【柴田宵曲の本】
妖異博物館 正・続  明治の話題  明治風物誌  奇談異聞辞典

「明治風物誌」

柴田宵曲


西南戦争後の夜空に出現した西郷星、ペスト大流行と鼠供養の塚、團十郎人気と贋者たち、焼芋と明治文学、白秋 「東京景物詩」 にみる瓦斯燈の詩情、落書きのため借家を追われた青木繁、コックリさんと小波お伽噺。サーカス、野球、人力車、競馬、水族館、赤帽、バナナ、半熟玉子、軽気球、凌雲閣、新聞広告など、九十七の主題によって明治を語り、懐古した本書は、その静かな滋味あふれる語り口で、偉人文人たちの逸話を披露しながら、事物の考証を通して市井生活のささやかな詩情にも光を当てる。『明治の話題』 続篇ともいうべき一冊。(初版は1971年、有峰書店刊)

◆ちくま学芸文庫 2007年8月刊
◆装丁=間村俊一/装画=井上安治 ◆解説=加藤郁乎
◆本体1300円 
[amazon] 品切

【明治風物誌】 目次
序 森銑三
サーカス/ミラー公判/ポスト/野球/万年筆/西洋菓子/ペーパーナイフ/人力車/瓦斯/毛布/焼芋/珈琲/いちご/今川焼/木の実/絵はがき/ボート/ヴァイオリン/競馬/團十郎/日本橋/電車/火事/浪花節/巡査/ペストと鼠塚/虎/煙管/葉巻/汽車/大晦日/デヤボロ/不忍池/連隊旗/犬/植物園/噴水/水族館/赤帽/釣/扇風器/唱歌/西郷星/石鹸/新人/コックリさん/煙草/手品/照葉狂言/ラムプ/借り着/蝋燭/運動会/頒徳表/バナナ/ラムネ/煉瓦/豆腐屋/街路樹/蛇の目傘/楽書/下宿屋/同名異人/撞球/漬物/碁/郊外/半熟玉子/軽気球/変つたカルタ/居合抜/凌雲閣/お伽噺/洋書/仮装/悪筆/大頭/酒客/パノラマ/上野の戦争/パイプ/ハンケチ/単騎旅行/月並/天長節/画題/鞄/月賦販売/月見/超然派/新聞広告/鮨/ステッキ/蒲焼/汽車弁/蕎麦/雑誌
宵曲先生のこと (池上浩山人)/解説 希代の明治居士 (加藤郁乎)

柴田宵曲 (しばた しょうきょく)
明治30年(1897)、日本橋久松町の商家に生まれる。本名泰助。中学中退後、上野図書館に通って独学で俳句、文章に精進。句誌 「ホトトギス」 編集者を経て、「子規全集」 「分類俳句全集」 の編纂・校正に尽力した。三田村鳶魚の著述にも協力。俳句・近代文学・古典に関する著作が多く、著書に 『蕉門の人々』 『古句を観る』 『漱石覚え書』 『明治の話題』 『明治風物誌』 『妖異博物館 正・続』、編著に 『随筆事典/衣食住篇・奇談異聞篇』 などがある。昭和41年(1966) 死去。その名利を求めぬ生き方、飄然とした人柄について、共著 『書物』 もある親友・森銑三は、 「柴田さんを利用しなかったジャーナリズムも頼りないが、一生、ジャーナリズムに煩わされる所なく、趙然として一生を終った所にわが宵曲大人があった」 と語っている。1991年に 『柴田宵曲文集』 全8巻が小沢書店から刊行された。