文化技術の方法  theory of the liberal art

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第1章.文化技術とは



第2章文化技術の方法

1.課題
(10.03.31更新)



2.組立て
(10.03.31更新)




第3章.
三木清と文化技術
(09.11.30)


第2章 文化技術の方法  theory of the liberal art


1.課題

 
 わが国において「技術」が「芸術」から区別して定義されたのは、西周が「百学連環」の中で「学術の二字、則ち英語にてはScience & Art」と言い、「術にまた二つの区別あり。mechanical art (器械技)and liberal art(上品芸)。原語に従うときはすなわち器械の術、又上品の術という意なれど、今かくのごとく訳するも適当ならざるべし。故に技術、芸術と訳して可なるべし」と指摘したことに起因する。(飯田賢一 「一語の辞典・技術」 三省堂 1995.12.1)
  この小論では文化技術を liberal artと同義としたが、既に明治の初めにおいて、わが国の学芸発展に大きな足跡を残した西周が類似の考え方を明らかにしていた。

  いささか我田引水のそしりを招くが、ここでの立論に即して敷衍すると、そもそも大きな括りとしての技術には、「mechanical art」と「liberal art」の二つの意味が込められている。今日、とかく科学との関係で使用される技術は前者の用例であるが、それと並行して後者も重要な位置を占めていたと言える。

  西周の存在は余りにも大きく、その影響力は絶大であった。時代の経過とともに「アート」は、絵画や音楽、演劇などを内容とする「芸術」と同義語のごとく使用されるようになった。然るに今日、生活水準の向上と価値観の多様化にともない、「アート」は、広く「教養」全般に係る「Liberal Art」 として本来の意味が見直されている。

2.組立て

 
わが国は戦後、平和国家・産業立国を国是に目覚しい発展を遂げてきた。21世紀にわが国が目指すべきは国家像は経済力に加えて高い文化力を持っ平和国家の建設である。

  上記の目標達成には科学技術の育成とともに文化技術の深化が欠かすことの出来ない要素である。ここで新たな国力を測る尺度として「国家成熟度」なる概念を提示したい。

 それは次のように定式化される。

        国家成熟度=資本構成(物的/人的)+技術水準(科学/文化)

 国家成熟度は、物的資本及び人的資本、科学技術、文化技術の4要素から構成される。このうち、物的資本及び人的資本、科学技術の3要素は、経済面から国家を支える。これに対して、文化技術は、ソフト面から国家成熟度の水準を高め、わが国が国際社会において、名誉ある地位を占める基盤となる。