Genesis Phonogram Originals

 Phonogram76年のTrick Of The Tale から81年のAbacabまでの5枚。 (2枚組のライヴ2種を含めると7タイトル)である。その後、Virgin傘下となり、We Can’t Danceからは遂にCharismaの名前は消滅する。2007年春から予定されているSACD/DVD5.1chのリリースの第一弾がこのPhonogram5枚となる予定だ。  どのようなサラウンドミックスになるのか楽しみである。




A Trick Of The Tail CDS4001 Charisma/Phonogram Feb. 1976

 ここからはPeterが抜け、残った4人での活動になるわけだ。発売当時76年の2月頃だったか、このアルバムを目にして当然すぐに買った。中のクレジットを見てPeterがいないのに気がついた。ああ、もうGENESISもオシマイか・・いい夢みたなぁ というのが第一印象だった。ところが、聴いてみると いいんだこれが。実にいい出来だ。Lambまでのミステリアスな部分は後退したものの、曲、演奏力、アンサンブルどれもが素晴らしく、これならやっていけるかも?と思ったのを覚えている。その印象は30年経った今でも変わっていない。Lambまでは常に最新アルバムが最高傑作というのが私のGenesisに対する評価だった。それからすると、最高傑作とは言えないかもしれないが、その後の作品と比べてもかなり上位にランクされる傑作であることは間違いない。メンバーもそれなりの覚悟で制作した作品なのだ。バンドの存続を賭けた試金石なわけで、これがダメなら解散も覚悟したはずだ。本人たちも最初のセッションでSqunkを合わせたら、いい感じだったのでこれならイケると腹を決めたようだ。曲はどれもが素晴らしい。オープニングのDance On はやや単調なきらいがあるが、Genesisならではのバンドアンサンブルで飽きることなく聴かせる。A2 EntangledはBanks/Hackettの合作でメロ、アレンジが美しい名曲。A3のSqunkはバンドの存続を決めた曲だけのことはある。シンプルだがグイグイ引き付ける強力なリフが素晴らしい。A4 Mad Man MoonはTony作。イントロのヴォーカルの導入部からして最高の名曲。ウタバンのSteveのギターがこれまた素晴らしい。なのだが、中間部のインストが冗長でダレる。これがCamelのSpirit of the Water のように2分くらいの長さだったらGenesis史上最高の名曲になったかもしれない(笑)B1 RobberyはいかにもB1に配置されそうな曲。中間部のインストの冴え具合といったら、ちょっと他のバンドには真似ができない。メロトロンが入ってくる瞬間はGenesisの素晴らしさを最も感じさせる部分だ。B2 RipplesもEntangled風の名曲だ。こちらもインストパートはSteveが光っている。B3 Trickはタイトルトラック。小品だが名曲だ。
B4 Los Endosは当時コンサートのエンディングを飾ったダイナミックな曲だ。ドラムソロのあとにこのフレーズが来るとフツーのGenesisファンは昇天してしまうのだ。とにかく密度の濃い、これでもか というアルバム。逆にここに注力し過ぎたのか、W&Wではちょっと気が抜けたのかもしれない。W&Wも悪い内容ではないのだがTrickのあとでは見劣りしてしまう。
というわけで、私にとっての「最新作が最高傑作」というGenesisはこのアルバムで止まったのだった。

 

Printed in The Netherlands credit

上:初回 下:2nd BV-Zaandam/Holland credit

上:初回 下:2nd inner bag round cut on late issue

Copyright Control credit label


 オリジナルリリースはこのアルバムからPhonogram配給になる。

Charismaが長かったB&Cとの契約を打ち切ってPhonogram傘下になったのは75年5月前後と思われる。レーベルはB&C時代のSmall Mad Hatterが継承された。

このアルバムのオリジナルの特定は全Genesisのアルバム中最も難解だ。

まず、ジャケット。黄色地のテクスチャー見開きジャケットにイラストのインナーバックが附属する。背中にはバンド名などのクレジットはない。Lambと同様、オランダ製なのだが、Printed and made by Bruin BV-Zaandam/Holland
と内ジャケの中央左下にクレジットされているものが初回とされている。しかし、私が発売当時買った盤は ここにはクレジットがなく、見開き右下にPrinted in The Netherlandsとあった。これといって、見分ける特徴はないが、背中の内側の折り方の違いとか、内ジャケ左側の文字横のスペースが幾分広いようだ。

Bruin BV-Zaandamのものはこの部分が幾分狭くなっている。他には英Rober製のがっしりした厚手のジャケットがあるが、リリース時のはNetherlands表記のものだったと思われる。盤のマトリクスもNetherlandsには1/1が入っているし、Bruin BVにはマトリクスが進んだものもある。Roberに至っては極端に進んだマトリクスの盤になっている。これらのことから、初回はPrinted in The Netherlandsのジャケットと思われる。数はBruin BVと比べると圧倒的に少ない(1/10以下)。

インナーバック
初回のものはわりと厚めの紙が使われており、レイトになると紙が薄くなる。レコード取り出し口のカットは無いものが初回と思われる。カット形状は丸形と台形と移行するようだ。さらに右下にCDS4001の表記がある。これも表記があるものがレイトだと思う。

レーベル
Phonogram表記はいいとして、版元の表記が2種類存在する。初回のものはcopyright controlだが、その後 FuseMusicに移行する。マトリクス1/1のものでもFuse Musicがあるので、注意が必要だ。

マトリクス
CDS4001 A//1 B//1が初回で、その後どんどん進む。初回レーベルでは9まで確認。音質は圧倒的に1/1が素晴らしい。中でもテストプレスは抜群だ。同じマトリクスなのにこの瑞々しさはどう言えばいいのだろう。レイトの初回マトリクスの差とは明らかに違う鮮度が感じられる。 


                    Copyright Control credit

                       Fuse Music Ltd credit




Wind And Wuthering CDS4005 Jan.1977 Charisma/Phonogram



Fuse Music credit small mad hatter label


innerbag  上:カットなし 下: round cut

ジャケット
テクスチャーのシングルジャケットに歌詞クレジットのインナーバックが付く。背中にはバンド名とタイトル、CDS4005と記載がある。その他特に目立った特徴はない。Virgin配給のものと見分けるのに裏側のPhonogramのマークを確認するくらい。テクスチャーでPhonogramであれば一応okでしょう。

インナーバック
これも特に特徴のないものだが、取り出し口のカットのあるものとないものがある。どちらも初回時のジャケットには存在するようで、どちらが初回とは言えないようだ。

レーベル
Small Mad Hatter、Phonogram表記 出版社はFuse Musicとなる。

マトリクス
市場に多く出回っているのはA2/B3だ。A2/B2が初回とされているが、極めてレアなA2/B1が存在する。未確認だがA1/B1が存在する可能性も捨てきれない。音はさすがにB1はB2よりも一段と鮮度が高く、楽器の分離がよく明快な音質だ。これを聴くとB2は聴く気になれない。
元々がTrickよりも良い音のレコードとは言い難い。ラジカセでもバランスよく鳴るようにマスタリングしたということだ。そのせいか、低音が薄く、スカスカ。バスドラがほとんど聴こえない。しかし、Afterglowにはタウラスの通奏重低音がきっちり入っているところがGenesisらしい。



Genesis B&C Originals
A Trick Of The Tail
Wind and Wuthering

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最終更新日: 2007年2月04 1800