最近、スカパー!のスーパードラマTVで海外連続ドラマを観る楽しみを覚えてしまったため、アニメ視聴が進まない。
今一番楽しみにしているのが『メンタリスト』。メンタリストとは、人のしぐさや外観や言動からその内心を推測し、また巧みに操る者のこと。主人公パトリック・ジェーンはその天才的能力を活かして霊能者を演じ、大金を稼いでいたが、TVで連続殺人犯レッド・ジョンを挑発したことが原因で妻子を殺されてしまう。
復讐を誓ったジェーンは、CBI(カリフォルニア州捜査局)のコンサルタントとして、テレサ・リスボン捜査官を相棒に数々の事件に挑んでいく。
宿敵レッド・ジョンとの対決を縦軸としつつ、普段は種々雑多な殺人事件に対処していくことでシリーズのバリエーションを確保している。
何より主人公ジェーンの造形が秀逸。激しい憎悪と悔恨を内に秘めながら、あくまで飄々と、笑みを絶やさず、規則も権威もなんのそのでずばり事件の真相へと斬り込んでいく。ジェーンが頼みとするのはあくまで鍛え抜かれた観察眼(と、突拍子もない行動力)であって、銃はおろか腕っぷしはからきしというのがよい。
演じているのはニヤケ顔がむかつくサイモン・ベーカー。なんだか見覚えがあると思っていたら、思い出した。私のオールタイムベスト『LAコンフィデンシャル』で、陰謀に巻き込まれて殺されるホモの俳優を演じた人だ(当時はサイモン・ベーカー・ホール名義)。
声を吹き替えているのは、聞いて驚け郷田ほづみ。我らがキリコ・キュービィ様である。わざと無感情に演じているキリコからは想像のつかない、芸達者なところを見せてくれる。
作中で描かれる犯罪が、基本的に色と金と名声という三大欲望を動機としているのも良い。異常殺人犯はもう見飽きた。『サイコ』と『羊たちの沈黙』だけ観ておけば十分。
しばしば犯人を追い詰める決め手となるのが、ジェーンの仕掛ける罠。考えてみれば、これ『刑事コロンボ』の筋立てに似ているんだ。2000年代になってもこういう作品に需要があるのが、とても嬉しい。
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