ミステリ短篇集の歴史的名作、ついに文庫化!
【カリブ諸島の手がかり】


T・S・ストリブリング
倉阪鬼一郎訳

南米の元独裁者が亡命先のキュラソー島で食事中に、ホテルの支配人が毒殺された。休暇で西インド諸島に滞在中のアメリカ人心理学者ポジオリ教授が解き明かす意外な真相──「亡命者たち」。つづいて、動乱のハイチに招かれたポジオリが、人の心を読むというヴードゥー教司祭との対決に密林の奥へと送り込まれる 「カパイシアンの長官」。マルティニーク島で、犯人の残した歌の手がかりから、大胆不敵な金庫破りを追う 「アントゥンの指紋」。名探偵の名声大いに上がったポジオリが、バルバドスで巻き込まれた難事件 「クリケット」。そして巻末を飾る 「ベナレスへの道」 でポジオリは、トリニダード島のヒンドゥー寺院で一夜を明かし、恐るべき超論理による犯罪に遭遇する。多彩な人種と文化の交錯するカリブ海を舞台に展開する怪事件の数々。〈クイーンの定員〉 にも選ばれた歴史的名短篇集。

河出文庫 2008年8月刊 本体950円 [amazon] [bk1]
◆解説=羽柴壮一
◆装画=影山徹

『カリブ諸島の手がかり』 (国書刊行会、1997) の文庫化。

◆『カリブ諸島の手がかり』 (国書刊行会版)
『このミステリーがすごい'98』 第6位
『週刊文春』 1997傑作ミステリーベスト
第11位
『もっとすごい!!このミステリーがすごい』 読者が選ぶベスト・オブ・ベスト 第10位

「ストリブリングの作品は、ミステリが辿ったかもしれないもう一つの歴史を示唆している」──山口雅也氏評
【収録作品】 亡命者たち/カパイシアンの長官/アントゥンの指紋/クリケット/ベナレスへの道

T・S・ストリブリング (1881-1965)
アメリカの作家、ジャーナリスト。アメリカ南部や黒人問題をテーマにした小説で認められ、『ストアー』 (32) でピューリツァー賞を受賞。30年以上にわたって書き継がれたポジオリ教授のミステリ・シリーズは、特異なテーマと透徹した文明批評によって、ミステリ史上に独自の輝きを放っている。本書以降のポジオリ探偵譚は 『ポジオリ教授の冒険』 (河出書房新社)、 『ポジオリ教授の事件簿』 (翔泳社) にまとめられている。