オートクルーズ


「自動」車

 前回に引き続きまして今回も便利になったクルマの話。
 自動車は使用者の負担を軽くするためにこの世に生まれた「道具」です。なので日々便利になっていくのは当然の「進化」。
 かつて、セルモータが備わる前は手動でクランクバーを回しエンジンを始動してやる必要があったり、ハンドルもブレーキもやたら重く現代人であれば10分も運転すればクタクタになってしまうものだったのでしょう。
 私の記憶にあるうちでも、エンジン始動から10分程度は暖気してやらないと機嫌を損ねてしまったり、空調機能が粗悪なため真夏は蒸し風呂になったりしました。

 現代の日本人の1回で運転する距離のほとんどが2q以内だと先日新聞で読みました。2qと言えば徒歩でも30分〜40分程度の距離。この3〜40分のためだけにクルマを購入しているヒトが殆ど、と言うことになります。
 例えばこれが始動の際暖気運転に毎回10分必要とあれば1qくらいまではクルマを利用せず「徒歩圏内」になるのではないでしょうか。
 「モノ」は豊かになったが「ココロ」が貧しくなった、と言われるようになって随分久しくなりますが、具体的にはこういった事なのでしょう。

自動車の「自動」化

 タイトルから逸脱してしまいましたがここからが本題。
 使用者・運転者の負担を減らすためにどんどんオートメーション化が進んでいます。古くは煩わしいシフトチェンジやクラッチ操作から開放すべく出てきた「オートマチックトランスミッション」や、窓ガラスの開閉を半自動化した「パワーウィンドウ」、腕力の少ない女性でも扱える「パワーステアリング」などは、その代表的な機能です。

パワーウィンドウ

 最近はそれがさらに進み前述の「オートクルーズ」機能や「衝突回避機能」など走行することそのものにも「安全機能」が備わりつつあるようです。
 いまだ、年に何件かオートマチック(AT)車による「暴走事故」が起きています。これはアクセルをブレーキと誤って踏みつづけてしまった結果おきる事故で、マニュアル(MT)車では起こりえない事故です。
 発進するためにはAT車ならアクセルを踏むだけで済みますがMT車の場合は、一端クラッチを切り半クラッチで繋ぎつつアクセルを踏まなくてはならないため暴走する余裕がありません。

M/T車では起きにくい

 自動車はあくまでも「道具」なので便利になる事は大変重要なことです。ドライバーの負担を少しでも軽くすることは安全運転にもつながるので何ら否定するつもりはありませんが「便利」になったことにより思わぬ弊害で事故が増え無いことを願わずにはいられません。
 「オートクルージング機能」が発展して、出発時に目的地を「入力」すれば自動で運んでくれるようになるのも技術的には近い将来実現可能でしょう。
 こうなって来るともうクルマを「操る」楽しみは皆無になってしまうので、私は趣味としてクルマに乗ることは辞めてしまうでしょう。ま、それはそれでしょうがないことなのかも知れません。

 人間に便利なように機能が充実すればするほど、つまらないクルマになってしまうとは、皮肉なものです。


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