藤原編集室の2003年


 2003年、藤原編集室はこんな仕事をしてきた。

1月 H・マクロイ 『歌うダイアモンド』 (晶文社ミステリ)
2月 H・ウエイド 『塩沢地の霧』 (世界探偵小説全集/国書刊行会)
   M・ルヴェル 『夜鳥』 (創元推理文庫)
4月 A・バークリー 『ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎』 (晶文社ミステリ)
5月 H・へクスト 『テンプラー家の惨劇』 (世界探偵小説全集/国書刊行会)
7月 T・スタージョン 『海を失った男』 (晶文社ミステリ)
8月 M・アフォード 『魔法人形』 (世界探偵小説全集/国書刊行会)
10月 D・イーリイ 『ヨットクラブ』 (晶文社ミステリ)
11月 G・カーシュ 『廃墟の歌声』 (晶文社ミステリ)
12月 森英俊編 『世界ミステリ作家事典/ハードボイルド・警察小説・サスペンス篇』
    (国書刊行会)

 1年で10冊。まずはなんといっても、『世界ミステリ作家事典/ハードボイルド・警察小説・サスペンス篇』 がなんとか年内に刊行までこぎつけたことが大きい。『本格派篇』 のさいには、責了間際にかなりバタバタしてしまったが、今回は多少その点は経験をいかすことが出来たと思う。新しい試みとして、bk1と国書直接予約者用に特典を作成し、これはおおむね好評だったようだ。刊行直前に並行して準備するのは結構たいへんだったので、次の機会には早めに用意しておかなくては、と思った。ともあれ、数年来の大仕事にひとつ決着がついて、肩の荷を降ろした気分である。

 晶文社ミステリは、スタージョン、イーリイ、マクロイといった短篇集が好調で、大いに意をつよくした (年末の各種ベストはやや出来すぎの感もあるのだが)。今年 (2004) もA・H・Z・カーを準備しているし、スタージョン、イーリイはもう1冊くらい傑作集を出せたらと思っている。創元で編集協力したルヴェルの復刊 『夜鳥』 も予想を上回る好評を得た。

 秋以降、『事典』 の作業に多くの時間をとられ、他の仕事がどうしても滞りがちになってしまったため、ペースを取り戻すのに現在、すこし苦労している。今年の大物はスタフォード 『ボディ・クリティシズム』。すでに訳稿は入っているので、はやく形にしたい。

(2004.3.1)

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