【狂人の太鼓】 リンド・ウォード 国書刊行会 グロテスクな想像力にあふれた120枚の木版画で語られるこの 「小説」には、タイトル頁をのぞくと文字が一切存在しない。読者は絵を1枚ずつ丹念に読み解くことによって、主人公に下された過酷な運命をひとつひとつ辿っていくことになる。 ◆解説=牧眞司 ◆A5変型・上製ジャケット装・264頁 ◆日本版タイトル文字=妹尾浩也 ◆2002年10月刊 本体2000円 【amazon】 【bk1】 『SFが読みたい2003年版』 〈ベストSF2002〉 海外篇 第18位
◆『狂人の太鼓』 本文より 【書評より】 120枚すべてが木版画の小説 『狂人の太鼓』。解釈はご自由に、と言われてじいっと見入っていると暗い暗い、太陽の光すらも暗い絵の中に怪しい星が光る。――吉野朔実氏評(北海道新聞夕刊2月15日) 書店で見つけた瞬間驚倒しそうになった1冊がリンド・ウォード 『狂人の太鼓』。(中略) 冷酷な奴隷商人が暗黒大陸から持ち帰った太鼓。その不吉な叩音が商人一家に呪いをもたらす。なんて、絵で成り立っている物語を言葉で解説することの空しさよ、無意味さよ。とにかく実際現物にあたってほしい。ホント驚くから。――豊崎由美氏評(本の雑誌2003年1月号) 諸星大二郎ファンにもおすすめ。――大森望氏評(本の雑誌1月号) ひとめ見たら忘れられない特異な絵柄が想像力を限りなく刺激する。――大森望氏評(週刊新潮1月2・9日号 私が選んだベスト5) それぞれの画面を囲繞する余白の部分に、あたかも活字の幻がわらわらと浮かび上がるかのような錯覚にとらわれるほど、画面が孕む物語性の豊潤さが、一巻の書物の体裁をとることで、よりいっそう強調されている気がする。――東雅夫氏評(bk1イチオシ新着棚) 『狂人の太鼓』 には、受け身の読書からでは得られない刺激がある。禍々しい絵がイマジネーション豊かに語り出す物語に、いっさい予備知識を持たずに想像力と読解力を駆使して、じっくりと読み耽っていただきたい。主体的な読書の愉悦を思う存分味わえるだろう。――笹川吉晴氏評(SFマガジン2003年1月号) 一番想像力を刺激されたのが、文字が一つもない小説、リンド・ウォード作 『狂人の太鼓』 の、120枚の木版画からなる物語。(中略)読む側は想像力をフルに発揮して物語を構築していかなければならない。読み手次第でいくらでも時間をかけられるぜいたくな本。――産経新聞・寺田俊也氏(12月23日) 読み終えるたび、最初のページに戻ってしまう。きめ細かく版画を眺めることで、物語をより深く読み解けるのではないかと期待するからだ。事実、読むたびに新たな発見がある。これでは睡眠時間が増えるわけがない。――日刊ゲンダイ・仙川環氏評 その他、SFマガジン、毎日新聞、日本経済新聞、産経新聞、北海道新聞でも絶賛!
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