オラフ・ステープルドン 幻想の宇宙年代記

最後にして最初の人類
Last and First Men (1930)

オラフ・ステープルドン 浜口稔訳
国書刊行会

◆四六判・上製ジャケット装・400頁
◆装丁=妹尾浩也

2004年2月刊 2800円(税別)
品切中 [amazon]

数度の世界大戦を経験した人類は、24世紀に世界国家を実現、高度な科学文明を築くが、火星生物の侵入と疫病の蔓延によって壊滅的打撃を受け、肉体的、精神的に退行し始める。しかし、やがて進化の階梯を再び登り始め、巨大頭脳人類、さらに飛翔人類へと変貌、金星や海王星に植民地を建設する。そして、ついに太陽系が死滅する日がやって来る……。20億年に及ぶ人類の未来史を驚異の神話的想像力で描いて、アーサー・C・クラークらに決定的な影響を与えた伝説的名作。

オラフ・ステープルドン (1886-1950)
イギリスの作家・哲学者。人類と宇宙の未来史を比類なきイマジネーションで描き、その強力なヴィジョンは、いまも多くの人々に衝撃を与え続けている。他の邦訳に 『オッド・ジョン』 『シリウス』 (いずれもハヤカワSF文庫)。

濁った現実にとらわれ澱んだ日常に埋没しているわれわれが、思わずピンと襟をただしたくなるような傑作だ。(中略) 汎ヨーロッパ主義やアメリカ化する世界像など、おそろしいほど現代を予見している。生臭い社会を超然と見据える本書が、なぜ今日でも欧米で熱心に読み継がれているのか、その一端をみる思いだ。――小谷真理氏評(日本経済新聞3/28)

高度な精神性と発達した文明を併せ持つ超人類が現れては消えていく諸行無常の歴史が延々と綴られていく。その繰り返しの中に描かれる人類の限界に対する諦観と、それを踏まえた上で先を目指そうとする意志こそが本書の読みどころ。――林哲矢氏評(SFマガジン5月号)

SF史に燦然と輝く名作 (中略) めまいさえ感じさせる黙示録的な何か。「小説」 とは別次元の、しかし、もっともピュアなSFといえよう。――永瀬唯氏評(北海道新聞夕刊3/19)

二十億年後の人類が一九三〇年の人間に人類の「未来の歴史」を語る進化論ファンタジーである本書は、奇蹟であると同時に、奇書とも呼べる。――山岸真氏評(本の雑誌3月号)

スターメイカー Star Maker (1937)

オラフ・ステープルドン 浜口稔訳
国書刊行会

◆四六判・上製ジャケット装・390頁

1990年5月 初版刊行
2004年2月 新装版刊行 2600円(税別) 品切中 [amazon]
       装丁=妹尾浩也


肉体を離脱した主人公は、時空を超えた宇宙探索の旅に出る。棘皮人類、共棲人類、植物人類など、奇妙な知性体が生息する惑星世界、銀河帝国と惑星間戦争、生命の進化と興亡の歴史。そこでは星々もまた、独自の生を営む生命体であった。宇宙の発生から滅亡までを、壮大なスケールと驚くべきイマジネーションで描く幻想の宇宙誌。そのあまりに冷たく美しいヴィジョンゆえに「耐えがたいほど壮麗な作品」(B・W・オールディス)と評された名作。

『最後にして最初の人類』ですら、ほんの数行程度の記述に押しこめてしまう、とんでもないスケールの長篇だ。――山岸真氏評(本の雑誌3月号)

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