『エンジェル・ウォーズ』と『スコット・ピルグリムVS邪悪な元カレ軍団』。2本とも、劇場で観るほどの作品ではないと思ってスルーしていて、WOWOWで。
エドガー・ライト監督は、前作『ホット・ファズ』は大当たりだったのだが、『スコット・ピルグリム』はまるで話題にならなかったような印象がある。観たらその理由が、少なくともオタに受けない理由が解った。本作はタイトルのとおり、スコット君がヒロインとつきあおうとしたら、その元カレ軍団と戦う羽目になるという話だが、実はスコット君には彼女がいる。それも17歳の女子高生でスコットにベタぼれ。
どこの世界に、7人も元カレがいる腐れXXXXと17歳女子高生を天秤にかけてビッチの方を取るオタクがいるよ。
これでも解るように、実はスコット自身はオタでもギークでもない(大体バンド組んでるような奴らをオタとは言わないだろう)。格闘ゲームといういかにもオタなガジェットを散りばめておきながら、主人公自身はアメリカン。被差別民を自認するオタは、そこに搾取の気配をかぎ取ったというか、裏切られたような気分になったのでは。
今考えてみれば『ホット・ファズ』も、映画愛に満ちあふれてはいたが、決してバカ映画を愛するボンクラを愛していたわけではない(それどころか主人公はスーパーエリートだ)。
以前スカパー!で『ビッグバンセオリー ギークなボクらの恋愛法則』を観たときも思ったが、このテの作品は、コミュニケーション能力に問題のあるオタが女を口説こうとして失敗する、のを笑いどころにしている。そもそも恋愛に大して重きを置かない人種がいるということは、連中には想像の埒外なんだろうな。
一方、『エンジェル・ウォーズ』の方は、日本刀少女からパワードスーツまで、まさにオタクの妄想爆裂なビジュアルなんだけど、意外なほどシビアな結末でちょっと驚いた。『300』のザック・スナイダーはバカだと思っていたけれど見直した。
主役のベイビードールを演じたエミリー・ブラウニングって、『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』で姉役だったあの超絶美少女か!はっきり言ってエマ・ワトソンの30倍は可愛かったんだが・・・・・・こんなになっちゃったのか。

なお本編中ではもう少し痩せてます、念のため。
ちなみにショートカットの相棒を演じたジェナ・マローンは『ドニー・ダーコ』のヒロイン。
だが真の見所は、ヒロインを陰ひなたに助ける助力者ワイズマンを演じたスコット・グレンだろう。『羊たちの沈黙』のスターリングの上司ジャック・クロフォードである。
最後にもうひとつ。ロボトミー手術というのは、目頭から五寸釘みたいなのを突き刺して前頭葉を破壊するという大変男らしい手術である。そのことは知っていたのだが、あれトンカチで打ち込むのか!
先端恐怖症の人はくれぐれも観ないように。
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