【内容見本でみる国書刊行会 第1回】


第1回は、国書刊行会草創期の大型企画 『風俗画報』 復刻版 (1973-79)。



明治22年創刊、大正5年まで発行されたグラフィック・マガジン 『風俗画報』 は、明治・大正の風俗・世相・事件を 「絵」 でみせてくれる貴重なヴィジュアル史料 (第1期は明治22-30年分を復刻)。当時、企画が競合した別の出版社から 「創立3周年記念」 なんて聞いたことがない (ふつうは最低でも10年だろう)、と揶揄されたというが、その国書刊行会がめでたく40周年を迎えたのは慶賀のかぎり。(対抗する某社はその後まもなく倒産。当時の両社を知る紀田順一郎氏の 『内容見本にみる出版昭和史』 (本の雑誌社) にその顛末が記されている)
「現在、経済大国といわれるわが国は、良否は別にいたしまして大きな時代の曲がり角に立っているように思われます」 と始まる 「復刻にあたって」 (編集部) という文章も時代を感じさせる。「推薦のことば」 を寄せているのは、和歌森太郎、宮尾しげを、岡村一郎 (川越市立図書館長) の各氏。
『風俗画報』 復刻版は、企画の競合もあって営業的には大成功とはいかなかったが、復刻出版界に国書刊行会という新興会社の名を知らしめるには大きな力があった。後年、同社では、この 『風俗画報』 を素材に、『目で見る江戸時代』 『目で見る明治時代』 などの再編集本を制作して小ヒットをとばしている。

                                               

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