【ジョン・ディクスン・カー/カーター・ディクスン作品】
グラン・ギニョール 夜歩く 絞首台の謎 髑髏城 蝋人形館の殺人 四つの凶器
エドマンド・ゴドフリー卿殺害事件
一角獣の殺人 九人と死で十人だ 死が二人をわかつまで
※本体価格(税別)で表示しています。

【夜歩く】
It Walks by Night (1930)

ジョン・ディクスン・カー
和爾桃子訳

パリの予審判事アンリ・バンコランは、サリニー公爵の依頼をうけて、整形手術で顔を変え、彼と新妻をつけ狙う殺人狂から護るために深夜のナイトクラブを訪れた。だが、バンコラン一行と警察が出入口を見張った密室状態の賭博室で、首を斬り落とされた公爵の無惨な死体が発見される。怪奇趣味、ロマンティシズム、密室――カー作品を彩る魅惑の要素が全て詰まった、不可能犯罪の巨匠の輝かしい出発点。

◆創元推理文庫 2013年11月刊 740円 [amazon]
◆解説=巽昌章
◆装画=森美夏/装幀=折原若緒+本山木犀


【絞首台の謎】
The Lost Gallows (1931)

ジョン・ディクスン・カー
和爾桃子訳

ブリムストーン・クラブのラウンジに置かれていた精巧な絞首台の模型。この不気味な贈り物に端を発して、霧深いロンドンに奇怪な事件が続発する。喉を掻き切られた死者を運転席に乗せて街中を疾駆するリムジン、伝説の絞首刑吏〈ジャック・ケッチ〉を名乗る人物からの殺人予告、霧の中で目撃された巨大な絞首台の影、そして地図にない幻の〈破滅街〉――悪夢の如き一連の怪事件に、訪英中のパリの予審判事アンリ・バンコランが挑む。全篇に横溢する怪奇な雰囲気と鮮烈な幕切れが忘れがたい余韻を残すシリーズ第二作。

◆創元推理文庫 2017年10月刊 740円 [amazon]
◆解説=若林踏
◆装画=森美夏/装幀=折原若緒+本山木犀


【髑髏城】
Castle Skull (1931)

ジョン・ディクスン・カー
和爾桃子訳

ライン河畔に建つ奇怪な髑髏城の胸壁から、著名な俳優アリソンが火だるまになって転落する事件が起きる。城の以前の所有者で、アリソンの友人でもあった魔術師マリーガーは、十七年前に走行中の列車から忽然と姿を消し、数日後、死体で発見されていた。関係者の依頼を受けて現地に乗り込んだアンリ・バンコランと、ベルリン警察のフォン・アルンハイム男爵、仏独を代表する名探偵が事件解決に火花を散らす。バンコラン・シリーズ第三作。

◆創元推理文庫 2015年11月刊 800円 [amazon]
◆解説=青崎有吾
◆装画=森美夏/装幀=折原若緒+本山木犀


【蝋人形館の殺人】
The Corpse in the Waxworks (1932)

ジョン・ディクスン・カー
和爾桃子訳

オーギュスタン蝋人形館へ入るところを目撃されたのを最後に姿を消した元閣僚の娘オデットが、翌日、セーヌ河で死体となって発見された。予審判事バンコランが、友人ジェフ・マールと娘の婚約者ショーモン大尉をつれて問題の蝋人形館に赴くと、老館主は彼に、最近、館内で女殺人鬼ルシャール夫人の人形が動き回るのを見たと打ち明ける。現場を確認しに地下の恐怖回廊へ向かった一行を出迎えたのは、セーヌ河に巣くう半人半獣の怪物サテュロス像に抱えられた女の死体だった……。歓楽と犯罪の都パリを舞台に、瀟洒な装いの下にメフィストフェレスの如き怜悧な頭脳をもつ “人狩り稼業のダンディ” アンリ・バンコランの活躍を描くシリーズ第4作。

◆創元推理文庫 2012年3月刊 860円 [amazon]
◆解説=鳥飼否宇
◆装画=森美夏/装幀=本山木犀


【四つの凶器】
The Four False Weapons (1937)

ジョン・ディクスン・カー
和爾桃子訳

ロンドンの法律事務所の青年弁護士リチャード・カーティスが、結婚を控えて元愛人の高級娼婦との関係に片を付けたいという顧客ラルフ・ダグラスに同行してパリ近郊の別宅へ赴くと、女はすでに殺されてベッドの上で冷たくなっていた。現場にはピストル、カミソリ、睡眠薬、短剣と、四つの凶器が残されていたが・・・。多すぎる凶器の謎とやがて浮かび上がる事件の複雑な背景。引退した元予審判事アンリ・バンコランが難事件の解決に乗り出す。シリーズ掉尾を飾る力作。

◆創元推理文庫 2019年12月刊  960円(税別) [amazon]
◆解説=真田啓介
◆装画=森美夏/装幀=折原若緒+本山木犀



【エドマンド・ゴドフリー卿殺害事件】
The Murder of Sir Edmund Godfrey (1936)

ジョン・ディクスン・カー
岡照雄訳

1678年、王政復古の英国、国王チャールズ暗殺計画の噂がながれるなか、謎の失踪をとげた治安判事サー・エドマンド・ゴドフリーは、その五日後、郊外の荒地の溝の中で、首を絞められ、胸を剣で刺された無惨な死体となって発見された。カトリック教徒の陰謀? 私怨による殺人? それとも偽装された自殺なのか? 謎は謎を呼び、噂が噂を呼んで、街にパニックがひろがる。相次ぐ密告とシャフツベリー伯爵率いる反国王派の策動により、事態は国家を揺るがす大事件へと発展した。やがて密告にもとづいて数人のカトリック教徒が逮捕され、裁判にかけられたが、ついにゴドフリーの死は多くの疑惑に包まれたまま、永遠の謎として残った。この英国史上最大のミステリに 〈不可能犯罪の巨匠〉 ジョン・ディクスン・カーが挑戦。陰媒渦巻くチャールズ2世治下の英国を鮮かに活写した歴史ミステリの古典的名作。
文庫化に際して、本書以降のゴドフリー事件研究の動向にも触れたダグラス・G・グリーン (評伝 『ジョン・ディクスン・カー/奇蹟を解く男』 著者) の序・跋を付した。


創元推理文庫 2007年3月刊 1240円 [amazon]
◆装丁=東京創元社装幀室 ◆装画=志村敏子
国書刊行会版 (1991)の文庫化。


【一角獣の殺人】
The Unicorn Murders (1935)

カーター・ディクスン
田中潤司訳

「ライオンと一角獣が王位を狙って戦った」 パリで休暇を楽しんでいた元英国情報部員のケン・ブレイクは、謎の言葉と美女イヴリンにつられて冒険行に出発した。嵐の中、ロアール河に建つ 〈島の城〉 にたどり着いた二人を待っていたのは、不時着した飛行機から避難した人々と、英国の外交官ジョージ・ラムズデン卿が携行する秘密の品をねらう、正体不明の怪盗フラマンドの大胆不敵な犯行予告。一行の一人になりすましているらしいフラマンドの逮捕を宣言した男は、その直後、衆人環視の中、悲鳴を上げながら階段を転げ落ちた。床に倒れた死体の額には、鋭い角のような物で突かれた痕があった……。フランスの古城を舞台に、稀代の怪盗、パリ警視庁の覆面探偵、ご存じヘンリー・メリヴェールが三つどもえの知恵比べを繰り広げる傑作探偵小説。文庫化。

◆創元推理文庫 2009年12月刊 950円 [amazon] [bk1]
◆解説=山口雅也
◆装画=山田維史/装幀=東京創元社装幀室
※『一角獣殺人事件』 (国書刊行会、1995) の改題文庫化。



ジョン・ディクスン・カー (1906-1977)
アメリカ生まれの探偵作家。1930年 『夜歩く』 でデビュー。以後、カーター・ディクスン名義もあわせて、密室殺人、人間消失、足跡のない殺人など、不可能興味満点の探偵小説を次々に発表。生涯、謎とロマンを追い求めた偉大なミステリ作家。カー名義の代表作に 『三つの棺』 『火刑法廷』 『ビロードの悪魔』、ディクスン名義の代表作に 『プレーグ・コートの殺人』 『ユダの窓』 などがある。