【ドイル傑作集】 全5巻 
北原尚彦・西崎憲編

名探偵シャーロック・ホームズ・シリーズで知られる作家アーサー・コナン・ドイルは、ホームズ物以外にも、ミステリ・怪奇・冒険・SF・歴史・ユーモアなど、様々なジャンルにまたがる数多くの作品を残している。長篇 『クルンバーの謎』 『ラッフルズ・ホーの奇蹟』 や戯曲版ホームズ譚、「大空の恐怖」 「北極星号の船長」 「革の漏斗」 「寄生体」 などのアンソロジー・ピースをはじめ、天性のストーリー・テラー、ドイルの多彩な作品を全5巻にまとめた決定版傑作集。

◆創元推理文庫
◆装丁=藤田知子 装画=影山徹

◆翔泳社版 『ドイル傑作選』 を大幅増補して再編集。
◆初出誌の挿絵や舞台写真を多数掲載した。

※本体価格(税別)で表示しています。


まだらの紐 ドイル傑作集1

2004年7月刊 680円 [amazon]

シャーロック・ホームズ舞台に登場――小説版とはまた違った趣の 「王冠のダイヤモンド」 「まだらの紐」 の戯曲2作品、ドイル自身によるホームズ・パロディともいうべき 「競技場バザー」 「ワトスンの推理法修業」 の 〈ホームズ外伝〉 に、大胆な列車消失トリックを扱った 「消えた臨時列車」、列車内で六個の時計を身につけた身元不明の男の死体が発見される 「時計だらけの男」、オーストリアの山村を襲った殺人鬼の謎を追う 「田園の恐怖」、田舎屋敷でひそかに進行する陰謀とその顛末をえがく 「ジェレミー伯父の家」 のミステリ短篇4作を収録。附録として、執筆されなかった事件の梗概 「シャーロック・ホームズのプロット」、名探偵の誕生と最期について作者自身が語った雑誌インタビュー 「シャーロック・ホームズの真実」 (いずれも本邦初訳) を併録。
解説=北原尚彦/訳=北原尚彦・霜島義明


北極星号の船長 ドイル傑作集2

2004年12月刊 700円 [amazon]

科学的精神の勝利を謳ったホームズ譚の作者は、同時にまた、超自然の怪異や心霊の世界をえがいた怪奇小説の巨匠でもあった。高度4万フィートの上空に広がる怪物たちの世界 「大空の恐怖」、北極探検船が氷の海で遭遇した怪異 「北極星号の船長」、アフリカの密林や地下世界、大海原、未知の領域にひそむミステリーを追跡する 「樽工場の怪」 「青の洞窟の恐怖」 「深き淵より」、過去の恐怖が数世紀をへて現代に甦る 「革の漏斗」 「銀の斧」、心霊世界への作者の関心を色濃く反映した 「ヴェールの向こう」 「いかにしてそれは起こったか」 「火あそび」、精神的吸血鬼テーマをとりあげ、モダン・ホラー的味わいも醸しだす力作中篇 「ジョン・バリントン・カウルズ」 「寄生体」 を収録。
解説=西崎憲/訳=西崎憲・北原尚彦・白須清美・駒月雅子


クルンバーの謎 ドイル傑作集3

2007年5月刊 720円 [amazon]

スコットランドの荒涼たる海辺の土地に建つクルンバー館の住人、ヘザストーン将軍には暗い秘密があった。館に引きこもり、他人を寄せ付けぬ生活を送る将軍は何かをしきりに恐れているようだったが……。ミステリアスな雰囲気に包まれた長篇 『クルンバーの謎』。併録は、インド人の幽霊が奇妙な騒ぎを引き起こす 「茶色い手」、古代ドルイドの儀式が現代に甦る 「血の石の秘儀」、古代エジプトの呪術にまつわる怪異譚 「競売ナンバー二四九」 「トトの指輪」 の4篇。
訳=北原尚彦・西崎憲・白須清美


陸の海賊 ドイル傑作集4

2008年4月刊 880円
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ホームズがボクシングの達人だったことをご記憶だろうか。自身、大のスポーツ愛好家でもあったドイルは、「クロックスリーの王者」 「バリモア公の失脚」 「ブローカスの暴れん坊」 「ファルコンブリッジ公」 と、それぞれに趣向を凝らしたボクシング小説をはじめ、狩猟を題材にしたユーモア譚 「狐の王」、クリケットのイングランド・オーストラリア代表試合での珍事を描いた 「スペディグの魔球」 など、多くのスポーツ小説を発表している。他に、ウィットに富んだ冒険譚 「陸の海賊」、勇将ジェラール物の単行本未収録作 「准将の結婚」、カリブ海の海賊シャーキー船長の挿話3篇 「セント・キット島総督、本国へ帰還す」 「シャーキー対スティーヴン・クラドック」 「コプリー・バンクス、シャーキー船長を葬る」 を収録した冒険・スポーツ篇。
解説=西崎憲/訳=西崎憲・北原尚彦・今本渉・富塚由美


ラッフルズ・ホーの奇蹟 ドイル傑作集5

2011年12月刊 900円 [amazon]

英国の小村に引っ越してきた謎の人物ラッフルズ・ホーの宮殿のような屋敷は、さまざまな驚異に満ち満ちていた。巨万の富の持ち主で、奇蹟を次々に実現していくホーの秘密とは何か? 表題作 『ラッフルズ・ホーの奇蹟』他、科学的空想の物語 「体外遊離実験」 「ロスアミゴスの大失策」 「ブラウン・ペリコード発動機」、空軍中佐とその恋人が展望塔で遭遇した絶体絶命の危機 「昇降機」、復讐奇譚 「シニョール・ランベルトの引退」 「新発見の地下墓地」、潜水艦隊に海上封鎖された英国の窮状をえがき、大きな物議をかもした架空戦記 「危険!」 を収録。
解説=北原尚彦/訳=北原尚彦・西崎憲・駒月雅子・富塚由美

アーサー・コナン・ドイル (1859-1930)
イギリスの作家。医院を開業しながら、小説を執筆。長篇 『緋色の研究』 『四つの署名』 で創造した名探偵シャーロック・ホームズを主人公に、〈ストランド〉 誌に連作短篇を発表、一躍、人気作家となる。『シャーロック・ホームズの冒険』 『回想』 『帰還』 『最後のあいさつ』 『事件簿』 とつづく短篇集と、長篇 『バスカヴィル家の犬』 『恐怖の谷』 は、探偵小説史上に輝く不滅の古典。『失われた世界』 『毒ガス帯』 などのSF、『白衣の騎士団』 他の歴史小説など、様々なジャンルにわたって、多くの作品を残した。晩年は心霊主義に傾倒した。