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最初に聞いたのは1980年頃のドイツ盤の再発だった。正直ピンと来なかった。ギターがいないとはいえ、もう少しなんとかならなかったのか? とはいえ、70年初期のシーンを十分に感じさせてくれる作品だ。Rare
Birdといえば、初期カリスマを代表するグループだ。新興レーベルのカリスマはSympathyのヒットが出たことで、その後のGenesisや幾多のリリースが可能になったともいえる。Rare
Birdはストラトン・スミスにジェネシスを引き合わせたという恩人でもある。しかし、残念ながらこれまでまともに評価されたことはなく、一度も陽のあたるところに出てきたことも無かったと思う。カリスマに2枚のアルバムと3枚のシングルを残し、リーダー格のGraham
Fieldが脱退したあとはメンバーを補充してスタイルも一新、Polydorへ移籍して3枚のアルバムを残して解散した。 |
![]() ![]() Sympathy/Devil's High Concern CB120 CB+120+A CB+120+B ![]() US issue inside cover |
なんといってもカリスマレーベル初のアルバム。 番号こそ5番だが、CASシリーズはB&Cと共用の規格番号なのでカリスマとしてはこれが初リリースとなる。発売は69年11月という記録があり、シングルヒットしたSympathyは70年1月となっている。 つまり、イギリスの慣行に従った先行シングルではなかったようだ。イギリスではアルバム発売が決まると、アルバムリリースの一週間くらい前に同アルバムから先行シングルが発売されることが多い。 ビートルズのようにアルバムとシングルを全く別に制作した例もあるが、ビートルズがフツーでないのであって、基本的にはアルバムからのカットになるわけだ。本筋からは外れるが、先行シングルの場合、LPよりも音質も良かったり、別ミックスの場合もあるのでコレクター的には要注意だ。 内容は1曲目のIceburgに象徴されるように70年初期のプログレッシブシーンを強烈に感じさせてくれるものだ。スタイルの枠を気にせず、なんでもアリの70年初期の自由な空気が感じられる。 Graham Fieldは教会のミサで歌うようなコラールをそのままロックスタイルで演奏したかったような気がする。フレーズやリフもそうだが、まずオルガンのトーンが大変印象的。いわゆるチャーチオルガンのドローバーセッティングなのだが、ドイツ風の絢爛豪華な音色ではなく、木管のような倍音が抑制された枯れた音色だ。それにエコーとレスリーを加えて独特の音色を作っている。これにアグレッシヴなエレピが加わってユニークなバンドの音になっている。 今聴くと、ます音色が洗練されていない。GenesisのTrespassと同じJohn Anthony/Robin Cableのプロダクションで、特にドラムの音はどうしようもなく情けない。反面、ヴォーカルやオルガン、エレピなどは良く録られている。アイデアや曲は光っているものの、プロダクションがイモでバンドの良さを引き出すには至っていない。この点Trespassは幸運だったように思う。 仕様はシングルジャケット、表のみコーティング。 これといって特徴はないが、初回のPink Scrollより もMad Hatterの方がレアかもしれない。US盤は全く違うデザインでA式見開き。A/B面のサイドが英とは逆になっている。セカンドもそうだが、USの方が優れたデザインであることは疑いようがない(笑) レーベルは下リムにクレジットがない最初期のPink Scroolレーベル。(あたりまえだが) 光沢がなく、ザラっとしたもので、VDGGのThe Leastと同じタイプもの。 マトリクスは 機械刻印(だと思う)でCAS+1005+A/CAS+1005+B2 という、PhillipsでもEMIでもない系統のマトリクスになっている。 カリスマはトニー・ストラトン・スミスとクリス・ブラックウェルの関係で初期Islandと同じプレス、ジャケット製造であることがわかる。この++タイプのマトリクスはIslandのオレンジ目玉とかクリムゾン宮殿の初期プレスにも存在する。シーメンス社のプレス機が使われたとか、Phillips/Polydor系のカッティングだと言われている。その後ISLAND/CHARISMA共にPhillips、EMIでプレスを行うようになった。その流れを時系列で追うと、驚くほど同じであることがわかる。 このアルバム、B1のカッティングがある可能性もあるが、私が見た限りでは、セカンドプレスになると+++と増えていく。このマトリクス系列の特徴だ。
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Sympathyのヒットで多少予算がついたのか、セカンドアルバムではコーラスを雇ってB面いっぱいに大曲を展開している。アレンジもこなれていて、時間をかけてじっくり制作された印象だ。A面の4曲も素晴らしい名曲だ。70年を象徴する名作だと思うのだが、人気がないのは何故だろう?キューブリックの名作「時計じかけのオレンジ」でレコードショップに2001年宇宙の旅のサントラと並んでこのアルバムがあったのが印象に残っている。なぜかIslandのディスプレイの棚に...ファーストに比べるとドラムの音、演奏スタイルともにとても整理されて、意図が明快な内容になっている。A面の素晴らしい4曲、B面の組曲ともに完成度の高い作品だと思う。コラールをそのままロックに仕立てたといった風情のA1、A4、ハープシコードのリュートストップを効果的に使ったA2、多少ヘヴィーな、しかし計算された展開のA3といったコーラス部隊が参加していないA面も素晴らしいが、やはりB面すべてを惜しみなく使ったタイトル曲こそが彼らがやりたかったことなのだろう。プロデュースはバンド名義になっていて、本当に好きにさせてくれたのだろう。悔いを残すことなく満足な作品に仕上がったように思う。しかし、これが売れていれば多少はこのバンドの将来も違ったものになっただろうか?このスタイルが80年まで生き残れるとは決して思わないが、このセカンドでやるべきことをやり尽くした感はある。Graham
Fieldはこのアルバムを最後に脱退しFieldsを結成する。Mark
Ashtonも抜け79年に突如ソロアルバムを発表するまでシーンから姿を消した。 |
![]() ![]() What You Want To Know/Hammerhead CB138 ![]() CB178 Maxi Single
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ジャケットは絹目のテクスチャーで見開きの豪華仕様。大変痛みやすいジャケットで美品で残っているものは少ない。それにワイドスパインになっていて内ジャケの谷の部分がヨレているものが多い。(GenesisのTrespass の項を参照) このアルバムには謎が多い。まず、リリースされたのが70年9月25日という記録があるが、テストプレスのレーベルでは10月9日となっている。おそらく、先にカタログ番号が決まっていて、じっくり制作したためにリリースが延期されたのだろう。だからこのカタログ番号にしてはEMIプレスというのが妙だ。1012のAudienceにも+Aタイプのマトリクスがあるし、1014Nice Five BridgesはPhilippsのマトリクスだ。ただし、Audienceは5月、Niceは6月にリリースされていて、この1011だけが飛んで10月なのだ。確かに10月に出た他の1017とか1018はEMIプレスだし、9月に出たとされる1021EveryWhich WayもEMIだ。 テストプレスはPhillipsタイプのマトリクスでこちらの方が若い。ひょっとしたらPhillipsマトリクスの盤も市販されたのかもしれない。だとすればそちらの方がファーストプレスということになる。(見たことはない)音質はEMIに比べるとテストのA▽1の方が鮮度が高い。EMIの2Uの方がレンジバランスが良く、高音のエッジも多少効いていて優秀な音質だ。どちらかと言えばEMIの方が完成形のように感じる。 このアルバムからA1とA3がカップリングされたシングルが出ている。こちらはリリース日がはっきりしないが、前後の番号からすると70年10月前後と思われる。このA面はドラムに全編フェーズシフターを通した別ミックスでバランスも印象もかなり違う。 72年になって1枚目と2枚目のシングル4曲をまとめたマキシ・シングルが出る。すべてLPと同じミックスだが、一部短くエディットされている。 この次期になぜか両方のシングルにKT刻印がある。注目すべきはCB120,CB138ともに下リムにクレジットがなく、CB178になると下リムにManufactured...のクレジットが付く。LPと同じくシングルもピンクスクロール一期、二期と分類できる。 76年になってPhonogram傘下になってから廉価盤でCS4の編集盤「Sympathy」が出る。 なかなか良い選曲でとりあえず聴いてみたい向きにはこれでもよいかもしれない。 マトリクス(通常盤EMIプレス) CAS 1011 A-2U CAS 1011 B-2U テストプレス(Phillipsプレス) CAS 1011 A▽1 CAS 1011 B▽1 テストプレス#2(Polydorプレス?) R+B+1+A R+B+1+B What You Want To Know/Hammerhead CB138 A-2U KT CB138 B-1U KT Sympathy/Devil's High Concern What You Want To Know/Hammerhead Maxi Single 1972 CB179 A-1U KT CB179 B-1U KT ![]() Sympathy CS4 1976 perspective series Charisma/Phonogram issue |
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Graham FieldとドラムのMark Ashtonが脱退後、新たにイタリア人ギタリスト
Ced Curtis、ドラムにFred Kelly、ベースにPaul Karasを加え、(つまり、オリジナルメンバーはSteve
GouldとDave
Kaffinettiのみ)Steveはギターにまわり、ツインリード+キーボードという構成になる。Polydorに移籍して発表したのがこのアルバム。まるっきりWishbone
Ashのような構成だがキーボードがたまにリードを取ったりして、ギターバンド然としたアッシュよりは多彩な音色だ。ヴォーカルもアッシュよりは巧いと思うし、曲もいい。プロモーションをしっかりしていればもっと売れたかもしれない。
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ここまで来るとプログレのプの字もないツインリードのロックバンドだ。曲は爽やかで仕掛けのないもの。何も考えずに聴いて楽しめる内容になっている。Polydorとしてはアルバムを豪華仕様にしたり、かなり力を入れたようにも思えるが、やはり売れなかったのか。 録音が素晴らしくいい。最初は米盤で聴いたが良い音質とは思わなかった。しかし英盤を聴いてみると雲泥の差でオリジナルの音がする。同じ作品なのかと疑うような素晴らしい音質なのだ。これだけ違いがあると問題だ。 このアルバムは豪華仕様だ。まず、見開きのジャケットでシングルがおまけで付いている。またポスターも付いていて(これがウルトラレア!なのだが誰も欲しがらない。つまり人気がないのだ)しかし、このポスターいったいなに?どこかのギャラリーから持ってきただけ?本当にこれが付いていたのか? マトリクス |
![]() Inside Cover |
ポリドール移籍後の2枚目。ベースのKarasに代わり、元VDGGのNic
Potterが参加している。A面はまとまりのない曲が並び、B面には物悲しい3曲と最後はマカロニウエスタンの名曲「夕陽のガンマン」モリコーネ作がジャムセッション風に収められている。この曲ではNicに代わりJohn
Wettonがジャージーなベースを展開している。やはりこの曲が一番の目玉か。裏をかえせばそこいらが限界ということだが。
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Nicのベースは重い。明らかにこのバンドにはミスマッチだ。Wetton参加のB4だけが軽快な仕上がりになっているのも皮肉だ。Rare Birdが好きな私でさえ、このアルバムは辛い。特にA面は10年に一度くらいしか聴かない。 ジャケットは見開きのセミゲートフォールド(表紙が貼りあわせではないFor
Saleと同じ作りだ。また、盤は内側から入れる いわゆるユニパック方式。 |
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Kaffinetti/Gould/Kellyの3人となったバンドはよりpopにより軽いヒットチューンを揃えた最後のアルバムを制作する。う〜ん 軽い 軽すぎる...売れるわけがない〜 結局Polydorは3枚出してアタリなし 大損だ。 これでやっと息の根を止められたバンドは解散する。 |
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ジャケットはコーティングされたシングルスリーブ特に特徴はなし 私の持っている盤のマトリクスは |
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カリスマ時代のRare Birdから姿を消したMark
Ashtonが突如79年に出したソロアルバム。まさかあのMarkとは思わなかったが、ゲストにSteve
Gouldのクレジットを発見して やっぱりあのMarkだとわかった。ドラムは叩いておらず、ヴォーカルと作曲といういわゆるAOR風のシンガー/ソングライターといったところ。ところが、これが実に良い出来なのだ。少なくともPolydorからの3枚のどれよりも出来がいい。Charisma時代の彼しか知らない人が聴いたらぎょっとすること請け合いだ。 |
![]() Inner Sleeve |
ジャケットデザインはヒプノシスだ。とてもシュールないいジャケットだと思う。英盤は両面コーティング仕様。インナースリーブが付き、歌詞が載っていて3色刷りだ。なんと当時日本盤が出ていた。
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