質な存在への敵意がシリウスに向けられていく。孤高の精神を宿した超犬の成長の軌跡と、それゆえの苦悩と葛藤を描いた感動の名作SF。 (ちくま文庫 予価1430円)[amazon] 7月14日刊 渡辺一夫『敗戦日記』 日本が敗戦へと向かうなか、フランス語で綴られていた日記。そこには国家への絶望と希望の間で揺れ動く知識人の生々しい姿があった。串田孫一・二宮敬編 (ちくま学芸文庫 予価1540円)[amazon] 7月14日刊 ロサ・リクソム『コンパートメントNo.6』 ソ連崩壊直前の春。フィンランド人留学生の寡黙な少女がモスクワからウランバートルまで、シベリア鉄道で旅をする。同室には建設現場へ出稼ぎにいく中年男性。共通点がない二人は寝食をともにし、互いの過去を打ち明け、衝突もしながら、さまざまな文化圏が混在する大陸を移動する。社会主義的なディテールや車窓風景を映像的な文体で描き切ったロード・ノヴェル。フィンランディア文学賞受賞。末延弘子訳 (みすず書房 予価3960円)[amazon] 7月16日刊 ナディーファ・モハメッド『運命の男たち』 1952年、英国カーディフ。殺人事件の容疑をかけられたのは、港町で暮らす若きソマリア人船乗りだった。証拠ではなく偏見が彼を追い詰めてゆく。実際の冤罪事件に基づき、多文化社会の光と影、司法の不条理、そしてひとりの男の誇りを描ききるブッカー賞候補作。粟飯原文子訳 (早川書房 予価2970円)[amazon] 7月16日刊 兒 余『九龍城砦1 囲城』 1980年代、香港。武侠の道でその名を知られる青年・陳洛軍(チャン・ロッグワン)は、裏社会を牛耳る大老闆(ボス)に騙されて、追われる身となってしまう。洛軍は、大老闆の手が唯一及ばない場所である魔窟・九龍城砦に足を踏み入れるのだが……!? 映画原作、《九龍城砦》シリーズ開幕篇。よしだかおり/光吉さくら/ワン・チャイ 訳 (早川書房 予価2200円)[amazon] 7月16日刊 マーク・グリーニー『アーマード2 極限死境 上・下』 家族とともにガーナに派遣された米国国務省のジョシュ。だが、中国の策略により家族に危険が迫る。彼が守るべきは家族か、使命か。伏見威蕃訳 (ハヤカワ文庫NV 予価各1320円)[amazon上・下] 7月16日刊 ジョン・スコルジー『怪獣保護協会』 失業して連れていかれたのは、巨大怪獣が暮らす並行世界の地球!? 怪獣を調査・保護する秘密組織に加わったジェイミーに迫る危機。内田昌之訳 (ハヤカワ文庫SF 予価1650円)[amazon] ![]() 7月16日刊 E・P・トムスン『ウィリアム・モリス ロマン派から革命家へ』 ロマン派の反抗者モリスが、リアリスト、思想家、革命家となっていく過程を精緻かつ情熱的に描きだし、モリス像の大転換を促した、研究史上の画期となった名著(1955/改訂1976)の完訳。川端康雄監訳/田中裕介・星野真志・山田雄三・横山千晶訳 (月曜社 予価7480円)[amazon] ![]() 7月17日刊 マリオ・バルガス=リョサ『世界終末戦争 上』 19世紀末、ブラジル北東部の最貧地帯に現れたキリストの再来をおもわせるコンセリェイロ(「教えを説く人」)およびその使徒たちと、彼らを殲滅しようとする中央政府軍の死闘を描く、円熟の巨篇。ブラジルで実際に起きた「カヌードスの反乱」をモチーフにした、バルガス=リョサ畢生の超大作。全二冊。旦敬介訳 (岩波文庫 1507円)[amazon] ![]() 7月17日刊 イワン・ブーニン『ミーチャの恋・日射病 他十篇』 「文字通り貫かれたのだ。この恐るべき日射病に、甚だしい愛に、甚だしい幸福に!」――亡命ロシア人作家イワン・ブーニンは人間を捕らえる愛の諸相を精緻な文体で描いた。見知らぬ女性との一夜の記憶が鮮やかさを増す「日射病」、初恋の歓喜が嫉妬の情に蝕まれていく「ミーチャの恋」など、珠玉の中短篇集。高橋知之訳 (岩波文庫 1155円)[amazon] ![]() 7月18日刊 ヒラリー・ウォー『マダムはディナーに出られません』 〈論創海外ミステリ〉私立探偵のシェルダン・ウェズリーは富豪の女性からディナー・パーティの招待を受けた。妻のダイアナと連れ立って会場入りするが、殺人事件の発生によって晩餐の席は疑惑の場と化してしまう。駆けつけた地元警察のスローカム署長とウェズリー探偵は捜査に乗り出すが……。熊木信太郎訳 (論創社 予価2640円)[amazon] 7月22日刊 スティーヴン・ミルハウザー『ナイフ投げ師』 天才的な腕前を誇るナイフ投げ師が、私たちの町にやってきた。彼の名はヘンシュ。それまでいかなるナイフ投げ師も越えなかった一線を越えたことで、その名声を築き上げたのだ。公演の夜、噂に聞いたヘンシュの投げ技は、徐々に趣向をエスカレートさせ……。夜の少女、自動人形、空飛ぶ絨毯――ミルハウザーの世界を闊歩するひとびとは、精密な文章によって現実から飛翔する。О・ヘンリー賞受賞作ほか、濃密にして研ぎ澄まされた12篇。柴田元幸訳 (創元文芸文庫 予価1320円)[amazon] 7月22日刊 L・M・ビジョルド『魔術師ペンリックと暗殺者』 愛する妻と娘と共に平和に暮らしていたペンリック。だが、そんなささやかな平和も、妻の兄アリセディア将軍に暗殺者が差し向けられたことで、もろくも崩れ去った。“魔”を使っての暗殺を阻止したペンリックだったが、セドニアの政争に否応なく巻き込まれる……。長編「ササロンの暗殺者」に、死体安置所に収容された死体が動き出した事件にペンリックが駆り出される短編「影の結び目」を併録。シリーズ第4弾。鍛治靖子訳 (創元推理文庫 予価1870円)[amazon] 7月23日刊 フョードル・ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟 3』 カラマーゾフ家の人々の間にさまざまな思惑が入り乱れる中、ついに父フョードルが殺害される。はたして犯人は……。江川卓訳 (中公文庫 予価1320円)[amazon] 7月23日刊 久生十蘭『平賀源内捕物帳』 源内先生、べらぼうな事件の謎に挑む。江戸を震撼させる連続殺人、不可能犯罪のトリック、田沼意次爆殺の謀議……。平賀源内の推理が冴えわたる。【収録作品】萩寺の月/牡丹亭還魂記/稲妻草紙/山王祭の大象/長崎ものがたり/尼寺の風見鶏/蔵宿の姉妹/爆弾侍 (中公文庫 予価1100円)[amazon] 7月23日刊 三津田信三編『怪異十三』 「一編でも読者が心から怖がってくれれば、編者冥利に尽きる」怪異の名手三津田信三が選んだ、国内外のホラー名作13篇。加えて編者の書き下ろし作品「霧屍疸村の悪魔」を収録した珠玉のホラーアンソロジー。南部修太郎、岡本綺堂、田中貢太郎、橘外男、丘美丈二郎、宇江敏勝、菊地秀行、R・L・スティーヴンスン、M・R・ジェイムズ、ロイ・ヴィカーズ、マイクル・アレン、W・F・ハーヴィー、イーディス・ウォートン (中公文庫 予価1265円)[amazon] 7月25日刊 アーネスト・トムソン・シートン『シートン動物記 傑作選』 リアルで力強く、驚くべき知性と社会性を持った動物たちの世界――今こそ「本当のシートン動物記」に出会う、大人のための新訳。越前敏弥訳 (角川文庫 予価1100円)[amazon] 7月25日刊 井上秀樹『日活向島撮影所』 日本映画の創成期、関東大震災によって瓦解し、わずか10年で使命を終えた幻の撮影所の姿を、数少ない資料と証言から再現した力作。 (白水社 予価2970円)[amazon] 7月25日刊 マイケル・ロブ『英国ブックセラーの歴史 出版・書店・販売』 500年以上にわたる英国の書籍販売と出版の歴史を、業界の内側から描く。Amazon登場、デジタル時代、独立系書店の隆盛まで、自身の体験を交えながら本の未来を探る。書店・出版に関わるすべての人、本を愛するすべての人へ。大槻敦子訳 (原書房 予価4620円)[amazon] 7月25日刊 マシュー・リチャードソン『THE SCARLET PAPERS』(原題) 熊田優訳 (ハーパーBOOKS 予価1551円)[amazon] 7月28日刊 アルトゥール・ショーペンハウアー『孤独と人生 幸福について』 生を苦ととらえ、苦からの解脱を説くショーペンハウアー。東洋思想に通底するそのペシミズムより湧出した、幸福論。金森誠也訳 (白水Uブックス/思想の地平線 予価1980円)[amazon] ![]() 7月28日刊 ピエール・ジャン・ジューヴ『カトリーヌ・クラシャの冒険』 〈ルリユール叢書〉ボードレール、ネルヴァル、ヘルダーリンに列せられる詩人・小説家ピエール・ジャン・ジューヴ――映画女優カトリーヌをめぐる三角関係と破局を描く『ヘカテー』。小説の結構が瓦解し、主人公の夢と現が混淆する『ヴァガドゥ』。めくるめく二つの物語がオペラのように紡がれる詩的長編小説。小川美登里・飯塚陽子訳 (幻戯書房 予価4950円)[amazon] ![]() 7月28日刊 ガブリエル・マルセル『渇き』 〈ルリユール叢書〉日常生活における真の「愛」の実相が家庭劇の対話を通じて追求され、登場人物各自の自発的な自己反省から人間存在そのものの内なる飢え、〈渇き〉という存在論的問題が浮き彫りにされる――「形而上的体験」が具現化された、哲学者ガブリエル・マルセル中期の代表的戯曲。本邦初訳。古川正樹訳 (幻戯書房 予価30190円)[amazon] 7月28日刊 平井敏晴『中華と綺想 東アジアのマニエリスム精神史』 広義のマニエリスムをベースに、「過剰・多義的・異種混合(アルス・コンビナトリア)」が、東アジアの芸術・文化・建築様式にひとつの精神史として通底していることを読み解いていく。 (工作舎 予価3300円)[amazon] ![]() 7月29日刊 ジョゼ・サラマーゴ『修道院覚書 バルタザールとブリムンダ』 左手を失った帰還兵バルタザールと不思議な力を持つブリムンダの愛の物語。ノーベル賞作家サラマーゴの最高傑作、新訳決定版。木下眞穂訳 (河出書房新社 予価4950円)[amazon] ![]() 7月29日刊 ジェイムズ・リー・バーク『磔の地』 吉野弘人訳 (新潮文庫 予価1210円)[amazon] ![]() 7月29日刊 マシュー・ブレイク『眠れるアナ・O』 池田真紀子訳 (新潮文庫 予価1265円)[amazon] 7月29日刊 『文芸のなかの怪異・妖怪』小松和彦監修/伊藤慎吾編 〈怪異・妖怪学コレクション4〉怪異・妖怪研究は今世紀に入っても大きな進展を遂げている。2000年以降発表のものを中心に、今後の研究に不可欠な重要論考を精選。文学・美術の観点を取り上げる第4巻。 (河出書房新社 予価3520円)[amazon] ![]() 7月29日刊 アントニオ・マチャード『フアン・デ・マイレーナ』 〈叢書・ウニベルシタス〉スペイン近代文学を代表する詩人で、ウナムーノらとともに〈98年世代〉の一人とされるマチャード。故国スペインを深く思い、同時代の国民の啓蒙に奮闘する詩人は、その分身たる修辞学・詩学教師フアン・デ・マイレーナによるアフォリズム的な偽作手記の形で独自の表現を得た。1936年刊の理論的代表作と、『全詩集』中の関連部分を初めて日本語訳。杉山武訳 (法政大学出版局 予価4400円)[amazon] 7月30日刊 マッテオ・B・ビアンキ『遺された者たちへ』 〈新潮クレスト・ブックス〉最愛の彼を自死で失った僕が、四半世紀を経て書き上げた悲嘆と再生の記録。1998年のある日、作家のビアンキは7年間同棲して別れた直後のパートナーが自宅で死んでいるのを発見した。やり場のない自責の念や罪悪感、怒りと哀惜、埋めようのない寂しさ……。同様の経験をした人々に向けて、どのように死を受け入れ、他人と新しい関係を築いていけるようになったのかを包み隠さず綴った貴重な体験録。関口英子訳 (新潮社 予価2420円)[amazon] 7月30日刊 ホリー・ジャクソン『夜明けまでに誰かが』 高校生のレッドは友人3人、お目付役の大学生2人とキャンピングカーで旅行に出かけたが、人里離れた場所で突然何者かに狙撃され、車に閉じ込められてしまう。午前零時、狙撃者はレッドたちにある要求を突きつける。6人のうちのひとりが秘密をかかえている。命が惜しければそれを明かせ。制限時間は夜明けまで。レッドたちは必死で助けを求めつつ、互いの秘密を探り合うが……。アメリカで初版50万部の傑作サスペンス。服部京子訳 (創元推理文庫 予価1540円)[amazon] 7月30日刊 ブレイク・マーラ『ロンドン、ドッグパーク探偵団』 愛犬を連れて公園を散歩していたルイーズと友人は、人間の死体を見つけてしまう。その場で警察に通報して事態は彼女たちの手を離れた……はずだった。ところが死んでいた男性が、かつての犬の散歩仲間だと判明。ルイーズはドッグパークの友人たちを巻きこんで事件を探りはじめる。イーストロンドンを舞台に、愛すべき犬たちとその飼い主が大活躍のシリーズ開幕。高橋恭美子訳 (創元推理文庫 予価1570円)[amazon] 7月30日刊 エドワード・ブライアント『シナバー 辰砂都市』 朱き砂漠の果てに忽然とあらわれる遠未来都市〈シナバー〉。市民たちは機械知性の管理のもと、永遠の命を享受していた。奔放で美しい〈ネットワーク〉のスター、トルマリン・ヘイズ。奇抜な発明で都市を騒がせる、何でも屋の科学者ティムナス・オブレゴン。幼子の乳母となるため、母性と知性を強化された巨大猫ジェイド・ブルー。珍奇な愉しみに満ちた彼らの日々はしかし、メランコリアと頽廃の影に侵されつつあった――ネビュラ賞作家ブライアントが、バラードの名作〈ヴァーミリオン・サンズ〉へ捧げたSF連作。市田泉訳 (創元SF文庫 予価1320円)[amazon] ![]() 7月31日刊 リチャード・フラナガン『第七問』 終末的未来を描いた小説家、原爆開発の端緒を開いた物理学者、〈死の鉄路〉から生還した父と家族、流刑地だった国と人々の歴史を描く。ベイリー・ギフォード賞受賞のメモワール。渡辺佐智江訳 (白水社 予価3300円)[amazon] 7月31日刊 ニコール・ハナ=ジョーンズ編『1619年プロジェクト アメリカの黒人差別の歴史 下』 建国史を奴隷制と黒人の視点から捉え直し、最初の黒人奴隷が到着した「1619年が米国の真の始まり」と位置づけ大反響を呼んだ書。ピュリツァー賞受賞作を含む画期的な論集。森本奈理訳 (白水社 予価4180円)[amazon] 7月31日刊 ネオクリス・ガラノプロス『ヨルゴス・ダノシスの新たなバージョン』(仮) 現代ギリシャを代表する本格ミステリ作家のデビュー作。橘孝司訳 (竹書房文庫 予価1540円)[amazon] 7月予定 アルノ・シュミット『レヴィアータン』 〈アルノ・シュミット・コレクション〉幻の地を求めて灼熱の砂漠を突き進む男、半世紀ものあいだ脱獄を企む老探検家、馬鹿げた戦争から逃れようとする兵士、遭難した島で何者かに怯える若者……書き綴ることに囚われた人たちの生き様を描いた短編集。時代に先駆けた実験精神で既存の文学史を徹底的に再編し、戦後ドイツ文学の源流ともなった鬼才の、いまだ知られざる作品群を紹介する第2弾。窪俊一訳 (水声社 予価2200円) ▼8月以降予定 8月4日刊 セルゲイ・トレチヤコフ『子どもがほしい!』 「子どもがほしいけど、夫はほしくない」1920年代のソ連社会を舞台に展開される恋愛、結婚、家族をめぐる討論劇。メイエルホリドやブレヒトを魅了した演劇史上の問題作。伊藤愉訳 (白水Uブックス 予価2090円)[amazon] 8月4日刊 黄錦樹『南洋人民共和国備忘録』 〈サイノフォン〉マラヤ共産党をめぐる24篇。個人の記憶の奥深くに隠されたマレーシア華人の集団の記憶とトラウマを圧倒的な想像力で描き出す。日本オリジナル編集によるマレーシア華人作家の最新代表作。王徳威編 (白水社 予価4180円)[amazon] 8月5日刊 角悠介『呪文の言語学 ルーマニアの魔女に耳をすませて』 古い魔女文化がいまも残る東欧ルーマニアの〈魔女〉〈魔術〉〈呪文〉を、高校卒業後にルーマニアに渡った著者の実体験を交えて紹介し、言語学の視点から“呪文の正体”に迫る。ルーマニア在住歴20年の言語学者の語学体験記にして、呪文という聖域を言語学的に分析する試み。 (作品社 予価2420円)[amazon] 8月5日刊 ダグラス・ウォーク『マーベル・コミックのすべて』 映画化作品が世界の興行成績記録を何度も塗り替え、エンターテイメントの世界の頂点に君臨するマーベル作品。各時代のアメリカを映すその膨大な作品群は、現代文化の巨大な山としてそびえ立っている。 マーベル・コミック2万7000冊、50万ページを読破した著者による、広大な作品世界の完全ガイド。上杉隼人訳 (作品社 予価5940円)[amazon] 8月6日刊 アンジェライン・ブーリー『真実に捧げる祈り』 オジブワ族の父をもつ18歳のドナスは、自らのルーツと進路に悩んでいた。ある日、薬物絡みの殺人事件を目撃する。その薬物は、伝統医療を悪用して作られたものだった。潜入捜査官に協力を求められたドナスは、事件の闇と、揺れる自分自身に向き合っていく。吉田育未訳 (ハヤカワ・ミステリ 予価3190円)[amazonn] 8月6日刊 リチャード・オスマン『木曜殺人クラブ』 高齢者施設内の開発を巡って住民は反発していた。ある日、経営者が殺害され、推理好きの住民が集う「木曜殺人クラブ」が動き出す。羽田詩津子訳 (ハヤカワ・ミステリ文庫 予価1540円)[amazon] 8月6日刊 ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー 新版』 広大無辺の電脳空間(サイバースペース)とネオンきらめく退廃都市とが交錯する近未来。元・凄腕ハッカーのケイスは能力再生のため、巨大財閥(ザイバツ)の陰謀に挑む。黒丸尚訳 (ハヤカワ文庫SF 予価1540円)[amazon] 8月6日刊 エミリー・ティッシュ『宙の復讐者』 人類最後の生き残り〈ガイア・ステーション〉の子として、キアは日々厳しい戦闘訓練を続けてきた。胸に抱くのは、地球を滅亡させた異星人とその時空を操る装置への復讐のみ。だが、ガイア司令部の嘘を知って、彼女は旅立った……地球が滅亡しなかった世界に! 金子浩訳 (早川書房 予価4180円)[amazon] 8月6日刊 二コラ・マチュー『最果ての子供たち』 1992年、東フランスの錆びれた町。外の世界を求める14歳のアントニーは、盗んだカヌーでたどり着いたビーチで少女と出会う。その出会いは彼の世界を一変させた......かつて製鉄で栄えた「限界都市」に生まれた少年の八年間の青春を描く、ゴンクール賞受賞作。山木裕子訳 (早川書房 予価3960円)[amazon] 8月6日刊 マリオ・バルガス=リョサ『激動の時代』 1954年、グアテマラ。CIA=米国の支援を受けた軍事クーデターによりアルベンス政権が崩壊、カルロス・カスティーリョ・アルマスを大統領とした独裁政権が樹立される。その背後では「グアテマラが共産主義国になってソ連の海岸堡になる」という噓が真実として流布されていた。冷戦下のグアテマラを舞台に、権謀術数渦巻き虚実入り交じる国際政治の闇を描いた、激動の長篇小説。久野量一訳 (作品社 予価3960円)[amazon] ![]() 8月6日刊 ミシェル・ウエルベック『H・P・ラヴクラフト 世界と人生に抗って』 《世界一センセーショナルな作家》が、「クトゥルフ神話」の創造者ラヴクラフトの生涯と作品を熱烈な偏愛で語る、衝撃のデビュー作。スティーヴン・キング序文。星埜守之訳 (河出文庫 予価1100円)[amazon] ![]() 8月6日刊 桑原茂夫『不思議の国のアリス 完全読本』 『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』を、わかりやすく楽しい解説と美しい挿絵で完全ガイド。アリス入門の決定版。新装版。 (河出文庫 予価990円)[amazon] ![]() 8月14日刊 トリスタン・ガルシア『7』 麻薬の売人、ロックスター、元モデル、革命家、宇宙人を待つ兄弟、分断世界の監視人、そして……。7つの世界が交差する圧巻の大作。高橋啓訳 (河出書房新社 予価5280円)[amazon] ![]() 8月20日刊 曲亭馬琴『 『保元物語』に登場する強弓の武将、 (光文社古典新訳文庫)[amazon1・2] 8月20日刊 フリーダ・マクファデン『ハウスメイド』 ミリーが手にしたハウスメイドの仕事。だが、この家は何かがおかしい。妻の奇妙な言動。牢屋のような部屋。恐怖と驚きの結末とは。高橋知子訳 (ハヤカワ・ミステリ文庫 予価1408円)[amazon] 8月20日刊 ジョン・ル・カレ『ミッション・ソング』 アイルランド人宣教師とコンゴ人女性の間に生まれたサルヴォは英国情報部の依頼で秘密会議の通訳をするが、背後には巨大な陰謀が。加賀山卓朗訳 (ハヤカワ文庫NV 予価1540円)[amazon] 8月20日刊 シオドラ・ゴス『メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち 上・下』 令嬢メアリは探偵ホームズと、マッド・サイエンティストに造られた「モンスター娘」たちとともに連続殺人事件を追うことになり!? 鈴木潤・原島文世訳 (ハヤカワ文庫FT 予価各1386円)[amazon上・下] 8月20日刊 サリー・ルーニー『インテルメッツォ』 饒舌な弁護士だが私生活では空回りが多い兄と、社交が苦手な頭脳派チェスプレイヤーの弟。二人は父の死をきっかけに、互いの不器用さと向き合うことに。喪失の中で愛情を求め、複雑な恋愛関係や社会との距離に揺れ動く兄弟を描き切る、サリー・ルーニー最新作。北田絵里子訳 (早川書房 予価3630円)[amazon] 8月20日刊 フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか? Deluxe Edition』 第三次大戦後、汚染された地球では動物の所有が地位の象徴となっていた。人工の電気羊しか飼えないリックは、〈奴隷〉アンドロイドの首にかけられた賞金を狙い、決死の狩りを始める――。『ブレードランナー』原作の伝説的SFが豪華特典付属の函入本で登場。浅倉久志訳 (早川書房 予価7700円)[amazon] 8月20日刊 光瀬龍・小松左京・神林長平『SFマガジン連載版 果しなき流れの果に/百億の昼と千億の夜/戦闘妖精・雪風』 SFマガジン連載から半世紀の歳月を経てもなお、日本SFのオールタイム・ベストとしてランクインし続ける不朽の名作3長篇。その原点たる連載時の誌面を完全復刻、詳細な解説やコラムを付して合本のうえ、豪華装幀を施して贈るファン必携の一冊。 (早川書房 予価6600円)[amazon] ![]() 8月27日刊 チャーリー・カウフマン『アントカインド』 制作期間90年・上映時間90日の「究極の映画」の謎をめぐり、記憶の深淵へ……。奇想天外で危険な〈読むカルト映画〉。『マルコヴィッチの穴』『エターナル・サンシャイン』のアカデミー賞天才作家カウフマンの初小説が、ついに日本上陸。木原善彦訳 (河出書房新社 予価15,400円)[amazon] ![]() 8月27日刊 ウラジーミル・ソローキン『ドクトル・ガーリン』 G8首脳のクローンと医師ガーリンは、核攻撃を避けるため北へ向かう。『青い脂』の衝撃が近未来の異世界に響きわたる集大成的傑作。松下隆志訳 (河出書房新社 予価5280円)[amazon] ![]() 8月27日刊 エトガル・ケレット『自動修正』(仮) 繰り返される父との最期、パラレルワールドの恋人、贈り物の小惑星……。世界40か国以上で翻訳される人気作家の最新短篇集。広岡杏子訳 (河出書房新社 予価2970円)[amazon] 8月27日刊 トーリ・ピーターズ『ディトランジション、ベイビー』 性のあり方に悩み、傷つけ合いながら、新しい家族の形を模索し生きる三人のマイノリティの物語。NYT「21世紀のベスト100冊」。吉田育未訳 (河出書房新社 予価3278円)[amazon] ![]() 8月27日刊 『娯楽としての怪異・妖怪』小松和彦監修/香川雅信編 〈怪異・妖怪学コレクション5〉今世紀に入っても大きな進展を遂げている怪異・妖怪研究の近年の重要論考を精選。大衆文化・フィクションとしての面を扱う第5巻。 (河出書房新社 3520円)[amazon] 9月3日刊 ウラジミール・アレクサンドロフ『ロシアの鎖を断ち切るために ボリス・サヴィンコフと皇帝およびボリシェヴィキに対する彼の闘い』 竹田円訳/沼野充義 解説 (作品社 予価8580円)[amazon] ▼予定表に出たり消えたり(そのうち何とかなるだろう) グレース・D・リー『十二支像を奪還せよ』 中国系アメリカ人のウィルは、美術史を専攻する大学生。ある日、中国人の資産家から驚愕の依頼を受けた。かつて英仏軍に盗まれた清朝の5つの美術品を奪還するというものだ。ウィルは、友人のハッカーや解錠師、詐欺師とともに、世界中の美術館に向かうが……。 田村義進訳 (ハヤカワ・ミステリ 予価2420円)[amazon] Amazonのアソシエイトとして、藤原編集室は適格販売により収入を得ています。 |