【単行本/怪奇幻想】

怪奇SF映画大全
ロナルド・V・ボースト他編

モンスター・ショー
D・J・スカル

ハリウッド・ゴシック
D・J・スカル

ライロニア国物語
レシェク・コワコフスキ

【関連企画】
怪奇小説の世紀

魔法の本棚
狂人の太鼓
チャールズ・アダムスのマザー・グース


 
ポスターで見る怪奇・SF・ファンタジー映画の歴史

怪奇SF映画大全
Graven Images (1992)

ロナルド・V・ボースト他編 
スティーヴン・キング/菊地秀行 序文
駒月雅子訳


国書刊行会

◆A4変型・上製ジャケット装・256頁
◆オールカラー
◆装丁=清水良洋


1997年2月刊 本体6476円 品切

1910〜60年代のホラー・SF映画を、美麗オールカラーのポスターで紹介。「カリガリ博士」「魔人ドラキュラ」「宇宙戦争」などの古典から、「サイコ」「猿の惑星」「2001年宇宙の旅」、はては「妖怪巨大女」「怪物の花嫁」といったAIPやエド・ウッドのB級映画の怪作まで、マニアも驚倒の450本を収録。ブロック、ブラッドベリをはじめ、ホラー・SF界の巨人たちが、スクリーンの怪物たちに捧げた熱烈なオマージュを各年代ごとに掲載。映画ファン、怪奇ファン待望の夢のコレクション。

本書に収録されたポスター群は、時間を越えて、私たちが人間である限り永遠に変わらないものを、都会のロードショー劇場で、田舎の寂れた映画館の前で眼にした瞬間、胸ときめかせる何かを――未知なるものの感動と驚きを伝えてくる。

菊地秀行(日本版序文より)


急げ、急ぐんだ。ポスターが言う。こっちだぞ、絶対見逃すな。早くしないと間に合わないぞ。あんたらが見たがらないようなものを見せてやる(諸君は見たいだろうが)。だから急げ、急げ、急ぐんだ。たったの1週間だぞ。さあ、来い。戦慄、衝撃、悲鳴、それに……驚異が待ってるぜ。

スティーヴン・キング(序文より)

【主な収録作品】

【10〜20年代】エッセイ=ロバート・ブロック
カリガリ博士/吸血鬼ノスフェラトゥ/巨人ゴーレム/ロスト・ワールド/猫とカナリヤ/メトロポリス/狂へる悪魔/ダンテ地獄篇/バット/オペラの怪人/真夜中すぎのロンドン/プラーグの大学生/他

【30年代】エッセイ=レイ・ブラッドベリ
魔人ドラキュラ/フランケンシュタイン/フランケンシュタインの花嫁/透明人間/モルグ街の殺人/悪魔スヴェンガリ/M/怪人マブゼ博士/倫敦の人狼/猟奇島/恐怖城/怪物団/肉の蝋人形/キング・コング/オズの魔法使/ミイラ再生/獣人島/バスカヴィル家の犬/他

【40年代】エッセイ=ハーラン・エリスン
狼男の殺人/バグダッドの盗賊/猿人ジョー・ヤング/キャット・ピープル/ミイラの復活/謎の下宿人/スーパーマン/夢の中の恐怖/凸凹フランケンシュタインの巻/美女と野獣/バッタ君町に行く/死体を売る男/猿の怪人/他

【50年代】エッセイ=ピーター・ストラウブ
遊星よりの物体X/地球最後の日/宇宙戦争/大アマゾンの半魚人/原子怪獣現わる/ゴジラ/放射能X/タランチュラの襲撃/禁断の惑星/宇宙水爆戦/海底二万哩/蠅男の恐怖/吸血鬼ドラキュラ/ミイラの幽霊/狩人の夜/空の大怪獣ラドン/ボディ・スナッチャー 恐怖の街/シンドバッド7回目の航海/戦慄!プルトニウム人間/他

【60年代】エッセイ=クライヴ・パーカー
サイコ/血だらけの惨劇/ローズマリーの赤ちゃん/忍者と悪女/血塗られた墓標/吸血狼男/テラー博士の恐怖/ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/タイム・マシン/恐竜100万年/猿の惑星/2001年宇宙の旅/怪談/鳥/何がジェーンに起ったか?/華氏451/バーバレラ/博士の異常な愛情/ミクロの決死圏/血の祝祭日/他

あとがき=フォレスト・J・アッカーマン


昔の映画ポスターは、色づかいといい、デザインといい、絵のタッチといい、なんとも云えない味があるが、この本をみていくと、だいたい70年頃から雰囲気が変わってくることがよくわかる。デザイン的には洗練されていくのだが、往時のポスターが持つ魔法のような力は失われていく。ブックジャケットの分野でも、同じようなことがいえるような気がする。ミステリの原書ジャケット・コレクション 『ミステリ美術館』とあわせると、20世紀商業アートの一側面が見えてくると思う。怪奇映画に興味がない人にも、ぜひ一度ご覧いただきたい1冊。

【関連書】→『モンスター・ショー』『ハリウッド・ゴシック』

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「魔人ドラキュラ」 から 「羊たちの沈黙」 まで
スクリーンに投影されたアメリカの悪夢を読み解く。

モンスター・ショー 怪奇映画の文化史
The Monster Show(1993)

デイヴィッド・J・スカル 栩木玲子訳

国書刊行会

◆A5判・上製ジャケット装・490頁・図版多数
◆装丁=高麗隆彦

1998年11月刊 本体5000円 品切 [amazon]

怪奇映画の歴史は映画の誕生とともに始まった。『魔人ドラキュラ』 『フランケンシュタイン』 のユニヴァーサル・モンスター黄金時代、戦後ドライヴイン劇場の若者を楽しませたB級ホラー、『ゴジラ』 と巨大怪獣ブーム、『サイコ』 が切り開いた異常心理スリラー、SFXを駆使したホラーの新しい波……。本書 『モンスター・ショー』 は、怪奇・ホラー映画の歴史を、多くの図版資料と興味深いエピソードによってたどった怪奇映画史の決定版である。

しかし、本書はたんなるホラー・ファン向けの本ではない。怪奇映画に登場する怪物たちには、同時代の大衆が抱いた恐れや不安が色濃く反映されている。著者デイヴィッド・J・スカルは、戦争の悪夢、経済恐慌、核の恐怖、中絶問題、世代の断絶、AIDSなど、スクリーンに投影された20世紀アメリカの悪夢を、怪奇映画の分析を通して読み解いていく。新しい映画論の幕開けを告げる刺激的エッセイ。

【本書で取り上げられるテーマの一部】
フランケンシュタインの怪物とモダン・アート
第1次世界大戦のショックが生んだフリークス映画
世界恐慌と墜落するキング・コング
アドルフ・ヒトラーは狼男フリーク
『ゴジラ』―核の恐怖と巨大怪獣ブーム
ホラー・コミックと恐るべき子供たち
『ローズマリーの赤ちゃん』―ピル解禁と出産恐怖症
マイケル・ジャクスンは現代の怪奇スターか?―整形手術と変身願望
AIDSと吸血鬼映画の復活
『アメリカン・サイコ』―高度消費社会と人肉喰い

デイヴィッド・J・スカル(1952- )
1952年、アメリカ生まれの作家・評論家。3冊のSFホラーを発表した後、ホラー映画を中心とした評論・研究に転じた。その第1作、『ハリウッド・ゴシック』(1990、国書刊行会)は、ドラキュラ映画史の決定版として絶賛を博した。他に、『「フリークス」を撮った男 トッド・ブラウニング伝』(1995、エリアス・サヴァダとの共著、水声社)、『マッド・サイエンティストの夢』(1998、青土社)などがある。

ホラー映画の本だが、同時に映画を通して見たアメリカ論でもある。そこで帯の惹句は「恐怖するアメリカ、又は彼等は如何にして恐怖することを止めて怪物を愛するようになったか」 としてみた。

【関連書】→『怪奇SF映画大全』

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小説・舞台・映画――吸血鬼ドラキュラのすべて

ハリウッド・ゴシック ドラキュラの世紀
Hollywood Gothic (1990)

デイヴィッド・J・スカル 仁賀克雄訳

国書刊行会

◆A5判・上製ジャケット装・382頁・図版多数
◆装丁=清水良洋

1997年3月刊 本体4300円 【amazon】

ブラム・ストーカーの小説が生んだ不死の怪物、ドラキュラ伯爵。その恐怖と愉悦をもたらす昏い影は、さまざまなメディアを通して瞬く間に全世界を覆った。ストーカーの伝記、『ドラキュラ』 出版の裏事情から、舞台・映画化をめぐる騒動まで、20世紀最大の悪のヒーロー、吸血鬼ドラキュラのすべてを解き明かした決定版。

【目次】
序論 城と蜘蛛の巣と枝付き燭台
第1章 ストーカー氏の血の書物
第2章 イギリスの未亡人対ドイツの伯爵
第3章 「全公演に看護婦一名を常駐……」
第4章 悪魔との取引あるいは、ハリウッドは噛み付く
第5章 幽霊は西へ
第6章 スペイン語版『魔人ドラキュラ』
第7章 ハリウッド・ゴシック
付録 ドラキュラ年代記

デイヴィッド・J・スカル(1952- )
1952年、アメリカ生まれの作家・評論家。3冊のSFホラーを発表した後、ホラー映画を中心とした評論・研究に転じた。他に、『モンスター・ショー』(国書刊行会)、『「フリークス」を撮った男 トッド・ブラウニング伝』(1995、エリアス・サヴァダとの共著、水声社)、『マッド・サイエンティストの夢』(1998、青土社)などがある。

退社間際の企画で、実際の編集は他の人に担当してもらった。スカルの本はその後、他社からも出たが、生粋のホラー映画マニアでありながら、どれも一般向きに書かれた面白い読物になっている。ともすれば〈同臭〉の人しか受け付けないような本が多いこのジャンルにあって、こういう美質は貴重である。

【関連書】→『怪奇SF映画大全』

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大いに笑えてちょっぴり不気味なお話

ライロニア国物語
大人も子どもも楽しめる13のおとぎ話

レシェク・コワコフスキ 沼野充義・芝田文乃訳
土橋とし子画

国書刊行会

◆四六変型・上製ジャケット装・210頁
◆装丁=坂川栄治

1995年11月刊 本体1553円 【amazon】

どこにあるともしれぬ不思議の国ライロニアから届けられた、奇妙きてれつ、摩訶不思議、大いに笑えてちょっぴり不気味な13の物語。背中にできたこぶがやがて人間そっくりに成長して、身体を乗っ取り、ついには本来の人間のほうが、こぶを取る薬で消え失せてしまう 「こぶ」、地球儀に穴をあける遊びに夢中になったわがまま娘が、本物の地球を穴だらけにしてしまう 「子どものおもちゃの話」、自分の美しい顔を大事にするあまり、それを箱にしまいこんだ男の話 「美しい顔」、子供たちの間で疫病のように蔓延する 「赤いつぎ」 の話、恋人の眼の色がどうしても思い出せず、恥ずかしさのあまり身体が縮んで、とうとう消えてしまった若者の話 「大いなる恥の物語」 など、ポーランドの著名な哲学者が軽妙に物語る、ちょっと変ったおとぎ話の数かず。世界中で愛読されている寓話集。

【目次】 ライロニア国を探して/こぶ/子どものおもちゃの話/美しい顔/ギヨムはどうやって年輩の紳士になったか/有名な人/マイオルの神はいかにして王座を失ったか/赤いつぎ/物たちとの戦争/長寿問題はどのように解決されたか/いまいましいドロップ/いちばん大きな口論の話/大いなる恥の話

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