奇想コレクション
[ウィジェット] と [ワジェット] とボフ

シオドア・スタージョン
若島正編
若島正・小鷹信光・霜島義明・宮脇孝雄訳



あらゆる知的生命体に必須の超反射 〈シナプス・ベータ・サブ16〉 の調査のため地球にやってきた探検隊は、一軒の下宿に人類のサンプルを集めて観察を始めるが、自殺願望の職安職員、映画スターの夢破れた女、階級的偏見に囚われた青年弁護士など、彼らはみなそれぞれに問題を抱えていて……スタージョン的テーマが展開される力作中篇 「[ウィジェット] と [ワジェット] とボフ」、他人が必要としているものが瞬時に読めてしまう能力をもった男をめぐる痛切な物語 「必要」 (ヒューゴー賞候補作)、家出を決意した少年が故郷の町を出て行く道で奇妙な男たちに出逢う 「帰り道」、ガールフレンドと酒場に立ち寄った若者が遭遇したトラブルを描き、自伝的要素の色濃い 「午砲」 ほか、独自の思考実験が異様な感動を呼ぶ、不滅のスタージョン・クラシックス全6篇。

河出書房新社 
2007年11月刊 本体1900円 [amazon] [bk1]
◆装画=松尾たいこ
◆装丁=祖父江慎+安藤智良(コズフィッシュ)/シリーズ造本設計=阿部聡


河出文庫版 2010年11月刊 本体850円 [amazon] [bk1]
◆装画=松尾たいこ
◆装丁=祖父江慎+安藤智良(コズフィッシュ)


【収録作品】 帰り道/午砲/必要/解除反応/火星人と脳なし/[ウィジェット] と [ワジェット] とボフ/編者あとがき

シオドア・スタージョン (1918-1985)
アメリカのSF作家。長篇 『夢見る宝石』 『人間以上』(ハヤカワ文庫) はSFファン必読の古典的名作。ミステリ・ファンにはクイーン 『盤面の敵』 の代作者としても知られている。しかし、その真髄はむしろ中短篇にあり、『一角獣・多角獣』(早川書房/異色作家短篇集)、『奇妙な触合い』(ハヤカワSFシリーズ) などに収められた作品は、ジャンルを問わず多くの読者を虜にしてきた。そこにあふれる異形の愛と異様な感動は、まさにスタージョンにしか書けない独自の世界である。近年、『海を失った男』 『不思議のひと触れ』 『輝く断片』 (河出文庫) 等の刊行により、本邦でも、劇的な復活を果たした。