時計の針はもうすぐ夜の11時を指そうとしていた。 オレは他人の家に忍び込む緊張感と、これから起こるであろう 出来事に対する期待が重なり合い、今までに味わった事が無いほどの、 異様な興奮を感じていた。息を殺し、足音を忍ばせながら、 そっと勝手口に回り込み、ドアノブに手を掛ける。 約束どうり、ドアには鍵が掛かっておらず、すんなりとドアが開く。 念のため、もう一度時間を確認すると、ちょうど約束の11時になっていた。 「よしっ、行くぞ」 自分に言い聞かせるように、小さな声で独り言をつぶやき、 家の中へと入っていく。入るとすぐに、キッチンのカウンター越しに リビングが見渡せた。明かりの点いていない薄暗いキッチンに 身を隠しながら、おずおずとリビングをうかがう。 するとそこは、一組の男女が情事を繰り広げている真っ最中であった。 (よ、よしっ、行くぞ)興奮と緊張で固まりそうな自分に、今度は 心の中で、再び独り言をつぶやくと、一気に立ち上がり、 リビングへと歩み出る。 「よぉ〜、良夫」 若干、声を上擦らせながらも、必死に平然を装い、声を掛ける。 夫人があっけにとられた様子で、コチラを振り向く。 次の瞬間、我に返った夫人が大きな悲鳴を上げた。 「キャ〜〜、ど、どうして。イ、イヤッ、見ないで〜〜」 だが、夫人には自らの意思で動くことは出来なかった。 すでに夫の手により、全裸のまま、1人掛けのソファーに M字開脚の状態で縛り上げられていたのだ。 |