毎度旬を外した話題ですみません。
『Newtype』2017年2月号に掲載された例の記事、今さらながら読んでみたので、印象的だった部分を抜粋。
今年2017年のアニメ業界はどうなると思うか、という質問に対して。85~89ページから引用。
スタジオディーン 野口和紀(取締役)
OA作品が普通に落ちたり(放送が飛んだり、再放送が入ったり)ちょっと嫌な雰囲気ですね。海外勢の参入により、一見景気はよくなっているのですが、業界的にはますます人材難が予想されます。
クオリティに対しての要求はさらに高まり、2つの相反する要求をどう解決していくかが、悩みどころです。ライツビジネスに移行できない中小の制作会社は正念場になると思います。君は、生き延びることができるか!的な。
セブン・アークス・ピクチャーズ 康村諒(代表取締役プロデューサー)
(前略)
こういったこと(引用者注:スケジュール破綻)が続けて起こっていくと、アニメ業界自体の信用がなくなっていくでしょう。信用がなくなれば、仕事を得るのが難しくなり、産業は簡単に崩壊していきます。でも、だからこそ、業界全体での協力体制が必要だと思います。また、常に注意深くスタッフと協力しあい、全体のスケジュールと品質管理が必要です。プロデューサーの胃が痛い日々が続くでしょう。
WHITE FOX 岩佐岳(代表取締役)
「スタッフを集める」ことと「スタッフを育てる」こと。この違いを制作会社が認識していかないと、手描きアニメは崩壊するでしょうね。今は僕たちも社内の状況改善に努めるのが精いっぱいですが、新人を技術以外も含めて教育していくことの重要性を業界全体で考えつづけていく必要があると思います。(後略)
あくまで印象だけれども、老舗ほど現状をシビアに認識しているように見える。
project No.9 糀谷智司
(略)
業界全体に関しては、日本だけだと出資が集まらない、円盤の売り上げが落ちている、ビジネスとして成り立たなくなりつつある、というのが現状です。これからはアニメ単品で売るより、アニメを宣伝材料として、メインはメディア展開、という形式が増えると思います。ライブでグッズを販売したり、イベントを開催したりして資金を回収するビジネスモデルが今よりも増加するでしょう。また、海外へ目を向けた作品を増やしていくべきだと思います。海外からの出資が増えているのは時代の趨勢で、これからもその傾向は強くなっていくでしょう。円盤も海外展開していかざるを得ないです。アニメを軸に、海外も視野に入れたメディアミックスをいかに仕掛けていくかが課題だと思います。
考えてみれば、TVアニメは元々30分かけたおもちゃのコマーシャルだったのだから先祖帰りと言えなくもない。一方で、海外で売るために内容をあちら向けに調整すると国内でも海外でも売れなくなる、というジレンマの歴史を繰り返しているわけで、悩ましいところだ。
単純に面白かったエピソード。
テレコム・アニメーションフィルム 堀川優子(制作進行)
(略)
原画マンさんによって原画上がりの紙のヨレ具合は違ってくるのですが、小池(健)さんの上がりは製本された冊子のように美しいんです。折れ目がひとつもない。いったいどうやって作業しているのかとても気になりますが、小池さんの作業机は「小池バリケード」と呼ばれるパーテーションで仕切られているんです(笑)。そういった謎に秘められた(原文ママ)ところも、小池さんの魅力だと思います。
希望のもてる話として、最近注目している作家。挙がっているうち、私が知らなかった名前だけ列挙してみた。
アニメーター
今西亨
渋谷秀
佐藤号宙(なおき。CG)
諏訪真弘
満田一
式地幸喜
青木康浩
西位輝実
草間英興
西村理恵
牧野竜一
馬引圭
岡田有章(ともあき)
大沢美奈
渡辺奏
菅野芳弘
三宅舞子
菅原美幸
黒澤桂子
さとう陽
演出家
肥塚正史
倉田綾子
廣岡岳
富安大貴
古川知宏
堤大介
菱田正和
玉木慎吾
宮本浩史
遊佐かずしげ
及川啓
吉平直弘
白井俊行
・・・ところでこのアンケート、Ordetには聞かなかったのかしら。
|