近年の深夜アニメのエログロ描写のエスカレートぶりを見ていると、深夜アニメがOVAの末裔だということが実感できる。80年代末から90年代初頭のOVA爛熟期の状況にそっくりではないか。
私はちょうどその頃多感な(笑)時期だったので、アートミック作品には大きな影響を受けた。アートミックは、『メガゾーン23』と『ガルフォース』で一時代を築いたが、その後はヒット作に恵まれず97年にひっそりと倒産した。まさしくOVA時代を象徴するスタジオと言えるだろう。
アートミックの文化は、例えば東映がジブリに、虫プロがマッドハウスにその血脈を残したと言うような意味では、どこにも痕跡を残さなかった。その潔い消滅っぷりが実にバブルの申し子っぽかった。
と、思っていたのだ、つい最近までは。
んで話は冒頭に戻るが、消滅したと言うよりも、アニメ界全体がアートミック化してしまったという方が正しかったのかも知れない。
『ガルフォース』なんて、今なら間違いなく百合文脈で評価(消費?)される作品だし。
そのアートミック作品の中で、スプラッタ描写の極北に達したのが『ジェノサイバー 虚界の魔獣』('93)である。さすがの私も、リリース時に観たきりで一度も観返していない。実家のどこかにダビングしたビデオがあるはずだが。DVDどころか、LDさえ出ていないようだ。
この作品は容赦のないゴアシーンばかりが語りぐさだが、エロ方面でも凄かった。第4話に主人公夫婦のベッドシーンがあるのだが、これがとんでもなくえちい。
以下は真面目な話。断っておくが18禁アニメではない。描写自体はたいして過激ではないし、肝心な部分をはっきり見せているわけでもないのだが、(作画的な意味での)動きがもの凄くなまめかしいのだ。一度観ただけなのに今でも覚えているのだから、よほど名のあるアニメーターが手がけたのではないかと思っている。
それはさておき、過激な描写で客の歓心を惹くのは表現の末期症状である。スプラッタホラーがわずか数年で滅びた故事を思い起こして頂きたいものだ。
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