【四人の申し分なき重罪人】
Four Faultless Felons (1930)

G・K・チェスタトン
西崎憲訳

特ダネを追って世界中を駆けめぐる新聞記者ピニオン氏は、ロンドンで四人の不思議な人物に出会った。〈誤解された男のクラブ〉 の会員である彼らは、やがてそれぞれの奇妙な体験を語り始める。着任早々の植民地総督はなぜ狙撃されたのか、事件の意外な真相をあかす 「穏和な殺人者」、芸術家の屋敷の庭の片隅に立つ奇怪な樹をめぐる恐ろしい秘密の物語 「頼もしい藪医者」、名家の子息はなぜ不手際な盗みを繰り返すのか、その隠された動機を探る 「不注意な泥棒」、学者に詩人、質屋に将軍――四人の陰謀家は何をたくらむのか、ある王国で起きた革命騒ぎの驚くべき展開 「忠義な反逆者」 の4話をおさめた連作中篇集。奇妙な論理とパラドックスが支配するチェスタトンの不思議な世界。

◆ちくま文庫 2010年12月刊 本体1000円 [amazon]
◆解説=巽昌章
◆装画=北見隆


【目次】 新聞記者のプロローグ/穏和な殺人者/頼もしい藪医者/不注意な泥棒/忠義な反逆者/新聞記者のエピローグ/訳者あとがき/解説 チェスタトンと魔法の庭 (巽昌章)

ギルバート・キース・チェスタトン (1874-1936)
イギリスの作家・詩人・批評家。ホームズと並び称される名探偵 〈ブラウン神父〉 シリーズ (創元推理文庫) は、奇想天外なトリックと逆説に満ちた短篇ミステリの最高峰。他に 『詩人と狂人たち』 『奇商クラブ』 『ポンド氏の逆説』 (以上創元推理文庫)、『知りすぎた男』 (論創社) 等のミステリ短篇集、長篇に 『木曜日だった男』 (光文社古典新訳文庫)、『新ナポレオン奇譚』 (ちくま文庫) などがある。