異色作家カーシュ傑作集、待望の文庫化!
【壜の中の手記】
ジェラルド・カーシュ
西崎憲・駒月雅子・吉村満美子・若島正訳
アンブローズ・ビアスの失踪という米文学史上最大のミステリを題材に不気味なファンタジーを創造し、エドガー賞(アメリカ探偵作家クラブ賞)に輝いた
「壜の中の手記」 をはじめ、無人島で発見された奇怪な白骨に秘められた哀しくも恐ろしい愛の物語
「豚の島の女王」、ジャングル奥地に棲息する軟体人間の驚くべき正体を明らかにする
「骨のない人間」、贈られた者に災厄をもたらす呪いの指輪をめぐる逸話
「破滅の種子」、18世紀英国の漁師の網にかかった極彩色の怪物の物語
「ブライトンの怪物」、戦争を糧に強大な力を獲得、死の帝国を築きあげた武器商人サーレクの奇怪な生涯を描いて強烈な
「死こそわが同志」 など、異色作家カーシュの途方もない奇想とねじれたユーモアにみちた傑作12篇を収録。
今回の文庫化に際して、晶文社版 (2002) に 「凍れる美女」 「壁のない部屋で」 の新訳2篇を追加、「狂える花」 は 《ファンタジイ・アンド・サイエンス・フィクション》 掲載の初出版(晶文社版)に約20枚の加筆を施したロング・ヴァージョン (短篇集 The Terribly Wild Flowers, 1962 所収) を収録しました。 (晶文社版から 「刺繍針」 「カームジンと
『ハムレット』 の台本」 を割愛。カームジン物に関しては、シリーズ全作を
『犯罪王カームジン』 として刊行)
◆角川文庫 2006年11月刊 本体552円 [amazon]
◆解説=山之口洋
◆装画=木村晴美
どこをとっても残酷で哀れ、また、非常に崇高な話でもある。
――宮部みゆき氏
ジェラルド・カーシュというのがこんなにすごい作家とは、思っていなかったんですね。これはほんとに、奇跡のように生まれた作品だと思いました。
――北村薫氏 (「豚の島の女王」 評より) |
◆『壜の中の手記』 (晶文社版)
週刊文春 傑作ミステリー・ベスト10 第5位
このミステリーがすごい!2003 第6位
SFが読みたい 2003 第10位 |
【収録作品】 豚の島の女王/黄金の河/ねじくれた骨/凍れる美女/骨のない人間/壜の中の手記/ブライトンの怪物/破滅の種子/壁のない部屋で/時計収集家の王/狂える花/死こそわが同志/カーシュ小伝
(西崎憲)/ 奇想の秘められた源泉 (山之口洋) |
ジェラルド・カーシュ (1911-1968)
イギリスの小説家。用心棒、パン屋、レスラー、新聞記者などの職を転々としながら文筆生活に入り、ミステリ、SF、怪奇小説、戦争小説など、幅広いジャンルにまたがる夥しい作品を発表した。長篇
『夜と街』 は二度映画化され (ジュールス・ダッシンの
《街の野獣》 はフィルム・ノワールの古典として名高い)、奔放な想像力と独創的なアイディア、特異なスタイルをもったその短篇には、エラリイ・クイーンやハーラン・エリスンといった目利きたちが熱烈な賛辞を寄せている。日本オリジナル傑作集
『壜の中の手記』 『廃墟の歌声』 (晶文社)
は近年の異色作家リヴァイヴァルの先駆けともなった。
◆カーシュ著作リスト |

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