あまり目立たないが、これもすごい作画アニメ。写実的でありながらアニメらしい誇張のある動きがとても気持ちいい。
オープニングの、私の好きなカットを紹介したい。動きもさることながら、画面構成がとてもダイナミック。
西浦高校の主力選手、田島(手前)と花井(奥)。カメラは花井を追うので、矢印のように花井は画面左へ、田島は右へ移動する。

人物2人が交錯しつつ、花井は手に持ったバットをぐるりと一回転させる。

カット尻に、田島は体の前に構えたバットを振り下ろす。

この上下左右に動きのある画面作りが、次のカットでもう1度反復される。
百枝まりあ監督通称モモカンが、画面左へ。奥の選手たちは右へ移動する。モモカンの髪は動きに合わせて右へなびく。

次いで左手に持ったオレンジを上へ投げ上げ、

カット尻、左手の手袋を口にくわえて、手を下へ引き抜く。

いずれも、重層的な人物配置で画面の奥行きを生かしつつ、上下左右へ−画面の外へと向かう動きを与えている。
「高校野球」という題材と相まって、これが、作品に込められたエネルギーと伸びやかさを印象づけているのだと思う。
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