【R・オースティン・フリーマン作品】
オシリスの眼  キャッツ・アイ
【オシリスの眼】

R・オースティン・フリーマン
渕上痩平訳

エジプト学者ジョン・べリンガムが不可解な状況で忽然と姿を消してから二年が経った。生死不明の失踪者をめぐって相続問題が持ち上がった折も折、ベリンガムの所有地をはじめ各地でバラバラになった人間の骨が次々に発見される。はたして殺害されたベリンガムの死体なのか? 複雑怪奇なミステリの解決に乗り出した法医学者ソーンダイク博士は、証拠を集め、緻密な論証を積み重ねて事件の真相に迫っていく。江戸川乱歩が古典ベストテンに選出、ヴァン・ダイン、J・D・カーらも推奨する英国探偵小説の名作、初の完訳。

◇「2017年文庫翻訳ミステリーベスト10」 第9位(総合)
「長編探偵小説(失踪ミステリ)としてのモダンで揺るぎない構成に感服」(法月綸太郎氏)
「フェアな手がかりと推理による正統的謎解き小説の確立者としての、フリーマンの先駆性をまざまざと示す作品だ」(ストラングル・成田氏 「翻訳ミステリ大賞シンジケート)

◆ちくま文庫 2016年11月刊 950円(税別)[amazon]
◆装丁=藤田知子 装画=小林達介


【キャッツ・アイ】

R・オースティン・フリーマン
渕上痩平訳

ある夏の晩、助けを求める若い女性の叫び声に、帰宅途中の弁護士アンスティが駆けつけると、そこには男女が激しく組み合う姿が。男は身を振りほどくと闇の中に姿を消した。近くの邸では主人が宝石コレクションの陳列室で殺害されていて、件の女性は邸から逃げ出した男を追いかけたのだという。一見、単純な強盗殺人に思われた事件だが、被害者の弟ローレンス卿は警察の捜査に納得せず、ソーンダイク博士の出馬を要請する。収集家の死、失われた権利証書、聖書の暗号……複雑に絡み合う謎に挑むソーダイク博士の活躍。本格推理に伝奇冒険的な要素も加味した黄金時代ミステリの名作。

◆ちくま文庫 2019年1月予定 950円(税別)[amazon]
◆装丁=藤田知子 装画=コバタツ

R・オースティン・フリーマン (1862-1943)
イギリスのミステリ作家。ロンドン生まれ。医師から作家に転身、1907年、法医学者ソーンダイク博士を探偵役とした 『赤い拇指紋』 を発表。科学捜査を駆使するソーンダイク博士は短篇でも活躍し、シャーロック・ホームズと人気を競った。英国探偵小説界の巨匠の一人。代表長篇に 『オシリスの眼』 (1911)、『キャッツ・アイ』 (1923)、『ポッターマック氏の失策』 (1930) など。短篇集 『歌う白骨』 (1912) は倒叙推理の嚆矢としても有名。