音質検証
(写真は本文とは直接関係ありません)
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1.Decca LK4990(mono)
2.Decca SKL4990(stereo) 3.London/King SLC281 4.London/King GXH1054 Yellow Wax 5.MACD4(Rock Machine) 6.DCC DZS-051 Steve Hoffman remasterd ガレージバンドの演奏にストリングスをくっつけただけのサエない録音だ。幾多の名録音を輩出した68年のDECCAにしてはこんなもんか?と思ったら元々自主製作したものをDECCAからリリースしたようで、DECCA本体のプロダクションではないようだ。(ストリングスだけはDECCAなのかもしれないが)それでも4トラックくらいは使ったようだ。いかにもカネのかかってないことが音にも表れている。 若いピーターのVoとトニーのシンプルなピアノが大変魅力的な作品ではある。これもファンの贔屓目なのか。 最初に聴いた秘蔵盤シリーズで出た日本盤(3)の音が基準になった。その後、出た黄盤(4)は更に霞んで、歪みっぽい。その後出た最初のCD(5)には深いエコーが付加されていた。しばらくして出たSteve Hoffmanがオリジナルマスター・テープからリマスタリングしたというDCCのCD(6)は鮮度はないものの、イコライジングが巧妙で耳に優しい良い音だ。その後DECCAのオリジナルステレオ(2)を聴いたが、鮮度はいいものの、制作時のクォリティがそのまま暴露といった感じでオリジナルの有難味はあまりなかった。他と比べても鮮度の高さもほとんど感じられない。 オリジナルモノ(1)はステレオをL+Rにしたものではなく、全く別に作られたモノミックスだ。ヴォーカル中心のバランスで、楽器のバランスや、フェードイン・アウトのタイミングが微妙に異なる。私はこのシンプルな作品にはモノミックスが一番合ってるように感じる。心なしか、ヴォーカルの鮮度はこれが群を抜いて生々しく感じられる。 今度再発するときは是非モノミックスも収録してもらいたいものだ。レアなオープンレッドデッカレーベルと相俟って良さそうに感じるのは決して幻覚作用ではない。(と思いたい)
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Trespass
上段:UK 1st issue
下段:JP,US, UK2nd
オマケ:CD1st issue,24bit remaster,AG picture disk
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1.Charisma/B&C CAS1020
2.Charisma/Phonogram CAS1020 3.Phillips/Nippon Phongram SFX-7343 4.Charisma/Nippon Phongram RJ-5142 5.Charisma/Nippon Phongram RJ-7301 6.Impulse/ABC AS9205 7.CD(1st issue) CASCD1020 8.CD(2nd 24bit remaster) CASCDX1020 最初に聴いた日本盤(4)の印象がとにかくよくない。サエない 霞んでる 楽器のトーンがセコい。ドラムのチューニングはシロウトっぽく、エレクトリックギターに至ってはアンプを通しました。ってくらいの電気ギターです。(アント〜)エンジニアの Robin Cableの趣味かもしれないが、NurseryやFoxtrotと比べても明らかに見劣りするクォリティと言わざるを得ない。音質に関しては全く評価できないアルバムだった。来日記念で出た見開きの再発盤RJ-7301(5)はジャケットの相乗効果と相俟って、少しいい音に思えた。かなり後になって日本初回盤SFX(見本盤)(3)を聴いたが、(4)と大差なかった。 最初のCD(7)を聴いて印象がかなり変わった。S/Nの良い(といっても盛大にテープヒスが乗っている。良いというのはアナログ盤のサーフェースノイズに比べたらという意味で)CDで聴くとアコースティック系の楽器の音が浮かび上がってきた。 Nick Davisが手掛けた24bitリマスターCD(8)は更にクリアネスが増している。レンジバランスは低域をゆったりと出して英オリジナルに近いバランスに戻している。 それでもあまり好きになれなかったが、しばらくして一応 pink scroll のオリジナル(1)を手にいれた。聴いてみると印象が激変した。まず、ヴォーカルに張りがあってツヤがある。Looking For Someoneのエンディングでは ジャーーンが、ギャわン と出るし、続いて消え行くヴォーカルの糸の引き具合が絶妙。White Mountainのイントロでは多重録音された生ギターが津波のように押し寄せる。遠近感も抜群だ。全体的に生楽器のエコーが美しく、(特にA3のイントロのピアノは最高!)スピーカーの前後左右にフワ〜と広がる遠近感がなんとも心地よい。 pink scroll の盤を何枚か試してみたが、盤によってかなり個体差がある。同じpink scroll でも明らかにレイトのものは音が荒れてるし、躍動感や遠近感が後退する。今持っているもので一番音がいいのは両面小文字 P1970で両面マザー番号1、スタンパー記号G(一号)のものだ。芯のしっかりした音質、透明感など、どれも他の盤よりかなり良く感じる。マザー、スタンパー番号は音質と明確な因果関係があるとは思えないが、経験上、EMI系では1Gの盤は何故かアタリが多い。たまたまかもしれないが。 Big Madhatterのマトリクス3Uの盤になるとかなり鮮度が失われ、音場も平面的になる。Phonogram盤(2)に至っては日本盤のRJ-7301よりも劣る。US初回Impulse盤(6)は元気のいい音質だ。悪くない。ただし、作品の嗜好と全く合っていない。(笑)
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***ドイツ製のリプロがホンモノと偽って出回っているのでご注意!ジャケットは一見本物と見分けがつかないくらい精巧な作りだが異様に綺麗...裏側を見るとちゃんとフリップバックになっているが、取り出し口のカット、CB181,EJDayの場所が違ったり意図的にエラーを残してあるように見える。盤はというと、本物は機械スタンプで
CB181-2U/1U(もしくは3U/1U)のマトリクス。リプロは手書きだ。また、レーベルの周囲にshelated
ringと呼ばれる英シングル特有のギザギザがある。リプロ盤は全てソリッドセンターホール。
余談だが、このシングルのAプロモ(2U/1U)の音質は素晴らしい。各種のオムニバスやCDと比べても断然こちらの方が良い。3Uになると極端に歪みが増えている。
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1.Charisma/B&C CAS1052 2.Charisma/Phonogram CAS1052 3.Charisma/Nippon Phongram RJ-5143 4.Charisma/Nippon Phongram RJ-7041 5.Charisma/Nippon Phongram RJ-7302 6.Classic Records CAS1052 7.CD(1st issue) CASCD1052 8.CD(24bit remaster) CASCDX1052 このアルバムからPhilとSteveが加わり、曲調もかなりソリッドに変化している。エンジニアも変わり、後にTrick Of The TailからプリデューサーとなるDavid Hentschelが担当している。 Trespassと比べると楽器の音が鮮明で、エコーに頼らず、しっかりした録音になっている。当時の水準と比べても決して悪くないと思う。 最初に聴いた日本盤(3)でもたいして不満はなかった。次の(4)では更にクリアネスが増している。77年の来日(実際は78年に延期になったが、オリジナルジャケットでの再発は決行された)に出た(5)では鮮度がかなり後退している。英のphonogramプレス(75年以降)のものは日本盤の(5)と大差ない。レンジバランスは狭いが、低音が若干伸びている。 pink scrollのオリジナル(1)はさすがに鮮度が高く、更にダイナミックだ。75年のPhonogramの前までずっと同じマトリクスで同じマスターのスタンパーが使われた。従って、個体差はあれど、音質はオリジナルと同じだ。しかし、オリジナルの(1)は同じマスターとはいえ、更に鮮明な音だ。
アナログ盤の音質がわりと良い方だったので、最初に出たCD(7)はいい音に感じなかったが、リマスターの(8)に比べると明らかに鮮度が高い。リマスターではテープに乗っている電源ハムのような気になるノイズは見事に取り除かれているが、音はそのものは旧CDの方が鮮明だ。ノイズシェービングをかけすぎたのかもしれない。ただ、いずれのCDでも1)には到底及ばない。Seven Stonesのエンディングのメロトロンが前後に広がらない。これはフォーマットの限界なのかもしれないが。 ここからLambまでは米Classic Recordsの重量盤が出ている。ジャケットは英仕様だが、ラミネートのようにテカテカ。GFを開くと盛大にバリバリバリーと音がする!おまけにレーベルはBlue
Mad Hatterだ。なめとんか、ワ〜レ〜...プロコルのファーストはちゃんとRegalのデザインを使ってるのに愛情がなさすぎる。どこのマスターを使ったのか知らないが、クラレコらしい後退した鮮度を太い低音で補った独特のバランス。アメリカ人はこういうのが好きなのだろうか?さすがに最近の盤らしく、サーフェースノイズが少ない極めて高品位のレコードだ。が、これが名盤Nursery
Crymeとは思わないでほしい。
センター付近のツタの模様に注目するとプッシュアウトの溝にあたる部分の模様が微妙に異なる。つまり、プッシュアウトのレーベルをスキャンして、欠落した部分をレタッチしたことがわかる。所詮フェイクはこの程度か。色も暗めだ。
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![]() 初回日本(3) RJ-5069 合成ジャケット
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1.Charisma/B&C CAS1072
2.Charisma/Phonogram CAS1072 3.Charisma/Nippon Phongram RJ-5069 4.Charisma/Nippon Phongram RJ-7303 5.Charisma/Buddah CAS1072 6.Classic Records CAS1072 7.CD(1st issue) CASCD1072 8.CD(24bit remaster) CASCDX1072 最初に聴いた日本盤(3)の音がひどすぎた。裏が歌詞とライナーの貧相なジャケットとカリスマという当時超マイナーなレーベルと相俟って、ガレージメーカーの音ってこんなもんか と。当時YesのClose To The EdgeやELPなんか出ていて、Eddie Offordの凄味のある音と比べると、とても物足りない感じがした。内容の素晴らしさは今更言うまでもないが。 米盤のジャケット(5)を見たときは驚いた。え?なにこれ?絵が違うじゃん(笑)音も日本盤(3)よりシャキっとしている。レーベルはなんとpink scrollだ! 英盤(2)は更に見開きジャケット。で、GFの中身を初めて見た。音は米(5)よりも不鮮明だ。今では笑い話だが、こうまでしてジャケットをケチりたかったのか?哀愁すら漂う悲しさだ。77年の来日記念盤(4)でやっと英仕様になったが、音の印象は変わらない。むしろ、初回(3)の方が音が鮮明だ。 最初のCD(7)が出たときは嬉しかった。アナログと比べるとかなりすっきりした良い音に感じた。ちなみにCD初期のプレスは日本のSANYO製だ。 そしてかなり経ってからB&Cのオリジナル盤(1)を聴いた。芯がしっかりしていて、圧倒的に鮮度が高い。ピンボケのフォーカスがビシッと定まったような印象だ。レンジは広くないものの、これを聴いてしまうと他の盤は全く聴く気になれない。差が大きすぎるのだ。これを聴いて判ったのだが、B1 Horizonsの音量レベルがかなり違う。日本盤(3)は異常に低い。 24bitリマスターのCD(8)は何故か冴えがない。初回CD(7)よりも音像が遠い。レンジバランスは良く調整されているが。本家のBBSでNick Davisが24bitリマスターにあたり、Foxtrotだけはオリジナルマスターテープが見つからずにコピーマスター(セーフティのことか?)を使ったと書いていた。ということはB&Cの英オリジナルは大変貴重ということになるが、宮殿ほど騒がれないのは何故だ。バンドや作品の格が違うということか。(笑) 米Classic Records(6)はnurseryと同じ作り。音は更に後退していてモサモサでボコボコ。これなら日本盤(3)の方がはるかに高音質だ。
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![]() 見にくいけど上がB&C,下がPhonogram盤 ロゴの色が違う
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1.Charisma/B&C CLASS1
2.Charisma/Phonogram CLASS1 3.Charisma/Buddah CLASS1 4.Charisma/Nippon Phongram RJ-5132 5.Charisma/Nippon Phongram RJ-7225 6.Classic Recrods CLASS1 7.CD(1st issue) CASCD1052 8.CD(24bit remaster) CASCDX1052 音源は発売を目的に制作されたものではなく、放送用の録音を転用したものだ。従って、音質に多くは望めない。演奏は凄い。特にA3,B1,B2は最高。ハケットとフィルの超絶プレイを聴くだけでこのアルバムは値千金だ。 最初に買った日本盤(4)は最悪の印象だった。ジャケットも裏が白黒で音はモサモサヨロヨロ...米盤(3)の方がいくらか良い。米Classic Records(6)はカセットテープからマスタリングしたような感じ。とても最後まで聴く気になれない。 最初のCD(7)はかなり改善された印象。日本盤(4)よりも芯があってこの方が楽しめる。リマスターCD(8)は初回CD(7)よりも更に後退している。ノイズも除去されてすっきりとはしているが、フィルのドラムなんかは初回CD(7)の方が迫力がある。リマスターでノイズ除去を多用したものは元の音もかなり変質しているような気がする。 B&Cのオリジナル1U/1Uは初回CDより一段と鮮明さが増す。ステージの空気感といったものはアナログならではの醍醐味だ。
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![]() I Know What I Like/Twilight Alehouse CB224 Feb.1974 (pushed outもある) There's always been Ethelから始まるエディットヴァージョン。フェードアウトも早め。鮮度はいいが、レベルが高すぎて歪みっぽい。
I Know What I Like/Twilight Alehouse
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1.Charisma/B&C CAS1074
2.Charisma/Nippon Phongram RJ-5116 3.Charisma/Nippon Phongram RJ-7032 4.Charisma/Nippon Phongram RJ-7304 5.Germany Ph/Charisma 6369 944 6.Classic Records FC-6060 7.EMI/Virgin EMI100 7243 8 42803 14 8.CD(1st issue) CASCD1074 9.CD(2nd 24bit remaster) CASCDX1074 Rhett Daviesがエンジニアに起用され、ジェネシス史上稀にみる高音質のアルバムに仕上がった。音色の美しさは他に類を見ない。ヴォーカルのツヤ、生ギターの繊細さ、天才フィルのシンバルワークなど、Foxtrotとは別のバンドかと思える程素晴らしい録音だ。この優秀な録音がアルバムのコンセプトを決定しているとも言える。 最初の日本盤(2)から聴いたが、いい録音だとすぐにわかった。随分聴き込んだので(3)に買い替えた。これが(2)をはるかに凌ぐ高音質で、驚いた。繊細で艶のある音色は英オリジナル(1)を凌ぐ。空間の立体的な広がり(特に奥行き感)は英盤に譲るものの、艶やかな音色、ダイナミック感、ヌケの良さでは圧倒的に(3)だ。A3の中間部のギターソロの後に出てくるペダルベースは(3)でしか堪能できない。オリジナルの(1)でさえほとんど聞こえない。77年再発の(4)になると初回の(2)よりも劣る。Nurseryでもそうだが、RJ-70**は良いものが多い傾向がありそうな気がする。 初回CD(8)は悪くないが、24bitリマスター(9)の方が楽器の分離が良く、細かい音までしっかり聞き取れる。バランスも(9)の方がよく、フィルの繊細なシンバルワークや、バッキングの12弦gがより堪能できる。 米Classic Records(5)は目の仇にしているわけではないが、どうしようもなく遠い。一体どんなマスターを使ったのだろう?米初回のATLANTIC盤のインサートが付いている。(これは良い印刷だ)違う再生環境ならあるいは良く聞こえるのだろうか? EMI100シリーズで出た(7)は悪くない。ダイナミック感は後退しているが、繊細さはよく、英オリジナル(1)よりも楽しめるかもしれない。ドイツ盤(5)はかなり高域がうるさい。エンハンスしすぎだ。
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![]() Counting Out TIme/Riding The Scree CB238 12.Nov.1974 A面は歌からいきなり始まるシングル用エディット。レンジを若干絞ったヒットチューン向けの音質。先行シングルだけあって鮮度はいい。音質は大変素晴らしい。
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1.Charisma/B&C CGS1
2.Charisma/Phonogram CGS1 3.RJ-5162〜3 4.SFX-10022 5.Classic Records 6.CD(1st issue) CGSCD1 7.CD(2nd 24bit remaster) CGSCDX1 Nurseryもそうだが、残念ながらマスターテープにノイズが乗っている。それも全編。アナログではなんとか気にならないレベル。CDになって余計目立つようになった。そのせいで、A1のイントロのピアノがフェードインになってしまった。これは大変残念な処置だ。今度出るSACDマルチもそうなるのか?イントロのピアノに続くハケットのハエのようなギター共にシャララ〜んと鳴るパーカッション、Windshieldのイントロや、Hairless Heartなど、すでに頭の中でサラウンドのシミュレーションができあがっている。果して、期待に応えてくれるものが出てくるのだろうか? 最初に聴いた日本盤(3)には重大な欠陥がある。C1(Lilywhite Lilith)の最初の1分くらいがモノミックスになっている。(完全なモノではないが)これは意図的なエフェクトだと思い込んでいた。(これしか知らないのだから仕方がない)最初のCD(7)が出た時に大騒ぎしたら、なに言ってんですか、最初の日本盤だけがヘンなんですよ とたしなめられた。トホホ...聴いてみると確かにおかしいのは(3)だけだ。SFXでは修正されていた。騙された... リマスターCD(8)ではノイズが見事に除去されているが、音質も後退している。(2)〜(4)は大差なし。(5)はここでも論外とだけ言っておこう。(レーベルはATCOのオリジナルですらない。インナーバックはフグ刺しのように薄いが何故か取出口は英オリジナルと同じく段がついている)音質はオリジナル(1)がダントツで素晴らしい。さすがはGeorge Peckham。ダイナミックさと繊細さのバランスが絶妙だ。 Genesisはロック・グループには珍しく、ペダル・ベースを多用する。Tonyはバロック時代の通奏低音を意識しているようだ。Foxtrotあたりから目立つようになってきたが、この後もバンドの重要なカラーになっている。このアルバムで使われているのはmoogのtaurusなのかどうか判らないが、凄いレベルで録音されている。A2 Fly On A Windshieldではベダルベースが重要なアクセントになっていて、これがズドンと出てこないとこの曲の魅力は半減だ。オリジナルの(1)ではこの音が硬質で量感もしっかり出る。これが他の盤になると量感はあってもフニャフニャだったり、スカスカでちっとも面白くない。 今度出るサラウンド版では低音専用のチャンネルがあるので、このペダルベースがたっぷり堪能できるものと信じてます。正にこのアルバムにうってつけのフォーマットとも言える。(笑)
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