スタージョン再評価を決定づけた名短篇集、待望の文庫化!
【海を失った男】


シオドア・スタージョン
若島正編
若島正・今本渉・大森望・霜島義明・吉村満美子訳


白痴の少女の美しい手に魅入られた青年ランは、その手を我が物とするために少女の家に移り住むが……異形の愛を描いてエロスとタナトスの極致に到達した絶品 「ビアンカの手」、頭と左腕を残して砂に埋まった男の内的世界を追求して圧倒的な 「海を失った男」、交通事故で妻を亡くした男が、墓地で出会った不思議な男に墓を “読む” 術を習う 「墓読み」 の三名作に、「成熟」 「三の法則」 「そして私のおそれはつのる」 他、不滅のスタージョン・クラシックス8篇を収録。

河出文庫 2008年4月刊 本体880円 [amazon] [bk1]
◆装画=松尾たいこ 
◆装丁=祖父江慎+安藤智良(コズフィッシュ)
『海を失った男』 (晶文社、2003) の文庫化。

◆『海を失った男』 (晶文社版)
SFが読みたい 2004 第3位
このミステリーがすごい!2004 第9位
2003ベスト翻訳アンケート(eとらんす)
第3位
【収録作品】 音楽(「ミュージック」 改題)/ビアンカの手/成熟/シジジイじゃない/三の法則/そして私のおそれはつのる/墓読み/海を失った男/編者あとがき・文庫版追記 (若島正)

シオドア・スタージョン (1918-1985)
アメリカのSF作家。長篇 『夢見る宝石』 『人間以上』(ハヤカワ文庫) はSFファン必読の古典的名作。ミステリ・ファンにはクイーン 『盤面の敵』 の代作者としても知られている。しかし、その真髄はむしろ中短篇にあり、『一角獣・多角獣』 (早川書房/異色作家短篇集)、『奇妙な触合い』 (ハヤカワSFシリーズ) などに収められた作品は、ジャンルを問わず多くの読者を虜にしてきた。そこにあふれる異形の愛と異様な感動は、まさにスタージョンにしか書けない独自の世界である。近年、『海を失った男』 (本書)、『不思議のひと触れ』 『輝く断片』 (河出書房新社) 等の刊行により、本邦でも、劇的な復活を果たした。