インド版『巨人の星』こと『スーラジ ザ・ライジングスター』('12)のその後の展開とか調べてたらずいぶん間が空いてしまったが、今日は久々にリアルタイムのアニメの話。
今期はここしばらくなかった大豊作で、かろうじてついて行ってる。その中でも、亀井幹太監督待望の新作『冴えない彼女の育て方♭』第5話が素晴らしかった。いや黒ストお仕置きの件ではなく。
シナリオのリテイク&ルートの追加により、順調にゲーム制作の進行も遅れる中、
英梨々の原画作業にも遅れが目立ち始める。
かけた時間がクオリティに反映されてこないと指摘する詩羽。
それでも英梨々は最後に予想通りのものをきちんとあげてくると信じる倫也。
そんな中、英梨々は那須高原の別荘に籠り、
一人原画作業に没頭するのだが・・・。
(公式サイトより)
詩羽先輩は、「英梨々は予想通りのものをあげてくる」と言う倫也に対して、それは信頼ではなく「期待のなさ」にすぎない、と怒りを見せる。倫也にはその言葉が理解できない。
英梨々を心配しつつ、通学途中の倫也と恵。

ステルス性は高くとも敏感な恵には、問題の所在が解っている。だから二人の会話はかみ合わない。
それを示すのがこれ。

文字通りの平行線だ。そして倫也がある決定的な一言を口にした瞬間、恵は先に行ってしまう。

平行しつつ同じ方向に進んでいた二人の間が、横線で区切られる。

振り返り、戻ってくる恵だが。

依然、二人の間に境界がある。背景にも注目。倫也の背後は川と遠方の住宅で開けているが、恵の背後はすぐそばのブロック塀、樹木、そして標識の柱で埋め尽くされ、倫也の前に立ちふさがっている。
そして、倫也目線での恵の正面カット。

身長差があるので本来は見下ろしたアングルになるはずが、背景の道路が傾斜しているので消失点が上の方に誘導され、倫也に与える印象を強調した圧迫感のある画になっている。
『進撃の巨人』の急展開も激しいアクションも良いが、こうした一見何気ない会話シーンにちりばめられた工夫の数々が、息詰まる緊張を生む。これぞプロの仕事だ。
また終盤、英梨々が幻影を見ながら筆を走らせるシーンも、創作者の苦悩と快楽と狂気をにじませて、鳥肌が立つほど秀逸。
偶然だろうが、今期は『エロマンガ先生』といい『Re:CREATORS』といい、創作者の業をテーマにした作品が目につく。
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