皆様ご無沙汰しております。
生きてますよ。多忙で更新する気力がなかったのだが今回は体調のほうも原因で。
先日酷い腰痛を発症しました。もともと腰椎分離症があって慢性的に腰が痛かったのだが、今度のはほんとに激痛で、人生初めて救急車呼ぼうかと思った。幸い痛み止めの注射打ってもらったらおさまったけれど、爆弾抱えたままなので生活に気をつけないと。
で、私パソコンを座卓において、座椅子で作業してたんですが、これ腰にすごく負担がかかるそうなのですね。というわけで、床に座る生活だと正座にならざるを得ないので、あまり長時間パソコン打てないのです。
それでも冬コミは行くけどな!
せめて年内にもう1度更新しておこうと思って、今年観たアニメ映画のことなどメモ書きしておく。
○BS世界のドキュメンタリー『スイスの象徴になった少女 〜“ハイジ”はこうして生まれた〜 』
1950年代のスイスはナチスの協力者として国際的評判が悪かった。そのイメージ回復に、ハイジはうってつけだった。
ハイジはドイツ語圏で誕生したが、フランス語圏で広く読まれた。無許可の続編もフランス語圏で誕生。
作中ドイツに行くのは、人身売買の結果。
小田部羊一も登場する。「三つ編みにしたハイジのデザイン案をハイジ博物館長に見せたら、『5歳のハイジが編めるだろうか。おじいさんが毎朝編んでやるだろうか』と言われて身にしみた」との談話。
○『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』
例によって原作未読で観てきた。
浅野いにおのキャラって、アニメに向かないんじゃなかろうか。現代アニメの基準で言うとあまり情報量が多くなくて、かつキャラによって写実からマンガ調までデザインに幅があるものだから、リアリティのレベルがどのへんにあるのかさっぱり。鳳蘭の涙とか涎とか、どう受容すればいいのやら。
しかも顔のアップが多い。
パンフレットの伊東伸高のインタビューを読んでも、苦労がうかがわれる。かつ、あまり報われているように思えない。
以前、『ぼくらのよあけ』で似たようなことを言ったなあと思ったら、同じ黒川智之監督だった!
○『仮面ライダーBlackSun』
私は仮面ライダーというものにまったく思い入れがない。世代的なもの(1972年生まれ)かもしれないが、『ウルトラマン』と違って『仮面ライダー』シリーズには全然触れていない。
そんなわけで、最近東映チャンネルで元祖『仮面ライダー』を観直していて、本作もその流れで観た。
いや、いいじゃないですかこれ。怪人の存在が公になり、差別されている世界。発端は50年前、政治の季節。安保闘争から日本赤軍へ戦後史をなぞり、現代へつなげる力業。『仮面ライダー』50周年企画として、実によく考えられてる。分断と不寛容が世界を覆う今こそ、必要な作品。
2022年、Amazonプライムで放送されたそうだが、これがあれば『シン』の方要らなかったんじゃね?とまで思った。
うらぶれた中年ライダーを演じる西島秀俊が最高。
ただなあ……ハマスのイスラエル攻撃が甚大な被害をもたらしている現在、テロリストの訓練キャンプを連想させるラストはちょっと素直に観られない。
西島秀俊さんのCMにBlackSunのBGMを付けるとやっぱりBlackSunになる
これ秀逸!
○『ふれる。』 故郷も友人も持たない私としては、とにかく共感できる人物がひとりもいないのはきつかった。
パンフレットの田中×長井×岡田座談会より。
田中:(前略)それをまとめていく中でも「このお話の主題はどこにあるのか」というところがすごく難しかったですよね。本作のメインは三人の話なのか、それとも「ふれる」という存在の話なのか、そのバランスを探るのにすごく時間がかかった印象があります。
結局その決着がつかないままだった、と。観ていて「え、クライマックスそっちなの?」感がすごかった。
もういい加減、コミュ障を甘やかすのやめようよ。
○『きみの色』
うん、まあよくできた映画なんだろうとは思う。
が。これ、山田尚子が今まさに作らなければならない映画か?
手癖で作っちゃってる感がある。
アニメ史上初(多分)のテルミン演奏作画は、もっと前面に出すべき。
○劇場版『進撃の巨人』完結編 THE LAST ATTACK
作品もさることながら、パンフレットがすごい硬派な出来。スタッフの紙上コメンタリーにプロデューサーの座談会。そして新旧の監督の対談。以下は特に面白かった部分。
林祐一郎×荒木哲郎 『進撃の巨人』監督対談
荒木 これはもしかしたら今までの話の流れから逸れるかもしれないんですけど、立体機動の辺りって、WIT STUDIOでやっている頃は社内の数人しかちゃんと描けなかったんですよね。要するに今井(有文)君と江原(康之)さんの二人でほとんどの話数を回していたという状況がこちらにはあったんです。MAPPAさんの方ではどうでしたか?
林 いや、あれは本当に苦労しました。なんでWIT STUDIOはあんなにかっこよく描けてたんだろう?って。
荒木 出来上がったものを見ると難なく描いているように見えている。
林 誰に頼んでもなかなか上手くいかないという状況が序盤は特にあって、あれってアンカーをどこかに引っ掛けないと飛べないのに、アンカーと一緒に人が飛んでいたりすることがある。そこの構造から理解していない人が多いから。
荒木 初期話数はそのルールに俺もこだわっていたんです。アンカーを打って、そこからスイングして、こういう軌道で来るからねと。立体機動してる人同士が並んで話せる感じじゃないんですよ、とか。でも、どこかの回でどうしても立体機動しながらめちゃくちゃ会話しないといけないところがあって、そうしたら絵コンテの方が普通に飛行しながらしゃべっている風に描いてきて、意外にもそれで別に気にならなかったんですよ。時々「バシュ!」「シュイーン!」を何カットか入れさえすれば、これでいいじゃんと(笑)。それでかなりルールを緩くした経緯があったなと、聞いていて思い出しました。
林 どうしても空中で会話しているシーンってありますからね。漫画だと1コマ、2コマでセリフをギュッとやれば済むかもしれないけど、アニメだと実際の時間として流れているから悩むところではありますね。
荒木 でも、一番安易な手法で解決しても、意外に気にならなかった。
林 芝居と、あと音楽の力もありますしね。
(中略)
荒木 そういえば、今だから話せる系で思いついたんですけど、自分がアニメ化を任せていただけることになって最初に諫山(創)さんと会った2011年くらいに、最初の打ち合わせで諫山さんはほぼ開口一番に「この話は被害者が加害者になる話です」と言ったんです。エレンが最悪の復讐者になる話だと。その時点で単行本はまだ5~6巻くらいの時にそこの予定だけ先に聞いていて、つまり最終章がああいう話になるというのは諫山さんの構想には最初から予定としてあったんですよね。
『ビームサーベルは巨大なガストーチという設定だったので、元々は斬り結ぶことができなかった」という話を思い出した。
なおあのエピローグは、私は「蛇足だとは思うけどあってもいいんじゃないかな」程度のスタンス。
○『アメリカン・クライム・ストーリー/弾劾裁判』
これはスターチャンネルで観た、クリントン大統領の不倫、いわゆるモニカ・ルインスキ事件を題材にしたドラマシリーズ。
注目は、リンダ・トリップを演じたサラ・ポールスン。
モニカの親友でありながら、モニカとの電話を無断で録音し、当局とマスコミに通報した人物。
売名や左遷への報復といった私欲もありつつ、「クリントンにもてあそばれているモニカを救いたかった」という動機も少なくとも本人の中では真実、という難しい役を演じていて圧巻だった。
○インスタント視聴
何かと批判される早回し視聴だけど、私もやるよ?
アニメや映画ではめったにないが、普通のテレビ番組ならまず100%早回しで観てる。テレビのナレーションて、あまりにスローモーでイライラするんだもの。
映像作品は作者が意図の下に時間をコントロールしていると言っても、それを尊重するに値する作品ばかりじゃないでしょ。
ついでに言えば、プロの声優さんは早回ししてもセリフがはっきり聞き取れる。
素人ではこうはいかない。さすがの発声と滑舌。こんな褒め方されても嬉しくないかもしれないが。
○『おぎやはぎの愛車遍歴』
私は大学時代以来、7代目のR31スカイラインに30年乗っている。今回の車検で全面的に外装のレストアを行った。そんなわけでこの番組を観てみた。『昭和の車といつまでも』が終わってしまったので代わりに。
ゲストとして招かれていたのはR32スカイラインの産みの親、水野和敏氏。ラグジュアリークーペを標榜する7代目は、スカイラインとしては巨大化しすぎた失敗作とされており、次の8代目R32が歴史的傑作なので影が薄い。少々のコンプレックスを抱えつつ観たが、コメントがいちいち味があって面白かった。
「R32は『大学生4人で箱根に一泊旅行』がコンセプト」。
「人間の反応時間は0.2秒。アクセルを踏んでから加速を体感するまでの時間をそれに合わせると気持ちが良い」。
「運転席周りのレイアウトの参考にしたのはイギリス陸軍の『人間工学図鑑』。軍装品はいかなる環境下でも人間に最適なものであるべく研究され尽くしているから、とても勉強になる」。
○AI生成
今さら何を言ってるんだな話で恐縮至極なのだが、最近、よくpixivを見ている。もう履歴書に趣味:二次エロ画像の収集と書かなきゃいけないレベルで。
それにしても、いやAI生成の絵の多いこと。当然なんだろうが、AIという単語から受ける印象とは裏腹に作者(人間の)による画風作風の多彩さに驚く。
特に感心した作品。
https://www.pixiv.net/artworks/123645282
ミュシャ風のアスナ。AIってこんなことできるんだ!
SAOの絵がやたらめったら多い。人気の作品だから当たり前ではあろうが、AIが模倣・再現しやすい絵柄とそうでない絵柄があるのかな、などと想像してみたり。
ついでに言えば、SAOは現実世界とファンタジー世界を往還する設定なので、ファッションのバリエーションが多いという要因もあるかもしれない。作品名は挙げないけど、純粋なファンタジー作品だと、そこが弱いようだ。
私服と言えば、先日1979年の『サイボーグ009』を数十年ぶりに観直した。当時は気づかなかったが、この作品主人公たちの私服姿がとても多いのだ。普段からあの制服で生活するわけにはいかないから当然のことなのだが、当時のアニメとしては画期的なことだったのでは。
それにつけても、仁井学さんの絵は上手いなあ。
○『ルックバック』
今年のベストワン。中編ながら、地味にロングランしたのは伊達ではない。作画の力と物語の力が拮抗してすばらしい。
「だいたい漫画ってさあ…私、描くのはまったく好きじゃないんだよね」
「楽しくないしメンドくさいだけだし、超地味だし」
「一日中ず~っと絵描いてても全然完成しないんだよ?」
「読むだけにしといたほうがいいよね」
「描くもんじゃないよ」
「じゃあ藤野ちゃんはなんで描いてるの?」
そんなの決まってる。描かずにはいられないからさ。
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