【マニュエル伝】

イヴのことを少し

ジェイムズ・ブランチ・キャベル
垂野創一郎訳

赤毛の青年ジェラルドが先祖ドム・マニュエルのロマンスを執筆中、悪霊が現われ、お前の肉体に乗り移ってお前の現世を引き受けてやろうと言う。人妻イヴリンとの関係に手を焼いていたジェラルドは申し出を受け入れる。さらに以前の魔術仲間から銀の馬カルキを贈られ、彼は勇んで彼方の都アンタンに向かう。あらゆる神の終着地であるかの地を統べる文献学匠になり代わり、その王座に座るつもりなのだ・・・。人生に対する深い洞察とユーモアに満ち、真の知性に裏打ちされた大人のためのファンタジイ。

国書刊行会 2019年12月刊 3200円(税別) [amazon]
本文挿絵=フランク・C・パペ

◆装丁=山田英春
◆装画=木原未沙紀

【マニュエル伝】 全3巻 国書刊行会 内容見本
ジャーゲン 土のひとがた

ジェイムズ・ブランチ・キャベル (1879-1958)
アメリカの作家、系図作製者。ヴァージニア州リッチモンドの名家に生まれる。幼少時から神話・伝説・聖書を耽読し、大学卒業後、新聞記者を経て作家となる。1904年に長篇第一作《Eagle’s Shadow》 を発表、本書は架空の王国ポアテムを舞台に23代9世紀にわたる一大ファンタジイ・シリーズ《マニュエル伝》全18巻に発展した。その一冊『ジャーゲン』(1919/国書刊行会)は「不道徳な内容」のため発禁事件を引き起こし、それが話題を呼んで大ベストセラーとなった。他の代表作に『夢想の秘密』(1917/国書刊行会)、『土の人形(ひとがた)』(1921/国書刊行会近刊)、『イヴのことを少し』(1927)など。1920年代は「キャベル時代」とも呼ばれるほど批評界から高い評価を獲得、同時代アメリカ文学を代表する作家と目された。その後一時忘れられた作家となったが、1970年代はリン・カーターやアーシュラ・K・ル= グウィンらの再評価もあり、SF・ファンタジイ作家の広範な影響が指摘されている。