○ 『劇場版のんのんびより ばけーしょん』
74分とタイトで、いい映画だった。
いつものメンバーが沖縄旅行に行くというだけの話だが、旅先で友達ができ、別れるのがつらくなり、その気持ちに整理をつけて帰ってくる、という段取りがきちんとなされていて、実に映画らしい映画になっている。TVシリーズでも時折はっとさせられるほど「映画的」な絵があるのがこの作品だが、類似作品が山ほどある中で長く支持され続ける理由はこのあたりにあるだろう。
れんげは沖縄旅行の間に、「灯台」「海」「イルカ」の絵を描こうと決めている。そのミッションを果たせるかがお話の軸になっているが、結果的にイルカの絵は描けなかった。
その替わりに描いた3枚目の絵が、重要な小道具になっていて感心させられた。ドラマ作りに世界の危機など必要ない。
大きな見せ場に夜の海のシーンがあり、アニメで夜光虫の表現をしているのを初めて見た。
パンフレットから、音楽:水谷広実のインタビュー。
川面監督は作曲の発注の際に色で指定したりもするんです。「ホワイトをこれだけ強くしたいんです」みたいな。監督的には「発注の仕方は分からないので言いたいことだけ言ってあとはおまかせします」ということらしいんですが(笑)。まるで目で音楽を見ているかのような、そういう感覚が研ぎすまされているんだなと思いましたね。
○ 『君の膵臓をたべたい』
この映画には一つ欠点がある。うるさすぎて眠れないことである。
主役も脇役も全員バカで不愉快な奴ばっかりで、開始5分くらいで見切りをつけて寝ることにした。本当は帰りたかったのだが、列の真ん中だったので。なんだけど、不思議なことにつまんない映画に限って眠れないものなんだよね。
そもそも何でこんな地雷物件を観に行ったかというと、実写で駄目な映画でも、アニメ化したら観られるものになるかもしれないという期待があったからである。
結果、駄目な映画をアニメ化すると輪をかけて駄目な映画になるということが分かった。
○ 『カメラを止めるな!』
地元でも公開が始まったので、今ごろになって観てきた。評判通りおもしろかったです。アイデア一つで、低予算もスター不在もなにするものぞ。こういう映画大好き。
ポン!(とりあえず)
上田慎一郎監督の制作日誌に「(編集で)グルーブ感を目減りさせる湿っぽい人間ドラマは限界まで削ぎ落とした」とあって、そうそれでいいんだよ、とまさに膝を打つ思い。
ちなみに『膵臓』と同じ日にハシゴ。映画の極致と最底辺を一日で体験した。
|