クライシス・オブ・アメリカ
THE MANCHURIAN CANDIDATE
UIP
2005年アメリカ映画、130分
<ストーリー>
湾岸戦争で英雄となったレイモンド・ショー。彼は政界入りも果たし、大物上院議員である母エレノアの強力な後ろ盾のもと、若くして副大統領候補にまで成り上がる。一方、そんなショーのテレビ演説を複雑な心境で見入る元上官のマルコ少佐。彼は最近、ショーが英雄となった戦闘時の悪夢にうなされていた。敵の急襲でケガを負い意識を失ったマルコに代わり、たった独りで敵に立ち向かい部隊を救ったのがショーだった。だがマルコの脳裏に甦るのは、その事実とは異なる不可解な記憶。疑念が深まる中、マルコはついに独自の調査を開始するのだが…。
<キャスト>
デンゼル・ワシントン、メリル・ストリープ、リーブ・シュライバー、ブルーノ・ガンツ、ジョン・ヴォイト、キンバリー・エリス、ジェフリー・ライト
<スタッフ>
監督、製作:ジョナサン・デミ
製作:スコット・ルーディン
原作:リチャード・コンドン
撮影:タク・フジモト
音楽:レイチェル・ポートマン
<レビュー>
「羊たちの沈黙」でアカデミー最優秀監督賞を獲得した名匠ジョナサン・デミが「影なき狙撃者」をリメイク。この作品はマインド・コントロールによって政治が操作される恐怖を描いている。
ある巨大企業が1人の兵士をマインド・コントロールで操り、ホワイトハウスに送り込んでアメリカを征服するという陰謀を企てる。なんとその兵士の頭にマイクロチップを入れて彼を操作し、大統領にまで為らせてしまおうというのだ。到底考えられない話だが、この映画ではその陰謀が本当にリアルに描かれていてとても面白い。この映画を観ると、陰謀渦巻く政治というものを想像してしまう。アメリカではこういう政府による裏の陰謀っていうのが実際あるんだろうなぁとも思ってしまいます。
同時に描かれたのがマインド・コンロトールの恐怖。ベトナム戦争で疲れきった兵士を洗脳して政治的陰謀に利用する。マイクロチップを使って洗脳するっていうのは妙に現実味があって恐ろしいことですね。このホームページのレビューにある「CURE キュア」でもマインド・コントロールがよく描かれていて、こっちは心理的な恐怖が面白かったです。興味深かったのがその兵士の母親の議員。彼女は自分の息子を大統領に何としてでもなってもらおうと、とても野心的な人間であり、名女優メリル・ストリープが演じています。言うまでも無く演技が上手くて存在感抜群でした。
肝心の巨大企業自体があまり明らかにされてなかったので、政治が一企業にコントロールされ、国が支配されてしまうという恐ろしさがあまり実感として伝わらなかった気がする。企業の陰謀というものを企業の目を通して描いた描写をもっと増やしたら、その恐怖ももっと伝わってくるんじゃないかと個人的に思いました。ラストもそんなにヒネリがあるものでもなく、しっくりくるものでもなかったのでそこらへんも残念だったと思います。でもエンターテイメントとして、とても興味深い題材を超リアルに描かれていたのはとても良かったと思います。まずまず面白かったです。
<評価>
7点(満点10点)
<DVD>
特典
ジョナサン・デミ監督、ダニエル・パイン(脚本)による音声解説
「クライシス・オブ・アメリカ」の舞台裏 (約14分)、
「クライシス・オブ・アメリカ」のキャスト (約12分)
削除シーン (監督、脚本家による音声解説あり/約9分30秒)、
アウトテイク (監督、脚本家による音声解説あり/約2分40秒)
リーヴ・シュレイバー/スクリーンテスト (約3分)、
政治談義 (監督による音声解説あり/約10分)
時間 130分+特典映像
色彩 カラー
面・層 片面2層
映像 16:9/LB
リージョン 2
字幕 日本語・英語・日本語吹替え用字幕・音声解説用字幕
音声 1:ドルビーデジタル/5.1chサラウンド/英語
2:ドルビーデジタル/5.1chサラウンド/日本語
3:ドルビーデジタル/ステレオ/英語/(音声解説)
販売元パラマウント・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
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