何かと物議を醸しているイーストウッドの最新作観てきた。
主人公クリス・カイルは狙撃兵と言っても、しばしば突入班と一緒に最前線に出て突撃してしまう。海兵隊の狙撃兵というのはああいうものなのか?
正規のドクトリンなのかクリス個人の資質なのか、あるいは戦場で編み出された知恵なのか。
最後の出征で、濃密な砂嵐の中の戦闘シーンが描かれる。昼なお暗く、ろくに目の前も見えない中での乱戦がすさまじい迫力。こんなシーン初めて見た。
クリスは「神、祖国、そして家族のために」人を撃つと繰り返し口にする。信心深いクリスは肌身離さず聖書を持ち歩いている。しかし、(一度観ただけの私の記憶によればだが)実はクリスは、作中一度も聖書を開いて読んでいない。
ここに、イーストウッドの密かな悪意を見る。イーストウッドは、いかなる理由があろうと、殺人が神の御心に沿うことなのか?と問うている。答えは明らかであろう。
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