藤原編集室の2004年


 2004年、藤原編集室はこんな仕事をしてきた。

2月 O・ステープルドン 『最後にして最初の人類』 (国書刊行会)
    同 『スターメイカー』 新装版 (国書刊行会)
    A・バークリー 『絹靴下殺人事件』 (晶文社ミステリ)
4月 J・F・バーディン 『死を呼ぶペルシュロン』 (晶文社ミステリ)
5月 E・クリスピン 『大聖堂は大騒ぎ』 (世界探偵小説全集/国書刊行会)
6月 A・H・Z・カー 『誰でもない男の裁判』 (晶文社ミステリ)
7月 『まだらの紐/ドイル傑作集1』 (創元推理文庫)
9月 G・ミッチェル 『月が昇るとき』 (晶文社ミステリ)
10月 『チャールズ・アダムスのマザー・グース』 (国書刊行会)
12月 『北極星号の船長/ドイル傑作集』 (創元推理文庫)
    A・B・コックス 『プリーストリー氏の問題』 (晶文社ミステリ)

新装版を除いて1年間で10冊。晶文社と国書のシリーズを中心に、創元では新編ドイル傑作集がスタート、版権交渉で延び延びになっていたアダムスの絵本もようやく刊行できた。ふだん文字ばかりの本を作っているので、こういうヴィジュアル本の仕事は楽しい。

念願のバーディン初期三作紹介が 『死を呼ぶペルシュロン』 で成就し (ほんとは三作全部手がけたかったのだけれど)、長年の懸案だったステープルドンの人類年代記もついにかたちになった (『スターメイカー』 刊行が1990年。思いのほか間があいてしまったが、今回の機会に新装版で復刊することができた)。

年末の各種ミステリベスト・アンケートで評価を集めたのはA・H・Z・カー 『誰でもない男の裁判』。表題作をはじめとする特異なテーマやその衝撃性と、意外に幅広い、ヴァラエティに富んだ作風 (しかもどれもハイレベル) が人気の理由だろう。1950-70年代の短篇集物は今後も発掘をつづけていきたいと思っている。

秋に日本推理作家協会に入会。これを機にモノカキ業に転身、なんてつもりは毛頭なく、税金よりも厳しい国民健康保険の負担に耐えかねて、というのが正直なところ。

(2005.1.3)

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