2005
(国書刊行会)
そろそろ書店にも並んでいる筈のトマス・M・ディッシュ
『アジアの岸辺』 は異色作家ファンにぜひお奨めしたい短篇集。奇妙な味の特別料理13品をご賞味あれ。
クラシック・リバイバル大流行りの昨今、故きを温ねるならいっそここまで。黒岩涙香の翻案を通して日本の探偵小説にも多大な影響を与えたエミール・ガボリオのルコック・シリーズ第一作
『ルルージュ事件』 が来夏、新訳で登場します。名探偵タバレ老人とルコック氏が寡婦殺害事件の謎に取り組む世界最初の長篇探偵小説
(原書刊行は慶応二年。大政奉還の一年前)、初の完訳です。
いよいよ後半戦に入った 〈世界探偵小説全集〉
第四期は、マイクル・イネスのメタミステリ大作
『ストップ・プレス』、ノーマン・ベロウの本格ど真ん中の不可能犯罪物
『魔王の足跡』、M・アリンガム 『屍衣の流行』
と続きます。
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2005
(晶文社)
〈晶文社ミステリ〉 最新刊A・B・コックス
『プリーストリー氏の問題』 は、この一年を朗らかな笑いで締めくくるにぴったりの痛快スクリューボール・コメディ。
新春第一弾、レオ・ペルッツの 『最後の審判の巨匠』
は、一次大戦前のウィーンを舞台に、全篇悪夢の中を彷徨うごとき異色幻想ミステリの伝説的作品。つづくD・イーリイの傑作集第二弾
『大尉のいのしし狩り』 は、MWA賞受賞作 「昔に帰れ」
他を収録。絶賛を浴びた 『ヨットクラブ』 同様、奇妙でショッキングな世界が展開されています。若島正編スタージョン傑作選第二集も鋭意準備中。
この秋復刊が始まった 〈植草甚一スクラップブック〉、『江戸川乱歩と私』
『探偵小説のたのしみ』 『クライム・クラブへようこそ』
は、ミステリ・ファンならMUST BUYの三冊。J・J氏の愉しいミステリ談義に耳を傾けてみよう。
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