【内容見本でみる国書刊行会 第6回】


《セリーヌの作品》(1978-2003)。
『夜の果ての旅』 『なしくずしの死』 で知られる異端のフランス作家 L=F・セリーヌの作品集。
このパンフレットも手がける杉浦康平+鈴木一誌の造本は、A5変型・角背・貼函入、漆黒の特染め布クロスの表紙に黒の箔押し、本文小口と天地も黒に染め、18歳未満御断り、オレに触ると危ないぜ 的なヤバイ匂いを漂わせた尖鋭的デザイン。 (個人的には、極彩色の 《世界幻想文学大系》 よりこちらを国書における杉浦+鈴木ベストワークにあげたい)
「なぜ私がこんなに 《卑語》 を、俗語表現を使うか。・・・それは、この言葉が直ぐ死ぬからだ・・・」 というセリーヌの言葉がめちゃくちゃカッコいい内容見本も素晴らしい出来ばえ。






推薦文は田村隆一、佐藤朔、小池滋、白井浩司の各氏。
「ここには巨大な敗北者の憎悪と歓喜が夢魔のようにうずまいている。しかし、真の文学は、常に必敗の文学ではなかったか」 (田村隆一)。
「皮剥がれ人間の酷たらしさ、血腥さ、嫌らしさを見せつける文学。そうした人間の怨恨、無念、憤怒、復讐にみちみちた小説、その作者セリーヌは二十世紀の呪われた文士である」(佐藤朔)。
パンフにはさらに、アンドレ・ジイド、レオン・トロツキー、ヘンリー・ミラー、ドリュ・ラ・ロシェルらのセリーヌ讃もちりばめられてる。
「彼は小説の革命家として現われた」(トロツキー)。
「枢軸軍を打ち破ったあとは、連中はセリーヌをたたきつぶしにかかるにちがいない。彼はヒットラーがかつて持った以上のダイナマイトをうちに蔵している。これは永遠の憎悪だ――全人類に対する憎悪だ。だが、なんて陽気な調子なんだ……」(ヘンリー・ミラー)

当初の全12巻の予定が15巻に増え、途中で監修者が降板したり、後半、配本間隔が異様にあいたりして、完結までなんと四半世紀を要したこのシリーズ、セリーヌ同様 「呪われた書物」 といえなくもないが (最後の方では、四年に一冊の 「オリンピック配本」、あるいは 「一人一冊(殺)」(次の巻が出るまでの間に編集者が辞めて、担当が変わってしまうため) とも呼ばれた)、同時に、長きにわたって熱心な読者に支えられた幸運なシリーズでもある。

                                               

第4回<   目次   >第6回