注目の近刊

12月17日刊
吉永進一『霊的近代の興隆 霊術・民間精神療法
〈吉永進一セレクション1〉
日本の精神療法の流行は、グローバル化の一端であった。欧米の思想界に渦巻く〈精妙な流体〉が太平洋を渡って日本に流れ込み、呪術の近代化が始まる。宗教学の〈余白〉を彩る、斯界のニッチ産業。栗田英彦編
(国書刊行会 予価3960円)[amazon]

12月17日刊
吉永進一『洗脳・陰謀論・UFOカルト』
〈吉永進一セレクション2〉
近現代日本のオカルト思想の概略を実体験も交えてたどる論文とインタビュー、そして洗脳、虚偽記憶、陰謀論、UFOカルトに関する論文を収める。「宗教雑学王」による、「類似宗教」研究の集大成。横山茂雄編
(国書刊行会 予価3960円)[amazon]

12月17日刊
コンスタンディノス・カヴァフィス『カヴァフィス詩集』
アレクサンドリアの孤高のギリシャ語詩人、コンスタンティノス・カヴァフィス。歴史を題材にしたアイロニーの色調、同性愛者としての官能と哀愁。訳者が丹精を込めて日本語にしてきた全154詩を収録。池澤夏樹訳
(岩波文庫 1364円)[amazon]

12月17日刊
アレクサンドル・ゲルツェン『過去と思索 5』
1851年12月2日、大統領ルイ・ナポレオンがクーデタを起こし、翌年には皇帝につく。家族の悲劇に相次いで見舞われたゲルツェンは失意のままロンドンへ。「48年」が日々遠のいて行く中で、革命の夢をなおも追い求める亡命者たち。支援を続けながらも、彼らを見つめるゲルツェンの目は冷え冷えとしている。(全7冊) 金子幸彦・長縄光男訳
(岩波文庫 1573円)[amazon]

12月18日刊
アントニイ・バークリー『地下室の殺人』
新居に越してきた新婚夫妻が地下室の床下から掘り出したのは、若い女性の腐乱死体だった。被害者の身元さえつかめぬ事件に、スコットランド・ヤードは全力をあげて捜査を開始する……モーズビー首席警部による「被害者探し」と、名探偵ロジャー・シェリンガムの原稿がもたらす新たな展開。探偵小説の可能性を追求しつづけるバークリーが、作中作を用いてプロット上の実験を試みた、『最上階の殺人』と双璧をなす円熟期の傑作。佐藤弓生訳
(創元推理文庫 1100円)[amazon]

12月18日刊
S・J・ローザン『ファミリー・ビジネス』
チャイナタウンのギャング団のボスは所有する古い建物を堅気の姪に遺していた。そこは再開発計画でタワーマンション建設予定の場所で、この遺贈が騒動の火種になることは必至だ。私立探偵のリディアは相棒ビルと、事態の落着まで姪の護衛を務めることになるが、ボスの葬儀が終わった矢先、幹部のひとりが殺されてしまう。現代ハードボイルド〈リディア&ビル〉シリーズ。直良和美訳
(創元推理文庫 予価1430円)[amazon]

12月18日刊
ジェイムズ・H・シュミッツ『惑星カレスの魔女 新版
商業宇宙船のパウサート船長は、他人のもめごとに首を突っ込み、つい幼い奴隷三姉妹を助けてしまったのが運のつき。よりによって惑星カレスから来た魔女だったとは! 禁断の星と接触したせいで恋人も故郷も失い……行き場をなくした船長が、ちび魔女三姉妹とともに巻き起こす、銀河系規模の大騒動。ユーモア・スペースオペラの決定版。ヒューゴー賞候補作。鎌田三平訳
(創元SF文庫 予価1100円)[amazon]

12月18日刊
フランシス・ハーディング『ささやきの島』
マイロの父は死者の魂を船に乗せて送り届ける渡し守をしていた。島の住人は死者が出るとその靴を渡し守のところにもっていく。そうしないと死者が島中をさまよい歩いてしまうのだ。ある日領主の娘が亡くなった。領主は渡し守から娘の靴を取りもどし、魔術師の闇の業で娘を蘇らせようとする。マイロの父は殺され、死者の魂を送り届けられるのは怖がりのマイロだけ。マイロは船を出すが……。『嘘の木』著者による傑作YAファンタジイ。児玉敦子訳
(東京創元社 予価2420円)[amazon]

12月18日刊
マーク・グリーニー『暗殺者の矜持 上・下
世界で続発する人工知能研究者の暗殺事件。そんななか、中米で逃亡生活を送るジェントリーとゾーヤはAI無人兵器の襲撃を受ける。伏見威蕃訳
(ハヤカワ文庫NV 予価各1276円)[amazon]

12月18日刊
ジョー・ネスボ『失墜の王国』

主人公ロイの住む山間の村。彼の弟カールは、新妻シャノンとともに村をリゾート地へする計画を携えて帰ってきた。リゾート化計画は、村を豊かにするためだとカールは言う。だがロイは、弟の本心は村を支配することにあると察していた。そこに殺人事件が起こり……。鈴木恵訳
(早川書房 予価3740円)[amazon]

12月18日刊
劉慈欣『時間移民 劉慈欣短篇集2
巨大冷蔵庫で八千万人を未来へ送る計画を描く「時間移民」、『三体』でも活躍した天才理論物理学者、丁儀を襲った衝撃を描く「朝聞道」など全13篇を収録。世界的ベストセラー作家、劉慈欣の卓越した想像力が味わえる『円』に続く日本オリジナル短篇集第二弾。 大森望・光吉さくら・ワン チャイ訳
(早川書房 予価2420円)[amazon]

12月18日刊
法月綸太郎・新保博久『死体置場で待ち合わせ 新保博久・法月綸太郎 往復書簡
「モルグ街の殺人」の定説の疑問、クリスティー失踪の真相、 芥川龍之介「藪の中」の推理、坂口安吾『復員殺人事件』解決編への挑戦、さらには多重推理、特殊設定など“ミステリの現在”を読み解く。いつまでも終わらない大好きなミステリの話。坂口安吾の幻の短篇「盗まれた一萬円」を書籍初収録。
(光文社 予価3520円)[amazon]

12月18日刊
橋本麻里/山本貴光『図書館を建てる、図書館で暮らす 本のための家づくり
図書館に住みたい。そんな思いを建築家に託し、2019年末に建ちあがったのは、5万冊の本を収める家〈森の図書館〉。2人の施主が、普請のプロセスや、そこで過ごした5年間をつづり、デジタル全盛のいま、あえて大量の紙の本に囲まれ、生きてゆく意味をさぐる。書架の写真はもちろん、建築家の寄稿や図面類も多数収録。
(新潮社 予価3630円)[amazon]

12月18日刊
ポール・サン・ブリス『モナ・リザのニスを剥ぐ』
ルーヴルの至宝を500年前の素顔に戻せ! 古きを愛する学芸員オレリアンは、実利優先のヤリ手新館長ダフネに無茶ぶりされた修復プロジェクトの旅に出る。国家をも巻き込む大騒動の末、姿を現したモナ・リザの本来の顔とは? 視覚情報に溢れたSNS時代に、美とは何か、本物とは何かを問いかける絶品アート小説。吉田洋之訳
(新潮社 予価2640円)[amazon]

12月20日刊
『アメリカン・マスターピース 戦後篇』
〈柴田元幸翻訳叢書〉時はまさに「短篇小説の黄金時代」。 重要作家が次々と登場する、1950年代前後の傑作10篇を収録。 “名作中の名作”でアメリカ文学史をたどる、シリーズ第3弾。S・ジャクスン「くじ」/サリンジャー「バナナフィッシュ日和」/ナボコフ「記号と象徴」/ポール・ボウルズ「あんたはあたしじゃない」/フラナリー・オコナー「善人はなかなかいない」/P・K・ディック「プリザビング・マシン」/ティリー・オルセン「あたしはここに立ってアイロンをかけていて」/ボールドウィン「サニーのブルース」/ジャック・フィニイ「愛の手紙」/マラマッド「白痴が先」
(スイッチパブリッシング 予価2970円)[amazon]

12月20日刊

ラヌルフ・ファインズ『極地探検家 シャクルトンの生涯』
南極遠征に3度挑戦した探検家シャクルトン。生い立ちから3度目の遠征に向かう航海の途上で急逝までの行動と社会的背景、家族、恋愛と結婚、人間関係、夫婦関係、成功と失敗、弱点と強さ、活躍と挫折など、知られざるシャクルトン像を描き出す。小林政子訳
(国書刊行会 予価4180円)[amazon]

12月20日刊
小野俊太郎『P・K・ディックの迷宮世界 世界を修理した作家
悪夢のような迷宮を味わい、悲惨な展開を読んだ後で感じる「温もり」はどこから生じるのか。初期の中短編、『宇宙の眼』『高い城の男』『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』『流れよわが涙、と警官は言った』、そして『ヴァリス』を中心に、全作品にわたって通底する「ディック常数」の魅力に迫る。目次
(小鳥遊書房 予価2750円)[amazon]

12月20日刊
ロバート・ハンプソン『評伝ジョウゼフ・コンラッド 女性・アメリカ・フランス
没後百年、支配的な価値基準のもとで繰り返されてきた「船乗り」「海洋小説の作家」というコンラッド像が覆される時機が来た──。過小評価されてきた〈女性が主人公の後期作品群〉〈フランスが舞台の晩年の歴史小説群〉〈コンラッドの商業的成功に寄与した北米市場〉に光をあてると、孤高の前衛文学の旗手とされきた作家の別の顔が見えてくる。山本薫訳
(松柏社 予価3300円)[amazon]

12月20日発売
《怪と幽》vol.018
〈特集 幽玄鉄道〉 鉄道好き作家・有栖川有栖との旅企画、一穂ミチによる新作怪談、澤村伊智×田辺青蛙の探訪企画など。
(KADOKAWA 2200円)[amazon]

12月23日刊
北村洋『淀川長治 「映画の伝道師」と日本のモダン
俳優でもなく監督でもないが、この人なくして映画は語れない――。『日曜洋画劇場』の解説で人気を博した「サヨナラおじさん」こと淀川長治。映画会社の宣伝員、雑誌編集者、批評家など、いくつもの顔をもつこの人物は何者だったのか。膨大な資料を博捜し、多様な価値観を包摂する変革者=映画人の思想・仕事・人生を描きあげる。目次
(名古屋大学出版会 予価4950円)[amazon]

12月23日刊
梅崎春生『十一郎会事件 梅崎春生ミステリ短篇集
「桜島」を始めとする兵隊小説で戦後派を代表する作家、梅崎春生は、幼少期から探偵小説に耽溺し、実作も手がけた。複数のアンソロジーに採られた、梅崎ミステリを代表するユーモアタッチの表題作。元特攻兵の主題をハードボイルド的手法で描く「小さな町にて」。戦後文学史上の奇書『柾它希(まさたけ)家の人々』の著者・根本茂男にまつわる実録「不思議な男」。ほか、全集未収録作品を多数含む、様々な技巧を凝らしたミステリ短篇を初めて一冊にセレクトした文庫オリジナル。
(中公文庫 予価1100円)[amazon]

12月24日刊
オラフ・オラフソン『TOUCH/タッチ』
2020年、アイスランド。パンデミックの影響でレストランを畳んだクリストファーのもとに一通のメールが届いた。差出人は50年前に突如姿を消した元恋人ミコ。あの日、彼女はなぜ自分のもとを去ったのか。彼女への想いと悲恋の傷を抱え、彼は日本へ向かう。川野靖子訳
(早川書房 予価2970円)[amazon]

12月23日刊
ジョン・グリシャム『狙われた楽園』
フィッツジェラルドの直筆原稿盗難事件から数年後、カミーノ・アイランドの名物書店店主ブルース・ケーブルは相も変わらず精力的に店を切り盛りしている。あのときブルースを追い詰めたマーサーは新作小説を発表。夏のブック・ツアーの締めくくりに「ベイ・ブックス」を訪れる予定だ。そんなとき、巨大ハリケーンの接近で全島民に避難命令が出され、暴風の中で遺体となった島在住の作家が発見された。独立系書店の店主が作家の不審死の謎を追う、本好きのためのミステリ。話題作『「グレート・ギャツビー」を追え』続編。星野真理訳
(中公文庫 予価1430円)[amazon]

12月24日刊
マックス・ブロート『ユダヤ人の女たち』
〈ルリユール叢書〉親友フランツ・カフカの遺言に逆らい、遺稿を守って亡命、カフカ全集を編纂した作家・翻訳家マックス・ブロート。1910年代チェコのギムナジウムに通うドイツ系ユダヤ人青年の恋愛と蹉跌を赤裸に描く、ブロートの自伝的小説。本邦初訳。中村寿訳
(幻戯書房 予価4620円)[amazon]

12月24日刊
ミシェル・ビュトール『レペルトワールIV』
文学の優位性を否定し、断片のエクリチュールにより文学の閾を超え、諸芸術の対等性へ。ビュトール流「旅学(イテロロジー)」は、言語からイメージへ、イメージから言語へと自由に行き来しながら創作゠批評を展開する。「絵画のなかの言葉」を皮切りに、絵画の文学性、文学の絵画性を交錯させる絢爛たる論理の一大円舞。境界を攪乱し、自らの歴史的厚みを開示する評論集第四弾。石橋正孝監訳
(幻戯書房 予価6930円)[amazon]

12月24日刊
C・S・ルイス『ナルニア国物語2 カスピアン王子と魔法の角笛』
ナルニアからの帰還より一年後。ルーシーら四人のきょうだいは寄宿学校へ向かう途中、不思議な角笛の力によって別世界へと呼び戻される。そこは、異国の侵略に遭いかつての輝きを失った1300年後のナルニアだった。四人は、正統な王の血を引くカスピアンやドワーフのトランプキンらと共に略奪王ミラーズに戦いを挑む。王国に平和を取り戻すことはできるのか。いま、いにしえの魔法が蘇る。小澤身和子訳
(新潮文庫 予価781円)[amazon]

12月24日刊
ディージャ・フィルヨー『チャーチ・レディの秘密の生活』
毎週月曜に訪れる愛人の牧師のため母はピーチ・コブラーを作り、オリヴィアは彼を神と信じる。牧師夫人に恋焦がれる少女ジャエルとその日記を盗み読む曾祖母。母を献身的に介護するも名前を呼ばれない娘──自らの欲望に従うこと、教会、母娘の葛藤を親密に描き、全米を魅了した4世代・9つの彼女たちの物語。最注目アフリカ系アメリカ人作家による初短篇集。押野素子訳
(勁草書房 予価2640円)[amazon]

12月24日刊
カリン・スローター『報いのウィル』
隔絶された山奥のロッジを旅行で訪れた捜査官ウィルはめった刺しにされた血塗れの女性を発見する。被害者はロッジを経営する一族の娘マーシー。犯人は彼女の家族と4組の宿泊客の中にいるに違いない。マーシーは家族各々と揉めていたうえ、宿泊客の素性も怪しい。誰もが嘘をつくなか、ウィルは真相を追うが……。
(ハーパーBOOKS 予価1640円)[amazon]

12月24日刊
周浩暉『7人殺される』
高層マンションの一室から女性の遺体が発見された。さらに、被害者の元恋人で傲慢な金持ちの息子が局部から大量出血し死亡する。いずれの現場にも直前に宅配便が届き、その差出人が次の被害者になると読んだ刑事羅飛は事件を防ごうとするが、それを嘲笑うかのように次々に犠牲者が――。凄烈な社会派警察小説。阿井幸作訳
(ハーパーBOOKS 予価1540円)[amazon]


12月25日刊
シャルロッテ・リンク『罪なくして 上・下
故郷ヨークシャーに戻り、スカボロー署のケイレブ警部の下で働くことに決めたケイト・リンヴィルは、スカボローに向かう列車内で、女性を狙った銃撃事件に巻き込まれる。そして、自転車で通勤中に女性教師が同じ銃で狙われ、彼女は半身麻痺となる。二つの事件の被害者にはまったく接点がなかった。事件の驚くべき真相とは? 過去にあったある隠された事件と、絡み合う人間関係。それぞれの苦しみ。ドイツミステリの傑作。浅井晶子訳
(創元推理文庫 予価各1320円)[amazon]

12月25日刊
T・キングフィッシャー『死者を動かすもの』
アレックス・イーストンは小国ガラシアの退役軍人。旧友マデリン・アッシャーから手紙をもらい、アッシャー家の館を訪ねてきた。小さな沼のほとりに建つ館は陰気で憂鬱で、久しぶりに会ったマデリンの兄ロデリックは、痩せ衰えひどい有様、マデリンは病が重いのに、夢遊病者のように歩き回る。そして悲劇が……。ヒューゴー賞受賞作家がポオ「アッシャー家の崩壊」に捧げた傑作ゴシックホラー。永島憲江訳
(創元推理文庫 予価1100円)[amazon]

12月25日刊
シヴォーン・ダウド『すばやい澄んだ叫び』
1984年。アイルランドの小さな村で、15歳の少女シェルは孤独な毎日を送っていた。母親を病気で亡くして以来、酒浸りの父と反抗的な弟、幼い妹の世話に明け暮れていたのだ。そんなとき、幼なじみの少年に誘われて深い関係になってしまう。やがて妊娠に気づき、誰にも相談できずに悩みつづけて……。「助けて」と声をあげることができなかった少女の苦難と成長を、切なくも美しい筆致で描く。カーネギー賞受賞作家の伝説的デビュー作。宮坂宏美訳
(東京創元社 予価2750円)[amazon]

12月25日発売
《SFマガジン》2月号
「2025オールタイム・ベストSF」アンケート結果発表
(早川書房 1320円)[amazon]

12月25日予定
フランツ・グリルパルツァー『グリルパルツァー戯曲選』
19世紀オーストリア最高の劇作家と呼ばれるグリルパルツァーの代表作2篇、古代ペルシャで王に成り上がろうとした男の栄華と転落を描く「夢は人生」、死を前にして現世の愛を超越し、天命を取り戻す領主の娘をめぐる悲劇「リブッサ」(本邦初訳)を収録。
(水声社 予価4400円)

12月27日刊
アンドリュー・ウィルソン『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』
生まれながらに背徳と残虐、愛への渇望に苦しむ。「愛される」よりも「愛する」を選んだ孤独の女性作家。生誕100年を迎え、いま明らかにされる苦悩と野心、ゆがんだ愛。母親への愛憎のすべては小説作品の中に埋め込まれた――。トルーマン・カポーティが絶賛した才能、20世紀を代表する作家パトリシア・ハイスミス。残された膨大な日記と手紙をもとに、謎のベールに包まれたミステリ作家の全貌に迫る決定版伝記。MWA賞(評論・伝記部門)受賞。柿沼瑛子訳
(書肆侃侃房 予価7480円)[amazon]

12月27日発売
《ユリイカ》1月号 特集=ハン・ガン
2024年ノーベル文学賞受賞記念。傷をつくるのも癒すのも同じ人間であるということを、 ハン・ガンは果てしないスペクトラムとして物語の中に描き出す。数々の名作によって導き出されてきた他者への愛が、惨たらしい暴力の中にある人間の生の儚さを照らす灯として、いま世界中で必要とされている。ハン・ガンの苛烈かつ静謐な作品風景に迫り、さまざまな痛みと回復の過程を見つめる。 目次
(青土社 1760円)[amazon]

12月27日刊
『怪異から妖怪へ』東アジア恠異学会編
「妖怪」はなぜ生まれたか。「怪異」の情報は拡散・増殖し、新たな解釈が生み出され、変容していく。怪異学から見る「妖怪」の成り立ちを解き明かす。
(文学通信 予価1870円)[amazon]


▼2025年1月予定

1月4日刊
アーネスト・ヘミングウェイ『老人と海/殺し屋』
大いなる自然と人間の闘争を描く永遠の名作「老人と海」に、アメリカのハードボイルドにも影響を及ぼした名作短編「殺し屋」を併録。齋藤昇訳
(文春文庫 予価880円)[amazon]

1月7日刊
ロバート・ベイリー『リッチ・ブラッド』
交通事故案件を専門とする弁護士ジェイソン・リッチは、離婚や家族関係の問題からアルコール依存症に陥っていた。リハビリから退院直後、夫殺害の容疑で逮捕された姉から弁護の依頼が。ジェイソンは葛藤しつつも弁護を引き受けるが、事件は想像以上に複雑で闇が深く――。リーガル・スリラーの名手の新シリーズ。吉野弘人訳
(小学館文庫 予価1320円)[amazon]

1月8日刊
馬伯庸『西遊記事変』
仙界の太白金星に住む李長庚は、観音菩薩の奸計によって天竺へと向かう三蔵法師に八十一の試練を与えることになった。だがそこには、仙界の大物たちが企てる隠された目的が見え隠れしていた。人間界も巻き込んだ壮大な計画の鍵は、孫悟空にあるというが……。齊藤正高訳
(ハヤカワ・ミステリ 予価2530円)[amazon]

1月8日刊
ジョン・ブロウンロウ『エージェント17』
17は暗殺専門のエージェント。消えた16の後任として17になった彼の任務はとある作家の暗殺。どうやら作家の正体は16らしいが……。武藤陽生訳
(ハヤカワ文庫NV 予価1760円)[amazon]

1月8日刊
エドワード・アシュトン『ミッキー7 反物質ブルース』
宇宙開発で危険な仕事をこなす、使い捨て人間(エクスペンダブル)の役割から無事逃れることができたミッキーだったが、さらに新たな無茶ぶり仕事が!? 大谷真弓訳
(ハヤカワ文庫SF 予価1430円)[amazon]

1月8日刊
レイラ・モトリー『夜の底を歩く』
17歳のキアラは、兄と二人暮らし。父は病死、母は獄中。ラッパーを夢見る兄のため、隣家の孤独な少年のため、彼女は職を探す。ある夜、思わぬことから、売春を始める。愛する者を心の支えとして働くキアラだったが、やがて街を揺るがす騒動に巻き込まれ……。井上里訳
(早川書房 予価3190円)[amazon]

1月8日刊
エカ・クルニアワン『美は傷』
〈アジア文芸ライブラリー〉ジャワ南部の港町に生まれた娼婦デウィ・アユとその一族を襲った悲劇。植民地統治、占領、独立、政変と弾圧といった暴力の歴史を軸に、伝説、神話、寓話などが渦巻く奇想天外な大河小説。世界35カ国以上で刊行されたマジックリアリズム文学の傑作。太田りべか訳
(春秋社 予価4400円)[amazon]

1月8日刊
夢野久作『妖刀地獄』
幻想怪奇文学の巨匠・夢野久作による時代小説をすべて収録。復讐に向かう見目麗しい若侍との出会いから始まる表題作ほか全5編。
(河出文庫 予価792円)[amazon]

1月9日刊
E・M・フォースター『ハワーズ・エンド』
20世紀初頭の英国。富裕な新興中産階級のウィルコックス家と、ドイツ系で教養に富む知識階級のシュレーゲル姉妹、そして貧しいバスト家の交流を通じ、格差を乗り越えようとする人々の困難や希望を描いたモダニズム文学の傑作。浦野郁訳
(光文社古典新訳文庫 予価2090円)[amazon]

1月10日刊
ジャネット・スケスリン・チャールズ『あの図書館の彼女たち』
1939年パリ。20歳のオディールはアメリカ図書館の司書に採用された。本好きな彼女は熱心に仕事に取り組み、女性館長や同僚、個性豊かな利用者たちとの絆を深めていく。やがてドイツとの戦争が始まり、図書館は病院や戦地の兵士に本を送るプロジェクトを開始する。しかしドイツ軍がパリを占領、ユダヤ人利用者に危機が……。人々に本を届け続けた図書館員たちの勇気と絆を描く感動作。文庫化。髙山祥子訳
(創元文芸文庫 予価1386円)[amazon]

1月14日刊
チョ・ナムジュ『彼女の名前は』
理不尽なことに勇敢に立ち上がる女性たち28の物語。『82年生まれ、キム・ジヨン』著者短編集。12頁分増補。小山内園子・すんみ訳
(ちくま文庫 予価946円)[amazon]

1月16日刊

吉田広明『映画監督ドン・シーゲル』
『第十一号監房の暴動』『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』『殺し屋ネルソン』『白い肌の異常な夜』『ダーティハリー』『突破口!』……40年にわたりハリウッドでアクション映画、犯罪映画を撮り続けた職人監督のキャリアと主題を詳細に辿る書き下ろし長篇評論。
(作品社 予価3520円)[amazon]

1月16日刊
林海音『城東旧事』
1920年代の北京。伝統的な胡同に暮らす主人公の少女・英子が、子ども時代と別れを告げるまでを描く。「台湾文学の祖母」と称される林海音が幼少期を過ごした北京を舞台に、激しく変化する時代に翻弄されながら、ささやかな生活を送る人びとをあたたかく描く自伝的小説。
(行知学園 予価3300円)[amazon]

1月17日刊
新編 イギリス名詩選』川本皓嗣編
ページを開けばきっと、声に出して読みたくなる――詩人たちの〈歌う喜び〉を感じさせてやまない、イギリスの名詩の数々。16世紀のスペンサーから20世紀後半のヒーニーまで、もっとも愛され親しまれている92篇を、英語の原詩・和訳ともに堪能できる対訳で編む。日本の読者の理解を支える注釈・解説も充実、待望の新編。
(岩波文庫 1276円)[amazon]

1月20日刊
ジョン・B・トンプソン『ブック・ウォーズ デジタル革命と本の未来
原稿が書かれてから本が読者のもとに届くプロセスのすべてに、デジタル技術が及ぼす影響を描きつくす。21世紀のメディア論の決定版。久保美代子訳
(みすず書房 予価5720円)[amazon]

1月22日刊
チャン ガンミョン『罪と罰 上・下
22年前、美しい女子大生を殺したのは誰だったのか――ソウル警察庁凶悪捜査チームは再捜査を決定するがそこで見えてきた真実とは。オ ファスン訳/カン・バンファ監修
(ハヤカワ・ミステリ文庫 予価各1584円)[amazon]

1月22日刊
デュナ『カウンターウェイト』
韓国の巨大企業が建設中の軌道エレベータに隠された世界を揺るがす機密を巡り、高軌道で微重力下戦闘を繰り広げるアクションSF。吉良佳奈江訳
(ハヤカワ文庫SF 予価1342円)[amazon]

1月22日刊
ノヴァイオレット・ブラワヨ『動物工場』
アフリカにある動物たちの王国ジダダは、植民地支配から民を救った建国の父オールド・ホースの政権誕生40周年を迎えた。だが、ジダダの民たちは気づいている。この栄光の影で犠牲となる者たちの声を。ブッカー賞最終候補に選ばれたジンバブエ版『動物農場』。川副智子訳
(早川書房 予価3630円)[amazon]

1月22日刊
スタニスワフ・レム/森泉岳土『ソラリス 上・下
ソラリス――この静謐なる惑星は意思を持った海に表面を覆われていた。心理学者ケルヴィンは、惑星の謎を解明するべく派遣されたのだが……。人間を超える知性とのコンタクトは可能なのか? 人気作家が名作SFをコミック化。
(ハヤカワ・コミックス 予価各1540円)[amazon]

1月22日刊
ダフネ・デュ・モーリア『スケープゴート』
人生に絶望していた英国人ジョンは、旅先のフランスで自分と瓜二つの男ジャンに出会う。引っ張られるまま飲んだ翌朝目覚めるとジャンの姿はなく、持ち物すべてが消えていた。呆然とするジョンは、彼をジャンと信じて疑わない運転手に家に連れていかれる。ジャンは伯爵だが所有する工場は経営難、家族間はぎくしゃくしていた。手探りでジャンになりすますジョンだったが……。名手による予測不能なサスペンス。務台夏子訳
(創元推理文庫 予価1606円)[amazon]

1月22日刊
アンドレス・バルバ『きらめく共和国』
1994年、緑のジャングルと茶色い川を抱える亜熱帯の町に、理解不能な言葉を話す9歳から13歳の子どもたちの集団がどこからともなく現れた。その存在は徐々に大人たちの日常に罅を入れていき、やがてスーパー襲撃という大事件を起こす。そして数ヶ月後、32人の子どもたちは一斉に命を落とした――。現代スペインを代表する作家が描く、子どものかわいらしさと暴力性、野生と文明。恐るべき寓話が文庫化。宇野和美訳
(創元推理文庫 予価976円)[amazon]

1月22日刊
沼野充義『ロシア文学を学びにアメリカへ? 増補版 屋根の上のバイリンガル
1980年代、ロシア文学を専攻していた著者は、ソ連ではなく米国へ飛んだ。ハーバード大で古代教会スラヴ語を習得し、街角でポーランド移民と交流。多様な文化を内包する「サラダボール」の国で得た体験と考察をユーモラスに綴る、ヌマノ教授の原点たるエッセイ。「ハーバード生活から三つのエピソード」他を新規収録。
(中公文庫 予価1100円)[amazon]

1月23日刊
シーグリッド・ヌーネス『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』
学生時代の友人に再会した作家は、「最期の時間を一緒に過ごしてほしい」と頼まれる。友人は末期がんだった。そして、心の準備ができたら薬を飲んで死を選ぶという。思いがけぬ日々のなかで作家が見たものは――。全米図書賞受賞作家による感動作。映画化原作。桑原洋子訳
(早川書房 予価2640円)[amazon]

1月24日刊
『夜ふけに読みたい 旅するイソップ物語』
人気海外民話シリーズ「夜ふけに読みたいおとぎ話」第10弾はイソップ童話第2弾。おなじみアーサー・ラッカムの美しい挿絵が満載。読み聞かせはもちろん、大人も楽しく読める。田野崎アンドレーア嵐・和邇桃子訳
(平凡社 予価2530円)[amazon]

1月24日刊

呉明益『複眼人』
太平洋に浮かぶ神話的な島と、近未来の台湾。二つの島に巨大な「ゴミの島」が押し寄せる時、謎の「複眼人」が姿を現す――。世界14か国で翻訳。台湾現代文学の担い手による代表的長編。小栗山智訳
(角川文庫 予価1430円)[amazon]

1月24日刊
ジェフリー・アーチャー『時のみぞ知る クリフトン年代記1
戸田裕之訳
(ハーパーBOOKS 予価1430円)[amazon]

1月24日刊
ジェフリー・アーチャー『死もまた我等なり クリフトン年代記2
戸田裕之訳
(ハーパーBOOKS 予価1430円)[amazon]

1月24日刊
ジェフリー・アーチャー『裁きの鐘は クリフトン年代記3
戸田裕之訳
(ハーパーBOOKS 予価1430円)[amazon]

1月27日刊
ロジャー・コーマン/ジム・ジェローム『私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか』
『アッシャー家の惨劇』などのポー原作映画、『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』『ワイルド・エンジェル』『金星人地球を征服』『血まみれギャングママ』その他、数々の低予算映画を成功させ、多くの若い才能を抜擢してきたロジャー・コーマン(2024年5月に98歳で死去)が撮影手法と人生哲学を語る痛快自伝。石上三登志・菅野彰子訳
(ハヤカワ文庫NF 予価2200円)[amazon]

1月29日刊
ジェニファー・M・ギドリー『未来学』
預言者からSFまで、ルネサンス・啓蒙思想からテクノトピアまで、人類が夢見た未来を批判理論の観点から概観する、はじめての入門書。南龍太訳
(白水社 予価2640円)[amazon]

1月30日刊

フローレンス・パリー・ハイド/エドワード・ゴーリー『ツリーホーン、どんどん小さくなる』
さいしょはクローゼットの棚に手が届かなかった。つぎに服がぶかぶかになった。「思うんだけど、ぼくは縮んでるんじゃないかな」でも、おとうさんもおかあさんもあまり気にしていないみたい。お医者さんはそんな病気はないって言うし、学校の先生も解決してくれない。まだまだ縮み続けて……。英国の児童文学作家フローレンス・パリー・ハイドのナンセンスで可愛い物語に、エドワード・ゴーリーの挿絵40点を収録。三辺律子訳
(東京創元社 予価1980円)[amazon]

1月30日刊
マルク・ラーベ『17の鍵』
早朝のベルリン大聖堂に深紅の血が降り注ぐ。丸天井の下には女性牧師が吊り下げられていた。殺人現場に駆けつけたトム・バビロン刑事は、さらに信じがたいものを目撃する。被害者の首にはカバーに「17」と刻まれた鍵がかけられていた。それはトムが少年の頃に川で見つけた死体のそばにあった鍵と同じもので、10歳で失踪した妹が持ちだしたままだった。なぜそれがここに? トムは臨床心理士のジータと捜査を始めるが……。本国でベストセラー、ドイツミステリ連続刊行第1弾。酒寄進一訳
(創元推理文庫 予価1430円)[amazon]

1月31日刊
吉川一義『『失われた時を求めて』の謎 隠された構造を探る
『失われた時を求めて』は幾重もの謎に包まれている。──長篇はいかに誕生したのか? 対比されているのはスワン家とゲルマント家なのか? ヒロイン・アルベルチーヌはなぜ捉えどころがないのか? 「私」という一人称の仕掛けとは?──小説と批評を総合した希有なる作品の隠された構造を、草稿研究の先駆者が精緻に読み解く。
(岩波書店 予価7480円)[amazon]

1月下旬予定
C・S・ルイス『ナルニア国物語3 夜明けのぼうけん号の航海』
小澤身和子訳
(新潮文庫)[amazon]

1月予定
ジョルジュ・シムノン『月射病』
〈シムノン ロマン・デュール選集〉

(東宣出版)[amazon]

1月下旬予定
J・M・クッツェー『命をめぐる思索』
川村由美訳
(水声社 予価3300円)

1月下旬予定
アルノ・シュミット『レヴィアータン』
〈アルノ・シュミット・コレクション〉幻の地を求めて灼熱の砂漠を突き進む男、半世紀ものあいだ脱獄を企む老探検家、馬鹿げた戦争から逃れようとする兵士、遭難した島で何者かに怯える若者……書き綴ることに囚われた人たちの生き様を描いた短編集。時代に先駆けた実験精神で既存の文学史を徹底的に再編し、戦後ドイツ文学の源流ともなった鬼才の、いまだ知られざる作品群を紹介する第2弾。窪俊一訳
(水声社 予価2200円)

1月以降刊
山本周五郎『山本周五郎[未収録]ミステリ集成』
末國善己編
(作品社 予価5940円)[amazon]


▼2月以降予定

2月2日刊
サーデク・ヘダーヤト『盲目の梟』
世界文学の視座からも再評価著しいイラン作家、ヘダーヤトの代表作を含む中短篇集。復刊にあたり、旅行記『エスファハーンは世界の半分』を併録。中村公則訳
(白水Uブックス 予価2090円)[amazon]

2月3日刊
新編 怪奇幻想の文学6 奇蹟』
海外幻想文学紹介の礎石を築き、長年にわたり先導してきた紀田順一郎・荒俣宏の監修のもと、新生『幻想と怪奇』の企画・編集者が、名作を全6巻に集大成するアンソロジー、ここに完結。古典はもとより、20世紀半ばの準古典作品までを新訳と名訳再録でおくる。本巻には、聖人伝説や天使の降臨、神々の顕現など、13作家による奇想と驚きに満ちた、神秘と奇蹟の物語を集めた。紀田順一郎・荒俣宏監修/牧原勝志編
(新紀元社 予価2750円)[amazon]

2月6日刊
クローディア・グレイ『『高慢と偏見』殺人事件』
詐欺まがいの投資話でエマやアンから恨みを買うウィカムが、パーティの最中に殺された。キャサリンの娘とエリザベスの息子が嵐で閉ざされた館で起きた怪事件に挑む。『高慢と偏見』『エマ』『説得』……ジェイン・オースティン作品の登場人物が織りなす正統派ミステリ。不二淑子訳
(ハヤカワ・ミステリ 予価2750円)[amazon]

2月6日刊
ジェス・Q・スタント『ミセス・ワンのティーハウスと謎の死体』
ミセス・ワンの中国茶専門店で男の死体が発見された。刑事ドラマが大好きなワンは、容疑者に中国茶を振る舞いながら勝手に聞き込みを始めてしまうが……。唐木田みゆき訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 予価1320円)[amazon]

2月6日刊
A・J・ライアン『レッドリバー・セブン ワン・ミッション
記憶を失くした状態で、船内にいた見知らぬ7人の男女。戸惑う彼らの前で、突如船内ディスプレイにミッションが表示されて……!? 古沢嘉通訳
(ハヤカワ文庫SF 予価1540円)[amazon]

2月13日刊
『SFが読みたい! 2025年版』SFマガジン編集部編
年間ベストSF発表、ベスト1作家からのメッセージ、サブジャンル別ベスト、この一年のSF関連トピック、2025年の各出版社のSF書籍刊行予定、SF作家たちによる最新予定「2025年のわたし」、SF関連書籍目録などでおくる恒例のSFガイドブック最新版。
(早川書房 予価1210円)[amazon]

2月刊
トマス・ペイン『人間の権利』
『コモン・センス』でアメリカ独立を促したペインが、E・バークによるフランス革命批判に対して論駁したのが本書である。共和政擁護、王政批判だけでなく、近代的な社会福祉政策を提言するなど、国家による生存権への配慮を訴えた。角田安正訳
(光文社古典新訳文庫)[amazon]

2月17日刊
ヴィトルト・シャブウォフスキ『厨房から見たロシア ナイフとおたまとフォークで帝国を築く方法
皇帝一家と運命を共にした料理人からプーチン大統領の祖父まで。旧ソ連諸国を縦横に旅し、当時の食について考察する。各章にレシピ付き。芝田文乃訳
(白水社 予価4180円)[amazon]

2月19日刊
S・A・コスビー『闇より深き我が祈り』
白人の父と黒人の母を持つ私立探偵ネイサンは牧師殺害事件の調査に乗り出す。彼は事件の鍵を握るUSBを手に入れたことで命を狙われ……。加賀山卓朗訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 予価1540円)[amazon]

2月19日刊
サリー・ルーニー『美しい世界はどこにいる』
人気作家のアリスはダブリンを離れて田舎に移り住み、倉庫作業員の男性と知り合う。アリスの親友アイリーンは恋人との別れから立ち直れずにダブリンで鬱々と暮らし、アリスと長文メールを交わすが……。社会の理想と現実の差に苦しむ若者たちを描いた長篇小説。山崎まどか訳
(早川書房 予価2860円)[amazon]

2月19日刊
ニーシャ・J・トゥーリ『トライアル・オブ・ザ・サンクイーン 太陽妃への試練
過酷な牢獄から、豪華絢爛な宮殿へ! ロアは突然、妖精の王が開催する太陽妃選考会への参加を命じられる。王の伴侶の地位を得るため10人の候補者が4つの試練を戦うのだ。彼女を待ち構えているのは、死、それとも誘惑? 話題のロマンタジー・シリーズ開幕篇。月岡小穂訳
(早川書房 予価2750円)[amazon]

2月20日刊
荒俣宏『妖精幻想詩画帖 荒俣宏 翻訳文学集成 欧米幻想ファンタジー精華1
荒俣宏による半世紀にわたる幻想文学翻訳の集大成(全4巻)。第1巻は妖精詩とそれを飾った美しい妖精画をともに集めた、きらめく夢の玉手箱のような作品群。ロード・ダンセイニ、ジョージ・マクドナルド、ダンテ・ゲイブリエル・ロゼッティ、フィオナ・マクラウド、A・E・コッパードほかを収録。
(春陽堂書店 予価6600円)[amazon]

2月25日発売
《ミステリマガジン》4月号
(早川書房)[amazon]

2月25日発売

《SFマガジン》4月号
(早川書房)[amazon]

2月28日刊
ガブリエル・ガルシア=マルケス『族長の秋』
「閣下、たいへんな死人ですよ」「ウン×よ、閣下、あなたのウン×よ」小国に君臨する絶対的独裁者が、言葉にできない奇行悪行放蕩の限りを尽くし、抱腹絶倒やがて悲しき傑作長編。鼓直訳
(新潮文庫 予価1100円)[amazon]

2月28日刊
C・S・ルイス『ナルニア国物語4 銀のいすと地底の国』
小澤身和子訳
(新潮文庫)[amazon]

2月予定
泉鏡花『繪本辰巳巷談』
大正9年、春陽堂刊『繪本辰巳巷談』(小村雪岱 装幀)を完全復刻。内容
(春陽堂書店 予価5500円)

4月下旬予定
C・S・ルイス『ナルニア国物語5 馬と少年』
小澤身和子訳
(新潮文庫)[amazon]

5月下旬予定
C・S・ルイス『ナルニア国物語6 魔術師のおい』
小澤身和子訳
(新潮文庫)[amazon]

6月下旬予定
C・S・ルイス『ナルニア国物語7 さいごの戦い』
小澤身和子訳
(新潮文庫)[amazon]


予定表に出たり消えたり(そのうち何とかなるだろう)

ジョン・ル・カレ『終生の友として 上・下
ヴェトナム戦争からプラハの春、ベルリンの壁崩壊と冷戦の終結、そしてイラク戦争へ……。世界に翻弄された2人のスパイの物語。加賀山卓朗訳
(ハヤカワ文庫NV)[amazon]

デイヴィッド・ダムロッシュ『ハーバード大学ダムロッシュ教授の世界文学講義』
世界文学とはなにか。国際的に活躍する文学研究の第一人者が古今東西縦横に、世界のあらゆる文学作品との比較の中で、日本文学の魅力を語る。今まで比較されることのなかった作家をあえて関連づけることによって文学の新たな可能性を見出し、刺激的な読書の世界へ誘う。沼野充義監訳/片山耕二郎・高橋知之・福間恵 訳
(東京大学出版会 予価3520円)[amazon]

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