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皆様ご無沙汰しております。
生きてますよ。
フェイスブックではお知らせしたけど(一応アカウントは持っているのだ)、昨年11月に晴れて関東へ戻って参りました。
そろそろ、また書き物したい欲がうずいてきたので、ちょっとずつ復帰していこうと思います。
とりあえず最新ネタ2件。
○『パリに咲くエトワール』
谷口悟朗監督が何でもできる器用な人なのはよく承知しているが、少女が主人公のこういう作品をどう料理するのか興味があった。結果、骨太な王道エンタテイメントで、実に楽しかった。
比べるのも気の毒だが、ちょうど1週間前に観た『花緑青の明ける日に』と比べるともう格の差が歴然。
感動的でありつつ、大事な話をするときは引いたカメラで、また俯瞰を多用するクールさはいかにも谷口節。第1次世界大戦を背景にした結構シビアな世界観も、お話の説得力に寄与している。
パンフよりインタビュー抜粋。太字は引用者による。
キャラクターデザイン・総作画監督 山下 祐
-作画をするうえで意識をしていたことはありますか?
あまり影をしつこくつけないようには意識しました。鼻の影も、鼻筋の輪郭線の側に軽くつけるぐらいです。光源に対して面で影がつくのではなく、あくまでデザインのひとつとして影をつける方向を原則に考えました。洋服のシワについても、光源に対してというよりは、洋服の質感を伝えるためにつける感じです。そのほか、横顔で口を開いたとき口の中は描くのかどうなのかと、涙の処理の方法については、作画上の注意事項をこちらでまとめて、共有することであまりバラつかないようにしました。(後略)
-完成した本作を観ていかがでしょうか?
本作はモブシーンを是非観てほしいです。パリの大通りのシーンを観ても、止め絵ではなく、馬車が走っていたり、道行くいろんな人がちゃんと歩いていたりと、街の雰囲気が伝わるように描かれています。馬車やトラムも手描きで動いていて、チェックに回ってきたカットを見るたびに、「今回は(省力化する方向に)逃げないんだな」と思い、完成を楽しみにしていました。
殺陣作画監督 中田 栄治
-実際に作画をする上で、なにか参考にしたものはありますか?
(略)ほかにも薙刀を持ったことがない制作スタッフにも持ってもらって、その動きを観察しました。これはこれで、手元がこんがらがっちゃったり、足運びがヘンだったりと、初心者がやりがちなミスが、後半の練習生たちの動きの参考になるんです。頭の中で想像した下手な動きだけだと、ワンパターンになってしまいますが、実際にいろいろな人にやってもらうと意外性のある動きが出てくるんです。
-千鶴の薙刀さばきを描く上で意識したポイントはありますか?
パリでフジコと再会するシーンでは、武術家らしいムダのない動きを意識しました。難しかったのは、リアルに寄せすぎるとアニメの動きとしてはもったりするというか、重くなりすぎてしまうところです。かといってケレン味を入れすぎると、今度はリアリティがなくなってしまう。そのバランスをとるところに苦労しました。
(後略)「」
本作に限らず、近年デジタル化が行くところまで行って、手描きの復権/再評価の機運があるような気がする。
○アニメスタイルイベント『THE 八犬伝』1話、新章4話、『迷宮物語』
行ってきた。関東に帰ってきたという実感が湧いた。新文芸座に行ったのは十数年ぶり。『THE 八犬伝』『迷宮物語』ともに、「初めて観た人」という質問に場内8割ぐらいは挙手していた。こっちはびっくりだよ。こころなしか、『ヤマト2199』と違って若い人が多かった。機会があれば若い人もこういうけったいな作品を観る、というのは心強い。
トークイベントから印象に残ったくだり。私の記憶によるものなので、あくまで大意。
小黒祐一郎氏
「マッドハウスは歴史上倒産の危機が3回あって、その最初が『迷宮物語』。ちなみに2回目は『YAWARA!』。初めてのTVシリーズで、力の入れ具合がわからなかった。3回目は『メトロポリス』(場内納得)。」
井上俊之氏
「『THE 八犬伝』1話冒頭のアクションシーンは、沖浦(啓之)君の原画。
新章4話の作画説明資料を見たことがあるが、「口パクのときに、小鼻が動くこと」と注意をしていた。やってみるとわかるように、確かに実在の人間の動きはその通りだがアニメでこんな表現を見たことがない。また、白眼をほとんど描かない。実際、普段人間の眼は白眼などほとんど見えないが、そんなことを意識せずにアニメでは白目を描いてしまっていた。
大平晋也君が、『AKIRA』からわずか4年の間に何があってこのような表現に向かったのか、とても興味がある。」
井上氏も4話を「大事故物件(作画はともかく)」と評していて、よかった!当時そう思ったのはオレだけじゃなかったんだ!と思った。
○『ぼくたちのコミケ50年史』
NHK-BSはいつもそうだが、取材対象への敬意がうかがえるいい番組だった。スタッフの志向が反映されるものなのか知らないが、メモしておく。
ディレクター:堀いつか
プロデューサー:神原一光
取材:大嶋智博、青木恒介
○『原画は、なぜ海外へ マンガ・アニメ文化のゆくえ』
上とうって変わって、ダメな番組。
タイトルから、「最近の原画スタッフは海外発注ばかりで、このままでは技術が継承されない。アニメ大国の行く末やいかに」という番組だと思ったら、マンガの生原稿を海外のコレクターが美術品として買いあさってるという話だった。
マンガの生原稿とアニメの原画及びセル画をごっちゃにしているあたり、雑なこと極まりない。
私はマンガにせよアニメにせよ原画にあまり興味がなくて、印刷/放送されたものが完成形だと思っている。大衆文化は大量生産され、消費されて消えていくのが本望という考えにも一理はある。
海外のコレクターだって、温度・湿度・酸化・火災に気を付けて長期安全に保存してくれるのなら、マンガ家宅の押し入れで朽ちていくよりずっといい。
国内で研究者がアクセスしにくくなるのは確かに欠点だが、事例として示していた『ナウシカ』の修正・指示入り原画。あれファンが買いそうな原画か?宮崎の手になるものならイワシの頭でもいいという向きもいるのかもしれんが。
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