海外ホラー名作100選

スティーヴン・ジョーンズ&キム・ニューマン編


ホラー・アンソロジーの編者やTV番組のプロデューサーとして知られるスティーヴン・ジョーンズと、ホラー映画研究家で 『ドラキュラ紀元』 (創元推理文庫) の作者キム・ニューマンが編集したHorror 100 Best Books (Carroll&Graff, 1998) には、エリザベス朝の暗黒悲劇から20世紀のモダンホラーまで、100冊の恐怖小説(短篇集・戯曲を含む)の名作が紹介されている。「恐怖」 を主題とした文学を歴史的に概観するには格好のリストであり、翻訳されている作品も多いので、ブックガイドとしても役立つと思う。100冊それぞれに、100人の作家・評論家が1つずつエッセイを寄せているが、こちらもスティーヴン・キング、ピーター・ストラウブ、トマス・M・ディッシュ、B・W・オールディス、ロバート・マキャモン、F・ポール・ウィルスン、ジョー・R・ランズテール、ジョン・スラデック、コリン・ウィルスン、ロバート・ブロック、ジャック・サリヴァン……といった豪華な顔ぶれ。E・A・ポーの 『トワイス・トールド・テールズ』 評や、M・R・ジェイムズの 『アンクル・サイラス』 評、H・P・ラヴクラフトの 『黄衣の王』 評を再録するなどの工夫も凝らされている。1989年度ブラム・ストーカー賞ノンフィクション部門を受賞 (現在流通しているのは改訂版)。


  • 短篇集・全集は通し番号を赤字で示した。

  • 邦訳は原則として入手しやすい版をあげた。明らかに現在流通していないものは「絶版」を付記したが、品切書でも比較的最近のものはあえて特記していない(ハヤカワ文庫NVのモダンホラー・セレクションなど)。

  • 未訳作品は原題を掲載し、仮題を付した。短篇集で収録作品の一部が紹介されているものは、参考として書誌情報を付したが、完全なものではない。

                                                               

『フォースタス博士』(1592頃) クリストファー・マーロウ 白水社/他

『マクベス』(1906) ウィリアム・シェイクスピア 新潮文庫/岩波文庫/他

『白い悪魔』 (1612) ジョン・ウェブスター 白水社

『ケイレブ・ウィリアムズ』(1794) ウィリアム・ゴドウィン 国書刊行会

『マンク』(1796) マシュー・グレゴリー・ルイス 国書刊行会

『ホフマン選集』 (1814-16)
      『ホフマン短篇集』 岩波文庫
      『ホフマン全集』 全10巻 創土社 (第10巻未刊)

『ノーサンガー・アベイ』(1817) ジェイン・オースティン ちくま文庫

『フランケンシュタイン』(1818) メアリー・ウルストンクラフト・シェリー 創元推理文庫/光文社古典新
      訳文庫/新潮文庫

『放浪者メルモス』(1820) チャールズ・マチューリン 国書刊行会

10 『悪の誘惑』(1824) ジェイムズ・ホッグ 国書刊行会

11 『謎と想像力の物語』(1838) エドガー・アラン・ポー
       『ポオ小説全集』 全4巻 創元推理文庫 

12 『トワイス・トールド・テールズ』(1838) ナサニエル・ホーソーン
       『ナサニエル・ホーソーン短篇全集』 全3巻 南雲堂書店 (既刊2冊)
       『ホーソーン短篇集』 岩波文庫 

13 『黒い蜘蛛』(1842)イェレミーアス・ゴットヘルフ 岩波文庫

14 『さまよえるユダヤ人』(1844-45) ウジェーヌ・シュー 角川文庫

15 『信用詐欺師』(1857) ハーマン・メルヴィル 国書刊行会

16 『アンクル・サイラス』(1864) J・シェリダン・レ・ファニュ 創土社

17 『ジーキル博士とハイド氏』(1886) ロバート・ルイス・スティーヴンスン 岩波文庫/創元推理文庫

18 『洞窟の女王』(1887) H・ライダー・ハガード 創元推理文庫

19 『黄衣の王』 (1895) ロバート・W・チェンバーズ 創元推理文庫

20 『モロー博士の島』(1896) H・G・ウェルズ 創元推理文庫/岩波文庫/ハヤカワ文庫SF

21 『吸血鬼ドラキュラ』(1897)ブラム・ストーカー 創元推理文庫/角川文庫/他

22 『ねじの回転』(1898) ヘンリー・ジェイムズ 新潮文庫/創元推理文庫/光文社古典新訳文庫/他

23 『闇の奥』(1902) ジョゼフ・コンラッド 岩波文庫/光文社古典新訳文庫

24 『七つ星の宝石』 『七つ星の宝石』 (1903) ブラム・ストーカー アトリエサード

25 『好古家のための怪談集』 (1904) M・R・ジェイムズ
       『M・R・ジェイムズ怪談全集』 全2巻 創元推理文庫

26 The House of Souls 『魂の家』 (1906) アーサー・マッケン
       「黒い石印」「白い粉薬のはなし」→ 『怪奇クラブ』 創元推理文庫
       「パンの大神」→ 『怪奇小説傑作集1』 創元推理文庫
       「白魔」「内奥の光」「生活の欠片」→ 『アーサー・マッケン作品集成1』 沖積舎
       「赤い手」→ 『アーサー・マッケン作品集成2』 沖積舎

27 『心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿』(1908) アルジャノン・ブラックウッド 創元推理文庫

28 『木曜の男』(1908) G・K・チェスタトン 創元推理文庫/光文社古典新訳文庫

29 『異次元を覗く家』(1909)ウィリアム・ホープ・ホジスン ハヤカワSF文庫

30 『アンブローズ・ビアス全集』(1909)
      『ビアス怪異譚』 『生のさなかにも』 創土社
      『ビアス短篇集』 岩波文庫

31 Widdershins 『逆まわり』 (1911) オリヴァー・オニオンズ
      「手招く美女」→ 『恐怖の愉しみ/上』 創元推理文庫
      「事故」→ 『怪奇小説の世紀2』 国書刊行会
      「ローウムの狂気」→ 『怪奇幻想の文学7』 新人物往来社(絶版)

32 The Horror Horn:The Best Horror Story of E. F. Benson
  『恐怖の山――E・F・ベンスン傑作集』 (1912-34) E・F・ベンスン
      「塔のなかの部屋」→ 『怪奇幻想の文学1』 新人物往来社(絶版)
      「恐怖の山」→ 『怪奇幻想の文学5』 新人物往来社(絶版)
      「アムワース夫人」→ 『幻想と怪奇1』 ハヤカワ・ミステリ 
      「いも虫」→ 『怪奇小説傑作集1』 創元推理文庫
      「歩く疫病」→ 『乱歩が選んだベスト・ホラー』 ちくま文庫
      邦訳短篇集として 『ベンスン怪奇小説集』 (国書刊行会)がある。

33 『アルトゥールスへの旅』(1920) デイヴィッド・リンゼイ 国書刊行会/文遊社

34 『審判』(1925) フランツ・カフカ 新潮文庫/他

35 Something About Eve 『イヴについてのこと』 (1929) ジェイムズ・ブランチ・キャベル

36 Medusa 『メデューサ』 (1929) E・H・ヴィシャック

37 『パリの狼男』(1933) ガイ・エンドア ハヤカワ・ミステリ

38 The Last Bouquet 『最後の花束』 (1933) マージョリー・ボウエン
      「色絵の皿」→ 『恐怖の愉しみ/下』 創元推理文庫

39 The Cadaver of Gideon Wyck 『ギデオン・ウィックの死体』 (1934) アレグザンダー・ラング

40 A Second Century of Creepy Stories 『恐怖小説の世紀 第2集』 (1937)
  ヒュー・ウォルポール編
      ※アンソロジー (下記の他、ブラックウッド、バレイジ、デ・ラ・メアなどを収録)
      J・S・レ・ファニュ 「吸血鬼カーミラ」→ 『吸血鬼カーミラ』 創元推理文庫
      ヘンリー・ジェイムズ 「ねじの回転」 新潮文庫
      F・M・クロフォード 「上段寝台」→ 『幻想と怪奇1』 ハヤカワ・ミステリ
      オリヴァー・オニオンズ 「手招く美女」→ 『恐怖の愉しみ/上』 創元推理文庫
      ギ・ド・モーパッサン 「オルラ」→ 『怪奇小説傑作集4』 創元推理文庫
      アンブローズ・ビアス 「死骸の見張り番」→ 『ビアス短篇集』 岩波文庫
      ヒュー・ウォルポール 「ターンヘルム」→ 『怪奇小説日和』 ちくま文庫
      アーサー・マッケン 「変身」→ 『アーサー・マッケン作品集成6』 沖積舎
      M・R・ジェイムズ 「ハンフリーズ氏とその遺産」→ 『M・R・ジェイムズ怪談全集1』 創元推理
        文庫

41 The Dark Tower 『暗黒の塔』 (1938頃) C・S・ルイス

42 『ジョニーは戦場に行った』(1939) ダルトン・トランボ 角川文庫

43 『アウトサイダー、その他の短篇』 (1939) H・P・ラヴクラフト
      『ラヴクラフト全集』 既刊6巻 創元推理文庫
      『定本ラヴクラフト全集』 全10巻 国書刊行会

44 Out of Space and Time 『空間と時間の彼方に』 (1942) クラーク・アシュトン・スミス
      邦訳短篇集に 『魔術師の帝国』 創土社(絶版)、 『魔界王国』 ソノラマ文庫 (絶版)、
      『イルーニュの巨人』 『ゾティーク幻妖怪異譚』 『ヒュペルボレオス極北神怪譚』
      『アヴェロワーニュ妖魅浪漫譚』
創元推理文庫、 『呪われし地
(ロキ)』 国書刊行会、がある。

45 『妻という名の魔女たち』(1943) フリッツ・ライバー 創元推理文庫

46 『夜は千の目を持つ』(1945) コーネル・ウールリッチ 創元推理文庫

47 『暗黒の儀式』(1945) H・P・ラヴクラフト&オーガスト・ダーレス
      → 『クトゥルー6』 青心社文庫

48 Deliver Me from Eva 『我をイーヴァより救いたまえ』 (1946) ポール・ベイリー

49 And the Darkness Falls 『そして闇が来る』 (1946) ボリス・カーロフ編
      ※アンソロジー。オニオンズ、E・F・ベンスン、ダーレス、ハーン、ウエイクフィールド、ポー、
      ドイル、コリア、C・A・スミス、ラヴクラフト、ゴーゴリ、ツルゲーネフ、コンラッド、モーム、
      イエイツ他を収録。

50 The Sleeping and the Dead 『眠りと死者』 (1947) オーガスト・ダーレス編
      ※アンソロジー。下記の他、ウエイクフィールド、ダンセイニ、ヒールド、ブラッドベリなど、
      全15篇を収録。
      M・R・ジェイムズ 「丘からの眺め」→ 『M・R・ジェイムズ怪談全集2』 創元推理文庫
      F・B・ロング 「海の大蛭」→ 『魔の生命体』 ソノラマ文庫(絶版)
      H・P・ラヴクラフト 「魔女の家の夢」→ 『ラヴクラフト全集5』 創元推理文庫

51 Track of the Cat 『猫の足跡』 (1949) ウォルター・ヴァン・ティルバーグ・クラーク

52 『角笛の音の響くとき』(1952) サーバン 早川書房(絶版)

53 『蠅の王』(1954) ウィリアム・ゴールディング 新潮文庫

54 『地球最後の男』/別題 『アイ・アム・レジェンド』(1954) リチャード・マシスン ハヤカワ文庫NV

55 『10月はたそがれの国』(1955) レイ・ブラッドベリ 創元SF文庫

56 Nine Horrors and a Dream 『九つの恐怖と一つの夢』 (1958) ジョセフ・ペイン・ブレナン
      「裏庭」→ 『幻想と怪奇』 1号 (絶版)
      「浮遊術」→ 『世界ショート・ショート傑作選1』 講談社文庫 (絶版)
      「沼の怪」→ 『怪奇幻想の文学5』 新人物往来社 (絶版)

57 『サイコ』(1959) ロバート・ブロック 創元推理文庫

58 Quatermass and the Pit 『火星人地球大襲撃』 (1959) ナイジェル・ニール

59 Cry Horror! 『恐怖を叫べ』 (1959) H・P・ラヴクラフト
      『ラヴクラフト全集』 既刊6巻 創元推理文庫
      『定本ラヴクラフト全集』 全10巻 国書刊行会

60 『山荘綺談』/別題 『丘の屋敷』(1959) シャーリー・ジャクスン ハヤカワ文庫NV/創元推理文庫

61 『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』(1964) フィリップ・K・ディック ハヤカワSF文庫

62 『ペインティッド・バード』(1965) ジェージー・コジンスキー 松籟社

63 『結晶世界』(1966) J・G・バラード 創元SF文庫

64 Sub Rosa 『ひそやかに』 (1968) ロバート・エイクマン
      「奥の部屋」→ 『奥の部屋』 国書刊行会
      「花よりもはかなく」→ 『看板描きと水晶の魚』 筑摩書房

65 『グリーン・マン』(1969) キングズリー・エイミス 早川書房 (絶版)

66 The Compleat Werewolf 『完全な人狼』 (1969) アンソニー・バウチャー
      「噛む」→ 『怪奇と幻想1』 角川文庫(絶版)
      「私の幽霊」→ 『壜づめの女房』 早川書房 (絶版)
      「たぐいなき人狼」→『タイムマシンの殺人』 論創社

67 Grendel 『グレンデル』 (1971) ジョン・ガードナー

68 『エクソシスト』(1971) ウィリアム・ピーター・ブラッティ 創元推理文庫

69 The Sheep Look Up 『羊は上を見る』 (1971) ジョン・ブラナー

70 Worse Things Waiting 『邪悪なものが待っている』 (1973) マンリー・ウエイド・ウェルマン
      「学校奇談」→ 『ウィアード1』 青心社文庫

71 『家』(1973) ロバート・マラスコ ハヤカワ文庫NV

72 『呪われた町』(1975) スティーヴン・キング 集英社文庫

73 Deathbird Stories 『死の鳥の物語』 (1975) ハーラン・エリスン ※邦訳予定あり
      「鞭打たれた犬たちのうめき」→ 『エドガー賞全集/下』 ハヤカワ・ミステリ文庫
      「ガラスの小鬼が砕けるように」→ 『世界の中心で愛を叫んだけもの』 ハヤカワ文庫SF

744 Murgunstrumm and Others 『マーガンストルム、その他の物語』 (1977) ヒュー・B・ケイヴ
      「臨終の看護」→ 『クトゥルー5』 青心社文庫

75 Sweetheart, Sweetheart 『スウィートハート、スウィートハート』(1977) バーナード・テイラー

76 『サーペント・ゴッド』(1977) ジョン・ファリス ハヤカワ文庫NV

77 『シャイニング』(1977) スティーヴン・キング 文春文庫

78 『堕ちる天使』(1978) ウィリアム・ヒョーツバーグ ハヤカワ文庫NV

79 『ウルフェン』(1978) ホイットリー・ストリーバー ハヤカワ文庫NV

80 『トーテム』(1979) デイヴィッド・マレル ハヤカワ文庫NV

81 『ゴースト・ストーリー』(1979) ピーター・ストラウブ ハヤカワ文庫NV

82 『死者の書』(1980) ジョナサン・キャロル 創元推理文庫

83 『殺戮の〈野獣館〉』(1980) リチャード・レイモン 扶桑社ミステリー

84 『レッド・ドラゴン』(1981) トマス・ハリス ハヤカワ文庫NV

85 『ザ・キープ』(1981) F・ポール・ウィルスン 扶桑社ミステリー

86 The Dark Country 『暗黒の国』 (1982) デニス・エチスン
      「遅番」→ 『闇の展覧会1』 ハヤカワ文庫NV
      「真夜中のハイウェイ」→ 『恐怖の心裡サスペンス』 ワニ文庫 (絶版)

87 In a Lonely Place 『淋しい場所で』 (1983) カール・エドワード・ワグナー
      「夏の終るところ」→ 『闇の展覧会1』 ハヤカワ文庫NV
      「エリート」→ 『マッド・サイエンティスト』 創元推理文庫

88 『アヌビスの門』(1983) ティム・パワーズ ハヤカワ文庫FT

89 『アラビアン・ナイトメア』(1983) ロバート・アーウィン 国書刊行会

90 『蜂工場』(1984) イアン・バンクス 集英社文庫

91 『復活の儀式』 (1984) T・E・D・クライン  創元推理文庫

92 『ミサゴの森』(1984) ロバート・ホールドストック 角川書店

93 Who Made Stevie Crye? 『誰がスティーヴィー・クライを創ったか』 (1984) マイクル・ビショップ

94 『カーリーの歌』(1985) ダン・シモンズ ハヤカワ文庫NV

95 『ダムネーション・ゲーム』(1985) クライヴ・バーカー 扶桑社ミステリー

96 『魔の聖堂』(1985) ピーター・アクロイド 新潮社

97 A Nest of Nightmare 『悪夢の巣』 (1986) リサ・タトル
    
「虫の家」→『SFマガジン』1981年8月号

98 『ペットの夜』(1986) チャールズ・L・グラント ハヤカワ文庫NV

99 『スワン・ソング』(1987) ロバート・マキャモン 福武文庫

100 Dark Feasts 『暗黒の饗宴』 (1987) ラムジー・キャンベル
      「リンゴ」→ 『戦慄のハロウィーン』 徳間文庫 (絶版)
      「手」→ 『カッティング・エッジ』 新潮文庫
      「闇の孕み子」→ 『闇の展覧会2』 ハヤカワ文庫NV


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