更新履歴と周辺雑記

更新履歴を兼ねて、日記付け。完結していない作品については、ここに書いていきます。

2016年1月28日(木)
ウォルター・ホワイトの不埒な悪行三昧

最近アニメの話題が少なくて寂しいという声を頂いたが、こういうことをやっていたせいである。

『ブレイキング・バッド』の死体積算表。

『ブレイキング・バッド』は全5シーズンからなるアメリカの快作TVドラマだが、あんまり死人が多いので試しに何人死んだのか数えてみた。

ところで、本作の放映開始は2008年。1年1シーズンで2013年に完結しているが、スマートホンが出てこない。登場人物はみんな、2つ折りの昔ながらの携帯を使用している。
このことは、演出をする上でひとつ利点がある。2つ折りの携帯は、スマホだと困難な、ある演出ができるのだ。

それは、まっぷたつにして破壊することである。
携帯をぶっ壊すことで、断絶・拒絶・別離・逃亡といった状況を強く印象づけられる。『ブレイキング・バッド』では、しばしばこの演出が用いられた。

かつて、携帯電話が普及したことで、すれ違いのドラマが作りにくくなったと言われた。それはそうだ。連絡が取れないということがないのだから。そういう状況を作るためには、「なぜ携帯を使えないのか?」という観客の疑問をあらかじめ解消してやらなければならない。作劇に説得力を与えるためのハードルがひとつ増えてしまったのだ。

その後、時代は流れて、スマホの普及によりまたひとつ表現の幅が狭まった。果たしてスマホは、どんな新しい演出を生むのだろうか。



蛇足だが、本作は妙にスキンヘッド率の高い作品である。誰か人数を数えてみて欲しい。

2016年1月25日(月)
小ネタその2

年末からこっち、日本映画専門チャンネルで古い映画ばかり観ている。

そのひとつ、『天国はどこだ』('56)。『連合艦隊』('81)で有名な(われわれ偏った映画ファン的には)松林宗恵監督作品。東京湾に面した貧民街で、理想家肌の医者、刑務所帰りのチンピラとその恋人らが、街を仕切る暴力団に抗うという話なのだが、予備知識ゼロで観てびっくり。

これだ。









作中で、医者は子供たちの非行を防ぐために野球チームを作ろうとする。そこで子供たちの興味を惹くため、大学時代に野球部の後輩だった金田と町田を呼び、プレーを披露するという展開になっている。

金田と言えば言わずと知れた400勝投手。撮影時は22歳頃か。1950年、16歳でプロ入りしているので1955年にはすでに6年目、62試合登板で37先発、34完投、29勝20敗、投球回400イニング、350奪三振という、現在の野球では考えられない人間離れした成績を残している。

一方の町田はスワローズの主力打者で、やはり55年には31本塁打で本塁打王になっている。

まさしくスワローズの投打の柱がそろって出演しているのである。ウィキペディアをはじめ、野球関係のブログ類でこの件を紹介しているものは見当たらないようだ。『天国はどこだ』そのものの解説には2人の出演について触れられているが、ウェブ上で読めるものは全部同じ解説の使い回し。
あまり有名な話ではないのか、誰も関心を持っていないのか。私としては驚愕の事実なのだが、一体どういう事情なり人脈なりで出演することになったのか、興味が尽きない。

2016年1月14日(木)
小ネタ

スカパー!で『ビッグバン☆セオリー』を観ていて発見したもの。

ヒロインのペニーは女優志願の万年ウェイトレスだが、オーディションで『殺人ゴリラ女』の主演の座を射止める。
タイトルからしてバカ映画確定のこの作品、アイキャッチでシナリオが写る。



よく見るとライターの名前が。



ヴィンス・ギリガンと言ったら、大ヒットしたドラマシリーズ『ブレイキング・バッド』のライター兼プロデューサーじゃないか。
『ビッグバン☆セオリー』はスティーブ・ウォズニアックやらホーキング博士やら、意外な大物がカメオ出演することでも有名なのだが、こんなところにまで小ネタを仕込んでくるあたりにアメリカン・ショービジネスの懐の深さを感じさせる。

2016年1月8日(金)
『ツンプリ』

あけましておめでとうございます。
年の初めにふさわしく、エロアニメの話。昨年からこればっかですいません。
一般作品も観てはいるけど、語りたいことがなくて。



リリースされたばかりの本作には、特筆すべき点が3つある。
一つは、二次元ドリーム文庫が原作であること。いわゆるジュブナイルポルノ、ラノベ系エロ小説である。



ラノベがアニメ原作の草刈り場になって久しいが、不思議とアダルトアニメの原作はマンガとゲームばかりだった。それがついに、未開拓の原野に進出したのだ。探せば本作以前に前例はあるのかもしれないが。
残念ながら未開拓ではあっても沃野というわけではない。
と言うのは、私も詳しいわけではないので印象で語ってしまうが、ジュブナイルポルノって恐ろしく設定にバリエーションが乏しいのである。メイドと生徒会長とお姫様しかいない世界だと思えばそう間違っていない。
そういうわけで原作不足の救世主たり得るかは微妙だが、画期的なことではある。

二つ目は、原作イラストの担当がブリキ氏であること。
言わずとしれた『はがない』のキャラ原案者である。そして本作のパッケージを見ればおわかりのとおり、金髪と黒髪のツープラトン態勢。つまり本作は、ファンが願ってやまなかった『はがない』のエロ妄想が具現化したものなのである。

三つ目は、スタッフの豪華さ、それに伴うアニメとしての出来の良さである。監督・絵コンテ・キャラクターデザインはゆっけ兄。恥ずかしながら知らなかったのだが、これアニメ界のラス・メイヤー(注)こと金子ひらくの変名なんですってね。
従ってとりわけおっぱいの作画に気合いが入っているのだが、それ以上の驚きがこれである。

 

総作画監督に小林利允!80年代サンライズロボットアニメの全盛期以来の大ベテランだ。
しかも作画監督4人態勢!なにこの『ガンダムUC』みたいな布陣。
原画スタッフは全員変名で誰が誰やらさっぱりだが、逆にそのことが、一般作で名の通ったメンバーではないかと想像させる。

私は以前の記事で、近年アダルトアニメにおける作画技術の低下が顕著で、マンガをスキャンしたお手軽作品が増加していると書いた。この現状認識は不正確で、より正確には簡易版と本作のようなラグジュアリー版との二極分化が進んでいると見るべきだったのだ。

考えてみれば、薄利多売と高級ブランド志向への分化は、コモディティ化が進んだ産業が必ずたどる途である。アダルトアニメにおいても、順調に経済の原則が働いているのである。

私見ながら、メリー・ジェーンは高級ブランド化を意識しているレーベルのようだ(本作はメリー・ジェーン製作ではない、念のため)。



注:ラス・メイヤー
1922-2004年。アメリカの映画監督。女優を演技力でなく巨乳力で選ぶことで有名。
代表作に『ヴィクセン』('68)、『スーパー・ヴィクセン』('75)、『ウルトラ・ヴィクセン/大巨乳たち』('79)など。

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