【アンチクリストの誕生】

レオ・ペルッツ
垂野創一郎訳

ある夜不思議な夢を見たパレルモの靴直しは、夢判断によって生まれたばかりの子供が 「偽預言者アンチクリスト」 だという確信を抱く。思い悩んだ男がとった行動は……二転三転する展開が読者を翻弄する中篇 「アンチクリストの誕生」。他に、ロシア十月革命時の暗号解読を題材にした 「主よ、われを憐れみたまえ」、代々月を恐れ憎んできた一族の物語 「月は笑う」、降霊術奇譚 「ボタンを押すだけで」 など、全8編を収録したレオ・ペルッツ中短篇集。

◆ちくま文庫 2017年秋予定 [amazon] [honto]
◆装丁=山田英春


【収録内容】
「主よ、われを憐れみたまえ」
一九一六年十月十二日火曜日
アンチクリストの誕生
月は笑う
霰弾亭
ボタンを押すだけで
夜のない日
ある兵士との会話
 訳者あとがき
 解説 皆川博子

レオ・ペルッツ (1882-1957)
プラハ生まれのユダヤ系作家。18歳でオーストリアに移住。コルテスのアステカ征服に材を採った歴史小説 『第三の魔弾』 (1915) で注目を集め、ナポレオンのスペイン侵攻を背景にした 『ボリバル侯爵』 (20)、実験的な探偵小説 『最後の審判の巨匠』 (23) などの幻想的な歴史小説や冒険小説で人気を博した。ナチス・ドイツがオーストリアを併合するとパレスティナへ亡命。戦後の代表作に故郷の街プラハを重層的に描いた 『夜毎に石の橋の下で』 (53) がある。ボルヘス、カルヴィーノ、グレアム・グリーンらが愛読。物語の面白さを熟知したエンターテインメント作家であると同時に、その多重的な語りが注目され、1980年代以降、世界的な再評価が進んでいる。