更新履歴と周辺雑記

更新履歴を兼ねて、日記付け。完結していない作品については、ここに書いていきます。

2013年11月14日(木)
雑記

○『アルペジオ』
岸誠二作品だから面白いわけがないと知りつつ、一応観てみた(この人の作品を、『サンレッド』も含めて一本たりとも面白いと思ったことがない。徹頭徹尾生理に合わないらしい)。サブタイトルが出るあたりが限界。耐えられなくなってやめた。
フル3DCGなんかどうでもいいよ。それ以前の問題がありすぎる。

だいいち、何で軍艦がわざわざ目視距離で撃ち合ってんの?
・・・と思ったが、あ、そうか。レーザーは直進するから、目視範囲で直接照準するしかないのか。意外に使えない武器だな。

口直しに、『青の6号』BD-BOXを観てみた。

本作は発表当時からあまり高く評価されたとは言えない。本作を語って読むに足る文章も、私は寡聞にして知らない。しかし本作は、「キャラは手描き、メカはCG」という使い分けを確立した点でアニメ史上極めて重要な作品である。以後のアニメはすべて本作の影響下にあると言っても過言ではない。
技法のみならず作品自体も、「異質な存在との共存」という優れて現代的なテーマを扱っていた。『ヤマト2199』でそっくり踏襲しているほどである。

ところで、今回高画質で観て発見したこと。目の縁の粘膜が塗り分けられてる

 



○『White Album2』
『キルラキル』『サムライフラメンコ』を押さえて、今期一番楽しく観ている作品。
主人公が頭が切れて察しが良くて弁が立って目的意識と計画性と行動力があるだけで、こんなに面白くなる。イベントを起こすためだけにやたら馬鹿な主人公を登場させる作品は、爪の垢煎じて飲むべき。

○『境界の彼方』6話
いわゆる「箸休め」的エピソードだろうが、ヤマカン氏の『Wake Up, Girls!』が公開を控えているこの時期に、アイドルネタをぶつけるって・・・・・・。

2013年11月5日(火)
『劇場版魔法少女まどか☆マギカ[新編] 叛逆の物語』

ネタバレあり。一応改行しておく。
















新房昭之監督の知る人ぞ知る名作『コゼットの肖像』は、監督のカラーが一番強く出た作品として知られる。
『叛逆の物語』の公開に合わせてまさかのリリースを果たした『コゼットの肖像』BD-BOXの帯には、「『まどか☆マギカ』の原点」との惹句がある。
これは決して、少女と魔法と宿命の物語という共通点からのみ謳われているのではない。『コゼットの肖像』のヒロイン・コゼットは、かつて肖像画家にして婚約者だったマルチェロ・オルランドに殺害された。ただ、その美を美しいままに止めておきたいという歪んだ動機のために。コゼットが愛用していた器物たちはその血を浴び、マルチェロへの憎悪のあまり、近づく者を見境なく呪い殺す魔物と化してしまう。その憎悪に囚われたままのコゼットの魂は、魔なる器物を浄化するためさまよい続けることになる。
『叛逆の物語』のほむらは、愛するまどかを取り戻すために、まどか自身が望まない形で世界の理を書き換えようとする。
すなわち『叛逆の物語』は、「魔なる器物を主人公(=ほむら)にした『コゼットの肖像』」なのだ。

私は『まどか☆マギカ』第1話を観たとき、こんなことを書いている。奇しくも、『叛逆の物語』はほむらからまどかへの同じ問いかけによって幕を閉じた。
「あなたはこの世界を尊いと感じる?欲望より秩序が大事だと思う?」
ほむらの問いに、「この世界のまどか」は、何も知らないながら「ルールは守らなきゃいけないと思う」と答える。
それを聞いたほむらは、リボンを返し、いずれ敵対することになる、と告げる・・・。
そして戦慄のラストカット。
二つに割れた月。
開くことのない救いの窓。

TVシリーズ放送時、本作を『デビルマン』になぞらえる声が散見されたが、せいぜい美樹さやかの名がオマージュではないか、という程度の根拠しかなかった。よもやそれが、愛ゆえの黙示録的対決に至るとは。
ほむらは不幸だったろうか?おそらくそんなことはないだろう。まどかは何ら真実を知らなくても、直感的に正しい道を選ぶ。それこそほむらの愛するまどかであり、まどかが愛するにふさわしい人物であり続けたことに、ほむらは心から満足していたに違いない。




以下は蛇足。
以前、近年の虚淵玄作品『PSYCHO-PASS』『ガルガンティア』についてこんなことを書いたが、『まどか☆マギカ』も「理不尽な世界に直面した人間の行動」をテーマにした作品である。今思えば、『まどか☆マギカ』でこの展開をやるために、前2作ではあれ以上の踏み込みができなかった、という事情はあるかもしれない。

ところで、私はうっかり連休の初日に本作を観て3日間打ちのめされていたのだが、アレを観てすぐこういう妄想ができる2次元住人には尊敬の念を禁じ得ない。
12月号にこれを掲載する『娘タイプ。』も別の意味で凄いけど(もちろん発注したのは公開前だろうが)。


もうひとつ。
『コゼットの肖像』BD-BOXのブックレットから梶浦由記のコメント。
『コゼットの肖像』の音楽メニューをもらったとき、いわゆる「平和な日常」系の曲が一つもないので、さすがに不安になって打ち合わせの席で訊いてみたら、「ああ、そんなシーンありませんから」と即答されたそうな。

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