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野 呂 幸 司 氏 と 「凍れるいのち」
 野呂幸司・函館東高青雲同窓会元支部長(東高8回生・昭和33年卒)の人生を綴った「凍(しば)れるいのち」が、2006年12月29日、白艪社からノンフィクションとして出版されました。ここにOB情報として、紹介させていただきます。
 尚、野呂氏には当ホームページ掲載にあたり、校正していただきました。感謝いたします。
                                                           2007.8.1 管理人
 『これは「いのち」を考える話である。昭和38年1月1日、旭岳で遭難死した十人の学生アルピニストと、たった一人生還した野呂幸司の「いのち」の生き方の話である。』と著者・川嶋康男氏は本の後期で記している。

 「あの新田次郎が来ても(遭難事件について話すことを)断っていたが、今度、自分のことを本に出すことにした」と昨年8月の函館東高校青雲同窓会の2次会で、野呂さんは語っていた。新田次郎氏は、社会人登山家草分け加藤文太郎の生涯をたどった「孤高の人」、「栄光の岩壁」、「銀嶺の人」など数多くの小説を出筆し、日本における山岳小説の第一人者だった。

 函館東高山岳部黄金期に、野呂さんは山岳部部長となる。当時、大学山岳部にも劣らぬ活動をしてたという。OBとなっても、東高山岳部とのつながりを持っていた。(函館東高・現市立函館高山岳部(昭和34年の写真参照) 昭和34年4月、北海道学芸大学函館分校に入学し、山岳部に入部。 そして、昭和37年12月23日、野呂幸司をチーフリーダとし、東高OB6人を含む11名の学芸大学函館分校山岳部表大雪冬山合宿が挙行された。


  その内容について、函館東高校山岳部以来の山の同志で、愛称テンプこと佐々木典夫さんのくだりを本の中からかいつまんで紹介することとする。

 「1月1日、パテイーに参加できず函館にいた佐々木典夫は、旭岳での遭難の知らせを受けると秦顧問や後輩とともに学大の第一次捜索隊に加わり、岳友の捜索に身を投じた。
 9日間の捜査で発見された6人の友と、いまだ旭岳に眠る4人の亡骸を発掘するため、学大山岳部が中心となって行われた第二次捜査においても、佐々木典夫は自らの卒業を延ばして捜査隊の先頭に立った。
 仲間の亡骸を自分たち岳友の手で探し出す。野呂とともに山岳部を引っ張ってきた佐々木は、凍傷で両足を失いかけている野呂に代わり、強い決意で人生の舵を切り替えたのである。」 同年7月、3ヶ月も旭岳斜面を過ごして、函館駅に降りた。
 その2年後、教師となっていた佐々木は、帰郷して山岳部と山の会の総会に顔を出し、現役とOBとの一行11名の横岳スキーツアーに参加した。一行が横岳荘に近づきつつあるところ、猛烈なブリザートに見舞われた。佐々木は、元気な9名を先に行かせ、転倒して動けなくなった山岳部員を看取ることにした。横岳荘1キロ手前で、ビバークした二人は、仲間の救助が間に合わず、闇の中に倒れた。
 「野呂は佐々木典夫に対して周囲が抱いた”神格化”したイメージが命取りになったと分析する。仮に進士を一人残して自分だけ横岳荘のヒュッテに辿り着いたとしたら、そして進士がそのまま凍死したら。佐々木典夫の脳裏を旭岳から生還した野呂のイメージが重なったかもしれない。」

 現在、株式会社 ディール企画の代表取締役として第一線で活躍している野呂さんが、実は「身体障害者第一種第三級」者であった。少なくも外見では知ることは出来そうもない。

右の写真は、平成19年5月26日に函館東高・関東青雲同窓会の時の写真である。
元気高らかに、母校の校歌、応援歌を歌っている。
 
 今なぜ45年もの沈黙を破り、明らかにしたのだろうか。「この頃、子どもの自殺など、いのちが軽視されている。いのちの尊さを知らせたかった。」と平成19年東高関東青雲同窓会の挨拶で述べている。
                                                               2007.8.1 管理人
 
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「凍れるいのち」に関する資料をインターネット上で調べてみました。
花のSakaguの気まぐれ日記 「凍れるいのち」・・・当時の関係者の話、コメント5通も見所。+ 2通管理人に対するコメント有
のほ本 凍れるいのち・・・・・本の感想文
北海道大学山岳部・山の会・書評 凍れるいのち・・・・・北大アルピニストの書評とそのコメント3通
BLOG、道南ミュージアム 凍れるいのち
読恋書 凍れるいのち(川嶋康男)
クライミング・ブック・ニュース 「凍れるいのち」
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