【大阪圭吉作品】
とむらい機関車銀座幽霊死の快走船


《とむらい機関車》


日曜日毎に繰り返される奇怪な轢死事件の謎を追う名作「とむらい機関車」を巻頭に、名探偵青山喬介が神の如き明察を披露する「デパートの絞刑吏」「カンカン虫殺人事件」「気狂い機関車」「あやつり裁判」他の、素晴らしいアイディアに満ちた本格短篇、金鉱探しに取り憑かれた男が陥った出口なしの状況をえがいて出色の犯罪小説「雪解」、海底炭坑という巨大な密室で起きた不可能犯罪に取り組み、大阪圭吉本格ミステリの到達点ともいうべき傑作中篇「坑鬼」を収録。後に「死の快走船」に改稿された「白鮫号の殺人事件」は、初出誌〈新青年〉掲載以後、完全に埋もれていた幻のヴァージョンである。併録した「幻影城の番人」「連続短篇回顧」他のエッセイは、本格探偵作家としての矜持と苦悩、そして創作の秘密を垣間見せるファン必読の好読物。初出誌から挿絵多数収録。

【収録内容】
とむらい機関車/デパートの絞刑吏/カンカン虫殺人事件/白鮫号の殺人事件/気狂い機関車/石塀幽霊/あやつり裁判/雪解/坑鬼
【随筆】 我もし自殺者なりせば/探偵小説突撃隊/幻影城の番人/お玉杓子の話/頭のスイッチ――近頃読んだもの/弓の先生/連続短篇回顧/二度と読まない小説/好意ある督戦隊/停車場狂い
解説=巽昌章

創元推理文庫 2001年10月刊 ***円(税別) [amazon]
装画=柳智之/装幀=山田英春


「泉のようにわき出る多彩なアイデアを、独特のセンスで、謎と解明の物語にしたてあげる彼の手ぎわはまことに見事です。(中略) 現代の目で見た時、よくも、これだけの水準のものを続けざまに発表できたものだと驚きます」――北村薫氏評 (讀賣新聞夕刊200/4/26)


《銀座幽霊》


昭和11年に大阪圭吉が挑戦した 〈新青年〉6ヶ月連続短篇は、その作家活動のハイライトであった。廃院寸前の精神病院で発見された脳を抜き取られた死体、グロテスクな犯罪に驚くべきトリックが仕掛けられた傑作「三狂人」、沈没した捕鯨船の乗組員がある夜帰ってきた……雄大なスケールの海洋ミステリ「動かぬ鯨群」、雪降るクリスマスの夜、平和な一家を突如襲った惨劇「寒の夜晴れ」など、毎回、趣向を凝らした状況に魅力的な謎を盛り込んだ一連の作品は、戦前本格短篇の最高峰といってもよいだろう。他に、水産試験所の東屋所長が、海霧の夜、燈台を襲った正体不明の怪物の謎を解く「燈台鬼」の怪奇な雰囲気、弁護士大月対次が登場する「大百貨注文者」のユーモラスな味も捨てがたい。また、これも戦後初の活字化である孤島の燈台にまつわる綺譚「人間燈台」や、没後遺稿として発表された「幽霊妻」の不思議な読後感は、大阪圭吉の意外に幅広い作風を教えてくれる。初出誌から挿絵多数収録。

【収録内容】
三狂人/銀座幽霊/寒の夜晴れ/燈台鬼/動かぬ鯨群/花束の虫/闖入者/白妖/大百貨注文者/人間燈台/幽霊妻
解説=山前譲 大阪圭吉著作リスト

創元推理文庫 2001年10月刊 ***円(税別) 
[amazon]
装画=柳智之/装幀=山田英春


《死の快走船》


岬の端に建つ白堊館の主人キャプテン深谷は、ある霧の夜、愛用のヨットで帆走に出掛けた翌朝、無惨な死体となって発見された。前夜、深谷氏は何かをひどく怖れていたというのだが……堂々たる本格中篇「死の快走船」(「白鮫号の殺人事件」を改題改稿)をはじめ、猟奇的エロティシズムを湛えた犯罪奇譚「水族館異変」、東京駅のホームを舞台に三の字づくしの謎に隠された意外な犯罪をあばく「三の字旅行会」、アパートの謎の住人“香水夫人”の正体とは? ユーモア探偵小説「愛情盗難」、〈弓太郎捕物帖〉から四谷怪談上演中の中村座奈落にお岩の幽霊が出現する「夏芝居四谷怪談」、元日の朝、町内の男七人が一斉に姿を消す「ちくてん奇談」。そのほか少女小説、辺境奇譚、防諜探偵・横川禎介物など、大阪圭吉の知られざる多彩な魅力を網羅した傑作選。 中短篇全15篇とエッセー、探偵小説誌のアンケート回答を収録。初出誌から挿絵多数収録。

【収録内容】
死の快走船/なこうど名探偵/塑像/人喰い風呂/水族館異変/求婚広告/三の字旅行会/愛情盗難/正札騒動/告知板の女/香水紳士/空中の散歩者/氷河婆さん/夏芝居四谷怪談/ちくてん奇談
【随筆・アンケート回答】 小栗さんの印象など/犯罪時代と探偵小説/鱒を釣る探偵/巻末に/怒れる山(日立鉱山錬成行)/アンケート回答
解説=小野純一

創元推理文庫 2020年8月予定 予価960円(税別)
[amazon]
装画=柳智之/装幀=山田英春


大阪圭吉(おおさか けいきち)
1912年、愛知県新城生まれ。1932年、「デパートの絞刑吏」で〈新青年〉に登場。以後、〈新青年〉〈ぷろふいる〉を中心に謎解き興味にあふれた本格短篇を次々に発表。1936年、作品集『死の快走船』をぷろふいる社より刊行。同年7月より、〈新青年〉が有望作家に課した連続短篇に挑戦。「三狂人」 以下の6篇は、戦前を代表する本格ミステリの傑作として高い評価を得ている。1938年頃からユーモア小説、防諜小説などに転じた。1943年応召、45年、戦地ルソン島にて病死。