トップ ひんがしの杜・信太郎池の謎へ 東高あの時あの頃
1968年4月から1997年4月
函 館 東 高 に 理 数 科 誕 生
 1968(昭和43)年4月、函館東高に主に理数ついての専門技術や知識を習得するために「理数に関する学科」(理数科)が設置されてた。全道では、札幌啓成、旭川西、函館東の3校で始まった。
 「自然科学や数学に強い興味と、その学習にふつわしい能力、適正を持ち、しかも、この学習を一層深めたいと希望する生徒に対して理科、数学に関する教員計画的に行い、その能力を高める」という目的で、「高度に専門化された教育ではなく、むしろ基本的な事項に重点を置いた指導を指導が中心であり、世間一般のエリートコースといったものではない」と説明されたという。
 設置当時、この問題に対して生徒は、ホームルームやグループでの討議を行い、賛否詳論をたたかわせた。
 当時の青雲時報には、戦後の教育論、諸外国の教育事情にも触れ、大きく取上げている。
 TKH(東高放送局)のインタビューで当時の校長先生は「理数科は理科数学方面の能力のある者の力を伸ばすためのもので特別な入試準備教育やエリートコースではない」と断言した。
 しかし、理数科を第一志望にして普通科を第二希望にする募集をしている。カリキュラムや授業時間数も違っていた。
 そのようにスタートした理数科は1997(平成9)年3月閉科となり、29年の歴史を閉じる。
 東高あの時あの頃のひとコマとして、誕生当時の様子を「青雲時報」や生徒会誌「ひんがし」の中から拾ってみた。
■ 市教委に聞く(昭和45年理数科が1学級から2学級に増設される)

●理数科増設の意図は何か→ 学級編成による。偶数級のほうが体育などの時につごうがいい。また(昭和)43、44年の志望率からみても2学級に増やしていいという点が考えられる。
●理数科卒業生の社会への役割は→社会が過大評価してはいけない。長い目でみる必要がある。生徒は理数科や数学に興味をもってやってくるのだから。―― これは「英才教育」などしていない。また理数科は社会のために実際的な訓練はしていないということと。だが、「理数科が大学の理工系に進学した場合は普通科出身者にくらべて、この方面の基礎能力がしっかりついている」(理数科の設置と生徒募集について)という面からの理数科は、大学を受験する生徒の予備校化となる可能性をはさんでいる。また「(前略)わが国の科学技術を高めることにもなり、その意義は極めて大きい云々(前文と同)という理数科本来の目的に帰れば、函館の現状論だれでは判断できないことではないかということに気づかないか?
●普通科と職業科の比率はどのくらいが理想か→ 6:4ぐらいがよく、せめて結っても5:5ぐらいだろう(北海道の公立高の比率は約57:43(昭和45年5月)である)
●学校と市教委の関係は→ 函館市が市教委を通じて検討、設置者とも連絡をとる→議会の承認→校長を補助執行者とする。
●技術革新時代の「社会的要請」を感じるか→ 感じる。
●高校教育の「多様性」は必要か→ 個人にみあった多様化は必要である。
●教員の展望→ 未来に一人一人が希望を持つ人間教育と生徒先生の一致団結した教育が必要だ。

■ アンケートからの報告

*理数科を選んだ理由
 ○落ちても普通科に入れた ○理数科数学が好きだったからetc
*理数科を選んでよかったか
 ○《良かった》 〔1年〕36→16 〔2年〕18→16 〔3年〕23→13
 ○《悪かった》 〔1年〕36→14 〔2年〕18→0  〔3年〕23→5
*理数科においての雰囲気
 ○普通科と変るところがないと思う。
*不便な点は
 ○7時間でクラブに遅れる。委員会の時困るぐらいで別に大きな不便さはない。
*アンケート集計の感想
 ○1年生は、理数科を選択して悪いと答えたものが約40%いる。
 ○全般的に普通科とは同じだという意見が多かったことetc
                                          1971年3月10日発行生徒会誌「ひんがし」7号より
☆理数科の思い出(1974〜1976年)

 私は、福島県の県立高校の理数科から転校して来ました。当時(1974年)、私の通っていた県立高校の理数科は1クラスで、女子の人数は例年2〜4人程度でしたが、運悪く(?)我が学年は女子が0で、質実剛健な校風と相俟ってバンカラそのものでした。

その後、父の転勤に伴い、2年次より函館東高の理数科に編入しました。2クラスあり、ほぼ半数が女子であり、服装は自由であり、あまりの雰囲気の違いに驚きました。また、自由闊達な校風や個性豊かな先生や仲間達・・・・見るもの聞くもの全てが新鮮でした。おかげ様で楽しい高校生活を送ることが出来ました。

私が函館で暮らしたのは、高校2〜3年の2年間だけですが、今でも本当に良い思い出です。
                                          2009.8.30 駒木根 淳 さん(27回生、昭和51年卒)

理数科の思い出を募集しています。・・・ブログ
☆理数科をめぐって 民主化への大転換、施設補助300万がくるという
                           1966(昭和43)年青雲時報第77号より



☆理数科をめぐって 19698昭和44)年12月20日発行「青雲時報」第81号より

☆多様化を目指した理数科 1996(平成8)年7月25日「青雲時報」第143号 (尚、後半記事はない)

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