【内容見本でみる国書刊行会 第6回】


すこし文学全集がつづいたので、このへんで国書伝統の復刻物を。
中原淳一主宰の少女雑誌 《ひまわり 復刻版》(1984)の空前のヒット(28,000円のBOXセットが飛ぶように売れ、中原淳一リヴァイヴァルは社会現象にまでなった)の後、《ひまわり》 につづいて《ジュニアそれいゆ》復刻版や吉屋信子らの少女小説が次々に刊行されたが、それに続く第二の鉱脈を探せということで、数年のあいだ、復刻企画が隆盛となった。

その動きのなかで生まれた企画が《復刻版 新青年》(1985)。

江戸川乱歩、横溝正史、小栗虫太郎、夢野久作、木々高太郎、久生十蘭、渡辺温、水谷準、谷譲次、獅子文六、徳川夢声・・・・綺羅星の如き執筆陣を揃えた伝説の雑誌《新青年》全400冊から、黄金時代の7冊を厳選復刻。推薦文は中島河太郎、中井英夫、都筑道夫の各氏。
「新青年 昭和六十年新春特別號」と銘打ち、「歴代編集長座談会」再録、都筑道夫、日影丈吉、権田萬治、海野弘、紀田順一郎、中井英夫、尾崎秀樹らのエッセー・評論、水谷準、横山隆一、乾信一郎、渡辺啓助らの思い出話(再録を含む)、「『新青年』所載主要作品総目録」を収めた別冊は、このあと《文学の冒険》シリーズを企画する編集部K君の労作。

《復刻 漫画少年》(1983)。これは《ひまわり》以前の企画。他に《野球少年》の復刻版もあった。

昭和20年代、戦後児童漫画の出発点ともいうべき月刊誌 《漫画少年》 を寺田ヒロオ氏の監修で復刻。推薦文は同誌の寄稿作家でもあった手塚治虫(火の鳥、ジャングル大帝)、藤子不二雄、石森章太郎(同誌でデビュー)の三氏。
この後、さらに時間をさかのぼって、『東京パック』など明治・大正期の漫画雑誌を復刻したコレクション《漫画雑誌博物館》も出た。こうした漫画復刻の流れは近年の《手塚治虫トレジャー・ボックス》などにも受け継がれている。

そして数ある国書復刻シリーズのなかでも、極めつきの珍品がこの《ゴジラ・コレクション》(1984)。

もはや本でも雑誌でもない。《ゴジラ》シリーズ劇場公開にあたって、東宝が制作した特殊宣伝材料、大小とりまぜて70点余を復刻してBOXセットにしたもの。プレスシートをはじめ、車内吊り、タイアップ広告、フォトニュース、はては ぬりえ や 紙相撲まで、多種多様な宣材コレクションはたしかにマニア垂涎。いつもとは勝手がちがう復刻素材の数々に、「こんなものが売れるのか?」と当時の制作部長は首をかしげていたが。なお、編者の「酒井敏夫」は特撮映画研究家、竹内博氏の別名義。国書刊行会では、竹内名義で復刻版《香山滋名作選》全7冊(1985)も編集している。


                                               

第5回<   目次   >第7回