「フェイク食品を考える」

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食の安全を考える会 野本健司(2007/7 暫定版)

<すでに独立した食品となっているもの>

・マーガリン
マーガリンはバターのフェイク食品です。植物油脂に水素添加し固化したものに、着色し塩分を加えて作られます。しかしあまりにポピュラーになったため、もうフェイクとはいえない別の食品となっています。使用する原料油脂の違いや製造法の違いなどでトランス脂肪酸が多く生まれる場合があり、近年健康被害が懸念されています。これは水素添加時に天然のシス型脂肪酸がトランス型に変化しやすいために起こります。

・カニかまぼこ
カニの足肉を模したかまぼこです。一般的には着色料を塗ったプレートの上に筋状のかまぼこを流し、加熱してからカットして作られます。カニ肉が含まれていることは少なく、香料やカニエキスで風味付けします。カニかまぼこも、もはやカニのフェイクではなく、別のひとつの食品として認識されています。


<別の食品で代用するもの>
原材料表示には使用された代用品が書かれます。本物と代用品の両方が混在して使用される場合もあります。

・シシャモ
シシャモ(和名)は漁獲量が少ないため、キャペリンという和名のない別の魚種が”子持ちししゃも”などの名称で流通しています。単体では”カラフトシシャモ”という和名をつけられて売られます。現在ではキャペリンの流通量の方がはるかに多いため、これをシシャモと思っている方が多いはずですが、本物のシシャモとは魚種が違い、見た目も味も違います。

・数の子
バラ粒状のキャペリンの卵に着色・調味して作られます。数の子単体として出荷されるのではなく、松前漬のような数の子を使用しているであろう商品に、数の子の代用品として使われます。結着剤で数の子型に成形されてから使用されることもあります。

・キャビア
バラ粒状のランプフィッシュ、トビウオなどの卵を塩漬けし、熟成して作られます。必要に応じて着色・調味されます。代用品を使ったキャビア商品として出荷されたり、キャビアを使用した加工品への代用品として使用されます。

・あわび
回転寿司などで使用されるあわびは、チリ産のロコ貝の場合がほとんどとなっています。ロコ貝はニシ貝の仲間で、あわびの仲間ではありませんが、食感が似ているため“チリあわび”などの商品名で輸入される事が多く、“チリあわび”を使用した寿司も“あわび”と表示しているようです。これは消費者に誤解を与える表現な気がしますね。きちんと“ロコ貝”と表示している店舗も見かけますし、“チリあわび”と表示している店舗もあります。もちろんあわびを使用した加工品の代用品としてもロコ貝が使用されます。


<人工的に本物を模して作られるもの>

・マーガリン
(前述)

・人造イクラ
人造イクラは3層構造で作られる。表面の皮膜はアルギン酸ナトリウムやペクチンなどで、内容物はカラギーナン、キサンタンガム、アラビアガムなどで、目玉はサラダ油で作られます。着色、調味、着香され本物のイクラを模した人造イクラとなります。本物は加熱した場合にたんぱく質が変性して白くにごり、さらに加熱すると硬くなりますが、人造品は白くにごりません。輸入イクラの価格が下がったため、現在はあまり流通していないと思われます。安い外食店で熱湯をかけてみて白くにごるかどうか、探してみてください。

・コーヒーフレッシュ
植物性油脂に脱脂粉乳やミルク風味の香料で味付けし、乳化剤で乳化白濁させると同時に分離しないようにしたもので、一回分の小分けカップの形で広く販売されています。同様の製法で植物性のホイップクリームも製造されています。これらは間違っても生クリームではなく、あくまでも本物を模した人造品です。乳化剤としては骨を脆弱化させる働きのある、リン酸塩類が使用されますが、使用される量が多いため、特に子供、女性、老人は注意が必要ですね。


<価格を抑えるために増量あるいは別原料を混合して作られるもの>

・ねぎとろ
マグロの赤身部分にショートニングあるいは精製ラードを混ぜ、とろの食感と味を模したもの。酸化防止剤、退色防止剤、保存料、調味料(アミノ酸)などが添加されることもあります。現在、回転寿司やファミレスなどで使用されるねぎとろは、ほとんどがこのように作られたものです。

・成形魚肉
原料価格の安い白身の深海魚などを使い、必要な定型に成形し結着剤で固めたもの。全く同形の切り身が作れるため、製品として使いやすい。半端部分も全て使用できるため歩留まりが良いというメリットがある。結着効果のある食品添加物(カゼインNa、増粘剤、リン酸Na、トレハロース、マルトースなど)が使われる。増量のためにデンプンや植物たんぱくが使用されることもあります。ファーストフード、ファミレスなどで白身魚フライとして、頻繁に使用されています。

・成型肉 ⇒ 成形肉の項を参照