ちょっと凄いものを観てしまったので報告しておく。
金澤勝眞監督の伝奇エロアニメ『螢子』。ゲームからのアニメ化だが、ゲーム自体の原作を金澤が手がけている。
閉鎖された島に祀られた古き神の伝承。それにまつわる悲劇を、濃厚な血とエロスを交えて描いた傑作。作画陣にも見たような名前がちらほら。特にクライマックスシーンの大胆きわまりない演出には驚かされた(プレーヤーの故障かと思った)。
本作がきっかけで、金澤勝眞作品を追いかけている。
ウィキペディアによると、金澤は元々はキッズアニメの原画、演出を数多く手がけていたが、やがてアダルトアニメに活躍の場を見出し、かの『School Days』にも参加している。
2009年、惜しくもガンで逝去。
金澤作品には、不老不死、永遠の若さ(ずばり『回春』というタイトルがある)、死者の蘇生といったモチーフがしばしば見られる。この『螢子』でも、肉体を乗り換えてでも生き延びようとする姿を描いているが、それを必ずしもおぞましいもの、浅ましいものとみなしてはいない。本作は2004年に発表されているので、制作当時に金澤が自身の体の変調を自覚していたかどうかは微妙なところである。私は、過度に作家主義的な読解があまり好きではない。「過度に作家主義的」というのは例えば、「監督が子どもの頃両親が離婚して父方に引き取られたので母を求める作品ばかり作るのだ」みたいな読み方のことである。しかしこと金澤作品については、本人の人生を重ねずにはいられない。
ついでにちょっと苦言を。
最近、古いアダルトアニメがDVD化されることがよくある。それ自体は喜ばしいのだが、旧作はスタンダードサイズなので16:9の画面に映すと左右に黒帯ができる。その黒帯の部分に、イラストを映すという仕様がしばしば見られるのだ。
サービスのつもりか知らんが、はっきり言って観づらい。何より、本編の色彩設計にも悪影響があると思うのだが。
たかがエロアニメとは言え、作品は作品である。ぜひ改善してもらいたい。
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